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セブルス・スネイプと謎のプリンス(13)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クリスマスには、久しぶりに任務を離れ、隠れ穴でハリーや騎士団の仲間と過ごすことにした。ダンブルドアの指示で、秋口から人狼の集団に潜入していたのだ。やつれていくセブルスのことは気になったけれど、フェンリール・グレイバックが人狼たちに闇陣営への賛同をはたらきかけるなか、彼らの動きを探り敵方への傾倒を防ぐのが必要なのは明らかだった。この任務に人狼の私が最適なのは言うまでもないから、やむをえなかった。

共に暮らす人狼たちは、貧しく、惨めで、荒んでいた。そしてなりたくてなったわけでもないのに、忌み嫌い排斥する魔法界と、手を差し伸べないばかりか締め付けを強める一方の魔法省を、深く恨んでいた。彼らは、ホグワーツに招いてくれたダンブルドアや、人狼と知っても親友になってくれたジェームスやシリウス、そして人狼を正しく理解し偏見を持たずに接してくれるセブルスに会えなかった場合の、私の姿そのものだった。

人里離れた森の奥に生きる場所を求め、森の木の実や獣、たまには町で盗みをはたらき、糊口をしのぐ。わずかな食いぶちをめぐって仲間内の争いも頻繁に起こる。人を恨み襲おうにも、捕まれば処分されることを恐れ、ままならぬ苛立ち。

グレイバックはそんな彼らの窮状につけ込み、ヴォルデモートの世になれば、獲物となる人を与えてもらえる、子供を噛み、親から離して魔法使いを憎むように育て、人狼を増やすことで肉体的に勝る我らが魔法族を支配するのだと説いていた。残念ながら、グレイバックの意見に与するものが多い。ダンブルドアは人狼や魔法生物と魔法使いの共生を説き、より大らかな平和な世を目指していると言っても、現魔法省の支配に虐げられた彼らには、夢物語としか理解してもらえなかった。

私が5歳の時に、私を噛んで人狼にしたのはグレイバックだった。人狼が何かとわかった頃、私は本能に負けて私を噛んだ人狼に同情さえ感じたものだが、グレイバックは、私の父が闇陣営に反した報復として、狙いを定めて私を噛んだのだった。最も凶暴で凶悪な人狼。

グレイバックに共感する者が多いなか、スパイとしてともに暮らすのは苦痛をきわめた。恐怖と嫌悪、そして仲間ともいえる同じ人狼を、疑い欺く空しさ。セブルスはスパイとしてずっと、デスイーターたちの中でこのような苦痛に耐えていたのか?いや、ダークロードの目前で、その苦痛は私など思いもよらないものだったに違いない。

きっと、、、。私は目を覆いたくなる現実の中で、何度も思った。この戦いに勝ち、ダンブルドアが治める世になれば、彼らの境遇も改善されるに違いない。セブルスも心を開き、きっと私たちはともに幸せをつかめるだろう。そう願って任務を耐え忍んでいた。

隠れ穴につくと、クリスマスの飾りつけが進む温かい気配に、やっと人心地がついた。昼前には、ウィーズリーの子供たちやハリーも到着して、周囲は賑わいだ雰囲気になってきたけれど、私の思いはずっとセブルスにあった。曲がりなりにも恋人めいた関係になって初めてのクリスマス、共に過ごしたい。フル―パウダーで現れてくれるのではないかと、じっと暖炉の炎に目を凝らしていたけれど、当然ながらセブルスの顔が現れることはなかった。

近くでアーサーとハリーが話しているのを聞き流していたら、セブルスの名前が出て私は耳をこらした。ハリーが、セブルスとドラコ・マルフォイが密かに話すのを聞いたと言っている。マルフォイが何か企んでいて、セブルスが助けを申し出ていたと。アーサーは、セブルスがそういうふりをしているだけだと考えられないかとたしなめるように答えたが、ハリーは食い下がっていた。

「そういうと思っていました。でも、僕たちにはどうだかわからないでしょう?」

私はハリーのことが好きだし、幼い時に両親を亡くし、ヴォルデモートとの対決を運命づけられたこの親友の遺児を、心から愛し守りたいと思っているのだけれど、セブルスに対する偏見に満ちた態度だけは我慢ならなかった。セブルスの苦痛の何をわかっているのか。任務のためにどれだけの犠牲を払っているか、わかっているのか?

「私たちは判断する必要はないんだ。」

突然口をはさんで断言した私に、ハリーは驚いたようだった。

「それはダンブルドアの役目だ。ダンブルドアはセブルスを信頼すると言っている。私たちにはそれで十分なんだよ。」

「でも、、、ただ、、ダンブルドアがスネイプについて判断を間違っていたら?」

「みんな何度もそう言った。結局はダンブルドアを信じるかどうかということなんだ。私は信じているよ。だから私はセブルスを信じる。」

「だけど、ダンブルドア自身が自分も間違うことはあるって言ってた。それに、、、あなたはほんとうのところ、スネイプを好きなの?」

ああ、大好きだよ。心の中で大きく頷いたが、ほんとうのことは言えない。セブルスへの全面的な肯定は、ジェームスを否定することになってしまう。記憶すら残らず亡くした父親のことを、悪く思わせることは忍びなかった。今となっては、ハリーに父親を語ってあげられるのも、私だけなのだから。セブルスを除けばだけれど。

「セブルスのことは、好きでも嫌いでもないよ。ジェームスとシリウスと、セブルスとの間にあったことを考えれば、親友にはなれない。苦い思い出ばかりだからね。だけど私がホグワーツで教えていた1年、セブルスは脱狼薬を作ってくれた。完璧に。おかげで満月のときに苦しみを味わうことはなかった。」

「だけどスネイプは、あなたが人狼だと『偶然』漏らしてホグワーツから追い出したんだよ。」

ハリーは怒ったように言った。私は肩をすくめて答えた。

「どうせ漏れることだったんだ。セブルスが私の職を欲しがっていたことは公然のことだったけれど、薬に細工をすればもっと私に打撃を与えることもできたんだ。だけど彼は私のことを健全に保ってくれた。感謝すべきだと思う。」

それ以上だった。脱狼薬を飲み、人の意識を保って変身した私を、セブルスは自室で見守ってくれた。セブルスの足元で丸くなって眠る狼。安らかな満月の夜。

「きっとダンブルドアが目を光らしていたから、薬に細工できなかったんだ。」

それでもハリーは言った。お手上げだった。学生の頃のように。

「君はあくまでセブルスを憎むと決めているんだね。わかるよ。父親がジェームスで名付け親がシリウスなのだから、古い偏見を受け継いでいるんだろう。アーサーや私に話したことをダンブルドアに言えばいいけど、その話にダンブルドアが驚くとは期待しないほうがいいよ。セブルスはダンブルドアの命令でドラコと話したのかもしれないからね。」

それから話しは私の任務のことになった。人狼の集団の話、そこでのスパイ任務の現状、それからグレイバックが私を噛んだこと。人狼たちがグレイバックの考えになびいていること。

「でもあなたは普通の魔法使いだ!ちょっと問題を抱えているだけで・・」

私は思わず笑い出した。ジェームスも周りの人に、私がちょっとした毛むくじゃらの問題を抱えていると言ったものだ。ハリーにそのことを話して一緒に笑うと、わだかまりが溶けていくようだった。ハリーはほんとによい子なんだ。セブルスのことが絡みさえしなければ。それもジェームスやシリウスと同じだった。

ハリーはその後、『半純血のプリンス』を知らないかと言いだした。その人の教科書を持っているという。私が学生の頃一時期大流行したレビコーバスの呪文などを発明した人らしい。ハリーの心を探ると、ハリーはそのプリンスがジェームスではないかと期待しているようだった。そうではないし、シリウスでも私でもないと断言しておいた。もしかしたらセブルスのものかもしれない。6年の頃セブルスはリリーとも離れ、一人熱心に研究に励んでいたから。ひょっとしてその教科書はジェームスが盗んで隠したのではないかと思ったけれど、それはハリーのために、言わないでおいた。


夕食会がお開きになり、私はモリーにことわって、隠れ穴を出た。セブルスに会いたかった。クリスマスの夜を、一人で過ごさせたくなかったし、私自身セブルスといたかった。自宅にはワームテールがいると言っていたが、セブルスもクリスマスの夜をピーターとともに過ごしたくはないに決まっている。

ホグワーツだ。校門の前にアパレートし、守護霊の伝令を送った。万一を考え、言葉は託さずに。すぐに銀色の牝鹿が姿を現し、私の前で首を傾げた。私はもう一度伝令を送った。今度は一言、校門の前にいる、と。10分もしないうちにセブルスが現れた。

ルーピン、時間がないのだが。」

「少しだけ。セブルス、今日はクリスマスだよ。」

逃げられないように肩を抱いて、そのためだけになけなしの金をはたいて借り続けていた貸し家にアパレートした。冷え切った部屋に明りを灯し、少しだけ持ってきた隠れ穴の夕食を並べた。ソファに並んで座り、飾りもない部屋に牡鹿の守護霊を出す。

「メリークリスマス、セブルス」

セブルスも守護霊を出して答えてくれた。

「メリークリスマス」

セブルスはまた一段とやつれ、手を置いた肩は壊れそうに細かった。

「眠れないのかい?」

セブルスは肩をすくめただけだった。セブルスは何もしゃべらないから、私は任務の話や、隠れ穴の夕食会の話をした。セブルスは何も言わなかったけれど、嫌そうではなかった。ハリーの『半純血のプリンス』の話しをすると、おかしそうに笑い出した。

「そんなことだと思っていた。」

「プリンスを知っているのかい?」

「ポッターには内緒だぞ。」

ハリーの名を出すときだけ、皮肉めいた顔になった。

「ハリーは知りたがっているけど。言ってはいけないのなら言わないよ。」

「私の母の旧姓はプリンスというのだ。」

「じゃあハリーは君の教科書を大事に持っているわけか。」

「少しは勉強すればいいのだ。理解できないだろうが。」

それからまた私の任務の話になった。人狼の村での潜入生活の話をすると、心配そうに私の体を眺めている。

「彼らはほんとに追い詰められた生活をしているんだ。そこをグレイバックにつけ込まれて・・・。私たちが勝てば、きっとダンブルドアが、人狼ももう少しましな暮らしができるような世の中にしてくれるんじゃないかと思うんだけどね。」

セブルスが少しつらそうな表情を見せた。

「そうなったら、セブルス、一緒に暮らそう。私たちは子供の頃から、ずっと戦いの影を受けて暮らしてきたけれど、戦いが終わったら、私たち自身の幸せを求めて生きてもいいと思うんだ。私はまともな職は見つけられないかもしれないけど、できるだけのことをして君が健康に暮らせるように、笑顔が見られるように努力するから。」

セブルスの返事はなかったけれど、私はもう一度守護霊を出した。セブルスも守護霊を出して、2人で何度か繰り返し、狭い部屋の中を駆けては消える銀色の光をクリスマスツリーの代わりにして楽しんだ。

まもなくセブルスが時計を見て立ちあがった。

「やることがあるのだ。」

それからドア先で振り向いて、わずかにほほ笑んだ。

「メリー・クリスマス、ルーピン。」

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tag : ハリー セブルス スネイプ ルーピン ダンブルドア

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