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セブルスとルシウスの物語(22)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

左腕の闇の印に招集がかかり、私はダークロードの元に参じた。行き先もわからずに移動するのだが、今回もどこかの森に近い荒野だった。夕暮れが迫る中、フードにすっぽりと身を覆った数十名のデスイーターが集まっていた。フードからわずかにのぞく顔を垣間見たのか、ゴイルが声をかけてきた。

ルシウス、今夜は久しぶりに襲撃かな。体がなまってたとこなんだ。腕が鳴るぜ。」

フードを着ていてもわかるほどに大柄で力自慢のゴイルは、暴れまわるのが大好きなのだ。ほどなくダークロードが一段高い岩の上に立ち、集会が始まった。

ダークロードは集まったデスイーターたちに満足げな視線を投げると、まず勢力の拡大を称えて皆を鼓舞し、それから計画の概要を話した。基本的には、魔法省を掌握して国内魔法界を支配し我らが目指す純血主義の政策を進め、さらにマグル政府をも支配下に置く方針だ。闇の勢力は、デスイーターを潜入させたり服従の術や脅迫を用いて、今や魔法省の多くの部署に影響力を持っている。しかしこちらの勢力が増すにつれて抵抗も強まってきた。抵抗勢力を叩きつぶし、その芽を摘むのが目下の重要な戦略となっている。

今夜の私たちの任務は血を裏切る魔法使い一家の襲撃だった。純血または混血の魔法使いでありながら、マグルを擁護し我らに逆らう者たちを、血祭りにあげる。それは見せしめとなって反抗勢力の意気をそぐことになるのだ。他のグループはマグル界でのマグル襲撃や町の破壊を命じられたようだ。私たちの任務は、反抗する手段も持たぬマグルの襲撃よりは危険が伴う強い魔力を要する任務であり、それだけ実力を認められていることになる。

私たちは密やかに標的の家を囲み、施してある守りを解いて侵入した。不意を襲われ逃げ惑う一家に、クルーシオや他の様々な苦痛を与える術をかけたり、身動きを封じて苦痛に身をよじる家族の姿を見せ付ける。苦悶の叫び、絶叫、許しを請う嘆願。それらを嘲り破壊を尽くす。己に流れる尊き血を貶めるような真似をするからこのような目に会うのだ。同行のデスイーターたちは残虐な光景に無邪気にはしゃいでいるが、私はそれよりも、我が杖先の動き一つで思うがままに操られる人の姿や、迷いない杖さばきに向けられる感嘆の目に興奮を覚えた。

襲撃を終えると、興奮冷めやらぬままに、仲間内のパーティとなる。今夜はレストレンジ家で夜を明かしての祝賀が催された。美酒に酔い、戯れに杖を振り、エスコートクラブから呼んだ娼婦や男娼相手に熱気を吐き出す。

途中、ダークロードが労いに姿を現すと、皆取り巻いて口々に成果を報告した。襲撃を共にする仲間であっても、仲間内ではダークロードの評価と寵愛を競いあうライバルでもある。特に名だたる純血旧家が集う今夜のメンバーの多くは、我こそは側近との意識が強い。

魔法使いばかりの中で、一人目立つ魔女のベラトリックスなどは、しなだれかからんばかりにダークロードにまとわりついていた。初めて出席したデスイーター集会で彼女の姿を見た時は、ホグワーツの学生時代にまだ慣れぬ体を思うように弄ばれた記憶が思い起こされて思わず目を逸らしたものだが、集まりになじんでみれば、彼女の餌食になった者は多かった。気の向くままに男を弄び、襲撃時には誰より残虐な術を楽しんで放つ女傑なのだ。それがダークロードの前では少女のような愛らしささえ浮かべて媚びる姿は苦笑を禁じ得ないが、可愛らしくもあった。私の苦手意識は消えないが、もともとブラック家の血を引く美女ではあるのだ。

レストレンジ家の長男のロドルファスは学生時代からベラトリックスに想いを寄せているらしい。長年彼女の激しい言動を間近に見ながら想い続けられるというのは男として立派なものだと思うが、ダークロードの寵愛を得たベラトリックスと名門同士の婚姻を結ぶことで側近の地位を固めようと狙っているなら、侮れない相手だ。しかも、レストレンジの先代はダークロードと友人だったという噂もある。

ベラトリックスやロドルファスだけではない。他にも、仲間を出し抜いてダークロードの寵愛を得ようと狙っている者はいる。すっぽりとフードに身を包んだデスイーターたちの全容はわからないが、ダークロード自身がサラザール・スリザリンの末裔を名乗り純血を掲げているのだから、スリザリン寮出身者が多いことは想像に難くない。しかしダークロードと年代の近い者から、私のように卒業して2、3年の者まで幅広く、それにダークロードが国外で得た知己や、巨人や人狼といった汚らわしき魔法生物につながる者までいるようで、それぞれのグループに我こそはと思う有力者がいるはずだった。

私はマルフォイ家の力で初めからダークロードに厚遇されているとはいえ、まだ若い新参者であるから、他を圧倒する側近となるにはそれなりの戦略が必要だと心得ている。むろんそうなる自信はあるし、その過程を楽しんでもいる。

血筋も魔力も頭脳も抜きん出ているのだから、最後の決め手となるのが人脈だ。私は父上の後押しで魔法省の有力者と親しく、表の顔で彼らとつきあうことができる。彼らから得られる情報も、彼らに及ぼす影響力も、表に出ぬダークロードに高く評価されるだろう。あとは子飼いのデスイーターを増やすことだ。ダークロードに仕えた期間の長さでは他の者たちに及ばぬが、今後のさらなる勢力拡大を見据えれば、若く力あるデスイーターを増やすことが重要なのだ。ホグワーツのスリザリン生に顔のきく私の力の見せどころでもある。

すでにデスイーターとして行動をともにしている年の近い仲間たちに加えて、在学中の6、7年生を中心に人選の目途をつけた。彼らの意思と魔力を確認し、闇の魔術の練習会で結束を深めた上で、卒業した者から入団させるつもりだ。優秀な若い仲間を率いれば、私に対するダークロードの信認は揺るぎなきものとなり、他のデスイーターたちを掌握することもできるだろう。

純血主義と私自身の野心の実現を目指し、襲撃や仲間たちとの集い、気に入った者とのアフェアなど楽しみにも事欠かぬ、充実した毎日だ。すべては順調。思い通りに事は進んでいる。


イースター休暇には目途をつけていた10名ほどのホグワーツ生を屋敷に招いた。生徒たちの多くは、私が話すまでもなく、純血主義を掲げる闇の勢力に賛同しており、デスイーターとして活動に加わることを熱望していた。卒業を間近に控えた7年生はすぐにも加わりたいと言うほどだったし、他の者たちも入団につながるこの集まりに招かれた事に興奮していた。前回呼んだ時にはまだほんの子供で縮こまっていた5年生のレギュラス・ブラックさえ、ダークロードを賛美し、クィディッチチームのシーカーとなった体力と度胸はデスイーターに値すると意気込みを見せた。

しかし私が再会を楽しみにしていたセブルスは、様子がおかしかった。見てすぐに感じたのだが、どこか影が薄く、ひんやりと沈みこんでいた。皆が口々に熱意を語る中で、一人黙って座り、時々ため息をもらす。殻をつくってこもっているようにも見えた。もともと内気で無口ではあったが、得意な闇の魔術の話ともなれば黒い瞳の奥にプライドと野心すら感じさせたものだが。

セブルス、こちらに来なさい。」

呼びかけると素直に立ち上がり、以前と同じ気後れした様子で私のもとに来た。背丈ばかりは人並みに伸びたが、痩せた体も世慣れぬ振る舞いも、相変わらず子供じみたままだ。もう何年も成長を待ちかねているのに、なぜこの子は大人びてこないのかともどかしい。

しかも間近で見ると、初めから感じていた違和感の理由が分かった。瞳に輝きがないのだ。孤独と貧しさをまといながら、それに向かい立つ芯の強さを感じさせ、私の興味を引き付けた黒い瞳が、輝きを失っていた。まるで魂が抜けたような、生気のない瞳。セブルスはたいせつな何かを失ったのだと直感した。セブルスセブルスたらしめていた自負か、心の拠り所か、何かはわからぬが。私は内心舌打ちしていた。このようなことにならぬようにと、私が目をかけ、かまってやっていたというのに。

セブルスは私が期待していた価値を失ってしまったのか?抜きん出た闇の魔術の力さえも失われたなら、残念だがもう目を掛ける価値はない。私は勝手に騒いでいた皆も集め、適当な組にして闇の魔術の掛け合いをさせた。セブルスの術の具合を見極めたかったのだ。

しかし闇の魔術の腕だけは、以前にも増して優れていた。相手の技も防衛術も難なく跳ねのけ、迷いなく正確に放つ見事な術。鋭さに一層磨きがかかったといえる。生気を失っていた瞳にも、杖をかまえた瞬間に、暗い輝きが戻る。

これでは見捨てるわけにもゆかぬ。

術の掛け合いで熱気を増した皆を料理に向かわせて、私はセブルスに近づき声をかけた。

「セブルス、久しぶりだ。元気がないように見えるが、何かあったのか?」

「いえ、別に何もありません。」

投げやりとも感じられる無愛想な返事がかえってきた。追求を拒むにしても、場をとりつくろうだけの社交術もないのかとむっとした。しかし同時に、実に危うい状態だと懸念した。魔力だけは強いまま、魂の抜け殻のようになったセブルスは、誰かに導かれればいいように操られる恐れがある。人間関係の薄いセブルスのことだ。誰かが近付き惑わせば、敵方に引き込まれないとも限らない。ホグワーツではダンブルドアが役立つ者を味方に引き入れようと狙っているはずだ。それに子供じみてはいても17歳なのだ。恋に惑う時期でもある。低学年の頃親しそうだったグリフィンドールの赤毛などに誘われでもしたら。

私は取り返しのつかぬ事態が生じぬうちに、手っ取り早い手段に出ようと決めた。心が虚ろであるならば、体を捕えてしまえばよい。子供のような相手では容易すぎて、物足りなさは否めない。快楽だけならエスコートクラブや遊び人相手で想うままに得られるのだから、それ以外を相手とするなら、体を交わした者同士に特有の慣れ合った親密さで大人の会話を楽しむような関係が私の好みだった。あるいは、しっかりとした大人の意思が快楽に屈服してゆく様を眺めるのも悪くはないが。

子供相手を楽しむ者もいるようだが、どこが面白いのかと気がしれなかった。簡単にいかせてやった挙句にまとわりつかれて面白くもない話をきかされるなど、めんどうなだけではないか。気に掛けてやったセブルスは当然いつかは抱くつもりだったが、いっこうに大人びぬままでは、熟成を楽しみにしていたワインを機が来ぬうちに試飲させられるようなものだ。だがそのままでは腐ってしまいかねないワインを放置するわけにもいかぬ。

「セブルス、夏休みに予定はあるのか?」

「いえ、別に何もありません。」

「それなら休みが始まったら屋敷に来なさい。」

「はい。」

何の予感も期待もなさそうな、つまらぬ返事だった。感情の動きが見られない気だるげな様に、うつでも患っているのかとさえ疑う。1人屋敷に招かれたのだ。喜びか、あるいは警戒か、何か反応があってもよいではないか。おまえは1人屋敷に招かれる意味もわからぬのかと罵りたい気持ちを、さんざん弄んでやるから覚悟しておけという思いで押さえ、笑顔を向けた。

「楽しみにしているぞ。」

「はい、ありがとうございます。」

邪気も精気も色気もない態度に脱力感を覚えつつ、成長を待っていた数年間を思い起こし、最後のヒントを与えることにした。私のペットと言われてきたのだ。可愛がられたペットが大人になったなら、主人が望むものもわかるだろう?

「おまえも今年は成人を迎えたのだな?」

「はい、1月の誕生日で17歳になりました。」

セブルスは答えながら、無意識に丈の足りないローブの袖を引っ張っている。隠そうとする手首に、時計がないのに気がついた。魔法界では成人の折に親から時計を贈られるのが習慣で、成人したばかりの者は誇らしげに身につけているものだ。私はヒントがまったく通じなかったことに落胆したが、誰より真面目に勉強を頑張ってきたセブルスが、成人の祝いの時計すらもらえぬことを哀れにも感じた。その隠しきれない細い手首に、ふと手が延びる。

「細い腕だ。」

手首を両手で包みながら言うと、さすがに驚いたように目を向けた。その目を捕えて覗き込むと、瞳の中にわずかな揺らぎが見えて、私はようやく少しばかりの満足を得た。

「セブルス、おまえは誰より優れた闇の魔法使いになれる。今までも頑張ってきたのだ。くじけてはならぬぞ。」

冷え切っていた手首に温もりが戻り、かすかに恥ずかしげな笑みを浮かべて、セブルスはうなづいた。


休暇明けに、私は細い手首にあう時計をあつらえて、セブルスに贈ってやった。袖の丈も足りぬみすぼらしいローブに、つりあわぬ品の良い時計をはめるセブルスを思い描くと噴き出してしまうが。夏休みには時計にあう新しいローブとシャツを仕立ててやろう。そしてキッチリととめられたシャツのボタンを、私の手ではずしてやる。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス ダークロード

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