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セブルス・スネイプと死の秘宝(エピローグ)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


~ホグワーツ特急のコンパートメントで~

「こんにちは。僕、スコーピウス・マルフォイ。よろしく。君たちも1年生?」

「ええ。あたし、ローズ・ウィーズリーよ。さっき、パパがあなたのこと言ってた。あなたに成績負けちゃダメだって。あたしはママに似て頭がいいから大丈夫だろうけどってね。パパのこと知ってるの?」

「さあ?、、、あ、もしかして、君の母上って、グレンジャーっていう?」

「そうよ!ハーマイオニー・グレンジャー。今はウィーズリーだけど。」

「君の母上のことならきいてるよ。その方の娘なら頭がいいはずだから、見習って勉強しろって、父上もセヴィおじさまも言ってた。お祖父さまは、、なんでかわからないけど、親切にしなさいって。」

「ママとあなたのおとうさんって、お友達だったのかしら。とにかくよろしくね、スコーピウス。ほら、アルも。」

「僕、アルバス・セブルス。僕も1年生だよ。ローズとは従弟同士なんだ。」

「え、セブルスって言うの?セヴィおじさまと同じ名前だ!」

「セブルスっていう人のことも知ってるの?スリザリン出身の校長先生だったんだって。僕の名前、その人からもらったんだって。」

「それ、セヴィおじさまのことだ。セブルスっていう名前で、スリザリン出身の校長先生だった方だよ。僕もスリザリンに入るんだ。」

「父さんが、その人は、父さんが知っている中で、一番勇敢な人だって言ってた。」

「君の父上って、セヴィおじさまの知り合いなの?」

「アルのお父さんはね、有名なハリー・ポッターなのよ!」

「すごいね!うちでもハリー・ポッターの話をしたことがあるよ。セヴィおじさまが、ハリー・ポッターは誰よりも勇敢なんだって言ってた。そうしたらお祖父さまが、セヴィおじさまはハリー・ポッターの母親のようなものなのだって言ってたよ。だから君の名前につけたのかな?」

「じゃあ、その方は僕のおばあちゃんみたいな人ってこと?おじさまがおばあちゃんって、よくわからないけど、父さんの育ての親みたいなのかな?なんだか、、僕もスリザリンに入りたくなっちゃったよ。」

「え、アルもスリザリンがいいの?あたし、グリフィンドールじゃなかったら、パパやおじいちゃんに怒られちゃう、、。寮が違っても、仲良くしてくれる?」

「もちろんさ!」

「もちろんだよ!」


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セブルス・スネイプと死の秘宝(33)終章

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


~19年後~

「リーマス、おはよう。もう起きる時間だ。」

軽く頬に触れて起こしたが、ルーピンはベッドの中で毛布を抱え込んでぐずぐずとしてる。私は先に起きて自分のためにコーヒーを入れた。いつの間にか甘党のルーピンにつられて砂糖もミルクもたっぷり入れるようになってしまったが、今朝は久しぶりにブラックにした。すっきりと気分を引き締めたいのだ。今日は、特別な日なのだから。早めに出たいのに、ルーピンは一向に起きてこない。

ルーピン、起きろ、もう時間だ。起きないなら、一人で行く。」

もう一度声をかけると、ようやくルーピンも起きてきた。髪はすっかり白くなり、わずかにライトブラウンが混ざる程度になっている。ルーピンを急きたてて外に出ると、カラッと晴れた、日差しの明るい、冷んやりとした朝だった。今年の秋は突然やってきたようだ。

「急に寒くなったね。君が突然ホグワーツ特急の見送りに行くなんて言い出すから、天気もびっくりしたんだ。」

「突然言ったわけではない。数日前から言っておいたではないか。」

ルーピンと話しながらキングスクロス駅に着くと、9番線と10番線の間のホームにはもう人が溢れていた。

「だから早く出たかったのだ。スコーピウスの見送りもしたいし、それに、、」

「あ、セブルス、あそこにハリーたちがいるよ!」

ホームの柱の手前に、たしかにポッターがいた。瞬時に記憶が蘇る。ホグワーツの大ホールで私の目に飛び込んできた憎らしげな少年がそこに、、。いや、そんなはずはない。その少年の前を、もう少し背の高い少年が飛び跳ねるように歩いている。そして2人の後ろに、ポッターはまだ小さな女の子の手をつなぎ、ウィーズリーの末娘と歩いていた。

「次男のアルがホグワーツに入学するんだ。早いもんだね。アルバス・セブルスが1年生だよ。」

「私の名を子供につけるなど、ポッターは気が触れたとしか思えぬ。しかも、その後にポッターが続くのだ。アルバス・セブルス・ポッターなどと、ポッターは私に嫌がらせしたのだな。」

「そんなはずないじゃないか。わかってるくせに。君は相変わらず素直じゃないな。」

兄らしい背の高いほうの少年が、弟に何か話しかけた。弟が怯えた顔で何か言い返しているのに、兄はそのままホームの柱の中にかけこんで消えた。

「ルーピン、ジェームス・シリウスがアルバス・セブルスをいじめているようだ。まったくひどい名付けのセンスだが、、ポッターはなぜ止めぬのだ!」

「ジェームス・シリウスがアルバス・セブルスをからかっただけさ。そんなに気になるなら、ハリーの家に行って、ハリー似でリリーの目を継ぐアルバス・セブルスを可愛がってやればよかったじゃないか。妹のリリー・ポッターだっているんだし。」

「正確には、リリー・ルーナ・ポッターだ。母親のウィーズリーにそっくりな娘だな。」

ポッター親子も柱の中に消え、少し間を置いてから、私たちも柱を通って9と3/4番線のホームに入った。ホグワーツ特急が蒸気を吐いて止まっている。柱の陰から見ていると、煙る蒸気の切れ目から、ポッター一家がロナルド・ウィーズリーとグレンジャーの夫婦に歩み寄るのが見えた。この2人も、女の子と少し小さな男の子を連れている。ローズとヒューゴというらしい。それにしても、皆大きくなったものだ。

「おや、あれはおまえの息子のテッドではないか?」

ポッターたちよりさらに遠く、ピンク色の髪をした少年が、美しい少女の肩を抱いていた。

「ああ、テディだ。もう卒業したのに、何をしに来ているのかな?」

「見たとおり女の子の尻を追っかけているのだろう。母親譲りの美貌は、フラーの娘のヴィクトワール・ウィーズリーだな。」

「君は会ったこともない子供たちの名前まで、やけに詳しいね。」

「聞きたくもないのに、おまえが毎晩話すからだ。」

ルーピンが手を振ったが、テッドは父親に気づきもしなかった。ルーピンはがっかりした顔をしたが、子供など恋をすればそんなものなのだ。もっとも、アンドロメダの懇願に負けて息子との同居をあきらめ、ポッター家での顔合わせで満足したルーピンの、いい加減な父親ぶりにもよる。それに比べて。

「セヴィ、来てくれたんですね。スコーピウスの見送りに。おはようございます、ミスター・ルーピン」

私に気づいたドラコが、息子の手を引いて妻とともに挨拶に来た。育ちの良さはこのようなところに現れるものなのだ。

「ドラコ、アストリア、それにスコーピウス。今日から立派なホグワーツ生だ。しっかり勉強するのだぞ。」

スコーピウスは私にまとわりついてきた。ルシウスの真似をして私をセヴィと呼ぶようになり、それにつられてドラコもまたセヴィと呼ぶようになってしまった。

「お祖父さまが、今日はセヴィおじさまと一緒に、僕に箒を買ってくれるって言ってた。」

「そうだ、スコーピウス。お祖父様はよい箒をご存じだろう。さあ、遅れないように汽車に乗りなさい。」

ドラコたちも前に向かって歩いていった。あの小さかったスコーピウスがもうホグワーツに入学とは、時の流れは早いものだ。

ドラコにそっくりなスコーピウスが生まれた時、マルフォイ家は喜びに溢れ、私も入り浸りになった。マルフォイ家に泊まり込んで、数日ぶりに農場の家に帰ったら、ルーピンが目の下に隈をつくって待ち構えていた。そして私に、正式にパートナーとして暮らしてほしいと言った。私は少し考えて了承し、私もルーピンと家庭のようなものを築いてみたいとルシウスに言ってみた。ルシウスは怒りというよりひどく傷ついた表情をして、それを見た私は胸が痛んで一度は撤回したのだが、しばらくして、ドラコ親子を眺めている私に、ルシウスのほうから、したいようにしてよいと言ってくれた。

そのようにして、結局のところ、マルフォイ一家と私、私とルーピン、ルーピンとテッドの親子という3つの円が部分を重ね合わせ、緩やかに家族めいた絆を保ちながら時を重ねることになった。形がどうであれ、気持ちの繋がりそのままに暮らしてもよいのではないかと、3人とも思ったのだった。

その後も私はルシウスから仕事の協力を得ていたし、週に3、4日はマルフォイ家で食事を共にし、ルーピンも同じくらいテッドを交えたポッター家の食事に加わっていたから、たいした変化はなかったとも言える。テッドがホグワーツに入学してからも、その習慣は変わらず続いた。

スコーピウスに初めてじーじと呼ばれた時、ルシウスは絶句していたものだが、今では孫可愛さからお祖父さまと呼ばれて目を細めている。私もセヴィおじさまと呼ばれながら、幼い頃のドラコの世話をしたように、スコーピウスの世話をしたり勉強を教えてやったりした。今日はルシウスも誘ったのだが、来なかった。ウィーズリー家の大家族ぶりを目にするのが嫌なのだ。

昔を思い出しているうちに、発車時間が近付いたようだ。子供たちが汽車に駆け込み始めた。ポッターは入学する次男と2人で何か話してから、汽車にのせていた。動き出した汽車の窓から子供たちが顔を出し、親や弟妹たちと手を振り合っている。ポッターも動き出した汽車を追って歩きながら、手を振っている。

リリーはこんな景色を夢見ていたのだろうか?命をかけて守った赤子が立派に成長し、妻を得て子を為し、その子供たちをホグワーツに見送る。自分たちで勝ち取った平和な世で、子供たちを慈しみ、守り育てて。

それはもう、リリーが夢見たことなのか、私が見た夢なのか、判然としない。リリーに語りかけることをしなくなって久しいが、私の思いの中にはいつもリリーの思いがあるように思う。たとえば新しい魔法薬をつくり、それがどこかで誰かの喜びにつながることを祈る時。それは私の中に生きるリリーの祈りのようにも感じられるのだ。こうして死者は、愛した人の中に生き続けていくものかもしれない。

「私たちがこの特急に乗ってホグワーツに行ってから、もう半世紀が過ぎたんだよ。」

汽車を見送っていたルーピンがしみじみと言う。そうだ。私もリリーとともに、惨めで寂しかった両親との暮らしに別れを告げて、夢と希望に胸をふくらませながら旅立った。夢見ていた通りになったとは言えないのだが。

「ああ、もうそんなになるのだな。」

「私はあの時、不安でいっぱいだったよ。守っていてくれた親と離れて心細かった。寄宿生活の中で人狼の正体がバレたらどうなるんだろうって。私を入学させてくれたダンブルドアにも迷惑をかけるのではないかと、不安でたまらなかった。」

ルーピンはそんな気持ちで特急に乗ったのだ。苦しい運命を背負いながら、よくもここまで善良さを失わずに生きてきたものだ。それにしても半世紀も前に、人狼の子供をホグワーツに迎え入れるとは、ダンブルドアもよく考えついたものだ。今ではルーピンは魔法省に勤め、人狼や魔法生物の権利と生活向上のために働いている。私も協力して脱狼薬が多くの人狼の手に届けられるようになり、世に受け入れられる人狼の数も少しずつ増えてきた。ダンブルドアが半世紀も前に蒔いた小さな種が、大きな実をつけ、落とした種からまた新しい芽が育っているのだ。

「だけど、思いがけず友達もできて、君にも会えた。あの時は、こんな人生を送れるなんて、想像もできなかったよ。セブルス、私は初恋が実ったんだからね。」

ルーピンが私のほうに顔を向けて、白髪頭に似合わぬことを言う。私の黒髪にもずいぶん白髪が目立ってきたから人のことは言えぬが。ルシウスの美しいプラチナブロンドも薄くなってしまった。


特急は蒸気をあげながら角を曲がって小さくなり、ホームの先では、息子たちの見送りを終えたポッターが、振っていた手を下げてふと額に触れていた。そこにまだあの傷はあるのだろうか?私も左の前腕をふと押さえた。闇の印はすでに形のわからぬあざのようになり、あれ以来焼け焦げることもない。

ポッターはこちらに向きを変え、私に気づいたように一瞬立ち止まった。と思う間もなく、私の前に立っていた。相変わらずの瞬発力だ。

「先生!」

「ポッター。」

言葉が続かず、しばらく向かい立つ。19年前に至る、長い年月の様々な出来事に思いが巡り。あれから、数年はポッターに会うまいと思っていた。ポッターを見て記憶に圧倒されては、自分の道を見つけることができぬから。だが、魔法薬の仕事が進みだし、生活が落ち着いた頃には、ポッターに会う理由もないと思うようになっていた。ルーピンには何度も誘われたが、ポッターはすでに、私の助けなど必要ない自立した大人になったのだし、親しくもなかった教師と生徒に今さら会う理由もないのではないかと思ったのだ。

だが、ホグワーツに入学する年齢になったスコーピウスを見ているうちに、幼かった少年のポッターを思い出し、会ってみたくなった。ホグワーツの大ホールで初めてポッターを見た時には、父親そっくりの姿に失望し、怒りと憎しみを抑えられなかったものだが、その姿を思い浮かべても、もうそんな感情が強く湧きおこることはなかった。

時が過ぎたのだ。

凍りついた時の中で変わることのなかった激しい感情も、穏やかに流れる時に溶け込み、霧に浮かぶ小さな影のように定かでなくなった。ただかすかな痛みと懐かしさが胸を満たし、すべてが始まったこのキングスクロスの駅で、再びポッターに会おうと決めたのだった。

リリーの死から戦いの終わりまで、私の愛と憎しみと悔いのすべてを投影していた少年が、今幸せそうな父親になって、私の前に立っている。変わることのない緑の瞳を見開いて。

「ポッター、大人になったものだ。」

「お久しぶりです、先生。19年ぶりです。僕も、あの頃の先生と同じくらいの年になりました。」

「もうそんなに経ったのだな。」

「はい。あの後お会いできませんでしたが、先生のことをよく考えていました。結婚したり、子供ができたり、幸せなことがあるたびに、先生はこんな時期を犠牲にして、ずっと僕を守っていてくれたんだと。僕は何も気づかず、偏見にとらわれて反抗してばかりいたのに。」

「ポッター、私はあの時期を、犠牲にしたなどと思ったことはない。君の母親に死をもたらしてしまった過ちは悔いたが、その後の戦いの日々に悔いはない。戦いの後君が幸せに過ごしたなら喜ばしいことだ。それが君の母親の願いだった。私はそのために戦ったのだから。」

「母さんのことを思うとき、僕はいつも先生の守護霊を思い出すんです。ディーンの森で、行き詰っていた僕を、やさしく、厳しく、包むように導いてくれた。とても懐かしい気持ちがして、疑いもなく着いていった。なぜあの時気づかなかったのかと、何度も思ったものです。」

リリーは息子に与えたかったものを、幼い頃の私に与えてくれていたのだ。どうやら私はそれを伝えることができたようだ。リリーの思いが胸を満たす。

「立派に育ったものだ、ポッター。母親もきっと喜んでいることだろう。」

「先生、僕たちの家に遊びに来てください。ロンもハーマイオニーも、今では家族になっています。子供たちにも会ってもらいたいし。」

「それではそのうち、機会があればうかがわせてもらおう。」

私たちに遠慮するように、少し離れた所で、ルーピンとウィーズリー、グレンジャーたちが待っていた。ポッターも含め、皆ダンブルドアが蒔いた種を、たいせつにその中で育てている。ポッターは闇祓い局の局長となり、ディーンの森で予想外の勇気と友情を示したウィーズリーも闇祓いになったときいた。グレンジャーは屋敷しもべ妖精やマグルの擁護のために働いているそうだ。償う術のない過ちを悔み、闇の台頭を抑え、マグルや魔法生物と共生する寛容な社会を目指すと決めたダンブルドアの志が、彼らの中に受け継がれ息づいている。ダンブルドアに伝えてやりたいものだ。全てお見通しだったのかもしれないが。

私はホグワーツの闘いの最中、たぶん理由もわからぬままに私の命を助けてくれたグレンジャーに目で感謝の気持ちを送り、ルーピンとともにキングスクロス駅をあとにした。

「ハリーとの再会はどうだった?」

ルーピンが話しかけてきたが、私は他のことを考えていた。

「リーマス、私はホグワーツに戻ろうかと思っている。」

「え?今まで何度ミネルバに招かれても断っていたのに?」

「スラグホーン教授が、できれば私に引き継ぎたいと頑張っていたのだが、もう限界だそうだ。今年のクリスマスは引退してのんびり迎えたいと言っている。あの方ももうお歳だからな。仕事に区切りをつけて、学年途中だが後を継ごうと思う。」

ルーピンが少し心配そうな顔をした。

「いいと思うけど、まさか前みたいにホグワーツに住むつもりじゃないよね?」

「もちろん通いだ、リーマス。おまえがいるのだから。」

ルーピンが嬉しそうな顔になる。頼りないが、いつも私の傍にいて、想いを隠さぬルーピンに、どんなに癒されたことか。

「でもさ、ホグワーツで名前の由来の君に会ったら、アルは驚くだろうね、スネイプ先生。」



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tag : ハリーポッター セブルススネイプ ポッター ルーピン ルシウス

セブルス・スネイプと死の秘宝(32)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

マルフォイ邸でこれからのことを思いあぐねていたある日、私は名も知らぬ法律事務所から連絡を受けた。ダンブルドアの遺書を預かっていると言う。ヴォルデモート卿の死が確認され、私が生きていれば渡すよう託されていたものだったが、私の所在がようやくわかったとのことだった。部屋に戻り、急いで封筒を開くと、農場の所有権を記した書類と、長い手紙が入っていた。


セブルス、愛しき子よ、

おまえさんがこの手紙を読んでいるということは、わしが予定通りの死を遂げ、ヴォルデモート卿は消滅し、おまえさんは生き延びられたと言うことじゃ。めでたいことじゃのう。ハリーはどうなったかの?わしはきっと無事だと信じておるが。

おまえさんは、わしがハリーに対するほどの信頼をおまえさんに持っておらんのではないかとずいぶん気にしておったの?わしは、おまえさんのことも、ハリーのことも、100%信頼しておったが、少し違うところもあった。おまえさんについては忠誠心と有能さを、ハリーについては愛を知る純粋で勇敢な心を信じたのじゃ。

ハリーは、まこと、純粋で無垢な少年としてホグワーツにやって来た。親の顔も知らず、親戚の家で邪魔者扱いされて育ったのに、世を恨むわけでもなく闇に囚われるわけでもなく、ただ記憶もない両親を慕う心に満ちておった。おまえさんも、みぞの鏡は知っておるの?自分の心の願いが映る鏡じゃ。ハリーは鏡の前で、亡き両親の姿をいつまでも眺めておったものじゃ。ハリーの心にあるのは純粋な愛だけじゃった。

わしも鏡の前に立つと、亡き家族を見たものじゃ。じゃが、わしの心は後悔に満ちておった。わしはおまえさんと逆で、自分の悪いところを見せたくなくての、誰にも言わんかったがおまえさんには言ってもよいじゃろう。もしかしたらもう暴かれておるかも知れんがの、若い頃の過ちで、妹を亡くしてしまった。わしがひどく傲慢で自分勝手だったからじゃ。わしは家族を愛していたのじゃが、自分の夢を優先して妹のことをきちんと考えなんだ。妹にも、妹を大事にしていた両親にも謝りたくての、その姿が映る鏡に囚われたものじゃった。同じものを見ておるのに、ハリーとは何と違うことかと思ったものじゃ。

もうわかっておるじゃろうが、おまえさんは、若い頃のわしと同じような姿でわしの前に現れた。愛を知っておるくせに、自分勝手な思いから、愛する人に死をもたらすほどの過ちを犯した。リリー・エバンスの死を嘆くおまえさんに、憐れみは感じたが同情はせなんだ。わしと同じと思ったからじゃ。しかも、同じほどの過ちを犯しながら、おまえさんにはハリーが遺された。わしはおまえさんを妬んだのじゃ。死んでしまった愛する人の遺志を継ぐ、直接的な贖罪の道が遺されておったのじゃからの。

じゃが、それはわしの計画にも都合のよいものじゃったから、わしは手元に置くことにした。懸命にハリーを守るおまえさんの姿を見るのは、複雑なものじゃった。その健気さに胸を打たれることもあれば、わしもアリアナや父母のためにできることがあればどんなによかったろうと、妬ましくも思えた。わしには家族に償う術もなく、ただわしに誤った夢を植え付けた闇の魔術を憎み、その台頭を抑えることに力を注ぐことしかなかったのじゃから。

わしの信頼に応え、優秀に任務を果たすおまえさんを身近に見ているうちに、いつしか、わしと同じ志で過ちを犯させた闇を憎み、ヴォルデモート卿と戦う同志と思うようになっておったのじゃがの、長い年月を経てなお、リリー・ポッターと同じ守護霊を出すおまえさんを見て、涙を抑えられんかった。おまえさんは、変わることなく愛する人への贖罪のために戦っておったのじゃの。わしが当初思ったよりも、おまえさんはずっと純な魂を持っておった。わしのように自分勝手だったわけではなく、ただ世間知らずで愚かだっただけなのじゃ。

さて、セブルス。おまえさんは今、贖罪を果たせたわけじゃ。ハリーが生き延びられたかはわからんが、リリー・ポッターの遺志を継いで、遺された赤子を守り抜き、ヴォルデモート卿に立ち向かう勇敢な青年に育てあげたのじゃからの。羨ましいことじゃ。

じゃが、あまりに一途に贖罪に身を捧げてきたからの、この先どう生きるべきかと途方に暮れておることじゃろう。愛も悲しみも憎しみも、豊かな感情を持ちながら、長年任務のために心を閉じて暮らしてきたからの、溶けて流れ出す様々な感情に戸惑いもするじゃろう。

溶け出でる思いを味わいながら、ゆっくりと考えることじゃ。おまえさんは人を愛する強さも優しさも持っておる。自分の過ちから目をそらさずに、命をかけて償う勇気も力もあった。おまえさんの行為は実に勇敢じゃった。贖罪への強い思いがそれを育てたのかもしれんの。

償いにかけた長い年月、おまえさんがそのついでのようにやり過ごした日々の出来事の中に、様々な種が蒔かれていたはずじゃ。そのまま眠らせるべきものもあろうが、中には勝手に芽を出して育っているものもあるじゃろう。わしが知る限りでもいくつか思いつくがの。その種や芽を顧みて大事に育ててやるのもよいかもしれん。

おお、そういえばおまえさんにはブロンドもおったの。隠しても無駄じゃ。神秘部の闘いの後で、安全なアズカバンに放りこんでやったのに、礼も言わんとはあきれたもんじゃ。わしが過ちを犯すきっかけとなったブロンドなどはひどいもんじゃった。妹の死とともにわしを放り出して逃亡したのじゃ。結局は決闘して終身刑務所に送りこむことになった。向こうであれと会う日も近いじゃろうが。ともかくおまえさんには、小物じゃが情の深いブロンドがおって幸いなことじゃ。

わしは、戦いの終わりまでに、ある物のためにおまえさんの命が危険に曝されるかもしれんことを知っておる。それが何であるか、なぜそのことを話してやれんかったか、すでもわかっておることじゃろう。おまえさんが今生きているのは、それを乗り越えられたということじゃからの。今あるおまえさんの命は、マーリンの意思であり、おまえさんの意思であり、蒔かれた種や芽の願いなのじゃ。わしの願いでもある。

これから進む道に必要なものはすべて持っておるじゃろうが、一人じっくり考えたいと思うなら、この家を使うがよい。わしが妹を失ったあとの数か月を、悔いと涙にまみれ、途方に暮れて過ごした場所じゃ。いくつかの決意を胸に、再び歩みを始めた場所でもある。100年以上放置したままじゃから、どうなっておるかは知らんがの。

悔いを乗り越えられたらまた訪れようと思ったこともあったのじゃが、果たすことなく死に誘われて逝くことになった。おまえさんの手で安らかに逝かせてもらえるのは、ありがたいことじゃ。このことで心を痛めるでないぞ、セブルス。至らぬ人生じゃったが、わしはもう十分に生きたと思っておる。少しは世のためになることもできたと思うのじゃが、やさしいおまえさんはそう言ってくれるじゃろう?

贖罪を果たした後にはどんな景色が見えるのか、どんな実りが訪れるのか、おまえさんには、それを十分に味わってほしいと願っておる。

愛をこめて

アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア


手紙を読み終え、ダンブルドアを想った。最も偉大な魔法使いと言われたダンブルドアも、深い悔いを抱えて長い時間を懸命に生きたのだ。ダンブルドアはいつこの手紙を書いたのだろう?ポッターに告げるべき最後の真実を私に話して、しばらく経った頃だろうか?手紙の中には、すでに死の直前に、私に話してくれていたこともあった。言わぬつもりが、直前に心を変えたこともあったのだろう。

信頼を得たいと思い、また父親のような情を期待したこともあったが、ダンブルドアが私に対して、複雑な思いも持っていたのだと知った。ダンブルドアの当初の意図がなんであってにせよ、ダンブルドアはリリーの遺志を、私にかかる守りに変えてくれた。その導きが私に贖罪の道を与え、生かしてくれたのだった。そしてこれからは、与えられた道を歩むのでなく、自身で道を考えよと言い残した。

ダンブルドアが遺してくれた農場を訪れてみると、、、そこは農場だったと言うのもはばかられる荒れ地で、あばら家と言うのも躊躇われる崩れた家屋が残っていた。しばらくそこに住みたいという私に、付いてきたルシウスは呆れ果てていたが、それでも元の家を踏襲した小奇麗な家に直してくれた。

ダンブルドアが涙し新たな歩みを始めたというその家で、来し方を振り返り、心を開いてみようと思う。長年閉じることに慣れた心は、一人であっても開くのを躊躇う。少しずつ、一つずつ、時間をかけてほぐしてゆくしかない。その中に私が蒔いたという種や芽を見つけることができるだろうか?ダンブルドアのように、新しい決意を胸に旅立ってゆけるだろうか?

だが、漠然と過去を振り返っていると、いつの間にか思うのはリリーとポッターと戦いのことになっていた。長年そればかりを考えてきたのだから当然といえば当然なのだが。贖罪を果たしたとして、私がこの先自分の道を見つけるためには、一度この思いから離れなければいけないのかもしれない。

リリー、私はしばらく、君の息子を忘れていいだろうか?君の遺志である君の息子は、この長い年月、君が私に遺してくれた守りのようなものだった。そのおかげで私は生きてこられたのだ。だが、君が息子にかけた愛の守りが解け、その息子が戦いで皆に守りをかけるほどの勇敢な青年に育った今、私もその守りを解きたいと思う。

この守りがある限り、私は前に進んでゆけないのだ。私にとって、守りは呪縛でもある。君の息子のことを考えると、私は様々な強い感情に圧倒されて、他が見えなくなってしまう。君への想い、悔い、悲しみ、そして、ポッターの父親への憎しみと嫌悪。あまりにも強く根付いてしまったそれらの思いを、解き放つには時間が必要なのだと思う。

リリーは少し寂しげに、でも笑ってうなづいてくれたと思う。

ともにヴォルデモートを埋葬したとき、ポッターと私の間には、たしかに何か、通い合うものがあった。命をかけてヴォルデモートに立ち向かった互いに対する敬意のようなものだろうか。私はポッターの中にリリーの魂を感じ、ポッターも私の中に母親への深い愛と償いの気持ちを感じたかもしれない。しかしそれはリリーを通じた何かであって、ひとたび父親のことを交えれば、あの時通じたものが壊れてしまうように思えた。あの時のポッターを、私の中にしまっておきたいと思う。いつか、1人の人間としてポッターを見られるようになる日まで。

だからリリー、しばらく君に話しかけないけれど、心配しないでほしい。私の中に、君はもういるのだと思うけれど。

それから、リリーやポッターに関わらないことをなんとか思い浮かべようとした。最初に思いついたのは、私の命をつなげてくれた魔法薬のことだった。焦燥感を堪えるために開発した気休め程度の薬だったけれど、死んだかと思った私の命をつなげてくれた。改良すれば緊急時に役立つはずだ。もしもその薬で誰かの命が救われたり、家族との最後の対面がかなうようなことがあれば、嬉しいことだと思う。

そんなふうに、過ぎた日に思い巡らせて種や芽を探したり、戦いで亡くなった知人たちの墓参りをしたりして過ごした。私はしばらくは一人で静かに考えるべきだと思ったから、居場所は明かさなかったのだが、そのうち、ルーピンが訪ねてきた。

息子のテッドと暮らそうとしたが、アンドロメダから、差別され生活が安定しないばかりか、幼い子には危険極まりない人狼よりも、自分の元で育てたいと懇願されてあきらめたという。後見人のポッターの家で頻繁に会えるように取り計らって納得したと言うから、いい加減な父親だ。ルーピンとしては、息子にとって何が一番よいかを考えた末のことだと言うのだが。行くあても目的もなくなり、ルシウスに私の居場所を聞いてやってきたのだった。

ルーピンはそのまま家に居つき、それを知ったルシウスは激怒してアヴァダを掛けそうになったのだが、私が長年の友人で命を助けてくれた1人でもあるととりなすと、農場の手入れをする下男としてなら居てもよいと認めてくれた。実際、放置されていた農場には100年の間に得体の知れぬ魔法生物があちこちに住みついていて、その対処はルーピンの得意分野だった。

ルーピンは、なぜ私と住むのにルシウスの認可がいるのかと文句を言ったが、いやなら出ていけと言っても出て行かなかった。ルーピンの働きで、荒れ地は徐々に農場らしくなり、その一角に良質な薬材のための薬草園を作ることができた。努力を認めて、脱狼薬にも手を入れて少し甘味をつけてやったら、ルーピンはすごく喜んでいた。

ルシウスといると、憧れてすべてを任せていた少年の頃のような頼りない気持ちなってしまうのだが、ルーピンとなら互いに助け合って成長していけるような気がした。要するにルシウスに対しては恋心があって、ルーピンは気楽だということなのだが。

短い夏に秋の気配が忍び込んできた。日差しも雲も空の色も、少しずつ変わってゆく。蒔いた薬草の種は、芽を出し、葉が開き、見るたびに姿を変えてゆく。荒れた農地の木々の葉も、色を変えやがて少しずつ落ちていった。時間はこのように過ぎ、このように続いてゆくものなのだ。懸命に贖罪に捧げていた頃も、私の周りで時はこのように流れていたのだろうか?

贖罪を終えた後の景色には、日々小さな変化や発見があり、それが毎日積み重なって続いていった。



tag : ハリーポッター セブルス ダンブルドア ルシウス ルーピン

セブルス・スネイプと死の秘宝(31)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


そんなある日、ダイアゴン横町に出かけたドラコが、グレンジャーを伴って帰って来た。ルシウスもナルシッサも驚いたのだが、横町でドラコを見つけたグレンジャーが、私の居場所を問い詰めて強引に着いて来たらしい。ドラコとしても、闇陣営が戦いに負けたことや何かで、遠慮めいた気持を持っていたようだ。私をみとめるとグレンジャーはまっすぐに近づいて来た。

「先生、生きていたのに、なぜ身を潜めていたのですか?」

グレンジャーの声に詰問とすら思える響きを感じてたじろいだ。ここしばらくの自分の行動を振り返ればなおさらだった。もちろん、命を助けてくれたグレンジャーに、もっと早くに礼を言うべきだった。だが、なぜグレンジャーは怒っているのだろう?

「グレンジャー、感謝、、」

グレンジャーの目に涙が溢れだす。驚いて言葉に詰まると、そのまま抱きつかれて茫然とした。泣いたり抱きついたりする女子生徒は目にしたことがあるが、そのようなことを私にするなど、いったいどうしたことか?ルシウスもナルシッサもドラコも、あっけにとられて見ている。

「リーマスからご無事とはきいていましたが、あんなひどい傷を負ったまま姿を消してしまって、、ハリーから聞くまで、みんなどんなに、、」

グレンジャーは、、、もしかすると、死にかけた私のことを心配していたのだ。心配したとなじっているのだ。成績は優秀だが、ポッターの援軍程度にしか考えていなかった生徒が、私を心配したと泣いている・・・。私は長年教師だったのに、生徒のことなど何もわかっていなかった。見る気もなかったのだ。特にポッターが入学してからは、ポッターを守ることしか考えていなかったから。

「グレンジャー、助けてくれて感謝している。おかげでこの通り、元気になった。」

気を取り直してようやくそれだけ言い、抱きつき癖のある生徒の肩を軽くたたいてやった。興奮が収まったのか、グレンジャーも涙を拭いて、笑顔になった。私も笑ってみせたが、グレンジャーは引かなかったから、笑顔に見えたようだ。

見ていたドラコが一歩前に踏み出し、思いきったように言い始めた。

「グレンジャー、僕もまだお礼を言ってなかった。戦いのときに、おまえたちが僕とゴイルを助けてくれた、、ありがとう。」

最後は消え入りそうな声になっていたが。グレンジャーが戸惑ったように答えた。

「クラッブは、、残念だったわね。」

ナルシッサも会話を聞いて、ドラコの肩に手を掛けながら頭を下げた。

「あなたたちがドラコを助けてくれたの?ありがとう。」

「ミス・グレンジャー」

ルシウスが言いかけると。

「ミスター・マルフォイ、あなたからはもうお礼は言われました、叫びの屋敷で。私、お礼を言ってもらおうと思って来たわけじゃありません。」

「だがドラコを助けてくれた礼はまだ言っていない。感謝する。」

「私、、叫びの屋敷に戻ってあなたを見た時驚きました。先生はもう死んじゃったと思って、私たち何もできずに立ち去ってしまった。だけど、、戻ったらあなたが必死に助けようとしていて・・。先生が元気になってくれて、よかったです、ほんとうに。」

グレンジャーはまたわずかに涙ぐんだが、皆に頭を下げて出ていった。その後をドラコが飛ぶように追いかけていった。

贖罪に心を傾けて、私は心の中の死者とばかり話していたが、そのような日々にも生者との関わりはあったのだと、グレンジャーに会って思い至った。それならば、、私には他にも会わねばならぬ者がいることを思い出した。

翌日私はウィーズリー家を訪ねた。一家はやや遠巻きな雰囲気ながら、私の無事を喜こぶ言葉をくれた。私はフレッド・ウィーズリーのお悔みを言い、ジョージ・ウィーズリーに会いたいと言ったのだが、彼は家にいなかった。今は『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』の店に寝泊まりしているという。店のほうに訪ねて、ポッターの脱出作戦の折に、誤って耳を切り落としてしまったことを詫びた。

「先生はさ、呪文は上手いけど、箒は苦手なんだな。」

「残念ながらその通りなのだ。すまないことをした。すぐに手当てしてやれればよかったのだが、あの時は任務のためにそれもできず、、」

「いいんだ。片耳にはもう慣れたから。ちょっとバランスが変わっただけさ。だけど、、双子の相棒がいなくなったのには慣れなくて、、。母さんが辛そうな顔をするんだ、僕の顔を見ると。」

「それでここに住んでいるのか?」

ジョージ・ウィーズリーはうなづき、顔を上げて言った。

「だけど先生、生きててよかったな。裏切り者だと思って悪口言っちゃってたんだけどさ、なんか悪い気がするよ。」

それぞれが傷を負い、悲しみに耐え、乗り越えようと努めている。フレッド・ウィーズリーは、きっとこの双子の弟の中に生き続けるのだろうと思う。だが、それはまだ口にできることではなかった。

「ありがとう。君も元気を出すのだ。君なら大丈夫だろうが。」


それから私はホグワーツに向かった。ミネルバが新しい校長になり、秋の新学年に向けて準備をしているはずだった。

セブルス!」

私を見るなり、ミネルバは立ち上がって駆け寄り、私の手を握った。

「よく来てくれました、セブルス。あのようにあなたを追ってしまい、、許してください。あなたとダンブルドアにすっかり騙されてしまっていたのです。」

ミネルバが後ろの肖像画を恨めしそうに振り返ると、ダンブルドアの肖像画も声をかけてきた。

「おう、セブルス、久しぶりじゃ。元気そうじゃの?ミネルバに責められて、参っておったのじゃ。」

「ミネルバ、あれは私の任務でしたし、あなたには戦い後のホグワーツを立て直してもらわなければならなかったのです。アルバス、お久しぶりです。」

ダンブルドアへの言葉は続かない。私たちはいつも話しあっていたのだが、それは戦いとポッターのことばかりだったから。

「今日は伝えることがあって来たのです、ミネルバ。もしかしたらもうご存知かもしれませんが、、マグル学のバーベッジ教授のことです。1年前に行方不明になりそのままだと思うのですが。」

「チャリティの行方を知っているのですか、セブルス?」

「はい、、残念ですが、ヴォルデモートに、殺されました。私は、助けることができませんでした。」

ミネルバが悲しみに顔をゆがめながらうなづいた。

「仕方のないことです、セブルス。できなかったのであれば、、。それで亡骸がどこにあるかは?」

バーベッジの最期を思い出す。哀れにも宙に吊られて、赤い閃光を受け、それからナギニに・・。だがそれは言う必要のないことだった。ミネルバにも、遺族にも。あのような悪夢を見る必要はない。

「亡骸は、ヴォルデモートがかたつけてしまいました。どこかに埋葬されているのでしょうが、見つけることはできないと思います。」

ミネルバは言葉の裏を推測したのかしないのか、、おそらく経験した者でなければあのような、哀しくおぞましい出来事を推測することはできないだろうが、、何度も深くうなづいていた。

「それで、セブルス、もしよければホグワーツに戻りますか?闇の魔術に対する防衛術の教授を探しているのですが、あなたが戻ってくれるのなら。」

「世の中も騒がしいですし、私が教師に向いていたとは思えません。」

突然、話題の人になった名残はまだ残っている。しばらくは公的な場所に出る覚悟はなかった。

「ではいつでもあなたの気が変わったら言ってください。私は待っていますよ。」

「ミネルバ、前のヴォルデモート消滅時もそうでしたが、スリザリン生は複雑な立場です。家に問題を抱える子も、敵視される子もいるでしょう。どうか校長として、温かい目で気を配ってやっていただきたい。」

「わかりました。留意しましょう。、、、でも、クィディッチでは容赦しませんわよ。」

ミネルバが笑って付け加え、私も笑い返した。

「では私はこれで。スラグホーン教授によろしくお伝えください。」

校長室をあとにして、私は城内を眺めながらゆっくりと歩いていった。ところどころ戦いの傷跡が残るホグワーツ。私が初めて見つけた家。リリーとともに過ごした生徒の頃。ルシウスに会い、友達ができて、、後には敵となって欺いてしまったけれど。それからダンブルドアに従い、教師として、スパイとして、人生の大半を過ごした場所。様々な思いが詰まった私の家。

校庭を横切り、湖のほとりに出た。大理石の墓に向かい、言葉を探す。ダンブルドアには、いつだって語ることがあったものだが。指示を仰ぎ、報告し、時には思いをぶつけ、傷ついた体をいたわり合い、、。

「すべて、終わりました、アルバス。」

それだけを言った。校門を出て振り返る。全てが終わり、私にもホグワーツを去る時が来たのだが、どこに向かえばよいものか?私は長年教師であったというのに、これでは進路も決まらず卒業を迎えた生徒と同じだと苦笑いした。しばらく考えたが、差し当たってルシウスの家に帰ることしか思いつかなかった。




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tag : ハリーポッター セブルス グレンジャー ドラコ

セブルス・スネイプと死の秘宝(30)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ポッターとともにダークロードの埋葬をしたことで、戦いが終わり贖罪を遂げた晴れやかな気持ちになるかと思ったのだが、むしろぽっかりと心に穴が開いたような寂寥感を感じていた。長い間、私の心はリリーの遺志で占められていたから、成し遂げたと思ったら心がカラになってしまったように感じられたのだ。

長年の目的を果たし、かろうじて生き延びられたと言うのに、バカげたことだ。だが、そう思ったところで空しさは変わらなかった。いつもリリーとダンブルドアがともにいて支えてくれたのに、死者たちは戦いが終わり、いるべき場所に帰っていってしまったのだった。

浮かない顔をしていたのは私だけではなかった。ナルシッサはぼんやりと物思いにふけりながら時折涙を拭いていたし、ドラコも寂しげな顔で窓の外を眺めていたりする。ナルシッサはベラトリックスの、ドラコはクラッブの死を思っているに違いなかった。マルフォイ邸には鬱々とした雰囲気が漂っていた。


「セヴィ、おまえまで、物うげな顔をしているのか。」

ルシウスが部屋に入って来て、ぼんやりとソファに座っていた私に話しかけた。

ルシウス。」

「やっと戦いが終わったというのに気が晴れないようだな。ポッターの世話を終えて寂しいとでも?」

「そんなわけではない。」

もしかしたらその通りなのかもしれないが、、言われると認めたくない。

「ポッターの母親が死んでから、ずっとダンブルドアのもとでポッターを守っていたのだろう?母親のために。」

私はうなづいた。

「すまない、ルシウス。あなたのことも、欺いていた。」

「そんなことは気にしていない。そうかもしれないとは思っていたのだ。」

ルシウスは私の隣に座り、顔に手を触れた。

「ナルシッサもドラコも落ち込んでいる。姉や友を失い悲しいのは当然だが、沈んでいたところで何ができるわけでもない。おまえはポッターの母親のために命がけで戦い、ベラトリックスはダークロードの寵愛を求めて戦っていた。皆それぞれの理由をもって戦い、ある者は命を落とし、ある者は生き延びたのだ。」

ルシウスの手が、私の首に巻かれていたスカーフを取り去った。ナギニに噛まれた傷跡が、醜いケロイド状に残っている。

「ひどい傷跡だ。」

私の傷跡を優しく手でなでながら、ルシウスは言葉を続けた。

「だが、おまえが生きていて、私は嬉しい。」

忘れていた喜びの感覚が、わずかに湧きあがる。

「叫びの屋敷でおまえの姿を見て、、、おまえが死んでしまったのかと思った時には、我を忘れていた。」

「あなたが、助けてくれた。」

「そうだ、私が助けたのだ、私自身のために。私はおまえのことを、、愛していたようだ。」

ルシウスの顔がゆっくりと近づいてきて、唇が傷跡を這う。

「もう体はいいのか?」

私がうなづくと、ルシウスは私の目を覗き込みながら、シャツのボタンを一つずつはずしていった。思い起こせば、ルシウスにこんなふうに愛撫されるのは、ずいぶん久しぶりだ。もう2年以上前に、ルシウスへの制裁として脱獄したデスイーターたちの暴行を受けてから、何度かぎこちない抱擁を受けただけだった。それからルシウスはアズカバンに収監されてしまったし、この1年はそれどころではなかったのだ。

私もルシウスの衣類を脱がせると、滑らかだった肌に傷跡が残っている。問いかけるように見つめると、ルシウスが答えた。

「アズカバンでやられたのだ。その後もダークロードに事あるたびに。おまえがいなかったから、きれいに治せなかったのだ。」

関わった者たちは、皆それぞれの立場で傷を負い、、ある者は命を落とし、ある者は生き延びた。私は自分の闘いに必死だったけれど、ルシウスはルシウスで懸命に戦っていたのだ。自分と家族を守るために。

傷ついた体に腕をまわして抱き寄せた。懐かしい温もり。たくましい心臓の鼓動。耳をくすぐる吐息。たしかな、生の証。私たちは、生き延びた。私たちは、生きている。戦いが終わり、死者は去ってしまったけれど、私は生者の世界に帰って来たのだ。

まったく現金なものだが、しばらくの間私たちは、互いの命を確かめるように、何度も抱き合った。偽りも計算もなく、ただ温もりと欲望に身を任せて。

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス

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