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スネイプとポッターと賢者の石(1)

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)



待ちに待った、と言ってよいだろう。この日のために、ホグワーツで学習意欲もない生徒たちに魔法薬学を教え、くだらないいたずらを叱り飛ばし、私のことを内心デスイーターと疑う教授たちとあいさつを交わすという日々に耐えてきたのだ。この日。命をかけて守るべきリリーの息子がホグワーツに来る。私の生きる理由が。

新入生たちが大ホールに入ってくると、私を見つけて手を振ってくるドラコに軽く笑みを送り、リリーの息子を探した。

しかし。

探すまでもなく私の目を捉えたのは、あの、二度と目にしたくない、ポッターの姿だった。私の入学式の日に、ホグワーツ特急の中で突然絡んできた憎らしい少年。なぜジェームス・ポッターがここにいるのだ?

少しでもリリーの面影をと食い入るように眺めたが、小生意気な顔も、くしゃくしゃの髪も、あのポッターそのものだ。悪夢と化したホグワーツの学生時代が走馬灯のようによみがえる。ポッターへの憎しみとともに。ただ、緑の瞳だけが、リリーのものだった。私は目をそむけた。それでも、あの少年を守ることが私の人生なのだ。「生き延びた子」などと祭り上げられて、あのポッターのように、甘やかされて、傲慢に育っているに違いない。

毎年恒例のダンブルドアのばかばかしい演説に、続く生徒たちのバカ騒ぎ。やはりあのとき死ねばよかったと思う心を、リリーの遺志を守る思いで抑え込む。とにかくあの少年の命は守らねばららない。

夜の寝室で、こみあげてくる罵りの言葉を抑え、リリーに語りかけた。

「リリー、今日君の息子に会った。君が身を呈して守ったあの子の命を、これからは僕が守り抜く。必ず。」


年度初めの薬学の時間。スリザリンとグリフィンドールの合同授業だ。まずはポッターの傲慢な性根をたたきなおさねばならぬ。英雄などともてはやされていい気になっていては、命が危険にさらされるのだ。

生徒の出欠から、気合を入れて挑んだ。誰もが英雄だと甘やかしてくれると思ったら大間違いだということを、思い知らさねばならない。ポッターの順番では、一呼吸置いて、皮肉を込めて名を呼んだ。

「おお、ハリー・ポッター、新しいセレブさん?」

出欠を取り終えて、静まり返った新入生たちに魔法薬学の繊細な美学について説明をする。ポッターの様子をみると、なんと、ノートにいたずら書きをしているではないか。

「ポッター!アスフォデルの根の粉末とニガヨモギの浸出液を混ぜるとなにができる?」

ポッターはキョトンとして答えた。

「わかりません。」

「ふん。有名だということは何の役にもたたんな。」

席に詰め寄り、重ねて質問する。隣で誰か手を上げているが、今はポッターの教育だ。

「ではポッター、次だ。ベゾアールはどこで見つけられる?」

「わかりません。」

何も知らぬようだ。予習もしていないのかとさらに問題を出すと、

「僕はわかりませんが、ハーマイオニが手を上げていますから当ててはどうですか?」

と口答えしてきた。なんという、謙虚さの欠片もない生意気な態度。さらに頭も悪い。

「ポッターの口答えで、グリフィンドール1点減点!」

学期がはじまってもこんな調子だった。父親のポッターはそれでも成績は優秀だったが、息子は頭の出来は平凡なのに、傲慢で生意気な英雄気取り、怖いもの知らずの規則破りは父親そっくりだった。

アルバスに訴えたが、他の先生はポッターのことを謙虚で人に好かれ、学業もまあまあ優秀だと言っているとなだめられた。私は偏見を持って見ているのだと。アルバスは私の評価は聞き流し、それよりクィレルに気をつけるよう言った。

クィレル。闇の魔術に対する防衛術(DADA)の教授。ターバンをして、ナヨナヨした口先ばかりの男だ。私がDADAを担当すれば、もっとポッターを、生徒たちを鍛えてやれるのに。ポッターに危害を加えぬよう、クィレルを見張っておかねばならぬ。


ハローウィンの日に事件が起きた。

クィレルが青い顔で、「トロールが地下室に出ている」と大ホールに駆け込んできたのだ。粗暴な巨漢トロールに対面しては、生徒たちが危険にさらされる。

生徒たちを監督生の指示に従ってそれぞれの寮に避難させ、教授たちはクィレルの言う地下室にトロールを探しに行った。クィレルの行動が怪しいので、私はトロールを食い止めるために即座に三階に駆け付けたのだが、、、そこには三頭犬が待ち受けていて、脚を噛まれてしまった。

大きな音に驚いて三階女子トイレに駆け付けると、そこにはポッターとグレンジャーとウィズリーがいて、トロールは倒れて気絶していた。どうやら3人とも無事でほっとした。しかし、無事だったのはよいが、ここは立ち入りを禁じられた廊下。生徒たちはそれぞれの寮に避難させたはずなにに、なぜわざわざ危険な所に来て私たちの手をわずらわせるのか。

当然減点だと思ったが、グレンジャーが2人に助けてもらったのだと言うと、グリフィンドール寮監のミネルバは得点を与えた。そういうことをするといい気になって英雄気取りで規則を破り、またも危険を呼ぶのだと思うが、私の権限ではないのでやむを得ない。

気がゆるむとともにズキズキと痛み始めた脚を引きずりながら、女子トイレをあとにした。

「リリー、今日はハローウィンだ。君もこちらに帰ってきているのかな?君の守りか、とにかく君の息子が無事でよかったよ。」
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マルフォイ邸

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


しばらくの間、私はそのように暮らした。平日はホグワーツで魔法薬学の教鞭をとり、スリザリンの寮監を務める。週末ときどきと、長い休暇はマルフォイ邸で過ごす。ホグワーツの生徒たちの出来の悪さは頭痛の種だったが、ドラコの成長を見るのは夢のようだった。

裕福な家庭で、両親の愛を一身に集めて育つドラコ。自分の子供時代を振り返ると、あまりに違いすぎて驚くばかりだ。想像すらできなかった子供時代の夢を見せてもらうようで、我がままいっぱいに振る舞うドラコが可愛かった。

ナルシッサは溺愛しているが、ルシウスは父親として愛ゆえの厳しさもある。出来の良い父親を持つとそういうことになるのだろうが、子供は少しだけ父親の期待には追いつかないものだ。いたずらや癇癪を起してはルシウスに叱られる。そして勉強も、、、ホグワーツの生徒たちを見ている私には十分優秀に思えるのだが、ルシウスの期待には達しない。

ドラコはいつの間にか、ルシウスを尊敬する父上、私のことをやさしい父親と思い込んだようで、ルシウスに怒られるたびに、泣きべそをかきながら私の部屋に駆け込んでくるようになった。私には幼い子を、将来を考えて愛をもって厳しくしつける、ような技は持ち合わせていない。そのようにされた経験がないから、加減がわからないのだ。厳しくしようと思うと、ホグワーツでやっているように、怒鳴りつけることになる。が、泣きつく可愛いドラコにそんなことはできないから、ただ黙って一緒に座っているだけである。

ドラコは子供心に父上が怒るのは自分がいたらないせいだと感じているらしく、泣きやんで気がすむと、父上に謝りに行くのに私を引っ張って連れて行く。一人では心もとないから、ルシウスの前で私の手をにぎりながら「父上、許してください」と謝るわけだ。ルシウスとナルシッサが笑いを堪えているのがわかるからドラコの手を振り放そうとするのだが、そうするとドラコはますます強く握りしめてくる。他人には見せられないが、幸福の一風景ではある。

そんなふうに幸せを感じながら、こんな幸せを、リリーは味わえなかったのだと考える。笑ったり怒ったりしながら、我が子を慈しみ成長を見守る。リリーが望み、リリーにこそふさわしい幸せだったのに。私がそれを奪ってしまったのだ。


魔法界はしだいに、闇が支配した時代のことを忘れていった。ホグワーツの生徒たちからも影が消えてゆく。平和になじみ、戦いや、戦いの英雄たちは過去のことになり、ただ「生き延びた子ハリーポッター」の名が称えられるのみだ。

しかしダークロードは必ず復活する。それを渇望する者もいるし、それに備えている者もいる。これはつかの間の平和なのだ。

私もつかの間の平和を享受し、幸せなひと時を過ごしている。しかし、この平和が、息子を守るというリリーの遺志によりもたらされたということを忘れたことはない。リリーの遺志が、私にまでも、この思いもよらぬ幸せな時間を与えたのだ。リリーの遺志を継ぐ。それが私にできる唯一の償いであり、生きる理由だ。

「マルフォイの周辺に、ダークロード復活の兆しは見えません」

長期休暇からホグワーツに戻るたび、ただちにダンブルドアに報告した。実際、ルシウスはダークロードの復活など望んでもいないし、復活すると考えてもいないと思う。ダークロードがいようがいまいが、その状況でもっともマルフォイの利にかなうよう行動するのがルシウスなのだから。


ドラコの就学が近付いてきた。ルシウスは教育の質を考えダームストラング校などもあたっていたが、ドラコが「セヴィの学校に行く」と言ってきかないので、結局ホグワーツに行くことになった。

「ホグワーツではスネイプ先生と呼ぶのだぞ」とルシウスが教えると、「スネイプって誰?」とドラコ。呆れたことにドラコは私のことを「ダディ・セヴィ・マルフォイ」だと思っていたらしい。眉をひそめたルシウスの顔を見てドラコが身をすくめ、私はこの、ややぬけた御曹司の行く末に若干の不安を覚えた。

そして、いよいよ。。。リリーの愛の守りが強くはたらく場所で守り育てられているという、ハリーポッターもホグワーツにやって来る。必ず、何があっても、その命を守りぬく。リリーの遺志を継ぎ。かなうなら、リリーのように、謙虚で勇敢に育ってほしい。身の引き締まる思いで、その日を待った。

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魔法薬学教授

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


年が明けると、年度途中で退任するというホラス・スラグホーンの後任として、魔法薬学を教えるようダンブルドアに命じられた。スリザリン寮監も兼任だ。

「子供たちの家族のことにも気配りがが必要じゃの、セブルス?」

ダンブルドアは、魔法界での信任厚いホグワーツ校長として、生徒を探れなどと明言はしない。しかしその問いかけの意味は、陰の任務として、元デスイーターの子供の多くがいるスリザリンで、闇陣営サイドの様子を探ること、そして将来的に予想されるダークロードの復活時には私がスパイとして闇陣営をスパイできるよう彼らの信頼を得ておけということだ。

大半は知能も学習意欲も低い子供たちを相手に魔法薬の真髄を教えるなど時間の無駄に過ぎないと思うが、私にほかに選択肢はない。ダンブルドアの命に従うまでだ。

スリザリン寮監の業務は、予想外に手がかかった。夢遊病の症状を現す生徒がたびたびあらわれる。親が死んだ、逮捕されてアズカバンにいる、それで母が病気に伏せた、あるいは人殺しの子供と非難されたなど、病を生むストレスには事欠かない現状なのだ。

愛するリリーを死に至らしめた絶望感を味わった私は、彼らの感じる喪失感、罪悪感に思いを馳せずにはいられなかった。私と違い、彼らには罪もないというのに。しかし私には生徒たちをやさしく慰めるなどという能力は備わっていない。できることは、夜の見回りをして、見つけた生徒をマダム・ポンフリーのもとに届けるくらいだ。せめてスリザリン生としての誇りを持たせてやりたい。そうして夜回りをしていると、グリフィンドールのいたずら坊主たちに徘徊する大蝙蝠だなどと悪口を言われる。

まったく、私に「学校の先生をやれ」など、ダンブルドアはよく考えついたものだ。私に子供の相手ができると思ったわけでもないだろうに。

そして明け方近くなってベッドに横たわると、心の中のリリーに詫び、今日の出来事を一言加えて眠りに着く。変わり映えなく、有意義とも思えないが、これが私の生活だ。

年度の終わった夏休み。ホグワーツからの外出が許可され、私はマルフォイ邸に向かった。ダンブルドアにも、ルシウスと交友を続け、動向を把握しておくことは重要だと言われている。

あとから思えば、この頃の任務は、私の希望と妙に合致していて、後に感じたような内部の葛藤のないものだった。ただ、任務があるということを言わないでおくだけで。マルフォイ邸に行くのは任務ではあるが私も生きたかったのだし、スリザリン生のめんどうをみるのも任務ではあるがそうしたい思いがあったのだから。

数か月ぶりのマルフォイ邸はかわりなく美しく、ルシウスの温かさも、ナルシッサの歓迎ぶりもあいかわらずだった。ドラコは2歳になって、言葉を発したり、走り回ったり、かと思うと突然眠りこんだりしている。闇陣営の凋落も、マルフォイ家に影響を与えることはなかったようだ。

尽きぬ話を語り明かすと称して、ルシウスと2人、部屋にこもった。言葉もない抱擁。胸に伝わる互いの心音を確かめ合うような。裏切ったのか、とも、なぜダンブルドアが私を助けたのか、とも尋ねられることはなかった。

「リリー、ここが僕の安らぎなんだ。安らぐなど許される身ではないけれど。身を捨てて君の息子を守る、その時が来るまでしばらくは。」

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ハローウィンの後2

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダンブルドアの指示で、私はホグワーツの一室に留まることになった。

デスイーターとして魔法省から手配されたが、罪状を決める評議会でダンブルドアが擁護してくれたおかげで、アズガバン収監を免れた。私の罪は何をもってしても償えないが、リリーの思い出をディメンターに吸い取られて生き続けることなど耐えがたい。ダンブルドアの恩には必ず報いねばならない。

デスイーターの一部はダークロードを探して襲撃を続けている者もあり、裏切り者として、私も追われる身だ。逮捕されるデスイーターもいたが、ダークロードの秘密主義が功を奏して、その全容はなかなか明らかにならない。沈黙を守り嵐が過ぎるのを待って身を潜めている者もいるはずだ。

皆私の元仲間たちであり、知らぬ者もいたが、一部はスリザリン時代からの友人だった。その立場から言えば、ダークロードに追随したのは、その主義主張に心から傾倒していた者ばかりではない。貧しさや、あるいは魔法界での立場の弱さから、そこにしか生きて行く場所を見いだせなかった者もいる。病気の家族を養うために力を求めたマルシベールなどには、密かに同情していた。私を含め、誤った道に進んだわけだが、ホグワーツ生徒時代、私とともにいてくれたのは彼らだけだったのだ。リリーをのぞき。

私は穴倉のようなホグワーツの一室にこもり世の喧騒を逃れていたので、予言者新聞だけが外の空気を運んで来た。ダークロードの消失に魔法界は喜びに沸き、その陰でひっそりと、いくつかの葬儀が執り行われていた。ある者は英雄という名の死者として。またある者はようやくその遺体が家族のもとに届けられ。

リリーの葬儀についても、予言者新聞で知った。もともと出席するつもりもなかったが、元デスイーターとして、公の場に行く立場ではない。「生き延びた子ハリー・ポッター」の両親、偉大なる英雄ポッター夫妻の葬儀は、多くの参列者を迎えて行われたようだ。

葬儀のとりまとめ役の名は、ポッター、エヴァンズ両家ではなく、リーマス・J・ルーピンとなっていた。

ルーピン?

私に嫌がらせするポッターとブラックとペティグリューのそばで、いつも気弱に目を伏せ、見て見ぬふりをしていた少年。人狼と知り、責める気が失せた。狼に変身するその忌まわしい姿より、自傷だらけの体でひたすら許しを求めた姿が脳裏に浮かぶ。

一人残ってしまったわけだ。意思を曲げても共にいることを選んだ3人の友を失って。それもブラックの裏切りでポッターが死に、ペティグリューたちを殺した犯人としてブラックは終身アズガバンという、最悪の結末。皮肉なものだな、ルーピン。私と同様、お前も、自分が死ねばよかったと思っていることだろう。

ポッターとともにいて、私と交友を絶った後のリリーのことも知っているはずだ。横柄なポッターなどと結婚して、リリーは幸せだったのだろうか?本質を見誤ったと後悔してはいなかっただろうか?結局のところ、ポッターの息子を産んだこと、私が予言をダークロードに伝えたこと、そしてブラックの裏切りがリリーを殺したのだ。なぜブラックなんかを信じたのだ?ヤツは5年生の時にすでに殺人を犯す資質をあらわしていたのに。。。なあ、ルーピン、どう思う?

胸の内でルーピンに語りかける自分に気づき驚いた。リリーの死後、リリー以外に語りかけるなどなかったことだった。同病相哀れむというやつだな。皮肉な笑みさえ浮かぶ。

しばらくは死んだも同然と思っていた我が身だが、認めたくはないが、一人こもって暮らすうち、少しずつ、リリーの死を認め、受け入れ、自分を生き始めているのか。

「リリー、すまない。僕は生き残ってしまった。僕は君の遺志を継いで、生きていく。必ず君の息子を守る。」

胸の中の灯の跡に語りかけ、私は浅い眠りに落ちた。


忘れられぬハローウィンの日から2カ月近くが過ぎ、この年も終わろうとしていた。ようやく魔法界も表面的には落ち着きを取り戻したようだ。

ダークロードを探し続けていたデスイーターの残党も捕らわれ、裁判も終わった。カルカロフのように仲間の名前を明かして罰を免れようとするデスイーターもいて、私の名まであげられたが、それはダンブルドアが押し切ってくれた。ただ一つの気がかりであったルシウスの名は、デスイーターとして挙がることはなかった。

ルシウスがデスイーターであることはなかば公然と語られていたことであったから、魔法省との間でなんらかの裏取引が行われたか、マルフォイ家の威光かわからないが、とにかくルシウスは難を逃れる術を知っていたと思われる。いずれにしても、私がマルフォイ家に滞在するようになってからは、婚約やら結婚やら出産やらで、ルシウスがデスイーターらしい活動をしていたのは集会に出ていたことくらいだ。襲撃のような罪に値することは、実際していなかったのかもしれない。

ダークロードは純血家系の繁栄に好意的だったから、むしろルシウスには子作りに専念しろと言わんばかりだった。名門ブラック家では、シリウスは敵サイドにいってしまったし、レギュラスはいつの間にかいなくなり直系は途絶えたようなもの。彼らの従姉たちも、長女のベラトリックスはレストレンジと結ばれたものの何年も子供ができないし、アンドロメダはマグルに嫁いだ。ナルシッサがマルフォイ家に嫁ぎ、純血名門両家をあわせて次世代が見込めるのはお前のところだけだ、などとダークロードに尻を叩かれたとルシウスがこぼしていたことさえある。それで私まで巻き込まれたものだ。

クリスマスの騒ぎにまぎれて、ルシウスにふくろう便を送った。魔法省にデスイーターの過去を知られている私からの連絡が災いを招いてはいけないと控えていたのだが。用心のため、短く用件だけを書いた。

「あれ以来、ホグワーツにいる。SS」

すぐに折り返しふくろう便が届いた。

「今はダンブルドアの元なら一番安全だ。もうしばらく留まるがよい。息子も元気だ。LM」

肩の荷が下りた。ダークロードの威力が消えた今、私のダークロードに対する裏切りなど気に留めていない、身の安全こそたいせつにしろというメッセージ。

私はルシウスの、狡猾ともいわれる功利主義に安心する。実にわかりやすく、明快だ。身近に暮らすなかで憧れや恋の幻影が薄れても、ルシウスのこのわかりやすさは居心地良く、許せてしまうのだ。ときに苦々しく思うことはあっても。正義感とか厚い友情とかを振りかざされても私にはよくわからない。「正義」などそれぞれの立場に存在するし、厚い友情は対象外への迫害になりかねない。美徳をまとうことで抗いがたくさせるうさんくささを感じる。

そして、短い伝言の中でドラコに言及したこと。これは今でも私を家族同然と思っている、ということだろう。死人のように冷え切っていた体に、少し温もりがもどるように感じられた。

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ハローウィンの後

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダンブルドアは、ソファに沈み、頭を抱えて傷ついた獣のような咆哮を続けるセブルスを、厳しい顔で見下ろしていた。ようやく見上げたその顔は、しばらく前に会ったときから100歳も老けて見えた。

「私は、、、あなたが、彼女を、、、守ってくれると思っていました。」

「彼女は、そしてジェームスは間違った人を信じたのじゃ。お前もそうだろう、セブルス?ヴァルデモート卿がリリーを見逃してくれると思ったのではないかの?」

セブルスはしゃくりをあげている。

「子供は生きておるぞ。」

うつろな顔をわずかに上げるセブルス。

「リリーの子供は生き延びた。リリーと同じ目を持った子じゃ。覚えておるだろう、リリー・エヴァンズの瞳の形と色を。」

「やめてください!リリーは、、死んでしまった。」

「自分を責めておるのか?」

「私は、、、私が死ねばよかったのに・・・」

闇の魔術に傾倒し、自ら道を誤った男だが、嘆き悲しむ姿は哀れでもあった。

ずっと若い頃、グリンデンバルトと心をあわせ、闇魔術での世界制覇の夢に溺れた結果、罪のない妹アリアナを死に至らしめた苦い思いがよみがえる。自分がアリアナを殺したのかと、やりきれぬ自責の念に駆られた日々。

もう100年以上昔のことじゃが。その後は権力に傾く自分の心をずっと戒め、近づかぬようにしてきた。この男も生涯この苦悩を背負って生きて行くことになるじゃろう。デスイーターとしてアズガバンの檻の中で。

助けてやろうか。導けば利用価値のある者じゃ。すぐれた能力と闇陣営の情報を持ち、ヴァルデモートにはない愛を知っておる。身勝手な愛情ではあるが、思いは深いようじゃ。

「それで、お前が死んで、誰に何の役に立つというのじゃ?」

ダンブルドアは冷たく言った。

「もしお前がリリー・エヴァンズを愛していたなら、心から愛していたなら、お前が進むべき道は明らかじゃ。」

セブルスは苦しみからすがる芦を見つけたように顔をあげた。ダンブルドアの言葉はゆっくりと、時間をかけてセブルスに届いたようだった。

「何をすれば?どういうことでしょうか?」

「リリーがなぜ、どのように死んだか知っておるじゃろう?それは空しい死ではなかった。息子を守ったのじゃ。リリーの意思を継ぎ、わしが子供を守ることを助けるのじゃ。」

「しかし子供に保護は必要ありません。ダークロードは消えたのですから・・・」

「ダークロードは必ず戻ってくる。そのとき、ハリー・ポッターは大きな危険にさらされるじゃろう。」

長い沈黙の後、ようやくセブルスは自分を取り戻し、呼吸を整え、ついに言った。

「よいでしょう。わかりました。しかしダンブルドア、このことは決して言わぬようお願いします。私には耐えられない、、、よりによって、ポッターの息子を守るなど。このことはここだけにとどめ、けっして言わぬと、誓いの言葉を。」

「お前のもっとも善きところを表すなというのじゃな、、どうしてもというなら。約束する。」

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ハローウィン

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。が、今回は原作にしたがった完全ネタバレを含んでいます)

一睡もできぬまま、ダンブルドアに面会を求めた。恐怖に怯えながら待つうち、ダンブルドアが現れた。ひざまずき、杖を落とす。

「殺さないでください。」

「そんなつもりはない。それでセブルス、ヴァルデモート卿から何の伝言じゃの?」

「伝言ではなく、私の意思で来たのです!警告ではなく、お願いがあってきました。どうか・・・」

恐ろしいほどの沈黙の仲、2人は顔を見合わせた。

「デスイーターがわしにどんな願いごとがあるというのじゃ?」

「予言です。トレローニーの。」

「ああ、そのことか。ヴァルデモート卿にどれだけ伝えたのじゃ?」

「すべてです!聞いたことはすべて。それで、、だからダークロードはそれがリリー・エバンズだと考えています!」

「予言に女は出てきておらん。7月末に生まれた男の子と言っておる。」

「おわかりでしょう!リリーの息子だと考えているのです。ダークロードはリリーを倒し、皆殺しに・・・」

「お前にとってリリーがそれほどたいせつなら、もちろんヴァルデモート卿は彼女を助けてくれるじゃろう?息子の命と引き換えに母親を助けてくれと頼まないのかの?」

「、、、すでに頼みました。」

「お前は実にむかつくヤツじゃ。」

心底軽蔑するようなダンブルドアの声に、私を身を縮めた。

「それではリリーの夫や息子はどうでもいいわけじゃな?お前の望みがかないさえすれば、彼らは死んでもよいと。」

「では、家族全員を隠してください。リリーを、3人を安全な場所に。どうか。」

「それで、代わりにお前は何をしてくれるというのじゃ、セブルス?」

「代わりに?」

一瞬意味がわからずダンブルドアを見上げた。大切な予言の子の危険を知らせ、保護を求めたのだ。リリーもポッターも、ダンブルドアサイドの重要なメンバーではないか。それもかわいいグリフィンドールだ。代償を与えねば助けないというのか?そんなはずはない。ではこの情報が信ずるに値するか、私を試しているのか。いや、ダンブルドアは私の心を見通しているはずだ。私は閉心術も使っていない。

ではダンブルドアは、、、。私にすべてを投げ出せと要求しているのだ。夫と子供の命と引き換えにリリーの無事を願った私という人間に、自分を差しだしその代償を払えと。

リリーの命のために差しだせぬものなどない。

「なんなりと。」


ダンブルドアに守ってもらえるなら、リリーは安全だろう。忠誠の術を用いたらしく、闇陣営では居場所を見つけられないでいる。私はダンブルドアにすべてを差しだし、つまり、完全なる裏切り者になったということだ。「裏切り者には死を。」デスイーターの掟だ。死は覚悟の上だが、リリーの命を守るには、犬死するわけにはいかない。裏切りがばれるわけにはいかないのだ。

だが、もし知られたら。ルシウスはそれでも私の味方でいてくれるだろうか?闇の陣営を裏切った私は、それでもルシウスの味方だといえるのだろうか?

デスイーター集会には緊迫感があるものの、マルフォイ邸ではあいかわらず幼いドラコを囲んで、微笑ましいともいえる暮らしが続いている。リリーもこんな日を過ごしているのだろうか?身に迫る危険に怯えていないだろうか?ルシウスはあれ以来リリーの一件には触れない。私も平静を装い、表面的には穏やかともいえる時間が流れた。

「セヴィ、ポッター一家の居所がわかったようだぞ。」ルシウスの言葉に、かろうじて動揺を抑えた。ルシウスは、襲撃時にダークロードがリリーを避けてくれると理解しているはずだ。「そうか」と軽く受け応えしながら、やはりルシウスにも真実は告げられぬと改めて思う。気が休まるときがない。覚悟の上ではあるのだが。

密かに、内部から情報が漏れているようだとダンブルドアに知らせた。きっと策を講じてくれるに違いない。なんとかリリーの命を、どうか。


私の願いがかなうことはなかった。

ハローウィンの夜、ダークロードが消えたと、襲撃に加わったデスイーターからルシウスのもとに知らせが届いた。秘密主義のダークロードは、襲撃に加わる者以外に、その計画を伏せていたのだ。いや、リリーの助けを願い出た私とルシウスにはあえて知らせなかったのかもしれない。

リリーは無事なのか?私の思いはそれだけだった。リリーさえ無事ならば、ほかはどうなろうとかまわない。

私の心を知ってか知らずか、ルシウスは夜が明けるまで、うずくまる私の肩を抱いてくれていた。

翌朝の予言者新聞の号外でリリーの死を知った私は、「情報を集めてくる」と一言を残し、ダンブルドアのもとにかけつけた。ダンブルドアが守ると言ってくれたのだと、一縷の望みを託して。

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予言

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

「予言の子が確定された。ジェームス&リリーポッター夫妻から生まれたハリーだ。居所がわかりしだい、余が自ら一家を襲撃する。」

デスイーターの集会で、ダークロードが告げた。

私は足元の大地が崩れてゆくのを感じた。リリーが。リリーが殺される・・・ダメだ!それはだけは。

『闇の帝王を倒す者が、闇の帝王に3度抗った両親から、7月に生まれる』という予言は、私自身が盗み聞きして伝えたものだった。ダークロードが将来の禍根を取り除こうとするのは予想していた。だが、よりによってリリーの息子とは。私のせいでリリーの命が危機にひんしている。

集会が終わり、デスイーターたちはそれぞれにアパレートして去っていった。残ったのは、私と、私を待つルシウスだけになった。私はダークロードのもとに行き、ひざまずいた。

「我が君」

「おう、セブルス。きいたであろう。お前の諜報により、将来の禍根を取り除くことができる。よくやった。」

「我が君、どうかこの下僕の願いを聞いてくださいますように。」

「申してみよ。」

「母親の、リリー・ポッターの命を助けていただきたくお願い申し上げます。」

「母親の命をと?理由を申せ。」

「リリーポッターは私の友人です。思いを寄せたこともありました。」

私は深く頭を垂れた。ダークロードが私の心の中を探ってくるのを感じる。閉心術を使い、裏切りにつながるほどではなく、しかし助けたいと思うのがもっともな程度の、リリーとの思い出を心に散りばめた。

「我が君、問題は赤子であり、母親ではありません。どうかセブルスの願いを聞き届けてくださいますように。」

ルシウスが言葉を添えてくれた。

「よかろう。ルシウスの言うとおり、母親は問題ではない。セブルスの願いを叶えよう。襲撃ののちには、女をその手にするがよい。」

「感謝いたします、我が君。」

アパレートしてマルフォイ邸に戻った。ルシウスがブランデーを注いでグラスを渡してくれた。

「セヴィ、飲みなさい。顔が真っ青だ。」

「ルシウス、ありがとう。助かった。」

尋ねかけるような瞳に、重い口を開いて説明する。

「リリーは私の幼馴染なんだ。もう交流はないけれど、彼女の死は耐えられない。」

ルシウスの肩にそっと顔をふせる。

「ダークロードの機嫌がよかったからよいようなものの。機嫌を損ねれば殺されかねないのだぞ。」

「それでも。リリーは守らなければ。」

「いいだろう、セヴィ。私はお前の味方だ。どんな時も。お前もそうだろう?」

「もちろん。」

夜は、眠れなかった。ダークロードがリリーを殺す場面が何度も頭をよぎる。振り払っても、振り払っても。母親は殺さないと言ってくれたが、あてにはならない。リリーが赤ん坊をかばえば、躊躇することなく死の呪文を放つだろう。焦燥感に気が狂いそうになる。

リリーを助けられるとすれば、最も偉大な魔法使いと言われるあの人しかいない。ダンブルドア。闇の陣営を裏切ることになるわけだが。ルシウスも欺くことになる。何があっても、味方でいてくれるだろうか?

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ルーピンの物語9

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

そして僕たちは、ホグワーツを卒業した。

7年前、孤独を胸に一人ホグワーツ特急に乗った僕は、思いがけず深い友情を得て巣立っていく。喜びも悲しみも、そして苦い思いも、すべては彼らとともにあった。ジェームス、シリウス、ピーター。かけがえのない、僕の友達。僕のすべて。

その頃魔法界は、闇の陣営が勢力を増し、混迷を深めていた。マグルやマグルびいきの魔法使いの誰それが、襲われたとか死体で発見されたとか行方がわからなくなったとか、そんなニュースが多くなっていた。

リリーを含め僕たち5人は、ダンブルドア先生から声を掛けられて、卒業とともに『不死鳥の騎士団』に加わった。闇陣営はたくみにその全容を隠していて、魔法省への浸入もささやかれていた。ダンブルドアが結成した『不死鳥の騎士団』は、魔法省とは別の有志の集団として、情報を集めたり、デスイーターの破壊行動を防いだり、闇陣営の勢力拡大を抑える活動をしている。

人狼は安定した職業につくのが難しい。世の中ではあいかわらず恐れられ嫌われているから、正体を知られずに長期間働くのは難しくて、農場や工場を転々とするしかなかった。そうして生計をたてながら、騎士団員として人狼のグループが闇陣営に回るのを防いだり、その実態を探ったりするのが僕の主な任務だった。もちろん、デスイーターの襲撃があったときには、他の騎士団メンバーとともに駆けつけて戦うこともある。

すっぽりとフードに身を隠したデスイーターたちは、その正体がわかりにくく、彼らの仲間内でも全メンバーを知るのはヴォルデモートだけのようだった。人々は誰がそうなのかわからない闇陣営に怯え、なりをひそめて暮らしていた。

だけど、暗い世相の中にも幸せはある。ジェームスとリリーは、卒業後まもなく結婚した。美男美女の新郎新婦に、美形のベストマン、シリウスまで加わって、盛大ではないけれど、華やかで温かい結婚式だった。皆に祝福されて、愛する女性とともに家庭を築いていく。僕には手が届きそうもないけれど、ジェームスの幸せを守っていきたいと心から思った。

その少し前に、ルシウス・マルフォイの結婚が日刊予言者新聞で報じられた。相手はナルシッサ・ブラック。シリウスの従姉だ。純血の名門どうしを結ぶその結婚のニュースに、ふとスネイプはどうしているだろうと頭をかすめ、ニュースの写真に目を凝らして見ると、なんとマルフォイのベストマンとして新郎新婦の傍らに仏頂面して映っていた。

7年生のときにリリーから又聞きした噂「スネイプはルシウスの恋人」の真偽はともかく、お気に入りであったのは事実のようだ。

そこが君の見つけた居場所なんだね。なんとなくスネイプと話したくなったのは、ホグワーツ卒業後、僕が居場所を探しあぐねていたからかもしれない。有力デスイーターと噂されるマルフォイとともにデスイーターになったのは間違いないだろうけど、そのイメージは、僕にはしっくりこなかった。たぶん、僕がスネイプの治癒呪文をきいたことがあるせいだと思う。

やがてジェームスとリリーにハリーという子供が誕生して、ジェームスの家で久しぶりにグリフィンドールの仲間が顔を揃えた。騎士団の集会などで顔を合わせることはあっても、それぞれの生活がある今は、学生時代のようにいつも4人で、というわけにはいかない。

ジェームス、リリー、ハリーのゴッドファーザーになったシリウス、それにピーター、僕。ジェームスの新居で小さなハリーを囲んで、この上ない幸せなひと時だった。ハリーを抱くリリー、それを誇らしげに見守るジェームス。大騒ぎしてリリーにたしなめられるシリウスとピーター。こんな世の中でも、人は愛し合い、子を育み、友と喜びを分かち合う。友達と過ごす安らぎに身をまかせながら、僕は、この幸せがずっと続くと信じていた。

この日のことを、あとで何度も思い返した。この幸せが、1年も過ぎないうちにああも見事に崩壊する兆しなど、どこにも見当たらない。この中にすでに裏切りの芽が潜んでいたとは、僕にはどうしても信じられない。

まもなく、騎士団の集会で、ハリーがヴォルデモートに狙われていると告げられ、ジェームス一家は安全な場所に身を隠すときかされた。そしてそのうち内部に裏切り者がいるとささやかれ始めた。僕は人狼グループの情報収集という任務を与えられて、しばらく本部から遠ざかった。ジェームスたちのことは気になったけれど、シリウスにきいても歯切れが悪く、あとで思えば、僕こそ裏切り者かと警戒されていたのだ。


そしてあの日。1981年のハローウィンの翌日。

僕はすべてを失ったと知ることになる。

忠誠の術で守られていたはずの、ゴドリックの谷にあるジェームスの自宅が、ヴォルデモートに襲撃された。幼いハリーを残してジェームスとリリーが死亡。ヴォルデモートの姿も消えた。そしてピーターとマグルを含む10名以上を殺して逃亡した裏切り者の『秘密の守人』、シリウスが捕えられ、アズカバンに送られた。

生き延びた子、ハリー・ポッターを称え、喜びに沸く魔法界。その中で一人。生き残ってしまった僕。

ダンブルドアを訪ね、事実を確認した。

「なぜ、こんなことに・・・」

「間違った人を信じてしまったのじゃ。わしも、ジェームスも。信じてはならぬ者を信じ、信ずべき者を疑った。」

「ほんとうに、シリウスが裏切ったのですか?」

ダンブルドアは肩を落としてうなづいた。

「事実がそれをあらわしておる。」

「ジェームスたちが、私のすべてでした。私は・・・私はこれからどうしたらいいのでしょう?」

「ハリーがおる。リーマス。ハリーが。ヴォルデモート卿は必ず復活する。そのときに再び危険にさらされるハリーを守るのじゃ。」

うなづいたものの、僕には進む道が見えなかった。

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ルーピンの物語8

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

それから、4人+リリーで一緒にいることが増えたけれど、リリーも僕も、スネイプに関するその会話はなかったかのようにふるまった。いや、ジェームスたちが『いたずら』をやめれば、そもそもスネイプのことはもう話題にならなかった。

ジェームスはつまり、リリーと仲の良いスネイプが気に入らなくて嫌がらせをしていたわけだ。闇の陣営は憎んでいるけれど、2人が離れたなら、へたにかまってまたリリーを怒らせるのは避けたいだろう。

シリウスは家の問題を抱えていた。純血主義で伝統的にスリザリンのブラック家の長男として、ずっと家族と争っていたらしい。だから、闇の魔法に長け、あえてスリザリンを選んだスネイプがますます気に入らなくていじめていた。家族との争いは、この休みに、シリウスが家を出てジェームスの家に滞在するという形で一応決着したらしい。気が晴れたシリウスはスネイプいじめに興味をなくしたわけだ。

といっても、グループでのいじめや嫌がらせをしなくなっただけで、2人ともスネイプと顔を合わせれば杖を向けてやりあってはいたようだ。これはもう、相性の悪い者同士のケンカといえるもので、実際僕がそのことに気づいたのは、ジェームスやシリウスが時々ケガをして、口惜しそうにスニベルスにやられたと言っていたからだ。リリーには内緒だぜとジェームスにウィンクされた。

そんなこんなで、それに年齢的にも少し大人になって落ち着いてみれば、ジェームスもシリウスもこの上なくよい友人だった。なんといっても、人狼である僕を、初めて受け入れて支えてくれた友達だ。

最悪の思い出としかいえないようなことが多い僕の人生だけど、少ないながらすばらしい思い出もあるわけで、それを与えてくれたのがこの2人だった。

僕の最良の思い出。それはホグワーツ1年も終わり頃の満月明けのことだった。医務室からふらつきながら塔に戻り、ベッドに倒れこんだ。少し休んでいると、ジェームスとシリウスが部屋に入って来た。

「体、大丈夫か?」

「うん。ありがとう。」

「リーマス、言おうかどうしようか迷ったんだけど、隠し事はやめようと思うんだ。僕たち、たぶん、君の秘密を知っているよ。」

一瞬頭が真っ白になった。いや、真っ暗だったかも。僕が人狼だと、気づいたんだ。もう終わりだ。一生懸命隠してきたのに。せっかくホグワーツに入れてもらえたのに。ダンブルドア先生に言って忘却術をかけてもらおうか。でもまた気づかれるだけだ。

覚悟を決めて、糾弾され忌み嫌われる覚悟を決めて、僕は言った。

「僕の秘密って、なんのこと?はっきり言ってほしいな。」

「リーマス、君は」

労わるような眼差しを向けて、ジェームスが続けた。

「人狼だろう?」

そうなんだ。

でも、声にならなかった。今まで、正体が明かされるたびに起こっていたことを思い出す。親切だったおじさんの顔が嫌悪に変わる。友達だった子供に石を投げられる。友達のお母さんから、うちの子に近付かないでと悲鳴をあげられる。いつだって、嫌悪と恐怖のまなざし。そして排除。

僕は小さくうなづいた。その瞬間、ジェームスが僕の肩に腕をまわした。ふわっと、抱きしめるように。

「たいへんだったね。一人で。隠すのもたいへんだっただろう?」

意味がよくわからなかった。

「うつむくことはない。よく頑張って、君はえらいよ。僕は君と友達であることを、誇りに思っている。」

向かいでシリウスが泣きながら強くうなずいていた。気がつくと僕も泣いていて、シリウスは僕の両手をしっかりと握りしめていた。

魔法界で忌み嫌われる人狼の呪い。呪いを受けた僕を抱きしめてくれる友達ができるなんて、思ってもみなかった。

それから、もう1人の仲間にも言うべきだということになって、僕が了解すると、ピーターにも事実を告げた。ある意味特別なジェームス、シリウスと違って、普通の魔法使いのピーターが受け入れてくれるか不安だったけれど、もう一人じゃない、友達ができた僕は少し勇敢になれた。3人でピーターに告げた。

ピーターは驚いて、一瞬体を退けそうになったけど、なんとか踏みとどまった感じで、それでも言ってくれたんだ。

「リーマス、かわいそうに。僕たちは何があっても友達だからね。」

一瞬の反応は、魔法界で育っていれば当然のことだ。それでも友達だと言ってくれたピーターは、特別な人じゃないだけに、勇気をふりしぼってくれたのがわかる。ピーターはやさしいんだ。

それからは、3人がカバーしてくれたから、満月前後の不調や不在を前よりずっとやり過ごしやすくなった。事実を知って受け入れてくれる友達がいると思っただけで、僕の学校生活は一変した。いっきに、明るい楽しいものになった。

その上彼らは僕に内緒で、数年かけてアニメガスになって、変身しているときも僕と一緒にいてくれた。残念ながら変身中の記憶はないけれど、変身後の体に傷が残らなくなったのをみると、狼の僕も幸せだったんだと思う。

彼ららしからぬ「スネイプいじめ」さえなければ、この上ない友達、僕の宝、僕のすべてだった。そして7年次、少し大人になって、『いたずら』もおさまった。スネイプのこと、スネイプに彼らと僕がしたことを思うとチクリと胸が痛んだけど、それより、彼らと一緒にいられることの嬉しさがまさった。

一緒にいると、ジェームスのリリーに対する献身は見ているほうが照れるほどで、笑いながらあしらっていたリリーも、徐々に心を許していった。そして、なんと、2人はつきあうようになったのだ。5年生の頃を思うとありえない展開だけど。ヒーローのジェームスと、美少女優等生のリリーは、文句のつけようのない似合いのカップルだ。

勝負の早いシーカーのジェームスだけど、リリーに関しては、粘り強く7年近くを費やして愛を勝ち得たわけだ。ヒーローの笑顔の陰で、スネイプを踏みにじったわけだけど。スネイプのことを考えると、つい、ジェームスに対して皮肉な気持ちになってしまう。自ら輝く光のようなジェームスから闇を引き出したスネイプは、それはそれですごいけど、彼自身が闇の固まりとは思えない。

スネイプはおぼろ闇の中で、小さな灯りをたいせつに守っているように思えた。僕が人狼という闇の中で、ジェームスたちの友情を灯りとして生きてきたように。スネイプの灯りは、たぶんリリーが灯したものだ。リリーを失い、今はマルフォイの傍らで、幸せそうではあるけれど。

リリーと一瞬目があった。目をそらしたのはリリーだった。

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ルーピンの物語7

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

新学年の学校に行ってすぐ気がついたのは、スネイプが明るくなったことだった。明るいスネイプというのは、なんというか、見ていて薄気味悪いものがある。もちろん、明るいと言ってもスネイプだ。ジェームスやシリウスのような、みんなの心を沸き立たせ、思わず笑ってしまうようなものではない。

ただ、ぴりぴりしたとこがなくて、眉間にしわもよっていなくて、視線の鋭さが和らいでほんわかしているというか、それに、そうだ、ローブも新しくなった。見ていてなんとなく落ち着かないけれど、いじめられているのを見ていたたまれないなんていうのよりはずっとましだった。

そして、驚いたことにスリザリン生と一緒に声を出して笑っていた。笑うスネイプ?僕はほんとうにびっくりして、無意識に目でリリーを探すと、、、一瞬目があったけれど、すぐ逸らされた。

よくわからないけど、平和なことはいいことだと自分を納得させることにして過ごしているうち、またちょっと変わったことに気がついた。リリーがジェームスと親しげに話すようになったのだ。だから当然、僕たち4人にリリーが加わることもあるようになった。ジェームスは嬉しそうで、すごくいいヤツになっている。まあ、もともとスネイプが絡まなければいいヤツだったわけだけど。

ジェームスがクイディッチの練習に行っている間に、こっそりリリーに話しかけた。

「リリー、最近ジェームスと仲よくなったんだね。」

言外に、スネイプに嫌がらせするジェームスをあんなに嫌ってたのに、という皮肉が漂っていたかもしれない。

「ええ。今までのこと反省してるって謝られた。もうセブにかまうこともなくなったし。」

「君とスネイプとは、もう?」

リリーはしずんだ顔になって、周囲を確認してから小さな声で話しだした。

「私6年の時、ずっとセブと話さなかったでしょ?でもきっとセブも反省してくれると思っていたの。『穢れた血』が」

いったん口をぎゅっと結んでから、意を決したように続けた。

「その言葉が私たちマグル出身にとってどんなにひどいことなのか、その言葉のもとにデスイーターたちのしていることがどんなに呪われたことなのか、わかってくれると思っていたのよ。だって、セブと私はマグルの町で知り合って、その時からずっと友達で、私のマグルの血をセブが貶めたことなんて一度もなかったもの。」

「そうか、君たちホグワーツに来る前から友達だったんだね。」

「うん。それで夏休みに家の近くで会って話そうと思ったの。きっとセブは反省していて、また友達に戻れると思ったから。でも会えなかった。」

「?」

「いつもの公園に何度も行ったけど会えなくて、セブの家を訪ねてみたのよ。だいたい場所はわかってたから。そうしたらセブのお母さんが、セブは帰ってないって言うの。友達の家に招かれたんだって。」

「スネイプにそんな親しい友達いたっけ?つまり、君以外に。」

「マルフォイ。ルシウス・マルフォイ。」

「ルシウス・マルフォイって、あの、5年上のスリザリンのプリンス?」

「うん。私新学期が始まってから、セブと話そうと思って。スリザリンの教室に行ってセブを呼んでって言ったら、スリザリンの女の子から、セブルスはマルフォイ先輩のお気に入りだから、もう私みたいなグリフィンドールとは話さないって言われた。マルフォイの、、、恋人だって噂なんだって。」

え?スネイプってゲイなの?

という質問が思いっきり浮かんだけど、涙ぐんでいるリリーを見てなんとか飲み込んだ。

ルシウス・マルフォイとスネイプ。頭の中で並べてみると、、意外に似合っていた。マルフォイはゴージャスな男だ。上品で自信に満ちて力強いマルフォイに、ひっそりと寄りそう細身のスネイプ。2人とも聡明で、きっと高度な闇の魔法の話でもしてるんだろと揶揄したつもりが胸が痛んで、一瞬、突き刺さるようなその痛みに驚いて目をしばたかせた。

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ルーピンの物語6

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

6年生になると、ジェームスたちの『いたずら』は、ややおさまったように見えた。シリウスは相変わらず「やろうぜ」と言うこともあるけど、ジェームスは派手に人目につくことは避けようと決めたらしい。僕らを含む4人で計画的に嫌がらせすることはなくなった。スネイプと顔を合わせれば杖を向けあっているようだけど、一対一でやり合っている分には、どっちもどっちだし、僕が居たたまれない思いをすることもない。それはいいけれど。

スネイプはたいてい一人で、にらみつけるように本を読んでいた。たまにスリザリン生と一緒にいるのを見かけるとそれはデスイーターになると言われているグループで、僕はジェームスたちの、いや、僕らのしたことが原因で、スネイプをますますそちらに追いやったのではないかと気がかりでならない。気になってたまらず、ジェームスの眼を盗んでリリーをつかまえてみた。

「ねえ、リリー、スネイプのことなんだけど、最近どうしてるか知ってる?」

「スネイプとはもう絶交したから、私は何も知らないわ。」

きっとした目で、身構えるように答える。

「だけど君はずっとスネイプの友達だったし、スネイプがあんなこと言ったのは逆上してたからだってわかってるよね?」

「リーマス、ジェームスに何を言われてきたか知らないけど私はもう」

「ジェームスに言われて来たわけじゃないよ。スネイプが、その、ちょっと心配で。」

「心配?あなたたちがスネイプを心配してるですって?」

「だから、僕だけだよ。なんか僕たちのせいでスネイプがデスイーターになってしまう気がして。」

探るような目を向けた後、リリーはふっと肩を落として言った。

「セブは闇の魔法が好きなだけなのよ。でも根は悪い人ではないわ。孤独でちょっと変わってるし、間違うこともあるけど、まじめで、まっすぐで、やさしいところだって」

「知ってるよ。だから心配してるんだ。僕には勇気がなくてジェームスたちを止められなかったけど君は・・。」

「そうよ。いつもかばってきたわ。でも、私がかばえばかばうほどセブがいじめられるから。それに、セブにも頭を冷やして考えてもらいたいの。デスイーターがマグルにどんなひどいことをしているか。だってもともと私たちは」

ちょうどジェームスたちがやって来て、リリーは口を閉じた。

「リーマス、リリーと何話してるんだよ?」

「ちょっと魔法薬学を教えてもらってたんだ。」

「エバンズと仲良くするとジェームスにやきもちやかれるぞ~」

シリウスが僕に抱きついてきながらからかって、リリーはつんと顔をそむけて去って行った。

それまでと比べると平和に時は過ぎ、去年のような大きな事件もないまま6年は終わった。

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ルーピンの物語5

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

『暴れ柳事件』は結局、何者かに襲われたスネイプを、ジェームスが命をかけて救ったという話になって終わった。

その後ジェームス、シリウスの2人とスネイプの仲が改善してくれることを願ったけれど、そんなことにはならなかった。2人はつきまとうスネイプを懲らしめたくらいに、本気で思っているようだし、スネイプは2人に殺されかけたと思っているのだから、改善するはずなかった。

2人がスネイプに『いたずら』を仕掛けるたびに、僕は前よりもっと、いたたまれない気持ちだった。2人にやられたときに、スネイプが一言、2人の仲間は人狼だと言ったら、生徒たちの一部は、いや大半が彼らを見る目は変わるだろう。ホグワーツに来る前、僕をかばってくれた人たちが、まるごと排斥されたように。

だけどスネイプは何も言わない。そのつもりかどうかは別として、僕を守っていてくれる。そして僕は、、、目を伏せるばかりだ。

数か月後のOWL試験の後、ひどいことが起こった。

ジェームスたちが、答えあわせに熱中して油断していたスネイプの杖を飛ばし、踝を空中につり上げて、おおぜいの生徒たちの面前で辱めたのだ。スネイプは抵抗もできず空中に逆さ吊りにされ、てローブの裾が堕ち、洗いざらして古びた下着が露わになった。ジェームスが「パンツも下ろそうか~?スニベルス」と言って杖を向け、集まってきた生徒たちは笑いながらどよめいた。

僕はスネイプを見ていられなかった。スネイプは僕に気づいているだろうか?グリフィンドールの監督生として、止めなきゃいけない。罰を与える権限だってあたえられているんだ。立ち上がって、立ち上がって。スネイプを守らなきゃ。だけど、どうしても立ち上がれなかった。

そのとき、リリー・エバンズが走り出て、ジェームスの杖を飛ばした。

「恥を知りなさい、ジェームス・ポッター!」

その時。

「引っこんでろ!お前みたいな『穢れた血』にかばってもらいたくなんてない!」

スネイプの叫びに、リリーは顔を歪めて走り去っていく。

ことの成行きに静まり返る生徒たち。シリウスが杖をひと振りしてスネイプを地面に落とし、みんな引き上げて行った。

振り返ると、数人のスリザリン生に助け起こされながら、スネイプがうつろな目でこちらを見ていた。たぶん、リリーの姿を追っていたのだろう。1年生のころ、よく手をつないで歩いていた、小さな赤毛の女の子と黒髪の男の子の姿が浮かんだ。たぶんスネイプは、怒りと屈辱で、一瞬我を忘れたんだと思う。

夜、一人ベッドで鬱々と考える。どうしてあんなひどいことができるんだろう?残酷なジェームスもシリウスも嫌いだ。2人に媚びてスネイプの悪口を言いたてるピーターも嫌いだ。面白がって見ていた生徒たちも。

だけど、一番嫌いなのは、弱い僕自身だ。止めるべきだった。監督生としても、スネイプの友達、そうだ、友達としても。もし僕が止めていれば、リリーが出る必要はなかったし、スネイプも逆上してリリーに暴言を吐くこともなかった。

今日の僕は、叫びの屋敷で見せた醜い獣の姿より、もっと醜かった。醜くて臆病な卑怯者だった。だけど僕はどうしても、この、初めてできた友達から離れることはできない。一人ぼっちの、人狼のリーマスに戻りたくない。

数ヶ月前の満月の翌朝、スネイプが癒してくれた傷の場所をなでてみた。スネイプは獣に変わる僕を許してくれたけれど、今日の、この卑怯な僕を許してくれることはないだろう。僕自身が許せないのだから。

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ルーピンの物語4

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)

満月が近付くと、いつも精神不安定に陥るけれど、今回は眠れず食べれず、体調も最悪だ。だけど、ジェームスたちに、叫びの屋敷には絶対近付かないようにということだけは釘を指しておいた。医務室にも来ないでほしい。あんなことがあったから、一人で過ごしたいと言うと、さすがにうなづいてくれた。

マダム・ポンフリーに頼み、しっかりと施錠してもらう。誰であっても、獣の僕に近付いてほしくないと頼むと、では医務室で待っていますから、目覚めたら必ずすぐ来るのですよと念を押して帰って行った。

僕は勇気がなくて真実を伝えることはできないけれど、せめて、二度と人間に襲いかかろうとするような真似はしたくない。何度も施錠を確認し、衣服を脱いで、部屋の隅にうずくまる。

やがて、体の奥から変身のうごめきが起きた。いつにも増して凶暴なうごめき。(肉を・・。狩るのだ、人間を)狼が怒っている。アニメガスたちと森林を駆け回った楽しい時を奪われて。




全身の痛み。血のにおい。意識があるだけ、前回よりはマシらしい。きしむ関節の痛みに耐えながら体を見ると、腕には噛み傷、胸や腹、いたる所に深い裂傷がある。あごから滴る血を拭うと、掌にべったりと血がついた。顔も首も掻き毟ったらしい。生きているところをみると、どうやら頸動脈は避けたようだ。

怒りのはけ口もなく、わが身を掻き毟る狼が、ふと哀れに思えた。医務室に行く前に、おまえの好きな森に寄ってやろう。

なんとか身なりを整え、外に出るとうっすらと雪景色。明け方から降り出したらしく、まだはらはらと雪が舞っていた。狼も雪にはしゃいでいるだろう。人影のない小路を、よろめきながら禁じられた森に向かう。ふと何かにつまづいたと思ったら、踏みとどまる力もなく倒れてしまった。ひんやりとした雪が、傷ついた体に心地よい。

僕はもう歩けないけど、狼、森に行って遊んでくるといい。禁じられた森なら人を傷つけることもない。お前だってこんな体に閉じ込められて、満月の夜には足かせをはめられ、さぞかし鬱憤がたまっているだろう。もうこれが最後だから、自由に走ってくればいい。僕はこのまま眠りたい・・・



「おい、人狼。こんな所で何をしている?一人でぶつぶつと、ついに頭もいかれたか?」

空から声が降って来た。目のわきに黒いローブのすそ。たどって行くと・・・

「ス、スネイプ!」

一瞬頭が混乱した。そうだ、変身前にスネイプの姿を見て、、、ではそのまま食い殺してしまったのか?死ぬ前に神様が許しを請うチャンスを与えてくれたのか?

スネイプ、食ってごめん。君が来るなんて、知らなかったんだ。」

「何を言っている?僕を食う夢でも見ていたのか?よほど飢えていたようだな。」

「ス、スネイプ。生きてるの?」

思わず手を伸ばしてローブのすそに触れようとすると、

「触るな!人狼」

「ほんとにスネイプだ。生きててくれたんだね、ほんとによかった、よかったよ。ありがとう」

もう、何を言っているか分からない。わからないけど、涙がこぼれていたみたいだ。そこだけ熱く、雪が溶けたから。

スネイプはしゃがみこみ、嫌そうに僕の体をあおむけに返した。シャツからにじむ血の多さにちょっと驚いたらしい。

「ひどいものだな。先月は僕がこの餌食になりかけたというわけか。」

薬草を刻んでいたあの器用な指先でシャツのボタンを開き、そのままシャツで血をぬぐっていく。大きな傷から癒しているらしい治癒呪文を聞きながら、スネイプ、できるのは闇の魔術だけじゃないんだと思う。ようやく頭がはっきりしてきた。ここできちんと謝っておかなければ。

「スネイプ、ほんとにすまなかった。ジェームスが君を助けてくれなかったらと思うと、」

「ふん。ポッターが助けたのはおまえさ。おまえと、ブラックのバカだな。」

「それから、ありがとう。僕が人狼だと言わないでいてくれて。」

「校長先生に言われたからさ。それに、、、おまえ、5歳の時に噛まれたんだってな。」

「うん。それからは周りに迷惑かけてばかりなんだよ。この前は君もひどい目に合わせてしまって。ほんとに」

「わかった。もういいから黙れ。」

しばらく治癒呪文を続けて、スネイプが言った。

「大きな傷はふさいだから、あとは医務室に行け。立てるか?」

よろけて思わずスネイプにつかまった。振り払われるかと思ったけどスネイプはそのまま突っ立っていて、それからかがんでローブを拾うと僕の肩にふわっとかけてくれた。

「スネイプ、なぜこんな時間にこんな所に?」

医務室に向かおうとしてふと尋ねると、

「摘みどきの薬草を摘みに来たんだ。」

スネイプの顔に、わずかに笑顔のような表情を浮かんだ気がした。

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ルーピンの物語3

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

2日ほど医務室で休むと、体の傷はすっかり目立たなくなった。人狼の傷の治りは早いのだ。

重い足を引きずるようにグリフィンドール塔に戻り、部屋のベッドにもぐりこむと、シリウスとジェームスがやって来た。

リーマス。すまなかった。悪気はなかったんだ。しつこいスニベルスを脅かしてやろうと思ってさ。お前がこんなことになるなんて思ってもみなかった。」

リーマス、許してやってくれよ。シリウスも反省してる。ほんとにこいつは考えなしで。」

キラキラ輝くシリウスの真剣な瞳。困ったようなジェームスの笑顔。誰も逆らえないと知っている表情だ。悪いけど僕は、いつもの気のいいリーマスにはなれなかった。僕はスネイプを食い殺すところだったのだ。

「ほんとに反省してるなら、スネイプにあやまって。」

それだけ言って、僕はベッドに潜り込んだ。軽いいたずらを、ちょっとやり過ぎた程度の気分でいる2人が、ほんとに許せなかった。悪くすれば、スネイプは死に、僕は処分され、シリウスだって殺人罪に問われるようなことだったのだ。いつも光の中心にいて、闇に落ちることなど想像すらしないこの2人が、心底うとましかったのだ。この時は。

翌朝大ホールに朝食に行くと、皆ひそひそと囁きながら、僕らとスネイプをうかがっている。スネイプは表情を消して、誰とも、スリザリンたちとさえ会話をかわさず、ただもくもくと食べていた。

「ジェームス、スリザリンのスネイプを助けたんだって?あんなに嫌ってたのに。」
意を決したように話しかけるグリフィンドール生の言葉に驚愕した。そしてジェームスとシリウスの返事にも。
「まあな。」
「ジェームスはヒーローだからさ。」

めまいを感じてうっかりフォークを落とすと、周りの視線が僕に集まるのを感じた。その瞬間・・・

だけど、ことの真実が知られたら、ここから追放されるのは僕なのだ。人を食う人狼と忌み嫌われて。
スネイプが一言もらせば、いや、考えなしのシリウスがうっかりと、あるいはシリウスをかばってジェームスが。

僕は真っ青になって震えていたようだ。隣のピーターがそっと肩に手を当てて、声をかけてくれた。
リーマス、大丈夫?具合が悪いならいっしょに医務室に行こうか?」

呼吸を整え気を取り直した時、もう僕にシリウスを責め、ジェームスをなじる勇気は消えていた。もとはといえば、僕が人狼だから起こったこと。そしてその人狼を、はじめて受け入れ友達になってくれたのがその2人なのだ。ピーターを説得して、3人でアニメ―ガスにまでなってくれた。僕に何が言えるだろう?

多少ぎくしゃくとした感じは残しながら、元通りの仲良し4人組みになった。シリウスは元気のない僕に、もっと食べろよと進めたり、ジェームスは休んでしまった分のノートを見せてくれたりする。ピーターは僕のわだかまりに気づいていたようで、何度も、シリウスは考えなしだけど根は親切だよねと励ましてくれた。

ジェームスたちも実際反省していたのか、前にも増して僕を守るようにいっしょにいて、スネイプにあやまるチャンスもない。

夜になると、毎晩スネイプの恐怖にゆがむ顔が夢に現れ、目覚めてもう一度浅い眠りにつくと、人肉を食い散らした血だらけの口元の僕がいて、離れて猟銃を構える人たちが一人一人学友の顔になり、やがてまったく眠れなくなった。

鏡を見て、我ながらやつれたと思う頃、次の満月がやってきた。

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ルーピンの物語2

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

『暴れ柳事件』、これは最悪といえる思い出がいくつもある僕の人生の中でも、最悪のものの1つだ。

シリウスは考えが足りなかっただけ。後にジェームスやピーターに何度も言われ、自分でも自分に何度も言い聞かせたけど、僕の心に大きな傷を残した。

満月の日の夕刻、僕はいつものように叫びの屋敷に行き、杖を置き服を脱いで変身を待っていた。僕が僕でなくなるのを待つ、不安で憂鬱な時間。ジェームスとシリウスとピーターがアニメガスになって、変身中の僕、つまり狼と遊んでくれるようになったから、以前のように傷だらけになることはないけれど。

仲間たちは冒険の夜だ、今夜はどこに繰り出そうと楽しみにさえしているけど、やっぱり僕には変身が楽しいなんて思えない。第一、僕自身の意識はないし、意識がないまま獣の姿になった僕が何をしでかすかと不安でならない。そろそろ満月が上るのか、体のどこからともなくざわめきが起こる。何度経験しても嫌な感触だ。

と、その時、足音が近づいて来た。まさか!なぜ?

逃げて!早く逃げて!僕は襲ってしまう!食ってしまう!思いがけない事態にひどく怯えて叫んだけれど、、、

変身の瞬間、瞳孔がスネイプの姿をとらえた。恐怖と嫌悪の入り混じった驚愕の顔。

見られた!スネイプに、醜い獣の姿を。

(人間だ。食いちぎりたい)湧きあがる狼の本能。

殺してしまう。逃げてくれ、スネイプ。早く。僕が食い殺してしまわないうちに・・・。

(うまそうな、肉のにおい)

そうだ、僕を殺してしまえ、僕が殺さないうちに・・・





覚醒しかけた意識、いつにもましてけだるい体。充満する血のにおい。目に焼きついたスネイプの驚愕の顔。
僕は彼を食い殺してしまったのか、、それとも噛んで、同じ人狼にしてしまったのか。
僕が死ねばよかった。なぜ、まだ生きている?・・・

リーマスリーマス!ああ、たいへんなことに!何があったのです?」

マダム・ポンフリー。やさしくしてもらったのに、ごめんなさい。僕はスネイプを殺してしまった。生きていてはいけないのです。

言葉に出していたのか、夢の中だったのかわからない。

「大丈夫じゃ、リーマスセブルスは無事じゃ。おお、かわいそうに、リーマス

気がつくとダンブルドア先生がのぞきこんでいた。マダム・ポンフリーも、涙を浮かべて。

「ほんとうに、スネイプは無事だったのですか?噛まれて・・・僕は噛んでいなかったのですか?」

「ああ、大丈夫じゃよ。ジェームスが寸前のところで助け出したからの。安心するがよい」

リーマス、こんなに自分を噛んで。傷ついて、血だらけで。あなたが死んでしまうかと思いましたよ。」

マダム・ポンフリーの温かい腕が僕をつつむ。だけど、僕はその温かさに、値しない。

「死ねばよかったのです。僕なんて、死んでしまえばよかったんだ」

僕は、腕を噛みさき、胸をかきむしり、ひどい状態だったらしい。

ダンブルドア先生が状況を説明してくれた。シリウスの『いたずら』に気づいたジェームスが寸前のところでスネイプを助け出し、すぐにダンブルドアに報告した。シリウスには罰を与え、スネイプは昨夜見たことは決して口外しないと約束した。だから僕は何も心配することはないのだと。

幼いころから、父も母も、僕は狼に襲われたかわいそうな被害者だと言っていた。人を襲って食おうとするのは、僕ではなくて狼なのだと。僕もずっとそう思っていた。だけど。あの時。スネイプの姿を見たあの時、湧きあがった獣の殺意。それは確かに僕のものだった。僕が狼だったのだ。同じ瞬間、スネイプもわかったに違いない。まぎれもない、このリーマスルーピンが、自分を食おうとしているのだと。

まだスネイプと僕らの仲がこんなにこじれていなかった頃、図書館で話したときのことが思い出される。薬草について説明してくれたスネイプに「すごいね、君は」と褒めると、得意げに眉をあげて、ほんの一瞬僅かに笑うような表情を浮かべた。次の瞬間には仏頂面に戻っていたけれど。スネイプも笑うんだと、二度と見ることのなかった笑顔のような表情が、嫌悪と恐怖の驚愕の顔に変わった。

謝りたい、スネイプに。人狼で悪かったと。食おうとしてごめんと。けして許してもらえないだろうけど、僕はそんなことしたくはなかったのだと、伝えたかった。

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ルーピンの物語1

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

セブルスが過去を断ち切りリリーとともに明るい未来を信じてホグワーツに向かう頃、リーマスルーピンは孤独な決意を胸に同じ電車に乗っていました。

セブルスと異なり温かい両親の愛に包まれて育ったリーマスですが、幼い時に人狼に噛まれ、以来、闇の中に生きてきました。自分とともにあることで家族までも忌み嫌われ、貧困にあえぎ、希望を持てぬ日々。

思いがけずダンブルドアからホグワーツ入学の許可を得ますが、両親の庇護を離れること、1人で誰にも正体が悟られぬよう寄宿生活を送ること、うまくやり遂げられねば自分だけでなく、家族もダンブルドアにも多大な迷惑が及ぶこと。11歳の少年には荷の重い決断でした。

ダンブルドアはリーマスの変身に備え、叫びの館と暴れ柳を準備してくれましたが、毎月の変身とその後の体の痛みを同級生たちに隠し続けることはたいへんなことです。無邪気な級友たちを横目に、彼らを傷つけること、正体を知られることを恐れ、ひたすら目立たぬように、親しくならぬようにと努めます。

しかし組分けられたグリフィンドールには、孤独をまとうリーマスをほっておかない僚友がいました。ジェームスとシリウス、そしてピーター。変身時のことは病気とごまかしていましたが、賢いジェームスたちが、リーマスの毎月の病気と、月の満ち欠けに気づくのに、さして時間はかかりませんでした。

驚くべきことに、リーマスの正体を知ったジェームスたちは、忌み嫌うことはせず、友達として温かく支えます。人狼の呪いを受け闇に落ちて以来、はじめての友達ができ、どんなに嬉しく心強かったことでしょう!リーマスにとっては見える世界が一変するほどの出来事でした。思いがけず人狼の自分にできた親友!

それも、クイディッチのヒーローで校内切っての人気者ジェームス・ポッターと、華やかな純血の名門ブラック家出身のシリウス。光り輝く2人が人狼の自分を友としてくれた喜び。そんな2人にふと感じる気遅れを、分かち合いともにいるだけでなごむようなピーター。隠し事のない友を得て、リーマスは嬉しくてたまりません。

しかし、ジェームスたちといつも一緒に過ごすうち、リーマスはこの善良で勇気ある友人たちが、忌み嫌いつけ狙う一人のスリザリン生に気づきます。

セブルススネイプ

リーマスと同じように、みすぼらしい身なりの孤独な少年。「なきみそのスニヴェルス」「あいつは闇の魔術に誰より長けているんだ」「級友みんなをバカにしている生意気なヤツ」悪口ばかり聞こえてきますが、古びて擦り切れたローブも、つきまとう孤独と闇の影も、リーマスにはわが身に染み付くなじみあるものばかりでした。

リーマスは親しみさえ感じながら、セブルスを観察する癖がついてしまいます。ジェームスやシリウスの絶え間ない雑音を掃ってみれば、髪がノートにつくほどに必死にペンを走らせる姿も、本にかじりつく姿も、理不尽ないじめに一人立ち向かう姿も、好ましく思えます。

魔法薬学の授業で薬作りのペアを組んだ時には、「お前に出来ることはジャマをしないことくらいだ」と暴言を吐かれますが、その器用な指先が材料をきざみ、鍋にかけた薬剤が美しい色に変化する様に目を見張るばかりでした。その後一人の時に図書館で話しかけると、セブルスの深い知識は驚くばかりで、いつまでも話していたい思いにかられるリーマスでした。

しかし現実には、ジェームスたちが仕掛ける『いたずら』の片棒をかつがされたり、ジェームスたちといっしょにいることでセブルスから憎しみのこもった目を向けられたりするようになってしまいます。

「なぜポッターなんかと一緒になってセブをいじめるの?セブは真面目で優秀な子なのに。」

同僚のリリー・エバンズから非難されたときも返す言葉がなく、ほんの少しだけ、ジェームスたちの友情を重荷に感じる自分に気づきます。勇気を持ってとめるべきだ、リリーのように。

やがてジェームスたちはアニメガスとなって、変身中の狼のリーマスとも時を分かち合ってくれるようになります。変身時には、牡鹿のジェームス、黒犬のシリウス、ねずみのピーターとともに叫びの屋敷を抜け出して、禁じられた森を駆け回ります。狼も幸せなので、リーマスの体への自傷行為もなく、変身の苦しみもずっと緩和されました。

涙が出るほど嬉しい友情。だけど、変身中に叫びの屋敷を抜け出すことは、人に危害を加える危険性をはらみ、恩のあるダンブルドアをも裏切ること。ほんとは、そこまでしてほしくない。けれど・・・

すべてを知って受け入れてくれる友達は、リーマスの生殺与奪を握ってもいます。怒らせるようなことをしたら、ホグワーツを追放され、ダンブルドアにも大きな迷惑をかけることになるかもしれない。つい顔色をうかがう癖がつき、スネイプいじめにも見て見ぬふりをすることになりました。

5年時になると、ジェームスたちのセブルスへのいじめは先生たちも見過ごせなくなったらしく、食い止める期待を込めて、リーマスが監督生に選ばれます。その責任を感じつつも、止める勇気を持てない自分。

ジェームスたちを追放すべく、定期的に姿を消すリーマスにセブルスが疑惑の目を向け、つけ回すようになります。

一時は、セブルスとはつきまとう闇を共有できるのではと思い、親しくなりたいと願っていたリーマスですが、心の底に宿っていたかすかな希望は、憎しみのこもったセブルスの視線の前に潰えました。そして友情には厚いけれど考えなしのシリウスがとんでもないことをしでかします。

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セブルスとルシウス10

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

ホグワーツ卒業後、ルシウスに寄りそう影のように過ごす中、セブルスルシウスに見ていた理想像と別の一面を理解するようになります。

ナルシッサを欺いてはばからぬ厚顔さ、セブルスの痛みに目をつむる冷酷さ、どちらも手放さない身勝手さ。セブルスにとって温かい喜びに満ちた初めての出来事が、ルシウスにとってはセブルスを仲間に引き入れる画策だったことにも薄々気づきます。確信犯的な功利主義。目的のために手段を選ばぬ狡猾さ。しかしだからといって憎むには、あまりにも深い絆を感じていました。

ルシウスとの関係に心悩ませつつ過ごす間にも、デスイーターとしての活動が始まっていました。ルシウスとともに、と疑いもせずデスイーターに加わったセブルスでしたが、マグルやマグルびいきの魔法使いを闇の呪文で痛めつける活動には、すぐ嫌気がさしました。そこには闇の魔法のもつ美学への探求もなく、いたずらに呪文を放って成果を喜ぶデスイーター仲間たちの野蛮さも、身をもっていじめを体験していたセブルスにはなじめるものではなかったのです。そして何より、頻繁に耳にする『穢れた血』という言葉。きくたびに、怒りと悲しみに満ちたリリーの緑の瞳を思い出し、胸が痛むのでした。

こんな思いがばれないように、セブルスは閉心術の技を磨いてゆきます。関連する思いを心にちりばめることで、開心術の名手といわれるヴァルデモートにさえ閉心術を使っていることが悟られない高度なものでした。

ヴァルもセブルスが戦闘部隊に向かないことをすぐ見抜き、スポンサーとして発言力のあるルシウスの進言もあって、セブには魔法薬の開発や、頭脳を生かした情報収集を命じます。

情報収集活動の一貫として、ホグワーツ教員の採用を申し込もうとしたセブルスは、偶然シビル・トレロニーの予言を耳にします。

「闇の帝王に抗った両親のもとに7月に生まれる男の子が闇の帝王を倒す」

これは予言の前半部だけでしたが、さっそくセブルスはヴァルに報告します。これがやがて、光と闇の戦いに大きなうねりを起こし、自身を含む多くの人の人生を根底から揺るがす悲劇につながるなど夢にも思わぬままに。

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セブルスとルシウス9

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

挙式を終えたルシウスとナルシッサは、誰もが羨むカップルとして華やかな社交生活を送ります。セブルスは時に彼らと同伴し、時に見送りながら、次第に2人を似合いの夫婦と認めてゆきます。ルシウスが訪れることもなくなったベッドで、ひとり寝の夜を寂しく感じることはあっても。

そんなある日、ルシウスに呼ばれて寝室に行くと、そこではナルシッサがハンケチで涙を拭っていました。ルシウスは珍しく怒りあらわに室内を歩きまわっています。

「どうしたのですか、2人とも?私のことなど顧みもせず楽しく暮らしていると思っていたのですが?」

セブルス、そんな嫌味を言わないで聞いてちょうだい。今日ダイアゴンアレイに買い物に行ったら、ううっ。」

「アーサー・ウィーズリーにばったり会ったのだ。」

「アーサー・ウィーズリー?」

「名前くらいはきいたことがあるだろう?マグルびいきのグリフィンドールだ。貧乏人が子供を4人もひきつれているので、育てる金もないのにたいへんだなと同情してやったのだ。」

「そしたら、モリー夫人が子宝に恵まれなくてお気の毒ねと言うのよ。彼女はお腹にもう一人宿ってるって。」

「マルフォイ家は跡継ぎができなくて気の毒だと、まるで私に子種がないかのように。。あの忌々しいグリフィンドールがっ!」

あまりの剣幕に言葉もはさめずセブルスがきいていると、

セブルス、子供ができるように助けてちょうだい。悔しくってもう買い物にも出かけられないわ。」

「助けろと言われても私に何をしろと?」

「あなたは家族も同然。わたくしたちの問題はあなたの問題でもあるでしょう?不妊治療をしてちょうだい。」

「セヴィ、3人で力をあわせて子作りにはげむのだ。」

「・・・」

こうしてセブルスは不妊治療の協力を約束させられました。男性用強壮剤、女性の排卵調整薬、健康な母体のための体操、受胎日のコントロール、受精しやすい体位など、様々な文献をあたり、薬剤を調合し、セブルスは嫌々ながらナルシッサの懐妊を全力でサポートします。

努力が実ってナルシッサに妊娠の兆候が現れた時には、喜びのあまり、さっそくベビーグッズの買い物に出かける3人でした。

子作り行為から解放されたルシウスは再びセブルスの部屋を訪れるようになり、ベッドの上で生まれてくる子供への夢を語りあったりします。


やがて月満ちてナルシッサは元気な赤ちゃんを産みました。輝く玉のような男の子。ドラコを抱えてナルシッサは、「私がママよ。こちらがパパよ。それからこちらがダディ・セブ。」とあやします。

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セブルスとルシウス8

(これは『ハリーポッター』シリーズの本・映画鑑賞後の、妄想です)

セブルスの複雑な心境をよそに、ルシウスナルシッサの結婚準備は着々と進んでゆきました。

ナルシッサは着実に物事を進めるセブルスにことのほか信頼を寄せ、買い物にはあてにならないルシウスより、セブルスを好んで連れ歩くほどに。

セブルス、わたくしね、ホグワーツに通う頃からルシウスに憧れていましたの。うふふっ」

などと、ナルシッサとっておきの打ち明け話を聞かされながら、『幸せを呼ぶ枕カバー』とか『情熱的な夜のためのランジェリー』を見て回る羽目に陥ります。

ルシウスからは結婚式のベストマンを依頼され、不実をなじるも、「ではクラッブかゴイルにでも頼めというのか?」と反撃されて撃沈。

やり場のない思いを、ある夜こっそりしのんで来たルシウスにぶつけます。裸身をベッドに横たえたルシウスの両手を拘束し、背後からその体を貫きます。両手はルシウス自身を包み込み、背後からの刺激に反応するそれを弄び。快楽に身をよじるルシウスの耳元に唇を寄せ、「僕の名前を、ルシウス、名前を呼びながらいって」

「セヴィ、セヴィ」

2人ともに果てた後、セブルスの涙をそっとぬぐうルシウス。

「セヴィ、私がこんなことを許すのはお前だけだ。もう心を乱すのはやめなさい。私のことを信じていればよいのだ。」

セブルスは変えることのできない不実な恋人を呪いつつ、そんなルシウスから離れられないことを悟ります。ルシウスを失うことは、わが身の皮膚をはぐようなこと。

ルシウスとナルシッサの結婚式の日、ナルシッサから贈られた正装に身を包み、皮肉な笑みを浮かべながらベストマンの役割を果たすセブルスでした。

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セブルスとルシウス7

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

セブルスルシウスとのラブリーな絆を胸に、ホグワーツ生徒として最後の1年を送ります。学外恋愛でしたし、セブも自分の秘密を打ち明けるような親しい交友関係を持たなかったので、周囲に知られることはありませんでした。

ルシウスは、セブルスへの熱い想い、というよりは、恋人がなすべきこととして、クリスマスやお誕生日のプレゼントを贈ったり、機会があれば2人でデートを重ねました。

セブルスは、リリーとポッターが接近するのを、寂しく、悔しく、心配しながら、強く優秀なデスイーターとなって、リリーとの友情を取り戻し、リリーを守るのだと、的外れな決意をしています。

そして1978年6月、ホグワーツ卒業とともに、ルシウスに誘われ、セブルスはデスイーターとなりました。

ホグワーツを離れ、帰る『家』を持たないセブルスに、ルシウスはマルフォイ邸のゲストルームを提供します。この豪華な邸宅で恋人とともに暮らす・・・セブルスルシウスへの一途な想いと夢を大きく膨らましたのですが。

まもなく、ルシウスから婚約者を紹介されることになります。

ナルシッサ・ブラック。スリザリンの先輩だよ。セヴィも知っているだろう?」

悪びれる風もなくしれっというルシウスに、セブルス涙の抗議。僕はあなたにとって何なのですかと。

「もちろんセヴィは私のものだ。しかし、お前にマルフォイ家の跡継ぎを産むことはできないだろう?」

ごもっともな御託に言い返す言葉が見つからないセブルス。

ナルシッサは気の善い女だ。純血旧家の出自も言うことはない。お前も大事にしてやるのだぞ。」

ルシウスとナルシッサが並ぶ姿はケチのつけようがなく似合っており・・・。

「まあ、セブルス・スネイプね。お会いするのはホグワーツ卒業以来かしら。よろしくね♪」

などと能天気に差し出された手を取り、ルシウスに目で促されて手の甲に敬意の口づけをするセブルス。

世界は自分を中心に回ると信じて疑わぬ純血のプリンス・プリンセスを前に、世界が思い通りになることなどあるはずはなかったのだと自分の人生を苦い思いで振り返るセブルスでした。

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愛しのリリー3

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

5年生になる頃には、ポッターたちの嫌がらせは我慢ならないものになっていた。リリーがグリフィンドールになじみ、スリザリンに批判的なことを言うようになってきたのも不安だった。ポッターたちの弱みをつかんで、ホグワーツから追い出したい。そうしなければ、僕は居場所を、そしてたいせつなリリーを失ってしまうかもしれない。

彼らの行動をうかがううちに、奇妙なことに気がついた。月に1回程度、夕方になるとルーピンが姿を消し、夜には他の3人の姿も消える。4人で何か悪だくみをしているに違いない。それを調べようとルーピンの後を追った結果・・・。

ルーピンは人狼で、ブラックは僕を巧妙に誘って、人狼に襲わせようとした。まずいことになると思ったポッターが直前に僕を連れ戻したのだけれど。グリフィンドールびいきの校長先生の裁定で、事実は伏せられた。ルーピンのいつも周りの顔色をうかがう弱気な態度が思い出された。正体を明かせばたいへんなことになるからそれはしかたがない。けれど、ブラックは形ばかりの罰を与えられただけで、ポッターが僕の命を救ったヒーローになったというのは、どういうことだ。

リリーまでがそう思うと考えるとたまらなかった。心配になって僕はリリーにきいた。

「僕たち、親友だよね?」

「そうよ。だけどあなたが仲良くしているエイブリ―やマルシベールは嫌い。マルシベールは友達にひどいことをしたわ。なんであんな人たちと…。」

マルシベールがしたことなんて、ほんの悪ふざけだ。ポッターたちが僕にしてきたこと。歩いている僕に突然汚れたバケツの水をぶっかけて、それからシャンプーの泡だらけにしてべったり髪を洗えと辱める、便器に顔を突っ込ませて、せき込む僕を泣きみそと嘲る。何度も何度も、一人の時を狙って。それも恥ずかしくて人に、リリーに言えないような辱めを加えて。その挙句に人狼に襲わせた。殺そうとしたんだ。

ポッターたちがやったこんなことはほんの『いたずら』で、マルシベールがやったことは忌むべき闇の魔術だなんて、僕には納得できない。リリーまでそんなふうに思うんだろうか?

人生がフェアなものだったことなどない。僕はいつも貧乏くじを引く。だけどリリーはフェアな目を持っている。説明すればわかってくれるはずだ。

「マルシベールのしたことなんてたいしたことじゃないよ。ポッターたちなんて・・」だけど、決定的な暴れ柳事件の真実は話せないから、僕は口ごもった。

「ポッターはあなたを救ったときいているわ。」

「違う。ポッターはひどい奴だ。リリーまでポッターをヒーローだなんて間違うんじゃないかと心配で。」

「ジェームス・ポッターが傲慢で嫌な奴だってことは知ってるわ。」

その一言をきいてほっとした。やっぱり、リリーはわかってるんだ。リリーがわかってくれさえしたら、他がどういおうとどうでもいい。リリーはまだ何か言っていたけれど、僕は嬉しくてもうきいていなかった。


暴れ柳事件のとき、校長先生はブラックもポッターも反省したと言ったけれど、そんなはずないことはわかっていた。だから僕も用心していたんだけど。

学年末のOWL試験のあと、答案が気になって彼らに気づくのが遅れた。そして大勢の前でひどい辱めを受けて、僕は一瞬我を忘れてしまった。助けてくれたリリーに、なぜあんなひどいことを口走ってしまったんだろう。

「穢れた血」

スリザリンでは深い意味もなくマグルのことをそう呼んでいたけれど、僕はリリーのことを「穢れた血」なんて思ったことはない。リリーは僕が知っている、唯一の美しいもの。穢れない、清涼でまっすぐな心を持った人。

叫んだ瞬間に、怒りと悲しみでゆがむリリーの顔が見えた。僕の心の中にずっと灯っていた温かい光が、ガラスのように粉々に砕けるのを見るようだった。

夜、グリフィンドール塔を訪れて、何度もリリーに謝った。そんなつもりはなかった。そんなふうに思ったことはない。屈辱で我を忘れて思わず口走ってしまっただけだ。どうか、許してほしい。リリー。リリー。

だけど、リリーは許してくれなかった。もう僕とは話したくない。顔も見たくないと。


悪いのは僕だ。あんなふうにリリーを傷つけてしまった。僕を追い詰めたポッターやブラックが憎くてたまらない。だけど。リリーが離れていったのは、ポッターたちのせいではなく、僕の放った言葉のせいだった。その直前まで、リリーは僕を守るために、ポッターに立ち向かい、勇敢に行動してくれたのだから。僕が悪かったのだ。ポッターたちに辱められ、逆上してリリーを傷つけた僕が。

何度そう思っても、どんなに悔やんでも、もう謝罪の言葉を伝える術はなかった。

それでもあきらめきれなくて、試験の後の夏休みには、何度もリリーと会った公園に行ってみた。休みで家に戻ったときは、リリーとそうして会っていたから。成績の話をしたり、クリスマス休暇には寒い中プレゼントを渡してくれた。

だけど公園にリリーが現れることはなかった。

夏休みが終わってホグワーツに帰ると、もうリリーの目に僕は見えないかのようだった。ポッターたちの目を避けて、禁じられた森の近くで、話をしたり、薬草をつんだり、教室の離れた席から目配せしたり。そんな日々はもう戻らない。

僕は研究にのめりこんだ。新しい呪文をつくっても、魔法薬の改良法を考えても、もう目を輝かせてきいてくれるリリーはいなかったけれど、心の中で砕け散った灯のかけらを少しずつ寄せ集めて、小さな種火みたいなリリーに話しかけていた。

もっと勉強して、ポッターなんかに負けない強い魔法使いになったら、きっとリリーは許してくれる。そして、リリーは闇の魔法は嫌いだから、2人でまた魔法薬をつくるんだ。そんな日は来ないかもしれないとは思ったけれど、そう思わないと耐えられなかった。

「リリー、僕は強くなる。だから許してほしい。」

毎晩話しかけるうちに、リリーもたまには幼い笑顔を見せてくれるようになった。


そして、魔力を磨いた僕を招いてくれたのは、リリーではなくて、ルシウスだった。一生懸命とりくんだ闇の呪文を褒められるのは誇らしい。それも、あの、憧れたマルフォイ先輩に。自尊心をくすぐられ、孤独が癒される。大きな胸に抱き寄せられる安心感は何物にも代えがたい。

それでも僕は、心の中のリリーのかけらに話しかけている。このリリーが消えてしまったら、僕はもう僕ではなくなると思う。

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愛しのリリー2

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

知り合った頃、リリーは魔法界のことを何も知らなかった。マグルの家族とマグルの町に住んでいたのだから当然だ。

僕の母さんは魔女だから、少しは魔法の話もしてくれた。父さんがあんなふうに怒ってばかりいなかったら、きっともっと話ができただろうと思う。母さんの実家は純血の魔法使いだったらしい。どうしてマグルの父さんと結婚したのかわからない。父さんのせいで僕はマグルが嫌いだったけれど、マグルの悪口を言うとリリーは悲しそうな顔をした。

「あたしの家族はみんなマグルなのよ。ひどいこと言わないで。」

「だって君の妹は意地悪じゃないか。」

「ペチュニアのことを悪く言わないで。」

リリーはちょっと頑固に言い張った。だけどペチュニアがいないときに、母さんからきいた魔法界やホグワーツの話をしてあげるとリリーはすごく喜んでいた。2人で魔法の話をしたり、ちょっとした魔法をかけあったりして笑いころげたものだ。

ある日僕の頬に父さんに殴られた傷跡があって、僕が父さんはマグルでひどく乱暴だと話すと、自分の両親はマグルだけどとてもやさしいと言って僕を驚かせた。そして涙ぐんでそっと傷跡に手を当ててくれた。そっと手を当てるだけで痛みが和らぐものだと、僕はそのとき初めて知った。

僕の生活はあいかわらず、暗がりの中を一人うごめくようなものだったけれど、リリーという小さな灯りがともって、そこだけぽっと明るく温かだった。

小さな灯りの向こうにはホグワーツが見えた。両親のもとを離れ、リリーと一緒にホグワーツで魔法を学ぶ。どんなに楽しいだろう。もう少し、もう少し。ホグワーツに向かうその日を、僕はどんなに待っていたかしれない。

ホグワーツ特急のコンパートメントに入って、家族との別れを悲しむリリーを慰めながら学校の話をしていると、ポッターとブラックが割り込んできた。もっとも、その時僕は彼らの名前は知らなかったけれど。

いきなり僕に絡み始めた2人に、リリーは怒って言い返し、「セブ、こんなの相手にしないで他のとこに行こう」と立ち上がった。

組分けで、リリーと違う寮になったのはとても残念だったけれど、寮が違っても僕たちは親友だった。ホグワーツでは毎日食事もできたし、ベッドも温かくて、もうどなり散らす父さんに怯えることもない。大好きな闇の魔法の勉強は物足りなかったけれど、授業ではいろんなことが学べたし、図書館には見たこともないほどたくさんの本があって、夢みたいだった。

だけどすぐ、暗い影が差し始めた。ポッターとブラックだ。初めは小さなことだった。リリーと手をつないで歩いている間を走り抜けたり、合同授業のときに、先生に見つからないように僕のノートを取って減点をくらわせたり。ルーピンとペティグリューという子分をしたがえて、4人で嫌がらせをしてくることもあった。

僕ももちろんやり返したし、りりーが気付くとかばってくれたりしたけれど、頻繁な嫌がらせはしつこく続き、学年が進むにつれて、巧妙で陰険になっていった。一人でいるときを狙って仕掛けてくることが多いので、僕は彼らが近くにいないか十分気をつけて行動しているのに、いなかった彼らが突然現れて攻撃してきたりする。いったいどんな魔法を使っているのか。

ひどい奴らなのに、ポッターはクイディッチのヒーローだし、ブラックは見た目の華やかさで、2人そろって学内切っての人気者だ。認めたくはなかったけど、僕は妬ましかった。お金持ちでいつもきれいな身なりをして、成績がよくて運動ができて人気者で、なんでも持っているのに、僕からこの上何を奪おうというのだろう。特にポッターは、リリーとの仲をジャマしようとする。僕は彼らの攻撃から身を守るために、やっと手に入れた楽しい生活を守るために、対抗できる魔法を一生懸命勉強した。

リリーと、悔しいけどポッターやブラックたちもいるグリフィンドールと、僕のスリザリンとは伝統的に仲が悪い。だけど、寮が違っても、リリーはいつも僕の味方だった。「私たちをほっておいて!」「セブにかまわないで!」リリーは何度もポッターたちに言っていた。スリザリンンをかばって同寮のグリフィンドールに立ち向かうのはきっと勇気のいることだったと思う。リリーは、正義感が強くて、勇敢で、そしてフェアな心を持っている。

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス リリー

愛しのリリー1

(これは『ハリーポッター』シリーズの本・映画鑑賞後の、妄想です)

リリー、今日、ルシウスに抱かれた。」リリーが首をかしげて僕の目を覗き込んだ


子供の頃の記憶をたどると、リリーと出会うまで、僕はほとんど口をきいた記憶がない。

思い出す一番古い記憶は、父さんに殴られたことだ。薄暗い家の中で、殴り飛ばされた僕は思いっきり壁にぶつかった。泣きながら顔を上げると、酒に酔った父が、とめようとした母さんにこぶしを上げていた。

とうさん、やめて!思わず目を閉じたとき、ガラスが砕け散る音がした。棚にあった安物のウィスキーのボトルが飛んで、父さんの頬を掠めて、床に落ちて砕け散った。頬を撫でた手のひらにちらと目をやり、

「薄気味の悪いガキだ」

父ははき捨てるように言って、部屋を出て行った。

「だから父さんの前で魔法を使うなって言ったでしょう?マグルは魔法が嫌いなんだ。」

母さんは僕に背を向けたまま、ため息をついてガラスをかたづけていた。

父はいつも酔っぱらって、怒鳴っているか、そうでなければ黙って酒を飲んでいて、僕がいると顔を歪めて目をそむけていたから、僕はできるだけ小さくなっていた。

母さんは、父がいない時には、時々家事魔法を見せてくれたり、子供のころ通っていたホグワーツの話をしたり、魔法の教科書や自分の家から持って来たという魔法の本の隠し場所を教えてくれたりしたこともあった。

だけどそれも僕がほんの小さな頃のことで、父さんがしょっちゅう家にいるようになると、母さんが仕事に出ることが多くなって、いつの間にか母さんもお酒を飲むようになっていた。酔っ払い2人でののしり合って、そのうち父さんが殴って母さんが泣きわめく。

ときには2人でつかみあって隣の部屋に消え、やがて獣の唸り声のような音が聞こえてくることもあった。こわくなって隣の部屋をのぞいたら、ベッドの上で裸でもみあっていて、僕は父さんが母さんを殺すんじゃないかと心配になった。父さんを止めようととりすがったら、壁に叩きつけられた。あとでその意味がわかったみると、嫌悪感しか感じられない。

そんなだったから、『マグルの』学校に通うようになって家から出られるとほっとしたけど、そこも大差ないことはすぐわかった。最初からなじめなかったが、ある日いじめっ子の顔にカエルを張り付けてやって、そのカエルをどんどん大きくしてやったら、薄気味悪いヤツというレッテルをはられて、みんな僕にはかかわらなくなった。僕がいても、まるでいないかのようにふるまう。

それでも学校は、殴られないだけましで、家に帰るのがいやだから、放課後には家の近所をぶらついていた。そのあたりは、僕と同じような薄汚れた身なりの大人や子供も多かったけれど、子供たちは友達と一緒にいたり、お父さんやお母さんに手をつないでもらったりしていて、1人で歩く子供の僕を見て、気味悪そうに離れるか、最初からまったく気付かないかどちらかだった。

大勢人がいても、僕だけは周囲から切り離された別世界にいるようで、だから、うちで1人でいられる時間が一番楽しかった。母さんの魔法の本を読んで、いろんな呪文を唱えてみる。父さんに殴られても跳ね返せるような呪文。殴られた傷を治す呪文。魔法の本には面白いことがいっぱい書かれていた。

ある日、川の向こう側にある公園に行ってみた。そのあたりは街並みもきれいだ。

「またへんなことして。リリーってほんと気味悪いよ。」

きいたことのあるフレーズが耳に入って、植栽の隙間からそちらをのぞいてみた。

「あたし、気味悪くないよ。ほら、お花がきれいでしょ?」

僕と同じくらいの女の子が、手のひらに載せた花を大きくして見せている。もう一人の女の子は、やだ~、気持ち悪いとか言いながら走って行ってしまった。1人残された赤毛のかわいい女の子は、走り去る女の子の背中を見ながら泣きそうな顔をしている。

魔法使いだ!僕と同じ。

その女の子に会いたくて、それから何回も同じ公園に行った。今度こそ話しかけてみようと思うけれど、そんなことしたことなかったからなかなかできなくて、それでもまた同じように「ヘンな子、いや」と言われてその女の子が1人取り残された時、思い切って話しかけてみた。

「へんじゃないよ。君は魔女なんだ。」

「え?あなたは誰?魔女って?」

驚く赤毛の女の子に、僕は手のひらを出した。近くの木に咲いていた花を呼び寄せて、手のひらで花を大きくしていく。涙ぐんでいた緑の瞳が、嬉しそうに輝いた。

「あなたもあたしと同じことができるのね!」

「うん。僕たちは特別なんだ。」

僕は少し得意になって、手のひらで大きくした花を空中に浮かせて見せた。もうひとつ、またひとつ。2人でたくさん花を浮かべて、ふわふわと飛ばした。

日が暮れてきたころ女の子が言った。

「もうおうちに帰らなきゃ。あたし、リリー。」

「僕は、セブルス。」

セブルス。セブね。また会える?」

「うん。また明日。」

その夜、ベッドに入って何度もリリーのことを思い浮かべた。公園でのことを思うと自然に頬が緩んで、たぶん『笑う』という表情が僕の顔に浮かんだのは、それが初めてだったと思う。眠りに落ちる時、心の中でつぶやいた。

「リリー、おやすみ、また明日」

眠るときに心の中で誰かに声をかけたのも、それが初めてだったと思う。そしてそれから毎晩、寝る前に心の中のリリーに声をかけるようになった。リリーにあった日も、そうでない日も。リリーに会うまで、僕は眠りにつくときどうしていたか、もう思い出せない。

リリーとはそれから何度も公園で会ったから、僕の心の中にはたくさんのリリーの表情が蓄えられていて、寝る前に声をかけると、いろんな表情を返してくれる。

「リリー、今日は父さんに殴られた」と言ってリリーの心配そうな表情が浮かぶと、少しだけ痛みが和らぐ感じがした。「リリー、今日はこんな呪文を覚えたよ」「リリー、今日はつらいことがあったんだ」「リリー、今日は」何も話すことがないときも、リリーにおやすみと言って寝る。

それは寝る前の歯磨きみたいな習慣になって、ホグワーツに入ってからもずっと続いている。

だから今日も、ルシウスの腕に抱かれているというのに、眠る前はリリーに声をかけていた。実際には5年末のOWL試験の日以来この1年というもの、リリーは話をしてくれない。教室で見かけても、こちらに視線を送ることもない。

最近は心の中のリリーも、僕のあいさつにそっけない横顔をみせるばかりだったけれど、今日は心配げに僕の目を覗き込んでくれた。だから「大丈夫。僕は幸せだよ。」ともう一声かけて、眠りに落ちた。

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セブルスとルシウス6

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画を鑑賞しての、妄想です。)

身なりを整えたセブルスが出てくると、豪華なディナーの席に案内された。育ちのいいルシウスは食す姿も優雅だが、頭の中では、食後のデザート(セブ)をどのようにいただこうかと考えいた。

ルシウスは「セヴィももう大人だ」などと言ってブランデーを勧め、食後、ほろ酔い加減のセブを寝室へといざなった。寝室の壁の大きな鏡の前に並び立ち、肩にかけた指先をセブルスの黒髪に絡め顔を寄せてゆく。セブルスは鏡に映る2人の姿を見ながら身動きできなかった。ルシウスは両手でセブルスの頬を包み、そっと唇を重ねたまま、腕をセブの背中に回し抱き寄せた。そしてそのままセブルスの背中を鏡におしつけ、なにやら呪文を唱えて両手を背側に固定してしまった。

(以下BL的性描写が含まれます)

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セブルスとルシウス5

(これは『ハリーポッター』シリーズを読んでの、妄想です)

6年生になったセブルスは、リリーから絶交された寂しさをまぎらわずため、そして、そんな羽目に陥ったのもリリーにかばってもらうような自分の弱さゆえと、強さを求めてますます闇の魔法の探求にはげみます。それが後にハリーが手にした第6巻「謎のプリンス」のプリンスのノートにあった、セクタムセンプラなどの新しい呪文や、より精度の高い魔法薬の発見につながります。

ほんとにセブは優秀なんですね。セブにとって闇の魔法は面白い研究対象であり、また自分を強くするための手段だったと思いますが、それがどのように利用されるか、悪意ある使われ方をしたときのおそろしさという面に目は向きませんでした。専門バカの技術者タイプにはありがちかもしれません。。。

こんな優秀なセブルスを、デスイーターのリクルートに励んでいたルシウスがほっておくはずありません。かわいい後輩のセブが自分を慕っていることは知っていたでしょうが、完全に手中におさめるべく策を練ります。

6年生といえば、恋に目覚めるお年頃。幼馴染みらしいグリフィンドールの赤毛に引きずられてセブが反対陣営に回るようなこともないとは言い切れません。ルシウス自身は恋に盲目になるようなタイプではありませんが、恋が破壊的なエネルギーを持ちうることは理解していました。そこで万一のこのリスクを断ち切り、完全に自分のものにするには・・・

抱いてしまうのが手っ取り早い。しかしセブルスのような自尊心の高い者に無理やりなことをすれば、かえって心を遠ざけ、敵に回してしまう危険もあります。同性であることも乗り越えなければなりません。すべてを超えて、体の奥から湧きあがる喜びを与えること。自から求めて服従してしまうほどの。

6年生の学期末休暇。ルシウスはセブルスをマルフォイ邸に招きます。豪華な屋敷に気後れしつつ、憧れの先輩との再会に胸躍らせ、得意げに新しい呪文の話に講じるセブ。楽しい時間を過ごします。

やがて夕刻が近付くと、ルシウスはディナーに着るようにと言って、白いブラウスと黒いローブをセブルスにプレゼントし、シャワーを使わせます。シャワールームには、ルシウス仕様の高級シャンプー&リンスが置いてあります。セブは意図を察して、丁寧に髪を洗うのでした^^;

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セブルスとルシウス4

少年セブの2年、3年時は、憧れの先輩ルシウスに認められ、愛する親友リリーとの仲も、敵対する寮の壁を越えて続いていたと思われます。図書館で闇の魔法の知識を深めたり、魔法薬学が得意だったリリーといっしょに調合鍋をのぞきこんだり、楽しい時間を過ごせただろうと思います。

ルシウスは優秀なセブルスをかわいがって、マルフォイ家に招いて蔵書を見せてあげたりしたこともあったんじゃないかな。マルフォイ家って闇の魔法の蔵書や、怪しげな呪いの品とか揃ってそうです。ルシウスも一人っ子ですから、頭でっかちで世間知らずのセブに対して、ちょっと弟みたいに感じてる部分もあったら嬉しいです。セブにとっては、ほしいけど持っていない全てを持っている人。美しい外貌、純血の家族、そして力。セブは親に守られない無力な子供時代を孤独に過ごしたので、力に憧れる気持ちは強かったと思います。

やがて、ルシウスは卒業。この頃からセブルスの学校生活は暗さが勝ってしまったんじゃないかと。スリザリンの中ではルシウスグループの仲間とそこそこ付き合いがあっただろうけど、セブルスの真価を認めてくれる人はもういない。グリフィンドールのいたずら坊主たちの攻撃も、年とともに陰険さを増してきて。もちろん優秀なセブルスですからそれなりに応戦して、一方的ないじめというわけではなかったでしょうが、運動神経抜群のクイディッチのヒーローが仲間とともに1人でいるときを狙って仕掛けてくれば・・・。きっと他寮にもにらみのきいたルシウスがいなくなり、つらい思いをすることが多くなったと思います。

そしてリリーとの仲もこの頃からすれ違い始めたと思われます。セブの5年時の記憶の中で、セブがリリーに親友だよね?ときき、リリーが、そうだけどセブがつるんでいる友達は嫌い、と言っています。そういう会話に至るまでに、なんか前と違うと感じることがあったはずです。リリーは真に勇気ある少女で、寮の違いやジェームスたちの嫌がらせにあっても、セブとの友情は揺らぎませんでした。でも、マグル出身のリリーにとって、マグル排斥を旨とする闇の勢力は、まさに自分の身に降りかかる脅威で、憎むべきものでした。セブがそれに組しているのは受け入れがたかったはずです。きっとリリーは何度もセブにそう伝えたと思うのですが・・・。残念ながらセブルスはまったく理解できていなかったようです。

ルシウスがいない、リリーとの距離も離れ、校内の人気者から目の敵にされていじめを受ける。再び孤独を深めるセブルス、ちょうど思春期まっさかり。

そして5年時に、大きな事件が2つ起こります。暴れ柳の出来事とOWL後の最悪の思い出。これについてはまた別の機会に語ります。

その頃ルシウスは。ホグワーツを卒業してデスイーターになりました。自ら働く必要のないお方なので、マルフォイ家のビジネスや資産管理の話をきいたりしながら、さらに力を得ることを考えていたでしょう。闇の勢力が強かったこの時期、陣営内での立場を強めるとともに勢力の増大を図ることが目標になっていたと思います。スリザリンの高学年からデスイーター候補をリクルートすることに精を出していたと思われ、、、当然セブは有力候補。

5年の終わりにリリーとの仲も断絶し、孤独を深めたセブルスの居場所はルシウスの腕の中しかありません。

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セブルスとルシウス3

スリザリン寮はどんな生徒が集まっているかというと・・・
組分け帽子の歌によれば、

「スリザリンでは真の友が得られるかも。彼らは狡猾で目的のために手段を選ばない」

狡猾な人たちの寮ってなんですか?11歳の子供集めて狡猾とラベル貼る学校っていうのはいかがなもんかと思いますが。

また、伝統的にマグルに対する差別意識が強い。寮の創始者サラザール・スリザリンは、この点で他の3人のホグワーツ創始者と袂を分けてホグワーツを去ったという曰くつき。

ちなみにハリーたちのグリフィンドールは「真の勇気を持つ」。

「真の勇気を持つ」者がセブ1人の時をねらっていじめするのか(⇒ジェームズ、シリウス)、ダンブルドアこそ目的のために手段を選ばなかったんじゃないか、とか、この組分け帽子には異論大アリですが、ともかく生徒たちはこの組分けによって生活を共にするわけです。

ルシウスはスリザリンを体現しています。名門マルフォイ家出身として家系の誇り高く、マグルに対する差別意識が強い。そして目的のために手段を選ばない野心家。

セブ入学当時のルシウスの目的は、スリザリン監督生として、より強く優位なスリザリンを目指していたんじゃないでしょうか?だから、入学式では、みすぼらしくてハーフ・ブラッドというやや微妙な新入生セブルスも温かく迎え、我がスリザリンに貢献してほしい、といったところだったんでしょうかね。

しかしセブルスは、上級生にも負けぬほど闇の魔術に長け、勉強好きで成績のよい1年生でした。きっと魔法薬とかでスリザリンの得点も稼いだはずです。ということで、みすぼらしかろうが、髪がべったりしていようが、ルシウスにとっては目をかける価値のある後輩だったと思われます。そしてルシウスが目をかけるセブルスに対して、僚友たちも一目置いたはずです。

セブルスにしてみれば、ルシウスに温かく迎えられ、目をかけられたことは嬉しかったでしょう。後にハリーが、「ヴァルデモート、スネイプ、そして自分にとってホグワーツは初めて見つけた家(HOME)だった」と言っていますが(このハリーの感性は素晴らしいです、一時嫌いになっていたハリーがまた好きになったほど)、両親にネグレクトされて寂しく育った少年セブは、ホグワーツという家で、初めて自分を認め、守ってくれる人に出会ったわけです。

(念のためですが、すべてミーシャの妄想です^^; 以下、ややBL的妄想も含まれますので嫌いな人はご注意を)

このときルシウス15歳、セブ11歳。純血名門家出身、豊かで、闇の魔術にも長け、何より力を持つ、美青年ルシウスに少年セブが憧れを抱いたことは容易に推測できます。貴公子ルシウスにまとわりついていくほどの社交性をセブは持っていなかったと思いますが、それだけに、たまに声をかけられたり、褒められて肩をたたかれたりしたら、とても誇らしく思ったに違いありません。

その年の終わり、見事、スリザリンがハウスカップを獲得。お祝い気分のまま楽しく自宅に戻る準備をする僚友たちのなか、惨めな自宅を思い浮かぬ顔のセブルスにルシウスが声をかけます。

「セヴィ、今年はよく頑張ったね。君は一番優秀な1年生だった。」

思い描いていた薄暗い家と、対照的なまばゆいルシウスの姿。思わず瞬くセブルスを、そっと抱き寄せ軽く額に口づける。ルシウスにとっては、ほんの気まぐれ。

でもセブルスにとって、温かく自分を包む大きな体、静かな呼吸に合わせて動く人の胸、額に触れる柔らかい唇の感触・・・、すべて記憶にない、心震える喜びでした。

固まってぎこちないセブルスの反応に、あきれたような笑みを浮かべてルシウスは言います。
「セヴィ、楽しい夏休みを。」
「マ、マルフォイ先輩も。」
かろうじて答え、プラチナブロンドをなびかせて立ち去るルシウスの後ろ姿をいつまでも目で追う少年セブでした。

*****
セブルスもね、きっとお母さんに抱っこされたことはあると思います。ローリングさんがインタビューで、「スネイプは愛されたことがあるだけ罪深い」と言ったことがあったと思いますが、これは母親のことだと思います。同じように魔法使いの母とマグルの父のハーフとして生まれ、ホグワーツに来るまで家のなかったヴァル、セブですが、夫に去られ子を捨てて自死したヴァルの母と違い、セブは母親に育てられたはずです。抱っこして、おっぱいあげて、何度もキスしてあげたと思います。セブが物心つく頃には、貧困と夫との不仲で、母アイリーンはセブに構う余裕がなくなってしまったのですね。だから、記憶にはなくても、抱っこの向こうに愛を感じることができる少年だったと思います。

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tag : ルシウス セブルス スネイプ ハリーポッター

セブルスとルシウス2

ハリーポッターは、ほぼハリーの視点から書かれた物語なので、当然のことながらセブルスが少年時代はわずかしか描かれません。

第5巻でハリーがスネイプ先生から閉心術を受けているときにのぞいたペンシーブのスネイプ最悪の思い出。これは意図せずに伝えられた事実です。

第7巻、プリンスの物語でセブルスが死の直前にハリーに渡した記憶の一部。これも事実そのままですが、セブルスがダンブルドアの意思をハリーに伝えるために選んで見せた出来事です。

それ以外はダンブルドアやルーピン、シリウスがそれぞれの認識を、ハリーの心を傷つけないよう気をつかいながら伝えたものです。

というわけで、少年セブがどのような学生生活を送ったのか垣間見れるのは、

・入学時、ホグワーツ特急のコンパートメントでリリーと話すセブルス、そこに乱入してセブを貶めるジェームズ&シリウス。彼らを嫌がりセブをかばうリリー。

・帽子の組み分け場面。グリフィンドールに組み分けされセブを振り返りながら席に向かうリリー、続くシリウス、ジェームズ、ルーピン、ピーター。スリザリンに組み分けされリリーと反対側のスリザリン席に行くセブルス。監督生のバッジをつけセブの背中を軽く叩きながら隣に座るルシウス

・大きくなったセブとリリー。僕たち、親友だよね?というセブに、そうだけど、セブが一緒にいるエイブリーやマルシベールは嫌いだとリリーが答えます。マルシベールが闇の魔法を使ったことを非難するリリーに対して、ジェームズたちの悪口を言い始めるセブルス。この場面はもっと続きルーピン人狼事件など絡みますがこれは別に語るとして、、、スリザリンとグリフィンドールに分かれ、時とともにかみ合わなくなってきたセブ&リリーがうかがわれます。セブのリリーへの思いは溢れてますけどね。

・そして、「スネイプ最悪の思い出」ですでにハリーが見ていた、ジェームズ&シリウスによる生徒たちの面前でのセブいじめ。しかしそれがスネイプ最悪の思い出となったのは、かばってくれたリリーに対して、屈辱と怒りから「穢れた血」と叫んでしまったことでした。

・この後、セブは必死にリリーに謝りますが、許しは得られず絶交されてしまいます。

以上、セブルスが死の直前にハリーに渡した記憶の、学生時代の部分です。セブルスが伝えるダンブルドアからハリーへの伝言をハリーに信じてもらうために渡した記憶なので、当然リリーがらみなわけで。

少年セブ@スリザリンの様子は、入学時にルシウスが温かく迎えたこと、そして5年次にはエイブリーやマルシベールと仲良くつるんでいたことしかわかりません。

少年セブは5年生まで、リリーとの交友を続けるかたわら、スリザリンの友達とも仲良くしていたわけですね。エイブリ―もマルシベールも後にデスイーターになっており、少年セブが後のデスイーターの大物ルシウスのグループの中
で過ごしたことがうかがわれます。

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス

セブルスとルシウス 1

ハリーポッターの物語全体を通して、セブルスには温もりのある人間的なふれあいというものが著しく欠けていると感じられます。例外といえるのがリリーとダンブルドアでした。幼い頃リリーとは手をつないだりじゃれあったりしたこともあったでしょう。それはパトローナスに表れるように、生涯セブルスの魂を守る灯りでした。

ダンブルドアは任務と引き換えに庇護を与えました。セブルスに対するダンブルドアの信頼は強いものでしたが、ダンビーは大いなる計画のために生きる人であって、ハリーを除いてはあまり個人的な感情に揺さぶられる人ではありません。セブルスはもっと父性的なものをダンビーに求めていたと思いますが、十分満たされることはなかったように思われます。

いずれにせよ、その大切な2人の死に、殺害する側として関わることになってしまったのは痛ましいことです。

こんなセブルスに温もりを!と求めて思いつくのが、マルフォイファミリーです^^

セブルスのホグワーツ入学のとき、振り分け帽でスリザリンに振り分けられ、先にグリフィンドールに振り分けられていたリリーを振り返りながら席に着いたセブルスを、温かく迎えたのが当時スリザリン監督生のルシウスマルフォイでした。

寂しげな少年セブの肩に置かれた温かい大きな手。

ルシウスは冷血そうですが、セブルスには温かかったと信じたい(妄想です^^;)

望んで入った寮ですが、純血の多いスリザリンの中に、スネイプというマグル姓を持つ少年セブがすんなりなじめたとは思えません。内向的で意固地な感があり、闇の魔術において誰より優れていると自負した貧しい少年というキャラクターは、スリザリン仲間からも煙たがられる面があったと思います。

それがやがてなじんでいけたのは、ルシウスの庇護があったからだと思うのです。

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス マルフォイ

ハリーポッター賢者の石 の前

セブルスは「ハリーポッターと賢者の石」でホグワーツに入学してきたハリーと初対面するわけですが、それまで約10年ほども、ホグワーツの薬学教授として過ごしていたはずです。

ヴァルデモート勢の力は衰え、平和な世の中。ダンブルドアの庇護のもと、ホグワーツ教授職という制約はあっても、セブルスにもそこそこ幸せをみつけるチャンスがあった時期のはずです。

寂しくて苦しいことばかりだったようなセブルスの人生ですが、物語の中でほとんど触れられていないこの時期を、セブルスがどう過ごしたか妄想してみます^^

1981年10月31日、ハリーに放ったアバダケダブラをリリーに跳ね返され、ヴァルデモートは体を失い、その勢力は凋落します。セブルスの努力もむなしく、リリーも命を落としました。

「私も死にたい」と嘆くセブルスを、ダンブルドアは、君の死が何になるのじゃ?生きているリリーの息子を守るのじゃと諭します。そして裁判で、セブルスはデスイーターだったがヴァルデモート凋落の前にこちらの味方になっていたと証言して守ります。

このときダンビーにどのような思惑があったにせよ、おかげでセブルスはアズガバン行きを免れました。

他の面々はどうなったかというと・・・

ダンブルドアサイドにいたセブルス同級生たちは、
●ジェームス・ポッター ヴァルにより殺害(享年おそらく21歳)
●リリー・ポッター ヴァルにより殺害(享年おそらく21歳)
●シリウス・ブラック ポッター夫妻殺害の原因となりマグルを含む殺人犯としてアズガバンに収監。第3巻で脱獄するまで12年ほどをアズガバンで過ごす。
●ピーター・ペティグリュー 裏切ってついたヴァルの凋落で行き場をなくし、アニメガスのネズミの姿でウィーズリー家のペットとして12年ほどを過ごす。第3巻で正体がバレる。
●リーマス・ルーピン 第3巻でホグワーツの闇の魔法対抗術の教授に就任するまで、12年ほどの生活は不明ながら、人狼として、また親しい友人をいっきに失い、貧しく寂しく放浪していたと推測される。

ヴァルデモートサイドでは、ベラトリックス・レストレンジはじめ有力なデスイーターの多くがアズガバンに収監され、ヴァル復活時に集団脱獄するまで14年ほどをアズガバンで過ごしています。

彼らの境遇に比べ、デスイーターとして名前を明かされたにもかかわらず、アズガバンに行くこともなく、ホグワーツ教授として仕事と生活を保障されたセブルスの状況は、恵まれていたともいえます。

心の中では日々リリーの死を悼み自らの過去を悔んでいたにせよ、流れゆく日常生活というのはあるわけで。

有力デスイーターにもかかわらず、ちゃっかりアズガバン行きを免れたと思われるルシウス・マルフォイとは、けっこう仲良くつるんでいたんじゃないかと思います。

デスイーターサイドから見て裏切り者となったセブルスですが、アズガバン行きを免れたデスイーターたちは声高にセブルスを非難できるような力はなくしていたでしょうし、特にルシウスはヴァルに傾倒というより、ヴァルの力を利用してさらに権力を手に入れようと考えるタイプだと思うので、ヴァル凋落後はセブが裏切り者かどうかということはさして気にしなかったと思います。

そして、ホグワーツ・スリザリン寮生以来の「使える後輩」セブルスには、以前と変わりなく親しく接し、信頼していたことでしょう。
セブルスにとっても、ダンブルドアに与えられた任務上ヴァル側の情勢を探る意味でもルシウスとの交友はそれまで通り続いていたと思います。ヴァル情勢を探るといっても、ヴァルが復活し勢力を回復してくる時期のような緊迫感はないので、もちろん心全開とはいかないながら、ある程度気を許せるなじみの友人だったと思います。

ちょうどこの時期、マルフォイ家ではハリーと同い年のドラコが可愛い盛りのお子ちゃまだったわけで、ホグワーツのお休みの時には、セブルスがマルフォイ家に滞在してドラコを遊んであげたこともあったんじゃないかな~なんて思います。入学してからもドラコはセブが大好きでなついていますし、セブも露骨にドラコをひいきしていて、二重スパイ任務のための演技とばかりは思えません。

第2巻か3巻では、ダンブルドアの代わりにセブルスをホグワーツの校長に推薦したいとルシウスが言ったという記述がありますし、第6巻でルシウスがアズガバン収監中にスピナーズ・エンドを訪ねてナルシッサがドラコのことをセブルスに頼む様子からも、マルフォイ側からのセブルスに対する信頼は感じられます。

任務上気を許せないことはあったにしても、セブルスとルシウスの間には、ハリーの考え及ばぬ(=物語に語られぬ)長くて深い絆があったと思います。・・・もちろんミーシャの妄想含みです^^

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tag : ハリーポッター セブルス

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