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セブルス・スネイプと謎のプリンス(11)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


横たわるダンブルドアの姿、ダンブルドアに杖を向けるドラコの恐怖に歪んだ顔、必死で抱きとめる私、ダンブルドアに死の呪文を放つ私自身、ダンブルドアのデスマスク、私に杖を向け「裏切り者!」と叫ぶダークロード、私を取り囲み糾弾するデスイーターたち、のたうつクルーシオの苦悶、向かい合うダークロードとポッター、放たれる閃光、倒れるポッターと、ダークロードの高笑い、そしてアズカバンの暗い独房にうずくまる私、私を指差し「ダンブルドアを殺した!」と非難する人、人、人・・・・

眠れない。眠ってもすぐ悪夢にうなされる。こんなことばかりが頭をよぎり、それは夢なのか、覚醒時の幻なのかも判然としなかった。私は自分がかなりのうつ状態にあることを自覚していた。すがるように思い浮かべるリリーの姿も薄れがちで、弱々しい銀色の牝鹿に沿い立つ牡鹿の姿がわずかな慰めだった。


睡眠も活力も魔法薬に頼らざるをえなかったが、それでも学校の新学期となれば気を引き締めねばならない。ホグワーツに戻り、念願の闇の魔術に対する防衛術の授業計画をたてたり、教室を模様替えしたりするのは気晴らしになった。幼い頃から魅了された闇の魔術の底知れぬ深さと恐ろしさ、そしてその防衛に必要な精神力と柔軟性。ようやく生徒たちに教えることができるのだ。そして、私にとっては、曲がりなりにも純粋に一教師として教鞭をとる最後の年になる。

入学式の日。習慣とはおそろしいもので、無意識のうちにポッターの姿を探していたのだが、ホグワーツ特急が着き、大ホールに生徒たちが集まり、入学式が始まっても、ポッターは現れなかった。なぜポッターは皆と同じことができず、心配ばかりかけるのか?腹を立てて庭を探していると、薄暗がりの中、銀色の光が私に向かって来るのが見えた。騎士団の伝令だ。しかしあれは、、

銀色の狼。

ルーピン?そんなはずはないが。なりばかり大きくて弱々しい銀色の狼が、私の前に立ち伝令を発した。

「こちらトンクス。ハリーを保護している。校門まで出迎えヨロシク。」

トンクス。おっちょこちょいの闇祓い。おっちょこちょいにもほどがある。よりによってルーピンに思いを寄せたのか?ルーピンからは何もきいていないが。むっとした気分でランタンを下げて校門に向かった。

ポッターはローブに着替えもせずに立っていた。ポッターを門内に迎え入れ、トンクスの鼻先で門を閉じて言ってやった。

「新しい守護霊を興味深く見せてもらった。」

トンクスの髪は茶色にくすみ、惨めな表情をしていた。私は力強い銀色の牝鹿を思い浮かべた。

「私は古いもののほうがよかったと思うが。新しいものは弱々しく見える。」

トンクスの表情に、衝撃と怒りが浮かんだが、私は振りかえりポッターを連れて城に向かった。

父親そっくりのポッターの顔を見ると、反射的に杖を構えたくなるのだが、立場上そうもいかないので、遅刻と服装でグリフィンドールからあわせて70点を減点した。今やポッターを見て湧きあがる怒りや憎しみだけが、なんの配慮も要せず表せる私の感情なのだった。そして怒りというものは、いつだって恐れや悲しみより生きる力につながるものだ。

しかし大ホールに戻ってダンブルドアの隣に着席すると、黒く呪いに蝕まれた右手が目に入り、再び気が滅入った。今年度は闇の魔術に対する防衛術の教授に就任すると紹介されても、立ち上がる気も起らず、スリザリン席からの拍手に手を上げて応えるのが精いっぱいだった。


新学期初めの闇の魔術に対する防衛術の授業。私は生徒たちに、思いのたけを込めて語った。

「闇の魔術とは、多種多様にして、常に変わり続ける永遠なるもの。それと戦うのは、多くの頭を持つ怪物と戦うに等しい。頭一つを切り落とすたびに、さらに獰猛でずる賢い頭が生えてくる。闘う相手は、定まらず、変化し、破壊不能なものなのだ。」

恐ろしさは伝わっただろうか?

「それゆえ防衛術は、闘う相手と同じく、柔軟にして創造的でなければならぬ。」

壁に配した、闇の魔術の犠牲者を描く絵を示した。すべては前回の闇陣営隆盛時の現実なのだった。生徒たちに十分その恐ろしさがしみ込んだと見えたところで、今日の課題、無言呪文の話を始める。無言呪文の利点を尋ねると、手を上げたのは一人だけ、魔法薬学でもおなじみのグレンジャーだった。ほかに挙手するものがいなかったのであてると、6年生の教科書と一字一句違わぬ回答をした。創造的であれといった先からこのざまだが、正解ではある。

「概ね正解だ。呪文を掛ける際、声を出さずにできる域に達した者は、驚きを与える利点を得る。言うまでもなく誰にでもできることではない。強い意志力と集中力が必要だが、こうした力に欠ける者もいる。」

もちろんポッターのことだった。閉心術の個人授業で示した意思力の弱さ。ポッターに目を向けると、反抗的な目でにらみ返してきた。それが神秘部の闘いという結果を招いたというのに、何の反省もしていないのは明らかだった。

「それでは、2人1組になり、1人が無言で呪文をかけ、もう1人も同じく無言で跳ね返してみなさい。始め。」

取り組む生徒たちを見て回ると、小さな声を出してごまかす者もいたが、グレンジャーは10分ほどでうまく跳ね返していた。皆予習をしてくれば、このくらいできてしかるべきなのだ。しかし、ポッターとウィーズリーの組をみると・・・ウィーズリーが呪文をかけられず、跳ね返すべき呪文がこないポッターはそれをポカンと見ているだけだった。

「悲劇的だな、ウィーズリー」

見かねて私が手本を示そうと杖を上げるや否や、ポッターが教えたこともない楯の呪文を大声で叫び、私はバランスを崩してしまった。

「今は無言呪文の練習をしているのはわかっているな、ポッター?」

詰問すると反抗的に礼を失した答えをしてきた。なぜポッターは教師に敬意を表し、まじめに学ぼうとしないのか?誰より必要だというのに。・・・血だ。横柄で自らを省みぬポッターの血を受け継いでいるのだ。父親と同じ横柄な態度で、父親と同じように殺されたいのか?私は罰則を課し、土曜日に研究室に来るようポッターに告げた。ポッター以外は、他の学年も含めて、概ね真面目に授業に取り組んでいるようだった。

しかしポッターの罰則は延期になった。土曜日にはダンブルドアがポッターに個人授業をするというのだった。残り少ない時間を割いて、ダンブルドアはポッターに何を教えるつもりなのだろう?気になったのだが、その後ダンブルドアは「ドラコの様子に気をつけるのじゃ」と言い残してしばらく学校を留守にしてしまい、話す機会も持てなかった。

ドラコの様子もおかしかった。OWL試験を終えた6年生は、科目数が減って自由時間が増える半面、授業内容が高度になり宿題が多いのだが、ドラコは宿題を提出しなかった。他の教授たちに聞くと、私の科目だけではないようだった。宿題もやらず、何を企んでいるのだろう?研究室への呼び出しにも応じない。

ポッターもダンブルドアもドラコも、イライラすることばかりだった。頼みの綱も、心配の種も、私の思い通りにならぬことばかり。気を揉むばかりで時間だけが過ぎてゆく。私にできることは何かないものか?気休めに過ぎないと思いながら、闇の魔術を調べなおし、対抗呪文や呪いを癒す魔法薬を研究し、まとめ上げていった。ちょうどどちらにも造詣が深く、私の学生時代の恩師でもあるスラグホーン教授が魔法薬学の後任となっていたので、さりげなく助言を求めたり、今では手に入りにくい古い本を借りたりすることができた。

しかし、ダンブルドアが死んだ時には、同時に私は闇陣営に留まることになり、身近でポッターを守ることは叶わない。このような研究が何の役にたつのかとため息をついた時、ふと、ほんの思いつきなのだが、グレンジャーの顔が浮かんだ。知ったかぶりの出しゃばりではあるが、年度初めに教科書を丸暗記しているほどに学習意欲は高い。防衛術の授業でやることは生徒皆に授業で教え込むとして、呪いや傷を癒す治癒呪文と魔法薬について、役に立ちそうな知識をグレンジャーに与えておくのはどうだろう。

もちろん、生徒を敢えて危険に巻き込むことはできないが、グレンジャーはポッターの仲間だ。神秘部の戦いでも、ともに出かけて呪いの傷を負った。あの時は危ういところで騎士団を送れたからよかったが、この先は私の目が届かぬところで危険な目に会うこともあるだろう。グレンジャーが治癒呪文を知り、魔法薬を携えていれば、ポッターのみならず本人や他の者の助けとなるかもしれぬ。考えるうちに、これは意外によい思い付きではないかと思えてきた。問題は伝える治癒呪文や魔法薬の選定と、本人にも、また万一闇陣営に知られても怪しまれぬような伝え方だった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : セブルス ダンブルドア ポッター

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