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セブルスとルシウスの物語(10)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ホグワーツの3年目は穏やかな年だった。相変わらず、スリザリン内では仲間外れにされることはないものの親しくもなれず、ポッターやブラックの嫌がらせには腹が立ったけれど、リリーの友情とマルフォイ先輩の好意に支えられて、幸せに過ごせたと思う。

振り返ってそんなふうに思うのは、4年生になって孤独を感じることが多くなったからだ。まず、マルフォイ先輩が卒業してしまった。3年の終わりには、僕を部屋に呼んで、

「セヴィは優秀なのだから、これからもしっかり勉強して魔術を磨くのだぞ。そのうち屋敷に遊びに来るといい。」

と言ってくれた。先輩は卒業してしまうけど、うちに遊びに行けるんだと自分を励ましていた。だけどその後なんの音沙汰もないまま、新学年を迎えると当然ながらホグワーツにマルフォイ先輩の姿はない。勉強を頑張っても、術を磨いても、褒めてくれる人はもういないと思うと、張り合いも失せる気がする。呼ばれて先輩の隣に座る僕をからかっていた上級生たちさえ懐かしく思った。

同級生や他のスリザリン生たちの態度は変わりはしなかったけれど、マルフォイ先輩がいなくなると、彼らとの距離を感じずにはいられない。少しずつ大人になっていくこの時期に、悩みや些細な出来事をともにできる親しい友達がいるのは心強いことだろうと思うのだけど。何かにつけてくっついている数人ずつの仲良しグループに、僕は入っていくことができなかった。

リリーとの友情は変わらず続いていると信じているけど、ほんのわずか、違和感を感じることがあるようになった。たまにリリーが、純血を重んじるスリザリンを悪く言うのだ。それに、僕の大好きな闇の魔術のことも。

「セブ、純血主義を謳い、闇の魔術を駆使する、自称『闇の帝王』が勢力を増しているのよ。マグルを『穢れた血』と貶めて虐待しているの。あたしの友達の家族も襲われて入院したって。スリザリンは『闇の帝王』を支持しているそうよ。」

「君の血は穢れてなんていないよ、リリー。僕だって半分マグルの血が流れているけど、スリザリンで嫌がらせされるわけじゃない。グリフィンドールのポッターたちやマグルの父さんのほうこそ、僕を虐待してる。」

リリーはグリフィンドールの考えに毒されてスリザリンを悪く言うんだと思う。実際のところ、僕も半純血の出自に肩身の狭い思いをしないわけではないけど、魔法使いがその血を誇るのが悪いことだとは思わない。マグルの父さんを見れば、それに比べて魔法族がいかに優れているかよくわかる。父さんなんてむしろ、闇の帝王とやらに懲らしめてもらいたいくらいだ。

リリーは優しいから友達の家族を心配するけど、僕は家族を心配する気持ちなんて想像もつかないし、闇の勢力の隆盛とかいうホグワーツの外の状況に興味もない。どうせ僕にとってはひどいことばかりなんだから。ホグワーツとリリーに変わりがなければそれで十分だ。

「君は大丈夫だよ、リリー。心配いらない。それより温室の裏の林に行こうよ。きれいなユリがもう咲く頃だよ。」

リリーとの秘密の場所、林の岩陰のそばに、夏休みが明けてすぐにユリの球根を植えた。リリーの好きな白いユリ。僕は毎日、よく育つ呪文をかけた水をやって育てていた。リリーの喜ぶ顔が見たくて。そのユリの蕾が大きく膨らんでいたのだ。

それから僕たちは手をつないで林に向かった。リリーは小さくため息を漏らしていたけど、大輪のユリの花を見て喜んでくれた。リリーの笑顔が見られれば、他に何もいらない。

そのリリーとも、こそこそ隠れて会わなきゃならないようになった。リリーの言う闇の勢力の台頭のせいもあるかもしれないけど、スリザリンとグリフィンドールのいがみ合いが度を越してきて、グリフィンドールと仲良くするなんてと僕でさえ仲間から文句を言われるほどなのだ。

それというのも、ポッターたちのスリザリンへの嫌がらせがひどくなったからだ。睨みの効くマルフォイ先輩がいなくなったせいもあってか、この間など、ポッターとブラックが寮内に忍び込んで、爆竹を爆発させた。それも魔法で色のついた粘液が噴き出るものだった。談話室にいたスリザリン生たちはパニックを起こして、茶色や緑や赤のネバネバがついたパジャマ姿で外に逃げ出した。外に出るとポッター初め数人のグリフィンドールたちが『たまたま通りかかって』、その光景に大笑いしていた。

運悪く近くにいた数人が火傷を追う大事になったのだけど、先生たちは証拠がないと言って、ポッターたちはお咎めなしだった。寮内での目撃はなかったけど、スリザリンではみんなポッターたちの仕業だとわかっていた。あんなばかげて、しかもたちの悪い悪戯をするのは、彼らしかいないから。たまたま通りかかって逃げ惑うスリザリン生を偶然見かけたなんてことも、あり得ない。それなのに。校長先生も副校長先生も、グリフィンドール出身のグリフィンドールびいきだからヤツらを見逃すのだとスリザリンでは言っている。甘やかされて育った彼らは、学校でも甘やかされるいい身分だ。

一般のスリザリン生でさえ被害を被るほどなのだから、僕への嫌がらせはいっそう酷いものになってきた。ポッターとブラックは、ペティグリューとルーピンという手下を従えて、僕一人の時を狙って攻撃をしかけてくる。僕も術を磨いて反撃したけれど、2人に同時に仕掛けられると分が悪かった。ブラックに応戦しているとポッターに杖を飛ばされるし、ポッターを追い詰めるとブラックに後ろから攻撃されるという具合で。

ネバつきシャンプーを頭から掛けられた時など窒息しそうになったし、林の木に磔にされて毛虫や蜘蛛や、気味の悪い虫を体中に這いまわされたこともある。おかげで僕はいつも医療棟でマダム・ポンフリーのお世話になる羽目になったし、汚されて洗濯を繰り返す衣類はいっそう古びていく。

僕から話を聞いたリリーが怒って責めると、ポッターは闇の魔術を使う僕を懲らしめただけだとせせら笑っていたそうだ。ブラックは、ちょっとした悪戯に目くじら立てるなんて、ひょっとしてアレの日か?とリリーまでバカにしたらしい。カンカンになって最低なヤツと罵るリリーに慰められたけど、その後彼らはいっそう巧妙になった。

僕はいつも用心し、一人にならないように気をつけていたのだけれど、トイレに行ったときに捕まってしまった。いきなり現れたポッターとブラックは、僕の杖を奪って僕を個室に閉じ込めた。狭い個室で2人がかりで僕の頭を便器に押し込んで、得意のネバつきシャンプーを頭にかける。

「スニベリーが泣きべそかいてるぞ!」

「べったり髪で便器が汚れるぜ。」

「鼻水まで垂らしてら~」

やっとのことで顔を上げて息をつくと、ペティグリューのどこか暢気な声までが僕を辱めた。

「やめ、、ろ、、」

また頭が水に押し付けられて粘つくシャンプーの泡がまとわりつく。苦しくてもがいても、鼻からも口からも泡が入って息ができない。感じるのは口惜しさでも怒りでもなく、、、恐怖。ヤツらは本気で僕を殺す気かもしれない。頭の上からポッターの憎しみのこもる声が降ってきた。

「スニベルス、泣きべそかいてエバンスに言いつければいい。便器で汚い髪を洗ってもらいましたって。」

「ケツも洗ってほしいってか?パンツ下げてさ。やるか、ジェームス?」

嘲るブラックの声。恐怖と恥辱で息もできない。もう、ダメだ。涙がにじんで、がむしゃらにもがいて、、。その時、見張り役のルーピンの声が聞こえてきた。

「ジェームス、シリウス、誰か来るみたいだ。もう充分だろ?引き上げよう。」

ポッターとブラックの手が緩み、僕はようやく顔を上げた。ぜいぜいと息をするのが精いっぱいで、戦う気力もない。

「しばらくぬれ鼠でべそかいてろ。」

ポッターとブラックは捨て台詞を残し、個室の扉に閉じ込め呪文をかけて逃げていった。扉の下の隙間から、届きそうで届かない所に僕の杖を置いて。

彼らが去ってほっとしたけど、こんな惨めな姿を誰にも見られたくなくて、助けを呼ぶ気にならなかった。せめて身を整えようにも、杖がなくてはどうしようもない。僕は涙が滲むのをこらえながら、ペーパーで顔や髪の泡を拭い、ぬれたローブの水をしぼった。

そうして、どのぐらい個室に閉じ込められていただろう。密やかな足音と呪文の声がして扉が開いた。たぶん僕と同じくらい蒼ざめた顔のルーピンが立っていて、杖とタオルを差し出した。僕は物も言わずにそれを受け取り、ルーピンを突き飛ばした。壁に張り付いたルーピンは、目をそらして何も言わない。

「臆病者!」

僕は言い捨てて、寮に戻った。ポッターたちは悪賢い。僕が恥ずかしくてリリーに言えないように、嫌がらせに辱めを加えたのだ。そして狙い通り僕がリリーに話せないと確信したのか、似たような悪だくみを繰り返した。

思い詰めて僕から攻撃したこともある。人目のある場所で、一騎討ちに応えろと狙いを定めて。ポッターの頬を引き裂くことはできたけど、ブラックがすぐ駆け付けて、後ろからの攻撃に倒された。ある程度事情を知るリリーは「セブにかまわないで」と庇ってくれたけど、集まったみんなからはただのケンカ扱いされた。

こんな傲慢で陰湿なヤツらなのに、相変わらずポッターはクィディッチのヒーローの人気者で、見た目も血筋もよいブラックは魔女にもてはやされている。そして僕は闇魔術を操る不気味なヤツだと言われる。みんなポッターたちの外面に騙されているんだ。先生たちでさえ、ヤツらを『悪戯が過ぎる困った子たち』と甘やかす。ほんとに世の中はどこまでも不公平にできている。


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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ポッター リリー ルーピン シリウス

コメント

No title

丁寧な文章書くんですね
ハリポタは四巻でとまっていますが
このはなしは楽しめました

Kyoさん

コメントありがとうございます。
おはなし楽しんでいただいて嬉しいです^^
時々更新しますので、よかったらまた来てくださいね。

久しぶりのコメントです^ ^
セブルスとルシウスの物語、色々考えさせられますね。
この物語を読むのが、今の私の一番の楽しみです。
いつもこんなにステキな物語を有難うございます!
変な言い方になりますが、妄想を原作との矛盾がここまで無い物語に出来るなんて、ミーシャさんはハリポタへの知識がとっても深いのでしょうね。セブルスを始め、一人ひとりのキャラへの愛をひしひしと感じます。何度読んでもハリポタは発見が多く、感動も大きいです。
今はまた賢者の石から読み返しているのですが、場面ごとにミーシャさんの物語が浮かんで来ます^ ^

RENさん

コメントありがとうございます。
物語楽しんでいただいて、嬉しいです♪
セブの幸せを探して妄想しているのですが、
できるだけ原作と矛盾なく妄想したかったので、
やっぱり可哀そうなことになってます^^;
原作はハリーの色眼鏡を通してセブルスやスリザリンを語っていますが、
この妄想はかなりセブの色眼鏡入ってまして、
たぶんキャラそれぞれに物語があるんだろうと思います。
それだけどのキャラもよく描かれている原作だということですね。
また賢者の石から読み返しているんすね。
ますます愛が深まりそう^^

お返事をありがとうございます^ ^
今日も更新されていて、とっても嬉しくなりました!
今まで何度も、ハリポタの本は繰り返し読んでいましたが、何回読んでも新しい発見があり、新しい考えが芽生え…本当に素晴らしい物語ですよね^ ^
私の人生、価値観、殆どがハリポタで成り立っている様なものです(^^;;

RENさん

ハリポタの本、繰り返し読んでいるんですね。
本当に素晴らしい物語です。
といいつつ、私は最近読んでません。
セブタンに感情移入し過ぎてしまい、
ハリーやロンのスネイプ悪口に心穏やかでいられないのです。
我ながら病んでます~(^^;
とりあえず頑張ってブログ更新していきます!

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