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マルフォイ邸

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


しばらくの間、私はそのように暮らした。平日はホグワーツで魔法薬学の教鞭をとり、スリザリンの寮監を務める。週末ときどきと、長い休暇はマルフォイ邸で過ごす。ホグワーツの生徒たちの出来の悪さは頭痛の種だったが、ドラコの成長を見るのは夢のようだった。

裕福な家庭で、両親の愛を一身に集めて育つドラコ。自分の子供時代を振り返ると、あまりに違いすぎて驚くばかりだ。想像すらできなかった子供時代の夢を見せてもらうようで、我がままいっぱいに振る舞うドラコが可愛かった。

ナルシッサは溺愛しているが、ルシウスは父親として愛ゆえの厳しさもある。出来の良い父親を持つとそういうことになるのだろうが、子供は少しだけ父親の期待には追いつかないものだ。いたずらや癇癪を起してはルシウスに叱られる。そして勉強も、、、ホグワーツの生徒たちを見ている私には十分優秀に思えるのだが、ルシウスの期待には達しない。

ドラコはいつの間にか、ルシウスを尊敬する父上、私のことをやさしい父親と思い込んだようで、ルシウスに怒られるたびに、泣きべそをかきながら私の部屋に駆け込んでくるようになった。私には幼い子を、将来を考えて愛をもって厳しくしつける、ような技は持ち合わせていない。そのようにされた経験がないから、加減がわからないのだ。厳しくしようと思うと、ホグワーツでやっているように、怒鳴りつけることになる。が、泣きつく可愛いドラコにそんなことはできないから、ただ黙って一緒に座っているだけである。

ドラコは子供心に父上が怒るのは自分がいたらないせいだと感じているらしく、泣きやんで気がすむと、父上に謝りに行くのに私を引っ張って連れて行く。一人では心もとないから、ルシウスの前で私の手をにぎりながら「父上、許してください」と謝るわけだ。ルシウスとナルシッサが笑いを堪えているのがわかるからドラコの手を振り放そうとするのだが、そうするとドラコはますます強く握りしめてくる。他人には見せられないが、幸福の一風景ではある。

そんなふうに幸せを感じながら、こんな幸せを、リリーは味わえなかったのだと考える。笑ったり怒ったりしながら、我が子を慈しみ成長を見守る。リリーが望み、リリーにこそふさわしい幸せだったのに。私がそれを奪ってしまったのだ。


魔法界はしだいに、闇が支配した時代のことを忘れていった。ホグワーツの生徒たちからも影が消えてゆく。平和になじみ、戦いや、戦いの英雄たちは過去のことになり、ただ「生き延びた子ハリーポッター」の名が称えられるのみだ。

しかしダークロードは必ず復活する。それを渇望する者もいるし、それに備えている者もいる。これはつかの間の平和なのだ。

私もつかの間の平和を享受し、幸せなひと時を過ごしている。しかし、この平和が、息子を守るというリリーの遺志によりもたらされたということを忘れたことはない。リリーの遺志が、私にまでも、この思いもよらぬ幸せな時間を与えたのだ。リリーの遺志を継ぐ。それが私にできる唯一の償いであり、生きる理由だ。

「マルフォイの周辺に、ダークロード復活の兆しは見えません」

長期休暇からホグワーツに戻るたび、ただちにダンブルドアに報告した。実際、ルシウスはダークロードの復活など望んでもいないし、復活すると考えてもいないと思う。ダークロードがいようがいまいが、その状況でもっともマルフォイの利にかなうよう行動するのがルシウスなのだから。


ドラコの就学が近付いてきた。ルシウスは教育の質を考えダームストラング校などもあたっていたが、ドラコが「セヴィの学校に行く」と言ってきかないので、結局ホグワーツに行くことになった。

「ホグワーツではスネイプ先生と呼ぶのだぞ」とルシウスが教えると、「スネイプって誰?」とドラコ。呆れたことにドラコは私のことを「ダディ・セヴィ・マルフォイ」だと思っていたらしい。眉をひそめたルシウスの顔を見てドラコが身をすくめ、私はこの、ややぬけた御曹司の行く末に若干の不安を覚えた。

そして、いよいよ。。。リリーの愛の守りが強くはたらく場所で守り育てられているという、ハリーポッターもホグワーツにやって来る。必ず、何があっても、その命を守りぬく。リリーの遺志を継ぎ。かなうなら、リリーのように、謙虚で勇敢に育ってほしい。身の引き締まる思いで、その日を待った。
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魔法薬学教授

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


年が明けると、年度途中で退任するというホラス・スラグホーンの後任として、魔法薬学を教えるようダンブルドアに命じられた。スリザリン寮監も兼任だ。

「子供たちの家族のことにも気配りがが必要じゃの、セブルス?」

ダンブルドアは、魔法界での信任厚いホグワーツ校長として、生徒を探れなどと明言はしない。しかしその問いかけの意味は、陰の任務として、元デスイーターの子供の多くがいるスリザリンで、闇陣営サイドの様子を探ること、そして将来的に予想されるダークロードの復活時には私がスパイとして闇陣営をスパイできるよう彼らの信頼を得ておけということだ。

大半は知能も学習意欲も低い子供たちを相手に魔法薬の真髄を教えるなど時間の無駄に過ぎないと思うが、私にほかに選択肢はない。ダンブルドアの命に従うまでだ。

スリザリン寮監の業務は、予想外に手がかかった。夢遊病の症状を現す生徒がたびたびあらわれる。親が死んだ、逮捕されてアズカバンにいる、それで母が病気に伏せた、あるいは人殺しの子供と非難されたなど、病を生むストレスには事欠かない現状なのだ。

愛するリリーを死に至らしめた絶望感を味わった私は、彼らの感じる喪失感、罪悪感に思いを馳せずにはいられなかった。私と違い、彼らには罪もないというのに。しかし私には生徒たちをやさしく慰めるなどという能力は備わっていない。できることは、夜の見回りをして、見つけた生徒をマダム・ポンフリーのもとに届けるくらいだ。せめてスリザリン生としての誇りを持たせてやりたい。そうして夜回りをしていると、グリフィンドールのいたずら坊主たちに徘徊する大蝙蝠だなどと悪口を言われる。

まったく、私に「学校の先生をやれ」など、ダンブルドアはよく考えついたものだ。私に子供の相手ができると思ったわけでもないだろうに。

そして明け方近くなってベッドに横たわると、心の中のリリーに詫び、今日の出来事を一言加えて眠りに着く。変わり映えなく、有意義とも思えないが、これが私の生活だ。

年度の終わった夏休み。ホグワーツからの外出が許可され、私はマルフォイ邸に向かった。ダンブルドアにも、ルシウスと交友を続け、動向を把握しておくことは重要だと言われている。

あとから思えば、この頃の任務は、私の希望と妙に合致していて、後に感じたような内部の葛藤のないものだった。ただ、任務があるということを言わないでおくだけで。マルフォイ邸に行くのは任務ではあるが私も生きたかったのだし、スリザリン生のめんどうをみるのも任務ではあるがそうしたい思いがあったのだから。

数か月ぶりのマルフォイ邸はかわりなく美しく、ルシウスの温かさも、ナルシッサの歓迎ぶりもあいかわらずだった。ドラコは2歳になって、言葉を発したり、走り回ったり、かと思うと突然眠りこんだりしている。闇陣営の凋落も、マルフォイ家に影響を与えることはなかったようだ。

尽きぬ話を語り明かすと称して、ルシウスと2人、部屋にこもった。言葉もない抱擁。胸に伝わる互いの心音を確かめ合うような。裏切ったのか、とも、なぜダンブルドアが私を助けたのか、とも尋ねられることはなかった。

「リリー、ここが僕の安らぎなんだ。安らぐなど許される身ではないけれど。身を捨てて君の息子を守る、その時が来るまでしばらくは。」

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ハローウィンの後2

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダンブルドアの指示で、私はホグワーツの一室に留まることになった。

デスイーターとして魔法省から手配されたが、罪状を決める評議会でダンブルドアが擁護してくれたおかげで、アズガバン収監を免れた。私の罪は何をもってしても償えないが、リリーの思い出をディメンターに吸い取られて生き続けることなど耐えがたい。ダンブルドアの恩には必ず報いねばならない。

デスイーターの一部はダークロードを探して襲撃を続けている者もあり、裏切り者として、私も追われる身だ。逮捕されるデスイーターもいたが、ダークロードの秘密主義が功を奏して、その全容はなかなか明らかにならない。沈黙を守り嵐が過ぎるのを待って身を潜めている者もいるはずだ。

皆私の元仲間たちであり、知らぬ者もいたが、一部はスリザリン時代からの友人だった。その立場から言えば、ダークロードに追随したのは、その主義主張に心から傾倒していた者ばかりではない。貧しさや、あるいは魔法界での立場の弱さから、そこにしか生きて行く場所を見いだせなかった者もいる。病気の家族を養うために力を求めたマルシベールなどには、密かに同情していた。私を含め、誤った道に進んだわけだが、ホグワーツ生徒時代、私とともにいてくれたのは彼らだけだったのだ。リリーをのぞき。

私は穴倉のようなホグワーツの一室にこもり世の喧騒を逃れていたので、予言者新聞だけが外の空気を運んで来た。ダークロードの消失に魔法界は喜びに沸き、その陰でひっそりと、いくつかの葬儀が執り行われていた。ある者は英雄という名の死者として。またある者はようやくその遺体が家族のもとに届けられ。

リリーの葬儀についても、予言者新聞で知った。もともと出席するつもりもなかったが、元デスイーターとして、公の場に行く立場ではない。「生き延びた子ハリー・ポッター」の両親、偉大なる英雄ポッター夫妻の葬儀は、多くの参列者を迎えて行われたようだ。

葬儀のとりまとめ役の名は、ポッター、エヴァンズ両家ではなく、リーマス・J・ルーピンとなっていた。

ルーピン?

私に嫌がらせするポッターとブラックとペティグリューのそばで、いつも気弱に目を伏せ、見て見ぬふりをしていた少年。人狼と知り、責める気が失せた。狼に変身するその忌まわしい姿より、自傷だらけの体でひたすら許しを求めた姿が脳裏に浮かぶ。

一人残ってしまったわけだ。意思を曲げても共にいることを選んだ3人の友を失って。それもブラックの裏切りでポッターが死に、ペティグリューたちを殺した犯人としてブラックは終身アズガバンという、最悪の結末。皮肉なものだな、ルーピン。私と同様、お前も、自分が死ねばよかったと思っていることだろう。

ポッターとともにいて、私と交友を絶った後のリリーのことも知っているはずだ。横柄なポッターなどと結婚して、リリーは幸せだったのだろうか?本質を見誤ったと後悔してはいなかっただろうか?結局のところ、ポッターの息子を産んだこと、私が予言をダークロードに伝えたこと、そしてブラックの裏切りがリリーを殺したのだ。なぜブラックなんかを信じたのだ?ヤツは5年生の時にすでに殺人を犯す資質をあらわしていたのに。。。なあ、ルーピン、どう思う?

胸の内でルーピンに語りかける自分に気づき驚いた。リリーの死後、リリー以外に語りかけるなどなかったことだった。同病相哀れむというやつだな。皮肉な笑みさえ浮かぶ。

しばらくは死んだも同然と思っていた我が身だが、認めたくはないが、一人こもって暮らすうち、少しずつ、リリーの死を認め、受け入れ、自分を生き始めているのか。

「リリー、すまない。僕は生き残ってしまった。僕は君の遺志を継いで、生きていく。必ず君の息子を守る。」

胸の中の灯の跡に語りかけ、私は浅い眠りに落ちた。


忘れられぬハローウィンの日から2カ月近くが過ぎ、この年も終わろうとしていた。ようやく魔法界も表面的には落ち着きを取り戻したようだ。

ダークロードを探し続けていたデスイーターの残党も捕らわれ、裁判も終わった。カルカロフのように仲間の名前を明かして罰を免れようとするデスイーターもいて、私の名まであげられたが、それはダンブルドアが押し切ってくれた。ただ一つの気がかりであったルシウスの名は、デスイーターとして挙がることはなかった。

ルシウスがデスイーターであることはなかば公然と語られていたことであったから、魔法省との間でなんらかの裏取引が行われたか、マルフォイ家の威光かわからないが、とにかくルシウスは難を逃れる術を知っていたと思われる。いずれにしても、私がマルフォイ家に滞在するようになってからは、婚約やら結婚やら出産やらで、ルシウスがデスイーターらしい活動をしていたのは集会に出ていたことくらいだ。襲撃のような罪に値することは、実際していなかったのかもしれない。

ダークロードは純血家系の繁栄に好意的だったから、むしろルシウスには子作りに専念しろと言わんばかりだった。名門ブラック家では、シリウスは敵サイドにいってしまったし、レギュラスはいつの間にかいなくなり直系は途絶えたようなもの。彼らの従姉たちも、長女のベラトリックスはレストレンジと結ばれたものの何年も子供ができないし、アンドロメダはマグルに嫁いだ。ナルシッサがマルフォイ家に嫁ぎ、純血名門両家をあわせて次世代が見込めるのはお前のところだけだ、などとダークロードに尻を叩かれたとルシウスがこぼしていたことさえある。それで私まで巻き込まれたものだ。

クリスマスの騒ぎにまぎれて、ルシウスにふくろう便を送った。魔法省にデスイーターの過去を知られている私からの連絡が災いを招いてはいけないと控えていたのだが。用心のため、短く用件だけを書いた。

「あれ以来、ホグワーツにいる。SS」

すぐに折り返しふくろう便が届いた。

「今はダンブルドアの元なら一番安全だ。もうしばらく留まるがよい。息子も元気だ。LM」

肩の荷が下りた。ダークロードの威力が消えた今、私のダークロードに対する裏切りなど気に留めていない、身の安全こそたいせつにしろというメッセージ。

私はルシウスの、狡猾ともいわれる功利主義に安心する。実にわかりやすく、明快だ。身近に暮らすなかで憧れや恋の幻影が薄れても、ルシウスのこのわかりやすさは居心地良く、許せてしまうのだ。ときに苦々しく思うことはあっても。正義感とか厚い友情とかを振りかざされても私にはよくわからない。「正義」などそれぞれの立場に存在するし、厚い友情は対象外への迫害になりかねない。美徳をまとうことで抗いがたくさせるうさんくささを感じる。

そして、短い伝言の中でドラコに言及したこと。これは今でも私を家族同然と思っている、ということだろう。死人のように冷え切っていた体に、少し温もりがもどるように感じられた。

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ハローウィンの後

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダンブルドアは、ソファに沈み、頭を抱えて傷ついた獣のような咆哮を続けるセブルスを、厳しい顔で見下ろしていた。ようやく見上げたその顔は、しばらく前に会ったときから100歳も老けて見えた。

「私は、、、あなたが、彼女を、、、守ってくれると思っていました。」

「彼女は、そしてジェームスは間違った人を信じたのじゃ。お前もそうだろう、セブルス?ヴァルデモート卿がリリーを見逃してくれると思ったのではないかの?」

セブルスはしゃくりをあげている。

「子供は生きておるぞ。」

うつろな顔をわずかに上げるセブルス。

「リリーの子供は生き延びた。リリーと同じ目を持った子じゃ。覚えておるだろう、リリー・エヴァンズの瞳の形と色を。」

「やめてください!リリーは、、死んでしまった。」

「自分を責めておるのか?」

「私は、、、私が死ねばよかったのに・・・」

闇の魔術に傾倒し、自ら道を誤った男だが、嘆き悲しむ姿は哀れでもあった。

ずっと若い頃、グリンデンバルトと心をあわせ、闇魔術での世界制覇の夢に溺れた結果、罪のない妹アリアナを死に至らしめた苦い思いがよみがえる。自分がアリアナを殺したのかと、やりきれぬ自責の念に駆られた日々。

もう100年以上昔のことじゃが。その後は権力に傾く自分の心をずっと戒め、近づかぬようにしてきた。この男も生涯この苦悩を背負って生きて行くことになるじゃろう。デスイーターとしてアズガバンの檻の中で。

助けてやろうか。導けば利用価値のある者じゃ。すぐれた能力と闇陣営の情報を持ち、ヴァルデモートにはない愛を知っておる。身勝手な愛情ではあるが、思いは深いようじゃ。

「それで、お前が死んで、誰に何の役に立つというのじゃ?」

ダンブルドアは冷たく言った。

「もしお前がリリー・エヴァンズを愛していたなら、心から愛していたなら、お前が進むべき道は明らかじゃ。」

セブルスは苦しみからすがる芦を見つけたように顔をあげた。ダンブルドアの言葉はゆっくりと、時間をかけてセブルスに届いたようだった。

「何をすれば?どういうことでしょうか?」

「リリーがなぜ、どのように死んだか知っておるじゃろう?それは空しい死ではなかった。息子を守ったのじゃ。リリーの意思を継ぎ、わしが子供を守ることを助けるのじゃ。」

「しかし子供に保護は必要ありません。ダークロードは消えたのですから・・・」

「ダークロードは必ず戻ってくる。そのとき、ハリー・ポッターは大きな危険にさらされるじゃろう。」

長い沈黙の後、ようやくセブルスは自分を取り戻し、呼吸を整え、ついに言った。

「よいでしょう。わかりました。しかしダンブルドア、このことは決して言わぬようお願いします。私には耐えられない、、、よりによって、ポッターの息子を守るなど。このことはここだけにとどめ、けっして言わぬと、誓いの言葉を。」

「お前のもっとも善きところを表すなというのじゃな、、どうしてもというなら。約束する。」

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ハローウィン

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。が、今回は原作にしたがった完全ネタバレを含んでいます)

一睡もできぬまま、ダンブルドアに面会を求めた。恐怖に怯えながら待つうち、ダンブルドアが現れた。ひざまずき、杖を落とす。

「殺さないでください。」

「そんなつもりはない。それでセブルス、ヴァルデモート卿から何の伝言じゃの?」

「伝言ではなく、私の意思で来たのです!警告ではなく、お願いがあってきました。どうか・・・」

恐ろしいほどの沈黙の仲、2人は顔を見合わせた。

「デスイーターがわしにどんな願いごとがあるというのじゃ?」

「予言です。トレローニーの。」

「ああ、そのことか。ヴァルデモート卿にどれだけ伝えたのじゃ?」

「すべてです!聞いたことはすべて。それで、、だからダークロードはそれがリリー・エバンズだと考えています!」

「予言に女は出てきておらん。7月末に生まれた男の子と言っておる。」

「おわかりでしょう!リリーの息子だと考えているのです。ダークロードはリリーを倒し、皆殺しに・・・」

「お前にとってリリーがそれほどたいせつなら、もちろんヴァルデモート卿は彼女を助けてくれるじゃろう?息子の命と引き換えに母親を助けてくれと頼まないのかの?」

「、、、すでに頼みました。」

「お前は実にむかつくヤツじゃ。」

心底軽蔑するようなダンブルドアの声に、私を身を縮めた。

「それではリリーの夫や息子はどうでもいいわけじゃな?お前の望みがかないさえすれば、彼らは死んでもよいと。」

「では、家族全員を隠してください。リリーを、3人を安全な場所に。どうか。」

「それで、代わりにお前は何をしてくれるというのじゃ、セブルス?」

「代わりに?」

一瞬意味がわからずダンブルドアを見上げた。大切な予言の子の危険を知らせ、保護を求めたのだ。リリーもポッターも、ダンブルドアサイドの重要なメンバーではないか。それもかわいいグリフィンドールだ。代償を与えねば助けないというのか?そんなはずはない。ではこの情報が信ずるに値するか、私を試しているのか。いや、ダンブルドアは私の心を見通しているはずだ。私は閉心術も使っていない。

ではダンブルドアは、、、。私にすべてを投げ出せと要求しているのだ。夫と子供の命と引き換えにリリーの無事を願った私という人間に、自分を差しだしその代償を払えと。

リリーの命のために差しだせぬものなどない。

「なんなりと。」


ダンブルドアに守ってもらえるなら、リリーは安全だろう。忠誠の術を用いたらしく、闇陣営では居場所を見つけられないでいる。私はダンブルドアにすべてを差しだし、つまり、完全なる裏切り者になったということだ。「裏切り者には死を。」デスイーターの掟だ。死は覚悟の上だが、リリーの命を守るには、犬死するわけにはいかない。裏切りがばれるわけにはいかないのだ。

だが、もし知られたら。ルシウスはそれでも私の味方でいてくれるだろうか?闇の陣営を裏切った私は、それでもルシウスの味方だといえるのだろうか?

デスイーター集会には緊迫感があるものの、マルフォイ邸ではあいかわらず幼いドラコを囲んで、微笑ましいともいえる暮らしが続いている。リリーもこんな日を過ごしているのだろうか?身に迫る危険に怯えていないだろうか?ルシウスはあれ以来リリーの一件には触れない。私も平静を装い、表面的には穏やかともいえる時間が流れた。

「セヴィ、ポッター一家の居所がわかったようだぞ。」ルシウスの言葉に、かろうじて動揺を抑えた。ルシウスは、襲撃時にダークロードがリリーを避けてくれると理解しているはずだ。「そうか」と軽く受け応えしながら、やはりルシウスにも真実は告げられぬと改めて思う。気が休まるときがない。覚悟の上ではあるのだが。

密かに、内部から情報が漏れているようだとダンブルドアに知らせた。きっと策を講じてくれるに違いない。なんとかリリーの命を、どうか。


私の願いがかなうことはなかった。

ハローウィンの夜、ダークロードが消えたと、襲撃に加わったデスイーターからルシウスのもとに知らせが届いた。秘密主義のダークロードは、襲撃に加わる者以外に、その計画を伏せていたのだ。いや、リリーの助けを願い出た私とルシウスにはあえて知らせなかったのかもしれない。

リリーは無事なのか?私の思いはそれだけだった。リリーさえ無事ならば、ほかはどうなろうとかまわない。

私の心を知ってか知らずか、ルシウスは夜が明けるまで、うずくまる私の肩を抱いてくれていた。

翌朝の予言者新聞の号外でリリーの死を知った私は、「情報を集めてくる」と一言を残し、ダンブルドアのもとにかけつけた。ダンブルドアが守ると言ってくれたのだと、一縷の望みを託して。

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