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セブルスとルシウスの物語(2)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。)


ホグワーツの毎日は、夢みたいだった。天蓋付きの清潔なベッドで目覚め、談話室に出ると同寮の生徒たちが「おはよう」と声を掛け合う。それから連れだって大ホールに行くと、カボチャジュースやトーストやフルーツの朝食。僕はあまり話すことはないけど、たわいもない会話をかわしながらみんなでいっしょに食べる。笑い声の聞こえるなかで、思う存分美味しいものが食べられるなんて、それだけでも夢のようだ。

それに魔法が思いっきり勉強できた。周りの生徒たちは、魔法使いの家で魔法を見ながら育ったようだから、僕は授業についていけるかと密かに心配したけど、授業が始まってみるとそんなこと全然心配なかった。母さんが揃えてくれた古い教科書は全部読み終えていたから、先生たちが出す問題にもすぐに答えられる。むしろ物足りなくて、周りの生徒がバカに見えることもあるくらいだった。せっかく勉強の機会が与えられているのに、真面目に勉強しないなんて信じられない。勉強は面白かったし、いい成績をとりたくて、僕は一生懸命勉強した。

授業は寮ごとに行われたけど、スリザリンとグリフィンドールの合同授業もあった。合同授業のときは、教室に入るとまずリリーの姿を探す。リリーも僕の姿を見つけると、にこっと笑ってくれた。リリーと一緒に受けられる合同授業の科目、特に魔法薬学が僕は大好だ。運がよければリリーと組になって、一緒に魔法薬を調合することもあった。先生の説明をよくきいて、その通りに調合していくときちんと薬が出来上がる。その繊細さにも魅了された。

もちろん、得意じゃない科目もあるけど、授業中は一生懸命先生の話をきいてノートをとり、授業が終わると談話室のすみで宿題や復習をした。談話室の暖炉の前には大きなソファセットがあって、そこにはたいてい上級生たちが座っていた。監督生のマルフォイ先輩もよく友達と一緒にそこにいた。ふざけて走り回って怒られる低学年もいるけど、僕はそんな空間で勉強するのが気に入っている。リリーが一緒ならもっといいのにとは思うけど。

リリーとはよく一緒に図書館で勉強した。おしゃべりすると怒られるから小さな声でしか話せないけど。ホグワーツの図書館はすごい。7年いても読み切れそうもないほどたくさんの本が並んでいて、僕は夢中で読みあさった。

そんな、楽しい生活に夢中になっていたけど、日が経つにつれて、少しずつ気になることも出てきた。

最初に感じたのは、僕にはふくろう便が届かないことだった。とういより、みんなにはふくろう便が届くこと。僕と同じ1年生には、特に頻繁にふくろう便がくるみたいだった。家族からの手紙を受け取って読み上げる子、送られてきた洋服を見せたり、お菓子の包みを開けてみんなにわけてくれる子、そういう子を中心に人の輪ができる。最初のうちは僕も一緒に加わっていたんだけど。

「セブルスんとこ、何にも来ないな。」

自分でもなんとなく気が付いていて、寂しく思っていたからかもしれない。誰かが言った一言に、僕は強い声で言い返してしまった。

「ふん、そんなの、くだらないよ。うちからの手紙なんて。」

手紙を読みあげていた女の子が涙ぐみ、周りがすっと静かになった。みんなの視線が僕に集まっている。

「あ、ごめん。」

あわてて女の子に謝ってその場は終わったけど、たぶんそれからだと思う。なんとなくみんなと少し距離ができて、時々聞こえよがしの悪口を言われるようになったのは。着ているものが古いとか、貧乏だとか、親がいないんじゃないかとか。

でも、うちも貧乏なんだって言ってくれる友達もいたし、なにより、リリーがいたからそんなに気にならなかった。リリーは、僕が貧乏なことも両親の折り合いが悪いことも知ってたけど、それを悪く言ったことはない。むしろ心配してくれた。他の子たちとは大違いで、やっぱりリリーは特別な女の子なんだと思う。寮の友達と気まずくなってから、休み時間や放課後には前よりもっとリリーと過ごすのが楽しみになった。

その日も、授業が終わってリリーと話してから談話室に戻ったら、いつも僕の悪口を言っている友達が待ち構えていた。2年生や、3年生も何人か混じって。

「セブルスはいつも『穢れた血』と一緒だな?あんまり一緒にいると穢れた血がうつるぞ。」

「マグルくさい~!」

はやしたてる生徒たち。僕はなんのことかわからなくて黙って睨みつけた。

「ほら、おまえがいつも一緒にいるグリフィンドールのエヴァンス。あいつ、マグルだよ。『穢れた血』!」

リリーのことを!

僕はかっとして杖を振っていた。リリーの名を出して辱めた上級生の男子に。

僕を指差していた上級生はそのままの姿勢で固まり、腕はねじれて自分の顔に向かう。

「い、痛いよ、、助けて、、」

上級生は泣き出しそうになり、周りからは悲鳴が上がった。それでも僕は怒りをおさめられない。

「やめろよ、セブルス。」

「ひどいわ!」

みんな口々に僕を非難して、中には杖で魔法を仕掛ける者もいた。僕はすかさず魔法を跳ね返した。暖炉の前のソファにいた上級生たちも騒ぎに気がついたようで、監督生のマルフォイ先輩がこちらにやってきた。僕は怒られると覚悟したのだけど。

マルフォイ先輩は僕の横に立って肩に手を掛けながら、みんなに向かって言った。

「仲良くすべき寮内で、よってたかって1人を責めるのはよくないことだ。君たちがけんかをしかけたのはわかっている。セブルスにあやまるのだ。」

僕もみんなも、あっけにとられた。そしてすぐに、

「ごめん、セブルス。言いすぎた。」

術を掛けられていた上級生が謝った。それから周りのみんなも口々に。マルフォイ先輩の一言で皆の態度がころっとかわった。

皆を黙らせる強い力。そんな力に守られるのは初めてだった。家で、暴力をふるう父さんから母さんはかばってくれたけれど、母さんはいつも弱かったし、やがてあきらめて見て見ぬふりになった。だけどマルフォイ先輩は違う。僕をかばってくれる強い力。それはすごく快く、心強い。

「セブルス、ついて来なさい。」

マルフォイ先輩について監督生の部屋に向かいながら、僕は少し、みんなよりえらくなった気がした。



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