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セブルスとルシウスの物語(45)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


僕が数か月ナルシッサの世話に明け暮れている間、闇陣営はあいかわらず、敵方のしつこい反抗に手を焼いていたようなのだけど、僕はすっかり事情に疎くなってしまった。ナルシッサが眠った後に屋敷を出て襲撃後の負傷者の手当てに駆けつけたり、屋敷で煙膜の開発を進めたり、命じられた魔法薬を作って届けるほどのことしかできなかったからだ。ルシウスの話では、闇祓いに協力する民間の者たちが、どうやらダンブルドアの元で組織的に動いているらしいとわかってきて、メンバーの狙い撃ちのようなことも始まっているようだった。

ようやく復帰できたのは、すでに年が明けてしばらくたってからだった。幹部の集まりに出かけ、ダークロードや先輩デスイーターたちに不在を謝罪した。そのへんはルシウスがうまく話してくれてあったらしく、ダークロードからは煙幕の開発は進んでいるかと尋ねられただけだった。

未完ではあったけれど、僕は煙幕の術を披露することになった。杖をかまえ、幹部たちの前で、新しい呪文を唱えてみる。プロテゴ・マキシマ・コンフーモ!僕の杖の向こうに、もうもうと煙が立ち込めた。何人かが煙を駆け抜けようとして跳ね返されると、喝采があがった。通過できる無言呪文をおしえて、しばらく練習した後に何人かが通り抜けられると、通過できた数名は大喜びで、残りの者たちは悔しがってやっきになって呪文の練習を重ねている。

ダークロードも満足げな顔をして、見事な術だと褒めてくれた。未完というのは、煙幕を張っている間、ずっと杖を掲げて術をかけ続けなければならないからだ。いったんできた煙幕が、杖をはずしてもしばらく張られている状態を、僕は目指している。そうなれば、術者も闘いに戻れるし、煙幕を残したまま安全に撤退することもできる。

この構想を話すと、ダークロードは開発を続けよと言い、だが今の段階でも十分に実践に役立つから、まずは幹部たちに指導するよう命じられた。楯の呪文の最強レベルであるプロテゴ・マキシマムだけでも難しいものだから、皆がすぐできるようにはならなくて、何度か練習会を重ねるうちに幹部会に集まるデスイーターたちの特徴がなんとなくわかってきた。

まず、武闘派といえるグループがある。彼らは攻撃力に優れていて、襲撃を率いたり、突発的な抗争には直ちに駆け付けるし、ダークロードから密かに命じられる襲撃や粛清のようなこともしているらしい。磔の術や死の呪文が得意で、他にも僕の知らない闇の魔術を駆使する人もいる。煙幕の術を習得するのもこのグループが多かった。闇祓い局のアラスター・ムーディとも何度が死闘を繰り広げ、よく罵っている。魔法省からデスイーターではないかと目をつけられている人もいて、中には尋問されて証拠不十分や裏工作で免れた経験の持ち主もいるようだ。

それから、主に魔法省の工作を受け持つグループがある。彼らは魔法省に潜入し、それぞれの立場で純血主義やダークロードの意に沿う施策を進めたり、情報を得たりしている。必要があれば魔法省の関係部署の職員を仲間に引き入れたり、同意しなければ服従の術や脅しで協力させる。武闘派のグループに比べると、ずっと用心深くデスイーターであることを隠していた。それを知られれば任務が果たせないばかりか、退職を強いられたり罪に問われることさえあるから当然だ。彼らは闇陣営に対して強硬策をとり、締め付けを強める魔法執行局長クラウチ氏の悪口を言うことが多い。

ルシウスもどちらかといえばこちらに属していて、魔法省に勤務しているわけではないけれど、省の高官との交友関係を生かして、思い通りに動かしたり情報を得たりしている。それだけでなく、ダークロードの信認も厚く、相談役のような役割を果たしたり、デスイーター全体を統合することもある。

他に、魔法省以外の工作を受け持っているグループもあった。これはあまりわからないのだけど、人狼や巨人といった闇の魔法生物とつながりを持ち、スパイを放ったり闇陣営に引き込む企てを遂行したり、大陸ヨーロッパの魔法族との連携を図ったりしているようだ。

これらのグループは他が何をしているか知らないこともあるけれど、互いに協力し合うこともあるし、ダークロードがグループをまたぐ人選をして任務を与えることもある。もちろん皆で手分けして同時襲撃を行ったりもする。

煙幕の術の練習が終わってしまうと、僕はこういう特徴ある幹部たちの中で、なんとなく自分の立ち位置がわからない気がしていたのだけれど、ダークロードから新しく、ダンブルドアの動向を探るよう命令を受けた。

セブルス、余はおまえの能力を高く買っておる。あれこれと私事の重なったマルフォイ家の援助のために活動に専念できぬ時期もあったが、その間にもすぐれた術の開発をはじめ、治癒や魔法薬など他の者にできぬ任務を充分にやり遂げた。闇の魔術の腕も優れておると評価しておるぞ。」

「我が君、そのように言っていただけて光栄です。不在の間に状況に疎くなってしまったと思うのですが。」

「たしかにそうであろう。だが、それすらもこの任務には好ましい。」

「我が君、どういうことでしょうか?」

ダンブルドアに近づかねばならぬからな。余計なことは知らぬに越したことはない。万一ダンブルドアに疑いを持たれ、探られたとしても、知らぬことは話せぬであろう?知らぬ方が疑いも持たれぬ。」

「私は何をすればよいのでしょうか?」

ダンブルドアの身辺を探り、できるなら、ホグワーツに入り込むのだ。ぜひそうせねばならぬ。教師となってホグワーツに入り、中からダンブルドアの動向を探るよう努めよ。我らの勢力は、魔法省の全権掌握まであと一歩のところまで来ておるが、魔法省の外でダンブルドアがあれこれと企てる動きがつかめておらぬ。ホグワーツは毎年新任教師の採用に苦労しているし、おまえのように優秀なら教師として不足はない。」

「ホグワーツでは先生が不足しているのですか?」

「余が呪いをかけて闇の魔術に対する防衛術の教授職は長持ちせぬし、我らへの反抗と見なされかねぬホグワーツに職を求める者は多くないはずだ。おまえのように優秀な者なら、充分可能性はある。ところでセブルス、おまえはダンブルドアとの面識はあるのか?もちろん校長としては知っていたであろうが。」

「直接話したことは、わずかですが。」

僕は5年生の時の暴れ柳事件の顛末を思い出した。あの時校長先生がブラックとポッターを適切に処罰してくれていたらとダンブルドアのグリフィンドールびいきへの不満を思い、同時にポッターたちへの憎しみが鮮烈によみがえった。卒業後関わることがなくなり、思い出すことが少なくなっても、癒されぬ感情は消えることなくそこにあるのだ。

ダークロードは僕の目をじっとのぞきこんでいた。上手く進めばスパイとしてダンブルドアの元にいることになるから、開心術で僕の忠誠を確かめているのかもしれないと思う。。だけど誰に対しても明かさぬと決めたレギュラスとクリーチャーがあの夜僕の部屋に現れたこととリリーへの強い想い以外は、隠すことはない。ダークロードの顔に笑みが浮かんだ。

「ダンブルドアにあまりよい感情は持っていないようだな。」

「はい。子供心に、グリフィンドールばかりをひいきすると感じたことがありました。」

「まったくその通りだ。家庭に恵まれぬ生徒にそのような思いをさせるとは、校長として怪しからぬと余も思うぞ。」

やはり優れた開心術で、僕の心を確かめたのだ。マグルのひどい父親を持った惨めな子供時代も見えたのかと不安に思ったのだけれど。

セブルス、ここだけの話だが、父親の血筋など気にせずともよい。混血であろうと不遇な育ちであろうと、優れた魔法族の血が流れておることはおまえの魔力が証明している。その力を持って陣営に貢献せよ。」

いつも純血を称えているダークロードのその言葉には驚いたけれど、嬉しかった。

「魔法省からの情報によれば、ダンブルドアはホグズミードで教師の候補たちと会っているらしい。その機会を逃さぬよう、おまえもダンブルドアとの面談を果たし、就職希望を伝えておけ。」

「我が君、任務を果たせるよう、全力を尽くします。」


ホグズミードの村で探っていると、ある日ダンブルドアがパブのホグズヘッドに現れた。こっそり後をつけると、奥にある宿泊用の客室に入っていき、出てこない。ドアに近づき室内の様子を探ろうとした時。

うめきとも叫びともつかぬ、荒々しい太い声が漏れてきた。おかしな声にぎょっとして、でもダークロードという言葉が聞こえたから、僕はとっさにドアに耳をあて、聞きとろうとした。声が厳かに告げる。

「ダークロードを打ち破る力を持ったものが近づいている、、、7つ目の月が死ぬ時、ダークロードに3度抗った者たちに生まれる、、、」

一語一句聞き逃さぬようにと集中していると。

「何者だ!客室棟に忍び込んで何してるんだ!」

突然パブの男が現れて僕の腕をつかみ、詰問された。僕は通路に迷って入りこんでしまっただけだと言ったのだけど、男は怪しい者だと喚いて騒ぎ立てる。部屋のドアが開いてダンブルドアの険しい顔がのぞいた。部屋の中にはかわった眼鏡をかけた魔女が座っているのが見えた。こんな状態で目立つのはかなわないから、できるだけ早くその場を逃れるしかない。

ダンブルドアとの面談もかなわず、むしろ怪しまれる状況で逃げ帰ったことに気落ちしたけれど、それでもダークロードに関わる重要な情報を得たと言えるのではないかと思う。あれは、予言ではないか?

僕はダークロードの元に参じ、耳にしたそのままを報告した。ダークロードは僕に予言の言葉を繰り返させてしばらく考え込んでいるようだったけれど、ダンブルドアとの面談がかなわなかったことを責めることはなく、むしろ重要な情報を得たと評価してくれた。しばらくこのことは口外するなと命じ、教職を得る機会はまたあるだろうから次に備えればよいと言った。

僕は魔法省グループと連絡をとりながらダンブルドアの動きを探るとともに、襲撃にも加わった。僕が開発した煙幕の術は、結局幹部の数名しかできるようにならなかったけれど、通過呪文は難しいわけではないから皆がマスターし、襲撃で使われて絶賛された。

闇祓いが反撃に駆け付けた瞬間に煙幕を張り、跳ね返される彼らを尻目に我らだけが通り過ぎるのを見たムーディの顔は見物だったと誰かが囃したて、開発した僕を見直したと言いに来てくれる人までいた。見直したというのだから、それまでは魔法薬やら何やら得体のしれないことをしている若造とでも思われていたのかもしれないけど、これで力を認められ、仲間と打ち解けることもできた気がする。


それから間もない6月の初め、マルフォイ家は喜びに包まれた。ついにナルシッサが出産したのだ。聖マンゴ病院の特別分娩室の外で、ルシウスと僕は漏れ聞こえるナルシッサの叫びをききながら、期待と不安で失神しそうな数時間を過ごした。

ようやく産声が上がって室内に招き入れられ、やつれながらも満ち足りたナルシッサの笑顔と、ルシウスの腕に渡された生まれたばかりの赤ちゃんを見た感動を何と表せばよいのかわからない。天使だ、天使だと、信じてもいない存在の名が繰り返し胸に浮かぶ。ルシウスからおまえも抱いてみろと渡された、軟らかくて温かい小さな宝物を大切に抱え、ベッドに横たわるナルシッサの腕にそっと置く。

屋敷に戻っても、ドラコと名付けられた天使を囲んで、僕たち3人の幸せな高揚感は増すばかりだった。ぷにゅぷにゅとした小さな手のひらや足の裏をつついたり、開いてもいない目がルシウスとナルシッサのどちらに似ているかと言いあってみたり、泣けば泣いたで泣き声が元気だと喜びあう。

夜、部屋に忍んできたルシウスと慌ただしく体を満たしても、あとはすぐドラコの話になった。男2人がベッドに横たわり、頬を緩めて赤ん坊の話をするなど間抜けなことこの上ないと思うけど、2人ともドラコに夢中なのだからしかたがない。

そこにいるだけで幸せな光を放つような赤ん坊のことを思うと、命の誕生とはこれほどに祝福に満ちているのだと泣きたいほどに感動し、ふと、自分のことが顧みられた。僕が生まれた時も、こんな景色があったのだろうか?物心ついた時には父さんに疎まれていて、ほどなく母さんにも忘れられてしまったけれど、父さんと母さんも僕の誕生を祝福してくれたのだろうか?

記憶を辿っても赤子の時の覚えなどあるはずもなく、ただ、スピナーズエンドの家の地下室の、こわいほどに寂しい暗闇が冷たく心を覆う。一瞬揺らいだ暗がりの中に、小さな花が浮かびあがった。花は開いたり閉じたりを繰り返しながらふわふわと空を舞って小さな手のひらに乗り、幼いリリーの笑顔が現れる。

あたし、リリー。あなたはセブね。また明日会おうね。

僕にその祝福を与えてくれたのはリリーだったのだと気づく。僕はあの公園で、初めて僕の命が祝福されたと感じられたのだった。

「セヴィ、どうしたのだ?ぼんやりとして。」

ルシウスの声に我に返り、間近にある見慣れた美しい顔を見ると、今ここにあるすべてが奇跡のように思われた。温かい体を抱きしめて、溶けるような喜びを感じながら僕は思う。ルシウスは与え、ナルシッサは受け入れ、ドラコは産まれてくれた。あの時リリーが僕に祝福をくれて、今僕はこんな幸せを味わうことができる。

「なんだかとても幸せで。」

それだけ言って言葉に詰まると、ルシウスは僕の髪を撫で、胸に抱き寄せた。

***
(過去1)セブルスとルシウスの物語はおわりです。(過去2)に続きます。
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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス ダークロード ダンブルドア

セブルスとルシウスの物語(44)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

そんな日が続いたある夕方、屋敷妖精から旦那様と奥様がお呼びですと言われ、リビングルームに行ってみると、ルシウスがいらだたしげに歩き回り、ナルシッサはソファでハンケチを握り締めていた。

「どうしたのですか、2人とも?最近は私のことなど顧みもせず、2人で楽しく暮らしていると思っていたのですが。」

セブルス、そんな嫌味を言ってないで、聞いてちょうだい。」

ナルシッサはわなわなとふるえる両方の手で、ハンケチを破れるほどに引っ張っている。

「今日2人でダイアゴン横町に買い物に出かけたの。そうしたら、」

「ばったりウィーズリー一家に出くわした。」

「ウィーズリー?」

「アーサー・ウィーズリー。グリフィンドールの赤毛だ。おまえは知らぬか?」

僕は首を横に振る。

「とにかくそのウィーズリーというヤツは、貧乏人のくせに口ばかり達者で何かにつけて私に楯つく、マグルびいきの血を裏切るバカ者なのだ。子供をぞろぞろと引き連れて通路をふさいでいでいたから、じゃまだと言った。」

「そうしたらモリー夫人が抱いていた赤ちゃんが、おそらくは双子ね、ご主人も一人抱いていたから。赤ちゃんがわたくしの服を引っ張ったの。」

「赤ん坊は汚い手でナルシッサに触るし、他にも子供3人が通路を走るから、育てる金もない貧乏人が、しつけの悪い薄汚れた子供を連れて歩き回るのは、迷惑だから退けと言ったのだ。そうしたら、、」

ルシウスが怒りに顔を歪めて口ごもるのをナルシッサが引き継いだ。

「そうしたら、モリー夫人が、お宅は子宝に恵まれなくてお気の毒ねと言うのよ。うちは男の子ばかり5人もいるから今度は女の子がいいわ、ですって。」

「アーサーのヤツは、マルフォイ家は跡継ぎができなくてたいへんだなと、作り方を知らぬならおしえてやってもいいが、他に事情があるなら気の毒なことだなどと言いおった。まるで私に子種がないかのように。あの貧乏人のグリフィンドールが。子を育てる金もないくせに。」

ルシウスはすごい剣幕で息を荒らげ、ナルシッサも悔しさのあまり泣きそうな顔をしている。ベラトリックスの悪態に続いて、ルシウスも不幸続きだと思いながら、僕が口もはさめずにきいていると。

セブルス、子供ができるように助けてくれるわね?もう悔しくって、わたくし買い物にも行けないわ。」

「・・・。助けろと言われても、私に何をしろと?」

「あなたは家族も同然でしょう?わたくしたちの問題はあなたの問題でもあるのよ。子供ができるように、なんとかしてちょうだい。」

「セヴィ、3人で力をあわせて子づくりに励むのだ。」

「・・・」

2人の勢いに押されれば抗う術もないからうなづきはしたものの、なんとかしろと言われても何をすればよいのかさっぱりわからない。だいたい女の体も知らない僕に、何ができるというのか?

仕方がないから本で調べようと本屋に行ってみた。だけど、本屋のそのコーナー一帯というのは、若い男一人が立ち止まることさえいたたまれないものがある。しかたないから屋敷に戻ってナルシッサに同行を頼むと、そんな本を見ている所をモリー夫人に見られるくらいなら死んだ方がましだと断られた。僕は死んだつもりになってそれらしき本数冊をまとめて買いこみ、目を通した。

本で読んだ妊娠の理屈自体はそう難しいものではなかった。要は受精して、受精卵が子宮に着床すればよいということだ。妊娠の確率を高めようと思うなら、まず卵子と精子が健康であること、排卵日を調べてその前後に何回か営みを持つこと、そして受精卵がしっかりと着床できるように子宮壁が健康であることがポイントのようだ。

ルシウスたちの場合、まずできそうなことは、2人が健康的な生活を送ること、特に母体であるナルシッサの全体的な体調を整え、卵巣や子宮を強壮してやることだ。それから毎日体温を測って排卵期を知る必要がある。怪しげな魔術を使う方法を記す文献もあったけれど、確実でない上に子供への影響も懸念され、なによりルシウスもナルシッサも若く健康なのだから、正攻法で妊娠しやすい状態にするのが最適と思われた。

排卵期を知るために毎朝ナルシッサの体温を調べるように2人に言うと、ルシウスは少し面倒そうな顔をして、排卵日などわからずとも毎日すればよいではないかなどと言う。過度な営みは精子の質を落とすとの説もあるから、可能性の高い時期に備えて節度をもったほうがよいらしいと言うと、ルシウスはベラトリックスの無駄玉云々を思い出したらしく、嫌な顔をして口を閉じた。人を黙らせたいときは、このように痛い所をつくことだと勉強になる。

それから多くの文献を調べ、女性の体のリズムやナルシッサの体調に合わせて、一日ごとに細心の注意を払って魔法薬を調合した。排卵期前の数日は、ルシウスにも男性用強壮薬をつくって渡し、酒を控えるよう念を押した。ナルシッサの健康な母体をつくる体操につきあい、妊娠しやすい食事、受精しやすい体位とか時間帯、月の満ち引きとの関係といった眉唾ものの情報まで調べて、僕は全力でナルシッサの懐妊をサポートした。

ナルシッサはよく頑張り、ルシウスも協力的だったのに、期待して迎えた翌月にナルシッサが月のものを見た時には、3人で言葉もなく落ち込むばかりだった。それでも、妊娠は確率の問題の面もある。前月よりは改善した状態でいどめるのだから気落ちしないようにとナルシッサを励まして努力を続けた。

翌月にその努力も空しい結果に終わると、ルシウスとナルシッサの意気込みは目に見えて低下した。すべてに恵まれて育った2人は、事がうまく運んでいるときは実にご機嫌なよい人たちなのだけど、いったん壁にぶつかるとすぐやる気をなくし、忍耐ということを知らない。ナルシッサの精神面も考えて、気持ちを和らげる薬草を加えるなど、僕は工夫を重ねた。

ナルシッサはやや投げやりなふうながら、それでも僕がくどくどと言うから魔法薬はなんとかのんでいたのだけれど、排卵期を過ぎた頃、胸や腹を締め付けるようなドレスを着ているのを見て、着床の妨げにならぬよう念のためゆったりとした服装にしたらどうかと勧めたら、かんしゃくを起こした。

「もうたくさん!これを飲め、あれを食べろ、バカげた体操に、面白みのないセックス!いい加減、うんざりだわ!そのうえお洒落までいけないというの、セブルス?!」

日頃しとやかなナルシッサの激昂にたじろいでいると、不穏な気配を察知したルシウスは、静かに窓際へと逃れていった。

「そんなにあれこれと口うるさく言うのなら、あなたがやってみなさいよ!」

「私も日々魔法薬を調合しているし、食材の調達もしています。体操だって一緒にしているではありませんか。ナルシッサ、落ち着いて・・」

説得を試みた僕の言葉は、火に油を注いだだけだった。いらぬ口をはさんだ僕を睨みつけ、肩をそびやかす様が姉のベラトリックスにそっくりだと気づいたとき。

「あなたなら魔法薬も食材も体操も完ぺきだというわけね!それならセブルス、あなたが妊娠すればよいわ!体位だってお手のものなのでしょう!」

こ、この人はなんてことを言うのだと唖然とし、それから思わず顔が熱くなる。と、窓際に避難していたルシウスが顔をひきつらせながらやってきた。笑うのを堪えているのだと思う。

「セヴィ、なぜ顔を赤らめているのだ?ナルシッサ、いい加減に許してやりなさい。かわいそうに、セヴィが恥じらっているではないか。」

ルシウスが噴き出し、ナルシッサも我に返ったようで、僕の顔を見て噴き出した。2人は噴き出したまま笑いが止まらず、ナルシッサなど目じりを拭いている。僕が憮然としていると、ようやく笑いのおさまってきたルシウスが、まだにやつきながら言った。

「わかった、わかった、セヴィ。おまえがそんなにも頑張っているのだから、私たちも協力してやらねばな。な、ナルシッサ?」

「ええ、そうね。セブルス、あなたの好きな服を着てあげるから、機嫌をなおすのよ。」

なぜこういうことになるのか僕にはさっぱりわからないけれど、その後2人は頑張る僕に協力してくれることにしたらしい。ナルシッサはセブルスに協力しなきゃといちいち言いながら魔法薬を飲み、食事は残さず食べ、ゆったりとした服を着て半月を過ごした。

そして、あれやこれやの思いや出来事は、ナルシッサに妊娠の兆候が現れてすべて吹っ飛んだ。月の予定が過ぎてからの1日1日を、僕たちは期待と不安で固唾を飲む思いで数えては数えなおし、1週間が過ぎた日に、3人で肩を抱き合って喜んだ。

ルシウスと僕はかわるがわるナルシッサのお腹に手をあてて、今動いたのがわかったかというルシウスに、まだほんの数ミリのはずだと指摘するとつまらぬことを言うなと言い返されて、ほんとにつまらぬことが愉しくて嬉しくて、3人で泣き笑いした。

すでに事を成し遂げた気になって、すぐにでも皆に発表すると騒ぐルシウスを安定するまで待つよう引きとめているうちに、ナルシッサの悪阻が始まった。ルシウスはダークロードにブラック家出身の妻の懐妊を告げて襲撃などの活動に戻り、僕もそうしたかったのだけど、できなかった。ナルシッサに引きとめられたからだ。

悪阻はお腹の中の子が健康に育っている証なのだから心配はないと説明したのだけれど、セブルスのために頑張ってあげたのに、懐妊した途端に苦しむわたくしを見捨てるのかと青ざめた顔で涙ぐまれては、やむなく付き添うほかはない。実際、悪阻を和らげてすっきりする水薬を飲ませ、お腹を撫でてあげると、楽になったと喜んで、そのまま眠ってしまうこともある。

ナルシッサの和らいだ寝顔を見ていると、時々レギュラスを思い出した。レギュラスも大好きなシシー姉様の妊娠を知れば喜ぶだろうと思ったり、悪阻を心配するかと思ったり、あまりにその寝顔が愛しく思える時は、僕の中でレギュラスがナルシッサを見守っているように感じることもあった。もしもうこの世にいないのであれば、本で読んだマグルの東洋思想にあるように、49日を過ぎて新しい命としてナルシッサに宿っていればいいと願う。そうすれば二度と寂しい思いをすることもなく、一身にナルシッサの愛を受けることができるだろう。

年の暮れになってナルシッサの悪阻がおさまり、今度こそ僕もデスイーターの活動に復帰しようと思った時、ナルシッサを悲しみが襲った。レギュラスの失踪以来病床についていたレギュラスの父、ナルシッサの伯父と、ナルシッサの父親が相次いで亡くなったのだ。

ブラック家は再び悲しみに包まれ、ようやく安定期に入っていたナルシッサも、せめてもう少し待ってくれれば孫の顔を見てもらえたのにと悲嘆にくれて寝込んでしまった。妊娠中の強いストレスはどんな大事につながるかわからない。僕も心配で目が離せなかったし、妹の見舞いに立ち寄ったベラトリックスも、付き添う僕に暴言を吐くことはなかった。

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tag : ハリーポッター ルシウス ナルシッサ セブルス

セブルスとルシウスの物語(43)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


闇陣営の中でレギュラスの失踪が逃亡として収束した後、ルシウスベラトリックスは、身内として万一にもダークロードに疑いの目を向けられぬように、そして他のデスイーターに軽く見られぬように、より一層の忠誠と貢献を示すべきだということで意見が一致したらしい。ルシウスは率先して襲撃に参加するようになり、魔法薬の調合がひと段落ついた僕も同じように復帰した。

タイミング的にも、以前からの抵抗者への制裁や見せしめ的な襲撃にくわえ、敵方のスパイや情報提供者、重要人物などを粛清する計画も始まって襲撃件数が増えた一方、闇祓いや協力する民間の者たちの増強によりデスイーター側の重傷者が増えて、人員が不足気味だったという事情もある。

実際、襲撃に行ってみると、僕が初めて加わった頃に比べ、闘いは格段に厳しくなっていた。以前の、デスイーター側が早々に勝利を決めて、あとは勢いにまかせて倒れた敵をいたぶっていた襲撃が、牧歌的だったと思えるほどだ。今回は襲撃をかけるや否や、どこからともなく闇祓いや民間の反撃者が現れて、彼らがまた恐ろしく手ごわかった。クルーシオやアヴァダケダブラの禁じられた呪文、他にも受ければ重傷となりかねない様々な得意技らしき術が、敵と味方の双方から飛び交うのだ。

僕は初め、強い攻撃をかけるのに、ためらいを感じていた。レギュラスが、あんなに痛めつけることはないんじゃないか、襲撃で死者が出たかもしれないし、その人の家族が悲しんだかもしれないと言っていた言葉が、頭に残っていたからだ。他の方法があるんじゃないかと。

でも、そんな一瞬の迷いで杖が乱れたのか、放った術は撥ね返されて、僕の体は激しく壁に叩きつけられた。倒れた僕に容赦なく放たれるクルーシオやら何やらを防衛呪文でかろうじて防ぎながら、体勢を立て直し攻撃を加える頃には、もう何も構っていられなかった。ただひたすら術に集中し、力の限り呪文を叫ぶ。向かい来る攻撃をかわし、傷ついた仲間がいれば、かばいあってまた術を放つ。劣勢となった敵を追い詰めながらも、背後からの反撃や、切羽詰まった味方が盲めっぽう放つ術にさえ、気を抜かぬ集中力がなければ怪我を負う。

闘いが始まってしまえば、正義も容赦も同情も、入る余地はないのだ。ただ、自分と仲間の身を守り、敵を倒す。わずかな迷いやためらいが命の危険に直結する。闘いは、そういうものになっていた。

僕たちはなんとか闇祓いを打ち返し、倒れている敵などかまう間もなく、闇の印を空に放って早々に撤退した。逃げた闇祓いが仲間を増やして再度反撃をかけるのを恐れたからだ。闇祓いたちの力の分散を狙って襲撃は数か所で行われたのだが、打ち上げの場所に戻ってみれば、各地から戻って来るデスイーターには怪我人が続出していた。

それでも今回の襲撃は、成功と言えるらしい。仲間たちに死者も捕らわれる者もなく、標的に大きな打撃を与えられたのだそうだ。

安全な場所に戻ってみれば、あの場所で身動きもせず倒れていた敵の中に死者はいなかったのかと気にかける余裕もできたけど、肩から腰までざっくりと切り裂かれ、倒れこむようにたどり着く仲間を見ては、敵に対する怒りがこみ上げる。敵を呪い、出来る限りの治癒を試みるしかない。

やがてダークロードが皆の健闘を称えて勝利宣言をし、こんな争いに早く決着をつけ、我らが目指す世を実現するのだと檄を飛ばすと、集まった者たちから歓声が上がった。それに続くパーティでは、次に闇祓いの誰それに会ったら叩きのめしてやるとか、アヴァダの一発で仕留めるのでは物足りないとか、物騒な会話ばかりが声高に交わされている。一方で、声をひそめて負傷で闘いに復帰できぬ仲間の近況を伝えあったり、自身の癒えぬ傷の悩みを話す者もいた。

こんな襲撃が何度か続き、何度目かの時にルシウスが怪我をした。術に飛ばされた時に何かにあたって切れただけでたいしたことではないとルシウスは言ったけれど、右肩から肘にかけての痛々しい傷に、僕は震えあがった。今回は軽傷で済んだけど、いつどんな重傷を負うかもしれないのだ。レギュラスの失踪のあとで、身近な人の安否には前にも増して神経質にならずにいられない。必死の闘いが続く襲撃で、僕は片時もルシウスの傍を離れないようにした。気づいたルシウスは迷惑がっていたけれど。

同時に、僕は効果的な治癒魔法の勉強をし、襲撃時には使えそうな魔法薬をローブに忍ばせて出かけるようになった。ルシウスの怪我に備えてのことだったけれど、実際に闘いで傷を負う仲間がいれば、誰彼となく手当てすることになる。いつの間にか、打ち上げ会場に着くと負傷者の手当てをするのが僕の役割になっていた。負傷者は聖マンゴ病院で治療を受けることもできるのだけど、度重なれば怪しまれてしまう。デスイーターの正体を暴かれることを恐れ、余程のことがない限り病院の治癒を受けられない状況の中で、僕の応急処置は重宝された。

そのうち、幹部の集まりの際に、僕はダークロードから、襲撃に出るのは控え、負傷者の治癒に備えて待機するよう命じられた。怪我の治癒が早ければ、それだけ早く襲撃に復帰できる。敵数も標的も増えたこの時期は、怪我の治癒のために休む期間を短くすることも、人員の確保に大切なことだと言うのだ。

同時に、敵の反撃を抑えたり負傷者を守るための煙幕のようなものが開発できないかとも相談された。ダークロードのイメージするものは、煙で視界を遮るだけの煙幕ではなく、デスイーターだけが通過でき、敵は通れないようなものだ。煙幕を張った内部で標的だけを狙うことができれば、ダメージの大きい闇祓いたちとの闘いを避けられるし、撤退時の追撃を防ぐにも有効なはずだと言う。

僕は襲撃後の治癒も煙幕の開発も喜んでするつもりだけど、ルシウスが危険な襲撃に行くのに同行できなくなるのは不安でならない。ルシウスにそう訴えると、心配性なヤツだと面倒そうに言いながらも、ダークロードに何事か話しに行った。どんな話をしているのかわからないまま見ていたら、2人で顔を会わせて笑ったかと思うと、ダークロードが大きくうなづいてルシウスの肩を叩いていた。ルシウスは戻って来て、僕の耳元に口を寄せ、おまえが心配するから私も襲撃にはあまり出ないですむよう話してやったと言う。危険な時期の襲撃など、行きたい者に任せておけばよいのだと。

僕もほっとして2人で帰ろうとすると、後ろから呼びとめられた。振り向くと、レギュラスの一件で親しみの増した感があったベラトリックスが、肩をそびやかして立っていた。

「ルシウス、スネイプ、難を逃れるずる賢いやつらだ!」

「これはベラトリックス、何のことかね?」

「ルシウス、わたしは聞いておったぞ。危険な襲撃を逃れようと、せこいことをする。スネイプ!おまえは恥ずかしくないのか?仲間たちが命がけで闘うなか、男のくせにチマチマと看護婦の真似事をして我が君の目にとまるとは。」

ひどい言いがかりだ。負傷者の手当ては重要だとダークロードが認めていたじゃないか。言い返そうとしてとっさに口が動かないうちに、ルシウスが答えていた。

「男のくせにと言うが、ベラトリックス、唯一の女である君がそのような気配りをしていれば、ダークロードの目にとまったのはセブルスではなく君だったのではないかね?お目にとまれず残念だったな。」

「うるさいルシウス。それではスネイプは仲間たちが命をはって闘う間、ぬくぬくとたき火でもしておればよかろう。それでルシウス、おまえは何だ?なぜ襲撃に出ぬ?我が陣営が苦戦している時こそ、日頃のリーダー面を生かして先頭切って闘うべきではないか?」

ベラトリックス、このような時こそ、個別の襲撃云々でなく、陣営皆の士気を高めることが重要なのだ。私は我が君から、全体を俯瞰して戦術を練る能力を買われているのだ。」

「皆の士気を高めるだと?そのために襲撃を免れて、おまえが何をするというのだ?」

「わからんかね?ロイヤルベビーの誕生だ。マルフォイ・ブラックという名門貴族の次世代誕生こそ、純血魔法族の未来を描く象徴となる。明るいニュースがあれば皆の士気も上がるとダークロードもおっしゃった。私が夜ごと襲撃に出かけていてはそれも望めぬ。もっとも、君のところもそれに相応しい名門ではあるが、君は夜ごと我が君のもとに侍り、杖を振り回して暴れることを望んでいるから難しいであろう。だから私の肩に期待が圧し掛かるのだ。」

「な、、、何と厚かましいことを。そのようなことを我が君に申し出ておったのか。」

口達者な2人が繰り広げる決闘にも等しい応酬を、僕は口をはさむ気にもなれず眺めていたのだけれど、ルシウスがダークロードにそんな話をしていたとは、ベラトリックス同様唖然とする思いだった。しかもルシウスの場合はそれで話が通るのだ。呆れたあまり一瞬たじろいだベラトリックスは、素早く体勢を立て直して反撃に出た。

「ルシウス、我が妹という最も尊き血筋の妻を得ながら、半年近くも子を作れぬ者が今さら何を言う。おまえを可愛がってやった時にはよい男に育ったものだと思ったが、」

ルシウスがおもむろ顔をしかめた。え、この人たちはまさかと思う間もなく、言葉を切ったベラトリックスは値踏みするような目で僕をじろりと睨んだ。

「このような冴えない小僧にかまけておるうちに、」

ベラトリックスは見下すような視線をルシウスに戻した。もちろん僕は冴えない小僧だと思う。

「無駄玉を打ち過ぎて、子種が腐ったのではないか?」

僕は、絶句するルシウスを、初めて見た。舌戦を制したベラトリックスは、黒髪をなびかせて意気揚々と去っていった。


それからルシウスは、ナルシッサにかまいきりになった。レギュラスの失踪からまだ立ち直れないナルシッサの気を引き立てるように、買い物に誘い出したり、ダイニングルームを華やかに飾って2人で夕食をとったりする。初めは気乗りしないようだったナルシッサも、徐々に明るさを取り戻していった。ルシウスは目標を持ってその気になれば、いくらでもまめになれるし、細やかな気配りもできるのだ。

ナルシッサのためにはよいことだと思いつつ、ルシウスが夜中にこっそり部屋に来ることもなくなり、僕はまた物寂しい気分で夜を過ごすようになった。仲睦まじい2人のことも、ベラトリックスとルシウスの舌戦のことも、レギュラスと話せたらどんなに気が紛れるかと寂しさが増し、気を取り直そうと煙幕の開発に取り組む。

ベラトリックスにはたき火でもたいておればよいなどと罵倒されたけど、ダークロードの望む煙幕は、たき火で上がる煙というわけではない。魔法薬の得意な僕に命じたのだから、ダークロードも爆薬のようなものを考えたのかもしれないけど、むしろプロテゴ(楯の呪文)が作り出す透明なバリアに煙の目隠しをつけて敵を撹乱するイメージだと思う。

何人もの強力な闇祓いの攻撃に耐えうるためには、楯の呪文のうちでも最強のものをベースにすべきだろうし、さらにデスイーターだけが通り抜けられるような、無言呪文を創作しなければならない。言葉を発する呪文では、すぐに敵にも使われてしまう。

大まかに考えただけでも、容易ではなかった。けれど、これは味方も敵も犠牲を抑える、レギュラスの意に沿う戦法でもある。どうせルシウスにもナルシッサにもかまってもらえないのだし、少しでも早く作り出せばダークロードにも評価されるのだと、夜昼かまわず熱心に取り組んだ。

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セブルスとルシウスの物語(42)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


そのあとは、大騒ぎになった。ブラック家の人たちはレギュラスの行方を求め、親戚や知る限りの友達に尋ねまわった。ホグワーツにも捜索を頼み、魔法省に届け出て身元不明の事故も調べた。行きつけの店や別荘や、すでに廃墟となった所有の農園まで、思い当たるすべて八方手を尽くして探しても何の手がかりもないという。僕はナルシッサに、外出時にいつも一緒にいた屋敷妖精はどうしているのかとそれとなく尋ね、ブラック家であらためて家と庭のすみずみまで探したけれど、クリーチャーも見つからなかった。

ルシウスと僕、それに従姉のベラトリックスやその夫のロドルファスは、手分けしてデスイーターの仲間たちに聞いてみた。でも最も親しい4人以上にレギュラスの手掛かりを知る者などいるはずもない。そもそもホグワーツにいたレギュラスは、僕たちを除くデスイーターとたいした付き合いはなかった。心配の言葉と励まし、それにブラック家の御曹司の失踪に対する好奇心以外、得られるものはなかった。

レギュラスの母親は半狂乱となり、彼女を宥めているかに見えた父親のほうは、発作を起こして寝込んでしまったと言う。マルフォイ邸に戻ったナルシッサは沈みこみ、ベラトリックスは苛立ったり嘆いたりと表現は違っても、家族皆が突然のレギュラスの失踪に、混乱し心を痛めていた。

皆は知らないけれど、僕はレギュラスが自分の意思でこんな事態を招く恐れのあることをしたのだと知っている。これほどに愛されて、何の問題もなさそうに見えたレギュラスが、なぜ、何をしたのだろう?僕はたまらないもどかしさを抑え込み、口を閉ざし、心を閉じていた。レギュラスが何度も繰り返し言い残した言葉に、そむくわけにはいかない。

ルシウスとレストレンジ夫妻が相談し、ダークロードに話すことにした。デスイーターたちに尋ねて回った以上ダークロードの耳に入るのは近いから、それなら親族の自分たちが報告するほうがよいと判断したのだ。それに、もしかしたらダークロードから密命を受けて姿を消しているのではないかという、一縷の希望もあった。僕も加わり、4人でダークロードに拝謁した。

「我が君、レギュラスの行方がわからなくなりました。突然姿が見えなくなり、親族皆で探しているのですが。」

「ルシウス、余もきいておる。心配なことだ。」

「我が君、我が従弟レギュラスは、まだ幼き故いたらぬところはありますが、勝手なことをする者ではございません。おそれながら、秘密の任務を下されてはおりませんでしょうか?」

「ベラトリックス、残念だが、余は密命を与えておらぬ。皆心配なことであろう。召還すれば現れるのではないか?」

ダークロードはベラトリックスの左腕の闇の印に触れ、デスイーターを招集した。

「レギュラスは来ておるか?おるならば前に出よ。」

進み出る者はなく、僕たち4人は顔を見合わせため息をつく。

「レギュラスの行方を知る者、最近会った者はおらぬか?」

ダークロードが再度呼びかけたけれど、何の声も上がらない。

「今日はこれだけだ。解散せよ。」

デスイーターたちは、何事があったのかというざわめきを残して姿を消した。

「レギュラスはほんとうに消えてしまったようだ。困ったことになった。状況を詳しく申してみよ。」

ダークロードに言われて、ルシウスとベアトリックスがここ数日の状況を説明した。といっても、イースター休暇2日目の朝から、家にいたはずのレギュラスの姿が消えてしまい、どこを探しても見つからないということだけだ。説明を聞き終えて、ダークロードは僕のほうに目を向けた。

セブルス、おまえはレギュラスと親しかったな。同じ時に闇の印を受け、なにかと世話をしてやっていたであろう。最後に会ったのはいつか?どのような様子であったのか、申せ?」

「我が君、私が最後にレギュラスに会いましたのは、ホグワーツの外出日でした。ひと月半ほど前になります。ホグズミードで少し話しましたが元気そうで、ダンブルドアの動向を探ると張り切っておりました。」

「変わった様子は見受けられなかったということだな?」

「その通りでございます。」

ダークロードは僕の目を少し見た後、しばらく様子を見ようと言って解散となった。屋敷に戻ると激しく疲れが出た。開心術の名手で、嘘を見抜くといわれるダークロードの前で、閉心術を使い嘘をついたのだ。ルシウスの前でさえ心を閉じていた。誰にも疑われた気配はなかったと思うけれど、こんなこと必要なのだろうか。ダークロードを含め、会う人皆がレギュラスを心配していた。

ダークロードがレギュラスに密命を下していないと言った時には、ホグズミードでレギュラスが密命を受けたと嬉しそうに言っていたことを思い出し、閉心術の妨げにならぬようその時は考えなかったけれど、今考えてみてももうずいぶんと前のことだ。危険はないと言って心配する僕を笑っていたくらいだから、失踪とは関わりがないということなのだろう。

こんな事態を予想して、こうなっては戻ろうにも容易でないとわかっていただろうに、それでもしなければならないこととは、どんなことなのか。レギュラスはナルシッサを守るためなら何でもするだろうが、ナルシッサの身に危機が迫っていたとは思えない。しかも、そういえばあの夜寝る前に、私にナルシッサを守ってと念を押していた。そして、おまえが救い出すまではだろうとの問いかけに返事をしなかった。もう自分が彼女を救い出す日は来ないと思っていたのだろうか。

結婚後も僕との関係を断ち切らぬルシウスを卑怯だと断じ、レギュラスがナルシッサを救い出してルシウスと僕が2人で幸せに暮らせばいいと夢のようなことを言っていたことを思い出す。そんな日はもう来ないのかと思い、同時に、レギュラスは卑怯な行いを許さない正義感を持っていたのだとも思う。何か、許せぬほどの不正を見て、命がけでそれを正そうとでも思ったのか?

ホグズミードで会った日の会話も振り返ってみた。あの日レギュラスは、ホグワーツの生徒の家族が遺体となって発見され、それがデスイーターの仕業だと言う人がいると悩みを口にした。闇陣営のとる方法に疑問を呈し、襲撃についても批判的だったと思う。レギュラスは、ホグワーツという仲間たちと離れた場所から闇陣営の活動を見ていて、、、まさか、裏切ったのだろうか?もしダークロードを裏切ろうとしていたのなら、あの夜の尋常でない苦悩や怯えもわかる。裏切りは死をもって償うのがデスイーターの掟だ。知られればナルシッサを含む家族みなが危険にさらされるおそれもある。

だけど。あの日も結局は、ダークロードは素晴らしい方だと言っていたし、目指す純血支配の社会を早く実現すれば問題はないのだと言っていた。レギュラスが現れた夜から2日過ぎた今日のダークロードの様子を見ても、レギュラスがダークロードに対して何かした気配はなかった。ダークロードはむしろ心配して、レギュラスを探すためにデスイーターたちを召還することまでしてくれたのだ。それに何と言ってもレギュラスは、ダークロードを崇拝していた。裏切るはずがない。

どれだけ考えても、レギュラスが何をしようとしていたのかわからない。ただ、レギュラスを止めることができる者がいたとしたら、あの夜会った僕だけだったのだと悔いがこみ上げる。尋常でないレギュラスを目の当たりにしながら、追及を怠り、うやむやにとどめてしまった。体を交わし、手を握ったような気になって、油断してしまったのだ。レギュラスは、初めての行為を終えて、他ならぬ僕の腕の中で、最後の決意を固めていたのだろうに・・

今夜のこと、秘密だけど忘れないでね。こうしてもらえて、ボクすごく嬉しかった。

レギュラスの声が聞こえる気がした。かさついた唇や、一気に熱を増したしなやかにうねる体の感触を思う。この腕の中にあったのに。なんとしても止めるべきだった。握った手を放してはならなかったのだ。けれど、どんなに悔いても、何を思っても、手がかりは得られなかった。

他にできることもなく、その日から僕は食い入るように新聞を読むようになった。レギュラスの消息を求め、レギュラスに関わりそうな記事がないかと隅々まで目を凝らす。そうしてみて、これまで僕は新聞などほとんど読んだことがなかったと気がついた。世の動きや事件など、僕には関係ないと思っていたのだ。僕は子供の頃から世界に見捨てられ、隔てられているのだとずっと思っていたし、ここ1年ほどは、ルシウスを通じて外の世界とつながり、ルシウスを通じて見える世が、すべてだと思っていた。

新聞には様々なことが綴られていた。レギュラスのような突然の失踪や、身元のわからぬ遺体発見という事件は、珍しくないようだった。その記事の一つ一つに、僕たちのように必死で家族や友達の消息を求める者がいるのだろうかと思い、僕は初めて、外の世界の誰とも知らぬ人たちと、同じ悲しみを共有することがあるのだと感じた。

数日後、誰もが口に出さないけれど、もしかしたらもう生きてはいないのではないかと絶望感が漂い出した頃、新聞にレギュラスの記事が出た。最も由緒あるブラック家の次男失踪と題されたその記事は、ブラック家の歴史や心配するホグワーツの友達の言葉も載せた大きな扱いだった。少し甘ったれたかわいいレギュラスの顔写真が笑うのを見て、胸がつぶれそうになる。

夕方、ルシウスが難しい顔をして僕の部屋に来た。

「セヴィ、レギュラスのことだが。闇陣営を裏切って逃亡し、デスイーターに殺されたということになった。」

「まさか、そんなこと、、」

驚いてとっさに言葉が続かない。ルシウスは眉を寄せて僕を見ている。

「レギュラスはダークロードを崇拝していた。裏切るなんてありえない。それに、逃げるような卑怯者じゃない!」

「それはわかっている。行方はわからないのだ。だが今日レギュラスの記事が新聞に出ただろう?レギュラスの失踪が公けになった。闇陣営の中では、デスイーターが勝手に消えて、そのままではすまぬのだ。事故か何かで遺体が出たのでもない限り、姿を消したということは、逃げたか、裏切ったか、あるいは敵に捕えられているのかだ。いずれであっても、ダークロードにしてみれば放置できぬ。デスイーターに対して示しがつかぬからな。こんなことは許されぬと示さねばならぬのだ。ましてブラックという純血の象徴のような家の者であれば。」

「そんなことにされて、ブラック家の人たちは黙っているのですか?」

「ブラック家は関わりないし、一般に公表されることでもない。デスイーターがそう信じればよいということなのだ。ダークロードとしては、自分が把握できぬデスイーターの動きなどないと示して、終わりにしたいのだ。」

「だけどそれではレギュラスの行方は?それに名誉だって。裏切り者の逃亡者と言われるなんて。」

「セヴィ、おまえはレギュラスと仲がよかったから割り切れぬ気持ちはわかるが、異を唱えてはならぬ。そんなことをすれば、おまえまの身にも危険が及ぶ。それに、ダークロードはどうせ行方を知らぬのだ。レギュラスは逃げるような卑怯者ではないと訴えて出たところで、消息の手がかりは得られない。そればかりか、騒ぎ立てれば、もしどこかに身をひそめているならレギュラスの身の危険も増す。騒がれればダークロードも何としても捜し出し、償わせたと示さねばならぬことになる。裏切り者には死をが掟なのだから。レギュラスはさほど内部の事情に詳しくない子供だし、実際に裏切るほど気骨ある者とも思っていないから、ダークロードもうやむやのまま話を終結させると言っているのだ。有力な我らに配慮した、いわば穏便な措置といえる。静かに従うのが得策だ。ブラック家の親たちが心配して魔法省をせっつく分にはかまわないだろう。」

言われてみればその通りかもしれない。ルシウスはいつだって合理的だ。頭では理解できるけれど・・・。収まらない感情が顔に出ていたようだ。

「セヴィ、私だって心配している。レギュラスは義理の従弟なのだ。だが身内だからこそ、それに私が引き合わせてレギュラスをデスイーターにしたからこそ、むやみな動きは出来ぬ。ベラトリックスやロドルファスも同じで、レギュラスのことには今後、陣営内では触れぬだろう。親しかったおまえも身内同然と思われているのだから、疑いを持たれるような言動は慎むのだ。よいな?」

僕がやむなくうなづくと。

「わかったなら、セヴィ、部屋に行ってナルシッサを慰めてやってくれ。私が今のような説明をすればするほど、泣いてしまってな。レギュラスがかわいそうだ、あんなにダークロードを敬愛していたのに、切って捨てるような話ではないかと。しまいには、自分の従弟のことなどどうでもよいと思っているのだと、私のことまで責めて泣きやまぬ。セヴィ、私の説明は理解できぬものか?ほかに何ができるというのか。」

ルシウスを残し、ナルシッサの部屋に向かった。シシー姉様のこと、ずっと守ってねとレギュラスは言い残した。もうレギュラスがナルシッサを救い出す日は来ないと思わねばならないのなら、僕がレギュラスにしてやれるのはそれだけなのだ。

ナルシッサはソファにうずくまって泣いていた。

「ナルシッサ」

涙に濡れた手を握る。

セブルス

しばらくそうして、すすり泣くナルシッサの足元に座っていた。長い時間が過ぎて、ようやくナルシッサが顔を上げ、僕の目を見て言う。

セブルス、レギュラスはもう戻らないのかしら?どこにいるのかしら?、、、無事なのかしら?」

「わかりません。レギュラスがどこに行ってしまったのか、どうしてこんなことになったのか、誰も知らないのです。」

「1週間もたつのに、どこを探しても、誰にきいても、レギュラスはいない。家族に心配をかけるようなことをする子ではないのよ。伯母さまたちにも、わたくしにも、あなたにも何も連絡がないなんて。あの子はもう、、あの子は、、、」

こわくて口にしたくないけれど、誰もがその不安に打ちのめされている。皆に愛されていたレギュラスに、消えなければならない理由などないのだから。生きているならなぜ現れないのかと思い、それならば死んでしまったのかと考えずにはいられない。

「無事を祈っていますが、僕にはわかりません。でも一つだけ言えるのは、レギュラスはあなたがこんなふうに悲しむのを望んでいないということです。レギュラスはあなたの幸せを誰よりも願っている。」

「あの子はまだ18になったばかりだとういうのに。ああセブルス、レギュラスはまだ18歳なの。恋をしたり、夢を見たり、楽しいことがいっぱいの年頃なのよ。こんなふうに突然消えてしまうなんて。わたくしの結婚の前に2人で話した時、ほら、レギュラスに服を仕立ててあげたことがあったでしょう?あの時レギュラスに、あなたにも恋人はいないのと聞いたら、そんな人いないって。あの子は恋の喜びも、愛し合う喜びも知らないまま、、死んでしまったのかしら。」

ナルシッサの目にまた涙が浮かぶ。レギュラスの言葉を思い出した。『セブルス、ボク、キスしたこともないんだ。抱き合ったこともない。このまま、、』あの時は続きを待って、このまま何だというのかと考えたものだけれど、抱きあったこともないままに消えなければならないのかと思っていたのか?それなら僕はせめてものことができたんだろうか?

「ナルシッサ、レギュラスには好きな人がいました。その人を心から愛していた。人を愛す喜びは知っていたと思います。」

慰めになったのかわからないけど、ナルシッサは涙を拭いて顔を上げた。

闇陣営の中では、ルシウスの話し通り、レギュラスは逃亡して殺害されたのだということになった。ダークロードが正式に発表したわけではなく、どこからともなくまことしやかにその話は広がった。最も由緒ある純血ブラック家のレギュラスが起こした事件に、デスイーターたちは初めのうちこそ騒然としていたけれど、ルシウスの冷やかな視線とベラトリックスの激しい視線に抑えられて口をつぐみ、日が過ぎるにつれて、レギュラスのことは話題に上らなくなっていった。僕も、仲間に何を聞かれようと、知らぬを通した。

皆が忘れていっても、家族の痛みが薄れることはない。レギュラスの母親は半狂乱となり、血眼になって探し続けているという。ナルシッサも僕も、レギュラスのことを思わずにはいられない。ルシウスに言われるまでもなく、レギュラスに託された思いに従い、僕はナルシッサの様子を気にかけるようにしていた。

ナルシッサは僕を相手に、レギュラスの話をしたがった。幼い頃、男の子なのに飽きることなく自分と一緒にママゴト遊びをしていたのだとか、ホグワーツの休暇に帰るといつも飛びつくように迎えに出たのだとか、親に怒られると自分の所に来て泣いたものだとか、話は尽きることがない。懐かしそうに、時々涙を拭いながら、ナルシッサは話し続ける。僕は聞くばかりだったけれど、聞きながらレギュラスは産まれた時からずっと18年間、いなくなるまでナルシッサと一緒に暮らしたのだと改めて思う。

ナルシッサは、僕と話しているとレギュラスの思い出が尽きることなく浮かんでくるのだと言った。おかしなものねとわずかに笑みを見せて、それから少しずつ、懐かしそうに笑いながら思い出を語ることもできるようになっていった。髪の色も瞳の色も、外貌は似ていないのに、僕にはナルシッサにレギュラスが重なって見えることがある。彼女にはレギュラスの思いがすべて詰まっているのだから。ナルシッサが笑えばレギュラスが笑ったように思え、ナルシッサが悲しめばレギュラスが悲しむと思う。

レギュラスの無事を祈りながら、日が経つにつれ、もう生きてはいないのかもしれないとあきらめが増してきた。レギュラスは何事かを決意し、命がけでそれを為し、戻れなかったのだ。理想主義で正義感の強いレギュラスのことだから、きっと正しいことをしたのだと思う。僕はレギュラスとの約束通り、あの夜の秘密と保ち、ナルシッサを守る。そう決めて日を過ごす。心配する気持ちや悲しみが変わることはなくても、人はそれを抱えて生きることに少しずつ慣れてゆく。それでも一人机に向かう夜、振り返ればレギュラスがそこにいるのではないかと思いたくなるけれど。

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セブルスとルシウスの物語(41)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


イースター休暇の初めの日、休みに入ればすぐ来ると思っていたレギュラスが姿を現さないまま夜になった。ルシウスとナルシッサはもう寝室で休んでいる頃だ。夜になると物寂しくなるのにもいい加減慣れなければと思いながら、僕は一人、部屋で机に向かって本を読んでいた。

夜も遅くなった頃、突然の気配に振り向くと、蒼ざめたレギュラスと屋敷妖精のクリーチャーが立っていた。

レギュラス、どうしたんだ、こんな夜中に。」

セブルス、静かにして。お願い。」

驚いて問いかける僕を、レギュラスは小声で押しとどめた。

「今夜ボクが来たこと、気づかれたくないんだ。」

「ルシウスやナルシッサに?」

声をひそめて尋ねると、レギュラスはうなづいて、ため息をつきながら近寄って来た。

「ほんとは来るべきじゃなかったんだけど。」

近付いて来たレギュラスは、ずいぶんとやつれていた。痩せこけた頬に、くまに縁取られた目ばかりが大きく見える。

「どうしたんだ?ひどく疲れているようだが、いったい何があったんだ?」

返事はなく、レギュラスは立ちつくしたまま僕から目をそらし、思い詰めたような瞳を見開いてどこか一点を見つめている。僕まで息苦しくなるような緊迫感を和らげようと、ソファに座らせて温かいココアを入れた。

「クリーチャーも飲むか?」

縮こまって立っていた屋敷妖精に声をかけると、レギュラスが気を取り直したように言った。

「ありがとう、セブルス。クリーチャーももらいなさい。」

カップを渡して隣に座ると、レギュラスはココアをすすりながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

「突然部屋に現れて驚いただろうけど、屋敷妖精は防衛呪文のかかった場所にもアパレートできるんだよ。いつもはそんな失礼なことしないけど、今日は他の人と顔を会わせたくなかったから。」

「そんなことはいいが、ナルシッサにも会いたくないのか?ナルシッサも今日はおまえが来ると思って待っていたぞ。」

「シシー姉様は元気?」

「ああ、楽しそうにしている。ついでに言えば、ルシウスも元気だ。」

やつれた顔にわずかに笑みが浮かんだ。

「それはよかった。セブルス、悪いんだけど、ココアを飲み終わったらクリーチャーをどこかに待たせてくれないかな、クローゼットの中とか。」

そのへんに座らせておけばよいと思ったけど、レギュラスの言う通りにしてやることにした。クローゼットの扉をあけると、妖精は丁寧にお辞儀をして空いたカップを返し、クローゼットの隅に小さくなって座った。レギュラスに目で確認して、扉を閉める。レギュラスは空になったカップを握ったまま口を開かない。

「話したくないのなら無理に言わなくていいが、話すことがあるなら聞くし、疲れているならこのまま寝てもいい。ルシウスもナルシッサももう寝ているだろうから、遠慮することはない。泊まってもいいぞ。」

セブルス、ほんとは来るべきじゃなかったんだけど、セブルスの顔を見たくなって、つい来ちゃったんだ。今夜ボクとクリーチャーに会ったこと、絶対誰にも言わないで。知られたらみんな、たいへんなことになる。セブルスなら秘密を守れるよね?」

レギュラスの黒い瞳が、探るように僕を見る。閉心術を使ってでも秘密を守れと言っているのかと思い、同時に思いついて、つたない開心術で心を覗こうと思ったが、気配を察知したのかレギュラスは素早く目を伏せた。

「おまえがそう言うなら、誰にも知られないようにすると約束する。だけど、なぜそんなにも秘密にしなければならないんだ?おまえの様子もおかしくて心配だよ。誰にも言わないから、どうしたのか話してくれないか。」

「セブルス、心配させてごめんね。でもそれは言えないんだ。ただ、ボクにはどうしてもすべきことがあって、そうするしかない。そうするつもりだ。」

日頃の甘ったれた雰囲気を思えば驚くほどの、固い決意を感じさせる強い声だった。もちろん、甘ったれていると言っても、レギュラスはナルシッサと僕のことでルシウスを卑怯だと言いきるまっすぐな強さを持っている。優秀な魔法使いだし、クィディッチでシーカーを務めるほどの勇気も負けん気の強さも持っているのだから、やると決めたらやるのだろうけど。でも何をするというのか?僕が見つめていると、レギュラスは気弱に目を伏せた。

「、、、でもその前にセブルスに会いたくなった。仲良くしてくれたし、いつもかばってくれたし、心配してくれたよね。セブルスと話すと、ボクいつも勇気が出るんだ。」

それは勇気が必要なことなのか?決意したのだろうけれど、今の様子を見れば、苦しみ怯えているようだ。そういえばクリーチャーも怯えているように見えた。いつもはレギュラスの隣で、嬉しそうな顔をして、誇らしげに寄り添っているのに。

「何をするのかわかれば、一緒にやってやる。できることがあれば助けてやるから一人で思い詰めることはないんだぞ。」

僕がそう言うと、レギュラスが顔を崩して抱きついてきた。驚いたけど突き放さなかったのは、レギュラスの崩した顔が、笑おうとしたのに泣きそうになったように見えたからだ。そのままにさせておくと、レギュラスの体が小さく震えているのに気がついて、僕は宥めるように背中を撫でてやった。

「ねえセブルス、こうしてると温かいね。何でもできそうな気もしてくるし、ずっとこうしていたくもなる。すごいな、人の体って。」

なんと答えればよいかわからないから何も言わず、しばらくそうしていると、レギュラスがまた話し始めた。

「セブルス、ボク、キスしたこともないんだ。誰かと抱き合ったこともない。このまま、、、」

このまま何だと言うのだと待っていても何も言わない。今日のレギュラスは思わせぶりなばかりで、対処に困ってしまう。はっきりしたことは何も言わないし、問いには答えず、話は飛ぶのだから、どうすればよいのかさっぱりわからない。こんな時僕にできるのは、黙って待つことだけだ。そうしていると、レギュラスが僕の肩に伏せていた顔を上げて、目を合わせた。そして。

「ねえセブルス、キスしていい?」

一瞬あっけにとられた。あっけにとられたのは、突然だったせいもあるし、レギュラスに性的な欲望が欠片も感じられなかったからだ。

「なぜだ?」

「したことないから。」

答えになっていないと思う。

「なぜ今僕と?おまえはナルシッサが好きなんだろう?」

「だって今シシー姉様はいないじゃないか。セブルス、ボクのこと嫌いなの?ボクは好きだよ。飛びぬけて好きなシシー姉様の次くらいに。」

冗談めかした言い草と裏腹に、僕を見る目は悲しげに見えた。その瞳の奥に何を隠しているのだと詰め寄りたい気持ちでまじまじと顔を見る。間近に見える疲れて荒れた肌。大きなクマと思い詰めた瞳。どうしたのかと心配で、不安すら掻き立てられる。どうしたらよいのだろう?・・・ルシウスならどうするだろう?あの時ルシウスがしてくれたように、手を握るべきなのだろうか?僕たちの間には友情以外の気持ちはないと思うけど、レギュラスは今手を握らなければこのまま消えてゆきそうなはかなさを漂わせている。

「おまえはナルシッサが好きで、僕はルシウスのものなんだ。」

レギュラスがうなづくのを見て、唇を寄せた。冷たくてかさついた唇だった。温めてやりたくて、何度か繰り返す。僕の目の先で、長いまつげが震えていた。腕の中の体に欲望の高まりは感じられなかったけど、そのまま耳元で尋ねてみた。

「寝てみたいのか?一度きりのことだけど。」

レギュラスは一瞬驚いたように目を見張り、僕の背にまわした腕に力を込めてきた。その腕をほどき、ローブを脱がせてベッドに連れてゆく。肌を重ねてしまえば、若い体は熱を帯び昂りを増す。たいした時間もかからず、ともに果てた。後の処理をし、解き放たれて弛緩した体を横たえて、これはいったい何だと思う。思慕でもなく戯れでもなく、むろん同情でもない。ただ願いがあるなら叶えてやりたいと思っただけだ。レギュラスは何を考えているのだろうと思った時、こちらを向いた。今度はほんとうに笑っている。少し照れくさそうな、和らいだ笑顔。

「ありがとう、セブルス。」

「礼を言われることなのか?」

「言いたいんだ。ほんとに感謝してるから。今夜のこと秘密だけど、忘れないでね。こんなつもりで来たわけじゃないけど、こうしてもらえて、すごく嬉しかった。それからさっき言ったこと、絶対に守って。ボクとクリーチャーが今夜ここに来たことを誰にも知られないようにすること。約束だよ。」

「ああ、そうするよ。」

「それから、シシー姉様のこと、ずっと守ってね。」

「おまえが救い出すまでは、だろ?」

レギュラスは曖昧な笑みを浮かべ、僕の胸に顔を埋めた。レギュラスが少し明るくなったことにほっとして、その体を抱き寄せた。

久しぶりの解放感のせいか僕はそのまま眠ってしまい、翌朝目を覚ますとレギュラスの姿は消えていた。念のためクローゼットの中を確認すると、クリーチャーもいない。いったい何だったんだと思いながら、レギュラスが来るのを待って一日が過ぎ、日が暮れる頃には不安でたまらなくなった。

成り行きでおかしなことにはなりそのままになってしまったけれど、部屋に現れたときから様子がおかしかったのだ。結局レギュラスは何をしにきたのか、何をしようとしているのか、何も言わなかった。昨夜のことを初めから繰り返し思い出してみても、レギュラスが何か並みならぬ決意を秘め、それは誰にも知られてはならないと考えていたことしかわからない。来るべきではなかったと言いながら現れたのは、最後の迷いを振り切りたかったのか、励ましがほしかったのか。ほんとはナルシッサに会いたかったんじゃないかと思うけど。

部屋がノックされ、開いたドア口にナルシッサの心配そうな顔を見た瞬間に、絶望的な予感に襲われた。何か起こったのだ、レギュラスに。僕はどんな表情をしていたのだろう。僕を見るナルシッサの顔が泣きそうに歪んだ。

「セブルス、レギュラスがいなくなったらしいの。伯母さまからこちらに来ていないかと尋ねられて。昨日は休暇なのに一日家に居たそうなの。珍しいことだと思っていたら、今朝からずっと姿が見えないというのよ。うちにも来ないしどうしたのかしら?あなたは何かきいている?」

感じていた不安をすべて吐き出したい思いを必死でこらえた。『今夜ボクとクリーチャーが来たことは、絶対誰にも言わないで。知られたらみんな、たいへんなことになる。』今日一日、何度も思い返して意味を求めたレギュラスの言葉を心の中でまた繰り返し、僕は心を閉じた。レギュラスはこうなるとわかっていて、閉心術を使える僕だけに、わずかに心を漏らしたのだ。

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セブルスとルシウスの物語(40)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。


年が明けてまもなく、僕はルシウスとともにダークロードに召喚された。仲間たちの話によると、ルシウスの結婚準備で僕たちが活動から遠ざかっている間に、反対勢力の闇祓いや民間有志らしき魔法使いの数が増えて、ダークロードはいら立っているらしい。こちらが同時多発的に仕掛ける襲撃でも、数か所が反撃にあったり、ダークロード自らが率いた襲撃ですら、激しい逆襲にあって目的を達することなく逃げ帰ることもあったそうだ。

僕たちが行くと、ダークロードはまずマルフォイとブラックの婚姻は純血魔法族の結束の象徴となろうと言ってルシウスの結婚を祝い、本題に入ると苦々しい表情を見せた。

「全体として我らの優勢に変わりはないのだが、最近は反抗勢力の巻き返しも強まっている。闇祓いの数が増えたばかりでなく、こちらの襲撃計画の情報を掴んでいるのではないかと思われる動きもあるのだ。待ち伏せしていたように反撃されることが何度かあった。」

「我が君、それでは誰かが情報を漏らしているということでしょうか?」

「その可能性もある。だが余を欺こうとする者などおらぬだろう。意図的というより、敵に欺かれて知らぬ間に漏らしたり、不用意に酒場などで話すのを盗み聞きされたりしている者があるのではないかと睨んでいる。そしてそのような断片的な情報から我らの計画を洞察できる者が動いているということだ。」

「ではダンブルドアがスパイを放ってこちらの情報を得ていると考えているのですね?」

「その通りだ、ルシウス。余はそう考えている。レギュラスからも最近ダンブルドアは頻繁にホグワーツから姿を消すと報告が入っているから間違いないであろう。それで今日はセブルスを伴ってもらったのだ。」

ダークロードが僕に視線を向けた。

「我が君、私は何をすればよいのでしょうか?」

セブルス、真実薬を調合せよ。捕えた敵は拷問してもなかなか口を割らぬし、スパイやスパイに情報を流していると目される者を調べようにも、襲撃すればいちいち反撃されて、手間取ってならぬ。密かに捕えて真実薬を使えば、手っ取り早く片がつく。」

「我が君、真実薬の調合は喜んでいたします。しかし申し上げにくいのですが」

「時間がかかると言うのであろう?たしか数か月かかると学んだ覚えがある。余も魔法薬学は得意だったのだ。だがセブルス、余はそんなには待てぬぞ。何かよい手は考えられぬか?」

「ひと月半ほどあればきちんとした真実薬がつくれます。やってみたことがないのでたしかとは言えませんが、精度の劣るものであれば3週間ほどでできるのではないかと思います。」

「それは素晴らしい。精度など多少落ちても早いに越したことはない。なぜそのようなことができるのだ?」

「数か月というのは、必要な植物の1つが適切な条件で育つのに時間がかかるからなのですが、幸いすでにそれはある程度育てております。他の材料も、乾燥させたり発酵させたりと時間のかかる物があるのですが、促成魔法や強化剤を使うことで短縮できるでしょう。さらに、煮込んでは冷やしたり漉したりを繰り返す過程を、鍋の火力の調整や冷却法の工夫で縮められます。ただ、それらにより精度が落ちてしまうのではないかと思うのですが。」

「そのような方法があるとは。書物でも読んだことがないが、自分で研究したのか、セブルス?」

「はい。」

「さすが余が見込んだだけのことはある。最近はいら立つことばかりだったが、久しぶりに気分のよいことよ。説明も過不足なくわかりやすかったぞ。セブルスは魔法薬学の教授にもなれそうだな。そう思わぬか、ルシウス?」

「我が君、セブルスは優秀な上に研究熱心なのです。あれこれと雑事に追われる中でも努力を怠らぬから、いざという時に力を発揮できるのです。」

ダークロードはルシウスの言葉にうなづいて、機嫌良さそうに僕を見た。

「セブルス、おまえは実に役に立つ者だ。闇の魔術もすぐれていたな。この任務のために襲撃にあまり出られぬのは歯がゆいであろう。かわりに、余が幹部に自ら闇の魔術を教える集まりに加わることを許可する。どうだ?」

「ありがとうございます、我が君。光栄に存じます。」

「当面は真実薬の調合が最優先だが、そちらに支障がなければルシウスとともに次の集まりに来るがよい。その場で重要な秘密工作を遂行している者たちと顔をあわせ、そちらへの支援もできるであろう。影であれこれと企むダンブルドアにくわえて、魔法省ではクラウチが次期大臣を狙って我らへの締め付けを強めている。そのせいで、魔法省内部に潜入させた陣営の者も身動きが取りづらくなり、こちらに従わせていた者たちが寝返っている気配があるのだ。確かめ従わせるのに、変身薬や幻覚薬が役に立つであろう。セブルスは彼らと話し、そちらも抜かりなく対応せよ。」

「かしこまりました。」

「ルシウスも目を配ってやってくれ。」

「わかりました。我が君、お任せください。」

ダークロードの元を辞すと、ルシウスは僕の肩を抱き、嬉しそうに言う。

「さすが私のセヴィだ。ダークロードからもずいぶんと期待されているようではないか。私も鼻が高い。おまえの年で幹部会に招かれるとは。招かれている者は皆、私よりも年上の者ばかりなのだぞ。」

「僕は魔法薬をつくるだけだから。」

僕はもちろんダークロードに期待されるのも嬉しいけど、ほんとはルシウスにこんなふうに喜んでもらえることのほうがずっと嬉しい。

「だけど、一緒に襲撃に行けなくなりそうだ。」

「襲撃など加わらなくともよい。襲撃しては反撃されるのを繰り返し、次から次へと標的が現れるモグラたたきのような襲撃など、他の血気盛んな者に任せておけばよいのだ。おまえだって暴れるだけの襲撃など、さほど好んではいなかったではないか。それに最近はこちらでも怪我人が多いようだ。クラウチの後押しもあって闇祓い局のムーディなどはクルーシオやアヴァダを使いまくるし、新しく加わった闇祓いや民間の者たちもなかなか手ごわいらしい。ダークロードの攻撃さえかわしたことがあるというのだからな。そんな危険な襲撃など、おまえが行くことはない。」

「でもあなたが行くのなら、僕も一緒に行って闘いたい。そんな危険な襲撃に、、」

「おまえは私のことが心配なのか?可愛いことを言うものだ。おまえが心配だというなら、私も襲撃は控えておくことにしよう。ダークロードに言えば、どうにでもできるのだ。そんなことより、ダークロードの闇の魔術の指導を受けられるのは嬉しいだろう?」

「うん。わくわくする。どんな人たちが来るの?」

「いつも同じというわけではないが、魔法省のヤクスリーとか、大陸魔法界との繋ぎ役のイゴール・カルカロフとか、ああ、もちろんベラトリックスとレストレンジ兄弟も来ている。」

「ベラトリックス以外は、知らない人ばかりだ。」

「レストレンジ兄弟は顔を見ればわかるだろう。ヤクスリーもイゴールもそれなりに知恵の働く者たちだ。」


それから僕は真実薬の調合に没頭した。きちんとした製法のものと、促成のものを並行してつくりながら、もっと量を求められる場合に備えて材料植物の栽培も始めた。繊細な魔法薬をつくるには原料の出来も大事だから、植物の栽培も気が抜けない。もちろん、重要な魔法薬をつくる時は解毒剤も調合することにしている。今回は精度の低い真実薬にあわせた解毒剤の工夫も必要だ。

調合のスケジュールを調整して幹部の集まりに出ると、おしえられた術の鍛錬もしたくなるし、新顔だということで付き合いも生じて、なんだかすごく忙しくなった。その最中にナルシッサに買い物に誘われたりすると発狂しそうになるけれど、ナルシッサを大切にすることはもはや僕の中で学校の規則に等しいものになっていたから、できるだけ迷惑な素振りをあらわさぬように付き従う。早く切り上げる要領も得てきた。要するに、ナルシッサが気に入ったらしい物を、それはよいと心から思っているように賛同してやればいいのだ。

完成した真実薬をダークロードに渡すと、それが具体的にどう使われたのかは知らないけど、後日出来を褒められて、足りなくなりそうだから同じくらいの量をまた作るよう命じられた。備えて準備はしていたから、すぐに取り掛かる。そんなふうに多忙を極めるうちに、ホグワーツの外出日になり、ホグズミードでレギュラスに会った。

まずは最近のナルシッサの様子を話してやるとレギュラスはほっとした顔をし、僕の新しい任務や幹部の集まりの話をすると、すごいなと感心したように聞いていた。ダンブルドアに関するレギュラスからの情報についてダークロードが言及していたと伝えてやると、少し誇らしげな顔をして、それからふとうつむいて黙りこんだ。それを見て心配になって尋ねてみる。

「ダンブルドアの情勢を知るのは重要なことのようだ。ダークロードもおまえの情報を評価していたんだぞ。どうしたんだ、浮かない顔をして。レギュラス、何かあったのか?」

「・・・実は最近ハッフルパフの女の子の家族が行方不明になって、少しして遺体で見つかったらしい。数日後に学校に出てきたら、その子すごくやつれて可哀そうだった。それがデスイーターのしたことじゃないかって言う人がいる。」

「それなら、、、きっと、その人は純血主義の動きに反抗したんじゃないか?」

「うん、そうかもしれない。だけどその後、その子が泣いてるとこを何度も見かけてね、ボクふと思っちゃったんだ。こんな方法しかないのかなって。あんな、、まだ2年生の女の子なんだよ、、あんな小さな子を泣かせるような方法しかないんだろうか?ボクも襲撃の時は誇りを持って闘ったけど、ホグワーツであの頃のことを振返ると、闇陣営の力を示すのに、あそこまで痛めつけなくてもいいんじゃないかなんて思えた。もしかしたら襲撃で亡くなった人もいるかもしれないし、その人にもあの子みたいに悲しむ家族がいたのかもしれないって思ったら、なんかよくわからなくなっちゃったんだ。」

「襲撃のことなら僕も、勝負がついた後までも倒れた敵をいたぶるのを見るのはちょっと嫌な気がした。」

「セブルスもそう思ってたんだね。ボクは襲撃の時は必死で、そんなこと考える余裕はなかったけど。」

「だけどレギュラス、こんなこと他の人に言ったらいけない。ダークロードに知られたらすごく怒られる。裏切り者だと見なされかねない。」

「そうだよね。もちろんセブルスにしか言わないよ。それに、ダークロードが優れた方なのは違いないし、純血主義は正しい道だもの。ただ他に方法があればと思って。」

「僕もルシウスももう襲撃に出ていないから最近の様子はよくわからないんだけど。でも逆襲されて、こちらにもずいぶんと怪我人が出ているらしい。ルシウスは襲撃なんてあまり効果的じゃないようなことを言っていたし、ダークロードが僕に真実薬の調合を命じたのは、他の方法も考えてるってことじゃないかな、、僕にはよくわからないけど。」

「そうだね。ダークロードが全権を掌握して純血主義の社会になれば、こんなこと考える必要もなくなるんだよね。純血支配の正しい世を実現するために、力を示して反抗を抑えようとしているんだもの。早く実現すれば、闘いも命を落とす人もなくなるってことだ。」

ようやくレギュラスの顔が明るくなった。それから少し照れたような笑顔を浮かべて。

「セブルス、実はボクもダークロードから重要な任務を命じられたんだ。密命だから言っちゃいけないんだけど、栄誉と信頼に値する者だけに命ずることだって言われた。」

「どんな任務だ?危険はないのか?おまえ一人で大丈夫なのか?」

「心配性だな、セブルス。まるでマルフォイ先輩がセブルスのこと心配する時みたいだよ。それなら愛されてて嬉しいけど。どんな任務かは言えない。だって密命だもの。でも危ないことじゃないし、上手くいって褒められたら話しちゃうかも。」

「なんだよ、もったいぶって。尊きブラック家の御曹司だけに与えられる安全で名誉ある密命ってことか?」

「まあね、そんなとこ。」

明るくなったレギュラスにほっとして、追及はしないでおくことにした。それからレギュラスは、くれぐれもシシー姉様を大事にしてねと言い、僕は今やナルシッサの忠実なるしもべで、涙ぐましい献身を見せてやりたいくらいだと言い返してレギュラスと別れた。

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セブルスとルシウスの物語(39)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


式に続く華やかなパーティが終わるともう夜で、僕はベッドに入ったけれど気が昂ぶってなかなか寝付けなかった。美しい新郎新婦の姿や、ルシウスに肩を抱かれて皆に挨拶した高揚感を振り返り、それからホグワーツの入学式で初めて会った時からのルシウスの記憶のあれこれに思いは巡る。

スリザリン寮でさえ心を開けず孤立しかけた僕に声をかけてくれたこと、リリーに別れを告げられて絶望と孤独の淵に沈んだ僕を呼び寄せてくれたこと、父さんに殴られたトラウマに錯乱した僕の手を握り締めてくれたこと、そして温かい抱擁と初めての愉悦。いつだってルシウスは僕に手を差し伸べてくれた。その人の幸せを願わずにはいられない。

そして今、幾度も抱き合ったあのベッドにルシウスはナルシッサを抱いて眠り、僕は一人ここに横たわる。2人の幸せを心から願う気持ちに偽りはないけれど、一人寝る夜はやはり寂しかった。これからはずっと、こんな夜が続く。受け入れたことなのだから、慣れるしかないのだと思う。少しだけ涙が滲むのを感じながら、いつの間にか眠ってしまったようだった。

ふと気配を感じて目をあけると、ルシウスが僕の顔を覗き込んでいた。

「ルシウス?」

「一人ではおまえが眠れないのではないかと気になって見に来たのだが、かえって起こしてしまったようだ。」

僕は身を起こし、ルシウスはベッドに腰掛けた。

「大丈夫だよ、僕はもう子供じゃないんだから。」

僕が言うと、ルシウスは苦笑いしながらため息をついた。

「実は私も落ち着かなくてな。」

僕はルシウスの背中に腕を回し、軽くたたきながら言った。

「まだ慣れないから。でもきっとすぐ慣れる。大丈夫だよ。」

「おまえに励まされるとは。ずいぶんと大人になったものだな、セヴィ。」

そう言われて、ルシウスも入学式で会った子供の頃からの僕を思い起こしていたのかと思う。

「そうだ。僕はもう大人だよ。今までずっとあなたが守ってくれたから、こんなに大きくなった。ルシウス、年が明けたら僕は19歳になるんだ。」

少しおどけて言うと。

「ホグワーツの料理を前にフォークも握れなかった子供が、もう19になるのか。私も年をとるわけだ。」

2人一緒に噴き出して、笑いながら心の中で自分に言い聞かせる。分かち合う思い出がどんなに優しくても、たわいない会話がどんなに楽しくても、もうこのまま2人でベッドに倒れこんで眠るわけにはいかないのだと。

「ルシウス、さあ、もう行って。花嫁が目を覚ましたら心配する。」

ルシウスは目を瞬かせてうなづき、部屋を出ていった。

翌日、温かいエーゲ海の島に新婚旅行に出かける2人を見送った。すぐ戻るから食事を抜かず元気でいるのだぞと相変わらず子供扱いするルシウスと軽く抱き合って別れの挨拶をした。それを見たナルシッサは、初夜を終えたばかりの輝く笑顔の目を見開いて、まあ、セブルスは行かないの?一緒に行きましょうよなどと呆れたことを言う。このプリンセスは逆境には弱いけど、順風な時は実に寛容で、悪気なくハタ迷惑な親切を施すのだ。もちろん嫌味めいた考えだと自覚はしているけど、誰が恋人の新婚旅行などについてゆきたいものか。

ナルシッサ、向こうではルシウスが一緒に買い物に行ってくれるはずだから、僕がいなくても大丈夫ですよとルシウスへの嫌味を交えて言うと、ナルシッサは少し口を尖がらせて、それから笑顔に戻り、寂しいでしょうけどお土産を買ってくるから楽しみに待っているのよと言い、僕が挨拶に肩を抱くと頬にキスして旅立っていった。

結婚式の日と打って変わって、人気のない広大な屋敷は静まり返っていた。一人静かに過ごす時間は、波にもまれるような慌ただしさに一息つき、新しい生活を受け入れるのによい機会だった。

案の定、2人が旅行から戻ると大騒ぎになった。ナルシッサはほんとうに僕が旅行に行かないのを寂しがっていたのだと思っていたらしく、ろくでもない土産物をたくさん僕の前に並べ、旅行の細々とした話をえんえんと続ける。ひらひらとした島の民族衣装とやらを取り出して、似合うと思うの、着てみてちょうだいと言われた時には頭の具合を疑ったが、内緒話のように、わたくしはまだ早いと思うのにルシウスは子供を欲しがるのよなどと言われた時には、実は無邪気を装って僕に嫌がらせをしているのではないかと思ったほどだ。

ルシウスに助けを求めようと思ったら、ルシウスはすでに姿を消していた。あとで見つけて何とかしてほしいと訴えると、私など店の者の前であのひらひらを着せられて、帽子までかぶらされたのだと言って話を終わらせた。世界は2人を中心に回り、僕は振り回されてとばっちりを食うばかりなのだから、多少嫌味めいてしまうのは仕方ないと思う。

それでも数日が過ぎるとナルシッサも静かになり、ルシウスとともに何度かデスイーターの襲撃に加わると、もうクリスマスだった。

休みに入るとすぐにレギュラスもやって来て、4人でクリスマスイブの食卓を囲んだ。部屋には温かい暖炉が燃え、様々な装飾が施されたツリーの影をつくる。やわらかなロウソクの炎が揺れ、暖炉のたきぎの燃える音と魔法のオルゴールから流れるクリスマスソングの静かな調べをBGMに、ワインを飲みながらたわいない話が尽きることなく続く。去年ルシウスと2人だけで過ごしたクリスマスが懐しくも思われたけれど、こんな家族らしいクリスマスもいいんじゃないかと思う。

なごやかな食事が終わると、ルシウスとナルシッサは寝室に引き上げ、僕はレギュラスと一緒に部屋に戻り2人で飲み始めた。僕は父さんの酒癖の悪さを忘れないからたしなむ程度にとどめているけど、レギュラスは早いピッチで飲んでいる。ルシウスとナルシッサを目にしてのやけ酒気分なのだろうと好きなようにさせていたのだが。

「セブルス、やっぱりこんなの間違ってると思う。マルフォイ先輩は間違ってる。正すべきだ。」

レギュラスが突然強い口調で言い始めて驚いた。

「なんのことだ?」

「ねえ、セブルス、セブルスはほんとに嫌じゃないの?マルフォイ先輩とシシー姉様は今抱き合ってるんだよ。」

「夫婦なのだからしかたがないだろう。」

僕はこのひと月ほど、それに慣れようと努力しているのだ。痛い所を突かれて、表情に出たらしい。

「ほら、仕方ないと言いつつ割り切れない顔してるじゃないか。マルフォイ先輩だって、結婚式からひと月たって変わったかと思えば、何もかわってない。あいかわらずセブルスのことばかりだ。さっきだって、この部屋に来たことを思い出してた。」

「おまえ、またルシウスに開心術を使ったのか。」

「シシー姉様が心配だからね。」

「心配はいらない。ルシウスはナルシッサを大切にしている。」

「ボクもそれはわかってる。でも、大切にすることと愛していることは違うよ、セブルス。もしシシー姉様とセブルスが殴られたら、マルフォイ先輩はどちらも怒って守ろうとするよね。だけど、その意味は違う。シシー姉様が殴られたら、可哀そうだから怒るんだ。自分の面子が傷つけられたとも思うかもしれないね。だけどセブルスが殴られて怒るのは、自分が痛いからだ。自分が殴られたように痛いから怒る。愛情ってそういうもんだ。」

「それは、、」

「ほら、セブルスだってわかってる。セブルスを失う先輩の痛みが辛いから、ここにいるんだろ?シシー姉様だって感じてるよ。ただ先輩を失うのが怖いから、気づかないことにして明るく振る舞ってる。僕はシシー姉様の悲しみが自分のことのように感じられるよ。」

ルシウスはともかく、少なくともナルシッサと僕は、なんとかその微妙な均衡を崩さぬようにと努めているのだが。

「ね、セブルス、そんなの間違ってるよ。先輩とセブルスは想いあっているんだから、堂々と2人でいればいいじゃないか。シシー姉様を巻き込むことない。シシー姉様はマルフォイ家の子供を産む道具なの?結婚してしばらくたって、3人とも間違いに気付いただろ?みんなわだかまりを押し殺して、表面を取り繕ってるだけだ。間違いに気づいたなら、正すべきじゃないか。」

僕はレギュラスの純粋な思いと激しさに心打たれながらも、そんな正論が通ると思える恵まれた育ちと幼さに危うさも感じた。僕の周りには理不尽なことがたくさんあったけれど、ほとんど正されたことなどない。正すには身を捨てる決意と、もっと酷い状態になる恐れを覚悟しなければならないのだ。

「だけどレギュラス、そんなことになったら、他ならぬナルシッサが一番傷つくじゃないか。優しいけど、たくましく逆境を乗り越えられる人ではないだろう?ルシウスの身勝手が招いたことは謝るが、、」

「ほら、セブルスは先輩のことをまるで自分のことのように詫びる。マルフォイ先輩はシシー姉様のことをそんなふうに親身に思ってはくれない。先輩のことは尊敬しているけど、愛情ってどうにもならないことだから。でもそれに目を背けるのは卑怯だ。マルフォイ先輩が間違いを正さないなら、僕が正す。僕がシシー姉様を支えられるだけの大人になったら、僕が姉様を救い出す。」

目を吊り上げたレギュラスの表情は、ホグワーツでポッターに加勢して僕を背後から狙ったブラックを卑怯者と断じた時のことを彷彿させた。敬意を持つ相手だからこそ、卑怯な行いが許せないこともあるのだろう。レギュラスのまっすぐな態度がまぶしく思える。僕たちがそれぞれにわだかまりから目を背け、ないものと振る舞うことに慣れようとしている間に、レギュラスは真実に対峙し正すべきだと考えていたのだ。それに伴ってそれぞれが受ける傷みを思うと、僕に正す勇気はないけれど、レギュラスには胸の内を明かしたくなった。

「レギュラス、おまえの言うことはその通りだと思うけど、僕はルシウスに背けない。背きたくない。僕は両親とも折り合いが悪いし、兄弟も従姉もいない。友達にもうまく打ち解けられなくて、僕にはずっとルシウスしかいないんだ。」

「セブルス、寂しかったの?」

すごく照れくさくてちょっと悔しいのを押し殺して、小さくうなづく。

「でも最近はおまえとこんなこと話せるように親しくなれて嬉しいと思ってる。それにナルシッサだって。たしかにわだかまりもあるしおかしな関係だとは思うけど、僕、好きなんだ。買い物やおしゃべりはうんざりすることもあるけど、明るくて優しくて、彼女を傷つけずにいられたら、どんなにいいだろうと思う。」

レギュラスは表情をやわらげてじゃれついてきた。

「シシー姉様のこと、ほんとにだいじに思ってくれてるんだね。ボクもセブルス大好きだよ。寂しかったらボクに話して。いつかきっとボクがシシー姉様を救い出し、セブルスは先輩と2人で幸せに暮らす。それでみんなハッピーだ。だからそれまでは。」

「それまでは僕がおまえにかわってナルシッサを守る。」

言いたいことを吐き出して気がすんだのか、酒の酔いのせいか、レギュラスは僕に抱きついたまま眠ってしまった。その体をベッドに横たえて、僕はソファで寝ることにした。

翌日のクリスマスには、ルシウスとナルシッサはレギュラスとともにブラック家に向かい、夜になってルシウス一人が戻って僕の部屋に来た。ナルシッサは実家に泊まり、家族水入らずで過ごすのだという。寂しかっただろう、結婚式以来だと言うルシウスに抱かれながら、レギュラスの言葉通り、愛情とはどうにもならないことだと思う。それからルシウスは時々僕の部屋を訪れるようになった。ナルシッサは気づかぬふりを通し、僕は彼女とレギュラスに心の中で詫びていた。

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セブルスとルシウスの物語(38)

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)


レギュラスの想いを聞いた後は、ナルシッサを見る目が少し変わった。たしかに彼女は、おそらく疎ましい存在であろう僕に対しても穏やかな礼儀正しさを崩すことはない。買い物についてつまらない返事を返す僕にがっかりした顔を見せると思っていたのも、見方をかえてみれば、心細げな表情にも見えた。実際、僕は何か聞かれてもろくな返事をしたことがないのに、それでもやっぱりナルシッサは僕の意見を求めてくる。誰かに頼らずにはいられないところがあるようで、レギュラスが守ってあげたいと言うのもわかる気がした。本来その役割を担うべきはルシウスなのだけど。

その日の買い物はクリスマスの飾りに使うキャンドルや蜀台で、幸い僕も少しは興味のある物だったからまともな返事をしてあげると、ナルシッサはすぐに買う品を決められたようだった。気に入った物をよいと言ってもらえて自信を持てたらしい。いつもより早くマルフォイ邸に戻ると、リビングルームのあちこちにキャンドルを並べ、ルシウスが戻ったら見せてあげるとはしゃいでいた。

僕もリビングルームのソファに座って待っていたのだけど、ルシウスはなかなか帰らない。どうせ独身最後とはめをはずして遊び歩いているのだとろうと半ばサジを投げて本を読み始めたら、思いがけず熱中してしまった。ふと気付くとナルシッサは窓際に立ち、暗くなった外を眺めている。後ろ姿の華奢な肩が心細げに見えた。

ナルシッサ?」

珍しく僕から声を掛けると、振り返ったナルシッサは泣きそうな顔で近付いて来た。

セブルス、、、あの方は、帰ってこない。もう夜も遅いのに。」

ルシウスもいろいろと忙しいのでしょう。心配することは、、、」

ルシウスはわたくしのことなど忘れてしまったのね。わたくしの買った物など見たくもないし、わたくしの話も聞きたくないのよ。」

ナルシッサのブルーの瞳に涙が溢れ、こぼれおちるのを為す術もなく見守る。頭の中には私と同じように大切にしてやってくれと言ったルシウスの言葉や、セブルスが守ってと詰め寄ったレギュラスの真剣な目が浮かび、今にも泣きそうな女に声をかけるなど、なんとバカなことをしたものかと反省しても既に遅く。

「ルシウスはわたくしのことなどどうでもいいのよ。」

ついに泣き崩れたナルシッサの肩に手をかけてソファに座らせた。

「ナルシッサ、ルシウスは貴女のことを大事に思っている。」

ナルシッサはしゃくりあげながら、すがるように目を上げて僕を見る。

「貴女のことを大切にするようにと僕も言われている。」

重ねて言ってしばらく肩を抱えていると、ようやくナルシッサも落ち着いてきた。

「ルシウスは抜けられない用事で遅くなるんだろう。僕がいるからいいと思っているんだ。貴女のことを忘れているわけではないと思う。さあ、遅くなるから食事にしよう。」

2人で軽い夕食をとって、ナルシッサをブラック邸に送り届けて戻っても、ルシウスは帰っていなかった。夜も更ける頃、寝室のドアが開き、ルシウスが酒臭い息を吐きながら、寝ている僕の隣に倒れ込んだ。そして何をしていたのかと問う暇もなく寝息を立て始めた。

その後ナルシッサは目に見えて僕に打ち解けてきた。初めのうちこそナルシッサを僕に任せて出歩くルシウスをなじっていたけれど、そのうち、ホグワーツの頃からルシウスに憧れていたのだとか、ルシウスが卒業する前に友達と一緒の記念デートとやらで話したことがあるのだとか、のろけ混じりの打ち明け話をするようになって閉口した。そしてついには、まあ、わたくしったら自分の物ばかり買っていけなかったわと僕にまで何か買うようになり、キャンドルくらいはありがたかったけれど、意見を求められて適当にいいと思うと答えた枕カバーを僕の分まで買われたのは迷惑だった。薄いピンクの花がらの枕カバーなんて、僕が使うと思ったんだろうか?

一方、何をしているのか留守ばかりしていたルシウスも、ある日僕を連れ出してマダム・マルキンの洋装店に行った。僕に服を仕立てるのだと言う。必要ないと答えると、ベストマンとして結婚式で新郎新婦に次ぐ注目を集めるのだから、相応しい服装をしろと言う。そんなこと初耳だ。ベストマンなんて僕には無理だし、注目されるのもまっぴらだ。ルシウスが結婚する姿など、できれば見たくないし、式に出るにしてもできるだけ地味にすみで小さくなっていたいと思う。

僕がベストマンを断ると、ルシウスはではあいつに頼めと言うのかとあの上級生の名を持ちだした。僕がしかめ面をすると、ではゴイルかクラッブにでも頼めと言うのかと非難する。僕には未だに2人のどちらがどちらかわからないのだけど、ゴリラみたいな大きな人と太っちょだ。たしかに美しい新郎姿のルシウスの横に並べたくはないタイプだった。

僕が黙りこんでいるうちに引き受けたことにされて、ルシウスはマダムに新郎の服と揃いに仕立てるよう命じている。それはあまりにもおかしくはないか?なぜ僕が新郎と同じ服を着るのかとあわてて止めると、セヴィ、おまえが結婚することはないのだから、これはおまえの結婚式でもあると思って皆の前に立てばよいという。僕にはそう思えないし、他の誰もそう思わないにきまっている。だけどルシウスがこうと決めたことを覆せたことなどないし、傍若無人に振る舞っているルシウスだけど、自分の結婚で僕に疎外感を与えたくないと思っていることは伝わってきたから、せめてもっと地味にしてほしい、ルシウスに合う物が僕にも似合うわけじゃないと言うとそれは受け入れられた。

数日後、今度はナルシッサも一緒に3人で洋装店に行った。2人は最後のサイズ調整、僕は仮縫いの確認で、式の日の服を着てみる。ルシウスの衣装姿も素晴らしいけど、長いトレーンを引く純白のウェディングドレスを着たナルシッサは目を見張るほどに美しかった。ほんとうに似合いのカップルなんだと、あきらめと羨ましさと誇らしさとが入り混じる複雑な気持ちで腕を組む2人を見ていると。

「セヴィ、要らないなどと言っていたがよく似合っているではないか。見違えたぞ。」

ルシウスが声を掛けてきて、ナルシッサも飛びきりの笑顔で僕に近寄り、軽く背中をたたいた。

セブルス、ほら胸を張ってみて。そうするともっと素敵に見えるわよ。ルシウスからのプレゼントね、わたくしも何かあげたいわ、何がよいかしら?」

ナルシッサに襟元を直されながらなんだか泣きたいような気分になって、ルシウスが言っていたみたいに、もしかしたらこの人と僕はほんとに姉と弟のようになれるんじゃないかという気がしてくる。そして思いついた。

「ありがとう、ナルシッサ。僕はもう充分だから、レギュラスに。貴女の幸せを誰より願い、きっと少しだけ寂しく思っている。仲がいいのでしょう?」

「まあ、セブルス、あなたたちこそ、ほんとうに仲がよいのね。そうね、ではわたくしはレギュラスに新しい服を仕立ててあげましょう。正装したら、あの子もきっと見違えるように立派になるわ。」

次の週末に、レギュラスは親から外出願いを出してもらって、ナルシッサと2人で洋装店に行ったらしい。ナルシッサからその話を聞きながら、きっとレギュラスも僕と同じような複雑な気持ちを味わい、そして彼女の幸せを心から願ったのだろうと思った。

秋の終わりに催されたルシウスとナルシッサの結婚式は、マルフォイ邸の広い庭の一角に祭壇をつくり、魔法で見えないように施された防寒テントの中にたくさんのテーブルを並べた盛大なものだった。美しいブーケがあちこちに飾られ、数え切れないほどの人が、マルフォイとブラックという名門貴族を結ぶ祝いの席に訪れた。

楽団が明るくも厳かな音楽を奏でるなか、長く敷かれたバージンロードを父親に腕を預けたナルシッサが歩いてくる。正面で花嫁を迎えるルシウスの少し後ろに、僕はレギュラスと並んで立っていた。レギュラスはナルシッサのブライズメイドになるわけにもいかないから、ルシウスの介添人の1人ということで参列している。

やがて、まぶしいほどに美しいナルシッサと、やはり輝くほどに美しいルシウスが向かい合い、永遠の愛を誓う。指輪と口づけをかわす2人の傍で、僕はベストマンとしてその世話をした。それはおそろしく複雑な気持ちだった。身も心も預け、結ばれたと思うただ一人の人が、他の人と永遠の愛を誓いあう姿を見る寂しさは拭いようもない。けれど不実をなじろうにも、僕との絆を手放さぬルシウスの強い意思は認めざるをえなかった。振り返ればホグワーツ入学の頃からの長い年月、人好きのしない不器用でみすぼらしい僕に注ぎ続けてくれたルシウスの変わらない厚情には不思議な感動すら覚える。僕がルシウスを慕う理由は山ほど上げられるけど、ルシウスが僕を愛でてくれる理由など思い浮かびもしないのに。

そしてルシウスの隣に立つナルシッサに対しては、妬ましさは消せないけど、可愛らしい人だと思わずにはいられなくなっていた。おそらくナルシッサだって、ルシウスと僕との関係が普通でないと気づいていると思うのだけど、排除することもなく、僕がここに居ることを受け入れてくれた。それに、もしルシウスの隣にナルシッサがいなくても、そこにいるのは僕ではなくて、誰か他の純血貴族の魔女なのだと今ではわかっている。ナルシッサを恨む筋合いはなく、むしろナルシッサを見れば幸せを願ってしまうのだった。実際、ベストマンを努めた僕には2人の幸せを支える義務があるのだけれど。

新郎新婦の美しい姿に感動がこみ上げたり、寂しさを飲み込んだり、複雑な思いを抱えながら世話をするうちに式は終わり、ルシウスとナルシッサは腕を組んで参列者のほうを向いた。2人は少し膝を折って、にこやかに皆にあいさつをする。参列者からは祝福の声と拍手が起こった。その時。

片側でナルシッサと腕を組んだままのルシウスが、片腕で僕を引き寄せて肩を抱いた。戸惑っていると、ナルシッサがレギュラスを呼び寄せて、やはり反対の腕をレギュラスの腰に回している。そして僕たちは4人揃って参列者にあいさつをして、皆からはもう一度拍手がわいた。ルシウスはほんとうに、僕をこの結婚の当事者にしてくれようとしたのだ。そしてナルシッサもそれに応え、レギュラスを交え家族の絆を示してくれた。ルシウスが僕に笑いかけ、僕は涙をこらえた。後で見た写真の僕が仏頂面になっていたのは、そのせいだと思う。

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tag : ハリーポッター ルシウス セブルス ナルシッサ

セブルスとルシウスの物語(37)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


たしかな絆を感じたのは僕だけでなくルシウスも同じだったのか、あるいは本気でナルシッサ・ブラックと僕が姉と弟のような関係になるのだと示したかったのか、ルシウスは次にナルシッサ・ブラックと会う時に僕も連れて行った。僕は先日の3人での食事を思い出して嫌がったのだけど、ルシウスは頑として譲らず、魔法の馬車に乗せられてブラック邸に着いた。

ルシウスの横に気まずそうに立つ僕を見てナルシッサ・ブラックは驚いた顔をし、僕は内心彼女が僕を追い帰してくれることを願ったのだけど、そんなことにはならず3人でダイアゴン横町に行きランチとなった。なぜ僕が一緒に居るのかという当然の疑問をナルシッサ・ブラックが口にするまでもなく、ルシウスが陽気に話す。

「セヴィは私が連れ出さないと家にこもってばかりなのでな。放っておくと本ばかり読んでいて、私が言わねば食事もきちんととらぬから、いつまでもこのようにやせっぽっちのままなのだ。」

そしてルシウスは、これからは会う機会も増えるのだから、ミスター・スネイプ、ミス・ブラックなどという堅苦しい呼び方はやめて、互いにセブルスナルシッサと呼びあえなどと言っている。僕もナルシッサもルシウスの勢いに飲まれて、そういうことになった。この間の初めての夕食の時のように衝撃を受けているわけではないから、多少のぎこちなさはあっても僕は淡々と食事を終えて早々に席をたち、2人にごゆっくりとまで言って去ろうとした。すると。

「何を言っているのだ?これから買い物ではないか?ナルシッサ、今日はカーテンを見たいと言っていただろう?セヴィもいっしょに行くのだ。」

え?なぜ僕が?

声に出して言ったわけではないけど思ったし、それはナルシッサも同じだったろうと思うのに、3人でカーテンの生地を見ることになった。といっても、僕はあれこれと生地を手にとって見る2人の後ろに着いていただけだ。どうやら寝室の模様替えをすることになっていて、ルシウスとナルシッサは今までも何度も買い物に来て、じゅうたんやら家具やらを選んでいたようだ。充分に整っているルシウスの寝室に手を加える必要などないじゃないかと思ったけど、僕が口出しする雰囲気じゃない。近いうちに彼ら2人の部屋になるのだから、そうしたければすればいいと少し寂しく考える。

しかし、初めのうちこそそのような感慨もあったのだけれど、そのうち、あれもこれもと手にとって一向に決まらないナルシッサの買い物にうんざりしてきた。厚手のカーテンの生地について、これから迎える冬場の断熱効果がどの程度かと考えるのはともかくとして、飾りのようなレースのカーテンのレース柄の花の大きさが一周り違うかどうかの、何が問題なのかさっぱりわからない。しかも悩んだ挙句に、花よりもただの格子柄のほうがすっきりするかしらなどと言い出す。

いちいち言葉を返したりうなづいているルシウスの忍耐強さに驚くとともに感心し、僕は今日一日だけ我慢すればよいのだとマーリンに感謝して買い物が終わった。といってもナルシッサは結局決められず、考えてまた見に来ると言っている。とにかく何の成果もなく、歩き回っていただけで一日が暮れた。女の買い物につきあうなど二度とごめんだと思い、ルシウスに同情したほどだ。

翌日も同じようにルシウスに連れ出されて3人でランチをとり、今日は絶対このまま帰ろうと立ち上がった時。

「私はこれから抜けられぬ用事があるのだ。ナルシッサ、すまないが、今日はセヴィと2人で買い物をしてくれ。気に入る物が見つかるとよいな。セヴィ、ナルシッサを頼んだぞ。」

驚愕して物も言えぬうちにルシウスは姿を消し、あとには茫然としたナルシッサと僕が取り残された。あからさまに気落ちし、それでもカーテンを見に行くと言うナルシッサにやむなくつきそった。しかし、まともな返答もしない僕との買い物が楽しいはずがない。ナルシッサもつまらなそうに何枚か生地を見て、何を問われてもそれがいいと思うと答える僕を恨みがましそうな目で見ながら、それでも何やら注文していた。

ナルシッサをブラック邸に送り届けてマルフォイ邸に戻ると、ルシウスはたった今帰ったのだと言ってリビングルームでくつろいでいた。僕はもちろん、ルシウスの無責任な行動に抗議し、女の買い物などに僕はつきあえないときっぱりと言ったのだけど、ルシウスは自分はもう10回以上もつきあっているのだと答えた。そしてそれからはナルシッサが買い物をする日には、ルシウスは必ず抜けられない用事ができたと言って、僕に買い物の付き添いを押し付けた。

僕はもちろん呆れ果てたけど、ナルシッサが待っているのにかわいそうではないかなどと追い立てられて、しかたなくブラック邸にナルシッサを迎えに行く。そしてがっかりした顔のナルシッサの面白くもない買い物に付き従い、買い物が終わればナルシッサを伴ってマルフォイ邸に帰り、ルシウスに引き合わせて自分は部屋に戻るという、理不尽な日課を強いられた。

それでルシウスがナルシッサに冷たいかと言うとそういうわけでもなく、社交の場には連れだって出かけてゆく。きっとどこに行ってももてはやされるカップルだろうと思う。僕がルシウスと過ごす時間はナルシッサのものになり、僕とルシウスの思い出が詰まった寝室は、ナルシッサが買った物で埋め尽くされていく。

なんでも持っているルシウスは、僕を手放さぬままナルシッサも手に入れた。僕が心を弾ませながら描いていたルシウスと並びたつその場所はナルシッサが占める。2人の願いは叶い、僕の願いは叶わない。立派なマルフォイ邸とブラック邸を行き来していると、そんなことは初めから決まっていたような気もして空しさが募った。

だから、ホグワーツの外出日が訪れて、久しぶりに会ったレギュラスからナルシッサの様子を尋ねられた時、つい不機嫌な顔をしたのかもしれない。僕の顔色をうかがうように、レギュラスがきいた。

セブルス、シシー姉様のこと、よく思ってないの?」

「そういうわけじゃないけど、買い物につきあわされるのはうんざりしている。」

「え?マルフォイ先輩じゃなくて、セブルスが一緒に買い物に出かけてるの?」

レギュラスが驚いた顔をする。あたりまえだ。誰が考えたっておかしい。

「ルシウスは買い物に付き合うのが面倒になったんだろう。だいたいレギュラス、おまえは夏休みにはもう、ルシウスとナルシッサの婚約を知っていたのだろう?開心術の練習をした時何度も心のうちに彼女を思い浮かべていたな。なぜ話してくれなかったんだ?僕とルシウスが親しいことを知っていたくせに。」

事情を知っているレギュラスにはつい愚痴もこぼれてしまう。

「ボクだって夏休みになってから知ったんだ。セブルスも知ってるかと思ったし、知らないなら本人からきいたほうがよいと思って。それに、セブルス言ってたじゃないか。マルフォイ先輩が他の人といても、好きだから許すって。」

そんなことを言っただろうか?たしかにルシウスのことはすべて受け入れると決めたけれど。

「だからボクもそうすることにした。好きな人が他の人の元に行っても、受け入れて幸せを祈るべきだって。」

「?」

レギュラスはしばらく僕を見ていて、それから目を伏せた。長いまつ毛が幼さの残る顔に影をつくる。

「ボク、シシー姉様のことが好きだった。ブラック家の人たちはみんな末っ子のボクのことを可愛がってくれたけど、なんというか、セブルスも知ってるだろ、ベラトリックスとか兄さんとか、気性が激しくて。母様もすごいし、ドロメダ姉様もマグルと駆け落ちするくらいの人だから。みんなそれぞれの主張をぶつけた挙句に、ボクはどう思う、しっかりしろとか言ってくるんだ。シシー姉様だけはいつも穏やかで優しくて、子供の頃から慕ってた。

兄さんが家を出てボクが跡継ぎになると言われた時に、ボク、シシー姉様と結婚できるんじゃないかと思ったんだ。従弟同士だけどブラック家ではよくあることだし、ボクの父様と母様だってそうだから、おかしなことじゃない。だから早く大人になりたくて、早くデスイーターになって大人と認められたいと思ったけど、遅かった。

夏休みに家に戻ってみたら、シシー姉様がマルフォイ先輩と婚約したって。すごく幸せそうで。でもマルフォイ先輩の心の中をのぞいてみたら、セブルスのことばっかだったよ。」

長い独白を終えて顔を上げたレギュラスは、まっすぐに僕を見て、射抜くような視線を送る。日頃素直で人懐こいレギュラスに、こんな激しさがあったのかと驚く。

「だけど、僕に言われても。僕だって・・」

「マルフォイ先輩は信用できない、シシー姉様を大事にしてくれるのか。ブラック家の女ならマルフォイ家に相応しいと思ってるだけだ。シシー姉様の前では言わないけど、叔父様や叔母様だって釣り合いのよい縁談だとは言いながら心配してる。マルフォイの先代のように、数か月で離縁したり、後添えのように子供だけ産まされて狂い死にするんじゃないかって。」

「それは、、その後添えというのは、ルシウスの母親のこと?」

「セブルスは知らなかった?純血貴族の間では有名な話だよ。」

マグル育ちも同然の僕はもちろん知らなかったけど、、。たいした思い出もない母が遺した唯一の教えに従って僕の手を握ったのだと話したルシウスを思い出し、哀しみが胸に打つ。そして僕と同じように想いをあきらめようとしているレギュラスの辛さも。

「レギュラス、ルシウスは自分勝手でいい加減なところもあるけど、悪い人じゃない。」

「それはセブルスにはそうだろうけど・・。」

「ナルシッサにもそうだ。面倒なことは僕に押し付けてるけど、母親のような悲しみは味あわせまいと思っているはずだ。僕にもナルシッサを大切にしてやれと言っていた。」

レギュラスは疑わしそうな目をしていたけれど。

「セブルスはそれでいいんだね?シシー姉様のことを大切にしてくれるんだね?」

行きがかり上、うなづくほかはない。僕がうなづくと、ようやくレギュラスは少し笑った。

「マルフォイ先輩のことはわからないけど、セブルスのことは信じるよ。よくしてあげて。シシー姉様は誇り高いけど気の強い人じゃない。優しくて、辛いことには耐えられない。誰か守ってあげる人が必要なんだ。ボクはそばにいられないけど、セブルスが守ると約束して。ボクの大切な人なんだよ。」

ナルシッサがレギュラスと結婚するならどんなによいだろうと思いながら、僕はしかたなく、またうなづいた。ルシウスとナルシッサがその気になっている以上、僕やレギュラスがどう思おうとどうにもならないことなのだ。

2人で空しく苦笑いして、それからデスイーターの活動の話になった。レギュラスは結局、ダンブルドア校長がホグワーツを留守にすることがある程度の情報しか得られていないようだし、僕の方も、なぜか襲撃に出る回数すら減っている。レギュラスと別れた後、訝しく思って他の仲間にきいてみたら、ルシウスはなんと、自分の結婚準備で忙しいから僕はしばらくそちらを優先することになっていると言っていたそうだ。僕はもう呆れ果てて、あとひと月ほどに迫った結婚式が早く終わるのを願うばかりだった。

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