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セブルスとルシウスの物語(12)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)



ホグワーツを卒業してしばらくは、めんどうな規則や起床時間に縛られない生活を楽しんだ。社交パーティに顔を出したり、クラブで夜を明かしたり、時には仲間たちと酒や怪しげな魔法薬に酔い痴れて快楽を尽くす。マルフォイの御曹司として、どこに行っても特別に遇され、何をしようが咎められることもない。しかしそのように遊び暮らし、秋が深まる頃になると・・・。

「退屈でならぬ。」

誰もいないが、声に出して言ってみた。飽食も快楽も、慣れてしまえば物足りない。

どうやら私は勤勉なのだと気づいた。幼い頃から決められたスケジュールの勉強をこなし、ホグワーツに入ってからはどの教科も優秀な成績をおさめてきた。さらには、スリザリン寮内に目を配り、マグルびいきの校長の方針により、ともすれば理不尽に貶められるスリザリンの地位を保つのにも尽力した。私の立場なら当然と目されていたことだろうが、それなりの努力もしていたのだ。

私には新たな目標が必要なのだ。成し遂げるための富も力も能力も備えているのだから。

しばらく考えた後、私は父上にマルフォイ家の運営に携わりたいと申し出た。父上を手伝いながら、後継者としての能力を養ってゆきたいと。値踏みするような目でしばらく私を見た後、父上は話し始めた。

ルシウス、おまえがそう言ってくるのを待っておった。それでこそ我が跡継ぎ。退廃に身をゆだねる貴族も多いが、それでは富と力を保つことはできぬもの。世の動きも時の流れも、それほど甘くはないのだ。数年のうちにおまえは全てを受け継ぐことになるが、得たものを保つことは容易ではないと心得よ。今あるものにあぐらをかけば、その全ては崩れ去る砂の城に変わる。常に今以上を目指す野心を持たねば、現状を維持することは叶わぬのだ。」

年とともに大げさな言い回しを好むようになった父上の訓示を神妙な顔をして聞き終えると、まずは会計士からマルフォイ家の事業や農場など、資産の全容を学ぶよう指示された。細かいものも数あるが、そこから生まれる収益こそが富と力の源であり、まさかの時の命綱になるのだと言う。当主自身が個別の業務に手を染めることはないが、時の情勢を見極めて、それらを守り、さらなる富や力を得てゆくかじ取りが跡継ぎの役目だとおしえられた。

資産について一通り必要な知識を得ると、会計士から報告があったらしく、父上から呼び出された。

「さてルシウス、おまえは今の世の動きをどの程度知っている?」

ヴォルデモート卿が勢力を延ばしているときいています。マグル出自の増大を抑え、純血による支配を強めるべく、闇の魔術を使い、人々を支配しつつあると。父上も関わっているのでしょう?」

「概ね理解しているようだな。では我が家門との関わりを話すこととしよう。数年前、ヴォルデモート卿と名乗る魔法使いが訪ねてきた。マグル出自の魔法使いを排除し、純血魔法族による支配を強め、ひいてはマグルの世界も支配すべきだとという信念を語り、自分にはそれを為す魔力があるから援助してほしいと申し出てきたのだ。」

「父上も賛同されたのですね?」

「あの者の思想は好ましく、強い魔力と野心も魅力的であった。しかし当時はまだどれだけのことを成しうるか測りかねた。思想が好ましいからといって負け馬に乗るのは馬鹿げているからな。金銭的な支援をして様子を見ていたわけだ。」

「今のところ順調に勢力を延ばしているようですね。貴族の大半も賛同しているのでしょう?」

「そのようだ。だが未だどちらに転ぶかは定かではない。全面的に支援してあの者が失敗したとなれば、我らは失うものが多すぎる。ヴォルデモート卿か既存の勢力か、どちらが勝った場合でも、得るものは最大に、失うものは最小におさめるよう事を運ばねばならぬ。権力の所在が動くときには、細心の注意を払わねば、いつかは没落の憂き目を見ることになるのだ。」

「では失敗に備えてあくまで表に出ぬように、しかしヴォルデモート卿が魔法界を掌握する時が来たら、勢力内で絶対的な影響力を持っているようにするのですね?」

「その通りだ、ルシウス。おまえは十分に思慮深いようだ。それではまず魔法大臣など、各分野の有力者におまえを後継者として紹介しよう。そして近いうちにヴォルデモート卿にも引き合わせることにする。それから彼らの幹部たち、デスイーターと称しているが、その会にまずはオブザーバーとして参加し、内々にマルフォイ家の力を示しておくのだ。彼らの動向を見ながら、おまえの手駒となりそうな者の人選を進めておくがよい。」

「しかし父上、純血は数が少ないわけですが、今以上にヴォルデモート卿に賛同する者を集められるのでしょうか?」

「賛同するのは純血だけではない。純血でなくとも、今ある以上に力を得たい野心家は新たに台頭する権力に擦り寄りたいだろうし、今の世に不満のある者、今の世に希望の持てぬ者は、新たな力に期待を寄せるだろう。一方、ヴォルデモート卿の勢力が増大すれば、警戒し反発する動きも強まるはずだ。その動きも把握しておかねばならぬ。すでに魔法省で闇祓いを増強しているし、外部にも警戒を募らせている者がある。」

「ダンブルドアですね?」

「頼もしいことだ、ルシウス。」

父上は目を細めてボクを招き、肩を抱いた。

「我が息子よ。わしも年をとったが、安心して託せる跡継ぎがいて心強いぞ。マルフォイ家は、古くから繋がる家系図とグリンゴッツの地下金庫に眠る金銀を愛でるだけの旧い貴族ではない。田舎貴族と陰口をきかれながら、わしが長い年月、心血を注いでここまでにしたのだ。おまえは我が血と野心を継ぐただ一人の家族。必ずやマルフォイ家の繁栄を守るのだ。」

それから父上のはからいで各界の有力者たちに顔見せをし、ほどなくヴォルデモート卿との対面も果たした。ヴォルデモート卿は、力強い言葉も語る内容も、知性が溢れ、人を魅了する力を持つ魔法使いだった。そしてよいタイミングで闇の魔術を披露する。表情を変えぬまま放つ魔術の強い威力。その瞬間に目だけが邪悪な光を放つ。

ヴォルデモート卿に、巷で起こっているマグルの虐待やマグルに好意的な魔法族の失踪事件などについての関与を尋ねると、明確な返答は避け、全てが明らかにならぬほうがよいのだと言う。誰が事を起こし、誰が味方で誰が敵かわからぬ状況こそ、人々を恐怖と疑心暗鬼に陥れ、反撃の意欲を失わせる。そのようにして、人々が気づいた時には全てが我らの手中におさまっているのだと。

これならば邪魔者を闇に沈め、近いうちに魔法界を掌握するだけの力を持つだろうと思われた。その時には穢れたマグルを排除し、純血魔法族が支配する世が訪れるのだ。私たちは互いに敬意を表し、握手を交わした。父上は資金援助をしただけだと言っていたが、マルフォイ家が最大のスポンサーのようだ。

ヴォルデモート卿の権力掌握を助け、成し遂げた世で我が家門がいっそうの力を示す。やりがいを感じる事業の始まりに、興奮を抑えられなかった。穢れたマグルを叩きのめし、闇の勢力に対抗する者たちを抑え込む。そして闇の勢力内部では、ヴォルデモート卿に対しても十分な影響力を持てるような力を握るのだ。

そのためには、手駒となる者を集める必要がある。当然、思いつくのはスリザリン寮の仲間や後輩たちだった。

敵方のダンブルドアも、ホグワーツで同じように生徒らの見極めを始めているに違いない。教育者の面をかぶり、とぼけた好々爺を装いながら、反撃の企みを成しているはずだ。実際、ヴォルデモート卿の台頭を恐れる者たちの間では、優れた魔力を持つダンブルドアを次期魔法大臣にとの声も上がっている。マグルや他の魔法生物との共存を説くダンブルドアなどの思うようにさせるわけにはいかない。

私はスリザリン時代の仲間たちと今年の卒業する生徒数人を屋敷に招き、デスイーターとなる資質を見極めることにした。そしてまだ年はいかないが、上級生以上に闇の魔術に長けいてたセブルスも。しばらく考えた後、まだ3年を終えるばかりのレギュラス・ブラックも加えることにした。

ブラック家は魔法界の名門中の名門。その古い歴史と有力純血家系に張り巡らされた姻戚関係で、魔法界の王族とも言われている。長男は何を血迷ったかグリフィンドールに入ったが、次男のレギュラスはブラック家の伝統を継いでスリザリンにいた。新しい権力闘争の運び次第では、ブラック家の者を私の配下に置き、我がマルフォイ家が名実ともにブラック家に勝る地位を得られるチャンスでもある。早いうちにどんな子なのか見極めておきたい。

私はさっそく彼らに招待のふくろう便を送るよう執事に命たが、セブルスへの便りは自分で書くことにした。優れた能力を持ちながら人となじめず孤独をまとい、私の呼び声に戸惑いと喜びを浮かべる野良猫の子のような姿。1年ぶりに思い出すと懐かしい。粗末な身なりや、魔術には優れていても世間の知恵には疎そうなセブルスを思い、キングスクロスの駅に迎えに魔法の馬車を配してやることにした。


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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルシウス セブルス ヴォルデモート

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