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セブルス・スネイプと死の秘宝(30)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ポッターとともにダークロードの埋葬をしたことで、戦いが終わり贖罪を遂げた晴れやかな気持ちになるかと思ったのだが、むしろぽっかりと心に穴が開いたような寂寥感を感じていた。長い間、私の心はリリーの遺志で占められていたから、成し遂げたと思ったら心がカラになってしまったように感じられたのだ。

長年の目的を果たし、かろうじて生き延びられたと言うのに、バカげたことだ。だが、そう思ったところで空しさは変わらなかった。いつもリリーとダンブルドアがともにいて支えてくれたのに、死者たちは戦いが終わり、いるべき場所に帰っていってしまったのだった。

浮かない顔をしていたのは私だけではなかった。ナルシッサはぼんやりと物思いにふけりながら時折涙を拭いていたし、ドラコも寂しげな顔で窓の外を眺めていたりする。ナルシッサはベラトリックスの、ドラコはクラッブの死を思っているに違いなかった。マルフォイ邸には鬱々とした雰囲気が漂っていた。


「セヴィ、おまえまで、物うげな顔をしているのか。」

ルシウスが部屋に入って来て、ぼんやりとソファに座っていた私に話しかけた。

ルシウス。」

「やっと戦いが終わったというのに気が晴れないようだな。ポッターの世話を終えて寂しいとでも?」

「そんなわけではない。」

もしかしたらその通りなのかもしれないが、、言われると認めたくない。

「ポッターの母親が死んでから、ずっとダンブルドアのもとでポッターを守っていたのだろう?母親のために。」

私はうなづいた。

「すまない、ルシウス。あなたのことも、欺いていた。」

「そんなことは気にしていない。そうかもしれないとは思っていたのだ。」

ルシウスは私の隣に座り、顔に手を触れた。

「ナルシッサもドラコも落ち込んでいる。姉や友を失い悲しいのは当然だが、沈んでいたところで何ができるわけでもない。おまえはポッターの母親のために命がけで戦い、ベラトリックスはダークロードの寵愛を求めて戦っていた。皆それぞれの理由をもって戦い、ある者は命を落とし、ある者は生き延びたのだ。」

ルシウスの手が、私の首に巻かれていたスカーフを取り去った。ナギニに噛まれた傷跡が、醜いケロイド状に残っている。

「ひどい傷跡だ。」

私の傷跡を優しく手でなでながら、ルシウスは言葉を続けた。

「だが、おまえが生きていて、私は嬉しい。」

忘れていた喜びの感覚が、わずかに湧きあがる。

「叫びの屋敷でおまえの姿を見て、、、おまえが死んでしまったのかと思った時には、我を忘れていた。」

「あなたが、助けてくれた。」

「そうだ、私が助けたのだ、私自身のために。私はおまえのことを、、愛していたようだ。」

ルシウスの顔がゆっくりと近づいてきて、唇が傷跡を這う。

「もう体はいいのか?」

私がうなづくと、ルシウスは私の目を覗き込みながら、シャツのボタンを一つずつはずしていった。思い起こせば、ルシウスにこんなふうに愛撫されるのは、ずいぶん久しぶりだ。もう2年以上前に、ルシウスへの制裁として脱獄したデスイーターたちの暴行を受けてから、何度かぎこちない抱擁を受けただけだった。それからルシウスはアズカバンに収監されてしまったし、この1年はそれどころではなかったのだ。

私もルシウスの衣類を脱がせると、滑らかだった肌に傷跡が残っている。問いかけるように見つめると、ルシウスが答えた。

「アズカバンでやられたのだ。その後もダークロードに事あるたびに。おまえがいなかったから、きれいに治せなかったのだ。」

関わった者たちは、皆それぞれの立場で傷を負い、、ある者は命を落とし、ある者は生き延びた。私は自分の闘いに必死だったけれど、ルシウスはルシウスで懸命に戦っていたのだ。自分と家族を守るために。

傷ついた体に腕をまわして抱き寄せた。懐かしい温もり。たくましい心臓の鼓動。耳をくすぐる吐息。たしかな、生の証。私たちは、生き延びた。私たちは、生きている。戦いが終わり、死者は去ってしまったけれど、私は生者の世界に帰って来たのだ。

まったく現金なものだが、しばらくの間私たちは、互いの命を確かめるように、何度も抱き合った。偽りも計算もなく、ただ温もりと欲望に身を任せて。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス

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