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セブルス・スネイプと死の秘宝(3)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


次の土曜日のポッターの移動時には、私も出動を命じられた。ダークロード自らが指揮を執り、服従呪文にかけられた者まで動員する、闇陣営上げての総攻撃だった。ダ―ズリー家周辺に集結して見張るうちに、計画通りポリジュースで変身した複数のポッターがそれぞれ1人の護衛とともに、箒やセストラル、それにハグリッドのバイクに乗って姿を現わし、それぞれ別の目的地に向かって飛び始めた。

闇陣営は複数のポッターに混乱していたが、私は迷わずルーピンが護衛する組の後を追った。どれが本物のポッターか見分けはつかなかったし、ダークロードからポッターは自分が始末するから殺すなと命じられていたが、あの集会の後ではこの機にルーピンを殺して寵愛を得ようとする者がでかねないと懸念したからだ。

空の混戦が続くうち、案の定、私の前を飛ぶデスイーターが杖でルーピンに狙いを定めていた。呪文を放つ瞬間に私はそれを狙ってセクタムセンプラを放ったのだが、、、狙いは逸れて、ポッターの、あるいはポッターに変身した誰かの耳が切り裂けてしまった。箒で飛びながら、動き回る標的を狙い撃ちするのは難しいのだ。それに私は、箒が苦手なのだ。ルーピンが振り返った時、私のフードが風で開き、ルーピンの形相が驚きと怒りの表情に変わるのが見えた。

襲撃は結局、ポッターを取り逃がす結果に終わった。途中、この深刻な戦いの中、ポッターがエクスぺリアームス(武装解除)という平和的な呪文を使い正体がバレたのだが、ダークロード自らの攻撃をかわし、ポッターは危ういところを免れて防衛のかかったトンクス家に逃げ込んだのだった。ポッターは無事だったが犠牲は出た。私が耳を切り裂いたのは、ウィーズリー家の双子のジョージだった。それに、組となっていたマンダンガスに見捨てられたマッドアイ・ムーディが命を落とした。

またもポッターを倒し損ねたダークロードは不機嫌ながら、自らの失態とあっては部下に難癖つけるわけにもいかないようで、何やら一人考え込んでいた。ポッターとの闘いで、ルシウスから取り上げた杖が破壊されたのだった。

しかし、私に関して言えば、ダークロードの信頼を得ることに成功した。私がつかんだ日時の情報は正確であり、また、本物ではなかったが、囮のポッターに傷を与えたのもよしとされたのだった。箒の腕前がよければもっと致命的な攻撃ができたのにと悔しがってみせると、ダークロードが箒なしで空をとぶ術をおしえてくれるとまで言われた。

ダークロードの前ではそれなりの演技をして見せたが、一人になると、誤ってジョージ・ウィーズリーの耳を切り落としてしまったことと、その時のルーピンの形相が思い出されて気が滅入った。命にかかわる傷ではないが、闇の呪文で切り落とされた耳が戻ることはないのだ。いつも陽気に、悪気すれすれのいたずらをして皆を笑わせていた双子を思い、心の中で詫びた。

今頃は逃げおおせた仲間たちが集結し、マッドアイ・ムーディの死を悼み、ウィーズリーの怪我を心配し、私を非難していることだろう。友と呼べると思っていたルーピンが、憎々しげに私がやったのだと皆に告げたはずだった。

慰めてくれる者もない。言い訳をする機会もない。わかっていたことだが、仲間の誰からも恨まれて、一人、孤独に戦う立場が耐えがたく思われた。孤独から逃れるように向かった先は、元、騎士団本部のあったグリモールドプレイスだった。曲がりなりにも私が仲間と受け入れられていた場所。秘密の守人であったダンブルドアの死とともに忠誠の術が解け、裏切った私が知る本部は放棄されたはずだった。それにこの襲撃の直後、皆どこかにに集まり、万が一にもその場にいる者はいないだろう。

グリモールドプレイスのブラック邸に入ると、重々しい声が響いた。

「セブルス・スネイプか?」

私を避ける術と身構えた瞬間、舌が丸まる気色悪い感触があった。舌丸めの呪いだ。解く呪文はわからないが、この場所を暴くつもりもないからどうということもない。中に進もうとすると、立ちふさがるようにマッドアイの姿が現れたが、すでに亡き彼に遠慮することもないから、杖の一振りで消した。実はその姿さえ懐かしく思えたのだが。

放棄されたブラック邸は荒れ果てた様子だった。あちこちに物が倒れ、物色された跡がある。マンダンガスの仕業であることは考えるまでもなかった。「穢れた血!血を裏切るクズども・・・」聞きなれたけたたましいブラック夫人の肖像を黙らせて、私はしばらく、本部の会議につかわれた食堂に佇んだ。物腰の柔らかい穏やかなアーサー、あれこれと皆に気を配るモリー、見るたびにやつれるルーピンや、忌々しいブラックさえも、テーブルを囲んだ皆が懐かしく思われた。今もともに戦っているのだと、ダークロードのもとで誰より命を張って闘っているのだと訴えたかった。

誰もいない屋敷の階段を上り、ブラックの部屋に向かった。並んだ隣の部屋には、レギュラスと名が記されている。スリザリンの1学年下の少年だった。卒業前に一緒にデスイーターに加わった時には、まだ幼さの残る顔に誇りをみなぎらせ、嬉しくてたまらぬようだった。話してみれば気があうところもあり、一時は親しくしていたのだが、1年もたたぬうちに突然姿が消えた。心配したのだが探す手がかりもなく、やがてダークロードが裏切り者が死んだと吐き捨てるように言ったとの話だけでうやむやになった。

当時はあれほどまでにダークロードに心酔していたレギュラスが裏切るとは何があったのかと信じられぬ思いだったが、おぞましきダークロードの真実を知った今振り返れば、レギュラスは純な心根ゆえにダークロードの持つ邪悪さにいち早く気づき、許しがたき失望を味わったのかもしれぬ。年端も行かぬ若き身で、レギュラスも一人孤独に戦って、命を落としたのだろうか?帰らぬ主を待ちわびて朽ちた部屋が悲しみを誘う。一瞬、扉を開ければ先輩と懐いて来た幼い姿が現れるのではないかと錯覚に陥った。今ならば共に戦えるのに。だが、全ては遠い過去のおぼろな影に過ぎないのだ。

彷徨う思念を捨てて、ブラックの部屋に入る。ブラックの死後、モリーに言われてルーピンを慰めた部屋だった。慰めるはずが、神秘部の闘いの失態でルシウスがアズカバンに収監されたのが寂しくて酒を飲み過ぎた結果、思いがけずルーピンと一夜を明かした部屋だった。あのあと、それなりに心が通い合ったと思ったものだが・・・。

あの時の残り香でも感じられればと思ったのだが、部屋を見渡しても、ルーピンの残した物などあるはずもなかった。もともとたいした物を持っているやつではないのだ。壁にはブラックが張ったらしい写真が並んでいて、その中で少年の頃のルーピンが気弱な顔で笑っていた、ブラックやポッター、ペティグリューと4人で肩を組んで。

その部屋も物色されたらしく、整理棚や引き出しが開け放たれ、様々な物が投げ出されていた。座りこんで、床に落ちていた紙を拾って開いてゆくと・・・

リリー

食い入るように見覚えのある文字を追った。リリーが生前、ブラックにあてた手紙が残されていたのだった。息子の1歳の誕生日に送られたプレゼントに対する礼を述べ、細々とした近況を記していた。影で裏切っていたペティグリューが訪ねて来て元気がなかったと伝えている。

幼子を抱えた母として、ささやかな日常の喜びに満ちたリリーの姿が伝わってきた。この幸せが続くと願い、信じていただろう。この後すぐに、ダークロードの襲撃を受け命を落としたのだ。湧きあがる懐かしさと悲しみと後悔に涙がとめどなく毀れおちた。

私には辛い文面の1枚目は丸めて床に捨て、「愛を込めて、リリー」と記された2枚目だけをたいせつにローブの中にしまった。それから一緒にあった家族3人の映った写真から、微笑むリリーの部分だけを破り取って、たいせつにしまい込んだ。

愚かな過ちでリリーに死をもたらしてしまったけれど、私はリリーの遺志を継ぐために生きてきたのだ。皆に背を向け、敵に交わり、誰もが私を憎んでも、リリーの魂が寄り添っていてくれるのだった。この身にはリリーがくれた魂の灯りが宿っている。その灯りを支えに、リリーの息子の生きる道を助け、リリーが願い奪われた、家族と寄り添う幸せな暮らしを願う人々を守るのだ。そうしなければ。

私は涙を拭いて、グリモールドプレイスをあとにした。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター リリー ポッター ダークロード

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