スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと死の秘宝(24)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私が指示された薬剤を探して飲んでいる間に、セブルスが話し出した。

ルーピン、私はさっき話に出た死の秘宝の一つ、『ニワトコの杖』のせいでダークロードに殺されかけたのだ。ダンブルドアがその杖を持っていた。ダークロードはその杖を墓から盗んだのだが、ダンブルドアを殺した私が生きている限り、真の所有者になれぬから杖が機能を果たさないと言って、私を殺そうとした。ナギニに首を噛ませたのだ。」

「ひどいことをする。」

「もともとひどいヤツなのだ。ダークロードは、最強の杖だとしか言わなかったのだが、その死の秘宝の話をおしえてくれぬか?」

「ヴォルデモートは死の秘宝だと言わなかったの?」

「運命の杖とか死の杖とは言っていたが、死の秘宝とは言わなかった。知らなかったのだろう。ダークロードも、おとぎ話をきいて育ったとは思えない。」

セブルスの声に、ほんのわずか、苦々しさと憐憫の情が感じられた。同じように、見捨てられて育った子供たち・・。

「いいよ。『吟遊詩人ビードルの物語』の中にある、三人兄弟の話に出てくる3つの秘宝なんだ。昔3人の兄弟が旅をしていたら、川があった。泳いで渡ろうとすればおぼれ死ぬ川なんだけど、3人は魔法で橋を架けて渡ろうとした。本来溺れて死ぬ川なのに、魔法で欺いたと怒った『死』は、橋の上で3人に話しかけ、自分を逃れたら褒美を与えるともちかけた。

好戦的な長男は、この世で最強の杖を選んだ。これが秘宝の1つ『ニワトコの杖』だ。傲慢な次男は、『死』から他の死者を呼び戻す力を選んだ。『蘇りの石』だ。謙虚で賢い三男は、『死』が自分を追えない物を望んだ。『透明マント』だ。それらを与えて、『死』は3人に道を譲り橋を渡らせた。

長男はかつて自分が争った相手を探し出して決闘し、『ニワトコの杖』があるから当然勝った。それを宿で自慢したら、他の魔法使いが寝ている長男を殺して杖を奪った。こうして『死』は長男を自分のものにした。

次男はかつて愛し今は死んでしまった女を呼び戻した。しかし女は本来そこにある者ではないから苦しんだ。それを見て正気を失った次男は、女と一緒になるために自殺した。こうして『死』は次男を自分のものにした。

三男は『透明マント』を使ったから『死』に見つけられることなく生きた。高齢になって息子にマントを譲り、『死』を古くからの友として、喜んで『死』とともに人生から旅立っていったという話さ。」

セブルスはじっと聞き入り、考え込んでいた。そして思い詰めたように言った。

ルーピン、ポッターはまだ『蘇りの石』を持っているだろうか?」

「え?急に、どうしたんだ?」

「『蘇りの石』があれば、死者を呼び戻せるのだろう?」

「そうだけど・・・。」

セブルスの顔には、切実な切なさが浮かんでいた。

「・・・リリーだね?ダメだよ、セブルス。死者を呼び戻しても、死者は喜ばない。君が死に連れて行かれるだけだ。おとぎ話はそう言っている。それは、してはいけないことなんだ。」

「だがポッターは、、」

セブルス、ハリーは一人、ヴォルデモートの元に向かうところだった。死に向かうところだったんだ。呼び戻したわけじゃない。自分が来るところだった。私は死者としてハリーを迎えにいったから、わかるんだ。君は、いけない。」

セブルスは宙の一点を見つめ、何か考えていた。しばらくの沈黙の後、セブルスはため息をついて話し出した。

「ダンブルドアは、ダークロードが杖のために私を殺そうとすると予想していた。ある物のために殺される恐れがあると言いながら、それが何かは教えられないと言ったのだ。私が惑わされるから、計画にとっても、私にとっても、危険だからと。」

「君が杖に惑わされると思ったのかな?」

「ダンブルドアは、私に死の秘宝である『ニワトコの杖』の持ち主になることを話し、死の秘宝が現実に存在すると私が知れば、私が『蘇りの石』に取りつかれるとわかっていたのだ。実際、知った今、それを手にしたくてしかたがない。」

「それは、いけないことなんだよ。」

「わかっている。だが、『蘇りの石』で死なせてしまった人を呼び戻し、謝りたい。どんなにすまなく思っているか、どんなに悔いているかを伝えたい。そう思うと、今にも石を探しに行きたくなる。

ダンブルドアは正しかったのだ。死の秘宝について知り、それが現実にあるとわかれば、私は必ず魅了され、贖罪すらも投げ出して追い求め、手に入れば惑わされて、、、ダンブルドア同様に呪いを受けるか、物語の二男の道を辿っただろう。」

「ダンブルドア同様に?」

「ああ、もう偽る必要もないから言うが、ダンブルドアは私が殺すずっと前に、死の呪いを受けていた。体を蝕み広がって命を奪う恐ろしい呪いだ。なぜダンブルドアほどの人がと思ったのだが、、『蘇りの石』に魅了されてしまったのだな。かつて死なせてしまった妹や家族に、謝りたい気持ちを抑えられなかったのだ。あの時はホークラックスの呪いだと思っていたのだが、『蘇りの石』だったのだ。いや、ホークラックスでもあったのかもしれぬが。」

「ホークラックス?なんだい、それは。」

「それは今重要なことではないし、狼がいるおまえには必要ないものだ。死んでも生き返ったのだから。」

「なんだよ、それ・・」

だけど、それより、私には話すべきことがあった。

「セブルス、君はもう、『蘇りの石』を求める必要はないよ。」

怪訝そうにセブルスが私を見た。

「さっき、君に伝えることがあると言っただろう?」

セブルスは、なんだ?と言うように、目だけこちらに向けて、私の話を待っていた。

リリーに会った。」

黒い瞳が大きく開き、切なげな色を帯びた。私は、ジェームスとシリウスにも会ったことは言わないことにした。セブルスも当然わかるだろうけど、聞きたくはないだろうから。

「『蘇りの石』でハリーに呼び出された時のことなんだ。ハリーが呼び出した死者だからね、もちろんリリーも来た。ハリーに寄り添って禁じられた森の入口まで行き、ハリーを見送った後、リリーに耳打ちされたんだ。セブに守られて、ハリーは勇敢なよい子に育ったって。君がよく守ってくれたと言っていたよ。」

黒い瞳に涙が浮かんだ。

リリー、、が?」

「ああ、リリーがそう言ったんだ。それから、君を見たって。呼ばれて行ったら、君がすぐ近くまで来て、だけど向こう側に戻ってくれてよかったと言っていた。」

「リリーが、、あの時、、あの瞳は、リリーだった、、」

セブルスは涙が溢れるのを抑えようともしなかった。

「リリーは、、許してくれたのか、、私を、、」

その返事はきっと、リリーが直接する。あるいは、セブルスの心が決める。死者はいつも生者の想いの中に居て、悲しみを乗り越えた時、勇敢に立ち向かう時、その人の一部になる。私は黙ってセブルスの髪を撫でてやった。

凍りついた心が溶けて流れ出すように、セブルスは長いこと、ただ泣いていた。


スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルーピン リリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。