スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと死の秘宝(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私は叫びの屋敷で、じっとセブルスを待っていた。守護霊の伝令は、考えた末、地下牢棟の魔法薬研究室に送った。

伝令は届くだろうか?それを見てセブルスはここに来てくれるだろうか?騎士団員がいるとデスイーターを引きつれてくるのではないか?セブルスを信じると思っても、やはり不安だった。セブルスへの信頼は、私の希望が生み出した幻かもしれなかった。

密やかな足音に耳をすまし、息をひそめていると、薄暗い部屋にの入口にさらに暗い影が現れた。

ルーピン?」

セブルス!私だよ!来てくれたんだね?伝令の意味はわかったかい?」

「わかったから、今ここにいるのだ。」

相変わらずぶっきらぼうなセブルスの返事をきいて、なんとなくほっとした。

「君はやっぱり、裏切ったわけじゃなかったんだね?仲間に言って私を殺すこともできたのに、一人で来てくれた。」
 
「何の用だ?」

「君に会いたくてたまらなかったんだ、セブルス。君は、、、君はほんとうにダンブルドアを殺したのか?」

「ダンブルドアの死については、ポッターが参考人として手配されたときいているが。」

「模範解答のような答えだね。でも、ハリーは確かにその現場を目撃したと言っているし、君以外にそんなことができる者はいない。」

「そう言うのなら、私に聞くまでもないだろう?」

「だけど私は、、、きっと事情があったんだと思っているんだ。」

ルーピン、そのことについて、私はこれ以上なにも言うつもりはない。おまえは自分が信じたいことを信じていればいい。用件はそれだけか?」

セブルスがこう言った以上、真実薬でも飲ませなければこれ以上のことは聞けない。

「それなら私は君を信じるよ。だけど、、、私はその衝撃のあまり、間違ったことをしてしまった。君を裏切り者と思いこんで、トンクスと結婚してしまったんだ。」

「何をのんきなことを。ルーピン、おまえはわざわざ危険を冒して、結婚の報告に来たのか?報告されるまでもない。ベラトリックスはそのためにダークロードに嘲られ、やっきになってトンクスをつけ狙っている。祝いの言葉でも言って欲しいと?」

「もちろん、そんなつもりじゃないよ。私は後悔しているんだ。想いは君にあるのに、間違ってトンクスと結婚して、不幸にしてしまった。人狼で貧しい私などと結婚したばかりに、トンクスまで世間の除け者にされている。私はどうしたらいいんだろう?」

ルーピン、そんな泣き言を言うために私を呼び出したのか?トンクスはおっちょこちょいのあわて者で失敗に慣れている。間違いに気づけば自分で正すだろう。トンクスが幸せか不幸かは、彼女が自分で決めることだ。私にはむしろ、おまえが不幸を嘆いているように聞こえるが。」

「そうだね。トンクスといると、自分が惨めに感じられてたまらない。私は、、君といたいんだ。」

「残念だがルーピン、私はおまえといられない。私はホグワーツにいなければならぬのでな。しかしおまえがトンクスと別れたいなら、私に泣きごとを言いに来るのではなく、トンクスに話すべきだと思うが。」

「だけど、、、トンクスは妊娠しているんだ。人狼の子を。私と同じ、人狼の子が生まれてくる。」

私は血を吐く思いで告白した。けれど、セブルスの返事は・・・

「ではおまえは、トンクスと別れて、生まれてくる子供を捨てようと思っているのか?」

「ハリーと同じことを言うんだね、セブルス。君ならわかってくれると思ったのに。人狼の子がどんな重荷を背負って生きていくことになるか、私が犯した過ちがどんなに取り返しのつかないものか、、、私の気持ちを、君なら分かってくれると思ったのに。」

私はやりきれない思いに息を荒げ、セブルスを睨んだ。セブルスは私をじっと見返していたが、しばらくして肩をすくめながら言った。

ルーピン、世間の偏見により、おまえが人狼として苦労してきたことは知っている。人狼の子であれば、同じような苦労をするかもしれぬ。だが、おまえの父親は、人狼となったおまえを見捨てたか?」

「・・・」

「ポッターがわかってもいないくせに生意気な口を叩いたことは容易に想像がつく。だがルーピン、ポッターは親の顔も知らずに育ったのだ。親戚に邪魔者扱いされながら。」

私は、自分の耳が信じられなかった。セブルスがハリーを擁護している!不思議なものを見るような顔でセブルスを見ていたに違いない。

「そうあっけにとられることはない。私も親に邪魔者扱いされて育ったのだ。おまえは知らぬだろうが、ダークロードも同じだ。母親の顔は知らず、生まれる前に捨てた父親は自ら殺したのだ。親は、できるなら、子供を見捨ててはいけないと思う。たとえ、自分がどんなに惨めな状態であろうとも、たとえ、どんなに気に入らない子であろうともだ。」

「では君も、、トンクスの元に戻れと言うんだね?」

私は力なくうずくまった。子供が人狼として生まれてくるのならなおさら、父親として助けなければならない。それはわかった。落ち着いてみれば、当然のことだった。けれど、、、もうセブルスといることはできないのか?こうして話すだけで安らぐことができるのに。それは、想像できないほど、辛いことに思われた。

「夫婦の間のことに口出しする気はない。戻るのも別れるのも2人の問題だ。だが、おまえのような惨めでふがいない父親でも、子供には父親の支えがあれば心強いことだろう。」

「わかったよ、セブルス。君の言うことは、よくわかった。私は父親として、生まれてくる子供に出来る限りのことをするべきだ。でも私は、君のことが好きだよ。戦いの後で君と幸せに暮らすことを、ずっと心の支えにしていたんだ。一時の衝撃で、愚かな過ちを犯したことを後悔している。トンクスにも生まれてくる子供にも、そして君にも合わす顔がない。」

「私のことなど気にかける必要はない。いずれにせよ、おまえが私といられるわけではないのだ。」

「なぜ?今は無理でも、戦いが終われば、、」

「戦いが終われば、私は、、、生きていたとしてもアズカバン行きだ。」

セブルス、では。私は必死に言いつのった。

「私は君を信じているよ。生きてさえいてくれたら、きっと事情も明らかになるよ。セブルス、、、まさか、死ぬつもりなのか?」

「生き延びる努力はするつもりだ。そういう約束になっている。」

「?」

怪訝そうに見つめると、セブルスが腰をかがめ、うずくまる私に手を伸ばしてきた。するすると腕を首に回し、私の耳元で囁くように。

「ルーピン、これが最後だ、おそらくは。訪ねてきてくれて、、、嬉しかった。」

私も夢中で抱き寄せた。懐かしいセブルスの体。愛おしい命。

「もうこのような危険を冒してはならぬ。二度とここには来るな。」

「セブルス、、」

「抱け。」

「え?」

「私を抱くのだ、ルーピン。時間がない。早くするのだ。」

そのムードのない命令調はなんとかならないものかと思いながら、私は急いでめんどうな細かいボタンをはずし、大好きな体に肌を重ねた。汗と魔法薬の混じった懐かしい匂い。温かに脈打つ体。伝わる心臓の鼓動。互いの欲望を確認し、快楽よりその命の温もりに喜びが湧く。

今この時が全てだと、明日はわからなくても、今はこうしてともに生きているんだと、頭の中で何度も叫んでいた。

果てた解放感に浸っていると、清浄呪文をかけるつもりか手にした杖をふと止めて、セブルスが言った。

「ところで、ルーピン、人狼の子は必ず人狼に生まれるのか?そんな文献は読んだことがないのだが。」

「普通人狼は繁殖しないんだ。子供に重荷を背負わせるだけだからね。だから文献もないんだろう。」

なぜこのタイミングでそんなことを尋ねるのかと訝しく思っていると、セブルスは杖でスポイトを取り出し、私の精子を採取した。

「生殖細胞に呪いの影響が見られるか調べてやろう。呪いに遺伝性があるとは限らないからな。1ヶ月後の同じ日の深夜、おまえの家に伝令を送る。一度だけしか送らないから見逃すな。」

時代が許せば、セブルスはきっと、偏屈で素晴らしい学者になっていたに違いないと思う。地味だけれど人の助けになる研究を、こつこつと進めてくれたことだろう。いつも本を携えていた子供の頃のセブルス、顔がつくほどに鍋を覗き込んで魔法薬を調合していた黒髪の後ろ姿。こんな時代でなければ・・・。涙が滲み出て、あわてて手で拭った。

セブルスはいつの間にかローブを纏い、立ち上がっていた。

「セブルス、また会えるよね?誰が何を言おうと、君がどこで何をしていようと、私は君を信じているよ。」

「また会えるかはマーリンのみぞ知る、だ。だが、おまえが今日訪ねて来てくれたことは忘れない。ルーピン、幸運を祈る。」

「君も。セブルス」

セブルスは、らしくないことを言って去って行った。私は二度と見られないかもしれない、その細い後ろ姿を目に焼き付けるように、いつまでも見送った。

ダンブルドアの死の事情は話してくれなかったけれど、「戦い後に生きていたとしてもアズカバン行き」ということは、セブルスは闇陣営が敗れ去ることを信じているということだった。そのために戦っているということだ。仲間すべてに裏切り者と恨まれて、一人闇陣営の者を装って。

セブルスのその強さはどこから来るのだろうと思い、すぐに美しい銀色の牝鹿が浮かんだ。リリーの魂の守り。幼いセブルスが親から得られなかったその守りを、リリーが与えたのだった。そのリリーに死をもたらす過ちを犯し、セブルスは贖罪のために生きているのだと直感した。リリーの遺したその守りが、今は身を楯としてハリーを、そして仲間やホグワーツを守っている。

私は親として、生まれてくる子供に守りを与えなければならない。セブルスが私にくれた守りかもしれなかった。私は翌日、実家にいるトンクスを訪ね、私はお腹の子が幸せに生きられる世の中になるように戦うつもりだと伝えた。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルーピン トンクス

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。