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セブルス・スネイプと謎のプリンス(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


いつの間にか酒に酔って眠ってしまったらしい。気がつくとセブルスが、ソファで倒れるように眠っていた。

セブルス?」

声をかけても起きない。たしか私に食事を運んできてくれたのだけれど、飲むうちにセブルスも眠ってしまったようだ。いつもピリピリと神経を研ぎ澄ましてるセブルスが不用心に眠りこけている姿は、どこか滑稽で、だけど胸を突くものがあった。君も疲れているんだねと心の中で一人ごちて、肩を抱えてベッドに横たえた。

首元まで、きっちり締めたボタンが苦しそうに見えた。上からいくつかはずしていったが、小さなボタンははずしにくい。私はあまり器用ではないから。ボタンをよく見ようと、体を近づけた時。

するするとセブルスの腕が延びて私の背に回り、あっという間に抱き寄せられた。セブルス?正気でないのはたしかだった。だけど、ごく間近に見るセブルスの顔は、切なそうで、嬉しそうに和らいでいて、、、

(このあと、性的描写が含まれます。)

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ルーピン セブルス ルシウス

セブルス・スネイプと謎のプリンス(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本期映画鑑賞後の、妄想です)

神秘部の闘いの衝撃が癒えぬままホグワーツは夏休みに入った。私は密かにマルフォイ邸に出向きナルシッサとドラコを慰めた。ルシウスに頼りきりだったナルシッサは途方にくれて涙をぬぐうばかり。ドラコには、なぜ父上とともに戦い守ってくれなかったかとなじられたが、アズカバンこそ安全な場所と言うわけにもいかず、ただ、ダークロードがすぐに出してくれるとなだめるしかなかった。長年、家族同然と言われ、私自身もそう思っていたマルフォイ家だったが、ルシウスがいなくなってみると、やはり、私一人他人だと感じざるをえなかった。ルシウスの不在が寂しかった。

スピナーズエンドの自宅に戻り、嵐にもまれたような数日間を思い返した。闇陣営の復活が世に知れた今、戦いはますます熾烈になるに違いない。今回は何とか任務を果たして生き延びられたが、この先どうなるのだろう。ダンブルドアは詳しい話をしないが、ダークロードを倒す手立てを考え、あちこち旅をしていたようだった。先が全く見えぬ今、ダンブルドアの指示を的確にこなしていくことしか考えられない。

ブラックの死も、意外に応えた。長年の仇敵ではあり、リリーの死の責任の一端を担う者としてディメンターのキスを受けさせてやりたいと思ったこともあったが、騎士団員の死は人ごとではなかった。私を含め、いつ誰が、このようにあっけなく死んでもおかしくないのが戦いの現実だと実感する。

ブラックは憎らしいバカな男だったが、その後半生は不運ではかたつけられぬ、哀れなものだった。無実の罪でアズカバンに収監されながら、仲間の誰一人救いの手を延べることもなかった。本人はずっとワームテールを秘密の守人にするよう助言した自分の過ちを悔いていたに違いない。私と同じような、愚かで、ろくでもない人生だ。私にはルシウスがいてくれたけれど、、、そのルシウスも今はアズカバンだった。何を考えても、鬱々と下気分になるばかりだった。


しばらくして騎士団の集会に行くと、鬱々としていたのは私だけではなかったようだ。皆ブラックの死に衝撃を受けていた。なかでもルーピンの落ち込み様はひどく、集会にも姿を現さず部屋に閉じこもっていた。集会が終わると、モリーにルーピンの様子を見てくれと頼まれた。私など適任ではないと辞退したのだが、ブラックが死んでからほとんど食事にも来ない、私は学生時代からの長いつきあいではないかと説得され、しかたなく渡された食事を持ってブラックの部屋をたずねた。今はルーピンが一人でこもっている。

ルーピン、私だ。開けろ。」

何度かドアを叩くと、死人のようなルーピンがのろのろと部屋を開けた。しかしそのままベッド脇のソファに戻り、頭を抱え込んでブツブツと何か言っている。

ルーピン、ひどい有様だな。」

ルーピンは顔も上げなかった。

「モリーが心配している。少しでもいいから、これを食べるのだ。おまえが落ち込んでいてもブラックは戻らない。」

肩を揺すぶるとようやく顔を上げた。

「やあ、セブルス。シリウスが、、、死んでしまった。」

「ああ、知っている。気の毒だったな。」

「やっと帰って来たのに、つらい思いをしただけで、また逝ってしまった。私のせいだ。」

ここにも一人、愚かでろくでもない人生を送る男がいた。

「おまえのせいではない。」

「私のせいだよ。君だって知っているじゃないか。私があの時変身しなければ、、、そうすれば無実が証明されてこんな家に閉じ込められることもなかったんだ。」

「この家にいれば安全だったのだ。」

苦々しい思いが募った。ブラックはなんと愚かなのだ。家にいるよう頼んだのに、勝手に戦いに出かけ、ただ一人の親友を残してあっけなく死んだのだ。

「他の皆が闘っているときに、自分の身の安全なんて考える性格じゃなかった。シリウスは、、、ハリーを助けるために勇敢に戦ったんだ。」

「そうだな。だが嘆いていても死んだ者は戻らない。とにかく、少しでもいいから食べろ。」

ルーピンはうなづいて、のろのろとスープを口元に運んだが、また話し始めた。

「シリウスの人生を考えると、、、やりきれないよ。無実の罪で12年もアズカバンにいて、やっと脱け出せたのに、大嫌いな家に閉じ込められて、そのまま、、、。私は親友だったのに、何もしてやれなかったんだ。ねえ、セブルス、少し飲んでいいかな?」

スープを腹に入れて、少しは元気になったらしい。酒を飲みたいということは、鬱屈した思いを払いたいということで、この状況ではそう悪いこととも思えなかった。私は杖でウィスキーのボトルとグラスを2つ呼び寄せて、注いでやった。思いを酒で紛らわせたいのは、私も同じだった。

グラスを傾けながら、ルーピンはブラックがどんなにすばらしい友人だったかとか、その人生のやりきれなさとか、自分が悪かったのだとか、えんえんとしゃべり続けた。私はただ相槌を打ちながら聞いていたが、落ち込んだ酔っ払いの愚痴など同じことを繰り返すだけなので、適当にうなづきながら、やがて頭の中ではルシウスのことを考え始めた。

子供の頃のことから、デスイーターになった時のこと、マルフォイ邸のゲストルームでの暮らし、そして2人で受けた報復、その後の互いのぎこちなさ。思えば私の傍らにはいつもルシウスがいたのだと、いや、私がルシウスの傍らにいたのか、、。すでにルーピンは酔い潰れてテーブルに突っ伏していたので、私は誰に遠慮することもなく思う存分ルシウスのことを考えながら飲んでいた。少しのつもりが、量を越したようだ。まぶたが重くなってきた。

セブルス?」

肩を抱えられて気がつくと、ルシウスがベッドに運んでくれていた。懐かしい笑顔。ダークロードの報復であられもない姿を曝した後、互いにぎこちなくなってしまっていたけれど、私はずっとこんなふうに抱きしめられたかったのだ。私をベッドに横たえると、大きな手が、ローブのボタンを一つずつはずしていった。もどかしくて、嬉しくて、首に腕を回して抱き寄せた。ルシウスの温もり。帰って来てくれた、私の元に。唇が首筋を伝い、背中を撫でる手が腰に下りてゆく。やがて、いつものように快楽が体を貫き、、、

「ルシウス!ルシウス!」

久しぶりの充足感に身を任せ、私は安らいだ眠りにおちた。

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tag : ハリーポッター ルシウス ルーピン セブルス

セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(16)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


魔法省神秘部の闘いは、騎士団側にシリウス・ブラックの死という大きな打撃を与えたが、闇陣営の完敗と言える結果に終わった。ポッターたちを待ち構えていたデスイーターたちは、ベラトリックスを除き全員が逮捕されアズカバンに収監された。ダークロードが全力をかけて手に入れようとしていた予言の水晶玉は、闘いの最中に砕け散った。

そしてダークロード自身が魔法省に駆け付けたことで、復活が魔法省に確認され、一般に知れ渡ることになった。さらに、ポッターの体に憑依することでダンブルドアにポッターを殺させようとしたのだが、憑依を続けることはできず、ポッターの体を抜け出してダンブルドアと戦い、なんとか逃げ帰る有様だった。

闇陣営の受けた打撃は計り知れず、当然ながら、ダークロードの怒りはすざまじかった。特に神秘部でデスイーターを率いたルシウスに対して。

「数カ月かけて全力を傾けた作戦が、こうまで悲惨な結果に終わるとは、なんたる失態だ!余がうまくポッターを誘き出したと言うのに、子供6人を相手に手こずるとは!」

「予言玉は破壊されてしまった!二度と予言の全文を知ることはできぬのだ。ポッターを倒す決め手となるはずの武器が。」

「10人も率いて任務を成し遂げられぬとは。ルシウスルシウス・マルフォイめ!この場におれば命をもって償わせたものを。」

居並ぶデスイーターたちは皆、いつ怒りの火花が自分に降りかかるかと怯えていたに違いない。私はルシウスをアズカバンに送りこんでくれたダンブルドアに密かに感謝し、ルシウスの失態は私が体で償うのだといったダークロードの言葉を思い、生きた心地がしなかった。しかしルシウスがいない所で私を虐待しても意味はないと思ったのかどうか、幸い話は今後の方針にうつった。

「いまや余の復活は世間に知れることとなった。もはやためらう必要はない。マグルやマグルびいきの者どもを襲撃し、我らの力を思い知らせてやれ。すでに我が陣営に下ったディメンターにくわえ、人狼、巨人、ほか魔法生物を我が陣営に加えるとともに、魔法省への支配を強めるのだ。」

「それから、ポッターについては、必ず余が自ら手を下すと心得よ。」


なんとか生き延びられた。デスイーター集会を終えてホグワーツに戻ると、神秘部に行った生徒たちもすでも戻っていた。ポッターはダンブルドアが話したものの、ブラックの死はショックだったらしい。他の生徒たちは医務室に収容されていたが、幸い回復するようだった。

私はドラコとクラッブたちに父親が神秘部の闘いで捕えられたことを告げ、しかし、もうアズカバンにディメンターはいないから動揺しないようにと諭した。ドラコは涙ぐんで立ち尽くしていたが、父上に心配をかけぬようしっかりするのだと言うしかなかった。

ダンブルドアは校長に復帰し、禁じられた森で行方不明になっていたアンブリッジはダンブルドアが助けて連れ帰ったものの、医務室で休養後ホグワーツを出ていった。学年末の日には、玄関ホールでポッターがドラコに杖をかまえるのを見かけて減点したが、逆にミネルバがポッターたちに得点を与え、この年度も終わった。

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tag : ルシウス セブルス ハリーポッター ルーピン ダークロード

セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(15)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


グリモールドプレイスの騎士団本部に帰ると、シリウスがイライラしながら待っていた。

「スネイプが俺の所在を確認してきた。」

「何かあったのかい?」

「何かあったに決まっているが、いるならいいからそこにいろと言うだけで、説明がないからわからない。」

マッドアイとトンクス、キングスレーの、闇祓い3人組も来て、皆で何があったのかとテーブルを囲んでいると、守護霊の伝令が現れた。

金色に輝く牝鹿のパトロナス。まさか、、、リリー?昔の騎士団で見たことがあったパトロナス。ジェームスの牡鹿、リリーの牝鹿。

しかし、その優美な姿が発した伝令は、セブルスの声だった。一瞬混乱してシリウスを見たが、シリウスと話す間もなく伝えられた内容は緊迫していた。

「ポッターがダークロードに誘き出され、生徒数人とともに神秘部に向かったもよう。ただちに救出に向かってくれ。ブラックは本部に残り、まもなく到着するダンブルドアに状況を報告してほしい。以上。」 

ただちに皆で外に出ると、シリウスもついて来た。とどめようとしたが聞くはずもない。

「ハリーが危険に曝されているのに、家にこもっていられるか!」

急がなければハリーたちが危ない状況だった。押し留める暇もなく、そのまま5人で神秘部にアパレートした。

神秘部につくと、ハリーがデスイーターたちに取り囲まれて追い詰められていた。他の生徒たちは呪いにやられていた。危ないところだった。騎士団員はいっせいに呪文を放ち応戦した。デスイーターは10人ほどだろうか?私たちより圧倒的に数が多かった。デスイーターたちと戦い、攻撃を避けながら、なんとかハリーたちを逃がさなければ。倒れる団員も出て、劣勢は否めない。

しかし、その時、ダンブルドアが駆けつけてくれた。威力のある魔法に、デスイーターたちが倒れていく。気づいた団員たちは戦いをやめ、負傷者の救護を始めたが、まだ闘っている組があった。シリウスとベラトリックス・レストレンジ。闘うシリウスは生き生きと輝いて見えた。ベラトリックスの攻撃を軽くかわしたと見えた、その瞬間。

次の攻撃を胸に受けて倒れていくその背後には、アーチのヴェールが揺らいでいた。攻撃をかわして笑ったシリウスの顔が、恐れと驚きの表情に変わり、、、アーチの向こうに消えていった。一瞬のような、永遠のような、時の流れ。

「シリウス!」

叫び駆け寄ろうとするハリーを、私は必死に抱きとどめた。ヴェールの向こうは、、

「ハリー、もう遅いんだ。」

「連れ戻して!助けて!向こうに行っただけじゃないか!」

「もう、どうすることもできないんだ。あいつは、、ヴェールの向こうに行ってしまった。」

私自身、血を吐く思いだった。シリウス。嘘だ。すべての現実感が消えた。

「シリウス!」

ハリーはなおも絶叫していた。

「シリウスは戻れないんだよ。死ん・・。」

「シリウスは死んでなんかいない!」

もがくハリーをなんとかアーチから引き離した。

「さあ、みんなを助けよう、ハリー。」

涙がにじむのを抑えられぬまま、アーチに背を向けた。声を出すのも辛かった。

と、ハリーが私の手を振りほどき、走り出した。部屋から逃げ出すベラトリックスの後を追って。

「ハリー、、やめるんだ!」

叫んだけれど。

「あいつがシリウスを殺した!僕があいつを殺してやる!」

ダンブルドアがハリーの後を追っていった。私たちは、負傷した生徒たちと騎士団員を助け、ホグワーツの医務室に運んだ。生徒たちは後遺症が残るほどのことはなかったが、重症のトンクスは聖マンゴ病院に入院することになった。

魔法省ではあのあと、ヴォルデモートとダンブルドアが死闘を繰り広げたが、圧倒的なダンブルドアの魔力の前にヴォルデモートは逃げ去ったそうだ。ヴォルデモートの姿は多くの目撃者に確認され、ヴォルデモートが執着していた予言の水晶玉は、戦いの最中に壊れ、もう予言全文を聞くことはできなくなったということだった。

騎士団でその話をきいても、私にはなんの感情も湧かなかった。ただ、シリウスが死んでしまったことだけが、心に圧し掛かっていた。シリウスが生まれ育ち、嫌い、閉じ込められたグリモールドプレイスの家で、私は一人、シリウスに語りかけていた。もう二度と返事をきくことはないとわかっていたけれど、止めることはできなかった。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(14)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ホグワーツでは、校長席を射止めたアンブリッジが、嫌がらせに苦労しつつ、フィルチやドラコたちスリザリン生の一部を味方につけて、生徒たちの締め付けに精を出していた。

学年末、5年生のOWL試験の最中に、アンブリッジはついに実力行使でハグリッドを追い出し、防ごうとしたミネルバは術を受けて聖マンゴ病院に入院となってしまった。これでホグワーツにいる騎士団員は私一人になった。ダンブルドアから、アンブリッジがポッターを退学させないよう守れと言われているから気が抜けないが、あとわずかで今年度も終わり、ホグワーツの任務からは解放されると思った矢先。

OWL試験の最終日、アンブリッジから校長室に呼び出された。行ってみるとポッターやグレンジャー、他に数名の生徒たちが捕まっていて、ポッターはアンブリッジに問い詰められているようだった。

感情を殺してアンブリッジに用件を聞くと、真実薬が欲しいと言う。ポッターがまた何をやらかしたのかはわからないが、白状させて退学に持ち込もうということは想像がついた。喜んで渡したいが、この前ポッターの尋問のために渡したのが最後で、新しく作るには1カ月かかるとのらりくらりごまかしたらヒステリーを起こし、ルシウス・マルフォイがいつも私のことを褒めていたのに、期待はずれだと停職を言い渡された。

ルシウスの名を聞くと胸がチクリと痛む。あれ以来、どうにもぎくしゃくとする関係から抜け出せていなかった。

アンブリッジの小言を受け流しながらポッターの目を見て心を読み取ると、どうやら神秘部の部屋でダークロードにブラックが囚われているのを見たようだった。対処するため校長室を出ようとすると、ポッターが声を上げた。

「パッドフットがあの場所で彼に囚われている。」

ポッターが伝えたいことはわかっているが、怪訝そうな顔をして見せた。わかったぞ、ポッターとか言える状況でないことはポッターにもわかるだろう。当然のことながら、アンブリッジが何の事かと問い詰めてきた。

「さあ、なんのことやら、さっぱりわかりませんな。」

煙にまいて校長室を後にすると、直ちにブラックの所在を確かめることにした。ポッターが見たものは、ダークロードがポッターを誘き出すために意図的に見せた可能性が高い。

通信手段はアンブリッジに見張られているから、守護霊を使ってグリモールドプレイスに連絡し、ブラックがその場にいることを確認した。やはりダークロードの企みだったのだ。まんまと引っ掛かったポッターに腹が立ったが、伝えるために校長室の様子を見に行くと、ポッターとグレンジャーはアンブリッジとともに部屋を出た後だった。

イライラしながら待っていたが、一向に帰ってこない。校内や付近を捜し歩いたが、いないばかりか、ウィーズリーなど一緒に校長室にいた何人かの生徒の姿も消えていた。

神秘部に出向いたに違いない。ポッターたちの無謀さは何とかならないものか。不安と憤りを感じながら、ただちに再度、騎士団本部に守護霊の伝令を送った。

ポッターたちがダークロードの企みに誘き出されて神秘部に出向いたと思われること。ただちに救出に向かってほしいこと。そして、ブラックは本部に留まり、ダンブルドアの到着を待ち、事態を説明してほしいと。

神秘部では、闇陣営がポッターたちを待ち受けているだろう。おそらくはルシウスが指揮をとっている。予言の水晶玉を手にして聞くことができるのは、予言に直接関わる者だけだとわかり、自ら魔法省に赴くのをきらったダークロードは、ポッターをその場に誘い出し、予言の全文を聞き出させようとしているのだ。

連絡した騎士団員たちが、これからルシウスたちと戦う。ルシウスたちが勝てば予言の全てが闇陣営に知られ、ポッターはダークロードに引き渡される。逆に騎士団が勝てば、ルシウスは魔法省に捕らわれるか、逃れればダークロードのひどい制裁を受けることになる。最悪のケースでは、戦いの中でルシウスが命を落とす恐れさえある。私が騎士団の任務を遂行したために。

一番マシなのは、騎士団がポッターたちを救いだし、ルシウスが魔法省に捕らわれることのように思えた。つかまればアズカバン行きだが、アズカバンにもうディメンターはいないから、ダークロードの制裁よりはまだマシだ。もしポッターがダークロードに引き渡されるようなことになれば、私はルシウスの面前で、命を張ってポッターを助けねばならなくなる。

どのような事態になっても最善の対応をするためには、私がダークロードのもとにいたほうがよいのではないか?少なくとも、闇陣営サイドのスパイとしてダークロードの信頼をつなぎとめなければならない。そのために騎士団が行ったことをダークロードに伝えるべきかどうかダンブルドアと相談するためにグリモールドプレイスに行くと、ダンブルドアがクリーチャーを問い詰めていた。ブラックの姿はない。

「シリウスも出かけてしまったようじゃ、セブルス。」

「ここに残れと頼んだのですが。」

「セブルス、騎士団が行ったことをヴォルデモートに伝えるのじゃ。そのことで来たのであろう?」

「はい。そのほうがよいかと。いずれにしても、すでに戦いは始まっているでしょうから。」

「そうするのじゃ。うまくすれば、ヴォルデモートを魔法省に引っ張り出せるじゃろうしな。そうなれば魔法省もヴォルデモートの復活をないことにはできん。」

「それでは私も、、」

「おまえは行ってはならん。今日決着はつかぬ。この先もおまえの情報は騎士団になくてはならんものじゃ。クリーチャに事情をきいたらわしも神秘部に向かう。デスイーターどもはわしが捕まえて魔法省に渡してやるから安心するのじゃ。」

「わかりました。」

ダンブルドアは私の懸念をお見通しだった。ダンブルドアがそう言ってくれた限り、ルシウスは安全だと信じたい。それから私は騎士団がポッターの救出に向かったことを、ダークロードに報告した。そして、地下牢の研究室でじっと連絡を待った。ルシウスとポッターの無事を祈りながら。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(13)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私はグリモールドプレイスのキッチンで報告書を読んでいた。任務以外ではできるだけ家にいて、シリウスを見守るようにしている。シリウスは外に出て騎士団の活動ができないことに鬱々としていたが、今非常に危険だから外に出るなとダンブルドアからも言われていたし、私自身も心配していた。

気づかれないように開心術でのぞいたシリウスの心は、アズカバンやディメンターの恐怖、家族との相克、セブルスの皮肉へのいら立ち、ダンブルドアの外出禁止指示への恨み、ピーターを逃した悔いなど暗澹たる思いに覆われていた。

わずかに残るジェームスとの輝かしい日々の記憶とハリーが、かろうじてシリウスを支えているようだった。ジェームスに見立てたハリーとともに戦いに繰り出すことを夢想していて、いつ無謀な行動に出るかわかったものではない。こんなふうに閉じ込められる羽目に陥ったのも、私がタイミング悪く変身してピーターを逃がしてしまったためだった。私がいて話し相手のあることが、少しでも気晴らしになればよいと思うのだけれど。

と、突然「シリウス?」と呼びかけられて、飛び上るほど驚いた。振り向くと暖炉にハリーの顔があった。シリウスと話したくて、フル―パウダーを使ったのだ。最近姿が消えることの多いクリーチャ―を探しに屋根裏に行っていたシリウスを連れて戻り、一緒にハリーと話した。

ハリーはペンシーブで、5年のOWL試験の後、ジェームスとシリウスがセブルスに嫌がらせをした記憶を見て、そのことについて聞きたがった。シリウスは懐かしそうにジェームスのことを話し出したが、ハリーの表情はさえない。幼くして父を亡くしたハリーが心に描いていた輝かしい父親の真実の姿に傷ついたのだろう。それはほんの一面で、ジェームスはすばらしいクィディッチの選手で、優秀で、人気者だったのだけれど。

ハリーは傲慢な父親の態度にショックを受け、セブルスを気の毒に思い、ジェームスを嫌っているように見えたリリーがなぜ結婚したのかとしょげていた。だから、7年生になってジェームスが傲慢な態度を改めてからリリーがつきあうようになったのだと話してあげた。シリウスは、たしかに調子にのることはあったが、スネイプは闇の魔法にどっぷりつかった嫌なやつだったからとジェームスをかばった。私は2人のセブルスへの攻撃はやり過ぎだと思っていたけれど、止める勇気はなかったと告白した。ハリーのさえない顔は変わらなかった。

記憶を見られたセブルスの反応が気になってきいてみると、驚いたことに、もう閉心術はおしえないと言ったと言う。ハリーは気にしていないどころか、ほっとしているようだったが、とんでもないことだ。閉心術を身につけることは、ハリーがヴォルデモートに操られるのを避けるために最も重要なことだと、ダンブルドアが繰り返し言っていた。

シリウスも私も、自分がセブルスに続けるよう話すと身を乗り出した。シリウスでは逆効果になるに決まっているし、それは私の役目だと思う。ハリーにはくれぐれも、もう一度教えてもらえるように頼むんだよと言ったけれど、暖炉の向こうに誰か来る気配があり、ハリーは急いで戻って行ってしまった。

「スネイプの奴は何を考えているんだ!昔のことを根に持って。陰険な野郎だ。」

ハリーがいなくなると、シリウスがセブルスを罵りだした。

「シリウス、君たちの、、、私たちのそういう態度がセブルスを意固持にするんだよ。」

「なんだと、リーマス。スニベルスの肩を持つ気か?ハリーは関係ないだろう?」

「その通り。ハリーは関係ない。ハリーに被害を及ぼさないために、私が話すよ。」

まったく、セブルスとシリウスの、、、生きていればジェームスも、、、相性は運命的に悪いとしか言いようがない。これがまた悲劇につながらないように、なんとかセブルスを説得したいと思った。


騎士団の集会の後で、セブルスを呼びとめた。

「セブルス、ハリーの閉心術の訓練をやめたときいたけれど。」

振り向いたセブルスの顔は、この上なく不機嫌だった。

「それがどうかしましたかな?」

「セブルス、大人げないことはやめてくれよ。ハリーには閉心術が必要だとダンブルドアが何度もおっしゃっていたじゃないか。」

「ところが本人にやる気がないのだ。私はそのために4カ月も時間を割いてきたのだが。」

「でも君が個人授業をやめたのは、昔の記憶を見られたからだろう?たしかにあれは私たちが悪かったけれど、ハリーは関係ないことだよ。」

「その関係ないポッターが記憶を盗み見たのだ。父親と同様、卑怯にも私の隙を狙って。」

「セブルス、君の気持はわかるけど、今何より重要なのはハリーが、、」

「気持ちがわかる?ルーピン、お前に何がわかる?私がどんなにあの顔を見たくないかわかるのか?」

「だけどセブルス、ハリーはジェームスとは違うんだよ。悪気があって見たわけじゃない。見てしまってひどくショックを受けていたよ。」

「ご立派だと思っていた父親の愉快な姿はお気に召さなかったわけか。」

「君のことを気の毒だと言っていたよ。セブルス、とにかく今はハリーに閉心術を身につけさせるのが大事だとわかっているだろう?そうしなければヴォルデモートに操られてしまう。どんなに危険なことか、、」

「ルーピン、すでに4カ月も特訓したのだ。やる気があればできているはずだ。ところがポッターは心を閉じるどころか、人の思考をのぞき見したいのだ。ダークロードの視線であれこれ見るのが楽しいからまじめに練習しない。」

怒りにまかせて言っているのだろうと思ったが、皮肉な口調のセブルスの顔を見ると、疲労と悲しみが滲んでいた。

「セブルス、もしかして、、、他にも何かあったんだね?」

怒られるだろうとは思ったが、少しだけ開心術を使ってみると、居並ぶデスイーターたちの前に引きづり出され、テーブルにくくられるセブルスの姿が見えた。セルブスは見られているとわかっているのに閉心術を使わない・・・。私はあわてて術を止めて尋ねた。

「どうして、、隠さない?」

「疲れているのだ。もう、、たくさんだ。」

吐き捨てるように言って扉に向かったが、出口で振り返り、言い残した。

「おまえはブラックのお守りでもしていることだ。」

私は垣間見たセブルスの心景の意味を考えてみた。デスイーター集会でなんらかの虐待を受けたようだった。それを隠そうともしなかったセブルスの心境も考えてみた。闇陣営の諜報任務と、ダンブルドアのいないホグワーツでの生活に疲れ果てているということか?それとも、少しでも私に気を許していると考えていいのだろうか?

ハリーへの閉心術授業の再開は、説得できなかった。ただ、ハリーが謝って、やる気を示せば、行わないわけではないらしい。さんざん嫌味を言って痛めつけてからなのだろうけれど。だけど、ホグワーツへの連絡が全て検閲されている今、ハリーに言いきかす手段を思いつくことはできなかった。

最後の言葉の意味は、ハリーを操るのにシリウスが利用される危険があるということだろう。少なくとも、セブルスはそう懸念していると思われた。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(12)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


悲鳴をきいて玄関ホールに駆け付けると、すでにホールいっぱいに生徒たちが詰め寄せていた。悲鳴をあげたのは占い学のシビル・トレローニー教授。アンブリッジの査察の結果解雇され、荷物といっしょに放り出されたのだ。

シビルの占い学の授業ははっきり言ってろくでもないと思うが、彼女はごくまれに真の予言をする。16年前にポッターに関する予言をしたのはシビルだった。私が偶然その初めの部分を聞き、ダークロードに報告したことがリリーの死につながってしまったのだ。予言をしたシビルを保護するために、ダンブルドアが教授に雇い、ホグワーツに住まわせていた。

ダークロードが血眼になって予言全文を手に入れようとしている今、シビルがホグワーツを出れば、すぐに闇の陣営の手が伸びるだろう。案の定ダンブルドアが介入し、解雇されてもホグワーツに留まることになった。この一件にも、ダークロードに脅されて予言を入れることに必死になっているルシウスが関わっていたのだろうか?ルシウスとはあれ以来、話がしづらくなっていた。


4月に入ると、昨秋以来ポッターたちが中心になっていやっていた、生徒たちの闇の魔術に対する防衛術の自主学習が、アンブリッジに見つかった。アンブリッジが真実薬で生徒の一人に自白させ、秘密の部屋から逃げるポッターを捕まえたのだ。生徒たちの集会・組織を禁じた魔法省の教育令に反したとしてポッターを退学させようと、校長室にはファッジまで来て待ち構えていたらしい。しかし、自主学習組織の名称が「ダンブルドア軍団」だったことを利用して、ダンブルドアがポッターの退学を阻止するため、自分がが主導したと告白して逃亡してしまった。

後任として、アンブリッジが校長に就任した。ドラコたちスリザリン生はアンブリッジに協力的であり、ウィーズリーの双子たちがアンブリッジに嫌がらせのいたずらを仕掛け教授たちもそれに乗ってアンブリッジを困らせていたが、私は淡々と職務をこなした。

アンブリッジを警戒してはいるが、ホグワーツでの私の行動はスリザリン生たちから家族を通じて、あるいはアンブリッジ自身やファッジからルシウスを通じて、ダークロードに伝わる。表向きはあくまでアンブリッジに反するつもりはない。しかしアンブリッジから真実薬を要求された時は、ポッターに使われることを考えて、偽の薬を渡しておいた。

次のポッターの閉心術の個人授業で、いつものように見られたくない記憶を頭から抜き出してペンシーブに入れ、まさにレッスンを始めようとした時、ドラコが駆け込んできた。なぜポッターがいるのかと不思議そうなドラコに、魔法薬の補習だと説明して用件を聞くと、行方のわからなくなっていたスリザリン生のモンタギューが見つかったと言う。呪いがかけられているようなので、私の助けが必要だった。

ポッターには授業は明日にすると言って研究室を出た。しかし急いで処理して戻ってみると、ポッターがペンシーブに半身を突っ込んでいた。

見ているのだ。私の記憶を。知られたくない、特にポッターにはけして見られたくなくてわざわざ抜いておいた記憶を。どこまで見たのだ?一番古いものか?私がOWL試験後にポッターの父親やブラックに術で宙に逆さづりにされて下着が露わになり、怒りと恥辱で動転してリリーを貶め、その結果リリー決別された記憶?その後のものも?

私はポッターの上腕を掴んで引きずりだした。

「おもしろいか?」

ポッターが口ごもる。見たのだ。私は怒り震えた。

「すると、、楽しんでいたのだな?お前の父親は愉快な男だったな?」

お前も同じだ。私を辱め、あざ笑う。屈辱と悲しみが蘇り、目の前のポッターが父親と重なった。この顔は二度と見たくない!私を辱め、リリーを奪った、憎んでも憎み切れぬその顔!

「見たことは誰にも言うな。出ていけ。今すぐ出ていけ!この部屋でその顔は二度と見たくない!」

怒りで魔力が暴走し、ポッターの頭上でビンが爆発した。体は怒りで震え、いつまでもおさまらなかった。心の中にリリーの悲しげな横顔を思い、ようやく少しは落ち着いたが、それでも二度と、あのポッターに辱めを受けるのはごめんだった。リリーの遺志を継ぐために、心の底にねじ伏せた怒りと屈辱と悲しみ。ポッターはそれを盗み見て笑っていたのだ。これ以上、がまんならなかった。

どうせポッターは閉心術など身につけられぬ。私の記憶を盗み見たように、ダークロードの意識を見られることを楽しんでいるのだから。
  
翌日の夕方、ポッターは研究室に来なかった。やはり、閉心術を学ぶ気などないのだ。

次の魔法薬の授業では、ポッターはいないものと考えることにした。いなければあの不快な顔を見ることもない。ポッターはつくった強化薬のフラスコを私の机に提出したが、落ちてビンが割れた。これで採点する必要もなく0点をつけられる。いい気味だ。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(11)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


マルフォイ邸のゲストルームに着き、ルシウスはローブに覆われた私の肩を抱いたまま、まんじりともせず座っていた。互いに、今夜起こったことを、どう処理すればよいのか、途方に暮れていた。

気がつくと、私はルシウスに寄りかかったまま、手のひらに顔を埋めていた。リリーに決別を告げられ、暗闇に一人佇んでいた私に差し伸べられた手を握り、そのまま長い年月を寄り添って生きてきたのだ。その間、人生を揺るがすような出来事もあったが、ルシウスのもとを離れることなど考えたこともなかった。

妻子を得たルシウスに男の私が寄りそうなど、一般には褒められた話ではないだろうが、私自身は16歳の時からただ一人想い定めた人を守るのを誇らしく思っていた。人との関わりが薄い私にとって、ルシウスは父であり兄であり、友であり恋人だった。何があろうと私の味方だと言ってくれた、ただ一人の人。私からルシウスを取り除けば、残るのはリリーに捧げた魂だけだ。ダークロードのように、魂だけの惨めな命になり、ユニコーンの血でもすすって生きながらえるのだろうか。

ルシウスも私のことを大切にしてくれたと思う。私と違って、多くの人に囲まれた華やかな生活を送りながら、それでも長い年月、何があってもそれは揺るがなかった。抱くたびに「おまえは私だけのもの」と言っていたルシウス。あのような浅ましい姿を曝し、私たちは密やかに守ってきたたいせつなものを、変わりなく育んでゆくことができるのだろうか?

「セヴィ」

すぐ横にルシウスの顔があった。肩を落とし、傷ついた、弱々しい表情。こんな姿は見たことがなかった。

「すまなかった。私のせいだ。私への報復だったのだ。私の一番弱いところを突いて痛めつけるために、、、あのような、、ひどいことを。セヴィ、すまない。守るどころか、ひどい目にあわせてしまった、、」

「ルシウス。私こそ、、あのような浅ましい、汚らわしい姿を曝して、、消えてしまいたい気分だ。」

「セヴィ、汚らわしいなどと思うことはない。すべては媚薬の作用なのだ。」

そう言いながらルシウスはわずかに眉をしかめた。あの姿態を思い浮かべたのだ。払っても拭えぬその景色を振りきるように言葉を続けた。

「セヴィ、約束する。二度とあんな目にはあわせない。二度と失敗はしない。予言玉を首尾よく手に入れさえすれば、、、ダークロードの怒りも和らぐはずだ。そうすれば二度とあのようにお前を傷つけることはない。」

私は激しい怒りを感じた。ルシウスにではなく、ダークロードにだ。ルシウスの心を痛めつけ、再度の報復をほのめかし、脅して支配するそのやり口に。心の中で、崩折れていた何かが立ち上がるのを感じた。私は屈しはしない。体に潜む浅ましさを曝しはしたが、恵まれて育ちのよいルシウスと違い、私の人生などハナから踏みにじられているのだ。心の中にリリーの魂の灯火がある限り、私はダークロードと戦い、ルシウスをこの泥沼から救い出す。無謀に戦いを挑んでも勝算はない。ポッターダークロードを倒すその日まで、命をかけて守り抜くのだ。

ホグワーツに戻らねばならぬ時間だったが、ルシウスに引きとめられた。今夜はともに過ごすべきだと。私もそう思った。ルシウスの腕枕にぎこちなく身を寄せて、しかし私は一睡もしなかった。ルシウスの寝息も、ついに聞こえることはなかった。


ホグワーツに戻り、集会のことをダンブルドアに報告した。私とルシウスが受けた報復については触れなかったが、ダンブルドアが尋ねもしなかったことで、すでにわかっているのだと推測できた。ダンブルドアに知られようとかまわない。ダンブルドアも私の状況を利用するかもしれないが、、、リリーへの想いを利用して私をスパイにしたように、、、それは邪悪なダークロードを倒すための導きなのだ。

しかしポッターの閉心術の授業で、ポッターがダークロードの視線でルックウッドに対峙している景色を見て、冷や汗をかいた。ポッターがその視線で、私の受けた報復、、、痴態を、、見た可能性に思い至ったのだ。

「今のはなんだ?」

問い詰めたが、そのような場面を見たのはその一度きりのようだった。ほっとして、釘を指しておくことにした。そもそもダークロードとの意識のつながりを断つためにこの授業をしているのだ。

「なぜ私が時間を割いて閉心術の授業をしているのかわかっているのだろうな?ダークロードがデスイーターに何を言うか知るのは、お前の役割ではない。」

「わかっています。それは先生の仕事でしょう?」

「その通りだ、ポッター。」

あのような邪悪な世界は子供が見るものではない。個人的にも、あんな姿はよりによってポッターなどに見られたくない!

ポッターの返事に満足し、再度レジリメンスをかけた。すると、ポッターがプロテゴ(防衛呪文)を使い、術を解いた。逆に私の心に押し入って来たのだ。私の幼少期の記憶をいくつか見られただろうが、見られてまずい記憶はペンシーブにおさめてある。2カ月もかかり、ようやく上達が見られたのだ。この調子だ。

「今のは確実に進歩だ。もう一度やるぞ。レジリメンス!」

すると今度は、猛スピードで廊下を走る景色が見えた。廊下を走り神秘部の扉を、、、開けた。そして部屋の中を見ている。

「ポッター!」

「僕、何が起こったかわかりません。廊下は何度も見たけど、中は見たことなかった。」

危険な兆候だった。私の痴態を見られなくてよかったなどとほっとしている場合ではない。これはダークロードが意図的にポッターに見せているに違いない。予言が保存されている神秘部に、ポッターを侵入させようと企んでいるのだ。予言玉を取り出せるのは、予言に関わる者だけと知って。こんなことを避けるために閉心術が必要だと訓練しているというのに。

「おまえが怠け者で術を身につけないからそんなものを見るのだ。だからダークロードに利用され・・」

ポッターが私を遮り言い返してきたとき、玄関ホールから悲鳴が聞こえてきた。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(10)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


アズカバンから脱獄した者たちを加えたデスイーター集会は異様な熱気に盛り上がり、ダークロードはこの上なく上機嫌だった。アズカバンの看守を務めていたディメンターを闇陣営に戻すことに成功し、警護を解いて脱獄が可能になったのだ。ダークロードの復活直後からダンブルドアが懸念していた通りになった。

脱獄したデスイーターたちは、14年も収監されていたのだから当然とはいえ、やつれ果てた顔に妄執にとりつかれたような目ばかりがギラギラと光る容貌で、昔の友の面影を見つけるのは困難だった。ダークロードを取り巻き、感謝と忠誠の誓いの声を上げる彼らを、復活時から集まっていたデスイーターたちは遠巻きにして眺めていた。おそらく、ダークロードの復活を真に願い信じていたのは、脱獄してきた者たちだけなのだ。

「忠実なる真のしもべたちの帰還をを祝う。余も長年にわたり惨めな姿で苦しみ、この日を待っておった。これからは一丸となって、我が陣営の繁栄を築くのだ。」

ダークロードの一言一言に歓声が上がった。ダークロードは脱獄者たちをねぎらい、体を休めて気力を養うよう告げて集会は解散となった。

しかし、一丸となってという言葉の実現は難しいと思われた。今は帰還の喜びに沸いているが、ダークロードと同様脱獄者たちも、口を拭って収監を免れた私たちに恨みにも似た感情を抱くだろう。しかも、彼らは逃亡者として追われる立場が続き、ダークロードの復活を表向き隠している現状ではマグル虐待などで鬱憤を晴らすこともできない。

となれば、、、当然、仲間内での制裁に矛先は向くのではないか?ダークロードも彼らの気持ちをくみ取り、口を拭った者たちに罪の償いをさせる名目で制裁をおこなうだろう。私と同じ嫌な予感を持ったのか、周囲の者からかすかな怯えが感じられた。

しかし、騎士団にとって重要なことは、脱獄者の中に、もと魔法省神秘部に勤めていたルックウッドが含まれていることだ。ルックウッドは予言の水晶玉を手に入れる方法について詳しいはずだ。

ホグワーツに戻りダンブルドアに報告したが、すべてはお見通しのようだった。

「ハリーがダークロードの計画に引きずり込まれぬよう警戒せねばならぬの?」

「その通りです。閉心術が必要なのですが、ポッターはやる気がありません。」

「なんとか習得させるのじゃ。それでセブルス、おまえは大丈夫かの?」

「覚悟はしています。」

しかし、特訓にもかかわらず、ポッターの閉心術はいっこうに上達しなかった。


嫌な予感は的中した。ルックウッドの情報により、神秘部の職員なら水晶玉を奪うことができるというエイブリ―の情報が間違っていたことが明らかになると、エイブリ―が脱獄組から集団リンチといえるクルーシオを受けた。これを皮切りに、口を拭った者たちが数人ずつ集められ、脱獄者たちの腹いせの犠牲になった。もちろん、仲間内のことだから、死んだり廃人になったりするほどのことはしない。しかしやるほうには鬱憤晴らしでも、やられるほうは恐怖に怯えた。恐怖による支配はダークロードが得意とするところだった。

ある日の集会の後、脱獄組とともにルシウスと私が残るよう命じられた。しばらく前にザ・クィブラーという二流紙にポッターの独占インタビューの記事が載り、ダークロードの復活や集まったデスイーターたちの名が報じられたのだが、それにより陣営の活動がやりにくくなった。ポッターを見張るべき私と、報道を抑えるべきルシウスの失態だというのだ。言いがかりだったが、抗する術はない。

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tag : セブルス ルシウス ハリーポッター

セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(9)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私はダンブルドアの指示を受け、休暇の最後の日、ポッターに閉心術の個人指導を受けるよう伝えるためグリモールドプレイスに出向いた。居間にはブラックが居座っていた。呼ばれたポッターが居間に来て、ブラックの隣に座る。私の向かいに並ぶブラックポッター。実に嫌な組み合わせだった。

ブラックは初めからけんか腰だった。私がポッターに座れと言うと、自分の家で人に命令するなと言う。暇人を相手にする暇はないから、ポッターに、週明けから閉心術の個人授業を受けるように、他の者、特にアンブリッジには知られぬようにと必要なことだけ伝えた。ポッターに尋ねられて、教えるのは私だと答えると、ブラックがなぜ私がおしえるのかと口をはさんできた。えらそうな物言いにむっとしたが、ダンブルドアからブラックを刺激するなと釘を刺されていたので、ダンブルドアの指示だと答え、ポッターに確認して早々に立ち去ろうとした。

するとブラックが私を呼びとめ、指導を口実にポッターをいじめたら自分が黙っていないなどと言う。ポッターの安全と、経緯から考えて、ブラックの安全にも大きく関わっているはずなのに、いやいや引き受けた私になんの役にもたたぬ者がえらそうにと腹立たしかった。

「感動的なことを。しかしポッターは父親そっくりだ。」

「ああ、その通りだ。」

「それならわかるだろうが、ポッターは傲慢で批判的なことは一切受け付けぬ。」

ブラックはいきりたって杖を抜きながら私に近付いてきた。私も杖を取り出した。

「警告したはずだ、スニベルス。ダンブルドアがお前は改心したと信じても、俺はよく知っているぞ。」

「それならなぜダンブルドアにそう言わないのだ?母親の家に6カ月も隠れている男の話など、まともに取り合ってもらえないとでも思っているのかね?」

ブラックの弱みはよくわかっているから、痛いところをつくのは簡単だ。立場をわきまえればよいのだ。

「ところでルシウス・マルフォイは最近どうしている?自分のペット犬がホグワーツで教えているのを喜んでいるだろう?」

私の言葉など聞かぬふりで、ブラックはルシウスのことを持ちだして挑発してきた。私がルシウスと親しいことを言いたてて、私が闇陣営に近しいとでもいいたいのだ。私たちの恐怖など何もわかっていないくせに。しかしそんな挑発を跳ね返すのは簡単だった。

「犬と言えば、君がこの前外出したのをルシウス・マルフォイが気付いたのを知っているか?安全なプラットフォームで姿を見せるとはよい考えだったな。それで隠れ家から出ないですむ完璧な口実ができたわけだ。」

ブラックが杖を上げ、とめるポッターを押し返しながら吼えた。

「俺を臆病者呼ばわりする気か?」

「ああ、まあ、そういうことだな。」

ハリー、そこを、退け!」

ブラックがポッターを押しのけて私に迫り、互いに杖を突きつけた時、、、

「治ったよ~」

幸せそうな声とともにドアが開き、アーサーとウィーズリー家の子供たち、グレンジャーが入って来た。アーサー・ウィーズリーが退院してきたのだ。一瞬その場の全員が硬直し、、、。私は正気に戻り、、、ブラックも、、杖を下ろし、私は早々に立ち去った。

とにかくポッターに用件は伝えた。心の中でブラックを罵りながら帰る途中、ポッターは父親と違い、ブラックとともに私に杖を向けることはなかったと気がついた。まあ、教授と生徒なのだから当然だが。


休暇明けの月曜日。時間通り、ポッターがおずおずと研究室に入って来た。私はまず、開心術と閉心術について説明した。ポッターが学ぶ必要性を十分に理解しなければ、習得など望むべくもない。ポッターもなかなか的確な質問をしてきたから、、、余計な質問もあったが、、、わかるように答えていった。ポッターとダークロードの間に絆があり感情や思考が入ってくること、そのことにダークロードも気付いたと思われること、それを利用される危険。

十分な説明を終えると、私はいくつかの記憶を頭から抜き出し、ダンブルドアから借りてきたペンシーブに入れた。ポッターが抵抗してきた場合、見られたくない記憶を頭からのぞいておいたのだ。私がリリーの遺志を継ぎポッターを守っていることが知られる記憶やルシウスとの関係など。ポッターに知られたくないこともあるし、ポッターを通じてダークロードに知られては危険が大きな記憶を。

準備を終えて、まずはポッターの力を試してみることにした。

「立って杖を構えろ、ポッター。」

ポッターが指示に従った。

「これからお前の心に押し入ろうとする。杖を使って武装解除をしてもよいし、他に思いつく限り抵抗してみるのだ。服従の呪文に抵抗した時と同じような力が必要になる。どの程度抵抗できるかやってみるのだ。では、、レジリメンス!」

ポッターの心の中に押し入った。様々なポッターの記憶や感情が露わになった。辛くて惨めな幼少期の記憶ばかりだった。そして、、、突然私の腕に痛みが生じ、術が解けた。ポッターにきいたが、抵抗したわけではなく、心に入り込ませすぎ、魔力の抑制を失ったのだ。しかし、

「はじめてにしては、それほど悪くなかった。」

心を空にし、感情を捨て、強く頭ではねつけるよう教えて、再度開心術をかけた。今度はドラゴンや両親や死んだディゴリーの姿。

「やめろーーー!」

ポッターが叫んで倒れ、術が切れた。心が恐怖や悲しみから逃れられていない。これでは簡単にダークロードに弱みを握られてしまう。

「立て、ポッター!恐怖の記憶に侵入を許すのは、武器を差し出すことだ。やる気を出せ。集中するのだ。」

再度術を掛けると、再び悲しみや恐怖の記憶が続いた後、、奇妙な記憶が現れた。アーサーとポッターが魔法省らしい廊下を奥の扉に向かって歩き、途中曲がって石段を下りていった。突き当りの奥にあったのは神秘部の扉だ。私は急ぎ術を解いた。

「今のはなんだ?」

ポッターは何かを思い出す様にしばらく考えた後、

「神秘部に何があるのですか?」

と聞いて来た。私はうろたえ、時間稼ぎに、なぜそんなことをきくのかと尋ねた。騎士団ではダンブルドアから、ポッターに神秘部にある予言のことを伝えてはならないと言われている。

「今の廊下は、何カ月も僕の夢に出てきた廊下です。それが今、神秘部の扉に続くものだとわかりました。ヴォルデモードはたぶん、その中にある何かを欲しがっている。」

「ポッター、神秘部には様々な物があるが、おまえに関係あるものはない。わかったか。」

ポッターの心が弱まる時、特に夜は危険だから、寝る前に心を空にするようにと伝えて終了した。

それにしても、、、。初め試しに術をかけたとき、私は単に子供時代を見ようと思っただけだった。マグルの家庭で苦労して育ったとダンブルドアやルーピンから聞いていたが、あの傲慢な英雄気取りの態度を見ると、どうしても甘やかされて育った父親の姿と重ねてしまっていた。しかし、記憶に現れたのは、従弟の自転車をうらやましそうに見たり、犬をけしかけられて逃げる姿を笑われたり、惨めなものだった。期待を胸に入ったであろうホグワーツの記憶も、医務室に横たわる友人やディメンターに襲われる姿。

ポッターの味わった惨めな思いや悲しみや恐怖がそのまま伝わり、実感された。これではまるで、私の子供の頃と同じではないか。ともすれば湧きあがりそうになる共感や同情を、私は押し殺した。ポッターへの憎しみに満ちたダークロードに、わずかでもポッターへの同情など読みとられようものなら、どんな災いを招くか知れぬ。いっぺんの曇りもないポッターへの嫌悪や憎しみこそ、ポッターを守る使命を秘めてダークロードの前に立たねばならぬ私の安全弁なのだ。

それよりも、問題は神秘部だ。私は直面する問題を考えることにした。神秘部のことはダンブルドアに報告しなければならない。ポッターがダークロードの意識につられて興味を持つのは危険なことなのだ。ダークロードが意図的にポッターの意識に侵入するようになれば、どのように悪用されるかわかったものではないのだから。


その夜、デスイーター集会の招集がかかった。行ってみると、アズカバンに収監されていたデスイーター10人が集団脱獄し、ダークロードの元に集結していた。

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tag : ハリー ポッター ブラック ダンブルドア

セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(8)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クリスマス前にアーサー・ウィーズリーがダークロードの蛇に襲われたが、幸い、ポッターがその現場を見ていたことで手遅れにならず救出された。ポッターとダークロードの間の意識の繋がりは、ダンブルドアが以前から騎士団に警告していたことだった。

今回ポッターは、ダークロードの蛇の視線で、ウィーズリー襲撃の現場を目撃したと言う。ウィーズリーは騎士団の任務で、神秘部入口の警戒の当番をしているところだった。

ダークロードの蛇、、ナギニ。デスイーター集会の席でも、ダークロードのそばにいるのを何度か見たことがあった。一向にはかどらない予言の入手に業を煮やして、ダークロードがナギニを魔法省に忍び込ませたのだろうが、、、。

意味するところは、ポッターの意識がダークロードに繋がり、ダークロードの意識はナギニの中にあったということになる。これらの意識の繋がりは、いったい何によるものなのか?4年前には若き日のダークロード、トム・リドルの記憶が込められた日記が、ジニ―・ウィーズリーの意識を操り秘密の部屋の扉を開いた事件があった。リドルの日記は、その破壊を知ってダークロードがルシウスを殺しかねない勢いで激怒したものだった。ジニ―・ウィーズリーやその前年に肉体が復活する前のダークロードがクィレルに取りついていたことがあったが、、、。

ジニ―・ウィーズリーやクィレルのような憑依とポッターのケースはやや異なる印象だが、ダークロードは何らかの理由により、ポッターやナギニと意識を共有する繋がりを持っている。ダークロードの意識が本体を離れ、あちこちに忍び込む薄気味の悪さを感じた。ダークロードは、肉体を失い魂だけの惨めな姿で生き延びたと言っていたが、今ある体以外に、ダークロードの魂を宿すものがあるということか?それがポッターとナギニ?他にも何かあるということか?なんらかの闇の魔術の作用に違いないとは思うが、考えてもよくわからなかった。

アーサー・ウィーズリーの負傷以来ウィーズリーの子供たちやポッターはグリモールドプレイスにいたが、そのまま学校もクリスマス休暇に入った。私は情報収集をするとダンブルドアにも知らせたうえで、マルフォイ邸でクリスマスを過ごすことにした。

今年のマルフォイ邸のクリスマスパーティには、多くのデスイーターが集まった。デスイーター集会の緊迫したムードと違い、皆陽気だった。昔からの仲間たちが集まり酒を飲み交わせば、気分も晴れるというものだ。最近イラついてばかりのダークロードも、闇陣営が勢力を盛り返せば落ち着くだろうと楽観的な話ばかりで、目新しい情報は得られなかった。

私も気が緩みかけていた頃、ルシウスが近付いてきて、こっそり話しかけてきた。

「セヴィ、シリウス・ブラックはポッターをずいぶん可愛がっているようだ。」

私は少し驚いた。新学期の初めに、ルシウスがホグワーツ特急のホームでブラックが変身した黒犬の姿を見かけたため、すでにブラックとポッターに交流のあることは知られていた。ブラックの旧友ペティグリューが今はワームテールとしてダークロードに仕えているので、ブラックのアニメガスも、ブラックが騎士団メンバーであることも闇陣営には知られていたのだが、、、だからこそダンブルドアもブラックに固く外出を禁じている、、今なぜブラックの話が?

「ルシウス、なぜそんなことを?私はブラックもポッターも嫌いだから2人の仲はよく知らないのだが。」

「ここにはブラック家の人間がいるからな。」

「ナルシッサ?」

ナルシッサとブラックは従姉弟同士で、ナルシッサはルシウスに嫁ぐ前はあのブラック邸で育ったのだ。ルシウスは曖昧にうなづいて、

「ブラック家の話は自ずと伝わってくるのだ。ダークロードも喜んでおられた。」

些細なこととは思ったが、ホグワーツに戻り、ダンブルドアに報告した。ダンブルドアはしばらく何か考え込んでいるようだったが、クリスマス休暇の最期の日に校長室に呼ばれた。

「セブルス、ハリーとヴォルデモートの意識の繋がりは危険なものになってきたと思うのじゃ。アーサーの襲撃が直ちにこちらに知れたことで、ヴォルデモートもこの繋がりに気づいた恐れがある。」

「ポッターは自分の特別な能力でアーサーを救えたと、さぞかし得意に思っていることでしょうな。」

「セブルス、いい加減にするのじゃ。ハリーはそんなふうには思ってはおらん。」

「それでは特別扱いして甘やかすのではなく、それが皆を危険に曝すのだとはっきり知らせるべきだと思いますが。」

「その通りじゃ、セブルス。そこでじゃ、ハリーに閉心術をおしえてやってくれんかの?」

「私がポッターに?うまくいくとは思えませんな。」

「セブルス、他に誰がおるというのじゃ?」

「それは、、、たとえば校長ご自身が教えられれば。」

「ヴォルデモートにいつのぞかれるかわからんのに、わしがハリーと親密に接するわけにはいかんのじゃ。おまえはヴォルデモートの開心術にさえ勝る閉心術の名手じゃろう?その術をハリーに教えるのじゃ。」

そう言われれば、それ以上逆らう言葉は見つからなかった。たしかに、ダークロードがポッターの心をのぞいても、ポッターの意識の中には私といがみ合う姿しかないはずだから、安全ではあった。

「わかりました。それでは、お引き受けします、校長。」

閉心術と開心術。表裏一体ともいえる2つの魔術は、素質によるものが大きいが、育った環境も影響する。私はいたぶられるばかりの子供時代、身を守るために心を隠す術を身につけた。閉ざし方がわかれば開き方もわかりやすい。後にダンブルドアから開心術をおしえてもらい、ある程度は開心術も身につけている。

開心術の名手といわれるダークロードも、子供時代はめぐまれぬ境遇だったと、自身が語っていたことがある。ダークロードはその素質を磨き、周囲の心を読んで相手を支配し痛めつける術を得たのだろう。逆に、ルシウスのように周囲の思惑を気にする必要なく育つと、たとえ素質があったとしてもあまり身に付かないようだ。ポッターにはその必要性を十分認識させなければならない。心を閉ざすことを身につけた者だけが、身を守ることができるのだと。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ホグワーツの新学年が始まった。前年度末のスピーチで、ダンブルドアは生徒たちにダークロードの復活を伝え、警戒するよう呼びかけたのだが、夏休み中が明けるまでに、ダンブルドアの信頼は危うくなっていた。

魔法省の意向と圧力を受けたと思われる予言者新聞などが、ダークロードの復活に触れないばかりか、ダンブルドアと復活を証言するポッターの信認を貶め、危険人物だと言わんばかりのことばかりを報道したせいだ。父兄の中には、子供をホグワーツに送るのを懸念する者もあらわれるくらいだった。警戒が必要な時に困ったことだ。闇陣営の思うつぼだった。

ファッジは、ダンブルドアがダークロードの復活を主張するのは、世の不安をかきたて、魔法省の無能をなじって魔法大臣の座を狙っているというバカげた考えにとりつかれ、ホグワードをスパイし圧力をかけるために魔法省の者を送り込んできた。空席で後任が見つからなかった闇の魔術に対する防衛術の教授として、魔法省のアンブリッジ高等次官を任命したのだ。

魔法省に繋がりの深いルシウスによれば、アンブリッジは魔法省の権威を揺るがしかねないダンブルドアやポッターを憎んでおり、人狼など純粋な魔法使い以外の者も含めた共存を志向するダンブルドアの方針も嫌っており、ダンブルドアへの牽制としては適任だということだ。ファッジと親しいルシウスとも面識があるらしい。思想的には闇陣営に近いが、ダークロードを信望しているわけではなく、あくまで魔法省至上主義ということだ。

教授たちは、魔法省の介入を体現するアンブリッジを苦々しく思い、その気持ちを隠さなかった。私は闇陣営にどう伝わるかを常に考えなければならないから、忌々しい気持ちは抑え、できるだけ当たり障りなく接することに決めていた。実際、闇陣営へのスパイ任務や騎士団の会合に加え、教授や寮監としての業務で手いっぱいだった。

ポッターたち5年生は、学年末にOWL試験を控えている。OWL試験で一定の成績をおさめた者だけが次のレベルに進むことができ、将来の職業に影響する重要な試験だ。学年初めの魔法薬学の授業では、その重要性を説き、生徒たちの気を引き締めた。しかし、父親そっくりのポッターの顔を見ながらOWL試験の話をすると、、、否応なく私自身のOWL試験後の苦い出来事が思い出された。ポッターとブラックの嫌がらせに端を発し、リリーとの決別を招いた苦い思い出。ポッターが作った出来の悪い魔法薬をエバネスコの呪文で消し去り、0点をつけて腹いせした。

OWL試験を控えた5年生に対するアンブリッジの授業は、杖をしまわせ教科書を丸読みさせるというろくでもないものだったらしい。生徒たちが実力をつけることはダンブルドアの勢力を増すことになると考えているわけだ。闇の魔術の奥深さも、それに対する防衛の技も解さぬアンブリッジがDADAの教授席を占めるなど許しがたいことだったが、今の状況では関わらぬのが一番だ。

しかしポッターたちグリフィンドールの生徒たちは反発した。生徒たちに危険はないのだから杖を振る学習などいらないというアンブリッジに対し、ダークロードが復活したのだから自分たちも防衛の技術が必要だと。刺激的な反発に対し、魔法省はアンブリッジを高等審問官に任命し、規則を発したり、教授たちを査察する権限を与えた。ルシウスも後押しして、予言者新聞にも歓迎のコメントを出していたが、敵の力や反撃を考えない無謀な生徒たちのせいで、私を含む教授陣まで査察の被害を受けることになった。。

ろくでもない防衛術の授業に危機感を強めた生徒たちは、自分たちで学ぶ画策をした。立案はグレンジャー、指導はポッター。希望する生徒たちが集会した。これはダングが聞きつけて、騎士団の会合で報告したことだ。学習意欲は評価するが、不安なメンバーだ。危険なことにならなければよいのだが。

しかし聞きつけたのはダングだけではなかったようだ。アンブリッジは早々に、生徒たちの集会やグループ活動を禁止するという手段に出た。煽りを食ってクィディッチのチームまでいったん解散させられ、再度許可を取ることになったが、ルシウスの後押しもあるから、スリザリンのチーム編成許可はすぐに出すことができた。ドラコに許可を与えて、魔法薬学の教室の扉を開けると、ポッターとウィーズリーとロングボトムが揉み合っていた。即座にグリフィンドールから減点した。

この日の授業はアンブリッジが査察に来ていたが、私は当然、いつも通り授業を進めた。アンブリッジは、教えていた強化薬のような高度なものは生徒たちに必要ないとケチをつけたり、私が毎年闇の魔術に対する防衛術の教授を希望しながらダンブルドアの許可を貰えないことに触れて理由を聞いてきたので、理由は校長に聞けばよいと返してやった。癇に障る査察だったが、聞き耳をたてていて魔法薬作りに失敗したポッターに0点をくれてやることで腹いせした。

闇の陣営では、ホグワーツとダンブルドアへの牽制が魔法省の動きによりうまくゆく一方、予言の水晶玉はなかなか手に入らず、ダークロードはイラついていた。デスイーターの誰かが魔法省神秘部の職員なら予言の保存室に入れるという情報を得て、ルシウスが職員の1人に服従呪文をかけたのだが、神秘部から戻ったその職員は正気をなくし発狂していたのだ。

「役に立たぬ者ばかりだ!予言一つ手に入れるのに、何を手間取っている!」

ダークロードは、またも予言の入手に失敗したのみならず、魔法省を刺激しかねない失態だと怒り狂った。デスイーター仲間の何人かはクルーシオをかけられ、残りは身を縮め怯えていた。

闇陣営が予言玉を手に入れられぬまま、クリスマス休暇直前に、アーサー・ウィーズリーが騎士団の任務中、ダークロードの大蛇ナギニに噛まれて重傷を負う事件が発生した。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私はデスイーター集会に出席するだけでなく、ルシウスを初めとするデスイーターたちとも交流して、出来る限り闇陣営の最新の情報を得るようにしていた。もともと仲間なのだし、中にはスリザリン生時代からの知人もいて、それなりの交友を持つほうが自然でもあった。彼らの多くは、ダークロードに半ば怯えつつ、怒りを買わぬようにと任務に励んでいた。

魔法省に影響力のあるルシウスは、魔法省を頻繁に訪れて、魔法大臣のファッジを唆し、さりげなく利用できそうな人物を物色したり、予言の入手方法を探ったりしていた。

魔法省の大法廷で、ポッターの未成年魔法使いの魔法使用についての審問が行われた日、ルシウスは審問から出てくるファッジを待つふりをして、同じ階にある神秘部の入口の様子をうかがっていた。神秘部には予言の水晶玉が保存されているが、厳重に管理されなていて、内部の様子を知ることは難しかった。ルシウスはそこで、姿は見えないものの誰かが入口を見張っている気配に気づき、その者が室内に入り水晶玉を摂ってくるよう服従呪文をかけてきたのだ。

審問から出てきたポッターとアーサー・ウィーズリーに出くわして、ルシウスは生意気な口をきくポッターに「ダンブルドアのお気に入りだからと言って、誰もが甘やかすわけではない」と釘を刺したと話してくれた。まるで私自身の言葉のようだった。まっとうな考えではないか。そのあとアーサー・ウィーズリーの悪口を聞かされたのには閉口したが。

ルシウスの魔法省工作はおおむねうまく運んでいるとダークロードからも評価されていたのだが、ルシウスが服従呪文をかけた者の神秘部侵入はうまくいかなかった。それは神秘部の見張り当番をしていた騎士団メンバーのスタージスだったのだが、立ち入ろうとしたところを見つかり、逮捕されたのだ。

予言玉を狙っていることが魔法省に知られる恐れがあるとダークロードは怒り、ルシウスは叱責された。しかし話はそれに留まらなかった。ダークロードが、16年前消え去る前にルシウスに預けた、トム・リドルの日記のことを持ちだしたのだ。おまえのような浅はかな者に大切な物を預けてはおけぬから返せと。青ざめたルシウスがごまかそうとしたが、開心術の名手ダークロードを欺けるはずがなかった。

ダークロードはルシウスを残し、息を飲んで成り行きを見ていたデスイーターたちを解散させた。日記のことは皆に知られたくなかったようだ。私はルシウスの身が心配で立ちすくんでいたのだが、ダークロードはルシウスの心を読んでそれがホグワーツに関わるとわかったようで、私の居残りには何も言わなかった。

「ルシウス、日記をどうしたのだ。正直に申せ。」

「それは、、、ホグワーツに忍び込ませました。我が君、私は秘密の部屋の扉を開き、ダンブルドアを追い詰めようとしたのです!」

「どうやって忍び込ませたのだ?」

「血を裏切るマグルびいきのウィーズリーの娘の手に密かに渡しました。ウィーズリーにも打撃を与えられると思ったのでございます。」

「それでどうなったのだ?続けよ。」

「マグルの生徒たちが数名石化し、ダンブルドアを一時は放逐できたのですが。」

「それで日記はどうなったのかときいているのだ!」

ダークロードが怒鳴ったので、ルシウスは身をすくめてささやくような小声で答えた。

「それが、、、ポッターにより破壊されました。」

「なに?破壊された?日記が破壊されたと申すのか?」

ダークロードの目は真っ赤に燃えあがり、杖の先から火花が散った。

「我が君、どうかお許しを!我が君のご意思を遂行しようとしたのです!」

「言い訳など通らぬわ!余が死んだと思って勝手に使ったのだろう!大切な日記を、おのれ、ルシウス、馬鹿者が!」

ダークロードは怒りに身を震わせながら杖をルシウスに向けた。怒りはすざまじく、見ている私まで震えあがった。蛇のような口元がゆっくりと開いていく。死の呪文が叫ばれるのではないかと私は夢中でひれ伏し、声を上げた。

「我が君!ルシウスに悪気はなかったのでございます。どうか償いの機会をお与えください。」

「償えるような罪ではないわ!じゃまするな、セブルス、退け!」

「我が君、ルシウスほど魔法省に影響力を持つ者はおりません!どうかご慈悲を!どうか。」

ダークロードの赤い目が、舐めるように私とルシウスを見た。私は差しさわりないルシウスとの思い出、、学生時代のことやパーティで同席する姿、ダンブルドアが職務停止になってスリザリン生たちと喜ぶ私の姿などを心に散りばめた。閉心術などほとんど関心ないルシウスの心の内に、私たちの親密な仲が現れぬよう願いながら。

恐怖で身の凍る時間が過ぎ、ようやくダークロードも少しは気が鎮まってきたようだった。

「たしかに馬鹿にも使いようはある。今回はこれでおさめてやろう。クルーシオ!」

隣でルシウスが苦悶に身をよじり始めた。これ以上の口出しは事態を悪化させるだけだ。私はじっと、我がことのように感じるルシウスの苦しみを耐えた。

「ルシウス、任務に励め。二度と失敗は許さぬと心得よ。」

倒れて返事もできないルシウスに代わり、私は跪き、ダークロードのローブのすそにキスをして言った。

「我が君、ご慈悲を感謝いたします。」

「ふん、仲のよいことだな、セブルス。」

薄気味の悪い一言を残し、ダークロードは消え去った。ルシウスの体の表面に傷はないが、内部は呪いで傷んでいる。応急処置の治癒呪文をかけ、崩れ落ちた体を抱え起こして、マルフォイ邸にアパレートした。ナルシッサとドラコには父上は体調が悪いようだから休ませてくれと言って寝室に運び、ベッドに横たえ強壮薬と睡眠剤を与えた。立ち去ろうとすると、横たわったルシウスが私の首に手を回し、弱々しい声で言った。

「セヴィ、助かった。感謝している。」

口づけを返し、マルフォイ邸を後にした。スピナーズエンドの自宅に戻り一人になると、あらためて恐怖がよみがえった。ダークロードはほんとうにルシウスにアヴァダ・ケダブラをかけようとしたのだろうか?それとも私の先走った読み違えか。

開心術を掛けられるのに備えてできるだけダークロードを悪く考えることは控えることにしているのだが、怒りにまかせて配下をあっさり殺そうとするダークロードに、あらためて恐怖と憎悪が募った。愛するリリーを殺され、ルシウスまで殺させはしない。愛する者の死は、私の人生をも奪うものなのだ。誤りを犯した者にでも、信じて機会を与えてくれるダンブルドアの偉大さを思った。ダンブルドアを助け、命をかけてダークロードを倒す。リリーの遺志を継ぐために。そして愛する人と私の人生を守るために。強く心に誓った。

まもなく新学期が始まる。私は準備を整えて、早めにホグワーツに行き、ダンブルドアに事態を報告した。私がルシウスをかばったことは話さなかったが。ダンブルドアはリドルの日記の破壊を知ったダークロードの怒りぶりを興味深げにきいてうなづいていた。

リドルの日記。ダークロードがルシウスの勝手な行動を怒るのは当然にしても、あの怒り方は尋常ではなかった。リドルの日記には、秘密の部屋の扉を開くこと以外にも、何か秘密が込められていたのだろうか?ダンブルドアにそう言うと、「考えておることがある。実に興味深いことじゃ。」と言ったきり、それ以上話す気はないようだった。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


翌日には、プリベット通りのダ―ズリー家に、ハリーを迎えに行った。ハリーの護衛には、名乗りを上げる騎士団人が何人もいて、大勢で出向いたのでハリーが驚いていた。

年度末にはヴォルデモートが復活したので、ハリーは母親の血の守りが強く効く安全なダ―ズリー家にいることになっていたのだが、数日前、マグルの街にいるはずのないディメンターが2体現れ、従弟の身を守るためにハリーが使った守護霊の魔法が魔法省に検知された。学校外での未成年魔法使いの魔法使用は、魔法省で禁止されている。魔法省による杖の没収と退学命令をダンブルドアが停止させて、審問にかけさせることになった。

セブルスが得た情報によれば、ディメンターの行動に闇陣営が直接関与したわけではなく、闇陣営に巧みにあおられた魔法省の暴走らしい。闇陣営としては、あくまで人目を引く活動は慎む方針のようだ。とにかく、魔法省からの関与も含めたハリーの安全を確保するために、グリモールドプレイスの騎士団本部に寄宿させることになったのだった。

被害妄想気味に警戒心の強いマッドアイ・ムーディの指示に従い、厳重な警戒で本部に着くと、ちょうどセブルスが到着して会合が始まったところだった。ハリーをモリーに任せて会合の席に着くと、セブルスが私に脱狼薬のゴブレットを押しつけてきた。今日もまた苦い薬をいっきに飲むことになった。重要な会議の席でセブルスから「早く飲め」などとせっつかれてはかなわないから。

会合が終わってセブルスたちが帰り夕食会のメンバーだけになると、子供たちも加わり賑やかになった。ハリーはシリウスと楽しげに話しているようだった。なんといってもあの2人は名付け親と名付け子の間柄なのだし、騎士団の活動に参加できず疎外感を感じているシリウスと、情報を与えられずおそらくイラついているだろうハリーも、2人で話せば気が晴れるだろう。少しだけ心配なのは、シリウスがハリーをジェームスと同じだと錯覚することだった。外貌はそっくりだし、シリウスは長いこと社会に触れる機会が持てなかったから、学生の頃の気分がそのまま残っているところがある。

食事が終わろうとした時、シリウスがハリーに、ヴォルデモートのことをきかないから驚いたと言い出し、食卓には一気に緊張が走った。ここで、たぶん、ハリーの気持ちに沿えば聞きたくて当然だ、もっと言えば、ジェームスなら当然食い下がって聞くはずだと思っているだろうシリウスと、あくまで子供たちを危険な話から遠ざけておきたいモリーとの言い争いがあった。シリウスは名付け親の立場を振りかざし、モリーは母親代わりの自負とダンブルドアの方針を楯にとる。たしかに、ダンブルドアは、ハリーには知るべきこと以外知らせてはならないと言っていた。その「知るべきこと」についての見解の違いがあるわけだ。

モリーの気持ちはわかるけど、話から遠ざけておけば危険も遠ざかるわけではない。それに、好奇心の旺盛な子供たちが、聞きかじった話から誤った理解をするよりある程度の事実は伝えておいたほうがいいと思う。かといって、シリウスにまかせると冒険を煽りかねない。結局、質問に答える形である程度の事実を伝えた。

シリウスと寝室に戻ると、シリウスはハリーと会えて興奮していたけど、まだ少し不満そうだった。ジェームスなら、あんなふうに大人しく言うことをきいてはいないと繰り返していた。シリウスの頭の中には、ジェームスとともに闇陣営と果敢に戦った記憶が輝かしく残っているに違いない。ホグワーツ生徒時代の数々の冒険とともに。

「シリウス、ハリーはジェームスではないんだよ。」

「わかってるさ。ああ、リーマス、俺も騎士団の役に立つ活動がしたい。」

「君は本部の場所も提供してくれたし、十分役に立っているよ。」

「できることといえば、家の掃除とバックビークの世話だけさ。少しでも外に出られたらな。」

「シリウス、外出は危険だよ。ダンブルドアが言うとおり、しばらくは辛抱して。」

「ダンブルドアは俺が役立たずだと思っているのさ。」

悔しそうなシリウスの顔を見て、何か無謀なことをするのではないかと、私はほんとうに心配になった。


ハリーの、未成年魔法使いの魔法使用に関する審問は、ダンブルドアの反論とフィッグの証言で、無罪となった。命の危険に対する防衛は例外的に許可されているのだから当然の結果だけれど、ほっとしたハリーを見るのは嬉しかった。ハリーは審問の部屋を出た所で、ルシウス・マルフォイがファッジと話しているのを見かけたと言う。会合でセブルスも、マルフォイが魔法省に頻繁に出入りしていると言っていた。長年の友人とスパイとして付き合うのは、どんな気持ちがするものなのだろう。

ふと、2年前、セブルスにはずみで抱きついてしまった時、大真面目な顔で「そういうことは愛する人とするものだ」などと言っていたことを思い出した。あれはやっぱりマルフォイのことではなかったのだななどと、どうでもいいことを考えた。そして数日後の満月には、久しぶりに、あの頃のように穏やかな夜を過ごせた。セブルスの脱狼薬のおかげだった。

慌ただしい日々はあっという間に過ぎて、ハリーたちがホグワーツに向かう日がやってきた。皆で護衛する中、シリウスもアニメガスの犬に姿を変えて付き添った。久しぶりの外出が嬉しかったらしく、シリウスの黒犬ははしゃいでいた。でも家に戻ると、ハリーたちのいなくなった本部で、シリウスの抑鬱が深まったようだった。部屋に閉じこもったり、昼間から酒を飲んだりしている。けっして無謀なことはしないでくれと言い残して、私はまた任務の旅に出かけた。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


不死鳥の騎士団は頻繁に集会を開いた。どちらの陣営も、敵方の動きを抑えながら自分たちの勢力の拡大を急いでいた。しかし勢力の拡大といっても、魔法省がダークロードの復活を認めない現状では、なかなか難しい。闇陣営の拡大を防ぐには、一般の魔法使いたちにダークロードの復活を知らせ警戒させることが一番なのだが、そのはたらきかけをするダンブルドアを、魔法省が牽制しているのだった。

初動段階として、騎士団の活動は、ハリーの護衛、予言の水晶玉が保存されている魔法省神秘部の見張り、加えてそれぞれが可能な範囲で陣営への同調者を増やす。

私はダンブルドアの指示に従い、人狼たちに接触してその動向を探り、できるだけ私たちの側に同調してもらえるように、そして闇陣営につかないよう説得を試みた。人狼は一般の魔法使いから離れて暮らしたり、あるいは正体を隠して転々と移動したりしているから、接触には手間がかかる。人づての情報をたどりながらグループを見つけ、私自身を信頼してもらうのにも一苦労だ。そこまでいっても、人狼たちの反応はよくない。ダークロードの復活を信じていないから、闇陣営が支配するようになったら人狼がどれだけ圧迫されるかということ以前に、現体制のもとでの不満がたまっているのもやむを得ないことだ。

久しぶりに本部に戻ると、多忙でめったに会合に出られないダンブルドアに代わり、セブルスが指揮をとるかの状態になっていた。闇陣営の集会に参加しているセブルスの情報は貴重だし、その任務上、報告したり、流す情報を打ち合わせたりとダンブルドアとも頻繁に会い、会合で彼の意向を伝えるからだ。といっても、ダンブルドアのような人々をまとめ上げるリーダーシップがセブルスにあるわけないから、ぶっきらぼうに言うべきことを伝え、報告させて引き上げるという具合だが。ただ、セブルスの到着とともに皆の気が引き締まるのは確かだった。

セブルスの話では、闇陣営側は魔法省のダンブルドア牽制の姿勢を歓迎してさりげなく煽り、自分たちは刺激するような目立つ行動は控えていた。そして密かに進められる企み、つまり、ハリーに関する予言の全文を入手することに注力しているとのことだ。


どちらの集会にも参加してスパイ任務を遂行するセブルスは、以前にも増してやつれ、剣呑さが際立っていた。二重スパイ任務は複雑で困難なものに違いない。立場を維持できる程度に、ダンブルドアともダークロードとも敵方に流してよい情報を打ち合わせ、、、もちろんダンブルドアにはすべて話しているわけだが、、、敵に囲まれてダークロードの前に一人立つのは、神経をすり減らす仕事だと思う。

しかしその鬱憤を晴らすかのようにシリウスに嫌味を言うのは、見ていていたたまれなかった。ダンブルドアに禁じられグリモールドプレイスの家から出られないシリウスに、自分が命がけで闇陣営の情報を得ている間に家の掃除ははかどったかと尋ねたりする。シリウスの悔しさを十分わかった上で、いたぶっている。

学生の頃からの経緯があるとは言え、シリウスの無実が明らかな今、セブルスには同情心というものがないのかと思う。考えてみれば、16年前のハローウィンの事件で、セブルスの仇敵の一人、ジェームスは死に、もう一人のシリウスは13年間無実の罪をかぶってアズカバンに収監された。アズカバンを出てからも、脱獄犯として逃亡生活をした挙句、今はいわば軟禁状態なのだ。ついでに言えば、仇敵のおまけのような私も、ホグワーツの1年を除けば、惨めな放浪生活だった。その間、セブルスはダンブルドアの庇護のもと、ホグワーツで恵まれた日々を送っていたはずなのに、私はともかく、シリウスの境遇を気の毒だと思わないのだろうか。

しかし、、、とふと思った。ダンブルドアはあの事件の前から、セブルスはこちらに戻り情報を流してくれていたと言っていた。なぜセブルスは戻って来たのだろう?もちろん、芯はまっすぐで優しいところもあるセブルスが凶悪な闇陣営を離れたのは不思議ではないが、しかしそれなら、そもそも闇の魔術が好きだっただけの少年を、私たちとの軋轢が闇陣営に追いやったのではないか?

学生時代の諍いが、再び悲劇につながることのないように、今度こそ私は勇気を持って止めたいと思う。学生時代には人狼ゆえにセブルスをかばえず、3年前には変身ゆえにシリウスの無実の証しを逃してしまった私の責務だ。それでも今は2人とも同じ陣営にいるのだから、希望は持てるのではないか?

つらつらと考えている間にセブルスは話を終えて立ち上がった。用がすんだら帰るというのが、スパイ任務のせいか、セブルスの性格のせいかはわからない。と、

「ルーピン、しばらくここに滞在するのか?」

突然名前を呼ばれて驚いた。

「え?あ、ああ、しばらくはね。どうして・・」

「では明日、今日と同じ時間にこの部屋に来い。わかっていると思うが時間厳守だ。私は時間があり余るけっこうなご身分ではないからな。」

シリウスにちらりと視線を送りながら嫌みたっぷりに言うと、あっけにとられる人々を残して立ち去った。隣ではシリウスが噛みつかんばかりにセブルスが出ていったドアを睨んでいる。アーサーが場をとりなす様に言葉をはさんだ。

「リーマス、何かあったのかい?特別な任務でもあるのかね?」

「さあ、それなら会合で言うと思うんですがね、アーサー。明日になればわかるでしょう。」

「リーマスに何か企んでいるなら俺が許さない。」

シリウスの殺気立った言葉にぎょっとした。

「シリウス、今は同じ騎士団の仲間なんだからね。心配はいらないよ。」

「スニベルスなど信用できるものか。」

セブルスとシリウス。どっちもどっちだ。この2人の相性といったら。少し前に持った希望が急速にしぼんだ。


翌日、同席するというシリウスを振りきれず、2人して時間厳守で待っていると、セブルスが現れた。私の顔を見るなりゴブレットを差し出して「飲め」と言う。ああ、私はすぐに気がついた。なぜ昨日思いつかなかったのだろう。

「脱狼薬を持ってきてくれたんだね。ありがとう、セブルス。助かるよ。」

「わかっていると思うが、ここにはウィーズリー家の子供たちが住んでいる。グレンジャーもいるし、まもなくポッターも来る。ルーピン、ポッターとグレンジャーとウィーズリーだ。ああ、ブラックもいるな。懐かしいメンバーではないか。」

1年前に私が脱狼薬を飲み忘れて、叫びの屋敷の外で狼に変身してしまったことを指摘しているのだ。なぜ君は親切にするのにそんな嫌味を言わなければできないのかとのど元まで出かかったが、セブルスとシリウスという、火薬と油を前に、着火マンのごとき言動は控えたい。発火の危機から少しでも早く逃れたい一心で、苦くてまずい脱狼薬を一気に飲み干した。あー、苦い!

「明日も同じ時間だ、ルーピン」

言い残してセブルスはあっという間に去って行った。


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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


会合の後は、ウィーズリーの子供たちとハーマイオニーも加わって、モリーが準備してくれた夕食会になった。セブルスは食事を摂らず引き上げ、ダンブルドアも途中で帰って行った。シリウスは明るい雰囲気を装っていたけれど、酒を飲むピッチが速くなっていて気がかりだった。話しかけても乗ってこない。

「ルーピン先生、お久しぶりです。」

振り返るとハーマイオニーがにっこり笑っていた。それから私をまじまじと見て心配そうな顔になった。どうやら私もやつれて見えるらしい。

「やあ、ハーマイオニー、元気だったかい?私はもう先生ではないけれどね。」

「私は元気ですけど、先生は、えっと、でも先生って呼んでもいいですよね?先生はお元気でしたか?お別れも言えなくて。」

「ああ、急なことだったからね。あのあと話もできなくてすまなかったね。あとでスネイプ先生に怒られなかったかな?」

「はい、あのことは何も言われませんでした。もっとも、魔法薬学の授業では減点されっぱなしですけど、特にハリーは。」

「ハリーは大丈夫だったのかな、ヴォルデモートの復活の時には辛い目にあったときいたよ。」

ハーマイオニーは目を伏せて、心配そうに顔をしかめた。

「あのときはセドリックのこともあったし、魔法大臣にも信じてもらえなくて。そのあとダンブルドア先生とも話せないまま夏休みに入って、きっとイライラしていると思います。あの、今日はスネイプ先生も来ていらしたんですか?」

話が飛んで少し驚いた。

「スネイプ先生?ああ、来ていたよ。騎士団のメンバーだからね。」

何か聞きたそうに口ごもっている。ハーマイオニーらしくない態度だ。私はもう教授ではないのだから少し踏み込んで言ってもいいだろう。

「スネイプ先生がどうかしたのかな、ハーマイオニー?まさか信用できないとか言い出すんじゃないだろうね?ハリーとの折り合いには問題があるけど、、」

「え?もちろんそんなことは言いません、先生。私は信じています。ただ、、、どんな感じかと、、」

様子がおかしいので、私はこっそり開心術を使い、、驚いた。傷だらけでベッドに横たわるセブルス。驚いて目を見張るハーマイオニー。「口外してよいことと悪いことがある。わかっているな、グレンジャー。」「はい、先生。」・・・事情がわかったので、安心できるように言ってあげた。

「ハーマイオニー、スネイプ先生は元気だったよ。少し顔に傷跡があったようだけどね。」

顔を上げたハーマイオニーがほっとした表情になった。

セブルスのあのひどい怪我は・・・。デスイーターの集会で、ヴォルデモートにクルーシオを掛けられたのだと確信した。セブルスの任務の厳しさが感じられた。一歩間違えば殺されるほどの危険な任務。なぜセブルスはそこまでするのだろう?

「心配だね。」

思わず口にすると、ハーマイオニーが大きくうなづいていた。

ふと既視感を覚えた。遠い昔、ホグワーツの生徒の頃、ジェームスやシリウスの目を盗んで、リリーと、セブルスを心配したことがあった。セブルス、君は嫌がるだろうけど、わかりにくい君の善いところを、つい目にしてしまう人間がいるものなんだ。

ハーマイオニーがあわてて言った。

「先生、でも内緒にしておいてください。心配してたなんてスネイプ先生に知られたら、どんなに怒られるかわかりませんから。」

思わず噴き出した。

「ハーマイオニー、心配いらないよ。私もセブルスに怒られたくはないからね。」


モリーが、子供たちは部屋に戻る時間ですよと声を上げたのを潮に、夕食会はお開きになった。シリウスはたぶん酔い潰れてテーブルに突っ伏していた。私はモリーの片づけを手伝った後、シリウスをベッドに運び、そのまま寝室のソファーで休むことにした。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


人狼であることが明かされてホグワーツの教授職を辞してから、何回かシリウスに会った。シリウスはアズガバンを脱獄し、ピーターを捕まえ、やっと無実が明らかになったのに、再びピーターに逃げられて魔法省に無実を証明することができなくなってしまい、逃亡者として追われていた。それは愚かな私が最悪のタイミングで狼に変身してしまったせいだ。シリウスにすまなくて、ダンブルドアにシリウスの居場所をきいて尋ねたのだった。

久しぶりに親友と過ごすひと時は、とても楽しかった。会わなかった13年間の思い出を語れば、お互い辛いことばかりだったけれど、それでも友達はいいものだ。

私はピーターを逃すことになってしまったことを詫び、シリウスは変身は私のせいじゃないさと気持ちよく許してくれた。それから改めて、13年前にシリウスの罪を容易に信じてしまったことを詫び、シリウスも私を疑いピーターを信じてしまったことを詫びて、お互いの過去を許しあった。ジェームスを懐かしみ、ハリーの成長を語り合う。シリウスはとりわけ、私が教授をしていた頃のハリーの話を聞きたがった。凶悪脱獄犯と人狼の希望と言えば、ハリーの成長だけなのだから。

シリウスは一緒にホグワーツを逃れたヒッポグリフのバックピークを連れていたから、私の変身時には、人気のない森に行って3人で走り回った。もちろん私は狼になっているから記憶にないけれど、アニメガスの黒犬に変わったシリウスと、そのままのバックビークと過ごした変身の翌朝は、多少変身による痛みはあっても晴れやかな気分だった。シリウスは学生の頃のようで楽しかった、次の満月が楽しみだと言うほどだった。

アズガバンでは、ディメンターが囚人たちの幸せな記憶を吸い取り悪夢を増幅する。収監後まもなく発狂する者も多いと言われているのに、シリウスは犬に変身することで、ディメンターの攻撃を逃れていたらしい。ディメンターは動物の記憶には反応しないのだそうだ。それでも、先の見えぬ独房での、長いアズガバン暮らしは応えたらしい。シリウスははしゃいだかと思うと陰気に黙りこくったり、気分の揺れが激しかった。

私のほうも、ホグワーツの教授職につけた1年間を除いては、惨めな暮らしだった。人狼に腰を落ち着けるめぐまれた仕事が見つかるはずがない。農作業や工場の仕事を見つけて就業し、満月が来ると姿を消す。ホグワーツを辞めてからはもっとひどかった。人狼の就業規制が強くなり、以前のそんな仕事さえできなくなった。住む場所の確保も難しくて、もぐりこんだ農家の納屋や裏道の片隅で寝たこともある。

シリウスはお金は持っていたから一緒にいる間は食事には困らなかったけれど、いつまでも頼ってはいられない。シリウスがハリーを近くで見守りたいからホグズミードに行くと言ったのをきっかけに、私たちは別れ、それぞれの生活に戻った。つまり、私の場合は、また日々の糧と寝場所を求めて彷徨う暮らしに。


だから、シリウスから「不死鳥の騎士団」を再結成すると呼ばれた時は、正直嬉しかった。これで私も食い物をあさるだけの狼のような生活ではなく、人として意義あることに取り組むことができるのだと。もちろん、「騎士団」を再結成するということは、ヴォルデモートと戦うわけで、喜んでばかりいられるものではないけれど。それでも、仲間とともにハリーや、平和を望む多くの人々を守るために戦かうことは、意味のある生き方に思える。

招かれた場所は、グリモールドプレイス。シリウスの実家、ブラック邸だった。由緒正しい純血の名門ブラックの屋敷は、、、なんというか、ゴージャスというかおどろおろどしいというか、そういう造りの、荒れ果てた豪邸だった。ここが不死鳥の騎士団の本部になると言う。純血を重んじるシリウスの父親が闇の守りを施しているうえ、ダンブルドアが忠誠の術の秘密の守人になったから守りは十分なのだが、いかんせん長年放置されて荒れ果てているうえに、ダークだ。

一歩足を踏み入れた瞬間に、「汚らわしい人狼が来てよい場所ではない、ただちに出て行け、きぇー!」と洗礼を受けた。シリウスの母親の肖像がわめいている。取り外そうにも永久粘着糊で貼りつけてあって取れないらしい。シリウスが現れると、「血を裏切り我が加門を滅ぼす呪われた息子がxxx」とわめき声が続いた。

「こんなふうに、いろんな呪いや仕掛けが施されていてな。除染しないと使いものにならない。この家にまた住むことになるとは思わなかったよ。ダンブルドアから当面外に出るなと言われてるんだ。俺は指名手配中の罪人だからな。」

シリウスが苦々しさを込めていった。シリウスは純血主義の家風を嫌い、6年生の時には家出してジェームスの家に滞在していたし、その後は他の家に住んでいたものだ。

「リーマス、他に住む場所がなければの話なんだが、ここで一緒に住まないか?」

「ああ、シリウス。そう言ってくれるならしばらく滞在させてもらうよ。ありがとう。」

実際住む場所がなかったのでありがたかったし、シリウスのことも心配だった。騎士団の世話役として滞在するウィーズリー夫妻とその子供たち、次いで加わったハーマイオニーとともに、本部として使えるようとりあえず寝室とリビングルームを整えた。

16年前のメンバーの生存者が集まった騎士団の初会合にはダンブルドアも訪れ、再結成を宣言した。新しく加わったセブルスについては言葉を添えた。

「皆も知っての通りセブルスは元デスイーターじゃが、前回ヴォルデモートが破れ去る前からこちらに戻り、協力してくれておった。今回も騎士団に加わり、ヴォルデモート陣営の情報をもたらしてくれる。」

信用できないとの声も上がったが、、、シリウスやマッドアイから、、、ダンブルドアは

「わしはセブルスを100%信頼しておる。数少ないメンバーが力を結集しなければ希望はない。力をあわせて戦うのじゃ」

と、再度みなの結集を訴えた。

ほぼ1年ぶりに見るセブルスは、もともとほっそりしていたが、さらに少し痩せたようだった。骨ばった顔立ちは陰影が深まり、目の下にはくまがあった。そして頬や額にうっすらと傷跡が残っている!何かあったのだろうか?思わずじっと見入っていると、きつい目でじろりと睨まれたので、あわてて目を逸らした。

ダンブルドアはそれからヴォルデモート側の動きや騎士団の戦略を伝え、それぞれの任務を指示していった。そして最後に注意事項として言い加えた。

「まもなくハリーもこの屋敷にやって来て、夏休みの残りを過ごすことになる。ハリーには知るべきこと以外知らせてはならぬ。ハリーの身の安全を守ることがたいせつじゃからの。この屋敷に来ておる生徒たちにもそう言っておく。」

「それからシリウス、身の安全が大事なのはおまえも同じじゃ。ペティグリューがヴォルデモートの元にいる今、アニメガスの犬の姿も知られておるからの。ヴォルデモートの復活が世間に理解されるようになれば、身の潔白も明かされる。それまでは外に出ず、辛抱するのじゃ。この屋敷を本部に提供してくれて感謝しておるぞ」

「わかりました、ダンブルドア」

シリウスはそう答えたけれど、隣に座っていた私には、シリウスの熱気がさっと冷えていくのがわかった。横目で見ると、下を向いて悔しそうな顔をしていた。これも愚かな私の変身のせいなのだと思うと、すまなさがこみ上げた。

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セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダークロードが復活し、私の生活はにわかに慌ただしく、緊迫感に満ちた複雑なものとなった。

ダークロードは日をおかず、再度デスイーターを招集した。私はクルーシオで受けた傷が治りきらぬ体を引きずって、薄氷を踏む思いで参じた。復活時の会合ではなんとか命をつなぎ、首尾よくホグワーツでの二重スパイの役割を与えられたが、体を取り戻したダークロードが私の周辺を探り信頼に値するか検討することは容易に推測できた。

誰のことも簡単には信じないダークロードだが、常にダンブルドアとの接触が可能な私に対しては、より厳しいはずだった。ホグワーツ関係者、、、生徒たちの父兄や、おそらくはルシウス、、の話でもきいたのではないか。どうやら徹底的なスリザリンびいきであり、他の教授陣ともたいして親しく交わらなかったことは評価されたようだ。

それに、前回激しいクルーシオを受けたにもかかわらず私が再招集に駆け付けたことで、私が忠誠心か、あるいは恐怖心からでもよいが、ダークロードに従うと判断したのだろう。なんといっても今は配下を増やしたいし、私が裏切りさえしないのなら、私がもたらすダンブルドアサイドの情報は、ダークロードがのどから手が出るほどほしいものなのだ。

ダークロードは、事は急を要する、と様々な計画を告げた。一部はすでに指示されていたことのようだった。すなわち、ディメンターを闇陣営に引き戻すこと、巨人などの闇の生物を陣営に引き込むことなどにより、陣営の拡大を急ぐ。

「余の復活以来の魔法省の対応を見ると、どうやらファッジはダンブルドアを警戒し、信頼しておらぬようだ。」

ダークロードは満足げに言った。

「魔法省は余の復活を信じておらぬし、魔法界にも信じさせぬつもりのようだ。ファッジのバカのおかげで、我々の計画が運びやすくなった。ダンブルドアの動きも押さえられよう。我が陣営の行動は、世に知られぬよう行え。密かに仲間を増やし、必要なものには服従の呪文を使って魔法省に潜入するのだ。人目につく行動は慎まねばならぬ。問題はハリー・ポッターだが、、、ポッターは余が必ず自ら始末する。」

ダークロードは、16年前のポッター一家襲撃時には赤ん坊のポッターを、そして復活時にもまだ少年のポッターを殺すのに失敗した。復活時には集まったデスイーターたちの眼前でポッターを取り逃がす失態を演じたことで腹が収まらなかったようだ。魔力に劣るポッターがなぜ自分の手を逃れることができるのか、その秘密を探ることに躍起になっているようだった。

「セブルス、おまえは4年間、ホグワーツでポッターを見ていたはずだが、どうだ?」

「私が見る限り、平凡な能力の魔法使いです。有名であることでいい気になっておりますが、特別なことなど何もない、、」

「その平凡な魔法使いの小僧に余は逃げられたと言うわけだな。」

「それはポッターの力というより、ただ、運と他の者の助けによるものと思われますが。」

「それが一度ならず起こったのだ。16年前と先日だけではない。4年前も賢者の石を手に入れるのを妨げた。」

そして目をつけたのが、ポッターに関する予言だった。当時、私が知り得てダークロードに伝えた予言は「7月の終わりにダークロードを打ち破る可能性のある者が生まれる」というものだったが、これは予言の初めの一部であり、残りの部分を知ればポッターの秘密を解き滅ぼすことができる、あるいは予言を覆すことができるとダークロードは考えたのだ。

「ポッターの力の秘密を知るために、予言の全文を手に入れねばならぬ。なされた予言は全て魔法省に保存されているはずだ。入手方法を探るとともに、ダンブルドアの動きを封じるべく魔法省への工作を進めよ。ではそれぞれの任務につけ。」


どうやら疑惑の眼を向けられずに済み、ほっとした。解散後にルシウスと話すと、親しいファッジにはたらきかけて手腕を見せ付けてやるとやる気を示していた。ダークロードが消えていた間はハナにもかけなかったが、復活し、闇陣営に加わったとなれば、陣営の勢力を強め、陣営内での地位を高めることがマルフォイの利に叶う。もっとも、嫌でもダークロードの元を無事離れることはできないわけだから、合理的なルシウスらしい反応だ。だが、、、。

もう、ルシウスに対して気を許すことはできないと思うのは辛いことだった。長い間、語れぬ秘密は抱えていても、ルシウスに寄りそうことが私の生活だったし、身を任せ包まれて眠ることは大きな安らぎだったのだ。これからは、ともにいることはあっても、決して心を開くことはできない。それはポッターを守るダンブルドア陣営のためでもあり、ルシウスと私自身の身の安全のために必要なことだった。しかたのないことだ。家に寄れと誘うルシウスを用事があるからと制し、急ぎダンブルドアに報告した。


ダークロードの復活を知ったダンブルドアも対応を急いでいた。ブラックを通じ、16年前に闇陣営に立ち向かった「不死鳥の騎士団」のメンバー、、、生き残ったメンバーが集められた。当時はダークロードの勢力が圧倒的に強かったから、リリーのように殺されたり、ロングボトム夫妻のように廃人にさせられたメンバーも多数いた。それでも、生き残ったマッドアイ・ムーディやルーピンにウィーズリー夫妻たちが中心となり、ブラックが提供したグリモールドプレイスにあるブラック邸を本部として、活動を再開した。私も今回はメンバーの一人である。

「事は急を要する。とにかく集まった仲間が力を合わせることがたいせつじゃ。」

ダンブルドアは騎士団の初会合で、私とブラックにちらりと目をやりながら断言した。ホグワーツ校長として生徒たちに向ける、ユーモアあふれた温かみを、微塵も感じさせぬ厳しい姿だった。結集を訴え、それぞれの任務を言い渡した。

それから何回も会合が行われた。ハグリッドはすでに、巨人がこちらにつくように、少なくとも闇陣営に入らぬよう説得するため派遣されていた。ほかの者たちも、それぞれの場所で情報収集と説得、同調する仲間を増やす活動をする。そして、ポッターの予言については、予言玉が保存されている魔法省神秘部を交代で警護すること、それからポッター自身の警護。会合ではそれぞれの活動や得た情報を報告し、その後の方針を決める。

私は騎士団とデスイーター、どちらの集会にも出席し、忙しくて騎士団集会に来られないダンブルドアからの伝言役でもあり、多忙を極めた。

デスイーター集会は開心術の名手ダークロードの目が光る敵陣に一人乗り込むわけで、毎回命を削る想いだった。デスイーターの仲間内で集まる時も、表面なごやかでも気を許すことはできない。闇陣営の目がある限り、どんな些細なミスも命に直結する。任務途中のこんな時期に、簡単に死ぬわけにはいかなかった。

騎士団側も、私にとって友好的な仲間といえるものではなかった。元デスイーターの私は、あくまで「ダンブルドアが信頼しているから」ということで受け入れられているだけのこと。もちろん彼らの私に対する思惑などどうでもよいことだが、安らぐ場ではなかった。一人眠る夜は夜で、ダークロードから裏切り者と名指しされる悪夢に悩まされ、まったく気が休まるときがない。ルシウスとの安らぎさえなくし、かえって立場の違いに苦い思いを感じるばかりだった。

命掛けで身を削る思い。それが私の日常になった。

だから、騎士団の集会で、ダンブルドアから安全のために活動も外出も禁じられているブラックが、守られるのんきな立場で私に敵対的な目を向けているのはいっそう不快だった。ルーピンとブラックが並んで座るのを見るのも腹立たしい。

ルーピンから、友達としてでよいから信頼してほしいなどと迫られたのが、もう遠い昔のことのように思えた。ほぼ1年ぶりで見るルーピンは、前より一段とみすぼらしくなり、やつれて白髪が増えていた。私の暴露でホグワーツ教授職を追放されてから、人狼への制限を強めた法律のため、ろくな暮らしができぬまま、毎月の変身を繰り返してきたのだろう。そうだ、ルーピンが騎士団にいるとなれば、脱狼薬も調合してやらねばならない。

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(8)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


夏休みに入り、私はマルフォイ邸に戻った。ダークロードに受けたクルーシオの傷がまだ残っていて、ルシウスにこんな体を見せたくはなかったのだが。

頬の傷跡を見て驚いたナルシッサとドラコには、転んで怪我をしてしまったと笑って言っておいた。私がクルーシオを受けたのを見ていたルシウスは、もちろんそうでないことを知っている。

ルシウスと2人で私の部屋に入ると、さっそくルシウスが傷の具合を尋ねてきた。

「セヴィ、あのあとどうなったのだ?心配していたのだぞ。」

ルシウスがローブ、そしてシャツを剥いでいくのに任せていたが、露わになった胸や腹や背中、いたる所にある傷跡を見てルシウスが息を飲んだ。

「ホグワーツで治療したからもう大丈夫だ。心配かけてすまない、ルシウス。跡が消えるのにはもう少しかかるだろうが。それより、私が着く前はどうだったのだ?」

私が着くまでの、ダークロードの様子を知りたかった。それに、どうやってダークロードが体と力を得たのかも。

「まずエイブリ―がクルーシオを受けた。それから私がなじられた。13年間、自分が苦労している間、探しもせずにぬくぬくと暮らした不誠実な友だと言ってな。」

ルシウスは苦々しそうに言い、不安げな私を見て付け加えた。

「私はクルーシオは免れたから心配するな。あの場に集まれたのは口を拭って探さなかった者ばかりだ。許さなければ仲間はいないのだから、エイブリ―を見せしめにしただけだ。あの場では。」

「そもそも、ダークロードはどうやって生き延び、復活したのか、そういう話はあったのか?」

「ポッターの一家を襲い、じゃまする母親を殺した時に赤ん坊に愛の守りの魔法がかかったらしい。そのあと赤ん坊に投げた死の呪文が跳ね返されて自分にかかり、魂だけの惨めな姿になっていたそうだ。あの方はそれまでに死を逃れる魔法をいろいろと研究していたから命は落とさなかったようだが、体もなく杖も振れぬまま、仲間の助けを待っていたところにワームテールがやっと現れたということだ。」

跳ね返ったダークロード自身の死の呪文を受けて生き延びられるとは、どういう魔法なのか?闇の魔術には違いないが、調べる必要がある。再び危機に際して生き延びられてはかなわない。黙っていると、ルシウスは私があのときリリーの命乞いをしたことを思い出したらしい。

「母親は、、、たしかお前の幼馴染だったな?気の毒だった。命は奪わないと言っていたのに。」

「もう昔のことだから、、もうよいのだ。それで?」

ダンブルドアが賢者の石を壊してしまったから、永遠の命はあきらめて、ひとまず以前と同じレベルの体を手に入れる魔術を自分で開発したらしい。あの墓場にあった父親の骨と、ワームテールの腕の肉と、敵であるポッターの血を使い。」

ルシウスはその場を思い出したのか、少し身震いした。

「それからポッターと一対一で戦ったのだが、2人の杖が繋がり、そこから死者の姿が現れてポッターを助けた。ああ、母親の姿もあったぞ。それでポッターに逃げられて、ご立腹というわけだ。復活したことをもっとも隠しておきたかったダンブルドアにばれてしまったからな。腹立ち紛れに何人かにクルーシオをかけて、それから魔法省の支配とか仲間を増やす計画を指示しているところに、おまえが到着した。」

「魔法省の支配というと、具体的にはどんなことを計画しているのだろう?」

「秘密主義のあの方だから、具体策は個別に指示するのだろうが、ひとつにはディメンターを仲間に引き入れると言っていた。捕らわれているデスイーターたちを救出すれば力が一気に増す。ところでセブルス、あのあとどうなったのだ?裏切り者だと責められたのではないか?」

「ああ。ダンブルドアにかばってもらい、ずっとホグワーツにいたからしかたがない。だがダンブルドアを探るのはそもそもダークロードに命じられたことだったから、なんとか納得してもらって、、、これからもホグワーツで情報を集めることになった。」

ルシウスの顔色が変わった。

「セヴィ、それは、危険ではないのか?ダンブルドアも知っているのだろう?」

ダンブルドアは私がダークロードをスパイすると思っているし、そのことをダークロードも知っている。」

「二重スパイではないか!セヴィ、そんな危険なことを。」

「ルシウス、今までの経緯から、それしか私に生き延びる道はない。それで、、、。」

口ごもる私に、ルシウスが尋ねるような視線を向けて待っていた。

「私はこの屋敷を出ようと思うのだが。」

「なんだと?なぜだ?」

「たった今あなたが言ったように、二重スパイは危険な立場だ。いつ、どちらの陣営から裏切り者と糾弾されるかわからない。そのときに私がここで暮らしていると知れたら、、、あなたと私の関係が知られたら、あなたにまで危険が及ぶ。」

「そんなことを気にするな、セヴィ。その時には私がダークロードに話し、守ってやる。お前は家族も同然ではないか。」

「ルシウス、ダークロードはそんなに甘くないし、ダンブルドアサイドからつけ狙われる恐れもある。私が闇陣営のスパイとして捕まれば、この屋敷に魔法省の取り調べが入るかもしれないし、闇祓いの攻撃を受けるかもしれない。」

「そんなものは、、」

「私たちはいいにしても、ナルシッサとドラコはどうなる?」

「それは、、、。しかしおまえを手放すなど」

「屋敷を出るだけだ、ルシウス。ときどき訪れるくらいなら、どちらの陣営にも言い訳は立つ。私たちが長年の友人であることは皆が知っていることなのだから。」

「だが、セヴィ、、、」

「ルシウス、夢を見たのだ、悪夢だった。」

「悪夢?」

「私が裏切り者と名指しされて、あなたもクルーシオを掛けられる夢だった。耐えられない。私のためにそんなことになったら、、、私にはとうてい耐えられない。」

ルシウスが私の肩を抱いてきた。

「自分がクルーシオを掛けられたと言うのに。私とて耐えがたかったのだぞ。」

「わかっている。わかっているから、避けられる危険は避けよう。」

ルシウスがしぶしぶうなずいた。

「私は今夜、この屋敷に暮らした痕跡を消して、スピナーズエンドに戻る。」

「今夜?そんなに急いでか?」

「一刻も早いほうがいいと思う。ダークロードは復活し、ダンブルドアも対策を急くはずだ。」

「、、、わかった。それほど言うのなら、気の済むようにするがよい。だがセヴィ、覚えておくのだぞ。離れて暮らしていようと、どちらの陣営がどうなろうと、私はおまえの味方だ。何かあったら必ず知らせるのだ。」

「ルシウス、ダンブルドアもダークロードも、開心術の名手だ。どちらの前でも、私たちの関係のことは思い浮かべないで。特に会うことの多いダークロードの前では、ただの旧友だと考えていてほしい。」

その夜、ルシウスは私の体の傷跡一つ一つを癒すように撫でて、労わるように抱きしめてくれた。ルシウスが部屋を出ると、私は荷物をまとめ、夏休みの度に帰り、ルシウスと愛をかわした部屋から自分の痕跡を消した。そしてそのまま、スピナーズエンドの家にアパレートした。

父と母が相次いで死んだあと、住む者もなかったスピナーズエンドの家は、荒れ果てて埃がたまり、黴臭かった。辛い思い出ばかりのその家を、杖を使ってさくさくとかたつけた。マルフォイ邸にあったような温かみは欠片もないけれど、これからは、休み中もダンブルドアから指示が来るかもしれない。ルシウスの屋敷でダンブルドアからの指示を受けるわけにはいかないではないか。どちらに対しても。ともすれば湧きあがる寂しさを、そんな言葉で振い退けた。

ホグワーツとマルフォイ邸。私には身に過ぎる温かい家だった。これからの任務の厳しさを思えば、スピナーズエンドのこの家こそふさわしいのだ。

「リリー、君の魂がまたポッターを守ったんだね。私も君の魂とともに、ダークロードに立ち向かう楯となり、ポッターを守る。ポッターがダークロードを倒すその日まで。必ず。」

寂しいけれど、孤独ではない。いつだってリリーの魂とともにいるのだから。

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私はそのままホグワーツの敷地を出て、ダークロードの元にアパレートした。着いた先はリトル・ハングルトンの墓地。30名ほどのデスイーターが集まるその先に、ダークロードがいた。青白い肌に赤い目、切り込みを入れたような鼻。13年前の、それでも美少年と言われた面影を残した外貌とは一変したおぞましい姿だった。デスイーターたちの間には、怯えた気配が漂っていた。私は恐怖を振り払い、心を閉じて、進み出た。

「おう、これは、セブルス。我がもとから永遠に去ったと思いし者。」

私はダークロードの足元にひざまずき、頭を垂れた。

「我が君、遅れましたのは、、」

「招集からすでに2時間が過ぎた。まずは歓迎の意を表しよう。」

杖が向けられた。

「クルーシオ(苦しめ)!」

体が回り、体中の皮膚が裂けるような痛み。体の中で骨や血管や、すべての臓器が跳ねまわるような感覚。腸が胃をくぐりのどを突き破る・・・

永遠に続くかと思われた苦痛は、突然終わった。地べたに崩れ落ち、しかしなんとか上半身を起こし、再び頭を垂れた。

「セブルス、遅れた代償の味はどうだ?会えて嬉しいぞ。」

「我が君、遅れましたのは、ダンブルドアからの指示を待っていたためでございます。我が君にかつて命じられた任務をこの先も果たせるようにと。」

「ほう、我が命令を果たすためと?それは忠実なものだな。それでは13年間、ダンブルドアの庇護のもとでずっと任務を果たしていたとでもいうわけか?余を探すこともせずに。」

「我が君、愚かなしもべをお許しください。我が君がどちらにいらっしゃるかわかりさえすれば、飛んで行きましたのですが。」

「ここにいる他のしもべたちも同じことを言ったが、余を見捨てぬくぬくと過ごした13年間の代償はこれからたっぷりと払ってもらう。」

目を向けられて、周囲のデスイーターたちに、怯えの気配が強まった。

「ところがセブルス、お前は他の罪も犯しておる。3年前、お前はクィレルがポッターを殺そうとした呪文を遮った。そのせいで、余は憑依していたクィレルの体をポッターに奪われて、実に惨めな姿となり果て、絶望と苦痛の日々を過ごすこととなったのだ。」

赤い目に怒りの炎が燃えたぎった。

「クィレルは怪しい行動をしておりましたの・・」

「話はまだ終わっておらぬわ!まずは己の罪を償え!。」

細い赤い目が不気味に光り、私は体が宙に浮くのを感じた。そして、

「クルーシオ!」

再び、体をえぐる痛み。身を切り刻む苦痛。振り回される腕や足や額や胸や、体中が地面に叩きつけられた。皮膚が裂け、四肢がバラバラに引き裂かれ飛んでいく・・・痛みによじれ息ができない・・

死んだかと思った時、突然術がとけ、地面に激しく叩きつけられた。視界がかすみ、体は鉛のように重い。体中がひりひりと痛み関節がきしむ。ともすれば消えそうな意識をなんとか保ち、息も絶え絶えにわずかに顔を上げると、光る赤い目が私の目を覗き込み、心をこじ開けてきた。ダークロードはまれにみる開心術の名手。私の心をひきはがそうとしている。余力を振り絞り、閉心術に集中した。もちろん、閉心術を使っていると悟られてはならない。与えてよい情報を心に散りばめ、身の凍る時間が過ぎた。

「ふん、今はここまでにしておこう。だがこれで許されたなどと思うな、セブルス。」

「我が君、寛大なる処置を心より感謝いたします。」

ダークロードはデスイーターたちに話し始めた。

「殺すべきポッターが逃げかえり、余の復活がダンブルドアに知れた。ことを急がねばならぬ。陣営の勢力を立て直し、魔法省を我らが手中におさめよ。それぞれの任務を果たせ。」

ダークロードが手を払い、デスイーターたちは解散した。ようやく腕で上半身を持ち上げた私に、ルシウスが気がかりそうな目を向けてきたので、私は目で制し、表情で帰るよう促した。

「セブルス、お前は残れ。」

案の定、ダークロードに命じられた。そのあと、ポッターを逃し怒り心頭のダークロードから、なぜ何年も手中にいたポッターを生かしておいたのかとか、ダンブルドアの手のひらは居心地がよかったかとか、嫌味を交えた尋問が続いた。細心の注意を払い答えていったが、少しでも言い淀むとクルーシオをかけられ、弱ったところを開心術で探られた。

それでも、13年分のダンブルドアに関する情報は価値を認められて、なんとかホグワーツでのスパイ任務を続けることになり、解放された時には精根尽き果てていた。ダークロードの目を離れると、救いを求めるようにリリーを想った。リリーの魂が守ってくれたのだ。リリー。想いにすがりつくように最後の力を振り絞り、アパレートしてホグワーツの門にたどりつくと、深夜にもかかわらず、ダンブルドアの姿があった。

わずかながら、やっと生きた心地が戻って来た。

「ご苦労じゃったの、セブルス。無事でなによりじゃ。」

「アルバス」

崩れるように倒れこむ私を支え、ダンブルドアが医務室に連れて行ってくれた。行く途中、ダークロードとの会合の経緯と得た情報を報告した。

「よくやってくれた、セブルス。かわいそうに、ひどい目にあったの。ゆっくりと休むのじゃ。」

マダム・ポンフリーは私の状態を見て目を見張ったが、誰に対してもそうであるように、事情を聴くことはせず、医務室の奥に隔離カーテンを下げ、必要な処置をとってくれた。強い眠り薬のおかげで、悪夢に脅かされることなく眠りにつけた。

どれほどたったか、薄明かりに気がつき、もうろうとした意識のまま体を動かそうとしたが、鉛のように重く、、全身が痛む。思わずうめき声を上げたようで、カーテンが揺れた。ポピーが様子を見に来てくれたのだろうと目を閉じたままいたが、息を飲む気配に目を開けてみると。

「グ、グレンジャー!」

グリフィンドールの知ったかぶりが、目を見張り、口に手をあてて、カーテンの隙間に立っていた。

「なぜ、こんな、、ひどい!どうなさったのですか、スネイプ先生?」

まずいところを、まずい生徒に見られた。よほどひどい姿になっているのだろう。

「ミス・グレンジャー、それはお前の知ったことではない。なぜおまえが隔離カーテンを開けたかが問題だ。」

当然減点に値するが、しかし、言葉は滑らかに出てこなかった。口を開くのも辛いのだ。苦痛に顔を歪めていると、グレンジャーが答えた。

「目が覚めて、ハリーの様子を見に医務室に来たら、うめき声がしたので・・・」

実にまずいタイミングで目ざめてしまったというわけだ。

「口外してよいことと悪いことがある。わかっているな、グレンジャー?」

「はい、先生。」

「ポッターやウィーズリーにもだ。」

疑わしそうに見ていると、忘却術を掛けられるかとでも思ったのか、グレンジャーが言い募った。

「もちろんわかっています。去年、ルーピン先生のことも、誰にも言いませんでした。」

ルーピンの正体に気がついていたのだ。気がついても誰にも言わなかったから、私が言うことになった。間の悪い生徒だ。

「わかっているならいい。隔離カーテンを元に戻し、さっさとポッターの見舞いに行け。」

グレンジャーはそれでもまだ何か言いたげに口を開けかけたが、私が睨みつけると、大人しく去って行った。知ったかぶりの出しゃばりだが、ポッターよりはずっと優秀だ。少しだけ安心して再び眠りに落ちた。

今度は浅い眠りの夢の中で、ダークロードの赤い目が杖を向け、お前も裏切り者、クルーシオ!と叫ぶ。苦痛に身をよじっているのは、ルシウスだった。我が身のような痛みを覚えて目ざめると、全身ひどい汗をかいていた。

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


魔法大臣のファッジをクラウチ・ジュニアがいる部屋に呼ぶと、ファッジは護衛にディメンターを連れてきた。ミネルバも私もディメンターを校内に入れることはダンブルドアが禁じていると抗議したのだが、、、しかし、部屋に入るなりディメンターはクラウチ・ジュニアに覆いかぶさり、ディメンターのキスを施した。死よりもひどいことになる、魂を抜き食いつくすディメンターのキス。

これでクラウチ・ジュニアに証言させることができなくなってしまった怒りとともに、憐れみともいえる複雑な気持ちを感じざるを得なかった。クラウチ・ジュニアがデスイーターに加わった時、彼はまだ卒業したばかりのほんの子供だった。父親との関係のせいか、あるいは父親の地位を利用しようとしたダークロード側の企みかはわからぬが、闇陣営に足を入れ、父親の手でアズガバンに収監され、その後の経緯を考えれば、彼に、他の道はあったのだろうかと。カルカロフにせよクラウチ・ジュニアにせよ、自らの選択の結果とはいえ、若き日の過ちの代償は大きい。私にとっては人ごとではなかった。

ミネルバとともにファッジに抗議し、ダークロード復活を伝えながら医務室に行くと、ダンブルドアが待っていた。証言者を失ったことを責めながら、ダンブルドアはダークロードの復活をファッジに伝えたのだが、、、ファッジは信じない。異常な殺人者の告白と子供のポッターの目撃など証言にならないと言う。信じたくないのだ。

ベッドで休んでいたポッターが口をはさんできた。

「僕はヴォルデモートが復活するのを見たんだ!集まって来たデスイーターたちの名前も言える!ルシウス・マルフォイ、、」

ルシウス、では、ルシウスはダークロードの招集に応えて参じたのだ。当然だが。

「マルフォイの潔白は証明済みだ。いろいろと立派な寄付もしておられる。」

ルシウスと親しいファッジがかばった。

「マクネア!エイブリ―、ノット、クラブ、ゴイル、、、」

言い募るポッター。私の元の仲間たち。しかしファッジは、そんなのは13年前のデスイーター裁判で無罪になった者たちの名を見て言っているだけだと、ポッターの証言を洟から信じようとしない。最近の新聞や雑誌でのポッター中傷記事の影響もあるだろうが、、、つまりは、ファッジはヴォルデモートの復活による社会の混乱や魔法省への非難により、地位が脅かされるのがいやなのだ。だから、ダークロードの復活を認めたくない。

ダンブルドアが、ダークロードの復活に対応し、ダークロード側に寝返るだろうディメンターにデスイーターが収監されているアズガバンの監視をさせるのをやめさせ、巨人がダークロードにつかぬよう使者を送れと言うと、ファッジはますます防衛的になった。そしてついに、ダンブルドアと袂を分かつと言う。自分の地位を守るために、ダークロード復活をないことにしたいのだ。

「これを見るがいい。」

私は左腕の闇の印をファッジに見せながら言った。

「1時間前にはこれが焼けていた。ダークロードがデスイーターにかける招集の印だ。ダークロードが1人の印に手を触れると、皆の印が焼け焦げるものだ。これが現れたらデスイーターはアパレートしてダークロードの元に駆けつけることになっている。」

「カルカロフの印も焼けた。仲間の名を売ったカルカロフは、だから怯えて逃げ出したのだ。」

ファッジは私の腕を恐ろしげに見てあとじさった。そして、ダンブルドアに、なんのことやらさっぱりわからないと言い残し、省に帰ると去って行った。

ダンブルドアは、ハリーに付き添っていた何人かにそれぞれ用を言いつけて去らせ、

「さて、ここのおる2人の者が真の姿を認め合うべきときがきた。シリウス」

と訳の分らぬことを言うと、その場にいた黒い大きな犬が、シリウス・ブラックの姿に変わった。

「こいつが、なんでここにいるのだ!」

私は怒りのあまり叫んだ。

「わしが招いたからじゃよ。おまえもわしが招いたのじゃ、セブルス。同じ陣営で戦うのじゃから、今までのことは水に流して互いに信頼し合うべきときじゃ。」

私は憎しみをこめた目でブラックをにらんだ。ブラックも同じ目でにらみ返している。ダンブルドアが少しいらついたようにせきたてた。

「時間がないのじゃ。真実を知る数少ない者たちが結束しなければ望みがないのじゃ。あからさまな敵意を一時棚上げするのでもよいから、妥協して、握手をするのじゃ、2人とも。」

そうだ、時間がない。ダークロードの招集から、すでに1時間以上が過ぎている。私はいやいや手を差しだし、ブラックの手に触れるや素早く手を離した。

ダンブルドアは、ブラックに、ルーピンたち昔の仲間に警戒を呼び掛け、しばらくはルーピンの所に潜伏するよう指示した。ブラックはただちに出発した。そして。

セブルス、おまえに何を頼まねばならないか、もうわかっておるの?もし準備ができているなら、用意がいいなら、、、。」

ダンブルドアも言いにくそうだった。

「わかっています。」

「幸運を祈る。」

ダンブルドアの声を背に聞きながら、私は部屋を出た。

招集に応えて、ダークロードのもとに参じる。そしてスパイとして闇陣営の情報を探るのだ。覚悟はできている。この日のために私は13年間生き延びてきたのだから。しかし。

生きて再びホグワーツに戻れるのだろうか?

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


6月も終わりに近づき、いよいよ対抗試合最終戦の日となった。ポッターの命を狙うために代表選手にさせた者にとって、最後の機会となるわけだ。闇の印はますます濃さを増していた。

第3の課題は迷路。様々な魔法の施された迷路を通りぬけ、優勝杯を持って帰還した者が対抗試合の優勝者となる。途中で危険を感じた選手は、杖で赤い火花を打ち上げれば職員が救出することになっていた。まもなくボーバトンの代表選手、しばらくしてダームストラングの代表選手の杖から火花が打ち上げられた。残るはポッターとディゴリー。

無事を祈って待つうちに突然、左腕の闇の印が焼け焦げた。デスイーターへの招集の印。ダークロードが復活したのだ!何があったのだ?ポッターはどうなったのだ?私はただちにダンブルドアに報告した。ダンブルドアは厳しい顔つきになり、不死鳥のフォークスを使って何やら魔法を施していた。ポッターを支援しているに違いない。

気が遠くなるほど長く思われた時間の後、ポッターとディゴリーがポートキーでスタンドの群衆の前に戻って来た。ダンブルドアが駆け付けたが、すでにディゴリーに息はなかった。スタンドの観衆から上がる悲鳴。大混乱となった。

そして、魔法大臣のファッジとダンブルドアがポッターにそこで待つように言いつけ、ディゴリーの家族に事態を説明している隙に、、、マッドアイ・ムーディがポッターを連れて行った。

「追うのじゃ」

ダンブルドアに従いミネルバとともにあとを追うと、2人はムーディの部屋に入って行った。ダンブルドアが恐ろしい形相で扉をぶち破り、ムーディを吹き飛ばして気絶させた。そして、そいつはムーディではないと。本物のムーディならこのようなことをするはずがないと言った。

ダンブルドアに命じられて、私は真実薬としもべ妖精のウィンキーを連れに行き、ミネルバはハグリッドの小屋の犬をダンブルドアの部屋に連れて行った。私とミネルバがムーディの部屋に戻ると、そこには男が倒れていて・・・

「クラウチ!バーティ・クラウチ!」

私が叫ぶのとともに、しもべ妖精が叫んだ。

「バーティさま!バーティさま、なぜこんなところに?」

行方不明となっていた魔法省国際局長、バーティ・クラウチの息子、バーティ・クラウチ・ジュニアだった。クラウチ・ジュニアはデスイーター、私の昔の仲間だった。ダークロードが消えた後、レストレンジたちとダークロードを探し求め、ロングボトム夫妻を拷問にかけて廃人にした罪でアズガバンに終身刑となったはずだ。ほかならぬ父親の判決により。まだ少年の面影が残る17、8歳だった。

ダンブルドアは私が持ってきた真実薬をクラウチ・ジュニアに飲ませると、復活呪文をかけて意識を取り戻させた。クラウチ・ジュニアが語った真実は、驚くべきものだった。

病気で死期が近づいた母親が、当時魔法省で権力のあったクラウチの父親に頼みこんでアズガバンを訪れ、ポリジュースで変身して弱り切っていた息子と入れ替わった。家に戻り回復した息子は、服従呪文と透明マントで隠されしもべ妖精に世話されていたが、同情したしもべ妖精が父親を説得し、気晴らしにクィディッチ・ワールドカップを観戦しにゆくことができた。透明マントをつけて、しもべ妖精に付き添われて。

そこで服従呪文を破り正気に戻った彼は、貴賓席の前の席に座っていたポッターの杖を盗み、ちょうどお祭り気分でマグルをいたぶって遊んでいた元デスイーターのグループに腹をたて、闇の印を上空に打ち上げたのだ。消え去ったダークロードを追い求めてアズガバンに収監され、軟禁生活の中ダークロードの復活のみを望んで暮らしたクラウチ・ジュニアにとって、ダークロードを見捨てて保身に走り、マグルいじめに興じる元デスイーターたちは許し難かった。父親がしもべ妖精を首にしてことは収まったが、家に戻るとダークロードが訪れ、今度は父親のほうに服従呪文をかけた。

ダークロードがクラウチ家を訪れた経緯はこうだ。3年前の賢者の石事件で、寄生していたクィレルの体を失なったダークロードは、アルバニアの森の奥で細々と命をつないでいた。そこに1年前、旧友に隠れ場所を暴かれたワームテールことピーター・ペティグリューが、居場所を求めてダークロードを探し当てたのだ、鼠のネットワークを使って。そして、たまたまクラウチの父親を訪ねて息子が脱獄していたことを知っていた魔法省のバーサ・ジョーキンスをつかまえてダークロードのもとに連れて行った。

ダークロードはバーサ・ジョーキンスから、今でも忠実なる自分の僕、バーティ・クラウチ・ジュニアのことと三大魔法学校対抗試合のこと、ムーディがホグワーツの教授に就任することを聞き出した。そして自分が開発した闇の呪文で本格的に復活するのに必要なポッターをおびき寄せる計画をたてた。つまり、バーティ・クラウチ・ジュニアをムーディに変身させてホグワーツに送りこみ、対抗試合を利用してポッターを連れてこさせる計画を。

クラウチ・ジュニアはその計画をうまく実行した。炎のゴブレットにポッターの名を入れて代表選手にし、ポッターが課題を果たせるよう密かに力を貸し、最後は優勝杯をポートキーに変えて、復活の儀式の場所、ダークロードの父、リドル家の墓があるリトル・ハングルトンに飛ばせた。途中、服従呪文を破ってダンブルドアに告白しようとやって来た父親を、ポッターから取り上げた忍びの地図で見つけ出し、殺して骨にかえて埋めた。私の研究室に誰かが忍び込んだあの騒ぎは、クラウチ・ジュニアがポリジュースの材料を盗みに来たもので、あのとき落ちていた羊皮紙が忍びの地図だったわけだ。

クラウチ・ジュニアの話を聞き終えると、ダンブルドアは彼をぐるぐる巻きに縛り上げ、ミネルバには見張りを、私にはマダム・ポンフリーを呼んでクラウチ・ジュニアを医務室に運び、魔法大臣のファッジを呼ぶよう言いつけて、ポッターを連れて出て行った。

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tag : ハリーポッター ハリー ダンブルドア ダークロード バーティクラウチ

スネイプとポッターと炎のゴブレット(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


対抗試合の第二線が近付いた頃、奇妙な出来事があった。私はその夜も、ベッドに入ったものの寝付くことができず、あきらめてパジャマのまま校内の見回りに出た。忍び寄る闇の影に、神経がささくれだっているのだ。すると、私の研究室の扉が開いて灯りが漏れているのを見つけた。この深夜に、誰かが忍び込み、何かを探している!急いで研究室に向かう途中、上の階段から何かが落ちる大きな物音がして行ってみると。

フィルチがドラゴンの卵を抱え、ビーブスの悪さだと訴えてきた。ポルターガイストのビーブスが、呪文で閉ざした私の研究室に入れるはずがない。そう言うのに、日ごろビーブスに悩まされているフィルチはビーブスの仕業だと言い張って聞かない。

押し問答しているうちに、マッドアイ・ムーディが現れた。イヤな男が現れたものだ。ムーディが私の研究室を探っていたのか?

「パジャマパーティかね?」

ムーディが嫌味たらしく尋ねた。フィルチがビーブスがどうやら言っている。私はムーディと関わりたくなくて黙っていたが、フィルチの言う通りかと水を向けられた。

「私の研究室に誰かが忍び込んだので調べに来たのだ。」

「誰かがおまえの研究室に押し入ったと?」

「たいしたことではない。」

そう言ってムーディを追い払おうとしたのだが、

「おまえの部屋に押し入る動機がある者とは誰だ?」

としつこく絡んでくる。あなたでしょう?と言えば居つかれてしまうので、もう一つの可能性に話を逸らした。

「生徒の誰かが魔法薬の薬剤を盗もうとしたのだろう。前にもそういうことがあった。」

しかし、、

「他にもなにか研究室に隠しているものはないのか?」

ムーディは元デスイーターの私に絡みたくてしかたがないのだ。すでにムーディが研究室を調べたことを言い返したが、人を信じやり直しのチャンスを与えるダンブルドアは私を信頼しても、自分は疑いを解かないと言った。

「洗っても落ちないシミがあるというのがわしの持論だ。どういうことかわかるだろう?」

ムーディの言葉に、思わず左腕の闇の印を押さえてしまった。ムーディは高笑いして、早く部屋へ帰れと脅してきた。脅されるのは腹が立つが、これ以上ムーディと関わってもろくなことがないので引き上げようと思った時、

「これは何だ?」

ムーディが階段に落ちた羊皮紙を指し示した。

去年ポッターが持ち歩いていた怪しい紙だ!ポッター!また夜なかに出歩くような危険なまねを。思わず冷静さを失ってしまった。

「ポッターだ!ドラゴンの卵も羊皮紙もポッターのものだ!ポッターがいる。透明マントだな!」

手を振り回して姿の見えぬポッターを探す私を止めるように、ムーディが言った。

「いかに早くおまえの考えがハリーに結び付いたかダンブルドアに告げよう。」

「どういう意味だ?」

「ハリーに恨みを持つものが誰かダンブルドアは興味があるからな。わしも興味があるぞ、スネイプ、大いにな。」

もちろん私も興味がある。が、、、ここでムーディにどのような態度をとるべきか決めかねた。真実を見抜くムーディの義眼。私は冷静さを取り戻し、閉心術を使いながら、教師の立場を保って言った。

「私はただ、ポッターが規則を破ってまた夜中に徘徊しているなら、安全のためにやめさせなければと思っただけだ。」

「なるほど。」

ムーディがいるなら、今ここでポッターの身に危険が及ぶことはないだろう。

「私は寝室に戻る。」

「よい考えだ。」

私は部屋に戻ったが、心配と怒りで眠れそうになかった。ポッター、危険がいつになく迫っているのに、なぜ危険を買って出るようなことばかりするのだ?皆がおまえの身を心配して警戒しているというのに。

そして、自らの落ちないシミを思う。リリーを死に至らしめた闇の刻印。

印を刻んだ時は、優秀な闇の魔法使いの証しと、誇らしくさえ思ったものだ。ルシウスと左腕を並べて、消えることない絆の印と喜んだこともあった。若き日の愚かな過ち。それは、私の命に灯りを灯してくれたリリーに死をもたらす、暗黒の力だったのだ。シミは消えぬが、命をかけて償う。私にできるのはそれだけだ。

翌日研究室を調べてみると、ポリジュースの材料が盗まれていた。2年生の時にポッターたちが盗んだものだった。あのときも証明はできなかったが。

対抗試合の第2課題は、水中に沈められた、選手たちそれぞれの大切な人を、制限時間内で救い出すというものだった。このためにポッターがポリジュースの薬剤を盗みに研究室に入ったのだと確信した。途中棄権したボーバトンを除く3人の代表選手たちは無事課題を成し遂げ、ポッターはディゴリーと並びトップとなった。

魔法薬学の授業で、私はポッターから減点をとって、真夜中の徘徊や盗みを懲らしめてやるつもりだった。ちょうど予言者新聞や週刊魔女にポッターの面白い記事が出ていた。ポッターとグレンジャーとダームストラング校のクラムが三角関係だという。生徒たちの前で記事を読み上げ、さらに真実薬を飲ませてやろうと脅したが、ポッターは挑発にのらない。そうこうしているうちに、、、

授業中だというのに、カルカロフが訪ねてきた。左腕の闇の印がますます濃くなり、いてもたってもいられないのだろう。私が避け続けていたから、逃げられぬ授業中を狙ってきたのだ。授業が終わるまで待たせたが、カルカロフも消えぬシミに苦しんでいるのだ。しかし、もし計画通りダークロードが私をスパイと認めてくれて、そのときカルカロフがホグワーツに残っていたならば、他ならぬ私自身の手で彼を捕えるか、悪くすれば殺せと命じられるかもしれない。

「ダークロードの復活は近い。今すぐ逃げろ、イゴール。それしかないだろう?」

「セブルス、おまえはどうするんだ?いっしょに逃げないか?」

「私は、逃げるつもりはない。ここに残る。」


5月末に、魔法省の国際局長であり、三大魔法学校対抗試合の主催者兼審査官である、バーティ・クラウチが行方不明になった。クラウチは対抗試合の開催の日以来様子がおかしく、最近は姿も現さなくなっていた。校庭に対抗試合の代表者が集まり、最終戦の課題が与えられた後、ポッターとクラムが禁じられた森の近くで話していたときにクラウチの姿を見かけ、あまりに様子がおかしいのでクラムが見張りポッターがダンブルドアに告げに来たのだが、行ってみるとクラムは襲われて気絶し、クラウチの姿は消えていたということだ。

魔法省ではほかに、バーサ・ジョーキンズが行方不明になっていた。一人、また一人と、人が消えていく。これもダークロードがまもなく復活する前兆だ。

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ポッターが三大魔法学校対抗試合に4人目の代表選手として参加することが決まると、生徒たちの目はポッターに冷たくなった。年齢が満たないのにルールに反して代表選手になったこと、まして、ホグワーツからは正式な代表選手のディゴリーがいるのだから当然の反応だ。

予言者新聞にも代表選手たちの記事が載ったが、4人をインタビューしたはずなのに、ポッターの記事ばかりだった。規則を破って目立ちたがるポッターに対して、生徒たちの反感はますます募ったようだ。

生徒たちの間では、「セドリック・ディゴリーを応援しよう」と書いたバッチが流行った。裏面には「汚いぞポッター」と書かれている。これで嫌気がさしてポッターが棄権を申し出ればよいという気持ちと、対抗試合で優勝してヒーローになりたいとでも思っているのかという忌々しい気持ちとで様子を見ていた。

ポッターに何かしたり、カルカロフと話したりして、ただでさえ被害妄想的に人を疑うマッドアイ・ムーディに目をつけられたくなかったので、私はただ事態を見守ることにしていた。それに、ムーディの言うように試合に出させてポッターの命を狙う者が校内にいるとすれば、それはダークロードにつながる者の可能性が高い。目に見えぬ影を感じ、用心を怠れなかった。

が、ある日、生徒たちの間で騒ぎが起こり、駆けつけてみると、スリザリンのゴイルの鼻がキノコほどに膨らみ、グリフィンドールのグレンジャーの前歯が伸びていた。争ったドラコとポッターが放った術が、近くにいたゴイルとグレンジャーにかかったのだ。ムーディの眼を気にしてここのところポッターやグリフィンドールから減点をとれなかったので、この機会は逃せない。ゴイルを医務室に送り、グリフィンドールからは減点した。私だってこのくらいの気晴らしはしたいし、ムーディにももっともな言い訳が立つ。漠然とした闇の陰に対しても、スリザリンびいきの私の立場をほのめかすよい機会だった。

スリザリンの減点につながるグレンジャーの前歯は、いつもと同じだと言い放った。ゴイルと違って、グレンジャーなら自分でどうすべきかわかるはずだし、実際教室を駈け出して医務室に向かうのは見逃しておいた。あとで見たら案の定グレンジャーの前歯は治り、心なし以前より口元が整っているようだった。ちゃっかりした娘だ。


いよいよ対抗試合の第一戦が行われた。ドラゴンから卵を奪うという危険なものだったが、代表選手4人とも見事に課題をこなした。ポッターとクラムが同点の一位。もっとも凶暴なドラゴンとよく戦ったポッターに対して、生徒たちの視線はいっきに温かくなった。気に入らない展開だが、無事で何よりだった。

クリスマスにはダンスパーティが開かれた。生徒たちは授業中までパートナー探しに浮足立っていたが、私には別の気がかりがあった。左腕に刻まれた闇の印が濃くなってきたのだ。ダークロードが消えて以来13年間なかったこと。ダークロードの復活が近いことを確信した。

その日が来たら、私はダークロードの前に立ち、我が身をもってポッターの命を守る。息子の命を守るためにダークロードの前に身を投げ出し命を落としたリリーに代わり。覚悟はできている。

ダンスパーティの当日、会場から姿を消したポッターを探していると、玄関ホールの庭先でカルカロフに捕まってしまった。ダークロード復活の折に、スパイとして戻る覚悟を決めている私にとって、闇陣営の仲間を売ったカルカロフとの接触は避けたいものだった。ダークロードに繋がるものが校内に潜み、私の動静をもうかがっているはずなのだ。

カルカロフは腕に刻まれたデスイーターの証しが日ごと濃さを増しているのに怯えていた。元仲間であるし、ダークロード消滅の際に私はダンブルドア側の味方になっていたという証言でアズガバン行きを免れたので、同じ立場だと思っているのだ。しかしカルカロフは自分が解放されるために仲間を売ったとき、私の名前も出したことは失念しているらしい。というより、恐怖でそれどころではないのだろう。

私とて恐怖を感じないわけではない。いや、こわい。「裏切り者には死を」がデスイーターの掟だ。その死もアヴァダ・ケダブラの一発ならまだましと思うくらい、苦痛に満ちたものだろう。私は当時の裏切り者として戻り、その後もスパイ活動を続けるのだ。ダークロードに裏切り者と指差され、苦痛にのたうちながら死ぬ悪夢に何度もうなされた。それでも、ポッターを守るためには、なんとか生き延びなければならない。言動の一つ一つに細心の注意が必要で、カルカロフなどにかまっている暇はないが・・・

「それなら逃げろ。言い訳を考えてやる。だが私はホグワーツに残る。」

言いながらも盗み聞きを恐れ、見つけた生徒たちは追い払った。ポッターが無事にウィーズリーといるのを見つけたのを潮に、追いすがるカルカロフを振り払って地下牢の私室に引き上げた。

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スネイプとポッターと炎のゴブレット(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。)


今年は三大魔法学校対抗試合がホグワーツで開催されることになった。ホグワーツ校、ボーバトン校、ダームストラング校の三大魔法学校から代表選手が選ばれて、1年にわたり課題を競い合う。死者が出て危険だということで中止されていたが、100年ぶりに行われることになった。

ハローウィンの前日、それぞれの校長に引率されて、ボーバトンとダームストラングから代表生徒たちがやって来た。ダームストラング校の校長は、イゴール・カルカロフ。相変わらず痩せていて、背が高い。ひげを伸ばし、短い髪は銀色になった。元デスイーター。昔の仲間。

13年前にダークロードが消えた時、カルカロフはアズガバンに収監されたものの、魔法省と取引して仲間の名を売り、解放された。私の名も出されたが、幸いダンブルドアの証言に助けられた。ダームストラングの校長におさまっていたとは、うまくやったものだ。

三大魔法学校対抗試合の開催式も兼ねた晩さん会には、対抗試合を運営する魔法省国際局長のバーティ・クラウチと担当のルード・バグマンも参加した。

去年のルーピン、ブラックに続き、今年はマッドアイ・ムーディ、イゴール・カルカロフ、バーティ・クラウチ、ルード・バグマンと、ダークロード隆盛時に関わりのあった者たちが、続々とホグワーツに集結してくるようだ。デスイーターだった過去が私にまとわりついてくるような感じがした。

それでも、対抗試合という一大イベントを控え、華やかなボーバトンや雄々しいダームストラングの生徒たちを迎え、生徒たちは楽しくはしゃいでいる。試合に参加する各校代表選手を選ぶ炎のゴブレットが壇上に置かれると、生徒たちの興奮はさらに高まった。

しかし、競技は危険なため、代表選手は17歳以上の生徒に限られるとダンブルドアが説明すると、それ以外の生徒たちからはいっせいにブーイングが起こった。当然ブーイングは押し切られ、17歳以上の代表選手に名乗りを上げたい者は、炎のゴブレットに名前を入れ、各校1名ずつ、ゴブレットが代表を決めると告知された。

翌日のハローウィン晩さん会では、ゴブレットがいよいよ代表選手を決める。ダンブルドアが杖を振ると、ゴブレットの炎は赤く燃えたち火花を上げて、1枚、また1枚と代表選手の名前が書かれた紙が舞いあがった。ダンブルドアが紙を受け取り、名前を読み上げていく。

ダームストラング校からは、クィディッチの名手ビクトール・クラム。生徒たちから喝采があがった。続いてボーバトン校のフラー・デラクール。ヴィーラの美少女が立ちあがった。そしていよいよ、ホグワーツからはセドリック・ディゴリー。ディゴリーのハッフルパフ生は立ち上がり、ホグワーツ生徒たちからは大歓声が上がった。

拍手が収まるのを待ってダンブルドアが代表選手の決定を宣言した。しかし、またゴブレットが炎を上げ、もう1枚名前の書かれた紙が舞いあがった。紙を見て、名前を読み上げるダンブルドア。

「ハリー・ポッター」

ポッター?!耳を疑ったのは私だけではなかった。大ホールは一瞬静まり返り、皆の視線がポッターに集まる。それから大騒音となった。年齢制限にはずれた、しかも4人目の代表選手。

ポッターが対抗試合に出る?死者も出る危険な試合にまだ14歳のポッターが。またしても、ハローウィンの悪夢だ。年齢制限にはずれ、特別な能力もないポッターがゴブレットに名前を入れられたはずがない。企みがあるのだ、ポッターの命を狙う危険なたくらみが。なんとか試合が始まる前に阻止しなければならぬ。

代表選手の集まる部屋に、選手4人とダンブルドア、ミネルバ、私、そして校長たちと主催者側が集まった。当然ボーバトンとダームストラングからは、ホグワーツだけ2人の代表選手が出ることに対して抗議の声が上がった。これに乗じて、ポッターが年齢制限を破って名前を入れたのだということで、試合参加をやめさせなければ。

「ポッターは規則を破ってばかりいるのです!」

しかしダンブルドアは私を留めて、ポッターに名前を入れたのかと尋ねた。ポッターは入れてないと言う。わかりきったことだ。一刻も早く、ポッターをこの危険な試合への参加から遠ざけたい。

しかし、主催の魔法省のクラウチとバッグマンは、炎のゴブレットが決めたのだからポッターも参加するのが決まりだと言う。名前が出た者は試合に出る義務があると。

カルカロフが食い下がっていると、マッドアイ・ムーディが入って来た。もちろん、ムーディは私の過去と同様、カルカロフの過去もよく知っている。

「ゴブレットから名前が出ればポッターが戦わなければならないことを知っていて、誰かがポッターの名をゴブレットに入れた。」

ムーディはカルカロフを挑発するように言った。険悪な議論が続いたが、ダンブルドアに押しとどめられたので、私は黙って聞きながら、誰がポッターを危険に陥れようとしているのかを考えていた。カルカロフは卑怯な裏切り者だが、ダークロードの復活を最も恐れるものがあるとすればこいつだろう。ポッターになど関わりたくないに決まっている。ムーディは闇祓いだし、クラウチは闇の勢力に厳しく当たっていた。マダム・マキシームはなんの関わりもないし、バグマンはよくわからないが、大それたことができそうにも思えない。ありえないが、ポッターが自分で入れたのか?対抗試合のヒーローになりたくて?

やがて、ダンブルドアが、炎のゴブレットから名前が出た者は参加するというルールに従うしかないと議論を打ち切り、ポッターの参加が決まった。ポッターが試合に勝とうが負けようが構わないが、命に危険が及ばぬよう、見守っていくしかない。あるいは、ルール違反を見つけて棄権させられればそれに越したことはないが。

あとでダンブルドアとポッターの身の危険の可能性について話すと、「ハリーは試練を乗り越えて成長せねばらなぬのじゃ」などと言っている。私にはポッターがダークロードに対抗できるほどの魔力を備えられるとは思えないのだが。

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