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セブルス・スネイプと死の秘宝(13)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


夕暮れのディーンの森に着くと、木々は雪に覆われ、刺すような寒さだった。ベラトリックスではないが、私がぬくぬくとホグワーツにいる間も、ポッターたちはこのような場所を彷徨っていたのだ。

フィニアス・ナイジェラスの話から、彼らが移動しながらテントで暮らしていることは分かっていた。保護呪文でテントは見えないようにしてあるはずだ。辺りを探り、小さな池を見つけた。池からほど近い所に、2本の木が並び立ち、うまく姿を隠しながらあたりを見渡せる場所があった。

夜になるのを待ってその場所にたち、私は心の中のリリーに話しかけた。

リリー、この森のどこかに、君の息子がいるはずだ。赤子だった子も大人になって、君のかけた愛の守りが解け、今は自分の力で闘っている。きっと勇気を示して剣を手に入れられると思う。君なら、息子のハリーを見つけられるだろう?命をかけて守ってきた君の手で、導いてやってほしい。」

その時、森の木々が揺らいだ気がした。雪の上にぼんやりとした光の固まりが現れて・・・

「あなたも一緒よ、セブ」

私はたしかに、リリーの声を、聞いたと思う。懐かしい、その声。

ああ、リリー。君の遺志を継ぎ、私も命をかけて守ってきた。最後まで、この身を楯にして守るつもりだ。君があの日そうしたように。そしてハリーも、その時が来れば身を投げ出して友や仲間を守るだろう。君と同じように、真の勇気を持つ子に育っているはずだ。

私は杖を上げた。

心に溢れるリリーの思い出。両親の諍いを心配してくれたリリー、傷ついた頬に小さな手のひらを当ててくれたリリー、毅然として私をかばってくれたリリー。私に生きる意味と喜びを教え、いつも私を支えてくれたリリー。

「エクスペクト・パトローナム!(守護霊よ、来たれ!)」

リリーと私の幸せな思い出が、光の粒から銀色の牝鹿の姿となって、粉雪の上を滑るように進んでいった。

やがて守護霊が歩みを止めた先に、小さな人影が立ち上がるのが見えた。人影と牝鹿はしばらく、静かに見つめ合っていた。ポッターなら必ず、牝鹿を為す魂を感じ取るはずだ。私が杖で池の氷に割れ目をつくって剣を沈めると、牝鹿は向きを変えてこちらに向かった。一瞬の後、人影も後を追い、やがてポッターの姿が確認できた。私は並びたつ2本の木の陰に立ち、幹と幹の間のわずかな隙間からポッターの様子を見守った。

池のほとりまで来て牝鹿が歩みを止めると、ポッターは駆けよった。牝鹿は振り返り、もう一度ポッターの顔を見つめて、静かに姿を消した。

暗闇に戻った森の中で、雪や枝の折れる音だけが聴こえる。ポッターが「ルーモス!」を唱え、杖先に明りをつけた。ポッターは池に近付いて見下ろし、底に沈めた剣に気がついたようだ。探るように周囲を見回してから、池に向かって「アクシオ・ソード(剣よ、来い)」と叫んだ。そんな容易いことではないとわかっているはずだが。

何の反応もないのを確かめたようだ。ポッターはあきらめたように服を脱ぐと、たたんで池のほとりに置いた。「ディフェンディオ(裂けよ)!」の呪文で氷を割り、明りがついたままの杖を脇に置いて、ついにポッターは池の中に飛び込んだ。そしてわずかな間水面でぐずぐずしていたが、やがて水の中に姿を消した。

信じていても、心配なものだ。心配しながら、同時に期待を込めて見守っていたのだが、ポッターはなかなか浮かんで来ない。池の中は、凍りつく冷たさに違いない。何をしているのだ、ポッター!

たまりかねて池に向かおうとした時、杖先が作る光の中に、別の少年の姿が現れた。ウィーズリー!あわてて木の陰に戻り、身を潜めた。

ウィーズリーは池に走り寄ると、躊躇なく飛び込んで、すぐにポッターを抱き抱えて水面に浮かび上がった。ウィーズリーはなんとかポッターを引きずり上げると、腰を折って咳込んでいる。その手にはグリフィンドールの剣が握られていた。ポッターもうつ伏せに倒れたまま、ゲーゲーと水を吐きながら咳きこんでいる。

どうやら2人とも無事のようだ。私は胸を撫で下ろし、様子を見守ることにした。ポッターがよろよろと立ち上がり、ウィーズリーがもう一方の手にぶら提げたロケットのような物を持ち上げて、2人で何やら話している。ポッターがようやく服を着た。

生気が戻ったのか、会話の声も少し大きくなって、わずかに聞きとれるようになった。

「君があの牝鹿を出したのか?」

「え?もちろん違うよ。僕は君が出したのかと思っていた。」

「僕の守護霊は牡鹿だよ。」

・・・ポッターの守護霊は牡鹿なのか。面白くない気がした。考えてみればリリーの牝鹿とポッターの、、、父親の牡鹿。ありうることだが不愉快な想像だった。しかも、ルーピンの守護霊も牡鹿になったのだった。ルーピンとポッターが一緒に守護霊を出す機会がないことを願う。いや、今はそんなことを考えている場合ではなかった。

「他には誰か見なかった?」

「見てない、僕・・・あそこで何かが動くのを見たような気がするんだけど。君が池に入ったきり出てこないから、回り道なんてしていられなかったんだ。」

ウィーズリーの言葉に2人の顔がこちらを向いた。と思う間もなく、ポッターがこちらに向かって走り始めていた。私はあわてて気配の残る足元の雪を消し、少し離れた木の陰にアパレートした。

ポッターは2本並んだ木の辺りを調べていたが、やがてウィーズリーの所に戻って行った。彼らの声は聞きとれなかったが、首尾よくホークラックスを破壊できるのか、見届けるつもりだった。

2人は杖を掲げて辺りを見渡し、平べったい岩の所に移って行った。そしてポッターが、ウィーズリーに剣を渡そうとしてる。剣を手に入れた者こそが、真の勇気を示したとして剣の力を引き出せると言っているのだろう。確かに、魔法にはそのような性質がある。憎しみや嫌悪が闇の呪いの力を強めるように、担い手の行為や思念が魔力には反映される。

ウィーズリーはしばらく尻込みしていたが、ついに剣を受け取った。ポッターがロケットを開いたようだが、ウィーズリーは立ちすくんだままだ。

「ロン、刺せ、今すぐに!」

叫び声は聞きとれた。ウィーズリーがようやく剣を振り上げた時、、、岩の上から、おそらく開いたホークラックスから、赤い光が走ったかと思うと、不気味にも2つの頭らしきもの浮かび出てきた。ウィーズリーが叫び声をあげて後ずさる。さらに、胸、腰、足と出てきて、それはポッターとグレンジャーの姿になって揺らめいていた。

呪いが放つ声は聴こえてきた。ウィーズリーを揶揄し、劣等感や不安を巧みに突いていく。

「なぜ戻った?僕たちは君なんかいないほうがよかったのに。2人で君の愚かさや、臆病さや、思い上がりを笑っていたんだ。」

呪いが作ったポッターの声が響いた。

「あなたなんかに、誰も目もくれないわ。『生き残った子』に比べて、あなたは何なの?」

呪いの作るグレンジャーの声。

「君のママが言ってた。息子にするなら、僕のほうがよかったって。」

「女なら誰だって彼を選ぶわ。誰があなたなんて選ぶの?あなたはクズよ、クズ。彼に比べればクズよ。」

揺らめくポッターとグレンジャーが抱きあってキスをしてみせる。

ホークラックスの呪いは、ウィーズリーの心に潜む密やかな恐れや不安を読みとり、苛んでいるのだった。

「やるんだ!ロン!、、、ロン!」

ポッターの叫び声のあと、剣が光り、まっすぐに振り下ろされた。同時に、揺らめいていたポッターとグレンジャーの姿が消えた。

ダークロードの魂の欠片が破壊されたのだ。

座り込んだウィーズリーの肩にポッターが手をかけて、2人でしばらく何か話していた。リュックを持って彼らが立ち上がったのを見届けて、私はホグワーツに戻った。


校長室では、肖像画の中でダンブルドアが身を乗り出す様に待っていた。

「あなたが育てたポッターは勇敢でしたよ。」

「そうじゃろう。そうじゃろうとも。」

嬉しそうなダンブルドアの顔。ホークラックスの破壊を見届けたのは省いて、剣が渡るまでを報告した。

「危ういところでしたが、ウィーズリーが助けに来ました。実によいタイミングで現れたものです。」

「愛と友情じゃよ、セブルス。愛し求める心が、道を示すのじゃ。」

すべてはお見通しだったようだ。ウィーズリーがポッターを見捨てて去ることも。そしてすぐに戻りたいと願うことも。導く手立ては施してあったということだ。

私は今までポッターのおまけくらいに思っていたウィーズリーを見直していた。もう1人のポッターの仲間、グレンジャーほどの優秀さもない、ごく普通の少年なのだが・・・。ポッターを救うために、何のためらいもなく凍った池に飛び込んだ。呪いが暴いた劣等感や不安を持ちつつも、それに打ち勝つ強さを持っていた。

もちろん、ポッター自身も特別な魔力を持つわけでもないごく普通の少年なのだが、運命に恐れず立ち向かう勇気や、何があっても支えてくれる友を持っている。

「その通りじゃ、セブルス。わしたちがそのように育ててきたのじゃからの。」

肖像画になっても見通す力はそのままだから、かなわない。プイッと横を向いて校長室を出ると、後ろからダンブルドアの声が追いかけてきた。

「これこれ、セブルス、素直にならんか?」


ともあれ、これで1つホークラックスは破壊された。トム・リドルの日記とダンブルドアが嵌めて呪いを受けた指輪もすでに壊されている。あといくつ残っているのだろうか?以前ベラトリックスが漏らした言葉から、グリンゴッツのレストレンジ家の金庫にも1つあるはずだ。他にもあるのかわからないが、ナギニとポッター自身を除く最後の1つは、必ずホグワーツにあると思っている。なぜなら、、、私がたいせつな魂の欠片を残すなら、ホグワーツをはずしはしない。ダークロードも、初めて見つけた家に執着しないはずがない。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ポッター ハリー リリー

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