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セブルス・スネイプと死の秘宝(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


その後の混乱の中、私が別れの決意を言いだし損ねているうちに、トンクスから妊娠を告げられた。

「リーマス、こんなひどい状況だけど、いいこともあるんだよ。」

まるでその知らせが私を励まし、勇気を与えることかのように、トンクスは告げた。

「私、妊娠したの。あなたの赤ちゃんができたのよ!」

嬉しそうなトンクスに、私は言葉を失った。子供はつくらないとあれほど言ったのに。安全日だと言っていたのを信じた私が愚かだった。騙されたのだ。というより、子供ができてしまえば、私も落ち着くと思ったのか、それとも、自分がほしいから、私の意思などどうでもよかったのか。私はいつも感謝とすまない気持ちばかり感じていたトンクスに対し、初めて怒りを感じた。怒りの裏には、恐怖があった。私と同じ闇と重荷を負う子供をつくってしまった・・・。

その恐怖とトンクスへのわだかまりから逃れるように、私はセブルスに会いたくてたまらなくなった。間違っていたのだ、すべて。私がまた愚かな過ちを犯したと吐き出して、皮肉めいた口調で、その通りだと、認めてもらいたかった。

だけど、セブルスは裏切り者だ。ダンブルドアを殺して逃げ去ったのだ。

・・・ほんとうにそうだったのだろうか?初めは、セブルスに会いたいあまり言い訳を見つけようとしたのだと思う。セブルスが裏切り者とは思えない、いろんな場面を思い出していった。ダンブルドアの命令で二重スパイという危険な任務を果たしてきたこと、初めてベッドを共にした時のあどけない寝顔、リリーへの変わらぬ思い、ダンブルドアへの服従ともいえるほどの忠誠、辛そうに涙ぐむ姿。なにをとっても、セブルスの裏切りを思わせるものはなかった。

何より、ハリーは、ダンブルドアがセブルスを信じたのは、セブルスが漏れ聞いた予言をヴォルデモートに伝えたためにハリーの両親が死んだのを深く悔いたと言ったためだと話していた。ジェームスはともかく、リリーの死をセブルスが心から悔いたことは間違いない。その後十数年の長い時を経てもなお、リリーと同じ牝鹿の守護霊を出していたセブルスが、リリーを殺したヴォルデモートに再度寝返ることなどあるだろうか?

けれど、私はジョージの耳を切り落とすセブルスを見たし、ダンブルドア殺害時にも、現場は見ていないが、その場に向かう姿も逃げ去る姿も目撃している。その時のセブルスを思い浮かべると、その顔はいつも皆に見せていた、何を考えているかわからない無表情だった。何か隠していたのではないか、、何か事情があって?

事実が、常に真実を現わしているとは限らない。16年前のポッター家の襲撃時、皆シリウスが友を裏切り多くの人を殺して逃げたと信じたけれど、それは真実ではなかった。私は、シリウスが多少バカげたことをすることはあっても、ジェームスを裏切るはずはないと知っていたのに、皆が語る事実をそのまま信じてしまった。見せられた事実ではなく、私が知っているシリウスを信じるべきだったのだ。

私は他の皆より、セブルスを知っている。セブルス自身、他の者には見せない姿を、私だけに見せていてくれたと思う。私は目に見えた事実がどうであれ、私の知るセブルスを信じるべきなのではないか?そして、間違いだったトンクスとの結婚を解消し、セブルスの元に戻る。そうしたいんだ。そのほうが、トンクスも幸せになれる。

とにかくセブルスに会って、話をしなければ。でも、どうしたらセブルスに会えるのか?隙を見てスピナーズエンドの自宅を探ったが、人の気配はなかった。闇陣営の者に見られる可能性を考えれば、ふくろう便を出すのも危険すぎた。


ビルたちの結婚式の後、騎士団員は密かに集まり、それぞれの無事や被害を確認し、今後の活動について話し合った。ダンブルドアを失い、ダンブルドアの伝言役を兼ねていた情報源のセブルスは裏切り、長い経験が頼りになったマッドアイも死んで、騎士団は方向性を失っていた。とにかく、今や圧倒的に力を増した闇陣営から、ハリーを守り助けること。ハリーはダンブルドアから何か使命を託されていたようだが、騎士団員はそれを知らなかった。アーサーが、ハリーはロン、ハーマイオニーとともに、グリモールドプレイスに隠れていると言ったので、私はそこに行ってみることにした。

グリモールドプレイスなら、闇に下ったセブルスが、仲間たちを懐かしんで、あるいは情報を得ようとして立ち寄ることがあるかもしれない。そこに来なかったとしても、セブルスは、ハリーを守るために、あるいは捕えるために、ハリーの前に現れる可能性がある。

見張り役のデスイーターの目を盗むのに数日かかったが、私はグリモールドプレイスを訪れた。秘密の守人であったダンブルドアの亡きあと、マッドアイがかけたスネイプ除けの呪いを超えると、ハリーたち3人が現れた。正しく私の正体を確認したハリーを褒め、私は勢い込んで尋ねた。

「それで、セブルスが来る気配はないの?」

ハリーはあっさり、「ない」と答え、私は気落ちしたが、それから持参したバタービールを4人で飲みながら、結婚式から逃げ出したあとの皆の状況を説明した。ハリーたちの状況を尋ねると、逃げ出した直後に行ったマグルの街で、デスイーター2人に攻撃され、それを倒してここに来たと言う。なぜハリーたちのアパレートした先をデスイーターがすぐに知ったのか疑問だったが、敵の情報力は侮れないと改めて思った。

私はハリーにダンブルドアの指示で何をしているのかと尋ねてみたが、ハリーはおしえられないと言った。それならば、おしえなくてよいから、私を3人の警護に同行させてほしいと提案した。ハリーたちの進む道は険しいから経験のある警護が必要だし、そうすれば私はトンクスを安全な両親のもとに託して離れることができる。さらにセブルスに会える可能性もある。

ハリーはしばらく考え込んでいたが、ハーマイオニーがトンクスを置いていってよいのかと言い出して、雲行きが変わった。私は、トンクスは両親のもとで完全に安全だからと説明したのだけれど、食い下がられてついに、トンクスの妊娠を告げたのだった。3人は口々に祝福してくれて、私は苦い思いで礼を述べたのだけれど、妊娠したトンクスを置いて私が彼らと同行したがることに疑問を感じたようだった。私は説得しようとした。

「ハリー、ジェームスなら間違いなく私に君と一緒にいてほしいと思うに違いないよ。」

ハリーはゆっくりと、考えながら答えた。

「さあ、僕はそうは思わない。はっきり言って、父さんはなぜあなたが自分の子といっしょにいないのか、その理由を知りたがると思う。」

私は血の気が失せるのを感じた。彼にはわかっていない。

「私は、、、トンクスと結婚するという重大な過ちを犯した。私の良識に逆らう結婚だった。それ以来ずっと後悔している。」

「そうですか。それじゃ、トンクスも子供も捨てて、僕たちと一緒に逃亡するというわけですね?」

わかってもいないくせに、ひどい言い草だった。私は思いのたけを語った。私との結婚でトンクスは世間ののけ者になってしまったし、生まれてくる子供は罪もないのに人狼の苦労を背負う。万一そうでなかったとしても、恥ずべき人狼の父親などいないほうがいい。私はこんな事態を招いた自分が許せないと。

「リーマス!そんなことを言わないで。あなたのことを恥に思う子供なんているはずないでしょう?」

ハーマイオニーが涙を浮かべながら言ったが、ハリーの言葉は辛辣だった。

「へえ、そうかな?僕ならとても恥ずかしいと思うな。あの連中は騎士団員の人狼の父親を持つ反人狼の子供をどうするだろう?僕の父さんは、母さんと僕を守ろうとして死んだんだ。その父さんが、あなたに、子供を捨てて僕たちと一緒に冒険に出かけろというと思うんですか?」

「よくも、そんなことを。」

私の苦悩も罪悪感も知らず。闇に堕ちたこともなく、自らが堕ちることなど想像もしない者。人狼の呪いを受け、闇の生物として掃っても掃っても、逃れようなくつきまとう闇にまみれた人生を知りもしないくせに。

「僕には信じられない。僕にディメンターとの戦いを教えてくれた人が、、、臆病者だなんて。」

ハリーは、私を睨みつけるように立ち上がって言った。私は怒りのあまり杖を抜き、ハリーを壁に吹き飛ばしていた。私を臆病者と、闇につきまとわれる人生の重さを知りもしない者に、言われたくはない。許せなかった。

「リーマス、リーマス!戻って来て!」

すがるハーマイオニーの声を背中に聞きながら、私はグリモールドプレイスを後にした。


その後しばらく、私はもんもんと過ごした。トンクスの腹の中で育ってゆく人狼の子供。とりあえず実家に帰したが私の別れの決意を想像もしていないであろうトンクス。親友たちを失ってから人生の希望だったハリーとの諍い。会うあてのないセブルス。騎士団のほうも、強まる闇の勢力に打つ手がなく、反マグルの新体制や、人狼など魔法生物への規制厳格化にどう対処できるか考えあぐねていた。さらにはダンブルドアの過去を暴くような予言者新聞の記事を、不快な気持ちで読んでいるだけだった。

そして、学校の新学期が始まる頃になり、私は予言者新聞でその記事を目にした。

「セブルス・スネイプ氏、ホグワーツの校長に確定」

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルーピン

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