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スネイプ先生のカップリングごっこ(1)

ゴドリックの谷襲撃事件直後のスネイプやルーピンの心境は、妄想してても辛い暗いことが多くて煮詰まってしまうーーということで、気晴らしにスネイプ先生のカップリングあれこれを考えてみました。ハリポタ原作進行中はともかく、はげしく出遅れな今さら企画ですが、いろいろ組み合わせてみると楽しいのでちょっと遊んでみました^^;

老若男女かかわらず思いつきスネイプとのカップルを、ミーシャ独断と偏見に基づく 『カップルありうる度』『カップルお気に入り度』で評定してみます。★5つが最強です。

まずは老若男子編

♥スネイプとルシウス

これはもう、原作公認のカップルといっていいんじゃないでしょうか。原作のほのめかしを読み取って、映画2作目「秘密の部屋」で、2人仲良くクィディッチの試合見物のサービス場面がつくられたのでしょう。これ以上絵になるカップルはいないと思う(*^_^*)

とはいえ、原作を思い返してみると、スネイプとルシウスが一緒にいる状況はほとんど描かれていません。7作目スネイプの記憶の中のホグワーツ入学式で、ルシウスがスリザリン席で小セブを迎え入れる場面だけでしょうか。え、それだけ?って感じですが、他に思いつかない。

(追記:あと、7巻はじめの、デスイーターミーティングがありました!ルシウスはヴォルにいじめられてるし、ナギニはこわいしで、2人の仲どころじゃありませんけど。ハリー視点では描かれないとこで、こういう機会はたびたびあったのでしょうね)

けれど、スネイプ先生のドラコびいき、ドラコの言葉を通じてルシウスがスネイプを高く評価していることが語られています。6作目「謎のプリンス」では、ダンビの命令があったとはいえスネイプは必死でドラコを守ろうとしますし、ナルシッサもルシウスのアズカバン収監中、頼れるのはセブルスだけと言っており、マルフォイ一家とスネイプの長年にわたる親密な結びつきがうかがえます。

このカップルのネックといえば、やはりルシウスが妻子持ちということ。大人なナルシッサはともかく、ドラコに、実は(大好きな)先生は(尊敬する)パパの愛人なんだよという事実を告げるのは気まずいでしょう。。。

評定 ありうる度★★★★★ お気に入り度★★★★★

♥スネイプとルーピン

この2人はとてもかわいそうです。どちらも、自分ではどうすることもできない理由で、悲しい子供時代を送りました。ゴドリックの谷襲撃事件では、それぞれ精神的に壊滅的打撃を受けながら生き残ってしまいました。そして長い苦労の年月の後、あとちょっとで勝利と平和を味わえるというその時、最後の闘いで命を落とします(;O;) 7巻ではこの2人のために大泣きしましたので、2人とも幸せになってほしいというのがミーシャの願いです。

原作でも、子供の頃はともかく、大人になっての2人にはそこそこ通い合うものが感じられますよね。スネイプの悪口をいうハリーをルーピンは諌めますし、スネイプはルーピンを守ろうとしてジョージ・ウィズリーの耳を誤射してしまいました。子供の頃も、ルーピンのほうはスネイプを可哀そうに思っていたのがうかがえます。「かわいそうってこたあ惚れたってことよ」という夏目漱石の名言がありますが、ルーピンはスネイプに惚れてたと思いますよ、ただ、子供時代の軋轢や自己否定的な性格ゆえに、行動に出られなかっただけじゃないかと^^;

このカップルの難点は、ルーピンにはトンクスと幸せになる道があったこと。そしてスネイプサイドでは、ルシウスとルーピンと並べたら、権威に弱いスネイプがルーピンに魅力を感じるかなあというとこです。ルーピン、頑張れ!

評定 ありうる度★★★★★ お気に入り度★★★★★


♥スネイプとダンブルドア

ハリーの時代、この2人は実に親密ですよね、みんなに隠れてこそこそと。スネイプのほうはダンビを敬愛し、信頼してほしくてハリーにやきもち焼いてますし、ダンビも長年スネイプを手放しません。死に直面し、あとを託したのはスネイプでした。他が立ち入ることのできない強い絆で結ばれていたと思います。サド・マゾコンビで相性もいいでしょう。

このカップルの難点その1は年の差。年の差カップル、いいですが、さすがに100歳くらいもあると。。。難点その2は目に余るダンビのパワハラぶり。Loveスネイプとしては許せん領域に達してます、スネイプは許してたでしょうがね。

評定 ありうる度★★★★ お気に入り度★★


♥スネイプとハリー

もしもハリーがリリーに似た女の子だったら、、、スネイプはハリー溺愛、グリフィンドール100点!つけまくりだったんじゃないかと。ハリーがジェームス似の男の子だったのが2人にとっての不幸といえるでしょう。

ハリーがスネイプの真意を知った後、もしもスネイプが生きていたなら(もしもばっかが辛い2人です)、、、
ハリーのスネイプへの思いは劇的に好感にかわり愛情の域に達したかもしれません。スネイプ側にも深いとこではハリーに対する愛情があると思いますが、ハリーの愛情を素直に受け入れられるかというと性格的に無理かも。この2人は愛し合いながらもうまく思いを伝えられない親子という感じです。

評定 ありうる度★★ お気に入り度★★★


♥スネイプとドラコ

この2人は愛し合ってます(確信)。ドラコはスネイプのタイプだと思うので、ドラコが思い切ってせまればカップル成立も夢じゃありません。一見強気で実は甘えん坊なドラコをたじろぎながら甘やかすスネイプ先生の図は捨てがたい魅力があります。

が、ヘタレ御曹司なドラコに迫る勇気があるか、スネイプの道徳心がドラコを受け入れられるか、あと、予想される強力な親の反対を乗り越えられるかがこのカップルの行方を左右すると思われます。

評定 ありうる度★★★ お気に入り度★★★★


♥スネイプとロン

うーむ、ハリー、ドラコの流れで思いつきはしましたが、なかなかカップルを想像しにくい2人です。ロンはよくもわるくも常識人な普通の子なので、常識外れに理解が難しいスネイプの魅力はわからないかも。スネイプとしても、外貌なり権威なりどこか華のある人に引かれがちな印象なので、ロンのことはハリーの応援団くらいにしか思ってなさそうです。

スネイプ視点からするとアウトオブ眼中になってしまうロンですが、一見めぐまれてそうで実は苦労人ですね。成績やいたずらでずば抜けて目立つ兄たちや、存在自体が目立つハリーと一緒にいて、ひがみや嫉妬でグレることなく愛と善意を持ち続けるのは、英雄になるのと同じくらい立派なことだと思います。ま、スネイプとカップルになるには度量が足りないというだけで。

評定 ありうる度★ お気に入り度★


続く(予定)

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(過去3)1981ハロウィーン/残された者たち2

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

リーマス

ホグワーツの小部屋に戻ると、大きく息をついた。ジェームスたちの葬儀という大役に気が張ってたんだろう。無事埋葬し、押し殺していた感情も墓の前で吐き出した。ジェームスのためにできるだけのことはしたという思いと、いつの日かハリーを守ること以外、もうしてやれることはないのだという寂しさが交錯する。とにかくこれで気持ちに区切りをつけて、明日からは自分の道を進むと決めたんだと言い聞かせて。だけど、、、ここを出て、どこに行けばいいんだろうと思うとため息が出た。ヴォルデモートの消滅という形で一時的に闘いは終わったけれど、人狼に対する世の中の目がかわるほど、現実は甘くない。

先を考えると途方に暮れるばかりで、いつしか心は仲間4人で楽しかった、ホグワーツの頃の思い出に浸っていた。思い出をたどってみれば、シリウスに対する複雑な思いは残るにせよ、あの頃の僕たちが分かち合った時間に、嘘も偽りもないと思う。楽しいことばかりじゃなかったけど、人狼の僕が普通の魔法使いみたいに、友情や恋に悩み、笑ったり泣いたりできた。夢を持って先に進もうとも思えた。僕の人生の、もっとも輝かしい日々は、彼らとともにここホグワーツにあった。

明日出てゆけば、もう立ち入ることもないかもしれない。どうせ眠れないんだし、思い出の詰まるホグワーツ城内を歩いてみようと思いついた。ブロングス、パッドフット、ワームテール、ムーニーと呼び合った、あの頃のように。

部屋を出て、杖先に灯した明かりを頼りに、思いのままに歩を進める。気持ちは学生時代の仲間たちと一緒だ。夜のホグワーツ城は謎めいていて、突然階段が動いて思わぬ場所へと導かれたり、どこへ続くかわからない廊下が現れたりする。心躍らせた冒険を思い出して、懐かしさと切なさに胸が熱くなった。ここにも、そこにも、子供の頃の僕たちの無邪気な笑い声が響いているようだ。

恋しくてたまらないけど、あの頃にもう二度と戻れないことはわかっている。楽しかった思い出を語り合う仲間がもういないこともわかっている。何をすることもできぬまま、僕以外は皆死んでしまったんだから。シリウスも、、、アズカバンにいる裏切り者は、あのシリウスじゃない。あつく友情を語ったパッドフットはもう死んだのだと、心に残る未練を断ち切った。仲間4人の素晴らしい思い出を糧に、これから僕は一人で生きてゆくんだから。ジェームスは僕を誇らしく思うと言ってくれたじゃないか。その言葉に相応しい自分でありたい。

しばらくそうして歩くうちに、暗い廊下の向こうで、黒い影が動いた気がした。暗闇の中でも、動くもの気配はわかる。皆が寝静まったこんな時間に誰かいるのか?訝しく思って急ぎ足でそちらに向かい、人影らしくなったその姿を見極めようと集中した時。

かすかに漂うにおいを感じ、理由もわからぬまま懐かしさと切なさがこみ上げた。矢継ぎ早にいくつかの記憶の場面が浮かび、噴き出す感情と記憶に圧倒されて、思わず立ち止まった。嗅覚は時として、理屈抜きで過ぎた日の感情や記憶を呼び覚ます。僕の鋭い嗅覚がとらえたのは、、、スネイプ

なぜスネイプがこんなところに?考えるより先に走り出し、近づいてみると、それはたしかにスネイプだった。卒業以来、姿を見るのはもう数年ぶりだ。髪は少し長くなった。学生の頃のままの細い背中はがっくりと肩を落として、、。懐かしさに一瞬気持ちが高揚したものの、傷ついた魂そのもののような後ろ姿に胸をつかれ、声をかけることもできないまま、少し距離をおいてスネイプの後を歩いた。スネイプなら僕の気配に当然気づくはずなのに、もうこちらを向いて杖をかまえていてもいいはずなのに、身を守ることすら忘れたような姿が痛ましい。

スネイプはやはり、リリーの死を嘆いてるのだと確信した。僕もスネイプも、かけがいのない大切な人を失ったんだもの。ジェームスとリリーの早すぎる死も、めぐまれない子供時代を送ったスネイプと僕のただ一つの支えが失われたことも、あらためて酷く理不尽に思えた。けれど、やつれたスネイプの姿を見ているうちに、悲しいのは僕だけじゃないんだと慰めも感じる。そうだ、僕とスネイプだけじゃなく、家族や愛する人を失って悲しみにくれた人は大勢いるはずだ。みな悲しみを乗り越えて何とか生きていく。

悲しいよね、寂しいよね、スネイプ。でも生き残った僕たちは、生きられなかった人の分までしっかりと生きなきゃいけないんだと思う。彼らが与えてくれたものを忘れることなく。今日墓地で、スネイプに話しかけるように自分に言い聞かせた言葉が浮かんできた。

僕もとても立ち直ったとはいえないけど、立ち直ろうと決めたんだとスネイプに言ってやりたい。大切な人を失った悲しみは、他で埋めることなどできないけれど、辛い経験をした者どうし、分かち合えるものもあると思う。振り返れば学生の頃、不本意ながらスネイプを傷つけるような事をしてしまったけれど、今、残された僕たちが互いに支えあうことで、現実を生きていくことができたなら。今はまだ想像もできないけれど、いつか笑いあえる日だって来るかもしれない。

スネイプの気難しい顔に、ごく稀に浮かぶ笑顔を追い求めた頃があったことを思い出す。人狼であることをひた隠し、自ら壁をつくって孤独にこもり、同じように影をまといながら芯の強さを感じさせるスネイプと親しくなりたいと願ったものだった。その後思いがけず仲間を得て、それは眩いほどの幸せだったけれど、その仲間たちとスネイプの折り合いの悪さを正す勇気を持てなかった。死んでしまった人にはもう何もできないけど、生きている人とやり直すことならできるんじゃないか?

スネイプに声をかけようかと葛藤していると、角を曲がった先にいるはずのスネイプの姿が突然消えた。今まで見ていたのは幻だったのかと戸惑い、あわてて後を追うと、目の前に開いた扉が現れた。扉の陰から部屋をそっとのぞきこむと、、、寄り添って立つ僕とスネイプが目に飛び込んできた。

これは、、、?よく見ればそれは大きな鏡のようなもので、その中で僕とスネイプが手をつなぎ、時に顔を見合わせて笑い合っている。視界の片隅に、鏡の手前にひざまづいて見上げている黒いローブの後ろ姿があることに気づきはしたけど、それが気にならないほどに、鏡の中の世界は魅惑的だった。子供の頃こんな夢を見たと思い、今僕はスネイプを追って暗い廊下を歩いていたはずだという思いもちらりと頭をかすめたけれど、すぐにそんなことはもうどうでもよくなって、ただただ、その幸せな世界に見入る幸福感に身をゆだねた。

どのくらいの間そうして扉のわきに立っていたのか。

突然、リーマスと耳元でひそやかな声がして驚いた。

「ダンブルドア先生!」

僕もわれ知らず声をひそめる。

「何を見ておるのかの、リーマス?」

「・・・」

僕とスネイプが手をつないで笑っているんですとダンブルドアに言うのははばかられたし、だいたい現実的に考えればありえない。僕はここでダンブルドアと話してるんだから。頭は現実に戻ったものの、視線はダンブルドアを離れ、ふたたび魅惑的な景色へと向いてしまう。そんな僕にダンブルドアはわずかに苦笑いするような表情を浮かべながら、隣に並び部屋の中を向いた。

「ずいぶんと嬉しそうな顔をしておったが、あの鏡に何が見えるのかの?死んだ者か、それとも生きておる者かの?」

何を言っているのだろう、ダンブルドアは。僕とスネイプが見えてないんだろうか?それとも、あれは死後の世界?

「死者が見えるものなのですか?僕たち、、、まだ生きてると思いますが。」

わけがわからないまま馬鹿な返事をすると、ダンブルドアが笑いながら小声で言う。

「いや、死者が見えるというわけではない。ということは、君には生きている『君たち』が見えておるということじゃの。けっこうなことじゃ。」

なんか見透かされた気がして頬が赤くなる。

「先生には僕が見ているものは見えないということですか?」

「その通りじゃよ、リーマス。」

ああ、よかった。

「あれは『みぞの鏡』といっての、見ている者の願望を映し出す鏡なのじゃ。生きている者が見えるなら幸いなことじゃ。まあ、意味はないのじゃがな。」

ダンブルドアはわずかに表情を曇らせて、視線を鏡からそらし、うづくまるスネイプに向けた。

「あの鏡の中に、死者を見る人もいるということですか?それは、スネイプのこと?」

「セブルスが鏡の中に何を見ておるのか、わしにはわからん。見る者により違うものが見えるのじゃ。じゃが何が映ったにせよ、それに意味はない。見た者が、そのような願いを持っているというだけのことじゃ。見たいものが見えれば幸せな気分になるかもしれんが、その願いが叶うかどうかとは何の関係もないのじゃ。君が鏡の中に見た願いを叶えたいなら、それに向かって努力することじゃの。叶うかどうかはわからんにしても。」

「わかりました、ダンブルドア。願いが叶うとすればそれは自分の努力によるもので、鏡に映ったかどうかは関係ないということですね。」

「そうじゃよ、リーマス。運や才能や、そもそも願いが現実離れしとることもあるから努力すれば叶うとは限らんがの。願いを叶えようと努力する気持ちになれるなら、それが叶わずとも他をみつけて前に進むこともできるはずじゃ。じゃが、鏡の中に死者の姿を見てしまう者は、、、。鏡の中の世界に魅了され、離れることができん。何をどうしようとも、鏡の外ではけっして叶わぬ願いなのじゃから。死者がいた過去に戻ることはできんのじゃ。」

ダンブルドアは物憂げな表情で言葉をとめ、僕はひたすらに鏡を見入るスネイプの後ろ姿を眺めた。スネイプの目には、リリーが映っているんだろう。仲の良かった幼い頃か、最後に見た卒業の頃の姿か。けっして叶うことのない願いに魅入られる後ろ姿が哀れでならなかった。しばらくしてダンブルドアが小さくため息をつき、僕に向き直った。

「セブルスはああしておりたいようじゃの。あの鏡は明日の朝にでも元の場所に戻すとしよう。部屋の奥にしまっておいたのじゃが、呼び出されて出てきてしまったようじゃ。」

もちろんダンブルドアも、スネイプが鏡の中に、今は亡きリリーの姿を見ていると知っているんだろう。

「僕だって死んでしまったジェームスたちに会いたいと思ってるのに。」

「君は健全だということじゃよ、リーマス。願っても叶わぬ思いにとらわれることなく、現実を受け入れ、辛くとも希望をみいだすたくましさががあるということじゃ。じゃからわしは君のことは心配しておらん。」

「スネイプのことは心配しているということですか?」

「君は心配しておるようじゃの。」

「・・・。それにしても、なぜスネイプがここにいるんです?」

「必要だからじゃよ。さあ、リーマス、もう真夜中じゃ。わしたちは寝ることにしよう。」

並んで廊下を歩きながらダンブルドアにスネイプの部屋の場所を尋ねると、地下牢棟の小部屋にいるらしい。何日か同じホグワーツに寝泊まりしてたなんて全然気づかなかった。気づいたところで、お互い言葉をかわせる状態でもなかったわけだけど。明日ホグワーツを出てしまえば、これきりスネイプに会えることはないかもしれない。せっかく会えたのだから、明日旅立つ前に部屋を訪ねてみようか、それともそっとしておくべきか。

部屋に戻って少し考えて、でも早々に寝ることにした。ホグワーツを出れば、寝る場所にも食べる物にも苦労するのが僕の現実だ。今日は気持ちのよいベッドでぐっすり眠り、明日の活力を蓄えておこう。仲間を失った寂しさも、人狼の生活のきびしさもかわりはないけど、それでも僕は生きていく。できれば前向きな気持ちで明日を迎えたい。

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tag : ハリーポッター リーマス スネイプ

(過去3)1981ハロウィーン/残された者たち1

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

リーマス

ダンブルドアに与えられた小部屋に入り、ベッドに倒れこんだ。このまま眠りに落ちて、目覚めたらすべてが夢だったらいいのにと思う。昨日に戻れるなら、僕は何だってする。

今日、僕は、すべてを失った。

僕に生きる意味があるとすれば、その意味を与えてくれた仲間たち。子供の頃のあの日、人狼の僕を見つめ、受け入れてくれた力強い眼差し、抱きしめてくれた温かい体。もう一人じゃないんだと思えた。喜びも悲しみも彼らとともにあり、共に歩むかけがえのない宝をこの手につかんだのだと信じていた。けれど。

光に包まれていたジェームスも、やさしかったピーターも、もういない。そしてシリウスは。手にしたと思った幸せは、一日にしてこの上なく無残に砕け散った。

今朝、人狼の集落でポッター家襲撃の話をきき、とるものもとりあえず町に出た。街路に散らばる予言者新聞の号外を拾い、信じられない思いでゴドリックの谷に駆けつけると、、、。ハリーの誕生を祝って皆で集まってから1年も経たないというのに、喜びにあふれていたその家は壊れ果てていた。目を閉じて佇めば、誇らしげなジェームスの声が聞こえる気さえするのに。

突然のふくろうの羽音に空を見上げると、号外の続報が舞い落ちてきた。急いでつかんで目を走らせて、、、続報を持つ手が震えた。うそだ!こともあろうに、シリウスが!

日頃静かな村でさえ、通りを行き交う人々は浮かれはしゃぎ、相手かまわず抱き合っていた。

「例のあの人はもういない!生き延びし子、ハリーポッターに祝福を!」

喜びの声を上げる見も知らぬ人から抱きつかれ、されるがままにしていたけれど、僕は茫然として、ただ心のうちで繰り返す。うそだ、そんなこと、あるわけない、ジェームスが死ぬわけない、シリウスが裏切るわけない。何度も何度も、そう思ううちに、これは敵を欺く壮大な作戦なんじゃないかと思えてきた。そうだ、そんなこと、あるわけないじゃないか。シリウスがジェームスを裏切り、ピーターを手にかけるなんて。

やもたてもたまらずホグワーツに駆けつけて、ダンブルドアに確認せずにはいられなかった。そして、すがりついた最後の望みが消えた。

僕はなぜ生き残ってしまったんだろうと思う。なぜ僕だけが。ひとり生き延びて、何になるっていうんだ?夢も希望も、彼らがいればこそだった。僕はなんのために闘ってきたんだろう。

傷ついた時、落ち込んだ時、いつも僕を支えてくれた友情は、このうえないほどに無残に砕け散り、思い出すらも、慰めにはならない。胸に浮かぶすべての情景に、シリウスがいる。友情に胸を熱くした、数え切れない思い出のどこかに、裏切りの芽が潜んでいたというのか。シリウスが闇陣営に寝返って、ジェームスを売るなんて。一心同体と言われるほどに仲がよかったじゃないか。

シリウス、なぜだ!なぜそんなことを!ジェームスを裏切るなんて!

心に浮かぶシリウスの腕をつかみ、肩をゆすぶって、問いつめたい。けれど、答えが得られるはずもなく、ただ、シリウスは生きて出ることはないアズカバンに収監されたのだという現実を噛みしめる。怒りにまかせて当然の報いだと思い、同時に起こる悲しみに打ちひしがれ、答えのない問いかけを空しく繰り返す。

ジェームスは死の間際、シリウスの裏切りを知ったんだろうか?ピーターはいつ、どんなふうにシリウスの裏切りに気づいたのか?勇気を持って追い掛けて、追い詰めて、そのピーターに自ら手をかけるなんて、どうしてそんなことができたんだ?

そして僕は、、。何も知らなかった。僕一人、蚊帳の外で、何も知らず、何もできないまま、気がつけばすべてを失い、一人残された。僕はほんとに彼らの仲間だったんだろうか?そう思っていたのは僕だけだったんじゃないか?あの友情の日々は嘘だったというのか・・・

いつの間にか眠りに落ちたのか、気がつくと窓の外が白んでいた。ジェームス、、、続いて浮かぶ名を払いのけ、、、ピーターと、心の中で呼びかけてみた。彼らがもうこの世にいないのに、僕がすべてを失ったというのに、何事もなかったように夜が明け、また一日が始まるのが理不尽に思えてたまらない。なぜ僕は生きているんだ。目覚めたことが呪わしく、これから僕はどうしたらいいのかと途方に暮れた。

そうだ、、、ジェームスの葬儀の準備をしなければ。ダンブルドアにそう命じられたのだった。

重い体を引きずるように洗面所に行くと、やつれた薄汚い男が鏡に映っていた。こんなふうにしてちゃダメだと自分を奮い立たせる。誰よりも輝かしい人生を送ったジェームスを、それに相応しく送りださなくちゃいけない。今僕にできるのは、それだけなんだから。

ひげを剃り、顔を洗うと、少しは人心地がついた。ホグワーツの屋敷妖精が運んでくれた朝食をのどに流し込んで、葬儀の段取りを考える。少しでも気を緩めると噴き出してくる様々な思いを振り払い、ただジェームス夫妻の葬儀をきちんと執り行えるように、そのことだけに心を向ける。

ダンブルドアと打ち合わせ、実際に葬儀の準備に取り掛かると、それは想像以上に事細かな雑事の積み重ねだった。とにかく、次から次へとやることや決めることがでてくる。もちろん僕一人の手に負えることではなく、騎士団の仲間たちも助けてくれた。ともに仲間の死を悼み、仲間の裏切りに戸惑い、けれど彼らの中に戦いの終わりへの抑えようもない安堵と喜びが感じられるたびに、僕は傷ついた。彼らには心弾む明日への希望があるけど、僕にはもう何もない。立ち止まって考えてしまえば、もう二度と立ち上がれない気がして、ただ目の前にあることにすがるように、ひとつひとつ、すべきことをこなしていった。

数日後、ゴドリックの谷で、ジェームスとリリーの葬儀が盛大に執り行われた。執行者として、盛大にしたいと思ったわけじゃないけど、そうなるだろうと予想して準備した通り、おおぜいの魔法族が訪れた。ヴォルデモートを倒し、魔法界を闇の恐怖から救った奇跡の子の父母の葬儀は、死者を送る会であるとともに、魔法界をあげての祝賀の式典の色合いも帯びる。参列者たちは、彼らの尊い犠牲を悼み、平和に感謝し、彼らが遺した英雄を称えた。

僕はたんたんと式辞を進め、一般参列者を交えた式を終えると、騎士団の仲間たちと一緒に、ジェームスとリリーを墓地に埋葬した。こちらは、いわば身内だけだから、しめやかなものになる。一人ひとり、ともに闘い、散った仲間に、花を捧げ、言葉をたむけた。

帰途につく彼らを見送って、一人、墓の前に腰を下ろした。短い秋の日の日暮れも近い。ローブにしのばせていた魔法袋から、小さなグラスを取り出して、ジェームスの墓の前に置き、酒を注ぐ。僕も一口飲んで。

「ジェームス」

ジェームスの名が刻まれた、真新しい墓石に呼びかけた。

「こんな葬式でよかったかな?魔法界中から人が駆け付けて、大盛況だったよ。君も見てただろ?まったく君ときたら、死んでも人気者だから。真の英雄だよ、ジェームス。」

だけど、ほんとは、みんな英雄の親を送りに来たんだと思ったら、なんだか泣けてきた。葬儀に詰め寄せた多くの人のほとんどは、ジェームスのことを直接知らない。ジェームスがどんなに勇敢だったか、明るくて、茶目っけがあって、僕みたいな者にも惜しみない友情を注いでくれて。あの輝かしい日々をともに語り、耐えがたい友の死の悲しみを分かちあう仲間がいないのが耐え難く思われる。生前のジェームスはいつも光を放ち、皆の憧れと称賛に包まれていたのに。まだ21の若さで土に埋められて、悼む仲間が僕だけなんて、あんまりだ。

「寂しいよ、ジェームス、僕ひとりなんて。なぜ、、、」

なぜシリウスがここにいないと言いかけて口をつぐむ。ジェームスに向けて言うには辛すぎる。ほんとはここで僕より、誰より、シリウスこそジェームスの死を嘆いて大騒ぎしてるはずじゃないか。こみあげる怒りと悲しみを墓に眠るジェームスに向けるのがはばかられ、やり場のない思いの行き先を求め隣の墓に目をやった。

『愛されし妻、勇敢なる母』と、墓標に刻まれた文字に、ハリーを抱くリリーの姿が浮かぶ。その隣に立ち、誇らしげに笑うジェームスも。

心残りだったろうと思う、あんな可愛い幼子を残して逝くのは。でもジェームスもリリーも、最後までハリーを守ったに違いない。彼らならきっと、最後のその瞬間まで、希望を捨てず、全力でハリーを守ろうとしたはずだ。そして、守り抜いたんだ。

僕は杖を掲げ、呪文を唱えて杖先に灯りをともした。すでに闇に包まれた墓地の中、明かりに浮かぶ2つの墓に、頭を垂れる。ジェームス、リリー。素晴らしい仲間、勇敢な闘士、愛に満ちた父と母。君たちが与えてくれたものを、僕は忘れない。一人残されたなどと、嘆き続けるのはやめよう。君たちに恥じぬ僕でありたい。明るい未来が描けなくても、僕は僕なりに、精いっぱい生きていく。そしていつかその時が来たら、君たちが遺したハリーを、今度は僕が全力で守る、必ず。

2人に別れを告げて、歩き出したものの行く当てはない。暗い道をあてどなく歩きながら、ふとスネイプを思い出した。ジェームスの墓の前で僕が一人打ちひしがれたように、リリーの墓の前にはスネイプがいるべきじゃないかと思う。ジェームスと同様、リリーも光放つ人だった。その光に支えられ、今誰よりその死を悼んでいるのはスネイプのはずだ。葬儀にも姿を現さず、何してるんだ。

だけど、考えてみればスネイプのことだから、皆に交ってリリーを見送るなんてできないんだろう。今どんな立場で、どこにいようと、リリーの死に打ちのめされているに違いない。肩を寄せあう赤毛の少女と黒髪の少年が心に浮かんだ。4人で笑い転げる子供の頃の僕たちも。時が過ぎ、こんな日が来るなんて、思ってもいなかった。皆の姿が消えて、取り残されてぽつんとたたずむ、黒髪の少年と僕。

スネイプ、生き延びた者には、生きられなかった者の分まで生きる義務があるんだと言ってみた。彼らがくれたものを守り、彼らに恥じぬよう、前を向いて進まなきゃいけない。たとえそれがどんなに寂しく辛い道であっても。

同じことを、何度も繰り返し、自分自身に言いきかせるうちに、なんとかそうして生きていけそうな気がしてきた。そしてふと、ダンブルドアは僕が立ちあがれるように、葬儀の世話役を任せたのではないかと思いついた。細事に取り組むことで我を失うことなく現実に留まり、少しずつ辛い事実を受け入れて立ち向かえるように。葬儀は死者を送るものであると同時に、残された者が現実を生きていけるよう区切りをつけさせるものなのだ。

ホグワーツに戻り、ダンブルドアにあいさつした。今までの礼を言い、明日ここを出て僕なりの道を模索してゆくつもりだと伝えた。


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