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セブルスとルシウスの物語(21)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

季節の変化さえ気づかずに過ごすうちに、クリスマス休暇も終わった。休暇明けには魔法省から指導者が来て、今年成人を迎える僕たち6年生は、全員そろって、アパレート・ディサパレートを習った。いる場所から姿くらましをして、目指す先へと姿現しをする。杖も呪文も使わない、集中力を要する術で、みんな苦労していたけど、僕は難なくやってのけた。思い詰めてばかりの生活が集中力を増してくれたみたいだ。だけど、その代りなのか頭痛に悩まされて、僕はいつも不機嫌だった。

年が明けて、1月9日は僕の誕生日だ。誕生日には毎年、リリーがちょっとしたプレゼントと、おめでとうの言葉をくれたものだ。僕が生まれて生きていることを、リリーだけは祝福してくれた。朝目覚めるとともに、もしかしたらという空しい願いなど持つまいと自分に言い聞かせた。今年は17歳の成人を迎える特別な誕生日だけど、僕の存在を気に掛けてくれる人はもういないのだから、祝福を期待するのは馬鹿げている。僕は強くなったのだから一人だって大丈夫だと思おうとしたけれど、考えるとむしろ孤独に苛まれた。

リリー、今日は僕の誕生日だったんだ。」

夜ベッドに入り、いつものように心の中のリリーに語りかけてみた。もうずっとそうなのだけど、心の中のリリーは背を向けて去ってゆき、何の言葉も返してくれない。おやすみと言って目を閉じても、眠りは訪れなかった。夜の闇と静寂は、昼間の雑多な音や光の中でなんとかやりすごした感情を際立たせ、自分を追い詰める思考から逃れようがない。

こんな日さえもリリーは僕を顧みなかった。父さんに疎まれ、母さんに忘れられたように、リリーからも完全に見捨てられたのだ。頑張れば戻れるのだと、もう思えなかった。あるのはただ、耐え難い悲しみと寂しさだけだった。僕を世界につなぎとめていた細い糸が切れて、底知れぬ暗闇に堕ちてしまったようだ。

これは一般に言う失恋なのだろうか?僕だけが特別なわけではなくて、愛する人から見捨てられた者はみな、こんなふうに、命のエネルギーが尽きてしまったように感じるものなんだろうか?自分の存在が暗闇に飲み込まれて消えてしまったように。

そもそも僕の想いは、恋だったのか?そうではないと思う。恋は思春期のホルモンに突き動かされ、憧れを特定の誰かに投影して求めるものだ。相手に拒まれれば傷つくけれど、いつか傷を癒し、思いを投影できる別の誰かを探してゆけばいい。僕はもっと切羽詰まっていた。僕は子供の頃から自分の存在証明をリリーに見出して生きてきたのだ。リリーがいなければ僕など無に等しい。

闇にうずくまり今までの人生を振り返る。与えられた環境を受け入れるしかなかった子供の頃と違って、他と比べられる今振り返れば、なんと運に見放されていたかと思う。だけど僕はリリーに会えた。夢も希望も温もりも、リリーという灯火の中に生まれたものだ。苦しみも悲しみも惨めさも、リリーがいれば乗り越えられた。けれど支えてくれたリリーはもういない。

暗闇の中で一人自分の存在を確認するには、闇を生みだす闇の魔術を操るしかない。幼い頃に地下室で、ハエを落として自分の存在を確かめたように。その時だけ僕は暗闇に打ち勝つ力を持つことができた。幼い頃から魅了され、僕の支えでもあった闇の魔術。それは様々な姿をなし常に変わり続ける永遠の力。多くの首を持つ怪物のように、1つの首が切り落とされるたびに、さらに強い別の首をもたげ、絶えることがない。暗闇で僕に寄り添い、手にすれば力を与えてくれる。

闇の魔術を極めれば、僕はこの暗闇の中で再び生きる力を得られるはずだ。再び立ち上がることができるはずだ。リリーのいない人生に意味があるのかわからないけれど。

次の日も、その次の日も、僕は真面目に勉強して、スリザリンの仲間と話したりしたけれど、そんなふうに過ごす自分を他の誰かのように感じていた。いつも気だるく、すべてがどうでもよいことのように思われた。眠れない夜は杖に明りを灯して闇の魔術の本を読み、放課後には雪が積もった林に行って小動物に術を掛けてみる。今はもうそんなときだけが、僕を僕と感じられる時間だった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター リリー

コメント

No title

ご無沙汰しています。

少し遅れましたが、リリーとの関わりの数話を
まとめて読ませて頂きました。

リリーと先生の関係は、何度考えても切なくりますが
これまでの数話を読んでいて
かなり自分のイメージと近しかったので
とても共感しながら読んでいました。

そう。
セブルスのリリーに対する想いは
「恋」とは違う気がするんですよね。
もちろん、全く恋してなかったわけでは無いとも思いますが。
根本的なところで、世間一般でいわれる「恋愛」とは違っていたように感じます。
そのうえ更に、リリーと縁が離れたことで
先生の中でのリリーは益々理想化されてしまった様な気もしています。

そんな私の妄想が、見事に表現されていましたので
先生の気持ちに苦しくなりつつも
読み手として、とても昇華されるものがありました。

このような考えも含めて、自分は
先生がリリーと絶縁せず、デスイーターにならなくても
恋愛対象や恋人になるのは、かなり困難だろうと思っています。
なって欲しくないワケではないんですが;
先生の性格を考えると…大変そうですよね;

と、内容的にどこでコメントしようかと思いつつ…
とりあえず、作品の感想なので最新の作品の位置にて失礼しました。

No title

ソマリさん
切なさあふれるリリーとセブルスの関係ですが、
たしかに恋愛関係となると、大変そうですね(^^;)
先生を思うと結ばれてほしかったですが。

全人間的な愛の全てを傾ける一方で、
闇の魔術に傾倒しデスイーター候補と親しみ、
何度言っても人の話(の都合の悪いこと)はきかないうえに、
恋愛含む人間関係に不器用で奥手な困ったセブくんと結ばれるには、
リリーさんに海より広い寛大な心と、
韓国ドラマ並みに気長で強い恋愛感情と、
さらに押し倒すくらいの強引さがないと・・・

むしろルシウスに遊ばれるほうが気軽で楽しいかもと
思うくらい、大変そうですね^^;

もしリリーが、天敵ジェームスではなくて他の人と結ばれたら、
たとえば穏健派ルーピンとかなら(見たことないカップリングだ)、
セブルスがデスイーターにならなければ、
リリーの困った幼馴染として一緒にいられたんじゃないかな、
などと妄想が膨らみました。

味わい深いコメントありがとうございました!

お返事ありがとうございます

度々、タイミングの合わないコメントにて失礼します^^;

全人間的な~から
押し倒すくらいの強引さ…までが
いや、もうホント!まさしくそうなんですよね!
と、読んでいて激しく頷いてしまいました^^

前コメントで、せめてトンクスくらいの積極性の相手…
と書こうとしてやめたんですが^^;
ミーシャさんの素晴らしき言葉選びで
思わず、妄想テンションも高まってしまいました^^

困った幼馴染として、付き合いが続くというのも
小さな幸せですが、萌えますよね…^^

ほんと、人付き合い下手すぎるので;
ルシウス閣下に、手玉に取られてる方が
いっそ平和なカンジもしますね^^

ソマリさん

ソマリさんのコメントに触発されて、
楽しく語り、かつ妄想も広がりました。
ハリポタはほんと、妄想をかきたてる
魅力的なキャラがいっぱい^^

私も、せめてトンクスくらいの積極性がないと先生とは・・
って思いました。
先生人づきあい下手ですけど、
強引で強権な人とはそこそこうまくつきあえるんですよね、
俺様とか閣下とかダンビーとか。
閣下を除けば、つきあってもあまりいいことない人たちですが・・・

度々失礼します;

更新お疲れ様です^^
少し久しぶり的なルシセブ展開にドキワクしながら読ませて頂いてます。

が、なんとなく流れ的に…
こちらにコメントしてしまいました^^;
セブ妄想語りが楽しすぎてスミマセン;;;

強引で強権な人とのお付き合い…は
上手い通り越して、むしろ下僕属性にも見えますよね^^
そこがまた萌えてしまって困るんですが;
(強権に関しては本人気付いて無いかもですが
確実に憬れの気持ちがありそうですよね…)
俺様とダンビーは要求に限度が無いので大変です^^;
閣下は、一旦懐に入れてしまうと
愛情深そうなところが良いですよね^^
それ以外の人たちにはゲスいですけど; それもまた良かったり。

と、なんだかとめどなく語ってしまってスミマセン;

ソマリさん

たしかに先生、下僕属性ありそうですね。
強権については、自分が権力手に入れたいというよりは、
権力に認められたいとか擁護されたいとか、
そういうものを感じます。まさに下僕願望?

世界制覇(?)を視野にいれた俺様とダンビーには
個人的な愛情の付け入る余地がなさそうですが、
ぐっとスケールの小さな閣下は
そのへん人間味がかなり感じられて良いですね^^
ゲスいとこも含めて^^;

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