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セブルス・スネイプと死の秘宝(18)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。本作の重要なネタバレを含みます)


どれくらい戦闘が続いた頃だろうか?名を呼ばれた気がして辺りを見ると、物陰からルシウスがのぞいていた。急いで駆けよった。

「ルシウス?」

ダークロードがお呼びだ。」

周囲に気をつけながら2人で撤退し、境界を超えホグズミードに出た。城壁の向こうのホグワーツからは、煙が上がり、騒ぎが聴こえてくる。

ダークロードが、何のご用だと?」

「わからぬ。スネイプを呼べと。おまえに務めを果たしてもらわねばならぬと言っている。」

「わかった。どこに行けばよいのだ?」

「叫びの屋敷に。ダークロードが1人でお待ちだ。」

私がデサパレートしようとすると、ルシウスが呼びとめた。

「セヴィ、呼ばれるような心当たりはあるのか?」

「・・・特にないが。ホグワーツ内部の様子もおわかりのはずだし。ポッターを捕えて来いとでも言うつもりかもしれぬ。」

それなら望むところだ。もし他の用件でも、ポッターの居そうな場所に心当たりがあると言おう。私がポッターを捕まえてくるから、その間停戦をと提案してみれば・・。

はやる心が現れたのか、ルシウスが不安げに私の肩をつかんだ。

ダークロードは、ポッターは自らやって来ると言っていた。探しに行ったらどうかと提案したのだが、ハナにもかけなかった。セヴィ、危険だと思う、、、嫌な予感がするのだ。」

「ルシウス?」

「これを飲んで行け。」

ルシウスは、私が渡した魔法薬の小瓶を取り出した。

「飲んでいなかったのか?それはあなたに渡したものだ。気休めにしか過ぎないのだが、、」

「私は杖もないから戦闘にも加わっていない。セヴィ、おまえが飲むのだ。」

「私のことなら心配はいら、、」

言い終わらぬうちに、私は抱きすくめられていた。ルシウスは小瓶の薬を口に含み、そのまま私に口づけしていた。こんな時に何をともがいても放されず、やがて口の中にほろ苦い液体が流れ込む。

「何をするのだ、ルシウス」

ようやく放されて、あきれ返って私が言うと、ルシウスは目も開かぬほど腫れあがった顔で、わずかにほほ笑んでみせた。

「私の気休めのためだ。気をつけるのだぞ。」

私は2、3歩後ろに下がり、それから向きを変えて叫びの屋敷の前にアパレートし、中に入った。


石油ランプの灯火だけが照らす薄暗い部屋の中に、ダークロードの姿がぼんやりと浮かんでいた。部屋に足を踏み入れた瞬間に、私はルシウスの不安がわかった。確かに、嫌な感じだった。何がどうとは言えぬのだが。しかし、私の裏切りがバレたはずはない。ホグワーツを追い出されたとはいえ、とがめられることもなく戦闘に加わった。妙な怯えは疑いを招くだけだ。私はダークロードの前に立ち、頭を下げて言った。

「我が君、お呼びでしょうか?」

「戦闘の様子はどうだ、セブルス?」

「我が陣営が優勢であります。我が君、抵抗勢力は崩れつつある状態です。」

「そして、それはおまえの助けなくそうなっておる。」

嫌な成り行きに、私は目を上げた。ダークロードの横に漂うナギニが目を入った。ナギニは今や、星を散りばめたような球体の魔法の守りの中にいた。確かに最後のときが来たのだ。

「優秀な魔法使いではあるが、セブルス、おまえの存在も、今となっては大した意味がなくなった。我々はもうすぐ成し遂げるであろう。まもなくだ。」

「どうかポッターを探すようご命じください。必ず連れてまいります。我が君、私ならポッターを見つけられます。」

「問題があるのだ、セブルス。」

「我が君?」

セブルス、この杖はなぜ、余の思い通りに動かぬのだ?」

ダークロードは指揮棒を上げるような繊細な正確さで、手にした杖を上げた。杖?杖とはいったい、何の話なのだろうか?その杖が今にも同じ正確さで振り下ろされるような恐怖に身がすくんだ。

「我が君、、なんのことやら・・。私にはわかりかねます。我が君は、、その杖できわめてすぐれた魔法をなさっておいでです。」

「違う!私は普通の魔法を行っている。確かに私はきわめてすぐれているのだが、この杖は、、、違う。約束された威力を発揮しておらぬ。この杖も、昔オリバンダーから手に入れた杖も、なんら違いを感じない。何も変わらぬのだ。」

「・・・。」

「余は時間をかけてよく考えたのだ、セブルス。なぜおまえを戦いから呼びもどしたかわかるか?」

嫌な予感・・。それは身に迫る危険となった。ダンブルドアが何か言っていた、、、最後の時が近付くにつれて危険は高まる。危険は裏切りが知れることだけではない、、、。なんとかこの場をやり過ごさねば。まだポッターに告げるべきことを告げていない。

「いいえ、我が君。しかし、私が戦いに戻ることをお許しください。どうか、ポッターを探させてくださいますよう。」

「おまえもルシウスと同じことを言うのだな。2人とも余ほどにポッターを理解しておらぬ。ポッターを探す必要などない。向こうから余の所にやって来るだろう。余はポッターの弱点を知っておる。大きな欠点だ。自分のせいで他の者がやられるのを見ておれぬのだ。どんな代償を払っても止めようとするであろう。ポッターは来る。」

「しかし、、他の者に誤って殺されてしまうかもしれません。」

「デスイーターたちには明確に指示してある。ポッターを捕えよと。友人は殺せ。多ければ多いほどよい。だがポッターは殺すなとな。

しかし、余が話したいのはおまえのことだ、セブルス。ハリー・ポッターのことではない。私にとって、おまえは非常に貴重だった。」

私を、、殺すと言っているのだ。理由はわからぬが、杖か何かのために。ある物のために危険は格段と高まるのじゃが、、、ダンブルドアが言っていたのはこれだったのだ。片時も油断するなと言われたのに。ポッターに伝えねば。殺される前に、なんとか。

「我が君は私がご奉仕することだけを願っているとご存知でいらっしゃいます。しかし、我が君、どうかこの場を下がり、ポッターを探すことをお許しください。あなた様の元に連れてまいります。私にはそれができます、、」

ポッター、私を見るのだ、ダークロードの意識をのぞいて。そしてここに来てくれ。伝えねばならぬことがある。だが私はもう、生きて探しに行くことができぬかもしれぬ。

「言ったはずだ。許さぬ。」

部屋を歩き回っていたダークロードが、私のほうに振り向いた。赤い目が光っている。

「余の目下の気がかりは、セブルス、余がついにポッターと顔をあわせたときに何が起こるかと言うことだ。」

「我が君、疑問の余地はありません、必ずや、、」

「いや、セブルス、疑問があるのだ、疑問が。」

赤い目が私を見据えていた。青白い指を杖に滑らせながら・・・。恐怖に汗が流れるのを感じながら、杖を持つ手を強めた。

「余の使った杖が、2本ともポッターを始末し損ねたのはなぜだ?」

「わ、、私にはわかりません、我が君。」

杖が何だと言うのだ?その杖がいったい何だと?

「わからぬのか?余の杖は我が意のままに事を為した、セブルス、ポッターを殺すこと以外はな。あの杖は2度もしくじった。オリバンダーに拷問で問い詰めたところ、双子の芯のことを白状し、他の杖を使うようにと言ったのだ。余はそのようにした。だが、ルシウスの杖はポッターの杖にあって砕けたのだ。」

「私めには、、説明できません、我が君。」

ナギニが守られている。告げるべき最後の時が来たというのに。私には為すべきことがあるのだ。ポッターに言わなければ。私はいったん目をやると、球体の檻に守られて中でとぐろを巻くナギニから目が離せなくなった。バーベッジ!バーベッジの哀れな最期。見殺しにした私が悪かったのだ。罰だ。私も彼女のようにナギニの餌になる。何度も悪夢に見たように、あの口に飲みこまれて。ああ、ポッター、何をしている?ダークロードの目を通して私を見ていないのか?ここに来て最後の真実を受け取ってくれ、、どうか。

「余は3本目の杖を求めたのだ、セブルス。ニワトコの杖、運命の杖、死の杖だ。前の持ち主から余は奪ったのだ。アルバス・ダンブルドアの墓から。」

もう、口実は思いつかなかった。ただ、、

「我が君、ポッターを探しに行かせてください、、、」

「勝利を目前としたこの長き夜、余はここに座り、考えに考え抜いた。なぜこのニワトコの杖は、本来の力を出さぬのか、なぜ伝説通り、正当な持ち主に対して行うべき技を行わぬのか、、、そして余は答えを得た。」

囁くような声が、身の底から恐怖を呼び起こす。

「おそらく、おまえはすでに答えを知っておろう。おまえは賢い男だ、セブルス。おまえは忠実な、よき下僕であった。これからせねばならぬことを、余は残念に思う。」

「我が君、、」

もう、道はないのか?逃れる術は、、為すべきことを為せぬまま、私は死なねばならないのか。

「ニワトコの杖が正しく余に仕えぬのは、セブルス、余が真の持ち主ではないからだ。この杖は、最後の持ち主を殺した者に所属する。おまえがアルバス・ダンブルドアを殺した。セブルス、おまえが生きている限り、ニワトコの杖は真に余の物になることができぬのだ。」

「我が君!」

私は意を決して杖を上げた。かなわぬまでも、最後まで戦わねば。

「セブルス、余は杖の主人にならねばならぬ。杖を制し、ついに余はポッターを制す。」

ダークロードの杖が空を切った。が、閃光はこなかった。一瞬、猶予されたかと思ったのだが、、その瞬間、私はナギニの檻に取り込まれていた。頭も、、肩まで。そして、その牙が私を貫いた。首から血が噴き出し、全身の力が萎える。檻に絡まれたまま、ガクリと膝が折れた。噴き出す血とともに、生命が流れ出してゆくのを感じながら、ルシウスに飲まされた薬のことが頭をよぎった。どれだけもつだろうか、私の命は?ポッター、ポッター、どこにいるのだ?

「残念なことよ。」

ダークロードがぽつりと言って背を向けて去っていった。ナギニの檻も漂うように従った。檻から放たれ、私はそのまま床に倒れた。ポッターに伝えなければ。それまでは死ぬわけにいかない。血の海に倒れ落ち、とめどなく流れ出る血を手のひらで抑える。しかし、薄れてゆく意識の中で。

りりー!リリー、助けて。このままでは、君に合えない。リリー!リリー!

ああ、けれど、死はむしろ救いのように私を包む・・。

薄れた視界に、ポッターが現れた。ポッター、ここに。だが、もう、声をなす力もない、、。ポッターが屈みこんできた。すがるようにローブをつかんで引き寄せ、力を振り絞る。

「これを、、取れ、、、これを、、取れ、、」

記憶を、流し出した。口から、目から、耳から。伝えるべきこと。伝えたいこと。リリーへの想い、悔やんでも悔やみきれぬ守れなかった命、贖罪の決意、ダンブルドアが受けた呪い、ダンブルドアの最後の指示、ああ、ジョージ・ウィーズリーにも詫びを、そしてディーンの森に向かった、、。

ポッターはビーカーで受け止めた。すべて伝えた。すべてを終わらせられるのはおまえだけなのだ。あとを託して。リリー、、これで、君に会える。君に、会いたい。

「僕を、見て、、」

リリーの緑の瞳。懐かしい、君の瞳。君の元へ、、、

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ダークロード ポッター

コメント

この時を恐れていたーー

涙が頬をつたいました。

この場面が私にとって、
恐らくミーシャさんにとっても…
最も悲しい場面です。

しっかりと使命を果たした
セブルスを愛さずにはいられませんよね。

これからこのブログはどうなるのか…
次を楽しみにして居ります…

RENさん

悲しい場面ですよね。
ここから、次のプリンスの物語まで泣き通しでした。
セブルスは使命を果たせて、
不幸に死んでいったわけではないと思うのですが...

ブログ更新していきますので、
よろしかったらまた来てくださいね。

プリンスの物語ーー
最も切ない、最も重要な場面ですね

私も泣いてしまうでしょう
今回のでも号泣でしたので

毎日チェックして楽しみにしております☆

しかし、ここまで繊細な文章を書いていらっしゃるミーシャさんは、本当にすごいですね~驚きです…

私をこんなに感動させ、支えてくれるこのブログの作者、ミーシャさんに感謝です*

RENさん

私が前のコメントで書いた↓の部分、

>悲しい場面ですよね。
>ここから、次のプリンスの物語まで泣き通しでした。

これ、ハリーポッター本作を読んだ時のことで、
このブログのほうでは、次がプリンスの物語にはなりません。
わかりにくいコメント書いてごめんなさい。

ブログ楽しみにしてくださって、嬉しいです。
とっても励みになります!

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