スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと死の秘宝(21)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


手をつないだ私に気がついて、ロンがこちらを見た。泣いた後の目がまだ赤かった。

「ハーマイオニー、なあ、フレッドは勇敢だったよな?」

「うん。とても勇敢だった。勇敢で、楽しくて、やさしくて。」

ロンは何度もうなづいて、それから周囲を見回して言った。

「ハリーはどこだろう?」

ヴォルデモートが告げた1時間の停戦が終わる時間も近い。私にはもうわかっていた。ハリーは一人、禁じられた森に向かったと。ハリーのお母さんがハリーを守るために身を投げ出したように、スネイプがハリーを守るためにスバイとして命がけで闇陣営に戻ったように、ハリーは私たちみんなを守るためにヴォルデモートの元に向かった・・・

「君も、ハリーは禁じられた森に向かったと思うか?」

「うん。ハリーなら、そうすると思う。」

「でも僕、それでもハリーを探してみるよ。ナギニはあの人のそばにいて今は手が出せないし。」

私もうなづいた。何もしないではいられないもの。スネイプのことをロンに話そうかと考えて、やめた。自分だって半信半疑のことを、うまく説明できない。スネイプの体を抱きあげてむせび泣くマルフォイの姿を見ていなければ、私だって信じられなかった。家族の死に直面したばかりのロンを、混乱させたくない。

それから手分けしてハリーを探すために、ロンと分かれた。

私は時間を見て叫びの屋敷に行き、スネイプの手当をした。マルフォイはヴォルデモートの傍に居て、来られないんじゃないかと思う。私も次にまた来られるとは限らないから、血の滲んだ首元には上からまた包帯を巻きつけて、薬も多めに飲ませておいた。スネイプは目を開けて、不思議そうに私を見ていた。わずかに口を開いて、また『ポッター』と言っているようだったけど、死の淵をさまようスえネイプに、ハリーは一人、ヴォルデモートの元に行ったと思うとは言えなかった。目をそらし、黙々と手当を終えて、マルフォイがしていたように頬に手を置くと、スネイプは静かに黒い目を閉じた。

そして次に行った時、、、スネイプの姿は消えていた。叫びの屋敷の中を探しても、痕跡も見つからなかった。スネイプが倒れていた場所に、少し血の跡があるだけで。どこに行ったんだろう?わけがわからない。マルフォイが来て、どこかに隠したんだろうか?一瞬、遺体の見つからなかったマッドアイの死を思い出し、悪い思い付きを振り払うようにその場を去った。

大ホールに戻ると、ロンも戻っていた。2人で顔をあわせ、互いに静かに首を横に振る。ハリーは大丈夫かしら?思うのはそればかりだけど、答えがこわくて口に出せなかった。でもハリーは今までだって、何度も危機を乗り越えてきた。今度もきっと打ち勝ってくれる。そう自分に言い聞かせていた。ロンも、大ホールに集まる他の人たちもきっと同じだったと思う。不安と、わずかな希望。「生きのびた子」「選ばれし者」そんな言葉が、周りからときどき聞こえてきた。


--------------------------------

頭の辺りでごそごそと何かが動いていた。肩から首にかけて、鈍い痛みがあった。ズキズキと痛みが増してくる。目を開けてみると、驚くほど近くに黒いローブの肩が見えた。華奢な腕が私の頭を抱え上げて、首になにやら巻きつけているようだった。突然、肩に巻きつき締め付ける大蛇の感触が蘇り、恐怖に目を閉じた。もがこうとするのだが体が動かない。牙が、あの牙が、首を貫くのだ。想像を絶する激しい痛み、、体中の力が萎えてゆく嫌な感触、、ほとばしる血、、抑えても、指の間から噴き出して、、

だが、ほどなく、静かに頭が床に置かれるのを感じた。床に下ろした頭がわずかに持ち上げられて、口元に冷たい小瓶の感触。少しずつ流し込まれる液体。顔に触れる、やわらかい、小さな手。リリー?。痛いよ、リリー。痛いけど、大丈夫だ。君の手の温もりが広がるように、痛みが和らいでいく・・・

目を開けると、少女の顔が見えた。のぞきこむ、、茶色の瞳。リリーじゃない。これは、、

グレンジャー?なぜここにグレンジャーがいるのだ?

グレンジャーの向こうに、薄暗い部屋の天井が見えた。ここは、、、叫びの屋敷。少しずつ、起こったことが思い出された。ナギニに噛まれて、、もうだめかと思った時にポッターが現れて、、、そうだ、記憶を渡し、ダンブルドアに言われていたように、ポッターに使命を伝えることができた。それからリリーの緑の瞳に誘われるように、、。リリー。なぜリリーがいないのだ?やっとリリーに会えたと思ったのに。

私は死んではいなかったのか、、。もう一度目を開けて、部屋を見渡した。ここは確かに、叫びの屋敷だった。助かったのか?そういえばかすかに、ルシウスを見たような気がする。私の名を呼ぶルシウスの声。ルシウスグレンジャーが並んでいた。夢をみていたのだろうか?いや、夢のはずがない。ルシウスグレンジャーが、並んで私を覗き込む夢などありえない。では、あれは現実だったのか?現実・・・

ポッターポッターはどうなったのだ?そうだ、ホグワーツで、闇陣営とポッターたちの、最後の闘いの最中だったのだ。ポッターは?戦いは?ダークロードは倒されたのか?こんなところで寝ている場合ではない。

グレンジャー、ポッターはどこだ?ポッターは無事なのか?ポッターを助けねば!」

尋ねるのに、グレンジャーは目をそらし、そっと私の頬に手を当てて、去って行った。なぜ答えない?なぜ目をそらす?それでは、、それではポッターは死んでしまったのか?リリーの息子が。ダークロードに殺されて。それに、ルシウス!さっきはグレンジャーと一緒にいたのに、なぜルシウスがいないのだ?まさか、ルシウスの身にも何か・・

起き上がろうとしたが、まったく力が入らなかった。あれだけの血が流れたのだから当然だ。頸動脈から血が噴き出して、噛まれた瞬間に致命傷だとわかるほどだった・・。ルシウスに飲まされた、あの気休めの魔法薬が効いたのだろうか?首から肩にかけ、包帯で止血されていた。グレンジャーが、あるいはルシウスとグレンジャーが、死にかけた私の手当てをしてくれたのだ。

目に入る範囲に人影はなく、耳をすましても何も聴こえない。あれからどれくらい時間が過ぎたのか、戦いがどうなっているのか、全くわからなかった。わかったところで、この状態では何もできないが・・。

グレンジャーはなぜ1人だったのだろう?ルシウスはどうしたのだろう?ダークロードに詰問されて、私を助けたことが知れてしまったのだろうか?もしそうなら、、ダークロードが戻ってくる!私を殺しに。そう思いつくと、あの時の恐怖が蘇った。私を見据えた赤い目、空を切る杖、締め付けるナギニの強い筋肉、鋭い牙・・

隠れなければ。この場に居ても何もできぬ。ダークロードだけでなく、今や闇陣営も、ダークロードが死を与えた私が生きているのを知れば殺しにかかる。騎士団側も、ダンブルドアを殺した私を許しはしない。誰もが私を殺そうとしているのに、私はこんなに弱く、抵抗する術もない。絶望感が広がった。

ポッターに真実を伝えるという最後の役割を終えたのだから、もう死んでもよいのだろうか?ポッターもダークロードに殺されたのかもしれない。それなら私にはもう、生きる意味がない。不安と絶望の中、そんな思いもよぎった。リリーの瞳の中に、私の魂が帰ってゆく。死はむしろ甘美な誘いに思えた。

静かに目を閉じかけた時。

「セブルス」

ダンブルドアの声が。

「約束したじゃろう?生き延びる努力をすると。贖罪を果たし、戦いが終わった世で、自分の人生を歩んでほしいと言ったはずじゃ。生きる努力を放棄してはならん。年寄りの最後の願いを忘れたのかの?」

「アルバス」

自分はあっさり死んだくせに。私に死の呪文を放たせて。苦しむのは嫌だの、楽に逝きたいだのと私をかき口説き。

私はため息をついた。考えてみれば、ポッターもダークロードも戦いも、何がどうなっているのか、さっぱりわからない状態だった。これではあちらでリリーにもダンブルドアにも報告のしようがない。

とにかく生き延びて、状況を把握せねば。今の私に何ができるか考えてみた。グレンジャーが飲ませてくれた造血剤の作用が残るうちに、身を隠さねばならぬ。薬が効いて血量が増えたのか、少しはまともに考えられるようになった。体もなんとか、少しは動く。指先で手元を探り、杖を確認した。スピナーズエンドの自宅にある隠れ部屋。そこならば誰にも見つかることはないし、当面の薬剤も食料もある。この体でアパレートできるだろうか?

アパレートの失敗でバラケてしまっては目も当てられない。あとで誰かが来て、私の足だけ残っていたりしたら・・。ホグワーツの教授を務めた者として、そんな屈辱は受け入れがたい。足の指をわずかに動かし、床に触れる背面を感じ、脳に体の全体像を認識させた。そして杖を握り締め、意識すべてを集中する。スピナーズエンドの自宅へ!


スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ポッター グレンジャー ルシウス リリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。