スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと謎のプリンス(14)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


クリスマスが終わると、すぐに年が明けた。クリスマス前にドラコの説得がうまくいかなかったので、私はドラコの動向に目を配っていた。クラッブやゴイルを見張りにたてて何か企みを進めているようなのだが、なかなか現場を捕まえることはできなかった。そうしながらも、私は湧きあがる焦燥感と戦っていた。

ダンブルドアが指輪の呪いを受けてからもう半年が過ぎたことになる。あと半年も経たぬうちに・・・。ダンブルドアはいっそう疲れているように見えた。そう遠いことではないはずだ。ドラコが何かしでかせば、突発的に、明日にもその時が来るかもしれないのだった。つまり、私がダンブルドアに杖を向けねばならぬ時が。

それなのに、ダンブルドアはその後具体的な指示も出さず、今後についての説明もない。残りわずかな時間を割いて、相変わらずポッターと校長室にこもって何やらしているのだ。

研究室で苛立ちと絶望感に苛まれていると、グレンジャーが闇の魔術に対する防衛術で出した宿題のレポートについて質問しにやってきた。学習意欲の高い生徒としてそう不自然なことではないが、質問の答えを得たのちも、立ち去ろうとせず机のわきでもじもじと立っているのは不自然なことだった。用もないのに私の研究室に留まりたがるのはドラコ、、、以前のドラコくらいのものなのだ。

しかし、用件が終わった生徒を追い出しもしない私の態度も不自然ではあった。私は「闇の魔術に対する防衛術---まさかのときに役に立つ治癒呪文」と表紙に書いた手帳をわざとらしく机の上に置き、グレンジャーの目につかぬものかと待っていたのだった。叱責と嫌味以外でグリフィンドールの生徒に話しかけようと思うと、まったく途方に暮れてしまったのだ。

スネイプ先生」

「ミス・グレンジャー

声をかけたのは同時だった。しかしグレンジャーはずる賢くも、先に聞いて来た。

「なんでしょうか、先生?」

「うむ。君は今日も質問に来たように、なかなか熱心な生徒だ。成績もよい。」

グレンジャーが驚きのあまり目を丸くした。そこから笑顔がこぼれそうになるのが恐ろしく、あわてて言葉を続けた。

「しかし闇の魔術に対する防衛術は他の科目に劣っているようだ。5年時の成績も、他は優だったのに、防衛術は良であった。何かが欠けていると思わぬか?」

グレンジャーはむしろほっとしたような顔をして答えた。

「えーと、柔軟性と創造力が足りないんでしょうか?」

「その通りだ、ミス・グレンジャー。今の答えも私が最初の授業で必要だと言ったことをそのまま復唱している。丸暗記だけでは闇の魔術に歯が立たぬ。とっさの柔軟な思考と瞬発力が物を言うこともあるのだが、君にはそれが欠けている。しかしこれは生来のものもあり、君には難しいようだが。」

今度は泣きそうな顔になったので、私はまたあわてて言葉を続けた。

「しかし他で補うこともできる。闇の魔術に対し、時に防衛しきれぬこともあるが、その時にはなんとか逃れ、傷を癒し次の闘いに備えることが重要なのだ。死んでしまっては次の防衛はならぬからな。そして迅速な治癒ができるかどうかが生死の分かれ目になることもある。」

私がわざとらしく机の上の手帳に目をやると、グレンジャーも素直に目を向けた。

「でも先生、治癒呪文は授業で習いません。」

「授業で習わぬことは必要ないと考えているのか?」

「いえ、役に立つ教材をおしえていただければ。たとえば、、、その手帳のようなものがあれば、私の術も補えるでしょうか?」

「これはたまたま私が身につけるべきだと思うものをまとめたのだが、すでに私には必要ないものだ。持って行け。」

訝しげに私を見ながらおずおずと手にとった。心をのぞくと、私の真意をうかがっていて、ポッターと自身の身を守れという私の意図は理解したようだ。一気に魔法薬もかたつけよう。こんなことをまたやるのはかなわない。

「治癒に必要なのは治癒呪文だけかね?」

「え?えーと、魔法薬が必要なこともあります、先生。」

「その通りだ。君は魔法薬学の授業において、受け入れられる程度の薬を調合していた。しかし、呪いを受けてから調合しても間に合わぬこともある。材料の準備に数カ月かかる薬もあるからな。そこでだ、」

私は言葉を切って、準備してあった薬剤袋を取り出して見せた。魔法で縮めた小さな袋だが、中には闇陣営との戦いで役に立ちそうなもの、適用範囲の広いものを厳選し十数種の薬剤を入れてある。もちろん、適応と使用量の説明も付けて。

「ある程度の保存を効かせて、すぐに使える魔法薬を携帯することも、君に欠けた能力を補う一助となると思わないか?」

私が薬剤袋を差し出すと、グレンジャーはまたおずおずと手を出して受け取った。

「使用期限のある薬剤もある。新しいものが医務室の棚の左上に補充され、目くらましの術がかけて置いてある。取り寄せ呪文で手にすることができるであろう。いざというときに期限が切れていてはまずいことはわかるな?」

回りくどい物言いの意味を、グレンジャーは理解したようだったが、これは自分にだけ与えらるものかと思案している。

「ミス・グレンジャー、これは、君に、欠けた資質を補うために必要なものなのだ。」

「わかりました、先生。ご指導を、ありがとうございます。」

「よろしい。それで、君も何か私に言いたいことがあったようだが?」

「あの、闇の魔術に関することだと思うのですが、、、、ホークラックスについて何かご存知でしょうか?図書館で調べても見つかりません。」

ホークラックス?忌まわしき闇の魔術の中でももっとも忌まわしきもの。私も詳しくは知らないのだが、なぜグレンジャーがそんなことを調べたいのだ?グレンジャーの目をのぞき込んで心を探ると、ポッターがその話をする姿が見えた。

「なぜ君がそんなものに興味を持ったのかということに、むしろ興味をひかれるな。」

グレンジャーの顔が赤くなった。口止めされているのだ。

「残念ながら、それは語ることを禁じられた闇の魔術だ。私に教えられることはないが、軽い気持ちで弄んではならぬことだと言っておこう。用件はそれだけか?」

グレンジャーはうなづくと、手帳と薬剤袋をローブに隠しこんで、研究室を出ていった。これで、傷を負って逃げおおせたような場合には、応急処置ができるだろう。気休めにすぎないかもしれないが、ダンブルドアが死に、闇陣営がホグワーツを支配するようになれば、ポッターは学校に来ることはできないだろう。今までのようにポピーや私がすぐ診ることはできなくなる。グレンジャーが役に立つかもしれない。

それよりも、、、ホークラックスとは。グレンジャーの言うとおり、図書館の蔵書にその記述はないが、昔マルフォイ邸で闇の魔術に関する品や本を漁るように見せてもらっていたときに、簡単な説明を読んだ覚えがあった。ホークラックス、魂を分けて保存する分霊箱。作るには殺人を伴う邪悪な闇魔術が必要だが、その身が滅びても保存された魂により蘇ることができる。あまりの邪悪さゆえに堅く禁じられ、知る者も少ないはずだ。

「余は魂だけの惨めな姿になり・・・」

すぐにダークロードの言葉が頭に浮かんだ。そしてあの不気味な容貌も。それは魂を分けたための変貌と思えば納得がいく。ではダークロードの復活は、ホークラックスによるものだったのだ。

周囲の温度が下がった気がした。しかし。一度は滅びたダークロードが復活したということは、ホークラックスに収められていた魂を使ったということだ。そして父親の骨と、下僕ワームテールの肉と、敵であるポッターの血を使い、その魂の宿る体を得たのだ。それなのに、今ポッターたちがホークラックスについて探るということは、つまり、ダンブルドアがポッターにそのことを話したということは、、、

ホークラックスは1つではないということか?すぐ思い浮かんだのは、トム・リドルの日記。それが破壊されたと知った時の、ダークロードの怒りのすざましさを思い出した。日記を預けられていたルシウスに、死の呪文をかけるかと思ったほどだった。それはホークラックスを壊された怒りだったのだ。しかし。

しかしそれもすでに破壊された。それでは?そうだ。ベラトリックスが妙なことを口走っていた。ダークロードは最もたいせつなものを自分に託されたのだと。それに、、ダンブルドアが死に至る呪いを受けた指輪。なぜあのような物をと思ったが、あれもホークラックスだったのか?私が駆けつけた時、指輪は、たしかグリフィンドールの剣で破壊されていた。他にもまだあるのだろうか?

リドルの日記も、ダンブルドアがはめた指輪も、恐ろしい呪いが掛けられていた。もちろんそうだろう。ダークロードの魂を保存する物なのだ。他の者に容易に壊させぬ、邪悪な呪いで封印しているに違いない。

そんなものを、、ダンブルドアはポッターに探し出して壊せとでも言っているのだろうか?

危険すぎる。もちろん、ホークラックスがある限りダークロードが復活してしまうのだから、それは破壊されねばならないが、無謀なだけのポッターなどにできるものか。もし呪いを受ければ、グレンジャーに与えた治癒呪文や魔法薬ごときがかなうものではない。事実、ダンブルドアでさえ、私が全力で治療しても、命を取り留めることができなかったのだ。

いても立ってもいられぬ思いだった。ポッターを、私が命をかけて守るべきリリーの遺児を、命の危険に曝すというのか?それも、ダンブルドアの守りも得られぬ時になって。

私はすぐにもダンブルドアに抗議に行こうと思ったが、しかし、ダンブルドアは私にそのことを話してくれていないのだった。なぜ私に任せてくれないのか?せめて話してくれれば、助けることができるではないか?それなのにポッターと部屋にこもるばかりで・・・。

私を信じていないのだ、ダンブルドアは。無謀なだけで、ダークロードに心を操られても、自分を守る閉心術さえ身につけられないポッターを信じ、私は信頼に値しないと思っているのだ。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ダンブルドア スネイプ グレンジャー ポッター

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。