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セブルス・スネイプと死の秘宝(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


闇陣営の計画は、ポッター襲撃を除き、すべて順調に運んだ。服従の術や脅しにより魔法省に包囲網を築くと、魔法大臣のスクリムジョールを詰問し、ポッターの居場所を吐かせようとした。スクリムジョールは口を割らなかったが、ダークロードは彼をを殺し、服従の術をかけたシックネスを魔法大臣の座につかせたのだった。

その後は簡単だった。影から大臣を操り、新しい施策を次々と実行する。ダークロードが表に出ないことで、人々は誰を信じてよいのかわからぬ闇の影に怯え、口をつぐみ、孤立していった。人々は団結してこそ力を得る。孤立した者を従わせることは容易なのだった。

ダークロードが操る魔法省は方針を大きく転換した。ハリー・ポッターをダンブルドア殺害の参考人として手配したことで、関係者にはあからさまに拷問を加えることが可能になった。抵抗する者を見つけ出すための「禁句」さえ制定された。つまり、禁句である「ヴォルデモート」の言葉が発せられると、その場を魔法省が探知することができるのだった。その言葉を発するのは闇陣営に反する者だから、地下に潜った抵抗勢力を抹殺するのに役に立つ。

しかし「禁句」の術により最初に探知されたのは、ポッターだった。ポッターたち3人はマグルの街のカフェにいたのを探知され、ただちにロウルら2人のデスイーターが派遣された。辛くも逃げおおせたようでほっとしたのだが・・・。しかしマルフォイ邸に陣取ったダークロードは、ロウルらの失態の報復を、怯えるドラコにやらせたのだった。やつれ果てた青白い顔でかろうじてクルーシオをかけ、それに苦しむ姿を凝視するドラコが痛々しくてならなかった。なすすべもないルシウスとナルシッサも。

ダークロードは抵抗者をあぶり出すとともに、純血支配への方策も進めていた。魔法省に「マグル登録委員会」なるものを設置し、マグル出自の魔法使いや魔女を捕えていく。魔法は血で伝わるものなのに、マグル出自が魔法を操れるのは魔力を盗んだからだという、言いがかりに等しい根拠に基づくものだった。勢いづいた闇陣営の者による、お遊びのマグル虐待も続出した。

学校教育に関する方針も大きく転換された。国内に住む魔法族の子供は、すべてホグワーツに入学することを義務付けられた。血統の証明が求められ、事実上、マグル出自の子供の入学は不可能となった。また、これによりマグル出自の魔法使いや魔女を、子供のうちから排除することができるし、純血や混血の魔法族の子供も魔法省が一括管理できるようになる。

このような情勢の中で、私はダンブルドアが望んだとおり、ホグワーツの校長に任命された。殺されてナギニに食われたバーベッジ教授は行方不明とされ、マグル学の後任教授としてアレクト、空席になる闇の魔術に対する防衛術教授としてはアミカスの、カロー兄妹が闇陣営から送り込まれる。形式上は、校長の私が任命したのだが、実際はダークロードの命令だ。

魔法省から命じられる事実上ダークロードの意思に沿いながら、教授や生徒たちの身の安全を守り、できるだけまともな教育を受けさせるのが私の使命だ。デスイーターのカロー兄妹がいては、私のホグワーツでの行動は闇陣営に筒抜けとなるが、乱暴な彼らから、反発するであろう教授や生徒たちを守らねばならない。ホグワーツを守ると言っても、私の真意が闇側にばれぬようにしながらやらねばならないから、神経を張り詰めた任務となることは間違いなかった。

私が校長室に入ると、待ちかねたように肖像画が話しかけてきた。校長席の真後ろにある、新しい肖像画。

「セブルス、計画通り校長になったの。これで一安心じゃ。おまえさんならホグワーツをしっかり守ってくれると信じておる。」

「アルバス、容易なことではありません。魔法省は完全に掌握されましたし、カロー兄妹もホグワーツに来ているのです。追い詰められて騎士団は地下に潜り、ポッターたちは居所さえわかりません。」

肖像画ではあるがダンブルドアの姿を目にして愚痴をこぼし始めた所に、脳天気な声がかかった。

スネイプ新校長!我がスリザリンから2人目の校長就任、心から歓迎いたしますぞ!」

フィニアス・ナイジェラス・ブラックの肖像画。ガラス戸棚のすぐ脇で、満面の笑みで迎えてくれた。他の肖像画からも、控えめながら就任の祝いの言葉がきかれた。歴代の校長の肖像画は、生前の影として、現役校長に従い補佐してくれることになっている。

「アルバスからお聞きとは思いますが、世の中の情勢も私の立場も、非常に微妙なものです。間違っても私以外の者がいるところで無防備な口をきかれませんようお願いいたします。ホグワーツを守るために。」

「ホグワーツを守るために。」

肖像画が復唱して、拍手を返してくれた。死者の影にすぎないのだが、少しは心強かった。


入学式の日、大ホールに集まる生徒たちを前に、私は無意識のうちにポッターの姿を探していた。というより、姿がないことを確認していた。ここに姿があれば捕えねばならぬから、とんでもないのだが。ポッターの仲間の、ウィーズリーとグレンジャーの姿もなかった。彼らはともにポッターを助け、ホークラックスを見つけ破壊する旅に出たはずだ。旅が終われば・・・必ず彼らはホグワーツに帰ってくるだろうと予感していた。そしてダークロードもやって来る。根拠がある訳ではないのだが、見捨てられた子供時代を送った2人は、初めて見つけた家であるホグワーツで最後の決着をつけるだろう。それまでは、同じ根を持つ私がここを守るのだ。

私は新校長として入学式の壇上に立ったが、ダンブルドアのような、おちゃらけて楽しい演説ができるはずもない。居並ぶ生徒たちに魔法省の新方針を述べ、特に、反抗的な表情を隠しもしないグリフィンドールの生徒たちに、規則を守り、勉学に励むよう訓示を垂れ、新任の2人の教授を紹介した。

生徒たちを見渡すと、見慣れた顔がいくつか消えている。マグル出自の生徒たちだ。彼らは魔法を学ぶ機会を取り上げられ、捕まることを恐れて隠れているか逃亡を余儀なくされているはずだった。入学を許可されなかった11歳の子供もいるだろう。入学を心待ちにしていた子供の頃を思い出す。私のように家庭から身捨てられた子もいるに違いない。ホグワーツに来れば、そこで温かい家を見つけられたはずの子供たち。そしてマグル生まれのリリーも、この時代であれば、学校に来ることはできなかったのだ。学生の頃、私が愚かにも憧れた闇の真実がこれだった。

職員会議では、マクゴガナル教授を初め、ダンブルドアを殺した者が、と顔に書いてある教授たちに対し、魔法省の新方針を伝え、従うようにと命じた。彼らが表立って反抗すれば、よくてアズカバン行き、悪くすればバーベッジの二の舞になる。そのままは言えないが、言外に含ませたつもりだった。

公式な行事を終えると、私は魔法薬学のスラグホーン教授の部屋を訪れ、地下牢棟にある魔法薬学の研究室を使わせてほしいと申し出た。精魂込めて集めた薬材貯蔵庫を使いたかったし、何よりそこは20年近くを過ごした、最も落ち着ける私の部屋だった。もちろん、校長の申し出だし、前年度もそうしていたから、快く引き受けてもらえたが、スラグホーン教授は不安げな様子を漂わせながら尋ねてきた。

「セブルス、いや、校長、私は学生時代からあなたを見てきたのじゃが、ほんとうに、その、前校長を、、、。」

私がじっと見つめると、教授は言葉をとめて目を伏せた。私は、勇敢ではないがリリーを可愛がっていたこの魔法薬学の教授が嫌いではなかった。当時のスリザリン寮監でもあり、親しみも感じていた。

「スラグホーン先生、世の中の情勢はご存知でしょう?余計なことに興味を持たず、生徒の指導に注力することがたいせつです。スリザリン生は先生を慕っていることでしょう。」

スラグホーン教授は目を伏せたままだったが、意図を察してほしいものだ。魔法省やカロー兄妹に目をつけられぬように、また、怯えて逃げ出したりせず、難しい時期を迎えるはずのスリザリン生をなんとか守ってほしいのだ。

「校長先生のご意向に従うことにしましょう。」

私は軽く礼をして、教授の部屋を出た。


わずかながらも私の真意に疑問を持ってくれたスラグホーン教授を除き、他の教授たちの私に対する目は厳しかった。中には私が生徒の頃から知る長い付き合いの教授もいるのだが、皆、私が裏切り者と信じて疑わなかった。以前は曲がりなりにも同僚として、言葉をかわすこともあったのだが。もちろん敵を欺くにはまず味方からとはいえ、寂しく感じるのは否めない。

しかしあからさまに敵対的な態度をとられれば、カロー兄妹を通じてダークロードに伝わるおそれがある。それを避けるため威圧的に接する私に、彼らの反感が強まるのがひしひしと伝わってきた。

生徒たちの一部も、私に反発していた。それはかまわぬが、カロー兄妹に反抗して罰則を受ける者もあった。カロー兄妹は容赦なく生徒たちに罰としてクルーシオをかける。むしろ喜んで。それを抑えつければダークロードの私に対する信頼が揺るぎかねないし、それを放置すれば生徒や教授たちの私に対する敵意がいや増すのだった。何をするにも板挟みで、恨みを買うのが私の立場だった。

それでもホグワーツを守り続けねばならない。ダンブルドアの指示というだけでなく、弾圧されたホグワーツの様子を見ていると、私の初めて見つけた家が蹂躙されているように感じられるのだった。ダークロードはもう一つの家、マルフォイ邸を自ら蹂躙し、私を通じてホグワーツの家を支配しようとしている。闇の勢力が倒されるその日まで、なんとか無事に守らなければならない。皆に恨まれ、蔑まれようとも、楯となって職員と生徒の命を守るのが私の使命なのだ。

私は時々、夜のひと時を地下牢の研究室で過ごした。神経を使う孤独な日々の中、慣れ親しんだ薬臭い部屋にこもり、魔法薬を煎じたり研究書を読んだりするのが、唯一の息抜きだった。仲間気分のカロー兄妹には辛気臭い趣味だと笑われたが、私の魔法薬好きはデスイーターの間にも知れ渡っていたことだから、ダークロードに知れてもどうということはない。


その夜も、地下牢の研究室で自分のための睡眠剤を調合していると、ふいに銀色の牡鹿が目の前に現れた。

「満月の夜の部屋」

それだけを告げて、牡鹿は消えた。ルーピンの守護霊だ。万一他の者が見ても意味不明な伝令は、学生の頃ルーピンが満月の度に夜を過ごした叫びの屋敷で待つと言うことだとすぐにわかった。

こんな危険を冒してルーピンは何を考えているのだ?ダンブルドアを殺した私を、それでもルーピンは信じているというのか?・・・私を誘き出す騎士団の罠である可能性もある。万一罠だった場合、私が囚われてしまえば、ホグワーツはどうなるのか?

しばらく迷ったが、ルーピンを信じたかった。なんといってもルーピンは長年の知人であり、友と呼びたい唯一人の者だった。それに、、これが最後の機会かもしれなかった。このまま会わずに死を迎えれば、きっと後悔するだろう。

意を決めて部屋を出た。校内の見回りをする振りをしながら人目のないのを確認し、暴れ柳から叫びの屋敷に入って行った。天井の窓から月明かりがわずかに差し込む暗い部屋に入り、暗闇に目を凝らす。

「ルーピン?」

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルーピン スネイプ

コメント

最初から全部いっきに読みました。たぶん何回も読みたくなると思われますww セブルスファンなので、セブルス目線なのがすごく嬉しい!更新楽しみに待ってますね。

まちこさん

コメントをありがとうございます。励みになります!
本作はハリー目線で書かれているので、その時セブルスは何してたのかなと妄想をふくらませて書いています。

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