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セブルスとルシウスの物語(25)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ふと目が覚めると辺りはまだ暗く、見上げると仄暗いランプの光にぼんやりと広い天井が見えた。そして肌に伝わる温もりと寝息に気づき、一瞬動転した後、昨夜のことが急速に頭に蘇る。僕はあのまま、先輩に抱きついて眠ってしまったんだ・・・

先輩の部屋の鏡の前で、先輩が僕の肩を抱いてゆっくりと顔を近付けて来た時、これから何が起こるのか予感した。それは思いがけないことのようでもあり、当然のことのようにも思え、とにかく何の抵抗も感じずに、すべてを任せるつもりになった。僕は一人で思い詰めることに疲れ果てていたし、恥ずかしさと恐れとで少し緊張したけれど、もとから憧れていた先輩が受け止めてくれるなら何の文句もない。

それなのに、なぜ突然に父さんのことなど思い出してしまったんだろう。壁に殴り飛ばされて、さらに近付いてくる父さんの影に怯えた子供の頃の古い記憶が現れて、それからはもう訳がわからなくなってしまった。苦い思いで何度も思い出したことはあるのに、あんなふうに、まるであの時に戻ったように錯乱したのは初めてだった。

理由を考えてみれば、体に触れられて緊張したうえに、たぶん、リリーが去って、慰めも支えもなかった幼い頃の心境に戻ってしまっていたからだと思う。だけど、よりによってあのタイミングで、先輩の前で、あんな醜態をさらすなんて。

僕の魔力を認めてくれた先輩に、貧しさも混血も隠しようはなかったけれど、親に虐待され見捨てられた惨めな姿は知られたくないと思っていた。知られれば軽蔑されると思っていたから。

でも実際は、、、。ずっと僕の手を握り締めていてくれた手の感触が戻る。先輩が手を握り、話しかけていてくれなかったら、僕は幼い頃に戻って父さんの影におびえ続けたままだったと思う。そしてその後抱き寄せてくれた大きな胸の温かさ、、、それはそのままここにある。

確かめるように先輩の胸にそっと身を寄せて、だけどその温もりは僕を不安にさせた。僕はこんな温かさに慣れていない。肌の温もりも、それが伝える心を溶かすような安らぎも、リリーの手のひら以外感じたことがないのだから。

この優しい温もりに身も心も委ねてしまったのだと思うと、僕はひどく無防備で頼りない気持ちになった。身を覆う服もなく、頑なに隠し続けた心の秘密も曝し、優しく抱かれて、僕はどうしてよいのかわからない。それに、先輩には憧れていたけれど、僕の知っている先輩は、温もりで人を包み込むような優しさのある人ではなかった。むしろ僕にもわかりやすい、先輩の冷やかとも言える功利主義を信頼していたのだ。先輩は、僕の魔力を評価して目をかけてくれた。それは僕の魔力が役に立つからだ。だから僕は魔力を磨けばよい。他人からペットやおもちゃと嘲られようが、先輩の態度に面白がってからかうふうが見られようが、魔力を認めてくれる先輩の功利主義に安心していられたのだ。

反して、優しさや温もりなどというものは、漠然としてわかりにくい。慣れていないせいかその本質がわからないし、なぜ与えられるのか、いつ何がきっかけて消えたり敵意にかわるのかもわからない、掴みどころのないものだ。ただ一つ信じ、心の拠り所としていたリリーの温もりさえも、僕を置き去りにした。その後の、底の見えぬ闇に飲み込まれたような虚無と孤独。

それなのに今、思いがけず手にした温もりは手放し難かった。こんな定かでないものに心を許してしまったら、僕はどうなるんだろう?僕は僕でいられるのか?失ってしまったら、どうなってしまうのか?僕はひどく混乱した。優しい温もりに包まれて、僕は幸せなのか、それとも地の底に続く縁に立っているんだろうか?

リリー

自分があまりに頼りなく感じられて、心の中のリリーに、思わず呼びかけていた。もう心の中でさえ、リリーは僕に背を向けるだけとあきらめて数カ月が過ぎたのに。

だけど思いがけず、リリーの顔が現れた。もちろん、僕の問いかけに答えてはくれない。それでも、リリーが僕を見ていてくれる。僕は瞬時に悟った。リリーは僕の魂の一部なのだと。幼い頃の孤独や怯えの中で、まともに育てなかったのか、あるいは傷ついて欠けてしまった僕の魂を、リリーが補い形づけてくれていたのだった。心にリリーが戻ってくれたのだから、大丈夫なのだ。完全な魂があれば、委ねた身と心が溶けてしまおうとも、あるいは打ち捨てられて壊れようとも、僕は僕でいられる。寄って立つ魂があれば、温もりを信じる勇気が出る。

リリー、僕は幸せなのかな?

心の中のリリーに尋ねると、緑の瞳が僕を見返す。そうだ。それは僕が決めることなんだ。

リリー、僕は今、幸せだよ。

リリーに言うと、なんだか安心した。安心して先輩の胸に顔を埋めると、心臓の音が聞こえた。温もりを生みだす規則正しい心臓の拍動。惨めな思いを無様に曝した僕のことを受け止めて、僕の魂にリリーを蘇らせてくれた温もりの源。

僕には見えていなかったけれど、先輩の中には、確かに温かい優しさがあったのだと思える。その温もりを信じる勇気を持てたことが嬉しかった。心地よい拍動に身を任せて、僕はまた眠ってしまったらしい。


次に目が覚めると、広い窓のレースのカーテン越しに、やわらかい木漏れ日が差しこんでいた。静かに体を動かして、まだ眠っている先輩の顔を眺める。木漏れ日のせいか、いつもよりわずかに和らいだ寝顔が輝いて見えて、僕はこの冷たくて温かい、美しい人が好きなんだと思う。心を奪われるということは、心もとないけど、なんて幸せなことだろう。この美しい唇が、昨日僕の唇に触れた・・・。その艶めかしい感触をたどった瞬間、体の芯が固さを増した。

うわっ、まずい!羞恥に顔が熱くなる。恥ずかしいし、それに、昨夜の錯乱ぶりを思えば気まずすぎる体の反応だ。僕は先輩が目覚めぬよう願いながらじりじりと体を離し、頭の中で必死に魔法薬の作り方を考えた。と、

「セヴィ、何をしている?」

こんなささやかな願いさえも叶わないと運命を呪う暇もなく、離れかけた体を抱き寄せられた。へだてる布切れ一枚もない。

「昨夜はずいぶん心配させられたのだが、今朝はなんと元気なことだ。」

面白がっているのがわかる声だった。いつもの、僕が知ってる先輩だ。そのまま先輩の体の上に抱きあげられた。密着が増して、さらにまずいことになった上に、たぶん赤くなっている熱い顔も先輩のすぐ目の前にある。恥ずかしくて居たたまれない。いっそこのまま奪ってほしい・・・

「すみません、、先輩、、」

「困っているようだな。そういう時はな、セヴィ、魔法薬の作り方でも考えて気をそらすのだ。」

「・・・さっきからそうしてるんですが。」

「ほお。それでも私への欲情を抑えられぬというのか?」

頭の中で、さっきから作っていた魔法薬が爆発した。焦る僕の顔を先輩は楽しそうにのぞきこんでいる。

「抱いてほしいか?」

そんな直截的な聞き方はやめてください先輩と思いながら、観念してうなづくと。

「ふん。抱いてなどやらぬ。おまえは昨日、私がどれだけ心を尽くして準備をしていたか、わかっているのか?」

はい、わかっています、たぶん。ごめんなさい。

「それをおまえは、朝起きて私の寝顔を見たら勃起したから抱けという。」

そ、そんなこと、言ってません。

「これは私たちの初夜なのだ、セヴィ。おまえにとっては初めてのことだろう?そのように安易に済ますわけにはゆかぬ。」

いじめられているのか、だいじにされているのか、まったくわからない。困っていると先輩が笑い出して、いじめられていたのだとわかった。

「そこの浴室で水シャワーでも浴びてきなさい。それが済んだら朝食だ。」

ようやく解放されて、裸のまま逃げるように部屋の奥に続く浴室に走ると、先輩の声が追いかけてきた。

「私の寝顔で欲情したのだから私がもらう。自慰はならぬぞ。」

上品な先輩の口から発せられるそういった言葉が、ほんとにその意味を持つその言葉なのかと一瞬考えてしまう。浴室に駆け込んで、言われた通り水シャワーを浴び、ようやく体が鎮まってホッとした。先輩、人が悪いよと独り言で文句を言ったけれど、いつものように僕をからかいながらも、僕が再び怯えることがないように、覆いかぶさることは避けて体の上に抱きあげたのだと思い至り、その労わりに心が和んだ。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス リリー

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