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セブルス・スネイプと謎のプリンス(22)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

思いに浸っていると、医務室の扉が開き、モリーとアーサー、そしてビルの婚約者のフラーが入ってきた。横たわるビルを見て、同じ話が繰り返される。ビルの感染について、私は説明してあげた。そして、信じ難いダンブルドアの死を確認するアーサー。

しかしモリーは自分の息子、ビルだけをじっと見つめていた。そしてビルはもうすぐ結婚するはずだったのにと嘆いたモリーの言葉に、フラーが激しく反論を始めた。フラーは、ビルの美しい顔にどんな傷跡が残ろうと、人狼の呪いによりビルにどんな変化があろうとも、2人の愛に変わりはない、愛し合って結婚することに変わりはないと主張した。そして抱き合うモリーとフラー。

私はそんな成り行きを茫然と見ていたのだけれど、トンクスが私をじっと見つめ、強い声で言った。

「わかったでしょう?フラーはそれでもビルと結婚したいのよ!噛まれたって、そんなことはどうでもいいのよ!」

私は突然の攻撃にたじろぎながらも頑なに言った。

「次元が違う。ビルは完全な人狼になるわけではないよ。事情がまったく・・」

「でも、わたしも気にしないわ。気にしないの。」

トンクスは私のローブをつかんで揺すぶりながら言った。

「何回もあなたにそう言ったのに。」

「私も君に何回も言った。私は君には年をとり過ぎているし、貧乏だし、危険すぎると。」

「リーマス、あなたのそういう考え方はバカげていると思いますよ。」

モリーがトンクスを援護し、アーサーまで援護に回った。

「今はそんな話をするときじゃない。ダンブルドアが死んだんだ。」

私は抵抗した。実際、私の頭はダンブルドアの死と、それをやったのがセブルスだったという事実を消化するので精いっぱいだった。けれど、マクゴナガルまでが・・・

「世の中に少し愛が増えたと知れば、ダンブルドアも喜ばれるでしょう。」

皆、ダンブルドアの死という悲しみから逃れるために、少しでも温もりのある話を求めていたのだと思う。私が言い返す言葉を見つけられないうちに、ハグリッドが泣きながら、指示されたことを行ったと、マクゴナガルに報告に来た。マクゴナガルがハリーを連れて出てゆき、ウィーズリー一家を残して私たちも医務室を出た。

トンクスは私の手を握り、放さなかった。暗い校庭で足を止め、たいせつなのは2人の気持ちだ、人狼だってかまわないと言い募る。柔らかい体が、私に抱きついて来た。若い魔女の甘い匂い、絡みつく温かい体、伝わってくる心臓の鼓動。

「モリーだって、アーサーだって、ミネルバだって認めてくれるのに、なぜあなたはそんなことにこだわるの?なぜ私の想いを受け止めてくれないの?人狼だって、貧しくたって、年上だっていい。それがなんだとういの?あなたを愛してるわ、リーマス。」

トンクスを嫌いなわけではなかった。一途に慕ってくる彼女が愛おしく思えることもあった。私を止めていたのは、セブルスへの想いだ。けれどセブルスは・・・ダンブルドアを殺した。私を裏切り、皆を裏切り、ダンブルドアを裏切ったんだ。

親友たちを失ってから、私はダンブルドアとセブルスを心の支えに生きてきた。人狼の私に手を差し伸べ導いてくれたダンブルドア。人狼の私を、ありのままに理解し認めてくれたセブルス。そのセブルスがダンブルドアを殺すという最悪の形で、私は寄って立つ支えを失ってしまったのだった。

悲しみと怒りと寂しさのなか、私を愛してくれる可愛らしい魔女を拒むことなんてできなかった。いや、むしろその温もりにしがみつきたかったのは私のほうかもしれない。皆も応援してくれているのだし。心の支えを失った私はとても弱かった。人の顔色をうかがう癖。人に好かれたい思い。人狼の私だって受け入れてもらいたい・・・幼い頃から身に着いた、それが私の習性だった。

トンクスのあごをそっと上げ、唇を寄せた。喜びなのか、トンクスの閉じた目から涙が溢れた。トンクスの涙が私の頬を伝わり、それは思いがけず熱かった。生きることは、こういうことなんだ。温かくて、柔らかい。

セブルスのことを考えると、胸の痛みも信じられない思いも解消されてはいなかったけれど、私は腹立ち紛れに放置した。裏切ったのはスネイプだ。私の想いも信頼も裏切り、こともなげにダンブルドアを殺し、去って行った。

2日後に行われたダンブルドアの葬儀には、トンクスと一緒に参列した。あなたを裏切ったスネイプのことは断ち切り、私はトンクスと幸せですと報告する思いもあった。

愛を得たと信じた女は強い。それからトンクスは、セブルスへの想いのためではなく今度こそほんとうに彼女にはふさわしくないと尻込みする私を、強引に家族に引き合わせ、結婚を宣言した。マグル生まれの父親テッドは娘の意思を尊重すると言ってくれたけれど、ブラック家出身の母親アンドロメダは、おまえは何もわかっていないと娘をいさめ、私には口もきいてくれなかった。アンドロメダの気持ちは理解できたし、内心、その通りだとも思っていた。つきあうだけならまだしも、人狼と婚姻を結ぶとなれば、一家丸ごと排斥されるのだから。

トンクスは母親の反対をものともせず、私はそんな彼女に引きずられるように、結婚を承諾した。尻込みはしたものの、私はトンクスと幸せになりたいと思っていたし、同時に、彼女とその家族を、私と同じ不幸に陥れることを恐れてもいた。先の見えない不安が続く時、人は何かに突き動かされるように生き急ぐ。明日がないかもしれないのなら、今日がすべてなのだから。そして私は、決着のつかないセブルスへの想いを心の奥深くに封じ込め、差し出された温かい手を握ったのだった。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター トンクス

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