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セブルスとルシウスの物語(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


~~*プロローグ*~~

キングスクロス駅は人が溢れていた。9番線と10番線の間のホームを、痩せて顔色の悪い母親が、小柄な黒髪の少年の手を引いて歩いていく。少年はぶかぶかの薄汚れたブラウスを着て、粗末なバッグをしっかりと胸に抱えている。母親とによく似た気難しい顔をしていたが、黒い瞳はキラキラと輝いていた。

ホームの中ほどにある壁の前で2人は立ち止まった。

「あの壁に走り込むんだ。魔法使いならぶつからずに走り抜けられる。」

少年は躊躇いもせずに壁に向かうと、そのまま姿が消えた。母親も後に続く。壁の向こうには9と3/4線のホームが広がり、虹色に彩られた汽車が止まっていた。汽車の蒸気が立ち込める中、ホームはたくさんの家族連れで賑わっている。ホグワーツ魔法学校に向かう子供たちと、見送りの親や幼い弟妹たち。学校に着くのが待ちきれないように、友達とはしゃぐ子供もいる。

「これに乗るの?」

「そうだ、セブルス。おまえをホグワーツ魔法学校に連れて行ってくれる。」

母親が息子に答えた時には、少年は少し離れた所に両親と姉とともに立つ赤毛の少女を見つけてじっと見つめていた。小柄な少女が姉の手を握って何か訴えているようだった。

~~* *~~

ホグワーツ城の大ホール。天井はまるでほんとうの空のように魔法で飾られ、星がきらめいている。前の壇上には教授や職員が座り、ホールには長いテーブルが4列。宙に浮かぶたくさんの蝋燭がゆらゆらとテーブルを照らしている。それぞれのテーブルに、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、そしてスリザリンの、4つの寮の生徒たちが席に着いていた。

教師に引率されて、緊張した面持ちの新入生たちが入ってきた。今日はホグワーツ魔法学校の入学式。新入生は一人ずつ名前を呼ばれて、マクゴナガル先生が組分け帽子をかぶせていった。組分け帽子はかぶった生徒の素質をよみとり、どの寮に入るかを決めてゆく。


ルシウス・マルフォイはスリザリン席に座り、組み分け儀式を見ていた。胸には監督生のバッジが輝いている。ルシウスはスリザリン寮の新入生が来るたびに迎え入れていたが、ポッター家の息子はともかくとして、ブラック家の長男まで、純血名門の子供がグリフィンドールに組分けされてしまったのを残念に思っていた。純血を誇るスリザリンにふさわしい血筋なのだがと。残る新入生は10数名になっていた。

「セブルス・スネイプ。スリザリン!」

組分け帽子が宣言した。

スネイプ?聞いたこともない家名だ。今は落ちぶれた家系かもしれない。みすぼらしいなりをした小柄な少年が、グリフィンドールのテーブルに目をやりながら、こちらに歩いてきた。ルシウスは、心細げな少年の肩を叩いて笑顔で迎え、隣の席に座らせてやった。

「ミスター・スネイプ。スリザリン寮にようこそ。監督生のマルフォイだ。」

驚いたようにこちらを向いた少年は、わずかに頭を下げただけで、そのまま気後れしたように下を向いてしまった。それから、続く校長の談話を聞いているのかいないのか、ちらちらとグリフィンドール席を盗み見ていた。やがて校長の合図で宴席の料理がテーブルに現れると、食い入るように料理を見つめ、そしておずおずと顔を上げてこちらに目を向けた。

間近で見ると一段とみすぼらしいローブ。べったりとした黒髪に覆われた土気色の顔に、少しばかり大きすぎる鼻。髪と同じ黒い瞳がキラキラと輝き。

「ボクモ、タベテモ、イイノデスカ?」

瞳の声が聞こえるようだった。語ることを知らぬ口の代わりに、目が物を言う子供らしい。ぱっとしない子供だが、目の輝きは気に入った。すべてを語り、すべてを覆い隠すような、漆黒の瞳。

「さあ、食べなさい。君たち新入生を歓迎しての食卓だ。」

笑顔で言ってやっても出そうとしない手にフォークを握らせ、近くの皿から肉をとってやった。固かった表情がわずかに和み、嬉しそうに食事を頬張っている。まるでこの程度の料理さえ初めて目にするように。そして、この程度の世話さえも受けたことがないかのように。

純血出身の多いスリザリン寮では、親類どうしの子もいるし、親のつながりで幼い頃から顔見知りもいるから、自然とグループになって談笑が始まった。その中で隣に座るスネイプといえば、腹は満たされたようだが一人黙りこくって座り、また時々ちらちらとグリフィンドールの席を見ている。どうやら知りあいも、社交性もないようだ。

ルシウスはスネイプに話しかけてやることにした。新入生のめんどうをみるのも監督生の勤めだ。5年生になって、監督生として新入生を見ると、ほんの子供に見えた。


セブルス・スネイプは、リリー・エバンズがグリフィンドールに組み分けされた瞬間から、すっかりしょげていた。リリーと一緒にスリザリン寮で勉強するんだと楽しみにしていたのに。自分は希望通りのスリザリンに組分けられたけど、リリーと違う寮になるなら、グリフィンドールでもよかったくらいだ。

未練がましくリリーを振り返りながらスリザリン寮のテーブルに行くと、監督生のバッジを着けた上級生が笑顔で迎えてくれた。思いがけず、肩に手を添えて。僕は体に手を触れられたことなんてほとんどなかったからびっくりした。母さんとリリーとは手をつないだことがあるけど。

校長先生が何か話した後で、さあ食事だというと、空だった皿に突然料理が現れた。こんなたくさんの食べ物、見たことない。食べたいものばかり。でも食べたことがないものばかり。どうしてよいのかわからなくて隣に座る上級生の顔を見上げた。さっきはびっくりして顔も見られなかったけど、こうしてみると、とても美しい人だった。上品に整った顔を僕に向けると、プラチナブロンドの髪がサラサラと揺れた。細身だけど僕みたいにガリガリじゃなくて、高級そうなローブがよく似合う。食べなさいと言って、フォークを持たせてくれた、その美しい手の優雅な動き。

こんな素敵な魔法使いに、こんな豪華な食事。とりわけてもらったおいしい料理を夢中で頬張りながら、僕はホグワーツに来たんだ、これからここでいろんな魔法を勉強できるんだと、しょげかえっていた気持ちが明るくなった。寮が違っても、きっとリリーと仲良くできると思えてきた。

気がつくと、僕は周りのみんなと一緒に話をしながら食事をしていた、といっても、話をきいていただけだけど。
新入生たちの家族の話になって、僕は自分の家族のことを聞かれたら嫌だなと黙っていたら、ゴーストが現れて話しが途切れた。虚ろな目にげっそりとした顔をして、銀色の血に染まった衣服を着たゴースト。新入生たちが驚いて黙ると、ゴーストが自己紹介した。スリザリン寮専属の血みどろ男爵というそうだ。

血みどろ男爵は、今年もクィディッチで我が寮の優勝を願うと言って去っていった。その後はみんな夢中になってクィディッチの話をしていたけど、僕はクィディッチなんて聞いたことがない。でも、みんなの話を聞いていても、たいして面白そうなゲームでもなさそうだった。

興味を失って、リリーのいるグリフィンドール席のほうをまた見たら、リリーは近くの女の子たちと楽しそうに話していた。僕もリリーの近くにいられたらよかったのにと思っていると、隣の監督生、、、マルフォイという人が僕のほうを見た。家族やクィディッチとかの話をされたらどうしようと思ったのだけど。

「ミスター・スネイプ、君は魔法は得意なのかな?どんな呪文を知っている?」

よかった。僕の好きな話だ。僕は知っている呪文を並べ上げた。マルフォイ先輩はうなづきながら聞いていくれた。

「1年生なのにたくさん知っているのだな、セブルス。誰かに教えてもらったのか?」

ファーストネームで呼ばれて驚いた。でも、認めてもらえたみたいで、なんか嬉しい。

「母さんに。それから本も読みました、、、マルフォイ先輩。」

「勉強が好きなのだね。お母上はどこの家の魔女なのかな?」

「プリンス家です。」

マルフォイ先輩が笑ってうなづいてくれたところで、校長先生が立ち上がり、話が始まった。

「エヘン、みんなよく食べ、よく飲んだことじゃろう?新入生たちに注意事項じゃ。敷地内にある森には入らぬように。危険な魔法生物がおるからの。それから、上級生たちもじゃが、授業の合間に廊下で魔法を使わぬようにと管理人のフィルチさんから注意がきておる。それでは、みんなで校歌を歌ってお開きじゃ。」

校長先生が杖を振ると、金色のリボンが流れ出て、クネクネと文字を描き始めた。

「みんな好きなように歌うのじゃ、ほれ!」

みんなが好き勝手に校歌をうなり終わると、校長先生が拍手をして、宣言した。

「さあ、諸君、就寝時間じゃ。駆け足で!」

それから監督生に従って、大ホールを出て寮のある地下牢棟に向かった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス スネイプ ルシウス マルフォイ

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