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セブルス・スネイプと死の秘宝(11)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


その頃、『アルバス・ダンブルドアの人生と嘘』という本が出版されて話題になった。リータ・スキーターの著作だから真偽のほどは疑わしいものだが、ダンブルドアの栄光を損なうような内容の本にデスイーターたちは大喜びしていた。ダンブルドアの信望者にはお気の毒だぜと笑いながら、カロー兄妹が私に1冊手渡してくれたものだ。

さすがに、校長室でダンブルドアの肖像画を背にその本を開くのは気が引けた。ダンブルドアは、最後に話した時に少し触れたのを除き、私的な話をほとんどしない人だった。最後の夜にブロンドがどうこう言い出した時には、むしろ戸惑いを覚えたくらいだった。

私もリリーの死の直後に思いを吐露した以外、私的な話はまったくしなかったから不思議とも思わなかったのだが。教育か騎士団か、いずれにせよダンブルドアの話は常に公的な活動に関わるものだったし、私を含めダンブルドアを慕っていた者たちは多いが、彼の私的な面に触れたものはほとんどいないのではないか?

とはいえ、私を100%信頼していると言いながら、計画の全容を話してくれないことは、いまだ寂しく思っている。ダンブルドアには、リリーへの想いと悔いを明かし、全てを投げ出して導きに従ってきたのだ。長い年月を仕えるうちに、父親から得られなかった父性愛的なものを求めていたことは否めない。命じられるままに、嫌でたまらなかった父殺しのようなことまで為したのに、その私にはポッターほどの信頼を持ってくれなかった。それを思うと、心にトゲが刺さったような、苦々しさとも寂しさともつかぬ思いがよぎる。

殺害を為した後も、肖像画のダンブルドアに、機会があるとポッターに与えた使命が何かと尋ねたが、知る必要はないの一点張りだった。ホークラックスの破壊であることを私が気付かぬはずはないとわかっているはずなのに。知ったとしても、手を出すなと言われれば従うこともわかっているくせに。ダンブルドアの頑固者め。

「こんなふうに、死後に秘密が暴露されるのは不本意なことでしょうな?」

心の中でダンブルドアに皮肉を言いながら、地下牢棟の研究室でページを繰った。

まず目についたのは、ダンブルドアとポッターの関係についてだった。まるまる1章を割き、2人の関係は不自然でむしろ忌まわしいものだったと仄めかしてあった。ダンブルドアは最初からポッターに不自然な関心を持っていたが、それがポッターにとって善いことだったかは後にわかるだろうと。

たしかに、最初からダンブルドアはポッターに、ダークロードを倒す者として並々ならぬ関心を持っていたし、それはやがて、死ぬべき時に死ねるように生かすという、忌まわしい関係といえなくもないものになっていた。が、それはダークロードを倒すためにやむを得ないことなのだ。ダンブルドアの気持ちとしては、むしろポッターに対し孫のような愛情を感じていたと思う。それは計画のために生きるダンブルドアにとって、予想外のことだったろう。

あまりにスキャンダルを煽る事実を捻じ曲げた書き方に、本を手に取ったことを後悔したのだが、閉じようとしたとき、美しいブロンドの青年とともに笑う若き日のダンブルドアの写真が目についた。

これがあなたの心を奪ったブロンドか、とその青年の名を見ると、ゲラート・グリンデルバルドとともに、と記されていた。ゲラート・グリンデルバルド。ダークロードが現れるまで、最も危険な闇の魔法使いとされていた人物。たしかに、ルシウスとはケタ違いの悪だ。

興味をひかれて、つい読んでしまった。『より大きな善のために』という章だった。

優秀な成績をおさめ、栄光に彩られてホグワーツ卒業を迎えたダンブルドアは、友人とともに世界を見聞する旅に出ようとしたその時に、母親の急死という不幸に見舞われる。父親はすでに亡く、孤児となり家長となったダンブルドアはゴドリックの谷にある自宅に戻り、病弱だかスクイブだかで家に隠されていた妹のめんどうをみることになった。そしてそこを訪れたグリンデルバルドと知り合い、意気投合する。と本には書かれているが、本人の言によれば、心を奪われた。

そしてグリンデルバルドとともに、魔法使いがその存在をマグルから隠す『秘密保持法』を壊し、魔法使いが力を持ってマグルを支配するという夢に傾倒した。より大きな善のために、魔法使いによる支配権を掌握する。しかしそのための力の行使は最小限に抑えるべきだ。それはダンブルドアの発案だった。ダンブルドアからグリンデルバルドに送られた手紙に、若き日のダンブルドアの思想が記されていた。

その夢を目指し旅立とうとした2人と、それを非難する弟アバーフォースとの間で争いが起こり、その最中、妹アリアナが死んだ。

グリンデルバルドは逃げるようにイギリスを去り、ダンブルドアは葬儀の席で弟アバーフォースに殴られて鼻を骨折した。そしてその後ダンブルドアは、マグルを擁護する偉大な闘士となる。グリンデルバルドはイギリス国外で闇の魔法使いとして勢いを延ばし、真相の知れぬ事件が数々起こっていた。数年後、ダンブルドアは周囲に請われてようやくグリンデルバルドと再度対面し、決闘でやぶって監獄に送った。

私は本を閉じ、静かに目を閉じた。最後の夜の、ダンブルドアの言葉が浮かぶ。

「わしは魅了されてしまったのじゃ。その結果大切な者を失った。守るべき弱い命が失われたのじゃ。・・・それからは闇の台頭を抑えることに生涯をかけ、力に弱いことを自覚して権力に近付くまいと、教育者として生涯を送ったのじゃ。」

若き日の過ち。取り返しのつかぬ、失われた命。それではアルバス、あなたも自らの過ちが愛する者に死をもたらしたことを悔い、贖罪に生涯を捧げたのか。どれだけ贖罪に努めても、失われた命が戻らぬことを知りながら、得られることのない許しを求めて。

ダンブルドアには、私的な幸せや親しい人間関係を求める様子が見られなかったが、それはひたすら贖罪のための闇勢力との闘いに全てを捧げていたためだったのか?

私よりポッターを信じる様を寂しく感じたものだが、そのポッターが戦いのために命を差し出すことも止む無しとした。その厳しさに衝撃を受けたものだが、それはダンブルドアの悔いの深さでもあったのだ。

若き日の過ちを悔い、贖罪として闇勢力の台頭を抑えることを第一義としたダンブルドアにとって、元デスイーターで贖罪のためなら命も厭わぬ私は、実に都合のよい駒であったことだろう。しかし、それを責める気にはならない。むしろ、この機会を与え導いてくれたことに感謝している。ただ、栄光に輝いていたダンブルドアの生涯が、贖罪に貫かれていたことを思うと、その寂しさと厳しさに胸が痛んだ。

ダンブルドアは最初から、私が愛するリリーの死を悔み、遺志を継いで息子の命を守るために生き延びたのを知っていた。それなのに、そのポッターの死すべき使命を知り私が取り乱したのを見て、涙ぐむほどに驚いていた。あとで考えるとダンブルドアの反応が腑に落ちなかったのだが、長い年月をともに戦ううちに、自分と同様、私も贖罪のために闇の台頭を抑えることに全てを捧げているのだと錯覚していたのだろう。私はあくまでリリーの遺志を継ぐために戦っていただけなのだが。

ダンブルドアにとって、私は、同じ贖罪に生きる同志であり、私が心の底で父性愛など求めるような、ある意味子供じみた甘さを残しているとは思ってもいなかったに違いない。しかし最後の最後で、私には、贖罪を果たし、生き延びて自分の人生を歩めと言い残したのだった。

ふと、ポッターもこの本を読んだだろうかと思った。ダンブルドアを善の象徴と尊敬し信頼していたポッターは、ダンブルドアの過去の過ちを知り、裏切られたと感じるだろうか?若き日の過ちとは言え、今のポッターと同じ年頃のことだ。同じ年頃で命をかけて闇勢力と戦うポッターには、若さゆえとは片づけられぬであろう。

しかし、ポッターが命を差し出す歩みを始める前に、償う術のない過ちを犯してしまった者が、それでも歩んできた人生の重みを解してくれることを願った。それはおそらく予定外にポッターを愛してしまったダンブルドアのためであり、私自身の祈りでもある。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ポッター ダンブルドア

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