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ご訪問、ありがとうございます。

仕事が多忙のため、blog更新が滞っておりますm(_ _)m

フォイフォイとかたつけて妄想の世界に浸りたいのですが、
現実はきびしい。

しかし、来週末までにはなんとか戻ってまいります!
と宣言して、しばらく仕事に励みます。
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(過去2)リーマスの物語1

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


初めてホグワーツに向かう朝、キングスクロス駅の9と3/4番線ホームは、明るい活気に満ちていた。学校に向かう魔法使いや魔女の子供たち、見送りに来た家族たちが、旅立ちを励ましたり励まされたり、ひと時の別れを惜しんでいた。

「リーマス、頑張るんだぞ。」

「うん。」

父さんに言われてうなづくと、母さんが僕の肩を抱きしめた。

「リーマス、ほんとうに大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、母さん。僕のことは心配しないで。」

そう言って笑ってみせたけど、ほんとは不安でいっぱいだった。僕たち親子が、いつの間にか身につけた習慣通り目立たないようにひっそりと佇んでいる脇を、きれいな洋服を着た黒い巻き毛の男の子が元気に走ってゆき、くしゃくしゃとした黒髪の男の子に飛び付いた。一瞬その2人が光に包まれているように見えて、まぶしさに目を瞬かせたものだ。

あんな輝くような子供たちと、僕は違う。思わず目を背けると、みずぼらしいなりをした男の子が目に入った。まっすぐな黒い髪と黒い瞳を持つその男の子は、明らかに体には大きすぎる継ぎはぎのあたったおかしな服を着ていた。僕と同じくらい貧乏な子もいるんだと少し励まされた気分で見ていると、長い赤毛の可愛らしい女の子と手をつないで列車のほうに歩いていった。あの子には友達がいるんだと羨ましく思えて、でも、僕は一人でやり抜かなきゃいけないんだと自分に言いきかせた。

だって僕は、人狼なんだから。

動き出したホグワーツ特急のコンパートメントの窓際の席に座り、母さんたちに別れの挨拶をした後は、帽子を目深にかぶって寝たふりをした。誰にも話しかけられないように、誰の目も引かないように。そうやって僕はこれからのホグワーツの日々をやり過ごすと心に決めて。

小さな子供の頃の楽しかった思い出もわずかにある。近所の友達と遊び疲れて家に帰ると、母さんはよく甘いチョコレートクリームをのせた焼き立てのワッフルを出してくれた。母さんと仲の良いおばさんが家にいて、リーマス、甘い物を食べすぎると虫歯になるわよと笑いながら、僕の口元の汚れを拭ってくれたこともあった。チョコレートは幸せだった家族の思い出の味がする。

5歳の時に、僕が大きな怪我をして、それから『病気』になって、すべては変わった。大きな月がきれいな夜だった。窓から差し込む明るい月の光に誘われて、僕はこっそり庭に出た。夜は外に出てはいけないと言われていたんだけど。暗い空にくっきりと浮かぶ大きな満月に見とれていると、動物がうなるような声がして、近くの庭木が揺れた。僕はこわくて叫んだかもしれない。満月を見たのは、それが最後だ。

目が覚めると母さんの泣き顔が見えた。ああ、リーマス、助かったのね、助かったのね、よかったわと言いながら泣いていた。あとで考えると、助かってよかったのか、僕にはわからない。父さんは難しい顔をして立っていた。肩から胸にかけてひどい傷跡が残ったけど、数日後には元気になって、怪我のことなんか忘れてしまった。

しばらくたって、ある夕方、父さんと母さんは僕を鍵のかかる地下室に連れていった。今夜は一人で、ここで寝るのよと置いていかれそうになって、こわいから嫌だと母さんにすがりついたけど、そうしなければならないのといった母さんの顔がとても悲しそうだったから僕は我慢した。体の中にざわざわとしたうごめきを感じたまま寝てしまったようで、目を覚ますと僕の部屋のベッドに寝ていた。母さんがよく頑張ったわねと涙ぐんで、怪我の手当てをしてくれた。

怪我はすぐに治って、いつものように近所の友達の家に遊びに行くと、可愛がってくれていたおばさんが怖い顔をして、家に帰りなさい、もう来てはダメよと言った。首をかしげながら家に戻る途中、石が飛んできて驚くと、少し離れた所によく遊んでいた子供たちが数人いた。どうして?聞きながら近寄ると、みんなが僕に石を投げて、化け物だとか怪物だとか口々に叫びながら走り去っていった。痛いのと悲しいのとで泣きながら家に帰ると、母さんが僕を抱きしめてくれた。

外に行くたびに子供から石を投げられたり、おばさんが怖い顔をして後ずさったり、おじさんに近づくなと怒られたりするようになって、少しして引っ越した。それからはそんなことの繰り返しだった。数か月ごとに引っ越すうちにだんだん家も服もみすぼらしくなり、僕はもう友達と遊ぶことはなくなった。

ときどき頑丈な鍵のかかった檻のような部屋で一人で寝るときは、いつも目が覚めると自分の部屋のベッドにいたけれど、ある時早くに目が覚めて驚いた。部屋中に物が投げ散らかされ、ベッドマットは引きちぎられて、ひどい有様だったから。体のあちこちに噛み傷や引っかき傷があって、迎えに来た父さんと母さんに、夜中に何かが部屋で暴れてたんだ、こわいからもう嫌だと泣いたら、父さんと母さんはしばらく顔を見合わせていて、それから父さんが話してくれた。

あの5歳の満月の夜、僕は人狼に噛まれて、人狼になってしまった。部屋を荒らしたのはその狼なんだ。だから狼に変わる満月の夜、僕はあの部屋にいなければいけないんだと。父さんにせがんで何冊か人狼の本を見せてもらって、それから何回も夢にうなされた。怪物になった僕が人間を食いちぎる夢だ。肉を裂き、骨をかみ砕き、口元にべっとりと血を滴らせる僕。今まで僕や家族に起こったいろんな悪いことの理由がわかった。全部、僕のせいだった。僕は魔法界が恐れ、忌み嫌う人狼だった。

父さんと母さんは、悪いのは狼で、僕はかわいそうな被害者なんだと言って、いろんな薬や呪い祓いを試してくれたけど、何の変化もない。家族は外との交流を絶ち、ひっそりと暮らした。友達と遊べないのは寂しかったけど、仕方ないと思っていたし、父さんも母さんも優しくて、僕に魔法をおしえてくれたから、そんな暮らしに慣れていった。満月が近付くにつれて高まる恐れと憂鬱は、逃れようがなかったけど。

11歳の誕生日を迎えた日、ダンブルドア先生がうちに来てホグワーツ魔法学校の話をしてくれた。人狼の僕が、他の魔法使いの子供たちと同じように学校に行けるなんて夢のような話だけど、そんなのは無理だとすぐ思った。そう言うとダンブルドア先生は少し僕と2人だけで話したいと言い、父さんと母さんは部屋を出ていった。

「君はこれからどう生きていきたいと思っておるのかね?」

「僕は、、そんなこと、わかりません。死んじゃったほうがいいと思う。」

「リーマス、子供の人狼は少ないのじゃ。なぜだかわかるかの?」

「みんな、噛まれないように気をつけているからです。」

「もちろんそういう子が多いが、おまえさんのように噛まれてしまう子もいる。じゃが、たいていは死んでしまうのじゃ。人狼はおそろしく強く、小さな子供は弱いからの。じゃが、おまえさんは生き延びた。稀有なことじゃ。何か意味があると思わんかね?あるいは、こう言ってもいいじゃろう。意味のある生き方をしたくはないか?リーマス、人狼に噛まれてしまったのはかわいそうじゃが、誰にも変えてやることはできん。じゃが、どう生きていくかを選ぶのはおまえさん自身じゃ。それができる子じゃと信じておる。」

「・・・」

「おまえさんがこのまま家におれば、お父さんやお母さんは庇って守ってくれるじゃろう。そうやって守られて、隠れて生きるのも生き方じゃ。じゃがもしおまえさんが望むなら、学校で魔法の勉強をして、人狼であっても立派な一人前の魔法使いとなって、人々の役にたつこともできるかもしれん。考えてみることじゃ。」

僕がホグワーツに行こうと決めたのは、人々の役に立つような立派な魔法使いになれると思ったわけじゃない。僕が家を離れれば、父さんと母さんはもう転々と引っ越す必要はなく、また近所の人たちと親しくなって楽しく暮らせるだろうと思ったからだ。学校の寄宿生活の中で、僕の正体を知られずに暮らせるかは、ほんとうに不安だったけど。

ホグワーツに着いて他の新入生と一緒に大ホールに入った時、テーブルに並ぶ大勢の生徒たちを見て、僕は身がすくむ思いだった。こんなたくさんの人たちの中で、僕が正体を知られずにやっていけるはずがない。そればかりか、もし僕が誰かを噛んでしまったら・・・。逃げ出したいけど家に帰って母さんたちを不幸にすることはできないと震える思いで前に出て、組分け帽子を被った。人狼の入る寮などないと宣言されるんじゃないかとこわくてたまらない。どうか僕に踏み止まる勇気をくださいと願うしかなく。

リーマス・ルーピン・・・グリフィンドール!

しばらく考えていた帽子がそう叫んだとき、まさかと思った。僕は勇敢な者が集うというグリフィンドール寮に組分けられた。

翌日、ダンブルドア先生の指示で、変身時の世話をしてくれるという、医療棟のマダム・ポンフリーに会いにいった。僕がうつむいて名前を言うと、マダム・ポンフリーはにっこり笑って僕の肩を抱いてくれた。父さんと母さん以外に、人狼の僕の体に触れてくれる人などいなかったから、僕は驚いて後ずさった。そんな僕を見て彼女は少し悲しそうな顔をして、もう一度しっかり抱きしめてくれた。

「リーマス、困ったことがあったら何でも言うのですよ。」

それから、ダンブルドア先生が植えてくれた暴れ柳の下の通路を抜けて、ホグズミード村のはずれにある屋敷を見せてもらった。満月の夜はそこで過ごすことになるそうだ。狭い通路の奥にある、天井の近くに小さな明りとりの窓があるだけの薄暗い部屋を見て、僕は少し安心した。ここで過ごす夜のことを考えると陰惨な想像は拭いようがなかったけど、なんにせよ居場所があると思えるのはいいことだ。

満月の日の夕刻になると、僕はマダム・ポンフリーに連れられてその部屋に入り、しっかりと施錠を確認してもらった。それから一人、衣類と杖を置いて、部屋の隅にうずくまる。憂鬱な気分で座るうちに体の中からざわめきが起こり、体の細胞1つ1つが叫ぶような苦痛を感じ、だけどそれに耐える間もなく意識が消える。そして体の痛みとともに疲れ果てて目覚めると翌朝だ。傷んだ体を引きずるように医務室にいってマダム・ポンフリーに手当てをしてもらい、部屋に戻って休む。その日は授業に出られない。同級生たちには、僕は子供の頃から体が弱くて病気がちなのだと話してあった。

僕は無邪気な周りの生徒たちが羨まかったけれど、できるだけ彼らから距離を置き、できるだけ目立たないようにしていた。彼らと親しくなってはいけない。親しくなれば毎月の変身を隠しきれないかもしれない。正体が知られたらどんな悲惨なことが起こるか、過去の数々の経験がよみがえり、考えただけでも恐怖に身がすくんだ。僕が疎まれるだけでなく、入学させてくれたダンブルドア先生にもどんな迷惑をかけるかわからないし、追い出されたら行く場所はない。やっとまともに暮らせるようになった父さんや母さんを、僕のせいで以前の暮らしに戻らせることはできない。

賑やかな学校の中で、息をひそめるように日々を送っていたのに、勇敢な者が集うと言われるグリフィンドールの寮友たちは、僕を放っておいてくれなかった。ジェームス・ポッターとシリウス・ブラック、寮の中でも人気者の2人。キングスクロス駅のホームで、光に包まれているように見えた子供たちだとすぐ気がついた。

何をやるにも同級生たちの中心になる彼らは、『病気』がちで月に一度は授業を休み、皆となじまない僕を見過ごせなかったんだと思う。何かと僕に話しかけてくるのをさりげなくかわしていたけれど、そのうち変身後に休む僕に授業のノートを見せてくれると言って、寮の部屋まで来るようになった。

ジェームスとシリウスが部屋に来た後、同じ部屋のピーター・ペティグリューは興奮して目を丸くしていた。

「すごいね、リーマス!ジェームスやシリウスと仲がいいんだ。あの2人は他の寮からも人気あるんだよ。かっこいいし勉強できるし。憧れちゃうよ。僕も仲良くなりたいな。」

無邪気なピーターに曖昧な笑いを返し、僕は内心思っていた。僕はジェームスたちのように特別に目立つ人に憧れはしない。明るい光のような彼らの傍らでは、僕の、暗い怪物の影が際立つだけだとむしろ疎ましい。僕が憧れるのは、普通であることだ。そう、このピーターみたいに。普通に勉強して、普通に友達ができて、普通に暮らせたら、どんなにいいだろうと思う。僕にはけっして手の届かない憧れだとわかっているけれど。

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tag : ハリーポッター リーマス 人狼

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