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セブルス・スネイプと死の秘宝(31)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


そんなある日、ダイアゴン横町に出かけたドラコが、グレンジャーを伴って帰って来た。ルシウスもナルシッサも驚いたのだが、横町でドラコを見つけたグレンジャーが、私の居場所を問い詰めて強引に着いて来たらしい。ドラコとしても、闇陣営が戦いに負けたことや何かで、遠慮めいた気持を持っていたようだ。私をみとめるとグレンジャーはまっすぐに近づいて来た。

「先生、生きていたのに、なぜ身を潜めていたのですか?」

グレンジャーの声に詰問とすら思える響きを感じてたじろいだ。ここしばらくの自分の行動を振り返ればなおさらだった。もちろん、命を助けてくれたグレンジャーに、もっと早くに礼を言うべきだった。だが、なぜグレンジャーは怒っているのだろう?

「グレンジャー、感謝、、」

グレンジャーの目に涙が溢れだす。驚いて言葉に詰まると、そのまま抱きつかれて茫然とした。泣いたり抱きついたりする女子生徒は目にしたことがあるが、そのようなことを私にするなど、いったいどうしたことか?ルシウスもナルシッサもドラコも、あっけにとられて見ている。

「リーマスからご無事とはきいていましたが、あんなひどい傷を負ったまま姿を消してしまって、、ハリーから聞くまで、みんなどんなに、、」

グレンジャーは、、、もしかすると、死にかけた私のことを心配していたのだ。心配したとなじっているのだ。成績は優秀だが、ポッターの援軍程度にしか考えていなかった生徒が、私を心配したと泣いている・・・。私は長年教師だったのに、生徒のことなど何もわかっていなかった。見る気もなかったのだ。特にポッターが入学してからは、ポッターを守ることしか考えていなかったから。

「グレンジャー、助けてくれて感謝している。おかげでこの通り、元気になった。」

気を取り直してようやくそれだけ言い、抱きつき癖のある生徒の肩を軽くたたいてやった。興奮が収まったのか、グレンジャーも涙を拭いて、笑顔になった。私も笑ってみせたが、グレンジャーは引かなかったから、笑顔に見えたようだ。

見ていたドラコが一歩前に踏み出し、思いきったように言い始めた。

「グレンジャー、僕もまだお礼を言ってなかった。戦いのときに、おまえたちが僕とゴイルを助けてくれた、、ありがとう。」

最後は消え入りそうな声になっていたが。グレンジャーが戸惑ったように答えた。

「クラッブは、、残念だったわね。」

ナルシッサも会話を聞いて、ドラコの肩に手を掛けながら頭を下げた。

「あなたたちがドラコを助けてくれたの?ありがとう。」

「ミス・グレンジャー」

ルシウスが言いかけると。

「ミスター・マルフォイ、あなたからはもうお礼は言われました、叫びの屋敷で。私、お礼を言ってもらおうと思って来たわけじゃありません。」

「だがドラコを助けてくれた礼はまだ言っていない。感謝する。」

「私、、叫びの屋敷に戻ってあなたを見た時驚きました。先生はもう死んじゃったと思って、私たち何もできずに立ち去ってしまった。だけど、、戻ったらあなたが必死に助けようとしていて・・。先生が元気になってくれて、よかったです、ほんとうに。」

グレンジャーはまたわずかに涙ぐんだが、皆に頭を下げて出ていった。その後をドラコが飛ぶように追いかけていった。

贖罪に心を傾けて、私は心の中の死者とばかり話していたが、そのような日々にも生者との関わりはあったのだと、グレンジャーに会って思い至った。それならば、、私には他にも会わねばならぬ者がいることを思い出した。

翌日私はウィーズリー家を訪ねた。一家はやや遠巻きな雰囲気ながら、私の無事を喜こぶ言葉をくれた。私はフレッド・ウィーズリーのお悔みを言い、ジョージ・ウィーズリーに会いたいと言ったのだが、彼は家にいなかった。今は『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』の店に寝泊まりしているという。店のほうに訪ねて、ポッターの脱出作戦の折に、誤って耳を切り落としてしまったことを詫びた。

「先生はさ、呪文は上手いけど、箒は苦手なんだな。」

「残念ながらその通りなのだ。すまないことをした。すぐに手当てしてやれればよかったのだが、あの時は任務のためにそれもできず、、」

「いいんだ。片耳にはもう慣れたから。ちょっとバランスが変わっただけさ。だけど、、双子の相棒がいなくなったのには慣れなくて、、。母さんが辛そうな顔をするんだ、僕の顔を見ると。」

「それでここに住んでいるのか?」

ジョージ・ウィーズリーはうなづき、顔を上げて言った。

「だけど先生、生きててよかったな。裏切り者だと思って悪口言っちゃってたんだけどさ、なんか悪い気がするよ。」

それぞれが傷を負い、悲しみに耐え、乗り越えようと努めている。フレッド・ウィーズリーは、きっとこの双子の弟の中に生き続けるのだろうと思う。だが、それはまだ口にできることではなかった。

「ありがとう。君も元気を出すのだ。君なら大丈夫だろうが。」


それから私はホグワーツに向かった。ミネルバが新しい校長になり、秋の新学年に向けて準備をしているはずだった。

セブルス!」

私を見るなり、ミネルバは立ち上がって駆け寄り、私の手を握った。

「よく来てくれました、セブルス。あのようにあなたを追ってしまい、、許してください。あなたとダンブルドアにすっかり騙されてしまっていたのです。」

ミネルバが後ろの肖像画を恨めしそうに振り返ると、ダンブルドアの肖像画も声をかけてきた。

「おう、セブルス、久しぶりじゃ。元気そうじゃの?ミネルバに責められて、参っておったのじゃ。」

「ミネルバ、あれは私の任務でしたし、あなたには戦い後のホグワーツを立て直してもらわなければならなかったのです。アルバス、お久しぶりです。」

ダンブルドアへの言葉は続かない。私たちはいつも話しあっていたのだが、それは戦いとポッターのことばかりだったから。

「今日は伝えることがあって来たのです、ミネルバ。もしかしたらもうご存知かもしれませんが、、マグル学のバーベッジ教授のことです。1年前に行方不明になりそのままだと思うのですが。」

「チャリティの行方を知っているのですか、セブルス?」

「はい、、残念ですが、ヴォルデモートに、殺されました。私は、助けることができませんでした。」

ミネルバが悲しみに顔をゆがめながらうなづいた。

「仕方のないことです、セブルス。できなかったのであれば、、。それで亡骸がどこにあるかは?」

バーベッジの最期を思い出す。哀れにも宙に吊られて、赤い閃光を受け、それからナギニに・・。だがそれは言う必要のないことだった。ミネルバにも、遺族にも。あのような悪夢を見る必要はない。

「亡骸は、ヴォルデモートがかたつけてしまいました。どこかに埋葬されているのでしょうが、見つけることはできないと思います。」

ミネルバは言葉の裏を推測したのかしないのか、、おそらく経験した者でなければあのような、哀しくおぞましい出来事を推測することはできないだろうが、、何度も深くうなづいていた。

「それで、セブルス、もしよければホグワーツに戻りますか?闇の魔術に対する防衛術の教授を探しているのですが、あなたが戻ってくれるのなら。」

「世の中も騒がしいですし、私が教師に向いていたとは思えません。」

突然、話題の人になった名残はまだ残っている。しばらくは公的な場所に出る覚悟はなかった。

「ではいつでもあなたの気が変わったら言ってください。私は待っていますよ。」

「ミネルバ、前のヴォルデモート消滅時もそうでしたが、スリザリン生は複雑な立場です。家に問題を抱える子も、敵視される子もいるでしょう。どうか校長として、温かい目で気を配ってやっていただきたい。」

「わかりました。留意しましょう。、、、でも、クィディッチでは容赦しませんわよ。」

ミネルバが笑って付け加え、私も笑い返した。

「では私はこれで。スラグホーン教授によろしくお伝えください。」

校長室をあとにして、私は城内を眺めながらゆっくりと歩いていった。ところどころ戦いの傷跡が残るホグワーツ。私が初めて見つけた家。リリーとともに過ごした生徒の頃。ルシウスに会い、友達ができて、、後には敵となって欺いてしまったけれど。それからダンブルドアに従い、教師として、スパイとして、人生の大半を過ごした場所。様々な思いが詰まった私の家。

校庭を横切り、湖のほとりに出た。大理石の墓に向かい、言葉を探す。ダンブルドアには、いつだって語ることがあったものだが。指示を仰ぎ、報告し、時には思いをぶつけ、傷ついた体をいたわり合い、、。

「すべて、終わりました、アルバス。」

それだけを言った。校門を出て振り返る。全てが終わり、私にもホグワーツを去る時が来たのだが、どこに向かえばよいものか?私は長年教師であったというのに、これでは進路も決まらず卒業を迎えた生徒と同じだと苦笑いした。しばらく考えたが、差し当たってルシウスの家に帰ることしか思いつかなかった。




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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス グレンジャー ドラコ

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