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セブルス・スネイプと謎のプリンス(15)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。今回は本作の重要なネタバレを含みます)


ダンブルドアの信頼は、長い間私にとって大きな支えだった。私は若い頃、愚かさゆえにデスイーターとなり、リリーの死を招く大きな過ちを犯してしまったが、ダンブルドアは私を信じ、贖罪の機会を与えてくれた。私は全力で与えられた任務に取り組み、その信頼に応えてきたつもりだ。皆が信望する偉大な魔法使いが、私を信じ、私の能力を認めてくれると思うのは、苦しさを耐え忍ぶ励みになった。今私が立つサイドの仲間たちが、元デスイーターで、任務上心を開かぬ私を曲がりなりにも信じているのも、「ダンブルドアが信じているから」だと理解している。

ただ一人信じ尊敬するその人を、私の手で殺せという残酷な命令に従うには、せめて、信頼されていると思いたいのは当然ではないか?だが、、、ダンブルドアは私を信じてくれず、ポッターを信じているのだ。

私はようやくダンブルドアと話す機会を得た。人気のない夕暮れの校庭を歩きながら、幾晩もポッターと部屋に閉じこもって、いったい何をしているのかと切り出した。ダンブルドアは、ポッターには必要な情報を与えているのだという。その情報を私に与えないのは、信用の問題ではなく、ポッターが為すべきことをするのに必要なことだからで、ダークロードのもとで長い時間を過ごす私に、すべての秘密を教えたくないというのだった。

私とて好き好んでダークロードの元にいるわけではない。ダンブルドアの命令に従い、命がけで参じているのだ。閉心術に長け、複雑な二重スパイの任務を果たせる私の能力を過小評価しているわけではないといいながら、ダークロードと意識が繋がっているのに閉心術さえ身につけられないポッターに、私には言えない重要な情報を与えるのはなぜなのだ?要するに、ポッターを信じ、私を信じないということではないか。

ポッター。私が信頼し、心を開き、敬愛するただ一人の人を、またポッターのせいで失ってしまう。父親のせいでリリーが私から離れていったように。ダンブルドアは、ポッターの魂がどうの、ダークロードとポッターの繋がりがどうのと言っていたが、私には理解できなかったし、納得もいかなかった。

私の思いを他所に、ダンブルドアは私がダンブルドアを殺した後の指示を出そうとした。信じてもいないくせに、そんな任務を果たすと期待するのか?私だって心変わりするかもしれない。そう言っても、ダンブルドアはさらにドラコの見張りについて何か言おうとした。私は聞く耳を持たなかった。怒りを隠さぬ私にため息をついて、ダンブルドアは夜校長室に来るよう命じた。


その夜、校長室で、私の世界がまた音をたてて崩れた。

私を座らせ、部屋を歩き回りながらダンブルドアが話し始めた。

「ハリーは知ってはならぬのじゃ。最後の最後まで、必要となるその時まで。そうでなければ、どうやって成し遂げる力が出てこようか?」

「しかし何を成し遂げねばならないのですか?」

「それはハリーとわしの間の話じゃ。セブルス、よくきくのじゃ。わしの死後に、その時が来るのじゃ。」

私が異議を唱えようとすると、厳しい口調でとどめられた。

「口をはさむでない。最後まできくのじゃ。わしの死後に、ヴォルデモート卿があの蛇の命を心配する気配を見せる時が来るじゃろう。」

「ナギニを?」

私は意外な成り行きに驚いて尋ねた。

「そうじゃ。ヴォルデモート卿が蛇に何かさせることを止め、魔法の元に安全に守り、身近に置いておく時が来る。そうなればハリーに話しても大丈夫じゃと思う。」

「何を話すというのですか?」

ダンブルドアは深く息を吸い、目を堅く閉じて続けた。

「ハリーにこのことを告げるのじゃ。ヴォルデモート卿がハリーを殺そうとした夜、リリーが楯となって命を投げ出した時、死の呪文は跳ね返り、破壊されたヴォルデモート卿の魂の欠片が、壊れ落ちる部屋にただ一つ残っていた生きた魂に引っかかったのじゃ。

ヴォルデモート卿の一部がハリーの中で生きておる。それがハリーに蛇語を話す能力を与え、意識の繋がりを生じさせておるのじゃ。ハリーはわかっておらんがの。そして、ヴォルデモート卿が気付いておらぬその魂の欠片がハリーの中で守られておる限り、ヴォルデモート卿は死ぬことができぬのじゃ。」

魂の欠片、、、ポッターの中にダークロードの魂の欠片が、、、。それではあの子は、、。しかし、まさか、ダンブルドアがそんなことを。時が止まり、壊れたガラスが崩れ落ちる寸前のような一瞬の静止。

「それではあの子は、、、それではあの子は死ななければならないと?」

「そして、ヴォルデモート卿自身がやらねばらならぬのじゃ、セブルス、それが肝心じゃ。」

体の中で、ガラスが崩れ落ちていった。粉々になったガラスの破片が、細胞の一つ一つを傷つけ血を流す。私の、生きてきた理由が壊れてゆくのだった。この十数年間、ずっとリリーに語り続けていた言葉。ようやく言葉を絞り出す。

「私は、、、ずっと、、、私たちが彼女のために、あの子を守っていると思っていた。リリーのために。」

「わしたちがあの子を守ってきたのは、あの子に教え、育て、力を試させることが大切だったからじゃ。」

ダンブルドアが堅く目を閉じたまま続けた。

「その間に2人の繋がりはますます強くなった。寄生的な成長じゃ。わしは時々、ハリーがうすうす気づいておるのではないかと思うことがある。ハリーがわしの見込み通りであれば、自らの死に立ち向かう時には、それがまさにヴォルデモート卿の最期になるよう取り計らうはずじゃ。」

ダンブルドアが目を開けた。私はひどい衝撃に襲われていた。

「あなたは、死ぬべき時に死ねるように、今まで彼を生かしておいたというのですか?」

「そう驚くでない、セブルス。今までに何人、人が死ぬのを見てきたのじゃ?」

「最近では、私が救えなかった者だけです。」

私は怒りに駆られて立ち上がった。

「あなたは私を利用していたのだ。」

「どういう意味じゃ?」

「私はあなたのためにスパイになった。あなたのために嘘をつき、死ぬほど危険な立場に身を置いて来た。すべては、リリー・ポッターの息子を安全に守るためだった。それなのに、今あなたは、その息子を屠殺する豚のように育ててきたのだと言う。」

「しかしセブルス、なんと感動的なことを。」

ダンブルドアは真面目な顔で言った。

「結局あの子に情が移ったのかの?」

「あの子に?」

私は叫び、杖を振った。

「エクスペクト・パトローナム!(守護霊よ、来たれ!)」

私の杖から銀色の牝鹿が飛び出し、校長室に降り立つと、一蹴りで部屋を飛び、窓から消えていった。消え去る光をじっと見つめ、ダンブルドアは溢れるほどの涙を浮かべて聞いた。

「これほどの時が過ぎても?」

「永遠に。」

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