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セブルスとルシウスの物語(27)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


7月も半ばにさしかかる頃、ルシウスが明日は出かけて留守にすると言い出した。この夏にホグワーツを卒業した人たちがデスイーターに加わる儀式があって、ルシウスもそれに同席するらしい。夜には彼らと、この前来た在校生たちも招いて屋敷で祝賀会を催すから、僕も一緒に参加するように言われた。

考えてみればもう半月も、何をするのも2人で一緒という生活をしていたことになる。僕にとっては大きな出来事があって、思考停止に陥っていたとはいえ、いつまでも屋敷に世話になっているのも図々しすぎる気がした。ルシウスと離れるのは寂しいけど、そろそろ屋敷を辞するべきかもしれない。

「じゃあ、僕も明日家に帰ります。夜にはまた祝賀会で。」

そう言うと、いきなりルシウスに肩を掴まれて驚いた。

「父親のいる家に戻るというのか?」

ルシウスは明らかに怒っていた。たしかに父さんのいるあの家に帰るのは気が進まないけど、ルシウスが先にこんなふうに怒ってくれると、かえって何でもないことのように思えてくる。

「夏休みの初めから、もう何日も泊めてもらってるから、そろそろ帰らないと。」

「家に帰ることなどない。夏休みはここにいて、ホグワーツに戻ればよいのだ。ついてきなさい。」

あとを着いていくと、廊下の奥のゲストルームに招き入れられた。ルシウスの寝室よりははるかに小さいけれど、ベッドとソファセットと机が置かれ、バスルームもついたきれいな部屋だ。

「私の部屋で落ち着かぬなら、この部屋を使えばよい。足りない物があるなら買いそろえよう。」

ありがたいけど、そこまで甘えていいんだろうか?身に不相応な気がして躊躇っていると。

「必要な物があるなら明日家に行って持って来なさい。とにかく、殴るような父親のいる家にいることは許さぬ。」

ルシウスの剣幕に押されて、そういうことになった。

翌日、出かけるルシウスと一緒に屋敷を出て、スピナーズエンドにアパレートした。休みの度に、帰宅が憂鬱だった荒れ果てた家。辛いことばかりが思い出される。

家に入ると、父さんと母さんが食事の後の残るテーブルに、できるだけ離れて互いにそっぽを向いて座っていた。どんよりとした雰囲気の中で、それでも母さんが僕に気づいて立ち上がった。

セブルス、帰ってきたのか?」

母さんはこんなに小さかったのだろうか?肩ぐらいの高さから、僕を見上げて尋ねてきた。

「ああ。夏休みは友達の家に泊まる。荷物をとって、すぐ行くよ。」

「友達って、あの女の子かい?」

リリーのことだ。突然胸に痛みが走り、急いで首を横に振った。

「マルフォイ先輩の家。」

「マルフォイって、あのマルフォイ家か?おまえはマルフォイの坊ちゃんに気に入られたのか?それはよかった。たいしたものだ、セブルス。」

母さんは笑って、何度もうなづきながら言った。母さんの笑顔なんて、前に見たのはいつだったろう?いつの間に、こんなにしわだらけになったんだと思う。それに、曲がりなりにも笑顔になれるということは、やっぱり僕がいないほうが2人の争いも少ないのかもしれない。

ちらりと父さんに目をやると、苦々しそうに目をそらして横を向いた。父さんを見ると、いつも怯えと怒りが湧いたものだけど、今日は怒りも怯えもしなかった。昨日ルシウスが先に憤ってくれたからだ。それに、大人になった僕はもう父さんなんか怖くない。父さんはただの、薄汚れたマグルの中年男だ。

僕は地下室の自分の部屋に行き、本と少しばかりの荷物をまとめた。ルシウスの部屋のベッドほどのサイズしかない、小さな部屋。孤独と怯えが詰まった、今までの僕のような暗い部屋。幼い頃の自分への感傷を捨てて、僕はこの部屋を出る。もう二度と戻らない。僕はこれからルシウスのもとで、未来に向かって歩いていく。

ぼんやりと見送る母さんに、少しだけ笑って見せて、僕はその家を去った。


夜になると、マルフォイ邸には、新しくデスイーターになった卒業生たちやホグワーツの生徒たちが集まった。ルシウスと同年代の先輩たちも何人か来て、活気に溢れている。シャンパンが配られて、ルシウスが乾杯の音頭をとった。

「新しきデスイーターとダークロードに。」

皆復唱しながらグラスを掲げる。誰かが続けて叫んだ。

「ルシウスに。」

皆も続いて言うと、ルシウスは再びグラスを掲げ、笑ってそれに応えていた。血筋も外貌も魔力も、それに加えてリーダーシップも、ルシウスはほんとに完璧だと誇らしい気持ちになる。あの素晴らしい人が僕に、、、などと考えに耽ると仲間たちの前で頬が緩みそうになるので、頬と気を引き締めた。今日は新しくデスイーターになった先輩たちの祝賀会なんだ。

乾杯が終わると、あとは適当に飲み食いしながらの談笑になった。スリザリン寮の親しい者ばかりの集まりだから、堅苦しいことはない。僕もマルシベールやエイブリ―たちと一緒に、1年上の先輩たちの話に加わった。デスイーターになったばかりの先輩たちは、興奮気味にダークロードを称え、ダークロードが進める純血支配の世に貢献するのだと熱く語っていた。自信と夢に溢れた姿は、夏休み前までの生徒然とした雰囲気とは違う、力強さに満ちていた。

ダークロードは闇の魔術に優れた素晴らしい魔法使いらしい。儀式では、捕えてあったマグルを相手に、目にもとまらぬほどの素早い正確な磔の術を見せてくれたそうだ。知られていない闇の魔術をたくさん知っていて、自分で創作した術もあるという。デスイーターとして手柄を立てれば、それらを伝授してくれることもあるそうで、僕は羨ましく聞いていた。学校では闇の魔術をそう深く教えてくれるわけではないし、本を読んでの独学では限りがある。マルフォイの屋敷でも闇の品を見せてもらったけれど、底知れぬ闇の魔術について僕の知らないことはまだたくさんあり、誰より優れた闇の魔法使いに直接学べるのなら、すごいことだと思う。

先輩たちは、闇の勢力が目指す世についても話していた。それは、純血主義を進めてマグルを排除し、魔法界の秩序を回復する。さらに、マグル界から魔法使いが隠れて住む現状を改め、優れた魔法族がマグル界を支配する世に正す。そのために必要なことを、デスイーターが中心になってやっていくのだそうだ。魔法界内部ではすでに闇の勢力が優勢を得ていて、あと少しで制覇するところまできているらしい。

話に時々混じる『穢れた血』という言葉には、リリーとの決別を思い出して胸が痛んだけれど、それを除けば、すべて素晴らしいことに思えた。最高の闇の魔術を学べることも、優れた魔法族が支配して秩序だった世を造ることも。さらに、ダークロードは能力や闇の魔術の実力を公正に評価してくれる人らしい。

僕もデスイーターになって、優れた闇の魔法使いになりたいと思った。そうすればルシウスの身近にいて助けることもできるし、強くなった僕をリリーが見直して、また友達に戻れるかもしれない。それに僕が理不尽に虐げられてきた世を変えることにもなる。

周りの同級生たちも先輩の話に感銘を受けたようで、皆口々に自分もデスイーターになりたいと言っていた。先輩たちが、頑張れよ、一緒にやろうぜとか言って盛り上がっていると、あちこちを回っていたらしいルシウスがやって来て話に加わった。

「どうだ?みな、楽しんでいるか?」

「はい、先輩。俺たちもデスイーターになりたいです。ダークロードに推薦してください。」

マルシベールが答えると、他の同級生たちも、自分もお願いしますと頭を下げた。

「もちろんだ。今日は私がこれはと思う者に集まってもらっている。だが気を抜かずに努力するのだぞ。」

皆がやったぜと喜びあう中、ルシウスが僕の肩に手を回してきた。

セブルス、おまえもなりたいか?」

顔を覗きこむように聞かれて、みんなの前でとちょっと恥ずかしく思いながら、大きくうなづいた。

「はい、僕もなりたいです。」

みんな興奮しているし、ルシウスがペットを可愛がるこんな光景も見慣れたものなのか、僕が気にするほどにはほとんどの仲間たちは気にも留めてなさそうだったけど。だけどマルシベールはウィンクしてきたし、ルシウスと同年代の上級生は思わせぶりな視線を送ってきた。何かあったと、わかる人にはわかるんだろう。気恥ずかしいけど、嬉しい気もする。

「おまえは特別だ、セヴィ。皆より先にダークロードに話しておくからな。」

ルシウスは僕の耳元で囁くように言うと、愉しそうに笑いながら次のグループへと移っていった。

夜も更けて会がお開きとなり、帰る皆を見送ると、ルシウスに着いてゲストルームに行った。

「今夜はおまえの部屋に泊まる。」

僕の部屋と言っても、ルシウスの家の客間だけど。部屋に入ると、机の脇に、昨日はなかった長テーブルがあり、煮焚きができるようになっていた。壁にはガラス棚が設えてある。

「おまえのことだから魔法薬を作ったりもしたいだろう?明日は鍋や薬材を買いに行こう。おまえの部屋だから好きなように変えてよいのだぞ。」

「ありがとうございます。でもそんなにしていただいて、、」

言い終わらないうちに抱きしめられていた。スピナーズエンドや仲間たちといる時は、前よりずっと大人になった気分でいたけれど、ルシウスと2人になると甘ったれた子供のような気持ちになってしまう。狭いベッドだと言いながら寝息を立て始めたルシウスの腕の中で、僕は心の中のリリーに話しかけた。

リリー、僕は変わった。子供の頃の惨めだった家を出て、新しい部屋ができた。立派なデスイーターになるという目標も見つけたよ。優れた強い魔法使いになったら、君も戻って来てくれるだろう?話したいことがたくさんあるんだ。

気恥ずかしいけど、ルシウスとのことだって話したい。誰だって、恋人ができたら、親友に話したいに決まっている。僕は自分のことを、リリーに知っていてもらいたい。見ていてもらいたい。子供の頃からずっとそうしていたように。そうすることで安心できるし、自信もつく。

話したいことがありすぎて、ぼんやりと現れたリリーの表情を見る間もなく、眠りに落ちてしまった。

それからは、ルシウスと買い物に行ったり、どちらかの部屋で一緒にくつろいだり、マルフォイ家所蔵の魔法の品々や貴重な本を見せてもらったりして過ごした。ルシウスもデスイーターとしての活動や他の用事で出かけることが多くなって、ルシウスがいない時は、ゲストルームの『僕の部屋』で、宿題や魔法薬の実験や魔術の研究をしたり、本を読んだりしていた。2週間に1度くらいずつ仲間が集まって、闇の魔術の練習会もあった。

こうして、去年までとはまるで違う、充実した夏休みが過ぎていった。


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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス

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