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セブルス・スネイプと謎のプリンス(17)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ポッターは、ホグワーツ入学以来、私にとって複雑で気に食わぬ存在だった。大ホールで、教室で、その他校内のどの場所であっても、リリーの名残を求めるように引きつけられてしまうのに、求めた先にいるのは憎んでも余りある父親そっくりのポッターなのだった。そして言うこともやることも、父親同様、傲慢で英雄気取りときている。湧きあがる憎しみや怒りをそのままぶつけられるのは、私のスパイとしての任務上、好都合ではあった。しかし、それでも、ポッターの中にあるリリーリリーと同じ緑の瞳を見ることには、畏れに似た感情を持っていた。それは、喜び、悲しみ、罪悪感、私が押し隠すことに慣れた様々な感情を引き出し、私をひどく無防備な弱い存在に感じさせ、ますますイラつかせるのだ。

ダンブルドアからポッターの為すべき役割を聞かされて以来、その緑の瞳が永遠に失われるのだという思いが加わった。しかもポッターの中には、ダークロードの魂の欠片まで生きているという。ダークロードを完全に倒すには、その魂の欠片とともに、憎らしきポッターとリリーの名残まで消え去らねばならないのだ。結局思考はそこに行きつき、私は再び脱力感に襲われた。

授業が終わった夕刻、ダンブルドアから、夜校長室に、魔法薬を持って来るようにと伝言があった。衰弱が現れたダンブルドアを思い、呪いの苦痛を和らげ滋養によい魔法薬を煎じて、校長室を訪れた。

ダンブルドアはソファに倒れこむように座っていたが、私を向かいに座らせ、ホットチョコレートのカップを呼び寄せて勧めた。

セブルス、おまえもずいぶんと疲れているようじゃの。これを飲むのじゃ。わしも薬をいただくとしよう。」

私はおそろしく甘いホットチョコレートを口に運んだ。

「今朝リーマスが来たのじゃが、人使いが荒いと責められてしまった。優しいリーマスが珍しいことじゃ。おまえさんにはやさしいということじゃが。」

私は目をそむけて、ホットチョコレートをすすっていた。

セブルス、あれからずいぶん日が過ぎたが、まだ、わしに利用されたと怒っておるのかの?ハリーに伝えるべきことは納得してくれたじゃろうな?」

正直なところ、衝撃に打ちのめされて、まだそれを自分の任務として考えてはいなかった。

「私は断ってもよいのですか?」

「おまえさんの他にできる者はおらぬ、セブルス。なにしろ、わしの死を知っておるのはおまえさんだけなのじゃからの。しかも、それは最後の決着をつけるために避けられぬことなのじゃ。」

「アルバス、私は過ちにより、リリーを死に至らしめてしまいました。死にたいと思いましたが、あなたの言葉に従い、リリーの遺志を継ぐためにリリーの息子の命を守って来ました。罪を償うため、命をかけて守ってきたつもりです。だがあなたは、、、ご自身を私の手にかけて殺せと言い、今度は、守ってきた息子に命を差し出せと伝えろとおっしゃる。贖罪など、、、ハナからできぬことだったのです。私は何のために生きながらえたのか、やはりあの時死ぬべきだったと思うばかりです。」

私は冷静に話し始めたつもりだった。なにしろ、ダンブルドアが私の言うことに耳を傾けてくれることなど、めったにないのだから。しかし、話すうちに悲しみと空しさがつのり、言葉の震えを抑えることはできなかった。十数年が過ぎても、リリーの死を知り、ダンブルドアの前で打ちひしがれたときから、一歩も動いていないように感じられた。

セブルス、さよう、おまえさんにはあの時死ぬ選択もあった。死んでも誰のためにもならなかったがの。じゃが贖罪に生きる道を選んだのじゃ。おまえさんが懸命にハリーの命を守ってきたことは、わしがよく知っておる。特にヴォルデモート卿が復活を遂げてからは、ヴォルデモート卿のもとに参じ、身を楯にしてハリーの命を守ってきた。リリー・ポッターが赤子のハリーの前に身を投げ出して守ったようにじゃ。」

「しかし、、、しかしそれも何の役にもたちませんでした。結局あの子は、、死ななければならない。」

ハリーは死ななければならぬわけではない、セブルス。それはハリーが決めることじゃ。リリーにも選択肢はあった。他ならぬおまえさんがヴォルデモート卿に母親の命を奪わぬよう頼んだであろう?じゃが、リリーは身を投げ出してハリーを守ることを選んだのじゃ。おまえさんも同じじゃ。ヴォルデモート卿が復活した時、イゴールのように逃げることもできた。じゃがおまえは残り、身を投げ出して守ることを選んだのじゃ。

あの子も同じなのじゃ。ハリーがわしの見込み通り、その身をヴォルデモート卿の前に投げ出して、仲間や皆を守ることを選ぶなら、それはまさに母親やおまえさんと同じ道を選ぶ、勇敢で愛を知る子に育ったということじゃ。わしたちがそのように守り育てたのじゃ。セブルス、それでも贖罪を果たせたと思えんかの?」

「しかし、リリーは、、、リリーは息子の死を望んでいませんでした。命を守りたかったのです。その死をどんなに嘆くでしょう、、リリーほどの年にもなっていないというのに。」

私は涙を止めることができなかった。ダンブルドアはそんな私をしばらく眺め、やがて静かに話し始めた。

「セブルス、過去や死んだ者ばかりに囚われるではない。今生きている者のことも考えるのじゃ。ハリーがその道を選ばなかったとしても、ヴォルデモート卿はハリーを狙い続けるじゃろう。そしてその間に多くの者が死に、多くの者が家族や友を失う。決着をつけられるのは、ハリーだけなのじゃ。」

「あの子でなければいけないのですね、、、私が予言を伝えてしまったばかりに。」

ダンブルドアはため息をついた。

「セブルス、これはわしの推測に過ぎんのじゃが、、誰にも言うつもりはなかったのじゃが、」

私が顔を上げると、ダンブルドアはまだ迷っているような顔をしながら言葉を続けた。

「ハリーには決して気づかせてはならん。それではことを台無しにする。おまえさんが本来の強さを取り戻すと信じて言うのじゃが、ヴォルデモート卿とハリーの間のことは、何が起こるかわからんとわしは思っておる。なにしろ何もかも、前例のないことなのじゃからの。」

「どういう意味でしょうか、アルバス?」

「詳しくは言えぬ。わしにもわからんのじゃからの。じゃが、赤子のハリーが死の呪文を生き延びたことも、ヴォルデモート卿の復活時に2人の杖が繋がりハリーが逃げられたことも、魔法省でハリーの体に取りついたヴォルデモート卿がそこにおれずに逃げ出したことも、前代未聞なのじゃ。あの2人が対峙して起こることは、予想がつかぬ。それを誰より恐れているのは、ヴォルデモート卿じゃろう。だからこそ、最期のその時、ハリーがその身を差し出し、ヴォルデモート卿自身がやるのでなければならぬ。それが肝心なのじゃ。」

「それでは、あの子は生きられるかもしれないと?」

「過大な期待を持ってはならん、セブルス。言ったじゃろう、わしにもわからんのじゃ。わしに言えるのは、最後の時が近付いたら、ヴォルデモート卿の魂の欠片がハリーの中に守られて生きている限りヴォルデモート卿は死ぬことができぬとハリーに告げねばならぬ、それができるのはおまえさんだけだと言うことだけじゃ。」

私はしばらくダンブルドアの言葉について考え、過大な期待を持つことにした。それがたとえ1%に満たぬ可能性であったとしても。私の中でしばらく消えていたリリーが微笑んだのだった。私の表情にも生気が戻ったらしい。ダンブルドアの瞳がいたずらっぽく光った。

「それでセブルス、あらためて聞きたいのじゃが、結局はあの子に情が移ったのかの?」

「あの子に?」

とんでもない!と心で叫び、銀色の牝鹿を心に描いた。私の杖先からは、また守護霊が出てくれるだろう。これでまた、心おきなくポッターに嫌味を言ってやれるのだ。

「セブルス、元気になったところに水を差して悪いのじゃが、任務のことを忘れんようにの。マルフォイ少年のことじゃ。あの子もいよいよ追い詰められておることじゃろう。・・・もうそう遠いことではないはずじゃ。」

ドラコを守り、ダンブルドアを手にかける任務。私の表情がまた暗くなったらしい。

「そんな顔をするでない、セブルス。もうわかっておるじゃろう?おまえさんは贖罪のために生きることを選んだことにより、ドラコと家族を救い、老人を死の苦痛と屈辱から救い、ホグワーツを守るのじゃ。厳しい任務じゃが、おまえさんにしかできぬことじゃ。立ち向かってもらわねばならぬ。」

「わかりました、アルバス。」

私は部屋に戻り、ダンブルドアとの会話を反芻し、ダンブルドアの計画と見通しの全容を推測してみた。考えると、不確定な要因を含む、まだ先の長い話だった。それでもリリーの息子が生きられる可能性がある。リリーの願いが叶うかもしれないと思えば、私はどんな苦痛も耐えられるだろう。

苦しくても、立ち向かう。心が定まると、私を案じてダンブルドアに詰め寄るルーピンが思い浮かんだ。昨夜、私から守護霊を出す力が失われたのを見たルーピンの険しい顔。あの表情でダンブルドアに詰め寄ってくれたのだろうか?すでに任務の地に戻ったルーピンに、感謝の気持ちを伝えたいと思ったが、術はなかった。人里離れた人狼の村で、厳しい任務に就くルーピンの無事を祈るだけだった。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : セブルス ダンブルドア ハリー リリー ルーピン ダークロード ハリーポッター

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