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セブルス・スネイプと死の秘宝(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


まもなくマルフォイ邸でデスイーター集会が行われた。敷地の入口で魔法省のヤックスリーと一緒になり、2人で大ホールに入るとすぐに、薄暗い部屋の中、皆が着席した長テーブルの上に、人が逆さにぶらさがっている異様な景色が目に入った。一瞬息を飲んだが、そのすぐ下にルシウスの一家3人が座っているのを見て、とりあえず安心した。彼らが吊るされたわけではなかったのだ。皆その人物からあえて目を逸らしているようだったが、ドラコだけは怯えながらも目を背けられないように時々見上げていた。

「遅刻すれすれだぞ。」

暖炉を背に、テーブルの一番奥に座っているダークロードが私たちに声をかけた。

セブルスはここへ。」

ダークロードの右隣が私の席だった。ダークロードに次ぐ上席。度重なる失態がなければ、ルシウスが当然のように座っていただろう。皆の目が私を追っている。

「それで?」

ダークロードに促され、私は口を開いた。

「騎士団はハリー・ポッターを、現在の安全な場所から、今度の土曜日の夕刻に移動させる計画です。」

「土曜日の、、、夕刻。」

ダークロードが繰り返しながら、不気味な赤い目でじっと私の目を覗き込んだ。開心術に秀でたダークロードは嘘を見破ることができる。私は平然とその目を見返した。嘘ではないから恐れることはない。

ヤックスリーが、闇祓い局のドーリッシュから得た情報ではそうではなく、ポッターは誕生日の前日に移動することになっていると主張したが、ダークロードは押し留めて、私に移動先を尋ねてきた。情報によれば、騎士団員の誰かの家で、そこには騎士団と魔法省ができる限りの防衛を施してあるため、魔法省が土曜日までに陥落しなければ、移動後にポッターを奪える可能性はまずないと答えた。

魔法省について、ダークロードは魔法大臣のスクリムジョールを包囲し、やがて抹殺して全権を掌握する計画でいる。ヤックスリーが、すでに魔法部執行部長のシックネスが服従の呪文にかけられていると得意げに報告したが、それでは魔法省の陥落はポッターが移動する土曜日に間に合わないと、ダークロードは切り捨てた。

思惑通り、土曜日の移動時にポッターを襲撃することになった。騎士団は魔法省をもう信じていないから、魔法省管轄下にあるアパレートやフル―パウダーの移動手段は使わない。私がそう言うと、ダークロードは、かえって好都合だと、一人話し始めた。

「ポッターは公然と移動せねばならん。ずっと容易いことになる。ポッターは必ず我が手で始末をつける。あの小僧に関しては、今まであまりに失態が多かった。余自身もだ。ポッターがいまだ生きているのは、ヤツの勝利というより余の誤算によるものだ。」

周囲の者たちは、いつ自分の失態を責められるかと身を縮めていたが、ダークロードは吊るされた人物を見ながら、自身に語りかけているようだった。

「余は侮っていた。その結果偶然と幸運というものに阻まれていたのだ。しかし今は違う。以前は理解していなかったが、今は分かったことがある。ポッターを仕留めるのは余でなければならぬ。そうしてやる。」

吊るされた人物が苦痛のうめきを上げたことでダークロードは一人思考にふけるのを止め、再び席に座るデスイーターたちに向かって話し始めた。

「余は以前より、よくわかっている。たとえば、ポッターを殺すには、お前たちの誰かから杖を借りる必要があるのだ。」

皆が衝撃を受けて下を向く中、ダークロードはルシウスから杖を取り上げ、いたぶり始めた。お前にはもう杖は必要ない、自由にしてやっただけでお前には十分だと。さらには、マルフォイ邸に自分がいることが気に入らないのかと難癖をつけ、否定するルシウスを嘘つき呼ばわりし、ネチネチをそのことで締め上げていた。

ルシウスを妬んでいたデスイーターの一部には嘲る者もいた。以前の輝かしいルシウスの外貌も地位も、いまや失われていた。アズカバン暮らしでやつれた体、不健康は皮膚の色に目の下の隈、そして杖を奪われ、皆の面前でダークロードから辱めを受け・・・私は痛々しさに目をそむけたい思いだったが、隣に座るダークロードに気取られれば事態を悪化させるだけだから黙って耐えていた。今はとにかく、無事生き延びてもらうことが大事だった。

と、根っからダークロードを崇拝するベラトリックスが口を出しててきた。ダークロードの注意を引きたくて、身も乗り出している。

「我が君、あなた様が我が親族の家に留まられることは、この上ない名誉です。これに勝る喜びがありましょうか?」

殊勝なことを、とダークロードが言い、ベラトリックスは嬉しそうに頬を赤らめていたが、ダークロードは喜ばせておいて貶めるつもりだったようだ。ベラトリックスの姪、ルシウスとナルシッサの姪でもあり、ドラコの従姉にあたるトンクスが、今週人狼リーマス・ルーピンと結婚したと嘲ったのだった。

ルーピンはトンクスと結婚したのか・・・。私は衝撃を受け、様々な思いがよぎりそうになったが、この席でそのようなことを考えるのは賢くないと心を鎮めた。

マルフォイ家やベラトリックスが貶められたことを狂喜する者たちがはやし立て、ベラトリックスはいきりたって彼らとは関係ないと反論していた。するとダークロードはドラコにまで、狼の子が産まれたら子守りをするのかと攻撃の矢を向け、ドラコは怯えきっていた。

ダークロードはナギニを撫でながら、はやし立てる聴衆を鎮め、この話題に結論をつけた。つまり、血筋を穢す腐った部分は切り落とせと。出来るだけ早く、とベラトリックスが言うと、ダークロードは、そうせよと答えたのだった。これでは、ルーピンは、おそらくトンクスも、ベラトリックスのみならず、デスイーターたちの標的になってしまう・・・。

「純血のみの世になるまで、我々を蝕む病根を切り取るのだ・・・」

ダークロードはそう言うと、ルシウスの杖をぶら下がっていた人物に向けて小さく振った。その人物、、魔女が、意識を取り戻してうめき声を上げ、もがき始めた。

セブルス、客人が誰かわかるか?」

突然ダークロードに尋ねられ、その姿に目を向けた。私の知人だったのか・・・。他の者もいっせいに魔女を見た。

セブルス、、、助けて、、、」

マグル学のチャリティ・バーベッジ教授だった。彼女は親マグル的な授業をしていた。ダンブルドアの方針に沿った教師なのだ。ドラコもダークロードに尋ねられたが、幸いマグル学などとっていなかったから、知らぬですんだ。

セブルス、、、お願い、、お願い、、」

私に、どうしろと・・・何ができる?ただ、心を閉じているしかない。しかし、また消えぬ悪夢が増えるだろう。私は彼女の涙が髪を伝わり滴り落ちるのを、無表情に見ていることしかできなかった。

ダークロードは彼女が魔法族とマグルや他の魔法生物との融合を説いたのを罵ると・・・

「アヴァダ・ケダブラ」

緑の閃光が走り、バーベッジの体が真下のテーブルに落ちた。

「ナギニ、夕食だ。」

打って変って優しいダークロードの声に、ナギニが鎌首をもたげ、テーブルの上を滑るように這って行った。そして、バーベッジの体はナギニの一飲みで消えた。


おぞましい集会は解散となり、ダークロードは大ホールから出ていった。どこか自室と定めた部屋に引き上げたのかもしれない。デスイーターたちはそれぞれに仲間と談笑していたが、ルシウス一家は部屋の隅に固まって小さくなっていた。惨めな姿を嘲る者たちもいたが、関わり合いを恐れてか近付く者はいなかった。

私が夏休みの度に帰った家。家族同然と温かく迎えてくれたルシウスたち。ナルシッサの陽気なおしゃべりや、無邪気にしゃぐドラコ、上品に身を整え待ちかねたように私を部屋に導いたルシウス。全てはダークロードに蹂躙されていた。家族同然の彼らはなじられ、いたぶられ、いつ恐ろしい危害が加えられるかもわからぬ立場に貶められていた。

私は周囲の目を意識し、ルシウスの立場にとってかわった者の尊大さを装いながら、3人に近づいた。しかし彼らは私の胸の内をわかってくれると思いたい。

「ルシウス、アズカバン暮らしは堪えたようだな。」

ルシウスの失態の報復として私がデスイーターたちに暴行されあと、ぎこちなさをぬぐえぬままルシウスがアズカバンに収監され、1年数か月ぶりの再会だった。しかし溢れる思いを口にすることはできない。デスイーターたちの目もあるし、マルフォイ一家との接触は、ここに滞在するダークロードに筒抜けになると思わねばならなかった。

ローブに忍ばせていた魔法薬の袋を手渡した。

「健康を回復して陣営に尽くすことだ、ルシウス。」

返事はなかった。選り分けて袋に詰め込んだ、私のささやかな願いを込めた薬の意味は彼らに伝わるだろうか?ただ、あなたたちの無事を願っていると。今はこれしかできないのだが、家族と思う気持ちに変わりはないと。ルシウスが、色素の薄いアイスブルーの瞳を、気弱げに逸らした。

私は早々に彼らを離れ、マルフォイ邸から自宅に戻った。今日の集会の出来事を報告する人はもういないから、一人振り返る。

ルーピンの結婚は、知った時には衝撃を受けたが、その後の集会の流れの中、不安に変わっていた。ベラトリックスは躍起になってルーピンやトンクス一家をつけ狙うだろう。皆の前でダークロードが切り捨てるべき病根と名指しした以上、他のデスイーターたちも機会があれば倒して手柄にしたいと思っているはずだ。

トンクスがルーピンを想っているのは、彼女の守護霊が狼に変わったのを見た時から知っていた。ルーピンの想いは私にあると思っていたが、敬愛するダンブルドアを殺したことで、私を恨み、トンクスになびいたのだろう。いつだってルーピンは、仲間から離れて私のために一人立ち向かう勇気など持ったことがなかった。善良で優秀ではあるが、人狼の傷により、仲間の思惑に弱い者なのだ。

それでも、私に友と呼べる者があるとすれば、それはルーピンしかいなかった。危険を知らせたいが、今はその術もない。ルーピンは闇の魔術に対する防衛術の教師を優秀に勤めるだけの能力を持っているのだと自分に言い聞かせた。

ポッターの移動時の襲撃は、こちらの思惑通りことが進んだと思う。正確な日時を伝え、ダークロードの信頼を得る。しかし実際に襲撃しようとすると、ポッターのおとりが何人もいて、デスイーターたちは混乱し、攻撃力は分散せざるを得ない。それでも、騎士団の倍以上いるデスイーターたちの攻撃で、犠牲者は出るかもしれなかった。そのリスクは、大きな計画のためにやむを得ないというのがダンブルドアの考えだ。実際、これに勝る方法など考えもつかなかった。

そして、、、出来る限り思い出すのを避けていた、チャリティ・バーベッジの最期。親しくはなかったが、長年の同僚だった。私を恨めしく思いながら死んでいっただろうか。見知った者に見捨てられて死ぬのと、誰一人知る者のない中で死んでいくのと、どちらがましなのだろう?だが助けることはできなかった。私が止めようとすれば、ナギニの夕食が増えただけのことだ。

彼女の姿は、ダンブルドア亡き後、ホグワーツが闇陣営の手に落ちれば、誰にでも起こりうることだった。楯となり、守ることができるのは、私だけなのだ。そのためにはダークロードの信頼を、つなぎ止めねばならなかった。リリーの遺志を継ぎ彼女の息子の命を守る、そのためだけに生きるつもりが、生き延びるうちに、守りたい者も、守るべき者もずいぶんと増えてしまった。ダンブルドアの詐欺にあったようなものだ。それとも、リリーの遺志は息子の命に留まらず、多くの命と幸せを守ることだったのだろうか?図らずも私の命もそれで永らえたように。

出るのはため息ばかりだった。その夜の浅い眠りには、逆さに吊るされたバーベッジの哀れな姿が出てきた。ゆっくりと回り、暖炉の明かりに照らされるその顔は、そのたびに、ルシウスやルーピン、私自身や教師たち、ポッターや生徒たちに変わっていった。終わりはいつも、鎌首を上げたナギニの生臭い口に飲み込まれて暗転するのだった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ダークロード ポッター ルーピン

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