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セブルス・スネイプと死の秘宝(32)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

マルフォイ邸でこれからのことを思いあぐねていたある日、私は名も知らぬ法律事務所から連絡を受けた。ダンブルドアの遺書を預かっていると言う。ヴォルデモート卿の死が確認され、私が生きていれば渡すよう託されていたものだったが、私の所在がようやくわかったとのことだった。部屋に戻り、急いで封筒を開くと、農場の所有権を記した書類と、長い手紙が入っていた。


セブルス、愛しき子よ、

おまえさんがこの手紙を読んでいるということは、わしが予定通りの死を遂げ、ヴォルデモート卿は消滅し、おまえさんは生き延びられたと言うことじゃ。めでたいことじゃのう。ハリーはどうなったかの?わしはきっと無事だと信じておるが。

おまえさんは、わしがハリーに対するほどの信頼をおまえさんに持っておらんのではないかとずいぶん気にしておったの?わしは、おまえさんのことも、ハリーのことも、100%信頼しておったが、少し違うところもあった。おまえさんについては忠誠心と有能さを、ハリーについては愛を知る純粋で勇敢な心を信じたのじゃ。

ハリーは、まこと、純粋で無垢な少年としてホグワーツにやって来た。親の顔も知らず、親戚の家で邪魔者扱いされて育ったのに、世を恨むわけでもなく闇に囚われるわけでもなく、ただ記憶もない両親を慕う心に満ちておった。おまえさんも、みぞの鏡は知っておるの?自分の心の願いが映る鏡じゃ。ハリーは鏡の前で、亡き両親の姿をいつまでも眺めておったものじゃ。ハリーの心にあるのは純粋な愛だけじゃった。

わしも鏡の前に立つと、亡き家族を見たものじゃ。じゃが、わしの心は後悔に満ちておった。わしはおまえさんと逆で、自分の悪いところを見せたくなくての、誰にも言わんかったがおまえさんには言ってもよいじゃろう。もしかしたらもう暴かれておるかも知れんがの、若い頃の過ちで、妹を亡くしてしまった。わしがひどく傲慢で自分勝手だったからじゃ。わしは家族を愛していたのじゃが、自分の夢を優先して妹のことをきちんと考えなんだ。妹にも、妹を大事にしていた両親にも謝りたくての、その姿が映る鏡に囚われたものじゃった。同じものを見ておるのに、ハリーとは何と違うことかと思ったものじゃ。

もうわかっておるじゃろうが、おまえさんは、若い頃のわしと同じような姿でわしの前に現れた。愛を知っておるくせに、自分勝手な思いから、愛する人に死をもたらすほどの過ちを犯した。リリー・エバンスの死を嘆くおまえさんに、憐れみは感じたが同情はせなんだ。わしと同じと思ったからじゃ。しかも、同じほどの過ちを犯しながら、おまえさんにはハリーが遺された。わしはおまえさんを妬んだのじゃ。死んでしまった愛する人の遺志を継ぐ、直接的な贖罪の道が遺されておったのじゃからの。

じゃが、それはわしの計画にも都合のよいものじゃったから、わしは手元に置くことにした。懸命にハリーを守るおまえさんの姿を見るのは、複雑なものじゃった。その健気さに胸を打たれることもあれば、わしもアリアナや父母のためにできることがあればどんなによかったろうと、妬ましくも思えた。わしには家族に償う術もなく、ただわしに誤った夢を植え付けた闇の魔術を憎み、その台頭を抑えることに力を注ぐことしかなかったのじゃから。

わしの信頼に応え、優秀に任務を果たすおまえさんを身近に見ているうちに、いつしか、わしと同じ志で過ちを犯させた闇を憎み、ヴォルデモート卿と戦う同志と思うようになっておったのじゃがの、長い年月を経てなお、リリー・ポッターと同じ守護霊を出すおまえさんを見て、涙を抑えられんかった。おまえさんは、変わることなく愛する人への贖罪のために戦っておったのじゃの。わしが当初思ったよりも、おまえさんはずっと純な魂を持っておった。わしのように自分勝手だったわけではなく、ただ世間知らずで愚かだっただけなのじゃ。

さて、セブルス。おまえさんは今、贖罪を果たせたわけじゃ。ハリーが生き延びられたかはわからんが、リリー・ポッターの遺志を継いで、遺された赤子を守り抜き、ヴォルデモート卿に立ち向かう勇敢な青年に育てあげたのじゃからの。羨ましいことじゃ。

じゃが、あまりに一途に贖罪に身を捧げてきたからの、この先どう生きるべきかと途方に暮れておることじゃろう。愛も悲しみも憎しみも、豊かな感情を持ちながら、長年任務のために心を閉じて暮らしてきたからの、溶けて流れ出す様々な感情に戸惑いもするじゃろう。

溶け出でる思いを味わいながら、ゆっくりと考えることじゃ。おまえさんは人を愛する強さも優しさも持っておる。自分の過ちから目をそらさずに、命をかけて償う勇気も力もあった。おまえさんの行為は実に勇敢じゃった。贖罪への強い思いがそれを育てたのかもしれんの。

償いにかけた長い年月、おまえさんがそのついでのようにやり過ごした日々の出来事の中に、様々な種が蒔かれていたはずじゃ。そのまま眠らせるべきものもあろうが、中には勝手に芽を出して育っているものもあるじゃろう。わしが知る限りでもいくつか思いつくがの。その種や芽を顧みて大事に育ててやるのもよいかもしれん。

おお、そういえばおまえさんにはブロンドもおったの。隠しても無駄じゃ。神秘部の闘いの後で、安全なアズカバンに放りこんでやったのに、礼も言わんとはあきれたもんじゃ。わしが過ちを犯すきっかけとなったブロンドなどはひどいもんじゃった。妹の死とともにわしを放り出して逃亡したのじゃ。結局は決闘して終身刑務所に送りこむことになった。向こうであれと会う日も近いじゃろうが。ともかくおまえさんには、小物じゃが情の深いブロンドがおって幸いなことじゃ。

わしは、戦いの終わりまでに、ある物のためにおまえさんの命が危険に曝されるかもしれんことを知っておる。それが何であるか、なぜそのことを話してやれんかったか、すでもわかっておることじゃろう。おまえさんが今生きているのは、それを乗り越えられたということじゃからの。今あるおまえさんの命は、マーリンの意思であり、おまえさんの意思であり、蒔かれた種や芽の願いなのじゃ。わしの願いでもある。

これから進む道に必要なものはすべて持っておるじゃろうが、一人じっくり考えたいと思うなら、この家を使うがよい。わしが妹を失ったあとの数か月を、悔いと涙にまみれ、途方に暮れて過ごした場所じゃ。いくつかの決意を胸に、再び歩みを始めた場所でもある。100年以上放置したままじゃから、どうなっておるかは知らんがの。

悔いを乗り越えられたらまた訪れようと思ったこともあったのじゃが、果たすことなく死に誘われて逝くことになった。おまえさんの手で安らかに逝かせてもらえるのは、ありがたいことじゃ。このことで心を痛めるでないぞ、セブルス。至らぬ人生じゃったが、わしはもう十分に生きたと思っておる。少しは世のためになることもできたと思うのじゃが、やさしいおまえさんはそう言ってくれるじゃろう?

贖罪を果たした後にはどんな景色が見えるのか、どんな実りが訪れるのか、おまえさんには、それを十分に味わってほしいと願っておる。

愛をこめて

アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア


手紙を読み終え、ダンブルドアを想った。最も偉大な魔法使いと言われたダンブルドアも、深い悔いを抱えて長い時間を懸命に生きたのだ。ダンブルドアはいつこの手紙を書いたのだろう?ポッターに告げるべき最後の真実を私に話して、しばらく経った頃だろうか?手紙の中には、すでに死の直前に、私に話してくれていたこともあった。言わぬつもりが、直前に心を変えたこともあったのだろう。

信頼を得たいと思い、また父親のような情を期待したこともあったが、ダンブルドアが私に対して、複雑な思いも持っていたのだと知った。ダンブルドアの当初の意図がなんであってにせよ、ダンブルドアはリリーの遺志を、私にかかる守りに変えてくれた。その導きが私に贖罪の道を与え、生かしてくれたのだった。そしてこれからは、与えられた道を歩むのでなく、自身で道を考えよと言い残した。

ダンブルドアが遺してくれた農場を訪れてみると、、、そこは農場だったと言うのもはばかられる荒れ地で、あばら家と言うのも躊躇われる崩れた家屋が残っていた。しばらくそこに住みたいという私に、付いてきたルシウスは呆れ果てていたが、それでも元の家を踏襲した小奇麗な家に直してくれた。

ダンブルドアが涙し新たな歩みを始めたというその家で、来し方を振り返り、心を開いてみようと思う。長年閉じることに慣れた心は、一人であっても開くのを躊躇う。少しずつ、一つずつ、時間をかけてほぐしてゆくしかない。その中に私が蒔いたという種や芽を見つけることができるだろうか?ダンブルドアのように、新しい決意を胸に旅立ってゆけるだろうか?

だが、漠然と過去を振り返っていると、いつの間にか思うのはリリーとポッターと戦いのことになっていた。長年そればかりを考えてきたのだから当然といえば当然なのだが。贖罪を果たしたとして、私がこの先自分の道を見つけるためには、一度この思いから離れなければいけないのかもしれない。

リリー、私はしばらく、君の息子を忘れていいだろうか?君の遺志である君の息子は、この長い年月、君が私に遺してくれた守りのようなものだった。そのおかげで私は生きてこられたのだ。だが、君が息子にかけた愛の守りが解け、その息子が戦いで皆に守りをかけるほどの勇敢な青年に育った今、私もその守りを解きたいと思う。

この守りがある限り、私は前に進んでゆけないのだ。私にとって、守りは呪縛でもある。君の息子のことを考えると、私は様々な強い感情に圧倒されて、他が見えなくなってしまう。君への想い、悔い、悲しみ、そして、ポッターの父親への憎しみと嫌悪。あまりにも強く根付いてしまったそれらの思いを、解き放つには時間が必要なのだと思う。

リリーは少し寂しげに、でも笑ってうなづいてくれたと思う。

ともにヴォルデモートを埋葬したとき、ポッターと私の間には、たしかに何か、通い合うものがあった。命をかけてヴォルデモートに立ち向かった互いに対する敬意のようなものだろうか。私はポッターの中にリリーの魂を感じ、ポッターも私の中に母親への深い愛と償いの気持ちを感じたかもしれない。しかしそれはリリーを通じた何かであって、ひとたび父親のことを交えれば、あの時通じたものが壊れてしまうように思えた。あの時のポッターを、私の中にしまっておきたいと思う。いつか、1人の人間としてポッターを見られるようになる日まで。

だからリリー、しばらく君に話しかけないけれど、心配しないでほしい。私の中に、君はもういるのだと思うけれど。

それから、リリーやポッターに関わらないことをなんとか思い浮かべようとした。最初に思いついたのは、私の命をつなげてくれた魔法薬のことだった。焦燥感を堪えるために開発した気休め程度の薬だったけれど、死んだかと思った私の命をつなげてくれた。改良すれば緊急時に役立つはずだ。もしもその薬で誰かの命が救われたり、家族との最後の対面がかなうようなことがあれば、嬉しいことだと思う。

そんなふうに、過ぎた日に思い巡らせて種や芽を探したり、戦いで亡くなった知人たちの墓参りをしたりして過ごした。私はしばらくは一人で静かに考えるべきだと思ったから、居場所は明かさなかったのだが、そのうち、ルーピンが訪ねてきた。

息子のテッドと暮らそうとしたが、アンドロメダから、差別され生活が安定しないばかりか、幼い子には危険極まりない人狼よりも、自分の元で育てたいと懇願されてあきらめたという。後見人のポッターの家で頻繁に会えるように取り計らって納得したと言うから、いい加減な父親だ。ルーピンとしては、息子にとって何が一番よいかを考えた末のことだと言うのだが。行くあても目的もなくなり、ルシウスに私の居場所を聞いてやってきたのだった。

ルーピンはそのまま家に居つき、それを知ったルシウスは激怒してアヴァダを掛けそうになったのだが、私が長年の友人で命を助けてくれた1人でもあるととりなすと、農場の手入れをする下男としてなら居てもよいと認めてくれた。実際、放置されていた農場には100年の間に得体の知れぬ魔法生物があちこちに住みついていて、その対処はルーピンの得意分野だった。

ルーピンは、なぜ私と住むのにルシウスの認可がいるのかと文句を言ったが、いやなら出ていけと言っても出て行かなかった。ルーピンの働きで、荒れ地は徐々に農場らしくなり、その一角に良質な薬材のための薬草園を作ることができた。努力を認めて、脱狼薬にも手を入れて少し甘味をつけてやったら、ルーピンはすごく喜んでいた。

ルシウスといると、憧れてすべてを任せていた少年の頃のような頼りない気持ちなってしまうのだが、ルーピンとなら互いに助け合って成長していけるような気がした。要するにルシウスに対しては恋心があって、ルーピンは気楽だということなのだが。

短い夏に秋の気配が忍び込んできた。日差しも雲も空の色も、少しずつ変わってゆく。蒔いた薬草の種は、芽を出し、葉が開き、見るたびに姿を変えてゆく。荒れた農地の木々の葉も、色を変えやがて少しずつ落ちていった。時間はこのように過ぎ、このように続いてゆくものなのだ。懸命に贖罪に捧げていた頃も、私の周りで時はこのように流れていたのだろうか?

贖罪を終えた後の景色には、日々小さな変化や発見があり、それが毎日積み重なって続いていった。



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tag : ハリーポッター セブルス ダンブルドア ルシウス ルーピン

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