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セブルス・スネイプと死の秘宝(22)

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)


アパレートして、スピナーズエンドの自宅の居間に転がり込んだ。床に投げ出されるように現れて、体中が痛んだ。だが、あと少し。書斎の壁にめぐらした防衛の術を解き、力を振り絞って隠れ部屋へ。今度は注意深くベッドの上に着地できるようにアパレートした。壁に防衛の術をかけ直して一安心する。

だが、噛まれた傷の辺りが耐え難く痛かった。首の傷からドクドクと血が流れ出るのが感じられ、その血脈の動きさえ、響いて痛む。鎮痛剤を飲ませ忘れたのだ。治癒の基本ではないか。心の中でグレンジャーを呪いながら、鎮痛剤と造血剤を飲みほして、今度こそほんとうに、一息ついた。

筋肉を動かすのには大量な血流を必要とする。だから体を動かすと血が大量に流れ出る。グレンジャーが多めに造血剤を飲ませておいてくれたから、ここまで来ることができたのだ。今はもう、身動きすら難しかった。飲んだ造血剤の作用が現れるまで、しばらくは安静にしているほかない。

ベッドに横たわっていると、ホグワーツの情勢が気になったが、次々に浮かぶ疑問に、答えはなかった。ここにいれば狙われることはないだろうが、何もできぬというのは歯がゆいことだ。スパイの任務も、ホグワーツ校長としての板挟みの日々も、辛くはあっても常に贖罪に務める充足感はあった。それこそが私にとって生きる意味だったのだから。

ポッターは、私の記憶を見ただろうか?そして自身の身にダークロードの魂の欠片が宿ること、その欠片がある限りダークロードが死ねないこと、つまり終わらせるためには、死ぬためにダークロードの前に身を投げ出さねばならないという真実を知っただろうか?そして皆を守るために、一人、身を投げ出したのだろうか?そして最後の決着は?ダークロードは倒されたのか?ポッターは生き延びることができただろうか?

何度繰り返したかわからぬ疑問。答えを得るには生き延び、体力を回復してここから出てゆくしかないのだと、何度も自分に言い聞かせた。

時計を見ると夜明け間近になっていた。長い夜だった。しかし、眠ってしまってはいけない。1時間もあけぬように、造血剤を飲まなければならない。安静にして治癒を待ちながら、薬剤を飲める程度に体を動かせるうちに次の薬を飲む。それをどのくらい繰り返せばよいのかわからないが、とにかくそうして、失血を抑えながら完全に毒が抜け、傷が治るのを待つほかないのだった。うっかり眠って時間を逃せば、だらだらと流れ出る血に、服薬に必要な力さえ失われてしまう。

幸い薬剤は揃っているから、鎮痛も滋養も薬剤で処理できる。だが、自分の身だから、呪文での治癒ができないのはもどかしかった。

地下室の小さな吹き抜け孔から、光が差し、やがて影って夜になった。夜が深まる頃には、服薬以外やることもなく、ひたすら眠気と戦っていた。日頃、眠りたくても眠れなくて薬に頼っていたのに、今は眠くてたまらない。眠ってはいけない、眠ってはたいへんなことになる、そう思い続けていたのだが・・・。



書斎に続く壁の向こうの物音に気付き、目が覚めた。吹き抜け孔からはまだ早い朝の陽ざしが差しこんでいた。あわてて杖を握ろうとしたのだが、腕に力が入らなかった。眠ってしまい何時間か造血剤を飲まなかったから、腕を動かすほどの力が失われてしまったのだ。指先を動かし、杖を探ったが見つからない。杖を使わぬ無言呪文で造血剤を顔まで持ってきたものの、頭を傾けて液体を飲むだけのことが、できなかった。体内の血量が足りないのだ。血を含んだ包帯の重みさえ息苦しく感じるほどに体が萎えていた。

壁の向こうでは、誰が何をしているのか、ガタガタと何者かが動き回る音がしていた。闇陣営か、ホグワーツ側の誰かが捜索に来たのだろうか?殺すためか、捕えるために。あるいは、あてもないのに助けが来たのかなどと思ったのは、体が弱って心細くなっていたためだ。

耳をすまして気配をうかがっていると、バタンと倒れる音がして、、

セブルスセブルス、、いないのか?」

ルーピン!なぜルーピンがここに?しかし今の状況では天の助けだった。だが。

「助けてくれ、、苦しい、、セブルス、、」

助けてなどと、私の状態を見てから言えと内心毒づいたが、壁の向こうはそれきり静かになってしまった。

ルーピン?」

呼んでみたが、かすかな声では聞こえるはずもない。拡声術で家じゅうに声を響かせた。

ルーピン!」

「わっ、セ、セブルス、どこにいるんだ?」

「書斎の、本棚を、動かせ」

這いずるような音がして、声が壁のすぐ向こうまで近づいた。

「下段、左から、3冊目の、本を抜き、右に3回、左に5回、右に1回転」

「なんだよ、これは。ややこしいな。」

ルーピンががちゃがちゃとやっている間に、こちら側の壁の防衛を解き、隠れ部屋の入口を開いておいた。

「開いたよ。あっ!」

「階段がある」

数段の階段を転がり落ちる音がした。床からうめき声が聞こえ、ルーピンが恨めしげに言った。

「先に言ってくれよ、セブルス。痛いな。私は死にそうなんだよ。体中痛くて苦しくて、やっとの思いでここまでたどり着いたのに、ひどいじゃないか。君はベッドで寝ているのか。いい身分だな。私は起きたら、遺体置き場にいたんだよ。それなのに君は、、」

「ルーピン、おまえがそうやってしゃべり続けていれば、ほどなくここも、遺体置き場になるだろう。」

「え?セブルス?」

ルーピンは床から体を起こし、まじまじと私を見た。

「セブルス、どうして寝てるの?何をしているんだい?」

「死にかけているのだ。」

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルーピン セブルス

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