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スネイプとポッターと炎のゴブレット(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クィディッチ・ワールドカップから戻ったルシウスが、青ざめた顔で話があると私の部屋にやって来た。

「セヴィ、闇の印が打ち上げられた。」

ワールドカップの会場となった場所で、元デスイーターたちがお祭り気分でマグルの一家をいたぶって遊んだらしい。ルシウスは面白がって見ていたのだが、その最中、闇の印が空に打ち上げられた。闇の印は、闇の勢力が破壊活動を行った印に上空に打ち上げる。お祭り気分のお遊びとはわけが違う。マグル一家をいたぶっていた一群は、術を解くのも忘れて散り散りに逃げ去ったらしい。ルシウスも巻き込まれるのを恐れて、ナルシッサとドラコを連れて早々に戻って来たというわけだ。

「闇の印が打ち上げられたということは、ダークロードが復活したのか?」

私は身の引き締まる思いで尋ねた。

「そんな話は聞いていないが、ダークロードが消えて以来、12年間闇の印が打ち上げられることはなかった。」

ルシウスも困惑していた。ダークロードが忽然と消えた時、多くのデスイーターたちは口を拭い保身に走った。中には最後までダークロードの行方を捜し、アズガバンに送られた者もいるが。アズガバンに捕らわれた者たち以外で、今でもダークロードに忠誠を誓い、復活を心から願っている者は多くはないだろう。むしろ、復活したとなれば、当時の身の処し方を責められるのではないかと戦々恐々とするのではないか。

ルシウスも知らぬふりを決め込んだ口だし、そもそも、純血主義の思想は好んでも、誰かに忠誠心を持ち続けるようなタイプではない。それに、ダークロードの復活など想定外といったところだろう。

2人で左腕の闇の印を確認してみた。わずかに濃くなっているようにも思えるが、、、

「12年も消えていた者が、なぜ復活できるのだ?闇の印を打ち上げた者も、ワールドカップのお祭り気分に酔ったのだろう。」

ルシウスは気がかりを振り切るように言った。都合の悪いことはないことにしたいという、ルシウスらしい反応だった。

しかし、ダンブルドアはダークロードは必ず復活すると言っていた。そして実際、3年前にはクィレルの肉体に宿っていたのだ。また誰かの体に寄生して、完全なる復活を目指しているに違いない。その時が来たら、私はスパイとしてダークロードのもとに戻らねばならない。リリーの遺志を継ぎポッターを守るために、そして、ダンブルドアの恩に報いるために。

こうしてルシウスと穏やかな日々を送れるのはあとわずかなのだ。マジョルカの旅は、私に与えられた最後の安らぎなのだろう。間もなく私はルシウスの敵陣営に立つのだ。覚悟を決めなければならない。その時は近付いている。


闇の印の一件が気になり、ホグワーツに早めに戻った。ダンブルドアにきいたら、闇の印は、バーティ・クラウチのしもべ妖精が、ポッターの杖で打ち上げたということだった。バーティ・クラウチがしもべ妖精を解雇して落着となったようだが、しもべ妖精が闇の印を打ち上げる、モースモードルの呪文を知るはずもない。必ず元デスイーターが関わっているはずだが、、、。バーティ・クラウチはダークロードの消滅時の、魔法省の権力者だった。デスイーターたちを厳しくアズガバンに送りこんだ責任者だ。その恨みがかかわっているのか?

入学式の日には、辞職したルーピンに代わり、闇の魔術に対する防衛術の教授としてマッドアイ・ムーディがやって来た。往年の闇祓い。以前のダークロード全盛期、つまり私がデスイーターだった頃のやり手の闇祓いだった。当時の仲間の多くがマッドアイと戦っているし、彼自身も傷だらけの体になっている。私のこともさぞかし疑ってかかるだろう。というより、洟から信用などするはずがない。できれば関わり合いたくない相手だった。

しかしマッドアイのほうは私と話し、探る機会を狙っていたようだ。ある日フェレットを連れて私の部屋にやって来た。そのフェレットは・・・ドラコ!かわいそうに。私は即座にドラコを元の姿に戻してやると、ドラコは怯えて私の陰に隠れた。

「これは懐かしい、元デスイーターのスネイプ。久しぶりじゃな。」

「マッドアイ・ムーディ。ホグワーツでは生徒を動物に変えるのは禁じられているのだが。」

「そいつは元デスイーターの父親と同じく卑怯者でな、ポッターを背中から狙おうとしたので懲らしめたまでよ。」

「父上のことを侮辱、、、」

「ドラコ、黙っていなさい。」

「ほお、相変わらずマルフォイとは仲が良いようだな。おまえもうまく立ち回ったようだが、わしは信じておらんぞ。本心を見極めてやるからな。」

気味の悪い義眼をくるくるとまわしながら私を睨みつけている。私はもちろん閉心術を使っていたが、やっかいな男が来たものだ。マッドアイが部屋を出ていくと、ドラコが待ちかねたように話しだした。

「スネイプ先生、あんなふうに父上を侮辱するなど許せません。言いつけてやるっ。」

「ドラコ、昔いろいろとあった相手なのだ。父上に害が及ぶといけないから、刺激するのは避けなさい。いいね?怪我はなかったか?」

「大丈夫です。」

「ではもう寮に戻って休みなさい。」
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セブルス・スネイプの同窓会(13)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


ブラックが逃げ、ルーピンがホグワーツを去った後、しばらくは茫然自失の状態が続いた。この手に捕えたと思った仇を逃してしまったのだ。それも他ならぬ、リリーの息子のせいで(そうに決まっている!)。ダンブルドアのポッターびいき、グリフィンドールびいきも耐えがたく思われた。

「リリー、裏切り者のブラックを逃してしまった。」

夜ごと、眠りに就く前にリリーに語りかけた。しかし続く言葉はリリーには聞かせられない。リリーの死に関与し、自分の命を狙うブラックにだまされて逃亡を手助けするような、傲慢な父親そっくりのポッターなど、どうにでもなってしまえ!

しかしそんなことを思うと、心の中のリリーが悲しげな顔をする。それに、いつか復活するヴォルデモートを倒せるのはポッターだけなのだ。しかたないから、魔法薬学にもそれなりの成績をつけてやった。こんなに夏休みが待ち遠しい年はなかった。


やっとのことで学年が終わり、私は早々にマルフォイ邸に向かった。私を満たしてくれるのはルシウスしかいない。グリフィンドールの連中などもう懲り懲りだ。

ルシウスに会うと、ルシウスもご機嫌斜めだった。私はすっかり忘れていたが、去年の夏休み明け、魔法生物飼育法の授業でドラコがヒッポグリフのバックビークに怪我をさせられてから、ルシウスはバックビークの処刑とハグリッドの追放に精を出していたのだった。ハグリッドの追放はダンブルドアにつぶされ、処刑が決まったバックビークも刑の当日に逃げて消えてしまったのだ。考えてみれば、それはくしくも、ブラックの一件と同じ日だった。怪しい、、、疑念が一つ増えた。

「またダンブルドアにしてやられた。忌々しいたぬき爺め。ドラコを傷つけた者たちが無罪放免とは。」

「ルシウス、私もさんざんな年だった。」

「森番に人狼とは、ろくでもない新任教授ばかりだったな。まったく、ホグワーツはどうなっているのだ。」

「ルシウス」

私はルシウスに近付き、肩に頭をもたせかけた。1年近くブラックを警戒し続けた緊張ともろもろの怒りや忌々しい思いを溶かしてくれるのはここしかないのだ。

「セヴィ、お前から甘えてくるとは珍しい。どうしたのだ?」

ルシウスが髪に指を絡めながら撫でてくれた。吐き出したい思いをなんとか飲み込む。後のことを考えればポッターに関わることは伝えるべきではない。

「ただ、、、会いたかっただけだ。」

ルシウスは両手のひらで私の顔を包み、瞳を合わせてきた。

「疲れているようだな。疲れたならホグワーツなど辞めてしまえ。ここにいればよいではないか。」

ルシウスは背中に腕をまわし、私の体を引き寄せた。背中を撫で下りるルシウスの手を感じながら、ふとルーピンを思い浮かべ、忌々しい気分が蘇った。こちらにもあちらにもよい顔をしようとして、全てをぶち壊した愚か者。しかし。ルーピンは最悪だが、私の脱狼薬で飼いならされた狼は悪くなかった。脱狼薬なしで、あの狼は満月のたびにまたどこかに閉じ込められて荒れているのだろうか?

思い浮かんだ雑念は、ルシウスの唇が耳元を這うのとともに消え去った。体から体に伝わる心音を感じながら、私は欲望に身を任せ、快楽にのたうち、やがて、はじけるような解放の時が訪れた。

「セヴィ、少しやせたようだぞ。もともと細いのに、食事はきちんとしていたのか?」

私は、貧弱な体がいっそう貧弱になったかと、さらに身が細る思いで骨の浮き出た体を眺めた。

「ストイックなのもよいが、少し贅沢もしないといけないぞ。マジョルカに秘密の別荘があるから2人で行かないか?」

「しかしナルシッサとドラコが寂しがるでしょう?」

「長くは無理だが1週間くらいならいいだろう?事業の見回りだとでも言っておけばよい。ナルシッサとドラコはクィディッチのワールドカップに連れて行ってやるから。」

数日後、ドラコには1週間分の宿題を与え、見送るナルシッサに心配いらないと伝えて、ルシウスと2人、ポートキーでマジョルカに飛んだ。ルシウスの別荘は穏やかな海に面したこじんまりした建物で、中は趣味のよい家具と装飾品で飾られていた。口の堅い管理人夫婦が食事などの世話をしてくれて、他にしもべ妖精が1人いた。ルシウスは彼らに私を引き合わせると、自分と同じ主人だと思えと命じてくれた。

ルシウスと私はプライベートビーチにイスを並べて寝転んだが、ホグワーツの地下牢に住みなれた身には日差しが強すぎる。私はさっそく鍋を取りだして、手に入った材料で日焼け止めと日焼け後のスキンケアローションを調合し、ルシウスに笑われた。笑っていたルシウスもすぐに肌に赤みが差してきたので、今度は私が笑いながら日焼け止めをつけてあげた。

木陰で日がな一日本を読み、たまに遠くを走る船を眺めたりしているうちに空が夕陽に染まってきた。ホグワーツでの、常に緊張が抜けない日々に比べて、天国のように穏やかに時は流れる。隣で軽い寝息を立てるルシウスを見ると、この優雅な景色に実になじんでいて、やはり別世界の人だと思う。私にはふさわしくないこんな幸せなひと時を与えてくれたことに心から感謝した。

マジョルカからマルフォイ邸に戻り、まもなくルシウスはナルシッサとドラコを連れて、クィディッチ・ワールドカップの観戦に出かけていった。

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セブルス・スネイプの同窓会(12)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


シリウスに助け起こされて、私たちは説明を続けた。ハリーたちの鋭い質問に答えながら。セブルスもこんなふうに聞いてくれたら、真実をわかってくれるだろうにと思いながら。しかしまずは真実を明かし、ピーターを捕え、シリウスの無罪を明らかにしなければならない。

シリウスは、アズガバンを訪問したファッジが持っていた予言者新聞に出ていたウィーズリー一家の写真を見て、ロンの肩の上に指が欠けたネズミ、つまりピーターを見つけたのだった。ジェームスを裏切ったピーターにシリウスが呪文を投げる前に、ピーターは周りにいた人たちを吹き飛ばして殺し、ネズミに変身して逃げてしまった。

シリウスはジェームスたちの家にかけた忠誠の術の秘密の守人を、すぐわかる自分ではなく、ピーターにしようとジェームスに進言したことを気に病んでいた。その結果が、ピーターの裏切りによるジェームスたちの死となってしまったのだから。

しぶるロンをなんとか説得し、ようやくスキャバーズに解除呪文をかけると、、、ネズミはピーターの姿に変わった。ピーターはヴォルデモートに逆らうことがどんなに恐ろしかったかと言い訳したが、もちろんシリウスと私は聞く耳を持たなかった。今すぐにでも殺してやりたいほど憎い。

ジェームスとリリーの死。孤児として育つことを余儀なくされたハリー。シリウスの12年間のアズガバン暮らし。そして私の絶望の日々。ピーターには償う義務がある。

ハリーとハーマイオニは、ピーターとシリウスにさらに質問を重ね、、、なぜピーターは何年もチャンスがあったのにハリーを殺さなかったのかとか、闇の魔術を使わずにシリウスがどうやってアズガバンを脱獄できたのかとか、、、十分な説明の後に、シリウスの無実とピーターの罪を理解してくれた。

ハリーがピーターはアズガバンに送るべきだと言うので、ピーターを引きつれてホグワーツに戻ることにした。ハーマイオニが気にするのでセブルスの状態を見ると、気絶しているだけだった。ここで騒がれるともっとひどいことになりそうなので、気絶したままのセブルスを呪文で立ちあがらせて、校内に戻ってから介抱しようと思った。あとで説明すれば、きっとセブルスもわかってくれると信じ込むことにした。とりあえず今はピーターを引き渡し罪を明らかにすることが先決だ。

ピーターに逃げられないように、私とロンに鎖でつなぎ、ぞろぞろと叫びの屋敷の通路を外に向かった。気絶したままのセブルスはシリウスが杖で操って連れてきた。

「お前の真の気持ちはブラックが現れた時にわかる」

セブルスが言っていたことを思い出す。結果としてはその通りかもしれない。だけど、シリウスは無実の罪で12年間アズガバンに収監されていたのだから、真実を明かすための成り行きでこうなってしまったこと、きっとセブルスは理解してくれる、いや、理解してもらえるまで説明しようと、少し強気に思っていた。なんといっても、親友のシリウスを取り戻せたことが私は嬉しくて、それに何年もだまし続けたピーターへの怒りと捕まえた満足感で、私は少しハイになっていたのだ。そのすべてが私の愚かさのせいで無に帰すとは思いもせずに。

通路を出てホグワーツに向かう途中、雲が晴れ、そして満月が現れた。体の中から湧きあがるざわめき。狼の雄叫び。今夜は脱狼薬を飲まなかったんだ。そう思ったのが最後だった。

*******************

気がつくと、地面の上に倒れていた。叫びの屋敷でポッターたちに吹っ飛ばされたのだが。裏切り者のブラックにルーピン、助けてやったのに私に杖を向けたポッターたち。憎しみと忌々しさがこみ上げてきたが、近くにウィーズリーが倒れているのを見て血の気が失せた。ポッターはどうした?ポッターはどうなったのだ?

あわてて呪文で担架を出してウィーズリーを横たえ、呪文で担架を浮かせながらポッターたちを探した。湖のほとりでポッターを見つけたときにはほっとした。ポッターとグレンジャー、そしてブラックも担架に横たえて、医務室に向かう。

何が起こったのか、考えるまでもなかった。愚か者のルーピンが脱狼薬を飲み忘れて変身したのだ。私を好きだなどと言いながらブラックを手引きし、信じてほしいと言いながら、生徒たちを危険に晒すという最悪の形で信頼を裏切った。しかし、なにはともあれ、ポッターや生徒たちは無事で、リリーを死に至らしめたブラックにディメンターのキスを受けさせることができるのは喜ばしいことだ。

生徒たちを医務室に運び、ブラックをダンブルドアに引き渡し、事態を報告した。かけつけた魔法大臣のファッジは、私の行動をマーリン勲章に値すると称賛してくれた。ポッターたちが私に杖を向けて気絶させたことについては、ブラックの錯乱術にかかったのだと言っておいた。ブラックにだまされたことには違いないだろう。ポッターたちは意識が戻ってからもブラックをかばっているが、正気のさたとは思えない。

これでやっと、リリーの死に関わった仇の一人に罪を購わせることができると思っていたのに、牢が破られ、ブラックは逃亡していた。ブラックに言いくるめられて、ポッターとグレンジャーが逃亡を助けたに違いない。それしか考えられない。リリーの命を奪った者を逃がすとは。

私は何度もダンブルドアに訴えたが、耳を貸してもらえなかった。英雄ポッターがかかわるとなると、ファッジも同じだ。ポッターたちは医務室から出ていないからというが、ブラックの拘束を知っているのは、私とダンブルドアを除けば、彼らだけではないか。ポッターたちを問いただすことすらせず、ダンブルドアは私をいさめるだけだった。私は怒りと絶望を胸に、医務室を去ることしかできなかった。

許しがたい者たち。ブラックは逃してしまったが、手引きしたルーピンは残っている。それだけでなく、ルーピンは脱狼薬を飲み忘れて生徒たちの前で狼に変身するという過ちを犯した。ダンブルドアとて庇いきれぬ失態だ。ルーピンはホグワーツから追い出す。

私は朝食の大ホールに集まるスリザリン生たちの席に行き、ルーピンの正体を明かした。

************************

目が覚めると、禁じられた森に倒れていた。昨夜の変身時を思い返し、あわてて口を拭ってみたが、どうやら何か
を、、、人を食ってしまった形跡はなかった。ほっとした。体のあちこちに自分のものではない鋭い爪跡が残っていたが、獣のもののようだ。傷ついた体でなんとかハグリッドの小屋にたどりつき、身支度を整えさせてもらった。そこで、ハグリッドから、セブルスが私の正体を生徒たちに明かしたと聞いた。私には二度と望めない恵まれた職を去るのは悲しいが、このような、生徒たちを危険にさらすようなことは二度と起こってはならないのだから、辞職はやむをえないことだと思う。ハリーたちを傷つけることなくすんでよかった。

校長室に向かう途中、すれ違う生徒たちが私を避けて、ひそひそと話すのを見るのは、やはり辛かった。辞意を伝えるとダンブルドアは引きとめてくれたが、これ以上負担をかけるわけにはいかないし、私の過ちは私が受け止めなければならないと思う。

ダンブルドアは昨夜、私の変身後の出来事をおしえてくれた。意識を失っていたシリウスやハリーたちを、セブルスが担架に乗せて医務室に運んできたこと。ハリーたちは無事で、シリウスもディメンターのキスを免れて無事逃げられたこと。

叫びの屋敷で気絶したセブルスが、モビリコーパスで頭をぶつけながら浮遊させられていたことを思い出す。セブルスはシリウスさえ、担架に載せて運んだのか。

「リーマス、残念なことになったが、セブルスをあまり責めんでやってくれ。失望のあまり口走ってしまったのじゃ。」

「わかっています、アルバス。セブルスはこの数カ月、きちんと脱狼薬をつくり、変身時の世話をしてくれました。感謝していますし、申し訳なく思っていますが、、、この気持ちは伝えられませんね。」

「あれももう少し融通がきくとよいのじゃがの。」

ダンブルドアに教授職に招聘してくれた感謝を伝え、このように去ることを詫びた。

部屋に戻り出発の荷造りをしているとハリーがやって来た。ハリーのような生徒を持てて幸せだったことを伝え別れを告げた。私は正直、一刻も早くホグワーツを去りたかった。自分の愚かさのため失うものを、いつまでも目にしていたくなかったから。

セブルスには、もう一目会いたい気持ちはあったけれど、合わす顔がない思いのほうが強かった。そしてシリウス。せっかく無実が明らかになったのに、私の変身のせいでピーターを逃がし、無実を証明することができなくなってしまった。落ち着いたらダンブルドアにシリウスの行方をきき、訪ねて行こう。私の失態を詫び、許してくれたらきっとまた親友に戻れる。12年の空白を埋めて。

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tag : ハリーポッター セブルス ルーピン ハリー シリウス

セブルス・スネイプの同窓会(11)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


今年度最後のクィディッチの試合はグリフィンドール対スリザリンだった。これでグリフィンドールが勝てば、連続7年続いたスリザリンの優勝を止め、グリフィンドールがクィディッチカップを手にすることになる。セブルスは観戦席の一番前に座ってスリザリン生たちと応援に熱を入れていた。

セブルスには悪いけど、私もグリフィンドールの卒業生として、クィディッチには負けられない。その試合で見事ハリーは絶妙のタイミングでスニッチを取り、グリフィンドールを優勝に導いた。ジェームス、ハリーはクィディッチの名手だよ。君たちの分まで私が見守っているね。

クィディッチが終わると、あっという間に学年末の試験になった。私は工夫を凝らして、闇の魔術に対する防衛術の学習の効果がわかるような試験をした。試験でもハリーは優秀な成績をおさめた。

試験最終日の夕刻、私は自室でじっと、忍びの地図を眺めていた。その日は、今学年初めドラコ・マルフォイに怪我を負わせたヒッポグリフのバックビークに、おそらく処刑の判断が下される日だった。バックビークを可愛がっているハグリッドと仲の良いハリーたちが、規則を破って校内を抜け出しハグリッドの小屋に行くのではないかと心配だった。

案の定、忍びの地図にはハリーたちがハグリッドの小屋に行くのが現れた。地図上に現れる周囲の人たちの動きに目を凝らしているうちに、私はとんでもない名前を発見した。

ピーター・ペディグリュー。ハリーたち3人といっしょにその名前が動いている!ピーター?そしてどこからともなく現れたシリウス・ブラックの名前。ピーターとシリウスとロンが3つ巴になって走って行く。そのあとを追うハリーとハーマイオニ。向かっているのは、、叫びの屋敷だ。

私は取るものもとりあえず、部屋をとびだした。

*******************

あれほど言っておいたのに、ルーピンは脱狼薬を飲みに来ない。暖炉のフル―パウダーで呼び出したが返事もない。満月の日だと言うのに、何をしているのだルーピンは。自分を信じてほしいなどと、よく言ったものだと、ルーピンに投げつける言葉を考えながら脱狼薬を持って部屋を訪ねた。が、部屋にも姿がない。ゴブレットを机の上に置くと、そこには地図が広げてあった。ポッターから取り上げたあの紙切れだ。見るとすぐにその名が目に飛び込んできた。

シリウス・ブラック!すぐわきにルーピンの名も。

少し離れたところにごちゃごちゃと名前が重なっている。Pが多くて読み取りにくいが、グレンジャー、ウィーズリーの名があるとなれば、当然ポッターだ。

ポッターがブラックに襲われる!しかもルーピンもいっしょだ。やはりルーピンはブラックと繋がっていたのだ。あれほど御託を並べて、やはり私をだましていたのだ。とにかくポッターを助けなければ。そして、リリーを死に追いやったブラックをディメンターに渡してやる!もちろんルーピンもともに。

私は取るものもとりあえず、叫びの屋敷に向かって走った。

************************

叫びの屋敷の上の部屋に駆け込むと、立ち尽くすシリウスと、杖でシリウスに狙いを定めるハリーの姿。急いで武器解除の呪文でハリーたちの杖を取り上げた。シリウスに杖を向けながらあたりを見回す。ピーターはどこにいるんだ?なぜ死んだはずのピーターが。

「シリウス!あいつはどこだ?」

シリウスはゆっくりとロナルド・ウィーズリーを指差した。ロンの胸には、、、ネズミ。ピーターのアニメガスはネズミだ。だけどあのネズミはずっとロンのペットだった。ピーターはなぜずっと姿を現さずネズミの姿でロンのもとに留まっていたのか?では、まさか、ジェームスたちの家に掛けた忠誠の術の秘密の守人は、シリウスではなくてピーターで、、、ピーターが裏切り者だったのか?

「では、あいつがそうだったのか?君と入れ替わって、あいつが?私にも言わずに?」

シリウスはゆっくりとうなずいた。私は杖を下げ、目がくぼみやせ衰えたシリウスをしっかりと抱きしめた。12年振りに会う親友。12年も無実の罪でアズガバンに捕らわれていた、、私を含め、誰からも裏切り者と思われて。

「ルーピン先生・・・これはどういうこと?」

ハリーが信じられないといった感じの声できいてきた。ハーマイオニが叫んだ。

「ハリー、ルーピン先生を信じてはダメ!ルーピン先生はブラックを校内に引き入れ、あなたを殺そうとした。先生は人狼なのよ!」

「君らしくないね、ハーマイオニー。3つのうち1つしか正しくない。私はシリウスを校内に引き入れていないし、ハリーの死も望んでいない。人狼だということは否定しないけれどね。」

ロンが痛みのうめき声をあげたので、心配して近付くと、「近寄るな、人狼!」とわめいた。魔法界での普通の反応だが、、

「いつから知っていたんだい、ハーマイオニー?」

「ずっと前から。スネイプ先生のレポートを書いた時から。」

「君は実に賢い魔女だ。」

「バカだったわ。みんなに正体を言えばよかった。」

「少なくとも先生方はみな知っていたよ。」

「ダンブルドアは人狼だと知っていて教師に雇ったの?狂ってる。」

ロンが言った。

「そう言う先生方もいたけれど、ダンブルドアが私は信頼できると説得してくれたんだよ。」

「そしてダンブルドアは間違っていたんだ。先生はずっとブラックを助けていた!」

ハリーが叫んだ。

「私はシリウスを助けていたわけではないよ。」

私はハリーとロンとハーマイオニにそれぞれの杖を返し、自分の杖をベルトに戻した。

「さあ、君たちは杖を持ち、私たちは杖をかまえていない。説明をきいてくれるかな?」

私は忍びの地図でシリウスがロンとピーターとともに叫びの屋敷に入ったのを見たこと、忍びの地図は私たちが学生の頃に作ったから使い方を知っていたこと、そして、ロンのネズミ、スキャバーズこそピーターのアニメガス(動物もどき)の姿だと説明した。

勉強家のハーマイオニが、アニメガスは魔法省に登録されているはずなのに、ピーターは登録されていないと指摘したので、そもそもの初め、つまり、私が幼い頃に人狼になったことから説明した。彼ら3人はすべてを知り理解する権利も必要もあると思うから。

先を急かすシリウスを制しながら説明を続けた。人狼の入学など許されなかったけれど、ダンブルドアの特別なはからいでホグワーツに入学できたこと、私の正体に気づいたジェームス、シリウス、ピーターが時間をかけてアニメガスになって狼に変身している間も私とともにいてくれたこと、そうして変身時に叫びの屋敷を抜け出していたこと。そのことをダンブルドアにも秘密にしていたこと。

そしてシリウスが『いたずら』で満月時にセブルスを叫びの屋敷に誘導し、変身した人狼に対面させたこと、それをジェームスが危うく救ったこと。

「だからスネイプはあなたを嫌っていたんですね、先生もそのいたずらに加わったと思って?。」

ハリーが言った時、

「その通りだ。」

セブルスが透明マントを脱いで現れ、まっすぐに私に杖を向けた。

「暴れ柳の根元でこのマントを見つけたのだ。ずいぶん便利だな、ポッター」

「セブルス・・・」

「私は何度も何度も校長におまえが旧友のブラックをホグワーツに引き入れる手引をすると警告したのだ。そして今証拠をつかんだ。」

「セブルス、君は間違っている。全部をきいていないんだよ。シリウスはハリーを殺しに来たのではなくて・・」

「今夜2人はアズガバンに送られる。ダンブルドアがどう思うか見ものだな。おまえのことを本当に害がないと信じていたのに、ルーピン。」

「バカげてるよ。子供の頃の恨みで無実の人間をアズガバンに送り戻すなんて。」

セブルスに説明しようとすると、口も体も魔法でぐるぐる巻きにされてしまった。怒ったセブルスは手の着けようがない。人の話をきいてくれないから。

セブルスとシリウスはこれ以上ないほどの憎悪を浮かべて睨み合っている。ハリーとハーマイオニが説明をきいてから決めようと言っても、セブルスはますます逆上してしまった。

「父親と同じだ、ポッター!私が助けてやらなかったらおまえは殺されていたのだ。傲慢過ぎてブラックを信じるという過ちを犯した父親と同じように。ここから出ていけ!出ないなら私がそうさせるぞ。」

その瞬間、

「エクスペリアームス!!!」

ハリーとロンとハーマイオニが同時に杖を向けて叫び、セブルスは吹っ飛ばされて気絶してしまった。

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セブルス・スネイプの同窓会(10)

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


シリウスのグリフィンドール寮侵入事件から、校内の見張り態勢は一層厳しくなった。そんなある日、暖炉のフル―パウダーでセブルスに呼び出された。

セブルスの部屋にはハリーがいて、セブルスが手にしているのは、、、忍びの地図だ!私たちが学生の頃、変身の夜にアニメガスになったジェームスたちと4人で叫びの屋敷を抜け出して探険した賜物。ホグワーツからの秘密の脱出経路が記されている。そして、誰がどこにいるかわかるものだ。私たちが作ったもので、しかし、呪文で呼び出さなければ、ただの紙切れにしか見えない。

ホグズミードへの外出の日、外出が許可されていないはずのハリーがホグズミードで姿を見られ、セブルスが怒って持物を検査したらハリーが持っていたということだ。

呪文を知らない者が地図を表そうとすると、罵倒する言葉が現れる。つまり、ブロンクス(ジェームス)からXXへ、とか、ムーニー(私)からXXへ、とか言って。セブルスはアニメガスになった私たちの互いの愛称を知っているはずはないが、私たちが製作者だと見当をつけて私を呼び出したらしい。適当にごまかして忍びの地図を手にし、ハリーを連れてセブルスの部屋を出た。

シリウスからハリーを保護するために皆が厳重な警戒をするなか、「特別な選ばれし者ポッターは危険に身をさらしてもよいと思っている」というセブルスの言葉にトゲはあるが、その通りで、ハリーはもっと身の危険を認識してほしい。ハリーに厳しく注意し、忍びの地図は私が預かることにした。この地図を持っていたら、ハリーはシリウスの居場所を見つけ、そこに向かわないとも限らない。あるいはシリウスが手に入れてハリーの居場所を知る恐れもある。

夜の見回りに加え、ハリーの心配、シリウスへの複雑な思い、そしてセブルスとのことなどに思いが巡り、気が休まることがない。私は眠れなくなった。やっと眠りについても、悪夢にうなされた。夢の中でシリウスがハリーを襲っていたり、私と杖を向けあっていたり、セブルスがシリウスと私に杖を向けたりしていた。まったく休まった気がしない。食事ものどを通らなくなった。


また満月が来て、一人自室で変身の夜を過ごし、夜が明けようやく人間に戻ったけれど、体が鉛のように重くて、セブルスが置いてくれてあった回復薬にたどりつくこともできず、私はそのまま意識を失った。

目覚めると医務室のベッドに寝ていて、マダム・ポンフリーが心配そうに覗き込んでいた。

「リーマス!ああ、リーマス!よかったわ。心配したのですよ。もうこのまま目覚められないのではないかと。」

ポピーは、私が生徒だった頃のように、髪を撫でて抱きしめてくれた。

「どうしてここに?」

「あなたは変身明けに意識を失ってしまって。セブルスがあなたをここに運んできてくれたのですよ。」

ポピーは思い出したように少し笑って続けた。

「あんなにあわてたセブルスを見たのは初めてですよ、リーマス。だって、あなたをシーツにくるんで、抱えて走って来たのですよ、セブルスが。ここに着いたときは息が切れて、セブルスも倒れそうでしたよ。」

「・・・」

「あなたは体重が減っていて、脱狼薬が効きすぎてしまったそうです。私が応急処置をしている間に、セブルスが解毒薬と回復薬を調合してきてくれました。解毒薬が効いたようですね。さあ、目覚めたらこれを飲むようにと。」

「セブルスは?」

「授業です。さあ、これを飲んでもうひと眠りしなさい、リーマス。飲ませなかったら私がセブルスからどんなに怒られるかわかりません。」

薬を飲んでベッドにもぐりこみ、セブルスが嫌そうに裸の私をシーツにくるんで抱え上げる風景を想像した。目から温かいものが滲みだす。君はほんとに、律義だね。ダンブルドアの言葉を思い出した。

「安心してホグワーツに来るがよい。セブルスはおまえにはやさいからの。」

セブルス、私が欲情したのは、君のせいだよ。君がそんなにやさしくしてくれるからだよ。心が温かくなって、久しぶりに安らいだ気持ちで眠りについた。

人の気配で目が覚めると、ベッドの傍らにセブルスが立っていた。

「ルーピン、体重や体調の変化は報告しろといっておいただろう?おまえの変身の管理は、校長に言われた私の責任なのだ。これ以上手をやかせるな。」

「ありがとう、セブルス。また君に助けてもらったよ。人狼の私がホグワーツにいられるのは、今も、生徒の頃も、君のおかげだよ。」

私は胸から溢れる思いを留めることができなかった。

「セブルス、私は君のことが好きなんだよ。こんなふうにしてもらったら、責務としてしているとわかっていても、好きにならずにはいられない。」

「それで私にどうしろと?」

「だから、私のことを信じてほしい。友達としてでよいから。」

セブルスは訝るような目でしばらく私を見ていた。開心術を使っているのだろうか?それでもいい。私の想いに偽りはないのだから。

「今おまえがどんな気持ちでいようとも、真実はブラックが現れたときにわかるだろう。学生の頃、おまえは結局、私のことも、お前自身の気持ちも裏切ってポッターとブラックの肩を持ったのだからな。」

セブルスはそう言うと、背を向けて医務室を出ていった。

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セブルス・スネイプの同窓会(9)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


裸のルーピンにベッドで襲われそうになり、しばらくは怒りと驚きで何も考えられなかった。しかし動揺が収まってみると、私のどこにルーピンの欲情をそそるものがあったのかと疑念がわいてきた。なんといっても、ルシウス以外、そのような体験は皆無である。ルーピンはあえて人の気を損ねるようなことをする者ではないはずだ。私の体を奪うことで、ブラックについての追及を懐柔しようなどという企みでもあったのだろうか?開心術を使っておくべきだったが、とっさのことでそれだけの余裕をなくしていた。私らしくなく。

意図を探ろうと出を来事の記憶をたどるうち、気がつくと体が熱を帯びてきて、実に不快だった。寒さを堪えて冷たいシャワーを浴び、身にまとわりつくルーピンの気配を洗い流す。いずれにしても、

私の命と魂はリリーに捧げ、今ここにある心と体はルシウスのものだ。ルーピンなどに奪われてよいものはない。

夕方になり、青ざめて倒れそうなルーピンが部屋に訪ねてきた。怒りにまかせて回復薬を出してやらなかったから、脱狼薬の影響から抜けられないのだ。いいザマだが無責任なことをするわけにもゆかない。

「セブルス、今朝は悪かったよ。頭痛と吐き気と痛みと貧血をおさえる薬をもらえないかな。」

「ふん。今朝の様子では回復薬など必要なさそうだったがな。」

「そんな意地悪なこと言わないでほしいよ。私だって悪気があったわけじゃないんだよ。ただあの状況で体が反応してしまっただけじゃないか。君のボタン一つはずした覚えはないよ。」

「あたりまえだ。そんなことをしたらただではおかん。」

「じゃあ君は何かの折に、はずみで体が反応してしまったことはないの?」

「ない。」

「え?」

ルーピンの顔に憐れむような表情が現れた。私のことを性的不能者とでも思ったに違いない。

「はずみで反応したことなど、ない。ルーピン、そういうことは愛する人に捧げるものなのだ。」

黙り込んだルーピンに準備してあった回復薬を渡してやった。ルーピンは薬を飲み終えて言った。

「ありがとう、セブルス。助かったよ。」


*****************************

「愛する人に捧げるものだ」と言った瞬間、セブルスの顔に何とも言えない柔らかい表情が浮かんだ。いや、表情というより、全体の雰囲気。それには覚えがあった。7年生の時にセブルスが纏っていたものと同じだった。あのときはセブルスがルシウス・マルフォイがの恋人になったと聞いた。あれから15年。マルフォイは結婚して息子までいるのだから、まさかマルフォイということはないのだろうけれど。マルフォイであれ誰であれ、30半ばの大の男に、いや、セブルスに、あんなことを言わせる男に、、、もしかしたら女か?、、激しい嫉妬を感じた。そして胸の痛みも。


クリスマス休暇が明けると、約束通り、ハリーにパトロナス(守護霊)の個人レッスンをしてあげることになった。ハリーは次のクィディッチの試合で、またディメンターの影響を受けて負けてしまうことを心配していた。私もパトロナスを教えるエキスパートというわけではないけれど、ハリーの力になってあげたい。

パトロナスを出すのは、成人の魔法使いでも難しい。パトロナスは体験した幸せな思い出がその原動力になる。1つの幸せな思い出に集中し、それが作り出すパワーに陰りを与えぬ強い精神力も必要だ。本物のディメンターを使うわけにはいかないから、ハリーの前でディメンターに姿を変えるボガートを用いてレッスンすることにした。

ハリーはまだ3年生なのに、なんとか白い霧のようなものを出せた。が、すぐに倒れてしまったけれど。そして2回目にはまだはっきりとした形のパトロナスは出せなかったけれど、なんとかしばらく防ぐことができた。ディメンターは良い記憶を吸い取り、辛い記憶を呼び覚ます。ハリーは両親の最期の声を聞いたという。

「ジェームスの声を?」思わずつぶやくと、ハリーに父を知っていたのかと尋ねられ、「友達だったからね。」と答えた。両親を知らずに育ったハリーに、いつかジェームスとリリーの話をしてあげたい。素晴らしい人たちだったと。ただ、まだ今は、シリウスのことをどう言えばよいのかわからない。親友のシリウスに裏切られて彼らが殺されたということをハリーにどう伝えればよいのか、私にもまだわからないのに。

「では、ルーピン先生はシリウス・ブラックのことも知っていたのですね?」

ハリーにさらに尋ねられたが、私は何も言えず、レッスンを終了した。


次の満月には、変身は自分の部屋でしろと言われた。もう脱狼薬の効果はわかったから、見張っている必要はないと言う。ただ、体重や体調に応じた調整が必要だから、そういうことだけ報告しろと言われた。それでも、

「変身中に君がいてくれると心強いんだよ。」

と訴えてみたが、

「発情した狼と夜を過ごす気はない。」

ときっぱり退けられた。脱狼薬の副作用で体は弱っているし、変身の辛さもあり、惨めな夜だった。狼はセブルスを呼んで遠吠えを繰り返し、なんだか狼にまで責められているような気がした。翌朝目が覚めると、サイドテーブルに回復薬が置いてあって、セブルスの律義さだけはありがたかった。


翌月のクィディッチの試合には、スリザリンのマルフォイたちがディメンターの真似をしてハリーを驚かそうとしたが、なんの影響もなくハリーはスニッチをつかみ、見事グリフィンドールがレイブンクローに勝利した。

喜びにわくグリフィンドール寮。
しかしその夜、シリウスがグリフィンドール寮に侵入した。シリウスは寮に入るパスワードを知っていたことが判明し、校内は騒然となった。

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セブルス・スネイプの同窓会(8)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


クリスマス休暇には、ホグワーツに残った教師と生徒とでテーブルを囲みクリスマスを祝う。教師ではダンブルドアやミネルバやセブルスたち、生徒ではハリーたち。私は長いこと親しい人たちとともに温かく過ごすクリスマスなんてなかったから、ほんとうに出たかったのだけれど、運悪く変身の時期だった。

運の悪さに愚痴をこぼす私に、セブルスは非情にも脱狼薬を押しつけ、変身を見届けてクリスマスディナーに行ってしまった。けれど、早々に部屋に帰ってきて、あきらめて部屋の隅にうずくまっていた私に、黙って肉料理を載せた皿を差しだした。テーブルの上には、ケーキを載せた皿も置いてある!

セブルスは、シリウスの侵入の一件以来、人間のときの私にはきつくあたるが、狼のときにはやさしいと気がついた。闇の生物同士の情か?などとちょっぴり悪態を考えていたのに、なぜか気づくと尻尾を振っていた。狼が喜んでいるんだ!

喜んで食いついた肉料理が熱くて飛び退くと、セブルスは「お前には熱すぎたか」とか言って水の皿を持ってきて置き、肉料理はふぅふぅとふいて冷ましてくれた、いや、狼に、冷ましてやったのだろう。私はあっけにとられた気分だったが、尻尾はちぎれんばかりに振られていた。食べ終えた肉料理の皿を下げると、「これはお前の分だ」と言ってケーキの皿を置いてくれたが、声の温かみが明らかにさっきと違う。これは私にということのようだ。

それでも、いつの間にかクリスマスらしいキャンドルが灯された部屋で、アームチェアーに座るセブルスの足元に座りこんだ。狼は、、、5年生の暴れ柳事件の時にはセブルスを食いたい!と暴れたはずの狼は、肉料理をもらってすっかり手なづけられたようで、嬉しい意識が人間の私の意識を圧迫してくる。

「クゥ~ン」

甘えて鼻を鳴らしてしまって戸惑ったけれど、セブルスは目を細めて頭を撫でてくれた。狼は嬉しくて興奮したらしく、前足をセブルスのひざにおいて頭をすりつけている。セブルスは少し驚いた顔をしながら、背中の毛並みを撫でていたが、ふと目が合うと、脚に抱きついているのが私リーマス・ルーピンだと思い出したらしく、眉をひそめ、静かに私の前足を床に下ろした。私はセブルスの足に頭をのせて丸くなり、久しぶりに心温まるクリスマスの夜の眠りについた。

夜が明けて目覚めると、前回と同様、けだるく、体の節々が痛む。起き上がるのに苦労していると、気づいたセブルスが助け起こしてくれた。セブルスに抱きかかえられた瞬間、自分が裸のままだと気づいて、恥ずかしくなってしまった。狼に変身していたとはいえ、昨夜はこんな姿でセブルスの脚に抱きついていたのだと、そんなことを考えてしまったら頭に血が上ってしまい、やばい、とセブルスの眼を盗み見したら、、、

運悪くセブルスと目があってしまった。

「ルーピン、今日は顔色がいいな。」

セブルスはあくまで、薬を与えた研究者の観察事項として言ったのだろうけれど、変身明けでいつにも増して青ざめているはずの私の顔色がいいということは・・・赤くなってる? ドギマギした私の態度に、セブルスは怪訝そうに眉をひそめ、そして、思いっきりしかめ面になった。

「ルーピン、お、お前は何を考えているのだ?」

赤らんだ顔を隠そうと顔を胸に埋めたら、抱きついている態勢になってしまった。つまり、裸で、セブルスに。仰天してバランスを崩したセブルスに抱きついたままベッドに倒れこみ、私の体の上でバタバタともがいているセブルスをなぜか放したくなくて。

「は、放せ!人狼!」

昨夜からの優しいセブルス(狼にだけど)、辛いばかりだった変身の夜に付き添ってくれたセブルス、脱狼薬を調合する器用な指先、ずっと昔、変身明けの傷ついた体を治癒してくれた流れるような呪文の声。思い出が溢れて来て、温かい体を手放せなかった。私はキミが好きなのかも・・・

抱きついた腕に力を込め、片腕で背中を撫でおろして強く抱き寄せた。と同時に、、、体の芯が熱くなり、固く膨らんできた。わ、勃起してしまった!思わず力が抜けた瞬間、

「お、お、お前はっ!」

セブルスは今度こそ、私を突き放して、飛び退くように立ち上がり、カンカンになって寝室を出ていった。

これではきっと、痛み止めも強壮剤ももらえないだろうと思い、しかしこんな私に強壮剤は必要なのだろうかと自分でも思った。ベッドの、セブルスのベッドのシーツを体に巻きつけ、また痛みを感じ始めた体をかばうように丸くなってひと眠りすることにした。

目が覚めて、身支度をして寝室を出ると、セブルスが居室で机に向かっていた。顔が怒りに燃えている。気まずさを抑えて、

「メリー、クリスマス、セブルス!」

と明るく言ってみたが、返事はない。あやまるほかない。

「セブルス、さっきは・・・」

「私を暴行しようとしたな!」

「へ?ぼ、ぼうこう?」

「私を押し倒して自由を奪い、レイプしようとしたではないか!よくも、よくもこの私に。」

わなわなと泡を吹きそうになっている。

「セブルス、落ち着いて。そんな大げさなことではなくて、単にはずみで、、」

「はずみで欲情したというのか!」

はずみじゃないよと言ったら、もっと怒るに決まっている。

「お、おまえは獣のようなヤツだ、いや、獣だが、獣以下だ!」

杖を握る腕を振り上げたので、アヴァダを掛けられると確信して出口に急ぎ走った。

「ダンブルドアに言いつけてやるっ!この、強姦魔!」

廊下に出ても、中からわめき声が聞こえてきた。やれやれ。私はセブルスが校長室に行き、あの険しい顔で、「アルバス、私はルーピンに強姦されそうになりました」と深刻に訴える姿を想像してみた。それを聞いたダンブルドアの反応も。「セブルス、無事でよかったの。」

思わずクスッと笑いが漏れた。たしかに私がいけなかったけれど、あのセブルスの大げさな反応といったら。まるで純潔を奪われかけた乙女か、長年一途に守り抜いた貞淑を奪われた人妻かのような大騒ぎだった。セブルスも私と同じ、30代も半ばのいい大人だ、それも男。はずみで勃起したり、チャンスがあれば襲っちゃうぞーみたいな悪ふざけくらい、したことあるだろ?あるいは行きずりの一夜とか、寂しい夜の成行きとか、単にたまったものを出して解放感を味わうための行為とか。

・・・しかし、ひょっとして、セブルスに限って、もしかしたら、ないかも。

純潔だか貞淑だかわからないけれど、一途に守り抜く、よく言えば純粋で真面目、悪く言えば融通がきかない意固地さは、セブルスらしいかもしれない。客観的に言えば、きわめて人づきあいが少なくてチャンスがなかったということもありうる。

セブルス、かわいいなあ。私がひと眠りしていた数時間のあいだも、一人、あの勢いで怒り続けていたのかな。またクスっと笑いが漏れたけど、現実的に考えると、まずい事態だった。これでもう次からは、変身時にやさしくしてもらえないかもしれない。翌朝の鎮痛剤や強壮剤も作ってもらえないだろう。人狼の強姦魔と思われたのだから。

浮ついた気分がしぼんだら、体がズキズキ痛みだした。けだるくて体が重い。マダム・ポンフリーに痛み止めをもらいに行こうかと思ったけれど、なぜセブルスにもらえないのかと聞かれて、襲ったら嫌われてしまいました、と説明したときのポピーのショックは洒落にならないので、あきらめて自室に戻り、倒れこむようにベッドに横たわった。

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セブルス・スネイプの同窓会(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


ハローウィンの夜、シリウス・ブラックがホグワーツに侵入した。ポッターのいるグリフィンドール寮の入口にある「太ったレディ」の肖像画が切り裂かれていた。

ダンブルドアはグリフィンドール生たちを大ホールに戻して、職員や監督生の監督のもと、そこで休ませた。私たちは校内をくまなく調べたが、ブラックの姿も痕跡も、発見できなかった。

入口はディメンターが配備され、校内では私を含む教職員が見張りをしている中、侵入するには内部からの手引きがあったはずだ。私は名前を出さぬよう配慮しつつ、ダンブルドアにルーピンが手引した可能性を再度訴えたが、ありえないと却下された。

ちょうど満月の時期を迎え、ルーピンが私の部屋にやって来た。ルーピンは、自分は侵入の手引きなどしていないし、ハリーに危害を加えるようなものは許さないと言ったが、ブラックのこととなればかばうに決まっている。満月時には先月と同様、私の寝室で変身して大人しくしていたが、ポッターの命の危険を考え、ルーピンはホグワーツから追い出すほうがよい。ルーピンを追い出すには正体をバラせばよいわけだが、ダンブルドアとの約束があるから私が言うわけにはいかない。だがもし生徒たちが気付けば、、、。

変身で体調の悪いルーピンの代わりに闇の魔術に対する防衛術の授業を代行し、人狼についての授業を行った。人狼に関する知識を得れば、ルーピンが人狼であることに気づく生徒もいるかもしれない。現に、満月のたびに体調を崩し、休んでいるのだから。グレンジャーあたりは気づくのではないか?知ったかぶりの出しゃばりではあるが、頭もよいし勉強もよくしている。

グレンジャーが気付けば、追い出せぬまでも、ポッターがルーピンを信頼して罠にはまらぬよう警戒させることはできるかもしれない。ルーピンのだらしなさを指摘し、わかりやすく人狼の見分け方を説明し、レポートの宿題を出して授業を終えた。

***********************

体調が戻り授業に復帰すると、なんとセブルスは代行授業で人狼を扱ったという。人狼の項目はまだずっと先の予定だった。セブルスは私を追い出したいのかもしれないが、私はこの教授職を失いたくないし、ここにいてハリーも見守りたい。生徒たちには、もちろん、レポートなど書かなくてよいと言っておいた。

セブルスは脱狼薬をつくったり口外せぬ約束を守ったり、よいところはあるのだけれど、思い込みが激しくて人の話をきいてくれないのが難点だ。それもシリウスが絡むと、ますます頑固になってしまう。私だってハリーを守りたい気持ちは同じなのに、なぜともに守ろうということにならないのだろう。

しかし実際、シリウスに関しては、私にも秘密があった。どうやってシリウスが守りの厳重なホグワーツに侵入できたか。私には心当たりがあった。未登録のアニメガス(動物もどき)。犬に姿を変えて入ったのだろうと、すぐ推測はついた。けれど、それを明かせば、学生時代、私の変身時に彼らがアニメガスとなって、いっしょに叫びの屋敷を抜け出していたことがバレてしまう。私を信頼してくれるダンブルドアにも言えないことだ。

とにかく、誰より早くシリウスをつかまえて、そして、、、。なぜあんなことができたのか、なぜ双子のように仲のよかったジェームスを裏切ったのか、本人の口からきかなければ納得できない。彼の行為によりすべてを失った私には、きく権利があると思う。それに、今になって思うと、ほんとうにシリウスがやったのか、あらゆる事実がそれを示しているにしても、心のどこかに疑問に思う気持ちがある。

授業のあとにハリーに声をかけた。私は観戦できなかったのだけれど、クィディッチの試合にディメンターが現れてハリーが落下してしまったときいたから。

ハリーは、もう大丈夫だと答えながらも、なぜ自分ばかりディメンターに反応してしまうのかと気に病んでいた。ディメンターが現れた時、母が「ハリーを助けて!」と言いながら緑の閃光に貫かれたのを見たという。かわいそうに、幼い時に誰より辛く恐ろしい体験をしてしまったハリー。年度初めにホグワーツに向かう特急で、いあわせてディメンターからハリーを守ってあげたので、ディメンターを打ち破るパトロナスの出し方を教えてほしいと頼まれた。しばらく忙しいし、体調の悪い時期も重なるから、クリスマス明けに教えてあげると約束した。

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セブルス・スネイプの同窓会(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


夜明けに目覚めると、最悪だった。だるい。関節が痛い。吐き気がする。起き上がる力が出ない。

セブルスは寝たのか寝なかったのかわからないが、昨夜のままにアームチェアーに腰かけていて、足元でうめいている私を助け起こしてベッドに横たえてくれた。それから、「飲め」と言って魔法薬を渡された。痛み止め、吐き気止め、強壮剤のミックスらしい。

ひと眠りして起きると、ずいぶん体が軽くなっていた。変身中の気分や明け方の体調などいくつか質問されて答えると、セブルスは細かい字でみっちりとメモを取っている。この几帳面な努力の積み重ねが、魔法薬や呪文の開発につながるのだろう。

汗でべたつく体を流したくなり、「シャワー使わせてくれるかな?」と聞いたら、「自分の部屋に戻って使え。朝食はきちんととって、今日は一日ゆっくり休め」と言って追い出された。あいかわらず言葉はぶっきらぼうだけど、昨夜から今朝までのセブルスは、こんな親切な人はいないのではないかと思うくらいいい人だった。そういうことを言うとまたへそを曲げられるのはわかっているので、「ありがとう、セブルス」とだけ言って自分の部屋に戻った。

シャワーの水圧が心地よい。変身の翌朝だというのに、新しい傷はない。自らの体を苛むこともなく、人を襲う不安もなく、見守る人の足元で眠る変身。目覚めたら回復薬にシャワー。けだるさは残るが、前回までの辛く苦しいだけの満月時とは天と地ほども違う。セブルスのおかげだった。

変身後のけだるさが抜けると、私は気分よく毎日を送れた。生徒たちが楽しく防衛術を身につけられるよう、授業にも工夫を凝らした。こんな楽しい仕事は初めてだ。ジェームスの遺児、ハリーの姿を間近に見られるのも嬉しいことだった。

ハローウィンの日、一人廊下を歩くハリーを見かけて呼びとめると、他のみんなはホグズミードに出かけたがハリーは外出許可をもらえなかったようだった。部屋に招き入れお茶を出してあげた。ハリーの顔が少し物思わしげだったのでどうしたのか尋ねると、ボガートの防衛術の授業で、ハリーにボガートを出させなかったのを気にしていたらしい。


「それはね、ハリー、君に対面してボガートがヴァルデモートに姿を変えるのではないかと思ったからだよ。みんながヴァルデモートの姿を見てパニックになるといけないからね。」

「僕も初めはヴァルデモートのことを考えたけれど、そのあと、ディメンターを思い浮かべました。」

「そうか。そうだったんだね。素晴らしいことだよ。君が恐れたのは、恐怖そのものだったということだ。君は賢い子だね、ハリー。」

話しているとドアがノックされて、セブルスが入って来た。脱狼薬のゴブレットを持っている。話しているうちに約束の時間を過ぎてしまった。

「やあ、セブルス、ありがとう。机の上に置いていってくれないかな?」

セブルスは部屋の中にハリーがいるのを見て、いぶかしむ目つきになった。

「ハリーにグリンデローを見せてあげていたんだよ。」

タンクを示しながら快活に説明したが、セブルスはタンクに目をやりもしないで言った。

「すばらしいことですな。とにかくこれを今すぐ飲め、ルーピン。」

「わかった、わかったよ。」

「もし必要なら一鍋つくってあるが。」

「明日またもらうよ。ありがとう、セブルス」

「どういたしまして。」

おおかた、私がハリーをシリウスに引き渡すとでも疑ったのか?気がつくとハリーが好奇心いっぱいの眼でゴブレットを見つめていた。

スネイプ先生が親切に薬を作ってくれたんだよ。私は複雑な魔法薬は作れなくてね。」

一口すすると、うう、、苦い!

「残念ながらこの薬は、砂糖を入れると効かなくなってしまうんだよ。」

「どうして、、?」

ハリーが聞き終える前に答えた。

「私は顔色が悪くてね。この薬しか効かないんだよ。この薬を作れる魔法使いは少ないからね、私はスネイプ先生といっしょに働けて運がいいんだ。」

ハリーはしばらくゴブレットをすする私を見ていたが、意を決したように言った。

スネイプ先生は闇の魔術に対する防衛術の先生になりたがっています。その席を手にするためなら何だってするという人もいます。」

ハリーが疑っているのは、私の正体を明かすこの薬の中身、ではなくて、セブルスのことのようだ。説明するわけにはいかないし。セブルスの親切はわかりにくい。報われないことだ。それともこれはジェームス親子とセブルスの宿命的な相性の悪さといったものか?

「あー、まずかった。ではハリー、私はそろそろ仕事に戻ることにするよ。夕食でまた会おうね。」

******************

時間通りに現れないルーピンに業を煮やして脱老薬を持っていくと、ポッターがいた。あれではまるで私が親切に薬を作って持って行ってやったように見えるではないか。もちろん、それはその通りなのだが。

しかし、人気の少ない校内で、なぜルーピンの部屋にポッターがいる?ブラックにポッターを引き渡すための画策で、ポッターを手なづけているのではないか?ルーピンは一人でいれば別に悪意のある者ではないが、ブラックが絡めば話は別だ。友情のためには何にでも目をつぶるのがルーピンだ。

今日はハローウィン。リリーの命日。そして、、ホグワーツでは毎年ぶっそうな騒ぎが起こる。今年は穏やかに過ぎるとよいのだが。

晩さん会が終わると、グリフィンドール寮の入口を守る「太ったレディ」の絵が切り裂かれ、レディが逃走していた。そしてゴーストのピーブスが騒ぎまわった。

「シリウス・ブラックがついに侵入した!」

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セブルス・スネイプの同窓会(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


ルーピンが部屋を出て行ってから、私はあらためてルーピンの言ったことを考えた。「リリーは私が反省して戻るのをまっていた。ルシウスのもとに行った私を見てあきらめた。」

リリーは、暗闇の中に一人放りだされたような惨めな子供の頃、たった一つ見つけた灯火だった。私の話しに耳を傾けてくれる者、私に微笑みかけてくれる者。私の痛みを気にかけてくれる者、ともに希望を語れる者。リリーを得て初めて私は自分が世界に存在することを認められたと感じられたのだ。ポッターのように、リリーを自分のものにしたいなどと思っていたわけではない。ただ、私の生活の中に、リリーにいてほしかっただけだ。リリーのいない世界に私の居場所などなかったのだから。

そのリリーに決別を告げられた時、私には闇の魔術しか残っていなかった。リリーと知り合う前の子供の頃のように。それしかなかったから、闇の魔術をきわめればリリーが戻って来てくれると思い込んで心血を注いだが、とんだ間違いだった。そんなことをする代わりに、私は闇の魔術に魅せられているけれど、それはマグルやマグル出身の魔法使いを痛めつけるためではなく、身を守るため、そして純粋にアートの美しさにひかれるのだと、わかってもらえなかったかもしれないけれど、伝える努力をすればよかったのだ。

再び暗闇に一人投げ出されてしまった私に、手を差し伸べてくれたのがルシウスだった。ルシウスは闇の住人だ。リり―のように私の世界に美しい灯りをともしてくれたわけではないけれど、大きな力で包み込んでくれた。あとになって、ルシウスが手を差し伸べたのは、闇の魔術に長けた私をしっかりと陣営に引き入れるためだったと気づいたけれど、それから16年、つないだ手を離すことなく包んでくれた。

いずれにしても、私の過ちはリリーの命を奪うほどの大事になってしまった。戻る術もなく、謝ることもできない。私にできることは、ただ残された息子の命を守ることだけなのだ。

やり直す術のない過去を引きずりだすルーピンが疎ましかった。しかし人狼が生徒たちに危害を加えぬよう脱狼薬を飲ませることが私の役割だ。そして、リリーを襲撃させた裏切り者のブラックをホグワーツに引き入れる手引をさせぬよう、見張っていなければならない。

****************************

それから毎日、同じ夕刻、脱狼薬を飲みにセブルスの部屋に向かった。初日の次の日、体の具合を尋ねたら著しくご機嫌を損ねたので、その後初日の気絶については言及しないことにした。

私は満月が近付くにつれて体調が悪くなり、けだるくてたまらない。脱狼薬を飲んでの変身は初めてだから、不安と緊張で、どんどん神経質にもなっていった。

「ルーピン、脱狼薬というのはだな、お前の生命力を最低レベルに弱めることで狼の活力を抑え込むものなのだ。免疫力も弱っているから、怪我や病気にも弱い。だるくなったらあきらめて休んでいろ。」

満月の当日、最後のゴブレットをようやく飲み干してテーブルに突っ伏した私に、セブルスが講義調に説明する。

「ねえ、セブルス、こんなに弱って、私は変身に耐えられるのかな?変身の苦痛で死んじゃったりしない?」

「残念ながらまだ、副作用を抑えるほどには開発されていないのだ。」

情緒不安定なうえに、頼れるのはセブルスだけなので、我ながら甘ったれて駄々をこねる子供のような口調になる。そんな私に、セブルスは自分の責任かのように答えてくれた。

「もう少ししたら叫びの屋敷に行くから、君がきちんと施錠してくれるよね?死んで出られないかもしれないから、翌朝には見に来てくれるよね?」

「叫びの屋敷に行く必要はない。今夜はここの寝室で夜を明かせ。」

「そ、そんなことはできないよ!狼が君を襲うかもしれないじゃないか。いやだ!人を襲うくらいなら死んだほうがましだ!」

「ルーピン、おまえは私をバカにしているのか?私が調合した脱狼薬を信用しないということだな。一歩間違えば死ぬほどの劇薬を飲ませた者に対して、私が責任を取らないとでも思うのか?」

「だけど万一ということもあるよ。君だって、そう言いながらこわくてテンパってるじゃないか。」

セブルスはムッとして杖を取りだした。

「万一のときには私がこの杖で殺してやる。」

今にもアヴァダしそうな顔で言うので、私はおとなしく黙った。セブルスはしもべ妖精に言いつけて食事を運ばせ、

「食欲はないだろうが、少しでも食べておけ。」

と言った。ちびちびとスープを舐めながら脱出の機会をうかがい、隙を見てドアに駆け寄ったが、そこで引きづり戻され、寝室に放りこまれた。もう月が上がる時間だ。私は観念して部屋のすみにいき、しぶしぶ服を脱いでうづくまった。セブルスは寝室に静寂呪文をかけると、ドアに張り付いて杖を向けたまま私を監視している。

そしてまもなく、体の奥から、体を打ち破るような狼のうごめき。自分の腕が狼の毛皮に覆われ、前足になっていくのをこの目で見た。それはやはりショックだった。何度となく繰り返してきた変身だが、変身した自分の姿の記憶はないのだから。それでもたしかに、私の、人間の意識がこの体を支配している。走りたいような、吠えたいような、襲いかかりたいような、狼の意識の圧迫は感じるけれど。意識を圧迫される、、それも不思議な感覚だった。ドアに張り付いて脂汗を流しているセブルスに話しかけた。

「セブルス、私はどうやら人間の意識を保っているよ!」

しかし聴こえてきたのは、ウォーン、ウォーンという狼の吠える声だった。セブルスは顔を引きつらせてのけぞっているので、アヴァダをかけられてはいけないと、尻を向けて尻尾を丸めこんで見せた。

「ル、ルーピン、意識はあるか?」

あるよ!セブルス、声が裏返っているよ!

「ウォーン、ウォーン、ウォウォーーン」

急いで頭でうなづいて見せた。セブルスは片手に杖をかまえたまま、部屋の隅に置いてあったデカンタから皿に水を入れて、私の近くに押しやった。

「水を飲め。」

ちょうど渇きを感じていたのでありがたい。舌でペチャペチャと水を飲むと、セブルスはようやく安心したように近付いてきて、おそるおそる背中の毛皮をなでてくれた。

「まるで犬だな。」

「ウォーン」

飛びのきそうになるセブルスの足に鼻先をのせて、そのまま丸くなった。

「甘えるな、狼。」

セブルスはそう言って足を引き抜くと、アームチェアーに行って腰かけた。私も着いていき、足元に丸くなる。セブルスは蹴飛ばしたりしないで、頭を撫でてくれた。

ダンブルドアの言葉を思い出す。

「セブルスはおまえには優しいからの、リーマス。安心してホグワーツに来るがよいぞ。」

私はセブルスの足元で、安心してうとうとと眠りに落ちる。誰かに見守られて眠るというのは、なんと安らぐことだろう。もう、一人ぼっちの私ではないのだと思うと同時に、体のどこかから、狼の満足げな意識が感じられた。狼もまんざらではないらしい。

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セブルス・スネイプの同窓会(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


月末が近づき、まもなくルーピンが来てから初めての満月の夜が来る。脱狼薬の調合がもう少しで終わる頃、ルーピンが部屋にやって来た。

「セブルス、脱狼薬をもらいに来たよ。少し早いけれど、調合する姿を見たいと思ってね。」

「そこに座って待て。」

私はルーピンをソファに掛けさせ、最後の仕上げで丁寧に鍋をかき回した。魔法薬の調合は、最後まで気を抜いてはいけないのだ。

「君は昔から調合が上手だったね。魔法薬の授業で君の器用な手さばきを見ると人間技とは思えなかったよ。」

「人間でないのはおまえだ、人狼。」

「君はリリーと2人でよく鍋をのぞきこんでいたよね。」

突然リリーの名が出て、私は心臓が止まりそうになった。動揺を隠し、ちょうど出来上がった薬をゴブレットに入れてルーピンに差しだす。

「飲め。」

ルーピンは取り上げたゴブレットをこわごわと口につけたが。

「うひゃー!苦いっ!ねえ、セブルス、君これ飲めるの?砂糖入れていいかな?」

「私は飲む必要がない。ルーピン、私は脱狼薬をつくるために、何日も書物を読みあさり、苦労して適した薬草を入手し、マダム・ポンフリーからお前の体重をきいて、細心の注意を払って時間をかけて調合したのだ。それを砂糖を入れてだいなしにしたいというのか?」

「ごめんね、セブルス。感謝してるよ。ただあまりにも苦くて、うげっ。」

ルーピンは無駄口をたたきながら、ちびりちびりと、少しずつ飲み込んでいる。

「生徒たちはかわいいし、おしえるのは楽しいね。うぐっ」

「ボガートを使って私を笑い者にするのはさぞかし楽しかっただろうな。」

「そんなつもりはなかったんだよ、うひゃっ、ネビルに自信をつけてあげたくてね。」

私は相手にするのをやめて、ただゴブレットの減り具合を監視した。

「ハリーに会ったよ。ハリーは、、リリーに似ているね。優しくて勇敢で。」

「ポッターの話など聞きたくない!」

「確かに見た目はジェームスに似ているけど、性格はリリーに似ているよ。瞳の色も。君はリリーと仲がよかったじゃないか。うぐっ」

リリーの名前を連発するのはやめろ、心の中で叫びルーピンをにらみつけた。

「リリーは君が帰ってくるのを待っていたんだよ。それなのに君はルシウス・マルフォイのもとに行ってしまったんだ。」

「なんだと?」

「6年生の時にリリーが君と口をきかなかったのは、ジェームスが君をかまうのをやめさせたかったからさ。それにもちろん、君が反省してくれるのも望んでいたよ。」

リリーが、リリーが私が戻るのを待っていただと?それでは私たちはまた友達に戻れたのか?、、、私は動揺のあまり目まいがしてきた。

「なのに君がマルフォイの、、、恋人になったときいて、、、セブルス、セブルス、どうしたんだ?」

床が揺れ、ルーピンの声が遠のいていった。

*************************************

突然崩れるように倒れ始めたセブルスを、なんとか抱きとめ、黒いローブに包まれた体の軽さに驚いた。食うにも困るような惨めな生活をしていた私と違い、セブルスはホグワーツの教授としてずっと恵まれた生活をしていたはずなのに、この軽さはなんだろう?

とりあえずセブルスをソファに横たえた。苦しそうに寄せられた眉間のしわ、額には汗がにじんでいる。ハンケチで押さえながらじっと顔を眺めると、、、こういう機会でもなければどんな辛辣な言葉が返ってくるかわからない、、、ほとんど学生時代のままに見えた。多少しわと陰りが深くなった程度だ。

ダンブルドアから闇の魔術に対する防衛術の教授に招聘されたとき、セブルスが脱狼薬をつくってくれるときいて、どんなに嬉しかったことか。結局のところ、人狼の私の正体を知っても忌避せずにいてくれたのは、仲間を除いてセブルスだけだった。しかも私の忌まわしい変身の姿を見ているのに。それがどんなに稀有なことだったか、卒業後に世間の風にあたり、身にしみて実感した。

脱狼薬も、ダンブルドアに言われたとはいえ、憎んでいるだろう私のために、渾身こめて最良のものを煎じてくれたのだろう。味はひどいけど。そういうセブルスの美点を見抜き、認めていたのはリリーだけだった。

あの日、愛する友をすべて一瞬にして失ってから、ただ一人残った、友達とは言えないけれど人狼の私を受け入れてくれた人に、特別な感情を持ったとて不思議はないだろう。学生時代にはかなわなかったけれど、私はずっとセブルスと親しくなりたかったのだ。同級生というのは不思議なもので、久しぶりに会うと、会わなかった何年もの年月がなかったかのように、当時の感情を呼び起こす。私にとっては友達になりたかった彼だが、彼にとって私は憎い敵の生き残りなのかもしれない。

それにしても、私の話の何がセブルスに気絶するほどの衝撃を与えたのだろう?私はただ、共通の知り合いで憎しみの対象ではなかったリリーの話をきっかけに、勇気はなかったがリリーと同じように君のことを思っていたと話したかっただけなのだけれど。

セブルスがかすかなうめき声をあげたので、私は気付けにブランデーを注いで、そっと肩を揺すった。

「セブルス、これを飲んで。」

セブルスはまだ、何が起こったかわからないようなぼんやりした顔をしている。背中を抱き起すと素直にグラスを受け取って飲んでいたが、回復するとテーブルに目を向け、脱狼薬のゴブレットを確認した。

「脱狼薬はぜんぶ飲んだよ。砂糖入れずにね。」

「そうか。用がすんだら出て行け。」

あんまりな言い様だとは思ったけれど、一人にしてほしいと全身で訴えているようだったので、私は立ち上がりドアに向かった。

「明日また同じ時間に来るよ。君もゆっくり休むんだよ。ありがとう、セブルス。」

予想通り、返事はなかった。


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セブルス・スネイプの同窓会(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


新年度初日、入学式当日にルーピンがホグワーツにやって来た。生徒たちと同じ特急で来たから、会話を交わすこともなく式の職員席に着いた。

ルーピンは学生時代よりさらにシャビーになっていた。継ぎはぎのローブ、鳶色の髪には白髪が混じり、あいかわらずの青白い顔には傷跡が残っている。昨夜は満月で、変身後の傷ついた体を引きずってたどりついたというところだろう。年に12回の満月の夜。子供のころから実に300回以上の変身を経験したことになる。学生時代に見た、満月明けの傷だらけの体が思い出された。あんなことを300回も繰り返す人生というのは、どんなものか想像もつかないが、年より老けるのは当然だろう。

新入生の組み分けが終わると、ダンブルドアは生徒たちに歓迎の祝辞を述べた。そして魔法省の要請でアズガバンの看守をしているディメンターがホグワーツの出入り口にいることになったこと、そのため生徒たちは許可なく校外に出てはいけないこと、ディメンターとの接触は危険だから避けることを生徒たちに告げた。

ダンブルドアは続けて新任教授、ルーピンを紹介した。生徒たちからはまばらな拍手。あのシャビーな身なりでは無理もなかろう。

職員席に並んで座るルーピンに目を向けると、否応なく、学生時代の様々な苦い思いが蘇る。人気者の上面に傲慢で陰険な本性を隠していたポッターとブラック、腰ぎんちゃくのペティグリューに、、、見て見ぬふりのルーピン。

彼らとの諍いの中でリリーに決別を告げられ、こともあろうにポッターと結ばれたリリーはブラックの裏切りで命を落とした。もちろん、私の過ちと罪は逃れようもないが、すべてを投げうっても救いたかったリリーを助けられなかったのは、ブラックの裏切りとそれに気づかず信じたバカなポッターのせいだ。ルーピンは必ずブラックと通じるだろう。ダンブルドアは信じているというが、ルーピンはいつだって、何より彼らとの友情を優先させてきたのだ。彼らの悪事から気弱に目を逸らして。今度はそうはさせぬ。ブラックの手引をする瞬間を必ずとらえてやる。湧きあがる憎しみに、知らぬうち、ルーピンをにらんでいた。神経が苛立ち、頭がズキズキと痛んだ。

ダンブルドアに、リーマスのことをよろしく頼むぞと耳打ちされて部屋に戻ると、すぐにルーピンがドアをノックした。

「入れ。」

頭痛を堪えて招き入れると、ルーピンは子犬がすがるような気弱な笑みを浮かべていた。ふん、ほんとは狼のくせに。

「セブルス、久しぶりだね。君が脱狼薬を作ってくれるんだね。ありがとう。脱狼薬なんて私にとっては夢のようだよ。」

「ルーピン、ダンブルドアの命令だから脱老薬は作るが、おまえにファーストネームで呼ばれる筋合いなどない。」

「でも、、スネイプと呼ぶと昔のことがいろいろと思いだされてね。君にはすまないことばか、、」

「無駄口をたたくな。思い出話をするつもりはない。脱狼薬は満月の1週間前からつくるから必ず時間通り取りに来い。それからブラックを引き入れるつもりだろうが、そうはさせないから覚えておけ。」

「シリウスを引き入れるつもりなん、、」

「ダンブルドアはだませても、私はだまされないぞ。用件はすんだ。帰れ。」

「セブルス、話を、、。」

私は杖を振ってドアをあけた。ルーピンはまだ何か話したそうだったが、「では満月の1週間前にまた来るよ」と言って、肩をすくめて部屋を出ていった。ひどい頭痛をこらえてようやく眠りについたが、浅い眠りに見た夢は、憎いブラックでも変身したルーピンでもなく、満月の翌朝傷だらけの体で雪の上に倒れていた少年の姿だった。


もう1人の新任教授、魔法生物飼育学のハグリッドは、悪い奴ではないが頼りないと思っていたら、最初の授業からヘマをしでかした。3年生の授業で、危険なヒッポグリフのバックビークを扱い、ドラコに怪我をさせたのだ。かわいそうなドラコは、一瞬にしてバックビークの鉤爪に打ち倒され、血だらけになったという。なんとか止めたというが、バックビークに攻撃されれば命にかかわることにもなりかねない。最初の授業に危険な生物を扱うなど、考えが足りないというほかなかった。

怪我は重かったらしく、週後半の魔法薬学の授業にも、ドラコは包帯を巻き腕を吊った痛々しい姿で現れた。縮薬の材料、デイジーの根を片手では切れないので、同じ机のウィーズリーにドラコの分も切ってやるように言うと、おそろしく大雑把に切ってドラコに渡すので、自分のものと代えるよう言いつけた。萎びイチジクの皮をむくのも無理なので、それはポッターにやらせた。

近くの鍋では、ネビル・ロングボトムがまたバカな真似をしていた。言われた通りにすれば緑色になるはずの液体が、、、オレンジ色になっていた。なぜ名門ロングボトムの純血魔法使いが、愚かなことばかり繰り返すのか。私の話をきちんときいて注意深くやればできるはずなのだ。自覚を促すために、できあがった魔法薬を、ロングボトムのペットのカエルに飲ませると言いつけた。うまくいけばオタマジャクシになるが失敗すればまたロングボトム得意の惨事を引き起こす。でしゃばりのグレンジャーがロングボトムを助けると口を出してきたが、それでは本人のためにならないのがわからないのだろうか?

魔法薬が完成し、ロングボトムの薬をカエルに飲ませると、、、私の掌でオタマジャクシがはねていた。グレンジャーがこっそり教えていたに違いない。私は教授の指示に従わないグリフィンドールから減点をとって授業を終了した。

しばらくすると、一部の生徒たちが私の顔をみてくすくす笑っているのに気がついた。闇の魔術に対する防衛術の授業で、ルーピンがボガート(まね妖怪)を扱い、ロングボトムがもっとも恐れるもの、つまり私の姿に変わったボガートを、ネビルの祖母オーガスタス・ロングボトムの服装に変えたのだ。つまりは、私、このスネイプ教授が、女性用の高い羽つきの帽子をかぶり、ドレスにハイヒールを身に付けた姿に。

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セブルス・スネイプの同窓会(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


荷物の中に脱狼薬に関する資料を加えて、私はマルフォイ邸にアパレートした。ルシウスは予想通りやや不機嫌だったが、私に話があるからと言って、さっそく2人で私の部屋に引き上げた。

言葉もなくベッドに倒れこみ体を満たした後は、私から探りを入れるまでもなく、ルシウスは「秘密の部屋」事件について話し始めた、というより、ダンブルドアとポッターを罵り始めたのだが。

「何もかもうまくいっていたのに、最後の最後でダンブルドアのタヌキ爺にひっくり返された。そのうえポッターの小僧に屋敷しもべ妖精のドビーまで奪われた。まったく腹の立つ話だ。」

ルシウス、落ち着いて。そんな言葉はあなたに似合わないよ。」

「そうだな、セヴィ。少し興奮してしまったようだ。」

「ポッターにドビーを奪われたって、何があったのです?」

「ポッターが私に日記の返すと言って何かくっつけて渡してきたのだ。そんなものは知らんと投げ捨てたらドビーが受け取ったのだが、それがポッターのくさいソックスだった。主人から衣類を贈られて、ドビーは屋敷から解放されたというわけだ。まったく悪知恵のはたらく小僧、、、少年だ。」

「そんなことがあったのか。」

それは気の毒だった。ルシウスは気に入った者に贈り物をするのは好きなのだが、奪われることは大嫌いなのだ。慰めるように背中をなでた。しかし聞きたいのはドビーのことではない。

「それで、その日記というのはいったい何なのです?」

「昔ダークロードから預けられた古い日記で、ホグワーツの秘密の部屋の怪物を呼び出す呪いの品だ。魔法省の調査が入って見つかったらまずいだろう?だからアーサー・ウィーズリーの娘の荷物に紛れ込ませて、事件が起こればダンブルドアをホグワーツから追い出せるし、娘の不始末でウィーズリーも魔法省から追い払えると思ったのだが。」

「しかしルシウス、ダークロードから預けられた品をそんなふうに扱って大丈夫なのか?」

「セヴィ、ダークロードは消滅したのだぞ。何も心配することはない。貴重な呪いの品が破壊されたのは残念だが。」

ルシウスはダークロード復活の可能性をまったく信じていない。いつかダークロードの怒りを買わなければよいが。若き日の記憶を宿した品をルシウスに預けたということは何か特別な意味のあるものだったのだろうか?

ダークロードの話がすんだら、あとは私たちのことだ。ただでさえ闇陣営への裏切りという秘密を抱えた身、できればルシウスとの間にほかのわだかまりは持ちたくない。

「ルシウス、気を悪くしないでほしいのだが、、」

「なんだ?」

「私は、、、教え子たちが石になるのを見るのは、たとえマグルの子であっても、あまり気持ちのよいものではなかった。」

ルシウスはしばらく考え込むように私を見て言った。

「そうか。お前は教師だからな、教え子に犠牲が出るのを見るのはいやなのだな。悪かった、セヴィ。お前の気持ちを考えなかった。」

ルシウスがあやまった!ルシウスが!こんなふうに答えてもらえるとは思わなかった。嬉しくなって唇を寄せると、ルシウスがふたたび、私に体を重ねてきた。


夏休みには、持ってきた脱狼薬の本や関係する論文を読みあさった。脱狼薬の開発はまだ新しいもので、研究の進展も思わしくない。魔法界で忌み嫌われている人狼のための研究に対する支援は魔法省を含めほとんどなかったし、研究者も少なかった。結局、人狼やその家族が自らの体で実験しながら研究した例がほとんどなのだが、彼らには、必要な薬剤を揃える金も学ぶ機会も不足していた。

細々と作られている脱狼薬は、人体の中で普段は静かに宿り、満月に反応して活性する狼の生命エネルギーを、主たる人体が死なない程度まで最大限弱めるという理屈で作られている。これにより、体の変化は避けられないが、変身中もなんとか人間の意識を保てるというものだ。しかし生命力を弱めるために使う薬剤は劇薬を含み、一歩間違えば人体を死に至らしめる危険もあるし、死なないまでも副作用は大きい。材料となる薬草の生育条件から、対象となる人物の体重・年齢・性別・人狼歴に応じての量の調節まで、手間暇がかかり、細心の注意が必要な調合だ。

引き受けた限りはプライドをかけて、現時点での最良の脱狼薬を作る。何度もホグワーツに足を運び、ようやく満足のゆく水準のものを作ることができた。

これでルーピンがホグワーツに来ても、生徒に危害は及ばないだろうとほっとした頃、予言者新聞に、シリウス・ブラックの脱獄が報じられた。

ディメンターの警護により、脱獄不可能といわれいたアズガバンの監獄。ディメンターに幸せな記憶を食われ、悪夢を増幅させられて、多くの囚人は発狂すると言われている。裏切ってリリーを死に至らしめたブラックがアズガバンに収監されて12年。なぜ今になってブラックは脱獄したのか?

ダンブルドアのつかんだ情報では、ブラックはポッターの命を狙ってホグワーツに向かっているらしい。こんなタイミングで親友だったルーピンをホグワーツに入れることは危険ではないかとダンブルドアに強く意見したが、耳を貸さない。

「わしはリーマスを信じておる。リーマスにとってハリーはただ一つ残された希望じゃ。おまえと同じようにの。」

「しかしルーピンは何よりブラックたちとの友情を優先していたではありませんか!ブラックのホグワーツへの浸入を助けるはずです!」

「言ったじゃろう、セブルス。わしはリーマスを信じておる。おまえとともにハリーを守るはずじゃ。」


夏休み終了前に開かれた教授会で、ダンブルドアはリーマス J.ルーピンのDADA教授就任を教授たちに告げ、人狼であることが生徒や父兄に知られぬよう協力を要請した。ミネルバとマダム・ポンフリー以外の多くから懸念や反対意見が述べられたのだが。

セブルスが脱狼薬をつくり、生徒に危険の及ばぬよう責任を持つから心配はいらぬ。そうじゃの、セブルス?」

私は苦々しい思いを飲み込んで、うなづくしかなかった。

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セブルス・スネイプの同窓会(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


夏休みに入り、ホグワーツをまさに出ようとしていたとき、ダンブルドアから呼び出しがかかった。

「セブルス、マイディア、よう来てくれた。夏はレモン・シャーベットが一番じゃの?さあ、遠慮せんで食べなさい。」

私がダンブルドアのマイディアでないことも、この愛想のよさは頼み事を装ったやっかいな指示の前触れだということもわかっている。

「アルバス、何かご用でしょうか?」

「お前も知っての通り、闇の魔術に対する防衛術の教授席が空いての、」

「それでは私が喜んで応募いたしましょう。」

「セブルス、マイディア、お前がDADAの教授になってしまったら、魔法薬学はどうなるのじゃ?」

「魔法薬学の教授を募集してはいかがですかな?」

「一歩間違えば爆発を起こす生徒たちに目を配りつつ、緻密なる薬学の深層を教えられるのはお前をおいてほかにおらん。」

「アルバス、本論をどうぞ。」

「それでじゃ、リーマス・J・ルーピンをDADAの教授に迎えたいと思っておるのじゃ。」

「ルーピン?リーマス・ルーピン?しかし彼は人狼ではありませんか。DADAの教授に適任とは思えません。」

「そんなことはないぞ、セブルス。リーマスはDADAでいつも優秀な成績をおさめておった。卒業後も、その必要上、十分な実践をつんでおる。魔法薬学は話にならんかったが。」

その昔、ルーピンと組んで行った魔法薬の授業を思い出しながら言った。

「魔法薬学が話にならなかったことには同意いたしますが、しかし、そういうことではなくて、好奇心いっぱいの生徒たちが集まる校内に、教授として人狼を呼び込むというのは賛成できませんな。そう考えるのは私だけではないでしょう。現に、私もあやうく襲われるところだったのを覚えておられるでしょう?」

「そうなのじゃ、それで前もっておまえに頼みたいことがあって呼んだのじゃ、セブルス。」

「と言いますと?」

「脱狼薬を作ってやってもらえんかと思っての。」

「脱狼薬?しかしそれは緻密な調合と材料管理が必要なために、あまり現実に用いられていないのが現状ですが。」

「その通りじゃ。お前のような優秀な者でなければできん代物じゃ。わしも、お前がおらなければリーマスを招聘しようなどとは思わなんだぞ。」

「ルーピンは、どうしていたのですか?つまり、その、、ポッターとペティグリューが死に、ブラックがアズガバンに行ってから。」

「やさしいのう、セブルスは。おまえの心配通り一時はひどく落ち込んでの、ようやく立ち直ってからも知ってのとおりの人狼差別で苦労しておる。」

「別に心配などしているわけではありませんがね。」

「かわいくないことを言うでない、セブルス。リーマスが卒業できたのは、おまえが口をつぐんでやってくれたおかげじゃ。」

たしかにあの時、ホグワーツを追い出されれば行く場所のない者だと、自分と同じ境遇に憐れみを感じた覚えはある。少し考え込んでいるとダンブルドアは勝手に話を進めた。

「おまえはリーマスにはやさしいからきっと引き受けてくれると思っておったぞ。優秀なスネイプ教授が責任を持って変身時の管理をしてくれると言えば、リーマスも職員会も説得できるじゃろう。」

「これからルーピンを説得するのですか?」

「実はもう誘ったのじゃが、人狼が校内に入ることの危険を最も懸念しているのがリーマスじゃ。あの不幸な出来事のときも、自殺しかねん落ち込みようじゃった。」

次の満月の翌朝、傷だらけの体で雪の上に倒れ、すがるようにあやまってきた姿を思い出した。

「ほお、知っておったのじゃな?それでは決まりじゃ。調合の準備が必要ならいつでも教室を使ってよいからの。」

うまく丸めこまれた感はあるが、ダンブルドアが望んだ限り、校長室に入った時点で結果は決まっていたようなものだ。ルーピン。ルーピンに悪い感情は持っていないが、同時に呼び起こされる記憶は苦々しいものばかりだ。リリーを埋葬したのも、ルーピンだった。

引き受けてしまったものはしかたがない。新年度が始まる前に、脱狼薬を研究して、間違っても生徒に危険の及ばぬよう万全を期すことにしよう。

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スネイプとポッターと秘密の部屋(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クリスマス休暇に予言者新聞を読んでいたら、アーサー・ウィーズリー氏がルシウスにマグル自動車に魔法をかけたかどで訴えられ、50ガロンの罰金を課せられたという記事があった。夏休みにルシウスが、「アーサー・ウィーズリーとダンブルドアが痛い目にあう」と言っていたことを思い出し、ふと不安がよぎった。ウィーズリー氏への意趣返しがこの程度ならたいしたことはないが、ダンブルドアに対して何を企んでいたのだろう。

休暇が明けると、グレンジャーがしばらく医務室にいることがわかった。生徒たちは「秘密の部屋」との関係をささやいていたが、猫に変身しそこなったのだ。ポリジュースの失敗とすぐにピンと来た。昨年の薬学授業でのふくらみ薬爆発騒ぎは、やはりポッターたちが絡んでいたのだ。ポッターかウィーズリーが騒ぎを起こし、グレンジャーがその間に私の薬剤を盗んだわけだ。彼らも何か企んでいる。

年が明け、しばらくすると校内の雰囲気は明るくなってきた。フィンチ―フリッチリーとほとんど首なしニック以来、犠牲者が出ないことに安心したのだ。この際いっきに盛り上がろうという、ロックハートのバレンタインデー騒ぎはいただけなかったが、それでもしばらくは、表向き平穏な生活が戻った。


しかし、クィディッチ試合の当日、事件は起こった。グレンジャーとレイブンクローのクリアウォーターという女生徒が、図書館の近くで石化した姿で発見されたのだ。

ミネルバは生徒たちを集め、試合の中止、当面授業以外は寮からの外出禁止、トイレも先生がつきそうことを告げた。これ以上犠牲者が出たら、ホグワーツは閉鎖の危機に陥る。

まもまく、事件の深刻化を受け、50年前の事件に関わっていたとされるハグリッドが魔法省に拘束され、ダンブルドアが停職になった。ルシウスをはじめホグワーツの理事たちが、危険を食い止められない校長を認められないと署名したためだ。

私のなかで、ルシウスが事件に絡んでいるのではないかという懸念がふくらんできた。純血主義のルシウスは、マグル出身の生徒たちにも広く門戸を開放し生徒たちの融合をはかるダンブルドアの方針に真向から反対してきた。ダンブルドアをホグワーツから追い出すということはルシウスの念願だったといってもよい。それがこの事件をきっかけに、半ば叶ったのだ。ルシウスが起こした事件であれば、すっきり筋はつながる。

しかし、実際に生徒たちを石化しているのは、「スリザリンの継承者」。ルシウスは違うし、当然ドラコも違う。ダンブルドアは、前回の事件の犯人はトム・リドル、若き日のダークロードだと言っていた。今のところルシウスがダークロードとつながっている気配はないと信じているが、念のため、私がダンブルドアの停職を内心喜んでいるとルシウスに思わせておくほうがよいのだろうか?ルシウスを探りたいところだが、戒厳下のホグワーツを離れるわけにもいかない。もどかしいことだ。そして、主人であるダンブルドアと、恋人と思うルシウスとの板挟みになるとは複雑な立場を選んでしまったものだと思うが、現実問題としては、校内の見張りを強化することくらいしかできることはなかった。

ダンブルドアのいないホグワーツは戒厳状態となり、皆が怯え、ピリピリとしている。そんな中、ドラコが脳天気に「ダンブルドアの停職は父上がやったことだ。後任の校長にスネイプ先生立候補されては?」などときいてくるので、「ダンブルドア校長は戻られる」と言いつつ、あいまいに微笑んでおいた。

この時私ははっきりと、ルシウスに反することになっても、ダンブルドアが戻ることを望む自分に気がついた。ダンブルドアがいなければ、ポッターは守れない。それに、可愛いわけではないが、生徒たちが石化されるのを見るのは、、、なんと表現すべき心情かはわからないが、とにかく見たくないのだ。

まもなく、決定的な事件が起こり、ミネルバが教職員を集めて告知した。

「生徒たちを家に帰し、ホグワーツを閉鎖します。生徒が一人秘密の部屋に連れ去られました。最初に文字が現れた壁に、『彼女の白骨は永遠に秘密の部屋に横たわる』と書きくわえられました。」

連れ去られた少女は、ジニ―・ウィーズリー。ルシウスの心をのぞいたときに見た風景が浮かんだ。あのときからルシウスが企んでいたのだ。「ウィーズリーとダンブルドアが痛い目にあう。」

少女を助けなければならないが、ルシウスの企みにダークロードが絡んでいる可能性を考えると、私が率先して向かうわけにはいかないが、さてどうしたものかと思っていると、ちょうど遅れたロックハートが会議室に入ってきた。

「おう、適任者がいらっしゃった!ロックハート、まさに適任だ。生徒が秘密の部屋の怪物に連れ去られた。まさにあなたの出番ですぞ。」

他の教授たちも、口々に賛成した。ロックハートは、ハグリッドが拘束された後、秘密の部屋の入口を知っているだの、怪物と対峙するチャンスがなくて残念だったのと、大口をたたいていたのだ。

ロックハートが「よろしい、ではさっそく」と引きつった笑顔を残して去っていくと、ミネルバが言った。

「これで厄介払いができました。では各寮に戻って生徒たちに明日帰宅するよう伝えてください。」


しかし事件はその日のうちに解決した。ポッターとロナルド・ウィーズリーが秘密の部屋の怪物を退治し、とらわれていた少女を助け出した、というのが公けの発表だった。

あとでダンブルドアから説明を受けた。現在ヴァルデモートはアルバニアにいて関わりはなく、今回の件を起こしたのは、若き日のヴァルデモート、トム・リドルの記憶だったということだ。トム・リドルの日記の呪いに動かされたジニ―・ウィーズリーが、意識がないまま石化事件を起こしていた。ポッターは秘密の部屋に入り、トム・リドルの記憶が操る怪物バジリスクを倒し、日記を破壊することでトム・リドルの記憶を消滅させ、ジニ―・ウィーズリーを救出したということだ。

「わしの不死鳥、フォークスも少々手助けはしたがの。ハリーは勇敢に立ち向かう力をつけてきておるぞ。」

ダンブルドアは満足そうだった。ポッターの無謀さは気がかりだが、しかし予言によれば、ポッターこそがダークロードを倒すのだ。その日までダンブルドアに従いポッターの命を守るのが私にできるリリーへの贖罪だ。

ダンブルドアは校長に復職し、後日ルシウスが理事を退任させられた。ダンブルドアは言及せず、私も報告しなかったが、ルシウスがジニ―・ウィーズリーの鍋に滑り込ませた手帳が、秘密の部屋の扉を開く呪いの品だったわけだ。

マンドレイクが育ち、作った魔法薬で石化していた生徒たちやフィルチの猫、ゴーストも、元気に回復した。祝賀を兼ねた晩さん会はパジャマで行われ、みながはしゃぐ中、秘密の部屋の怪物を退治したポッターとウィーズリーに200点ずつが与えられ、今年のハウスカップもグリフィンドールの手に渡った。それから、ロックハートが去ることになり、闇の魔術に対する防衛術の教授席がまた空いたと発表された。

ドラコは肩身の狭い思いをしている。またもみんなのヒーローになったポッターを見るのは忌々しいが、それでも無事でよかった。生徒が元気な顔をそろえ、明るくはしゃぐのは、うるさいがほっとする景色だった。

「リリー、君の息子はまた1つ試練を乗り越えて成長したようだ。」


夏の日は瞬く間に過ぎ、まもなく夏休みに入る。マルフォイ邸に帰ったら、ルシウスにも今回の件を詳しくきいてみよう、おそらく不機嫌になるだろうが。ダンブルドアとルシウスの直接対決はダンブルドアに軍配が上がって終わり、ルシウスもしばらくは手を出さないだろう。ダークロードが復活するまでは。

ルシウスへの想いは変わらなかったが、今回の事件で、生徒たちの命が危険に晒されたことは心に引っかかった。生徒の命の危険を気にもかけないルシウス。いや、私も以前はそうだったのだが。ダンブルドアに従い、リリーの忘れ形見の命を守るうち、変わってきたのは私なのだ。覚悟していたことではあるが、近い将来ダークロードが復活したときのことを考えて、ルシウスにも接しなければなければならない。身も心もルシウスに任せていた私には、もう戻れないのだ。

考えると少しだけ気が重くなったが、それでもやはり、ルシウスに会うのが待ちきれない思いだった。

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スネイプとポッターと秘密の部屋(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


コリン・クリービーの石化の話が広まると、生徒たちは、次は誰が犠牲になるかという話で持ちきりになった。マグル出身や親マグルの生徒たちはピリピリと怯えを隠さない。

12月の第2週には、クリスマス休暇にホグワーツに残る生徒の登録が行われたが、今年はポッター、ウィーズリーグレンジャーに加え、ドラコにクラッブ、ゴイルまでが登録した。ドラコはルシウスに怒られるのがこわいのだろうが、ナルシッサが寂しがるだろう。クラッブとゴイルはドラコに従ったということだ。ドラコたちはともかく、秘密の部屋が開いて危険なポッターたちは、家があるのに、なぜクリスマスを自宅で過ごさないのか。今年はポッターがいようがいまいが、私は当然居残りだが。

魔法薬学の時間に怪しい出来事があった。スリザリンとグリフィンドールの合同授業中、ふくれ薬を作っていた時に、ゴイルの鍋が爆発したのだ。飛び散ったふくれ薬のせいで、近くにいたスリザリン生中心に多くの犠牲者が出た。つまり顔や手が膨らんでしまった。準備していたぺしゃんこ薬を与えてからゴイルの鍋を調べると、ウィーズリーの双子のいたずら花火のカスが残っていた。

「犯人がわかったら、必ず退学にさせてやるからな。」

こんなことをするのはポッターに決まっている。ポッターをにらみつけながら言ったが、困惑したような顔を作って空とぼけていた。あとで私用の薬剤庫を調べると、二角獣の角の粉末と、毒ツルヘビの皮の千切りがなくなっていた。ポリジュースの材料だ。今度は何を企んでいるのだ?


翌週ダンブルドアに呼び出され、ロックハートが決闘クラブを生徒に指導するから、手伝ってやってくれと言われた。なぜ薬学教授である私がロックハートのお守りまでしなければいけないのかと尋ねると、

「しかしセブルス、知っての通り、ギルデロイは先月ハリーの腕の骨を溶かしたじゃろう?ヴァルデモートならずとも命の危険は防がねばならぬからの。もちろん他の生徒もじゃ。」

ポッターはダークロードのみならず、ブラッジャーからもギルデロイからも狙われる。危険を引きつける磁石のような小僧なのに、本人に自覚がないから困る。

「わかりました。引き受けましょう。」

夕食後の決闘クラブには、多くの生徒が集まって来た。ロックハートがテーブルに上がり、にこやかに決闘の様式を説明した。そして教師、つまり彼と私のデモンストレーション。

「向かい合って互いに杖を向け、ワン、ツー、スリー!」

ロックハートの掛け声に従って「エクスペリアームス!(武器解除)」と叫ぶと、ロックハートが後ろに吹っ飛んだ。後ろの壁にぶつかって床に転げ、生徒が拾ってくれた杖を受け取りながらも説明を続けている。しかしもう一度決闘を見せる気にはならなかったらしく、生徒同士2人1組になるよう指示した。防衛力を身につけるには、親しい者同士より、適度に敵対した同レベルの生徒の組み合わせでなければ実力は付かない。私はロックハートのアシスタントとして、ウィーズリーはフィニガンと、ポッターはドラコと、グレンジャーはブルストロードと対にした。

「互いに向き合い、杖をかまえ、私がスリーまで数えたら武器解除の呪文を唱えましょう!武器解除だけですよ、事故にならないように。では、ワン、ツー、スリー!」

ロックハートが音頭をとって生徒同士の訓練が始まったが、すぐに大混乱に陥った。ドラコはくすぐり呪文をかけられてうずくまって笑い転げているし、ポッターはダンスを踊っている。ロックハートは「やめなさい!やめなさい!」と叫んでいるが、そんなことで興奮した生徒たちが鎮まるわけがない。

「フィニート・インカンターティム!(呪文よ終われ)」

私が叫ぶと皆静まったが、グレンジャーとブルストロードは収まらなかった。杖を投げ捨てて取っ組み合いをしていたからだ。なんとか引き離した。やり方がまずかったと悟ったらしいロックハートは、

「敵対的な呪文の止め方を勉強したほうがいいね、では」

と言って私のほうを見たが、ひるんだらしく方針を変えた。

「では1組、前に出て。ロングボトムとフィンチ-フレッチリー、どうだ?」

「それはまずいですな。ロングボトムの杖は単純な呪文でもひどいことを引き起こしますから。フリッチフレッチリーの残骸をマッチ箱に入れて医務室に送ることになりかねない。マルフォイとポッターはどうだ?」

この2人なら実力もあるし、ドラコはポッターにクィディッチの雪辱を果たせるだろう。

「すばらしいご提案です!」

ロックハートは、ドラコに杖をかまえるよう指示し、ポッターに止め方を教えているようだったが、杖を振りながら落としていた。私はドラコに危険のないよう、しかし腹を据えてかかれと耳打ちした。ロックハートが叫ぶ。

「ワン、ツー、スリー!」

ドラコは杖を上げ、「サーペンソーティア!(ヘビよ出でよ)」と叫んだ。

杖の先からは、黒い長いヘビが現れ、床に落ちた。生徒たちは悲鳴を上げて退き、ポッターは身動きできず立ちすくんでいる。

「動くな、ポッター。私が消してや・・」

「私にお任せを!」

ロックハートがしゃしゃり出て杖を振り回すと、ヘビは消える代わりに、空中に浮き上がり、また床に落ちてきた。怒ってシューと危険な音を立てている。まっすぐにフィンチーフレッチリーに向かい、鎌首を持ち上げ襲いかからんばかりだ。急いでヘビを消そうとしたとき・・・

ポッターがヘビに向かい何事か話しかけた。パーセルマウス。ポッターはヘビ語を解すのか?

「どういうつもりだ!」

フィンチーフレッチリーはポッターに向かって叫び、さっと振り返ると部屋を飛び出した。

私は前に出てヘビを消した。生徒たちにはざわめきが起こった。サラザール・スリザリンはパーセルマウスだった。それでは継承者は、、、ポッター?そんなことはありえない。母親のリリーはマグルの生まれだし、ポッターの父親とは何度も杖を向けあったが、パーセルマウスの気配などなかった。

翌朝、雪は吹雪に変わった。生徒たちはポッターがサラザール・スリザリンの継承者だと、怯えと怒りにざわめいていた。その夜、フィンチーフレッチリーと、ゴーストのほとんど首なしニックが石化した姿で発見された。そこにはポッターが立っていた。

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スネイプとポッターと秘密の部屋(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


スリザリンvsグリフィンドール戦の試合当日は、雷でも来そうな蒸し暑い日だった。ルシウスは早めにやって来て、プレゼントだと小さな包みを渡してくれた。開けると黒いボウタイと黒曜石のピンが入っていた。ルシウスは私のローブのボタンをはずし、シャツの胸元にルーズにタイを結びピンでとめてくれた。

競技場に向かい、職員席に並んで腰を下ろした。ルシウスは風で顔にかかった私の髪を掃ったりしている。皆がこちらを見ているように感じるのは、もちろん自意識過剰に違いない。

クィディッチの試合が始まった。我がスリザリンチームは高速箒の効果もあり次々と得点を上げていった。ドラコも快調だ。得点をあげるたびに、ルシウスが私の膝を軽く叩いたり、こちらを見て笑ったりしている。ポッターの箒が暴れている気配もない。隣のルシウスを意識しながら、スリザリンの快勝を信じ、楽しく観戦していた。

と、その時。ブラッジャーの奇妙な動きに気がついた。通常できるだけいろんな選手を狙っていくはずのブラッジャーが、しつようにポッターを追い続けているのだ。まるで磁石に引き寄せられるように。空中でもそれに気づいたらしく、ウィーズリーの双子がポッターを守る態勢に入った。まさかルシウスが何か企んでいるのかと様子をうかがったが、それらしき気配もなく、心をのぞいたが、ひたすらドラコとスリザリンの勝利を願っているようだ。他に誰か呪いをかけている者がいないかと探りつつ、冷や冷やしながらポッターの動きを見ていると。

よせばいいのに、ドラコがポッターをかまい始めた。ポッターがドラコに掴みかかるのかと思った瞬間、ブラッジャーがポッターを打ち付け、ポッターが落下し始めた!

「何があったのだ?」

ルシウスの問いに振り向いているすきに、ポッターは地面に転がり、しかし、スニッチを取ったと手を掲げている。死んではいないようだとほっとして出遅れている間に、ポッターの周りは人だかりとなり、ロックハートが治癒呪文をかけた。心配は募ったが、マダム・ポンフリーも駆け付けたようなので、彼女にまかせることにする。

「なんということだ、スリザリンが破れるとは。」

機嫌をそこねたルシウスをなだめて見送り、ポッターの無事を確認して、、といっても命は無事だがロックハートの治癒呪文により腕の骨が消滅したらしい、無謀なポッターにはよい薬だ、、部屋に戻って一息ついていると、泣きそうな顔のドラコがやって来た。

「セヴィ、スネイプ先生、父上が見に来られていたのに。絶対勝ちたかったのに、ポッターがスニッチを。」

「ドラコ、ソファに座りなさい。」

腰かけたドラコに、しかし慰める言葉など出てこないから黙っている。ドラコは。ポッターに負けて悔しい、父上に叱られると繰り返し、しばらくぐずっていたが、落ち着いてきたようだ。

「ポッターなんか、父親もいないくせに。」

「ドラコには立派な父上がいるのだから、次は期待に応えられるよう頑張りなさい。」

「うん。」

「ところで、ブラッジャーがおかしな動きをしていたようだが、何か気がついたか?怪我はしなかったか?」

少し探りを入れてみた。ドラコが何かしたとは思えないが。

「ブラッジャー?...そういえばポッターがスニッチを取りに来る前にブラッジャーに当たってたな。」

何も気づいていなかったようだ。ゆっくり休むように言って、ドラコを帰した。


その夜、また犠牲者が出た。カメラでポッターを追い回していたコリン・クリービーが、カメラを持ったまま石化したのだ。職員が集められ、ダンブルドアが「秘密の部屋が再び開かれたのじゃ」と宣言した。

前回はトム・リドル、、、若き日のダークロードの仕業だった。では今回も?あるいは他にもサラザール・スリザリンの継承者がいるのだろうか?今のところは石化に留まっているが、前回は死者が出たという。ポッターを守らなければと私は気持ちを引き締めた。

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スネイプとポッターと秘密の部屋(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


月の終わりはハローウィンの晩さん会が開かれる。死者の魂が戻るというハローウィン。リリーの命日。息子の無事な姿を確かめに、リリーの魂もホグワーツに来るだろうか?

去年のハローウィンはトロール騒ぎで散々な目にあった。三頭犬に噛まれた脚の古傷が痛む気がする。今年は何事もなく終わるとよいのだが。。。

大ホールの晩さん会に集う生徒たちを確認すると、ポッターがいない。ウィーズリーとグレンジャーも。どこで何をしているのだ?まったく、母親の命日だというのに、また規則破りの冒険でもして危険を買って出ているのか?こんな息子をかばってリリーは命を落としたというのに。何かあったら顔向けできないではないか。

気をもむうちに晩さん会が終わり、生徒たちが解散してまもなく、廊下で騒ぎが起こった。ダンブルドアやミネルバとともに駆けつけると、フィルチの愛猫、ミセス・ノリスが石になって吊り下げられており、フィルチがポッターを指さし「お前が殺した、私の猫を!」と嘆き叫んでいた。ウィーズリーとグレンジャーも茫然と立っている。周りには静まり返った生徒たち。

廊下の壁に、文字が浮き出ていた。

秘密の部屋の扉は開かれた。継承者の敵よ、気をつけよ」

ダンブルドアは生徒たちに各寮に戻るよう指示すると、フィルチとポッターたち3人を連れてすぐ上のロックハートの部屋に行った。ミネルバと私も。

数百年前、ホグワーツの創始者、サラザール・スリザリンが、マグル出身の生徒を受け入れるか否かで他の3人の創始者と決裂してホグワーツを去る時に呪いをかけたという秘密の部屋。探しても見つからなかったその部屋の扉が50年ほど前に開かれた時、マグル出身の生徒が一人死んだという。職員たちはみな知っている話だ。

フィルチは自分がスクィブだと知ったポッターがやったのだと訴え、ダンブルドアはこんな闇の魔術は2年生には無理じゃと諭している。まずは事実を明らかにせねばならないし、ポッターたちの晩さん会すっぽかしもとがめておかねばならない。何をしていたのだ?去年だって皆と離れて危険な目にあったのに。私は口をはさんだ。

「ポッターたちは運悪くこの場にいただけかもしれませんが、実際ここで怪しいことが起こったのは確かです。そもそも彼らはなぜ晩さん会に出ないで、この廊下にいたのでしょうな?」

ポッターたちはゴーストたちの死んだ日記念日のパーティに出ていたと説明した。

「ではなぜそのあと晩さん会に来ないで、ニ階の廊下にいたのだ?」

たたみかけて聞くと、疲れて寝たかったと言う。

「食事もしないでか?」

問い詰めると、ウィーズリーがお腹がすいていなかったからと答えたが、盛大に腹が鳴った。こんな重大事に見え透いた嘘をつくとは、なめるにもほどがある。懲らしめなければ。

「校長、ポッターたちが真実を述べるまで、クィディッチの試合に参加するのは禁止すべきと思われます。」

我ながらよい考えだと思ったが、ミネルバが激昂して反論してきた。

「なんということを、セブルス!猫が箒で殴られたわけでもないのに、ポッターの試合参加を禁止する必要はありません。ポッターが悪事をはたらいた証拠などないではありませんか。」

グリフィンドールの校長から鶴の一声が来た。

「セブルス、疑わしきは罰せずじゃよ。」

「ですが、校長先生、私の猫は石にされたのでございますよ。罰もないとはあんまりな、、」

フィルチの涙ながらの訴えは、スプラウト先生のマンドレイクが育てば、石化の呪いをとく薬ができるからとなだめられた。すかさずロックハートが自分が魔法薬を作るなどと出しゃばり、私はフィルチが気の毒だったので、私が作ると言って安心させてやった。

結局、それでその場は解散となり、つまりポッターたちはまたもおとがめなしで退室となった。グリフィンドールの校長・副校長連合にあってはかなわない。ポッターたちを反省させ、ポッターを危険な試合に出さず、ルシウスと一緒に見るクィディッチのスリザリン勝利を固めるよい案だと思ったのだが。

解散後、今回の件にダークロードが関わっている可能性をダンブルドアに尋ねた。前回秘密の部屋の扉が開いた50年前と言えば、ダークロードがホグワーツの学生だったころではないか?ダークロードはサラザール・スリザリンの末裔だと言っていた。もしダークロードが関わっているとなれば、ポッターがあの現場に居合わせたのは、偶然とすませてよいものだろうか?ポッターとて、マグル出身ではないが、マグルびいきの「継承者の敵」なのだ。

「50年前にはハグリッドが扉を開けたとして退学させられたのじゃ。」

「ハグリッドが?」

「じゃが真実はそうではない。トム・リドルがやったことじゃ、わしはそう確信しておる。」

「トム・リドル、、、ダークロードが?では今回も?ポッターを狙っているのでしょうか?」

「前回の件と、ダークロードの居場所はわしが調べよう。セブルス、お前はハリーと生徒たちの安全に気をつけるのじゃ。」

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tag : ハリーポッター 秘密の部屋

スネイプとポッターと秘密の部屋(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


闇の魔術に対する防衛術の教授として、表向き行方不明ということになったクィレルの後任に、ギルデロイ・ロックハートとかいう軽薄でニヤけた男がやってきた。女子生徒からは絶大な人気があるようだが、闇の魔術のやの字も解してなさそうだ。ダークロードもこんな男には宿りたくないだろう。

私はあいかわらず、人の話をきかないばかりに鍋を爆発させるような子供たちを相手に魔法薬を教えていたが、ある日、ルシウスがホグワーツの私の部屋を訪ねてきた。

ルシウスは部屋に入ると同時に、驚く私を抱きすくめて耳元で囁いた。

「セヴィ、お前がホグワーツから一向に帰ってこないから、私が訪ねて来たぞ。」

一瞬、嬉しさと、ホグワーツ教授としての立場と、何をしに来たのだという懸念とで固まった私を面白そうに見て、ルシウスは身をひるがえしてコートを脱ぎながら気取った顔で言う。

スネイプ教授、ホグワーツ理事として、また生徒の父兄としてスリザリン寮監を訪ねてきたのだが、なぜ赤くなって固まっているのだ?」

完全におもちゃにしている。

「これはこれは、マルフォイ理事。ホグワーツへようこそ。今日は何のご用件ですかな?」

2人で顔を見合わせて同時に噴き出した。こういうところは、相性がいいとしか言いようがないと思う。

ルシウスはスリザリンのクィディッチチーム全員に、最新鋭の箒、ニンバス2001をプレゼントしに来たのだと言う。キャプテンのフリントを呼ぶと、今年はスリザリンに勝ってほしいから全員に箒をプレゼントしようと思う、去年グリフィンドールでは1年生がシーカーを務めたそうだな、今年はうちのドラコも2年生だ、などと言い、ものの3分で、今年はドラコがシーカーとしてチームに入ることが決まった。

私はドラコが練習できるよう、スリザリンチームにクィディッチ練習場使用の特別許可を与え、フリントを退室させた。ルシウスは、夏休みの間、ポッターが1年生なのに試合に出たと悪口を言うドラコをたしなめていたが、やはり親ばかなのだと微笑ましい。

「セヴィ、今度の試合は私も来るから、一緒に観戦するのだぞ。」

軽くキスして上機嫌でルシウスは帰って行った。ルシウスと並んで観戦する姿を思い描いてみる。マルフォイ邸での秘密の関係がすっかりなじんでしまっていたが、公けの場でルシウスにエスコートされることを考えると、口元がゆるんでしまい、そんな自分に呆れてしまった。

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tag : ダンブルドア フィルチ ハリー ハリーポッター セブルス スネイプ ルシウス

スネイプとポッターと秘密の部屋(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


新学期初日、ホグワーツ特急で到着する生徒たちを迎えに出た。ルシウスが何か企んでいる様子だったから、ポッターに加えてウィーズリーも気がかりだった。しかし、ウィーズリーの他の兄弟たちは揃って来ていたが、、、ルシウスの記憶に見た赤毛の少女は双子の兄に連れられていた、、、ポッターとロナルド・ウィーズリーの姿はなかった。

新学期早々何か起こったのか?イラついて部屋に戻ると、ちょうど届いた予言者新聞の夕刊が目に入った。

「空飛ぶフォード・アングリアをマグルが目撃」

ロンドンの空を飛ぶマグルの車。特急に乗っていなかった2人の生徒。・・・怪しい。すぐに部屋を出てホグワーツ近隣を探して歩くうち、初秋の日は一気に落ちて、急激に気温が下がってきた。風も出て寒い。ウィーズリー氏はたしか、魔法省でマグル製品不正使用取締局の局長をしているときいている。マグルの車が不正使用されたとなれば彼の仕事にかかわってくるわけで。事件に息子がかかわっているとなれば父親に赤っ恥をかかせることになる。ルシウスの狙いはこれか?手帳とどんな関係があるのか?

冷えてきた体を温めようと小走りに歩くうち、暴れ柳の方向から怪しい音が聞こえてきた。急いで行ってみると枝が折れて、柳が暴れた直後のようだ。杖の先で照らすと、小さな足跡と荷物を引きずった跡が、、大ホールに向かっている。急いで跡を追うと、、、案の定、大ホールをのぞきこむ2人の少年のシルエットが目に入った。

忍び寄ると。

「先生たちの席が1つ空いてる。。。スネイプの席だ!」ポッターの声。

「きっと病気なんだ!」嬉しそうなウィーズリーの声。

「学校辞めたのかな。闇の魔術の防衛術の先生に、またなれなかったんだ!」ポッターの声。

「それか、、、首になったのさ!みんなが嫌ってるからね!」ウィーズリーの興奮した声。

私は会話に参加することにした。

「あるいは、お前たち2人がなぜホグワーツ特急に乗っていなかったのか聞くために待っていたのだろうな。」

振り向いた2人の顔が急速に青ざめていった。こんな大胆な規則破りは退学に値するのだ。規則破りのポッターの父親を追い出すことはできなかったが、息子のほうはわきが甘い。心配と怒りで一瞬忘れたポッターを守る任務を思いだしたが、退学になって自宅にいれば安全なのだ。

「ついてこい」

部屋に連れて行き、ねっちりと締め上げた。無謀な規則破りには、自分たちが何をしたか自覚させねばならない。ウィーズリーの父親が「マグル製品不正使用取締局長」であることを思い出させると、ポッターの顔が蒼白になった。それに貴重な暴れ柳を傷つけたことも指摘すると、ウィーズリーがひどい目にあったのは自分たちのほうだなどと反抗する。

「黙れ!」

残念ながら私に彼らを処分する権限はないからグリフィンドール寮監のミネルバを呼ぶ。しかし魔法省の法律に反するほどの規則破りには、彼女なら厳格に対処するだろう。

と思っていたが、ダンブルドアがあとからやってきて、今回は退学処分を見送る、あとはミネルバにまかせて、おいしいカスタードタルトを食べようセブルス、などとごまかして部屋を連れ出された。この校長は、恩人であるから逆らうつもりはないが、ほんとうに昔からグリフィンドールには甘い。そんなだから、いつまでたっても無謀な勇気を振りかざして規則破りが絶えないのだ。心の中で罵りながら、大ホールで甘いタルトをほおばった。

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スネイプとポッターと秘密の部屋(1)

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)


夏休みも後半に入った頃、ドラコを連れて出かけたルシウスが、目にあざを作って帰って来た。

「アーサー・ウィーズリーめ!マグルびいきの野蛮なグリフィンドールがっっ!」

私はすぐ湿布をつくって手当してあげたが、その間もルシウスは怒り声をあげている。怒るほど冷淡な表情になるルシウスが、わめくように怒りを露わにするのは珍しい。前回も、、、ウィーズリーだった。どちらも純血の古い家系だが、犬猿の仲だ。かたや純血主義・大金持ち・スリザリンのマルフォイ家、一方マグル好きで貧乏子だくさん・グリフィンドールのウィーズリー家。

実はこのウィーズリー家というのはすごい家系だと内心思っている。ルシウスにはとても言えないが。父親のアーサーは魔法省勤めの役人だときいているくらいでよく知らないが、ホグワーツに来る子供たちがすごい。数も質も傑出している。ポッターと親友のロナルドは地味だが、2年上の双子のいたずらは最強だし、4歳上のパーシーは去年グリフィンドールの監督生だった。もう卒業したビルとチャーリーという兄たちはどちらも優等生だった。さらに今年は一番下の女の子が入学してくるという。

このすぐれた多数の子供というのも、ルシウスの癇に触るようだ。純血主義の純血家系の多くが跡継ぎに悩んでいるのに、、実際マルフォイ家のドラコ出産も私まで巻き込んで全力を傾けた結晶だ、、、純血血統の継続を望んでもいないだろうウィーズリー家には子供が次々と生まれるのは皮肉なものだ。

「フローリッシュ・アンド・ブロッツでウィーズリーが父上に掴みかかったんだよ。」

「父上に本を買ってもらったのか、ドラコ?」

「うん。その前にボージン・アンド・バークスにも行ったよ。」

ドラコがちょっとしょんぼりした顔になった。欲しいものを買ってもらえなかったようだ。ようやく落ち着いてきたルシウスが話し出した。

「新しいマグル保護法ができたからな、いろいろとマズイものを処分しに行ったのだ。」

「しかしここには魔法省は来ないでしょう?」

「親マグルのアーサー・ウィーズリーが影で糸を引いているからどういうことになるかわからん。念のためだ。穢れた血を擁護するなどまったく純血の面汚しだ。」

吐き捨てるように言ったルシウスが、何かを思い出したようにニヤリと笑う。

「ウィーズリーも、ダンブルドアも、今に痛い目にあうぞ。」

私はイヤな予感がした。

「何かするつもりなのか、ルシウス?」

「まあ見ていろ、セヴィ。面白いことになるぞ。」

ウィーズリーとダンブルドアとくれば、、、ポッターが巻き込まれるのでは?ますますイヤな予感が募った。

何事か聞き出そうとしたが、ルシウスは笑っていて答えない。見破られぬ程度に開心術を使ってみると、手帳のようなものを赤毛の少女の本に挟み込んでその子の鍋に入れていた。一緒にいる面々を見ると、どうやらウィーズリーの末っ子のようだ。ダークロードは出てこないからそう深刻なことにはならないよう願う。これはダンブルドアに告げるべきか否か。迷うところだが、ポッターとダークロードが関わらないなら、あえてルシウスを売ることはしたくない。

ダンブルドアの指示で、ルシウスの周辺にダークロード復活の兆しが見えないか何年も気をつけているが、ルシウスはダークロードの復活など夢にも考えていないようだ。ポッターの悪口を言うドラコに、「このご時世に有名人のハリーポッターとは正面切って争うなどばかげたことだ」と言い聞かせていたほどだ。もう一度考えて、野蛮なグリフィンドールへのちょっとした意趣返しくらいだろうと結論づけた。

それにしても、、、たまにルシウスが『穢れた血』という言葉を使うのを聞くと、苦い思いがよぎる。リリーとの決別を招いたその言葉。ルシウスは根っからの純血主義といわれるけれど、実際のところ、そうばかりでもないと思う。半分マグルの血が混ざる私をそばに置いているのもその例だ。優等生のグレンジャーをその言葉で貶めたドラコに対しても、そういう子より成績が劣った自分を反省しろと諭していた。

マグルの気持ちなどどうでもいいと思っているのは確かだが、それはマグル以外のものでも同じだろうし、私の知る限り、マグル虐待のようなことにも積極的にかかわってはいない。闇の魔術の能力は高いが、虐待のような野蛮なことはもともと好きではないのだ。あんな言葉も使わないでいてくれたらいいのだが。

まもなく新学年が始まる。私もホグワーツに戻り、ポッターのお守りをしなければならない。その前に、少しドラコの勉強をみてあげよう。グレンジャーに負けたと怒られてしょげていたドラコ。親の期待が大きい子にも苦労はあるものだ。

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ハリーに対するスネイプの気持ち

ネタバレあり


ハリースネイプに対する気持ちは、ホグワーツ最後の戦いの最中、死にゆくスネイプの記憶を見てから劇的に変わりました。理解し共感し、やがて子供のセカンドネームにするほどの敬愛を感じるようになったと思います。ハリーほど、深いところでスネイプを理解できた人はいないでしょう。

スネイプの人生は苦しいものだったけれど、愛するに値する女性を愛し、守るに値するものを守れた人生だったと思います。

では、スネイプはほんとのところ、ハリーをどう思っていたのでしょう?

ハリー入学当時から、(ハリー視線で描かれたものではありますが)スネイプハリーを目の敵にしていました。あれこれと思惑含みで真意のわからないスネイプですが、これは本音だったと思います。まさに感情の赴くまま、隙を見つけていじわるするのが生きがいのように。

運悪く(?)ジェームスそっくりだったハリーのことを、スネイプは心から、「甘やかされて育った傲慢で英雄気取りの規則破り」と、ジェームスそのもののように憎んでいたと思います。リリーの遺志だから命だけはふ守らなければならんがって感じだったと思います。リリーが命をかけて守ったのに、その自覚もなく危ないことに首突っ込んでばかりで忌々しい小僧だとか思ってそうですね。

学年が進めば進んだで、ダンブルドアはめんどうばっか押しつけている自分よりハリーを信頼していると、妬みまじりに嫌っています。このへん、大人げないお方です^^;)先生なのに。

ですが、ダンブルドアから、ハリーはヴァルデモートの意図せぬホークラックスになっており、時がきたら死ぬのが使命だと聞いたときから、やはり、劇的に変わったのではないかと思います。

このとき、ハリーに情が移ったかとダンブルドアにきかれ、とんでもない!と牝牛のパトローナスを出してリリーへの愛のためだと示していますが、これはいつごろのことだったのでしょうね?

ダンブルドアが指輪の呪いを受けてしまい、スネイプに自分を殺せと命じた直後ですから、ハリーの6年生始めか始まる前くらいでしょうか?「謎のプリンス」では、天文塔でスネイプがダンブルドアを殺すまで、ハリーがドラコにセクタムセンブラを使って罰を受けるくらいしか直接の絡みはなかったような気がします。どちらも他で手一杯だったのかもしれませんが、スネイプがあまり理不尽な意地悪をしなくなったような感じもあります。

ダンブルドアの計画の中でのハリーの死ぬ使命を知ったスネイプ。どんな気持だったでしょうね?そもそも、ハリーがヴァルの魂の欠片を宿してしまったのは、スネイプが予言をヴァルに伝えて襲われたため。リリーが命をかけて守ったと思われたハリーの命は、その時から、やがて時が来たら失われなければならないと運命づけられたものでした。

リリーの遺志を守るために息子の命を守る。そのために生きてきたスネイプに、ダンブルドアは時が来たらハリーに使命を伝えるよう命じます。使命を果たすように育ててきただろうと。つまりは、死ねと言えば死ぬとわかっているハリーに、死ねと言えと。

怒り嘆くスネイプですが、結局は受け入れ、ダンブルドアの死後も淡々とダンビーの指示に従って計画を進めて行きます。

なぜハリーの死、つまりリリーの遺志に反することをスネイプが受け入れたかについての考えは前の記事死に向かうハリーの気持ちに書きましたが、ハリーの死を避けられぬものとして受け入れる過程で、スネイプのなかにもハリーに対する理解、共感、憐れみ、謝罪、様々な気持ちが渦巻いたと思います。

ダンブルドアからもみんなからも特別扱いされて英雄気取りの傲慢な「ジェームス」そっくりな小僧、という(大人の判断とは思えん^^;)色眼鏡をはずしてみれば・・・

自分と同様、寂しく惨めな子供時代(←それも自分のせい)。ホグワーツに来てからも、2年時には蛇語を解するスリザリンの継承者として疑いの目で見られたり、4年時にはヴァルの陰謀でリドルの墓に連れ去られセドリックの死に直面、5年時にはゴッドファーザー・シリウスの死と、子供には耐えがたいつらい思いもしています。

本人の意思にかかわりなく運命づけられたヴァルデモートとの対決は、死を受け入れて一人立ち向かわなければならない。二重スパイとして恐怖を抱えながら一人敵陣に向かったスネイプには、ハリーが感じるであろう恐怖を理解できたと思います。

それでも、戦いを終わらせ守るべきものを守るるために、ハリーは使命を果たさなければならないし、果たすだろう。自身もそのためにダンブルドアを殺し、味方すべてから裏切り者と呼ばれ、命をかけて一人敵陣に入ってゆく覚悟のスネイプです。たぶん、死ぬ覚悟もしていたし、生き残れないと思っていただろうと思います。

それでも行くしかない自分とハリー。愛情というほど温かいものではない、厳しい使命を共有し、遠いけれども深いところで繋がっているし、信頼もしている。折り合いの悪かった息子を、今わの際で理解してしまったような思いもあったのではないでしょうか。

ハリーたちがホークラックス探しの(スネイプは何をしているか知らないですが)旅路に出ている間、デスイーターの支配で変わり果てたホグワーツの校長として出来る限り生徒たちを守りながら、スネイプの心中は必死でハリーを応援していたと思います、祈るような気持ちで。ポッター、頼む、終わらせられるのはおまえだけだと。

叫びの館で死の寸前に、ハリーに会えてスネイプはほっとしたと思います。ハリーのことを、信頼して自分の思いと使命を託せる相手だと思っていただろうと。


それにしても、結果としては危機一髪でハリーに使命を伝えられましたが、このタイミングでナギニに噛まれ死ぬ直前にハリーが来てくれるなんて計画はたてられなかったはず。いったいどうやってハリーに使命を伝えるつもりだったのでしょう?

ホグワーツを追われてからは、校長室のダンブルドアの肖像画に相談することもできなかったでしょうし、今までの自分とハリーの関係を考えれば、ハリーに会って「お前の使命は死ぬことだ」などと言っても信用されないことはわかっていたでしょうし、そもそも会って話をする前に杖の戦いを挑まれてしまいそう。

ヴァルに叫びの館に呼び出されて、ヴァルがナギニを近くに置いているのを見てから、スネイプは何度も「ハリーを連れに行かせてくれ」と言っています。なんとかハリーを見つけて、拘束呪文でもかけて身動きとれなくしたうえで、記憶で渡した内容をえんえんと説明するか、あるいは校長室に連れ込んで、記憶とともにペンシーブに投げ込もうとでも思っていたんでしょうか?

たぶん、すべてを知らせれば、ハリーは使命に向かうと信頼していたと思いますが、面と向かって死んでくれと説得するには、「私も死ぬから」がなくては言えないような気がします。もしスネイプが、ヴァルとの対決でヴァルの魂の欠片だけが死んでハリーが生きられる可能性にまったく気づいていなかったなら、ハリーと魂の欠片が死んだあとで、相打ち覚悟で自分が責任もってヴァルを殺すと言うつもりだったのか。

結局、持っていなかったニワトコの杖の所有権のためにヴァルに殺されるという、一見無駄死に見えて切ないスネイプの死ですが、ハリーに使命を果たさせるにはどんな形であれ自分も死なねばならないとスネイプは思っていたような気もします。その意味で、スネイプの死は空しいものではなく、ハリーの命を守ったリリーの死のように、たいせつなものを守るものだったと思います(思いたい!)

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tag : ハリー スネイプ ヴァルデモート ハリーポッター

死に向かうハリーの気持ち

ネタバレあり

ハリーポッター』シリーズは、幼いときに家(home)のなかった少年たちの物語でもありました。

最終巻、スネイプの記憶で死すべき使命を知ったハリーは、透明マントを着て戦いの最中のホグワーツを歩くなか、ジニーが「おうちに帰りたい」と言っている少女をなだめているのを目にします。ハリーも、これから死に向かうのではなく、家(home)に帰してほしいと思った。けれど、

He was home. Hogwarts was the first and best home he had known. He and Vardemort and Snape, the abandoned boys, had all found home here... (558)

ハリーとヴァルデモートとスネイプ、見捨てられた少年たちにとってホグワーツこそ初めての家homeだった。

そしてハリーは、恋人ジニ―に語りかけることも振り返ることもなく、ヴァルデモートに殺されるべく禁じられた森への歩みを進めます。

この部分、とっても好きです。

ハリーが、今までの様々な感情や理屈を乗り越えて、感性でスネイプを理解し共感した瞬間だと思います。

記憶の中のスネイプが、ダンブルドアからハリーは死ななければならないと聞いた時にあれほどのショックを示しながら、やがて受け入れ、ダンブルドアの指示に従いハリーを導いた理由を、ハリーは悟ったのではないでしょうか?

初めて得た家home、ホグワーツを守るため。もちろん、建物としてのホグワーツではなく、子供たちが住み、笑ったり泣いたり悩んだりしながら、温かく見守られて育ってゆく場所、家庭、家族。

同じように見捨てられた子供時代を体験をし、ホグワーツで初めて家を見つけた3人の少年。ヴァルデモートはそれを破壊し支配しようとしています。スネイプはそれを守るために、命をかけ、スパイという危険な立場で一人ヴァルデモートの前に立ち、死にゆく中でも使命を果たしたました。自分も、ヴァルデモートと共に死ななければならない。ホグワーツや、ホグワーツで育まれるもののために。


17歳のハリーが、自らの死に立ち向かう決意するのはたいへんなこと。それまでのハリーの心の動きを追ってみます。

ハリーが見たスネイプの最後の記憶は、校長室を出てディーンの森に向かうスネイプの背中でした。ハリーは、まるで、たった今出て行ったようだと感じます。

記憶を見終わり、ハリーは、ヴァルデモートの手にかかり死ぬことが自分の役割だという真実を知ります。生き延びる道はなかったのだと。

死の恐怖に打ちひしがれ、今までは生きるために死の恐怖に立ち向かったことを思います。自覚ないまま瞬時に死ねたらよかった、ヘドウィックのように、とも思います。せめて愛する者のために杖の前に身を投げて死ぬのなら、と両親のことさえ羨みます。

ダンブルドアの裏切りを思います。ダンブルドアは大きな計画を持っていて、ハリーを守ってくれたのはそのためだった。ホークラックスを壊す役割をホークラックスである自分に与えた。他の犠牲者を出さず、屠殺されるために生かされた自分にやらせる。もしその過程で自分が死んでも、ホークラックスが1つ減るという素晴らしい計画。ダンブルドアもヴァルデモートも、ハリーが自分のために他の人が死ぬのを見過ごせないことを知っている。
すべてのホークラックスをハリーが壊せぬまま死に至っても、、実際まだナギニが残っている、、そのときのためにロンとハーマイオニーにハリーの任務を知らせた。周到な計画。それに沿って自分は死ななければならない。

ロンとハーマイオニーは遠く感じられました。知れば引きとめるであろう彼らに、サヨナラも説明もしないことを決めます。

死ななければばならないのだと頭で理解しても、受け入れ立ち向かう決意をするのはつらいことです。まだほんのわずか、誰かに止めてほしいと願う思いがある。

途中ネビルに会い、ナギニを倒すよう頼みます。自分が死んでも、かわりにロン、ハーマイオニーと3人で最後のホークラックスを壊してくれるように。

そして、透明マントを着た状態で、恋人ジニ―をみかけるわけです。「おうちに帰りたい」という少女を励ますジニ―に、死に向かう自分を止めて、引きずってでも家に連れ帰ってほしいと願います。

けれど、ここホグワーツこそ初めて見つけた家。ホグワーツを、家homeを、この仲間たちを守るのだと、スネイプへの理解と共感とともに、自ら死に向かう使命を果たす決意をし、ジニ―を振り返ることなく、歩みを進めたのです。

なんか、父親の背中を見て育つ子供って感じで、ぐっときます。憎まれ役を引き受けて、命をかけて使命を果たしたスネイプの人生が報われる気がします。戦い後に、予想外に生き延びたハリーは、「親孝行、したいときには親はなし」の気持ちを味わったでしょうが。

その後ハリーは、禁じられた森の中で『蘇りの石』で呼び出した、ジェームス、シリウス、ルーピン、リリーに見守られながら、ヴァルデモートのもとまで行くのでした。

19年後、ハリーはアルバス・セブルスと名付けた二男に、スネイプはハリーが知るなかで最も勇敢な人だったと言っています。自ら死に向かう勇気を与えてくれたのはスネイプだったと思っているのではないでしょうか。

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tag : ハリー ハリーポッター スネイプ

組分け帽子

ネタバレあり

新入生の資質と選択をもとに、入る寮を分ける組分け帽子。

グリフィンドール 勇猛果敢なものが集う寮
ハッフルパフ 心やさしくまっすぐな者が集う寮
レイブンクロー 機智と叡智にすぐれた者が集う寮
スリザリン 狡猾な者が集う寮、(純血主義の伝統)

11歳の子供たち集めて、スリザリンの「狡猾な者」ってなんですか?狡猾な純血主義者に育つんだぞ、と言わんばかりですよね。しかもホグワーツ全体の雰囲気としては、校長、副校長出身のグリフィンドールの「勇気」こそ一番大事って感じで、スリザリンは蔑視されてる感じが。。。ハリーの視点で本が書かれているせいでしょうか?

死にゆくスネイプが渡した記憶の中の、グリフィンドールに組分けされたリリーを振り返りながらスリザリンのテーブルに向かう少年セブの姿。寮が分かれ、異なった思想を育て、やがてリリーからセブに告げられる絶交。

セブのホグワーツ入学以降の不幸の始まりは、この組分け帽子じゃんか、ぷんぷん!と思ったものです。どこかで、自分はスリザリンの資質があったんだと悩むハリーに、ダンブルドアが思いっきりグリフィン上から目線で「資質ではなく選択じゃ」と説いていたと思いますが、素直に受け入れられませんでした。

でもよく考えると、「狡猾」という区分けはやっぱりありえん、せめて「功利的」とか「目標至上主義」とかならないかと思いますが、選択こそが人生を決める(とまでは言わないにしても選択によりかえていくことはできる)という考えは大事なことですね。

自分の選択もあってスリザリンに組分けられたセブルスですが、リリーの言葉に真剣に耳を傾けて、純血主義からは距離を置くという選択をする機会は何回もあったはずです。スリザリン生全員がデスイーターになったわけではないのだから、デスイーターにならない選択もあった。予言を聞いてしまっても、ヴァルデモートに告げれば当然抹殺されることは予想できたはずですから、伝えないという選択もあったはずです。すべての選択をクリア?して、リリーがヴァルデモートに狙われる原因を作ってしまい、その後の人生を贖罪に捧げることになりました。

リリーは特にこの寮がいいという希望も前知識もなかったでしょうから、純粋に資質でグリフィンドールに分けられたと推測されますし、その後の態度(少ししかわかりませんが)を考えても、勇気ある少女だったと言えるでしょう。しかしリリーは、5年生のOWL試験後に、セブルスと決別するという選択をします。リリーにしてみれば、何度言っても真面目にとりあわないセブルスにサジを投げたというところだったでしょうが、それでも不幸な境遇を知っている、子供のころからの幼馴染です。スリザリン寮という環境の影響も理解できたでしょう。絶交を言い渡し、謝罪に来たセブルスに対し、一時は絶交しても、多少気にかけて反省後のセブを受け入れるという選択もあったはずです。

卒業後も、たまにふくろう便で近況報告する程度の交友を保っていれば、セブルスがリリーの妊娠か出産を知ることができ、予言をきいてもリリーの危機につながるようなヴァルデモートへの報告はしなかったと思います。そうすれば、幼いハリーを残して命を落とすこともなかった。ハローウィンの悲劇は、リリーの選択の結果であったともいえると思います。

組分け帽子の振り分けが違っていれば、、、とは思いますが、セブルスとリリーについては、やはりその後の選択の誤りが不幸を極大化したといわざるを得ません。

現実の生活の中でも、あとで振り返れば、あの時の何気ない選択が後の人生に大きな影響を与えたと思うようなことはよくあることです。

もう一人、組分け帽子の振り分けが違っていれば、、、と思うのは、ピーター・ペティグリューです。もしグリフィンドールに組み分けらなければ、ジェームスたちの腰ぎんちゃくみたいになることもなかったでしょう。そうすれば荷の重すぎる「忠誠の術」の「秘密の守人」なんかにならずにすみ、裏切り者の殺人者となってネズミ人生を過ごすこともなかったはず。もちろんピーターにも何度も選択の機会はあったはずですが。ジェームスたちに深くかかわらずにすめば、平凡で地道に勤めあげるサラリーマンみたいな人生が送れたんじゃないかと。

ピーターはいつからヴァルデモート側に寝返っていたんでしょう?ジェームスたちに近いことにヴァルデモートが目をつけて脅したのか、それとも友として過ごしたホグワーツ時代に、すでにジェームスへの妬みや反感が積み重ねられていて、その闇が抑えきれぬほど大きくなったのか。幼いうちは人気者と一緒にいられる嬉しさだけでいられるでしょうが、高学年の年齢になれば、そんな人気者と自分の違いということを否応なく感じることもあったと思います。

目立つハリーのそばにいて、劣等感を感じながらも克服し、ハリーを支えたロンの選択はやはり勇気あるもので、ピーターにはできなかった。組分け帽子の振り分けがほんとに間違っていて、それが不幸に繋がったと思うのはピーターです。セブルスはなんだかんだ言っても、スリザリンの資質もあったと思うし選択もしたわけですから、振り分け自体は間違ってないと思うんですよね、勇気も持っていたけれど。

ハリーは、組分け帽子によれば、グリフィンドールとスリザリン両方の資質を持っていましたが、強く望んでグリフィンドールになりました。でも、それって、たまたま入学前に、ドラコ(スリザリン)にあって気に入らなかったが、ロン(グリフィンドール)とはキングスクロスのホームで会って仲良くなったから、でしたよね。つまり、まったくの偶然?

ならば、ハリーがスリザリンに入ったらどんなだったかな~と考えるのも楽しそうです。

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tag : ハリーポッター セブルス リリー ピーター

ハリーポッター、原作読まずに映画を観る

ネタバレあり注意

ハリーポッター』の翻訳本が出た頃、大人のミーシャは、
「児童書でしょ?その割に高いし」などとひねくれて、本を読みませんでした。

しかしファンタジーのエンターテイメント大作映画は好きだったので、まずは映画を観たわけです。

映画1作目「ハリーポッターと賢者の石」~単純に楽しくて可愛い、見心地のいい映画。

ホグワーツの映像に夢があり、子役3人超可愛く、児童ファンタジーの王道、白髭・白髪のダンブルドアに安心感があり、見心地のいい映画でした。恵まれない境遇で育った少年ハリーが、ホグワーツで友達を作り、周囲の人に見守られながら成長していくストーリー。登場人物が多いし、魔法物の名前が特殊なのでよくわからないところもありましたが、そんなことは全然気にならず、映画だけでとっても楽しめます。

映画2作目「ハリーポッターと秘密の部屋」~スネイプ先生とルシウスに目がハート♪

とっても素敵な大人お2人!スネイプ先生の決闘シーンと、スネイプ先生&マルフォイ父上が並んでクィディッチを観戦するシーンに目が釘付け@@ 大人が加わり、魔法界の社会情勢・・・親マグルvs純血主義・・・が描かれ、ストーリーにぐっと立体感が出てきました。

映画3作目「ハリーポッターとアズガバンの囚人」~親世代登場!

またも素敵な大人が2人、ルーピン先生とシリウスが加わります。そして今見えているハリー世代のお話だけでなく、親世代の子供時代の投影が感じられ、ストーリーに遠近感・奥行きが感じられます。話的には、たぶんかなり原作はしょられてるな感は出てきて、もう少し説明してほしいと思いながらも、映像が美しく、登場人物もみな魅力的なので、違和感なく観られます。

映画4作目「ハリーポッターと炎のゴブレット」~暗い影が。

大々的なクィディッチ・ワールドカップ開催、、、から一転、デスイーターの登場で暗い影が色濃く見えてきます。しかしトライウィザード・トーナメントで登場人物がぐっと増え、ハリーたちの試練の課題と、学園青春ドラマ風な筋立てで物語の本筋がわからなくなり、そして最終部のヴァルデモード復活はともかく、友であり善良なセドリックの死と言う、児童文学にはありえないでしょう?な展開。このあたりから、原作読んでないとかなり苦しい^^;

映画5作目「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」~シーンはよいけど話がわからん

印象的な場面はけっこうあります。ぶりっこファッションでこわいアンブリッジ。ダンブルドア軍団は子供たちが自ら立ち上がる成長と初恋の季節。スネイプ先生のハリーへの閉心術レッスンに垣間見られた親世代の過去。そして最終部魔法省の戦いとシリウスのあっけない死。ただ、場面場面がぷちぷちと切れてしまっていて(ミーシャの頭の中で)、本筋のつながりがよくわからなくなりました。

映画6作目「ハリーポッターと謎のプリンス」~混乱するも、スピード感で鑑賞

スタートはいきなりマグル社会に及ぶ闇の影。スネイプ先生ご自宅での破れぬ誓い。ダンブルドアとハリーの旅路(スラグホーン先生宅とゾンビの沼?)、ドラコの苦悩、そして衝撃的なラスト、と息もつけぬ展開で話が進みます。物語の大筋を理解していない感覚はあれど、テンポの良いストーリー展開でわかったような気にはなる。主人公はスネイプ先生と確信!

映画7作目「ハリーポッターと死の秘宝Part1」~暗いよ~

こわ~いデスイーター勢ぞろいの集会。スネイプの複雑そうな立場。マルフォイファミリーなんでこんなに虐げられてるの?って感じで始まりました。ハリーたちは学校を離れ、3人で何かを探す旅をしています。仲たがいしたり、悪者に捕まったり。暗~い雰囲気と緊迫感は伝わりますが、話がわからん^^; そもそも、ハリーたちがホークラックスを探してることがわかっておりませんでした、タイトルから、死の秘宝を探してるのだとばかり。

ということで、10年近く見続けたお気に入り大作映画の話の筋がわからんまま最終章を迎えるのは残念すぎる、とこの期に及んでようやく原作本をざっと読みしました。映画もDVDで1作目から復習して、(前作までに比べると)万全の態勢で挑んだ最終章。

映画8作目「ハリーポッターと死の秘宝Part2」~号泣、そして大団円

やっぱり、話がわかって観ると、映画も全然違いますね。主役スネイプの人生に、涙にくれましたし、戦い終末から19年後にかけてのハリーの急成長にも涙しました。こんなに人、殺さないで~!とも。登場人物の多くに思い入れがあり、これでおしまいが寂しかった。人物がよく描かれていたストーリーだったということですね。


先に映画を観ていると、ホグワーツや登場人物のイメージも映画のもので本を読むことになります。他の人たちもよかったですが、特にハリーたち3人+スネイプはもう映画の俳優さんたち以外に考えられないほど、私としてはハマり役だったと思います。

先に原作を読んで、自分のイメージを持っていると、違和感があるかもしれません。

なので、映画1、2作観てから原作読んで続きの映画を観るのがよいかなと。特に原作が厚い本になった4巻からは、ストーリーは原作で、印象的な場面を画像として映画が見せてくれているという感じで観たらよかったと思います。7巻は映画も2部に分けてやってくれたので、丁寧に描かれていて嬉しかった^^

で、映画を最終章まで観終わってから、原作をじっくり読むという作業に入ったわけですが、翻訳の違和感を持ちたくなかったので、イギリス版の原書で読んでいます。その分読み込みは薄くなるかもしれませんが、孤独なセブルス少年が『吾輩』という一人称を使うにいたる道筋が頭の中に描けなかったので、やっぱり原書でと。『吾輩』なスネイプの物言いもひねくれてて好きなんですけどね。ヴァルの俺様も、スネイプの吾輩も、原書では『I』なので翻訳難しいと思います。

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tag : ハリーポッター スネイプ ルシウス

スネイプとポッターと賢者の石(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。)

夏休みを迎え、生徒たちはそれぞれの自宅へとホグワーツをあとにした。ポッターも、リリーの愛の守りが強く効く家へと帰っていった。家にいれば安全なはずだ。私も残務を終えて、ホグワーツを出ることができる。

ポッターたちの入学から10カ月。ほとんどホグワーツを出ていない。「たまには息抜きをするのじゃ」とアルバスにも言われたが、リリーを思えば息抜きなどとんでもない。全力でポッターを守ったつもりだ。

ようやく。ようやくマルフォイ邸に、、、帰ってもよいのだろうか?10か月も顔を出さなかった私を、受け入れてくれるだろうか?ルシウスの動静を探るのも任務の一部だが、それよりも、ルシウスに会いたい。少し気後れしてしまい、ぐずぐずとホグワーツに残っていると、ルシウスからふくろう便が届いた。

「待っているぞ。LM」

私は返事も出さずに校内に走り出た。そしてアパレートしてマルフォイ邸へ。

(以下、性描写があります)

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス ナルシッサ

スネイプとポッターと賢者の石(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クリスマス休暇中は、生徒たちが、特にポッターが無謀なことをしたり危険な目にあわないよう見回りをしていした。フィルチにも何かおかしなことに気づいたらすぐ、直接私に知らせるよう頼んでおいた。案の定フィルチから、図書館の進入禁止区域に誰か立ち入った気配があると報告が来た。すぐ駆け付けたが、気配はあるものの姿は見えず、究明はできなかった。(153)

年が明けて生徒たちがホグワーツに戻って来た。まもなくまたクィディッチの試合がある。前回の試合で誰かが、おそらくはクィレルが、ポッターの命を狙っていることがわかったので、気が気ではない。常にポッターの様子をうかがう一方で、クィレルの動きも見張っていなければならない。

グリンゴット銀行からホグワーツに持ってきて隠した『賢者の石』を何者かが狙っているため、教授たちは守りの術をかけることになっているのだが、クィレルの態度が怪しいのだ。永遠の命を得られる『賢者の石』を狙っているようにも見えるし、それにかこつけてポッターを危険に引き込もうとする恐れもある。あらゆる可能性を考えて、ポッターを守るべく対処しなければならない。

いよいよクィディッチの試合の日を迎えた。グリフィンドール対ハッフルパフの試合。グリフィンドールが勝てば優勝となり、我がスリザリンの7年連続優勝が止められることになる。が、それどころではない。とにかく無事終わらせなければ。ポッターの危険を食い止めるべく私は人生初の試合の審判を買って出たが、それでも不安でダンブルドアにも観戦してもらうことにした。私が空中で、ダンブルドアには観客席からポッターを守ってもらう。

試合が始まり、ポッターに危険が及ぶ可能性のあるプレイは躊躇なく反則をとっていった。幸い試合はものの5分で終わったが、それはポッターの活躍によるグリフィンドールの勝利で。。。ほっとして地上に下りると同時に、悔しさがこみあげた。我がスリザリンにグリフィンドールが逆転優勝を決めたのだ。

ともかく無事試合は終わったが、ここで気を許すことなく、クィレルに釘を差しておくことにして、禁じられた森に呼び出した。『賢者の石』について生徒に知られるわけにはいかないからこの場所を選んだのだ。

『賢者の石』を狙う者から守るために、入り口にはハグリッドの三頭犬を放ち、それぞれの教授たちが守りの術をかけている。ススプラウト教授の悪魔の罠、ミネルバの巨大チェス、私の薬の論理パズルといった具合に。

「な、なぜこんな場に呼び出すのですか~?」などととぼけるクィレルに、三頭犬を通り抜ける方法を見つけたのではないかと言って牽制し、さっさと担当する呪文の守りをかけろ、信頼できるか見張っていると脅しておいた。

年度末の試験が近付いた頃、ポッターたちが深夜に寮を抜け出してフィルチに見つかり、ミネルバから減点を食らうという出来事があった。ドラコまで関わっていたために、スリザリン寮監の私に知らせが来た。またもポッター、ウィズリー、グレンジャーの3人組が何やら深夜に怪しい行動をとり、彼らをつけて先生に報告したドラコが巻き添えを食ったのだ。4人そろって夜中に禁じられた森でハグリッドの手伝いをするという罰を受け、かわいそうにドラコはすっかり怯えていた。

しかしこの時ミネルバがグリフィンドールの3人から各50点の減点そとったので、クィディッチの優勝は逃したものの、ハウスカップではスリザリンが再逆転となった。ポッターたちは他の生徒たちからすっかり白い目で見られていい様だ。

年度最終日、大ホールはグリーンとシルバーのスリザリンカラーに彩られていた。各寮の年間総合点が発表され、見事、我がスリザリンがハウスカップを獲得した。テーブルをたたいて喜ぶドラコの姿が可愛らしい。ポッターもどうにか無事だったし、私の苦労も報われたと口元がほころびかけた時。

アルバスが、学年終了直前の得点を加えるとおかしなことを言い出し、雲行きが怪しくなった。

「まずは、ミスター・ロナルド・ウィズリー。ここ数年で最高のチェスを差したことを称えて50ポイント与えようぞ。それからミス・ハーマイオニー・グレンジャー。危機に直面しても冷静で論理だった視点を忘れんかった。称えて50ポイント与えよう。」

ウィズリーがミネルバの巨大チェスを制し、グレンジャーが私の論理マジックを解いたということは。彼らは『賢者の石』に到達したのだ。

それからアルバスはポッターの勇敢な行為を称えて60ポイント、さらにはネビル・ロングボトムに10ポイントを与えて、ハウスカップはグリフィンドールのものとなった。禁じられている部屋に侵入した時点で、減点がありこそすれ得点など。それも微妙に逆転できる点数を加えて。

まったく、グリフィンドールの身びいきは困ったものだ。彼らにはフェアという概念が欠けているのだ。百歩譲ってポッターたちの行動が得点に値したとしても、あえてスリザリン生に衝撃を与えるような演出をすることはないではないか、校長自ら。はしゃいでいたのにがっくり肩を落としたドラコが哀れでならない。こんなことにくじけぬよう休みの間にしっかり鍛えてあげよう。そして来年度は、グリフィンドールからもっと厳格に減点をとっていこうと心に決めた。


『賢者の石』の一件について、後からアルバスから説明を受けた。クィレルにはダークロードが憑依していたこと、ダークロードが永遠の命を求め『賢者の石』を手に入れようとしたこと、『賢者の石』をポッターから奪おうとしたクィレルの手が焼けただれ体が消滅したこと。ダークロードは憑依体を失い去ったこと。

アルバスがずっと前から言っていたように、ダークロードが死んだわけではないことが明らかになった。まだ体を得ていないから力は大きくないが、やがて復活し、ポッターの命を奪おうとするはずだ。私はなんとしてもそれを阻止しなければならない。もと闇の陣営にいた者たちの動向を探り、復活の兆候を見逃してはならないのだ。

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スネイプとポッターと賢者の石(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


月が変わり11月に入るといっきに寒くなった。私はまだ痛む脚を引きずりながら、中庭を歩いていた。すると、、、ポッターたち3人組が目に入った。何やら後ろめたい顔つきだ。また何か企んでいるのだろう。大事になる前に阻止せねば。

近付いてみると案の定、図書館の本を持ちだしている。ポッターから本を取り上げると、クィディッチ戦略の本だった。ポッターは1年生のくせに、明日のクィディッチの試合にシーカーで出場するらしい。クィディッチのヒーローだった父親を苦々しく思い出した。またも父親譲りか。明日の試合は我がスリザリンとグリフィンドールの一戦だ。

「図書館の本は外に持ち出し禁止だ。」

我ながらよいことを思いついたものだ。本を取り上げ、グリフィンドールから減点をとった。後ろでもごもご言っているがかまうものか。

夜になっても三頭犬に噛まれた脚がひどく痛む。傷が深く血も止まらないので、夜、職員室でフィルチに包帯をまいてもらった。生徒にはこわがられているが、フィルチは真面目で気心も知れているからつい愚痴がこぼれた。

「ひどいもんだ。どうやったら3つの頭に同時に気をつけられると思う?」

そのとき、ポッターがドアからのぞいているのに気がついた。

「ポッター!」

「本を返していただけないかと思って。。。」

「出て行け!すぐに!」

あわてて脚をローブで隠し、ポッターを追い払った。ポッターを守ろうとして犬に噛まれたと知られるなどとんでもない。しかも三頭犬のことは秘密だ。聞かれただろうか?夜出歩いたことで減点しようと思い付いた時には、ポッターは消えていた。


翌日はクィディッチの試合。我がスリザリンを心ゆくまで応援したいところだが、ポッターが初出場するとなると、気を抜いてはいられない。なんといってもまだ小さな1年生なのだ。事故がないよう見守っていると、、、

ポッターの箒の動きが妙だ。急降下したりジグザグに動いたり、つかまっているのがやっとの有様だ。これは闇の魔術。クィレルか?ともかく、地面にたたきつけられないよう防がなければならない。私は一心に防衛呪文を唱え続けた。

すると、突然足元に火が上がり飛びのいた。同じ教授席にいたクィレルも立ち上がっている。ポッターは?

なんとか体制を整えなおせたようだ。ほっとしたのもつかの間、ポッターがスニッチを手にして、、、我がスリザリンはグリフィンドールに敗れてしまった。声援を浴びて得意げに箒を乗り回す姿はあの忌々しい父親に、、、。いや、ともかく、ポッターが無事でよかったのだ。次はこんなことにならぬよう、私が審判を務めると密かに決意した。箒に乗る練習をしておかねばならない。

「リリー、君の息子がクィディッチの試合で一勝をあげたよ。しかし狙われているから次は危険のないようにする。」


年末のクリスマスシーズン。誰もが浮足立ち、家に帰るのを楽しみにしている。

私もマルフォイ邸に帰り、久しぶりに一息つけると思っていた。今年はポッターのせいで、週末もホグワーツにこもりきりだったのだから。ルシウスに会って広い胸に抱かれたなら、どんなに安らぐだろう。陶器のような肌、上品な匂い、しっくりとなじんだ体のからみあい。告げられぬ秘密を抱えていても、唯一解放される私の居場所。ルシウスもナルシッサも、ドラコの学校生活の話を聞きたがるだろう。

それなのに。ポッターは休暇もホグワーツに残ると言う。人気のなくなったホグワーツに、クィレルとともにポッターが残るとなれば、私も居残るしかない。

今年最後の薬学授業を終え、胸の内でポッターを罵りながら階段を下りて行くと、ウィズリーがドラコに掴みかかっているところだった。当然ポッターとグレンジャーもいる。そしてツリーの木を抱えたハグリッドも。

「ウィズリー!」

怒鳴りつけると、ウィズリーはあわててドラコのローブから手を離した。

「ウィズリーは挑発されたんで。マルフォイが家族のことを侮辱して。」

「そうかもしれんが、ホグワーツではけんかは規則違反だハグリッド。グリフィンドール5点減点!」

可愛いドラコは喜んでいる。さあ、早くルシウスたちのもとに帰るがよい。私は帰れないが。ポッターたちは悔しそうだがいい気味だ。

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