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セブルス・スネイプと死の秘宝(15)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


叫びの屋敷にセブルスを訪ねてからひと月。約束の深夜、家で待っていた私の前に、牝鹿の守護霊が現れた。

「影響はない。マーリンの祝福を。」

牝鹿は短い伝言を残して消え去った。

生まれてくる子供に、人狼の呪いが遺伝することはないだろうと、セブルスが調べて伝えてくれたのだった。人狼の父親は持つが、子供は人狼ではない。私のように、月ごとの変身に耐えたり、変身中に人を襲うことを恐れることなく、生きてゆける。

人狼として生まれてくるならなおさら、父親として守らなければと思ってはいたけれど、人狼の呪いを受けずに生まれてこられるなら、それに越したことはない。私は安堵のため息をついた。われ知らず、頬が緩む。私の、子供。私のような不幸を背負わず生まれてくる、私の子供。マーリンが私の人生を祝福してくれたのだ。まあ、実感はまだないけれど。

それから、ほんのわずか目の前に輝いた、牝鹿の守護霊と、その主を思った。

セブルス、ありがとう。

君が言ったように、私は逃げることなく、生まれてくる子供を愛し、子供の魂に守りを与える。その子供が少しでも生きやすい世になるように、力を尽くして戦っていく。君がリリーへの贖罪のために、命をかけてハリーの行く道を守っているように。

私は実家にいるトンクスの元を訪ねた。母親のアンドロメダはまだ私のことを認めてはくれないけれど、生まれてくる子供に呪いは伝わらないと話し、父親として、子供のためにできるかぎりのことをしたいと訴えた。アンドロメダは、それでも人狼から目をそむけるようにそっぽを向いていたけれど、トンクスは泣きながら私を抱き締めた後、素早く荷物をまとめていた。

心にあるセブルスへの想いをどうしたらよいのか私にはわからない。けれど、今はトンクスを守り、ハリーを助けて戦いを勝利に導くことだけを考える。セブルスも今は、いやずっと、ハリーを守り、ヴォルデモートを倒すことだけを考えて生きているはずだ。

闘うと言っても、闇陣営が隆盛を誇る今、騎士団は表立ったことはできなかった。時々秘密裏に集まって、無事を確認し、情報を分かち合い、できることを話し合う。ハリーたちの動向はわからないけれど、ダンブルドアからの密命を果たすために、懸命に戦っているはずだ。私たちがどのようにそれを助けていけるかと。そしていざという時には、皆戦いに駆けつけられるように。

私たちは『ポッターウォッチ』という秘密のラジオ番組を流し、情報を伝え、希望を失わぬよう人々を励まし、ハリーへの支援を呼び掛けた。それから、マグル出自の魔法使いや逃亡者たちを助けたり、何も知らず被害に会うマグルたちをできるかぎり守ったりした。ハリーがヴォルデモートを倒すまで、そうして生き延び、皆を守っていくことが我々の使命だと騎士団仲間と語り合った。

ホグワーツ内の様子はほとんどわからなくて、たまにウィーズリー一家からジニ―を通じての話が漏れてくるくらいだった。皆、セブルスの裏切りとホグワーツでの圧政を悪し様に言っていて、そんな時は胸が痛んだ。

セブルスがほんとうに騎士団を裏切ったのなら、ホグワーツにいる騎士団員、ミネルバやハグリッドが無事でいられるはずがない。ホグワーツの外でも、セブルスがアーサーやキングスリーが団員だと報告していれば、魔法省を牛耳った闇陣営は直ちに対応したはずだ。ジニ―たちが校長室に忍び込んでグリフィンドールの剣を盗もうとした時も、罰則はハグリッドの元で禁じられた森の仕事をさせただけだという。セブルスがホグワーツにいなければ、どんなことになっていたことか。

そんなことになぜ皆気づかないのかと思うけれど、それだけセブルスの、あるいはダンブルドアとセブルスの計略が見事だったと言うことで、歯がゆいけれど、それを明かしてはならないことはわかるから、私はもちろん口を閉ざしている。セブルスの危険で孤独な立場を思いながら、今は無事を祈ることしかできない。

闇陣営に抵抗する者は、誰もが危険と背中合わせで、家族や仲間と守り合い、手を取り合うことで不安を紛らせ勇気を保っているのだけれど、セブルスはただ一人、孤独な戦いを続けているはずだった。恨みも、裏切り者という嘲りも、一身に引き受けて。けれど、一時は出せなくなっていた守護霊は、また力強く輝いていた。セブルスは孤独なのだろうけれど、幸せに心を満たせるほどの強さを回復しているということだ。

戦いが終わったら、私はけっしてセブルスを孤独に皆に立ち向かわせることはしないと誓った。学生の頃から、何度も思いながら果たせなかったけれど、今度こそ必ず、私はセブルスに恥じない勇気ある人間になりたい。

私は騎士団の仲間と会ったり、活動をする以外、できるだけ家でトンクスを守っていた。私とトンクスは、ともに騎士団員として、また人狼およびその家族と知られているから、闇陣営下にある魔法省の、いわばお尋ね者だった。家にはもちろん忠誠の術をかけて守り、細心の注意をして潜みながら、少しお腹が目立ってきたトンクスとともに、子供の誕生を待っていた。闇に包まれた時代でも、未来への明るい希望が生まれてくるのだと話しながら。

しかし、思わぬ訃報がおとずれた。いや、思わぬ、とは言えないだろう。マグル登録を拒否して逃亡していたトンクスの父親、テッド・トンクスが死亡したという知らせだった。自分の身の安全よりも、むしろ離れることで家族の安全を守るために逃亡したテッドの死。悲しみに沈むトンクスを慰め、衝撃を受けたアンドロメダも一緒に暮らすことを了承してくれた。こんな時は、家族が身を寄せ合って支え合うしかないと思う。私が家を空けるときにも、1人より、2人でいてくれたほうが、少しでも安心だった。

イースターが明ける頃、ハリーたちが闇陣営に囚われ、辛くも脱出したものの、ロンがハリーと一緒にいることが知られてしまい、最後まで表の生活をしていたウィーズリー一家も、地下に潜ることになった。しかし思えば、今までアーサーが確証を握られず、魔法省に勤めていられたことのほうが奇跡ともいえる。一家は親戚の家に身を寄せたり、それぞれの隠れ場所を忠誠の術で守った。騎士団員の連絡すら難しくなり、ビルとフラーの『貝殻の家』を緊急の連絡先として、皆それぞれの場所で、身を潜めて生き延びるしかなかった。

しかし、そんな中でも、幸せは訪れる。ついにトンクスが出産したのだ。十分な世話も受けられない環境で、トンクスはたくましく出産を果たした。元気な男の子。人狼の呪いを受けることなく生まれてきた、命の輝き。見せることのかなわなかった祖父の名をもらい、テッドと名付けた。テッド・リーマス・ルーピン。トンクスの七変化を受け継ぎ、さっそく髪の色が変わっている。何も知らぬ無垢な笑顔、元気な泣き声、ぷくぷくとした小さな手。見ても見ても、見飽きることがなかった。守りたい。この子の命を、幸せを。

私は無性にセブルスに知らせたかった。それと、ハリーに。人狼の呪いの遺伝に怯え、犯してしまった過ちに逃げだしそうになった私を諭し、それぞれの方法で命の芽生えを祝福してくれた2人。私は父親になったんだ!

むろん、セブルスに伝えるのは無理だけど。「可愛くて食べちゃいたいほどだよ」とか言う私。「おまえが言うと洒落にならん。食ってしまわぬようにせいぜい気をつけろ」と皮肉な笑いを浮かべながら、でも心から祝ってくれるセブルス。そんな景色を心に描いてしまった。

厳しい言葉に怒りを爆発させて、その後会えなかったハリーにも、一刻も早く伝えたかった。それから、人狼の私を受け入れ仲間として支えてくれた騎士団の仲間たちにも。トンクスと相談してハリーに子供の後見人を頼むことにして、私は緊急の連絡先となっている『貝殻の家』にアパレートした。

ビルの家に着くと皆何事かと緊迫した顔で立ち上がったけれど、私が正体確認の言葉を伝えて・・・。

「男の子だ!ドーラの父親の名をもらい、テッドと名付けた」

「え?トンクスが、赤ちゃんを産んだの?」

「そうなんだ。赤ん坊が生まれたんだ!」

私の知らせに、皆一様に喜んでくれた。ビル、フラーにくわえ、ハリー、ハーマイオニー、ロンに、ゴブリンもいた。訳のわからなそうなゴブリンを除いて、口々に祝福の言葉を与えてくれた。私は幸せがこみ上げて来て、涙ぐみそうだった。ハリーに歩み寄り、抱き締めてから、言った。

「君がゴッドファーザーになってくれるかい?」

「え?僕が・・?」

「そうだ。もちろん、君だ。ドーラも大賛成なんだ。君以上にふさわしい人はいないよ。」

ビルとフラーがワインを準備して、皆にゴブレットを配ってくれた。

「テディ・リーマス・ルーピンに!未来の偉大な魔法使いに!」

私が音頭をとって、皆で乾杯した。新しい命の誕生を皆が喜んでくれた。死ばかりが起こる暗い世相の中、これ以上の喜びがあるだろうか!

トンクスたちが待っているから、すぐに戻らなければならなかった。

「2、3日のうちに、写真を持ってくるよ。みんなに会えたと知って、家の者も喜ぶだろう。」

私は興奮も冷めやらぬまま、『貝殻の家』をあとにした。次に『貝殻の家』を訪れるより前に、ハリーたちがコングリッツ銀行の金庫を破ったという知らせを聞いた。鉄壁の守りを誇るコングリッツ銀行に忍び込み、うまく逃げおおせるとは。あの時ハリーたちと一緒にいたゴブリンの協力を得たのだろう。

ハリー・ポッターは間違いなく私たちの希望だ。必ずヴォルデモートを倒すだろう。ハリーを信じ、希望を失わず闘い続けるんだ。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ハリー

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