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セブルス・スネイプと謎のプリンス(20)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


外の不穏な気配は感じたが、私は自室を出たくなかった。一歩出てしまえば、あとはダンブルドアを殺しに駆け付けることになるのがわかっていたからだ。せねばならぬとも、するだろうとも思っていたが、ただその時を少しでも遅らせたかった。ダンブルドアにはいいように使われたという思いもあるが、父のように慕う思いもあった。実の父親を慕ったことはないのだが。

つまらぬことを考えて部屋に留まっていると、フリートウィック教授が駆けこんできた。ホグワーツにデスイーターが侵入し加勢が必要だと。戦いに巻き込まれる者を少しでも減らすため、フリートウィック教授を失神呪文で気絶させ、部屋の外をうろついていたグレンジャーとラブグッドに手当てするよう言いつけて足止めし、私は急ぎ戦いの場に向かった。

ルーピンやトンクス、他に数名の騎士団員と、数名の生徒がデスイーターたちと戦っていた。その場を素早くやり過ごし、封鎖煙幕を通り抜けて天文塔に駆け付ける。デスイーターも騎士団側も私を味方と思っているから攻撃してはこない。しかししばらくのちには、騎士団員からは最悪の裏切り者と恨まれ蔑まれることになるだろう。

これから起こることへの悲しみと嫌悪を押し殺し、天文塔に駆けあがると、私の到着を待っていたかのような景色があった。いきりたつグレイバック、はやし立てるベラトリックス、そしてアミカス兄弟に囲まれ、立ちつくすドラコ。ドラコが向ける杖の先には・・・ようやく立っているようなダンブルドアの姿。

デスイーターのアミカスが私を見て言った。

セブルス、困ったことになった。この坊主にはできそうもないん、、、」

その時、弱々しい声が私に呼びかけた。

セブルス、、」

私は迷わずドラコを押しのけ、ダンブルドアの正面に立った。

セブルス、、、頼む、、」

懇願するような、ダンブルドアの声。

私はまっすぐにダンブルドアの胸に杖を向けた。私にこのようなことをさせるダンブルドアとダークロードと、私自身の運命に怒りと憎悪をたぎらせて・・・

「アヴァダ・ケダブラ」

ダンブルドアの姿は一瞬宙に浮いたように見えた。そして、防壁の向こうへと落ちて行った。


「ここを出るのだ、早く」

私は茫然と突っ立っているドラコの襟首をつかみ、らせん階段を下りた。下には煙がもうろうと立ち込め、誰と誰が戦っているかも定かではない。死傷者が出ているかもしれないが、かまっている暇はない。早く終わらせなければ。

「終わった、撤収だ!」

デスイーターたちに退却を呼びかけ、私はドラコを連れてアパレートできる校門へと急いだ。他はかまわず、校庭を走るうち、後ろからポッターの呪文の声とともに赤い閃光が頭をかすめて行った。

「ドラコ、走れ!」

ドラコを先に追いやって、振りかえるとポッターが杖を構えている。私ももちろんすでに杖を向けていた。

「クルーシ・・」

ポッターが呪文を言い終えぬうちに、吹き飛ばした。少し離れた所で赤い炎が上がった。ハグリッドの小屋だった。

「クルーシ・・」

ポッターがまた投げかける呪文を軽く阻止し、私は叫んだ。

「お前には『許されざる呪文』は使えないのだ!そんな度胸も、能力もない。」

「インカーセ・・」

ポッターが懲りずに呪文を放ってくる。私は軽く腕を動かしてかわした。

「戦え!戦えよ!臆病者!」

ポッターが叫んだ。その言葉は私の怒りに触れた。ポッターの父親も4人がかりで私を追い詰めた挙句に私をそう罵ったものだ。無謀を勇気を取り違えたグリフィンドールが、1人立ち向かう私に。

「臆病者?私をそう呼んだか、ポッター?お前の父親は、4対1でなければ私を攻撃しなかったものだ。そんな父親を何と呼ぶ?」

「ステューピ・・」

また放たれたポッターの呪文を逸らせながら、私は冷やかに言葉を投げた。

「また防がれたな。何度やっても同じことだ、ポッター。お前が口を閉じ、心を閉じることを学ぶまでは。」

ポッターの後ろまでアミカス兄弟たちが迫っていた。私は彼らに向かって叫んだ。

「さあ、行くぞ!もういく時間だ。魔法省が現れぬうちに、、」

「インペディ・・」

ポッターがしつこく呪文を放とうとしたが、言い終える前に、背後から放たれた呪文にポッターが倒れ苦しみ出した。

「やめろ!」

ポッターが受けた呪いを素早く解き、デスイーターたちに叫んだ。

「命令を忘れたのか!ポッターはダークロードのものだ。手出しするな!さあ、行け!」

デスイーターたちは命令に従い校門に向かって走って行ったが、立ち上がったポッターはよろよろと近付いて来た。すでに数歩の距離までに。

「セクタム・・」

呪文をただちに阻止する。この少年は、、私が命がけで守るこの少年は、ほんとうに私を怒らせる。父親と同じことを・・・。頭の中で、何かが切れた。

「レヴィ・・」

「やめるのだ、ポッター!」

叫ぶとともにバーンと音がして、ポッターが地面に叩きつけられ、杖は手を離れ飛んでいた。私は丸腰のポッターの横に立ち、見下ろした。

「私の呪文を私に向けるとは、ポッター、どういう神経だ?私がそれらの呪文を発明したのだ。私が、半純血のプリンスだ!汚らわしいお前の父親と同様、おまえは私がつくった呪文を私に向けるのか?そんなことはさせない。ダメだ!」

ポッターの杖をさらに遠くに飛ばしてやった。

「それなら殺せ。校長先生を殺したように、僕も殺せ。この臆病・・」

ポッターの言葉を遮った。

「私を、、、臆病者と呼ぶな!」

怒りに手を振りおろすと、ポッターが地面に叩きつけられた。そのとき、空から巨大な者が私に襲いかかり、、、バックビークだ、、私は振り払いながら、急ぎ校門に走った。

ポッターは、なぜああなのだ?私が、ここまでやるのに、これからやることに、どれだけ心を押し殺し、どれだけ勇気を振り絞っていることか。もう助けてくれるダンブルドアはいない。何も知らぬまま、一人、最後の楯となる私を臆病者と呼び怒りをぶつけている。私とていつまで、どれだけ助けられるかわからない。身を守る術も学ばず、感情にかられ無謀に立ち向かって勝てる敵ではないのだ。強くなるのだ、賢くなるのだ、ポッター。


校門に着き、私はただちにマルフォイ邸へとアパレートした。マルフォイ邸に入ると、見慣れた居間にうづくまるドラコの肩を、ナルシッサが抱いていた。

「ナルシッサ、ドラコ」

「ああ、セブルス、感謝します。ありがとう。ドラコを助けてくださって・・」

泣き崩れそうなナルシッサにうなづき、ドラコを抱き寄せた。

「大丈夫か?」

「先生、僕は、、。ごめんなさい。やらなければ殺すと言われて。父上も・・・」

私に対する反抗的な態度は消え、私の部屋に来て自分の不甲斐なさを嘆いていた幼い頃の表情が垣間見えた。

「ドラコ。」

気のきいた言葉は浮かばなかったが、苦痛に締め付けられていた胸に、わずかに温もりが戻る。ドラコとルシウスを救うことはできたのだ。と、そのとき、、、


セブルス、よくやった。ダンブルドアを仕留めたのだな?」

部屋の温度が一気に下がった。いつの間にかダークロードが脇に立ち、上機嫌で私をねぎらいながら、肩に手を置いたのだった。

「我が君、ご命令を果たすことができました。」

セブルス、余は満足じゃ。ダンブルドアもおまえに裏切られるとは、さぞ驚愕して死んでいったことであろう。」

「ダンブルドアは最後まで私の忠誠を信じていたことと思います。」

「なにか褒美を与えるぞ。余の期待に見事に答えてくれたことよ、セブルス」

「我が君、このドラコもよくやりました。まだ未熟な子供ですが、ホグワーツへの経路を開き、仲間を引き入れるのに成功しました。そのおかげで私は労なくダンブルドアを倒すことができたのです。ドラコの成果もどうぞご配慮ください。」

「よかろう、セブルス。おまえがそう言うなら。ルシウスをアズカバンから出してやることにしよう。それでよいな?」

「ありがとうございます。我が君、感謝いたします。」

私はこの先、ずっとここ、ダークロードの元にいるのだ。任務を終えて、ダンブルドアに報告しに戻ることは、もうない。心がキリキリと痛んだ。宙に浮き、白い髪とひげが風に揺らぎ、落下してゆく。半月メガネの奥の、輝きを失った瞳。この悪夢は生涯消えることはないだろう。それでも、、、ダンブルドアの無茶な指示と願いの1つを成し遂げた。次はホグワーツを守ることだ。私は無理やり先のことを考えるよう努めた。起こった事実に目を向けることは、まだできなかった。

ナルシッサとドラコに見送られてマルフォイ邸を後にし、スピナーズエンドの自宅に戻った。荒んだ心にふさわしい家だった。魔法省や騎士団から捜索されるおそれがあるので、以前から準備していた地下の隠し部屋に潜った。書斎の本棚の後ろにある仕掛けから入る狭い地下室だが、小さなソファとベッドとバスルームがあり、マグルの街に出る隠し出口もある。食料も蓄えておいた。ダークロードが復活し、マルフォイ邸から戻った後にまさかに備えて準備しておいたのだが、こんな形で役立つとは思わなかった。

倒れるようにソファに沈み込み、手に顔を埋めた。いつのまにかうめき声が上がり、それは嗚咽にかわった。顔を上げても、もう導いてくれる人はいないとわかっていた。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : セブルス ダンブルドア ハリーポッター ポッター ダークロード

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