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セブルスとルシウスの物語(28)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


新学期が始まっても、ルシウスとの絆を感じて幸せな高揚感が続いていた。ルシウスと一緒にいられないのは寂しかったけど、何もかもうまくゆくと思えた。仲間たちとのくだらない話も楽しかったし、いちゃついてバカみたいだと目を背けていたカップルたちを見ても、微笑ましいと思えるほどだった。

ただ一つ気がかりだったリリーのことも、もう一度謝って、僕が変わったこと、父さんからの虐待も乗り越えて、これからは強い大人になる自信が持てたと伝えれば、きっとまた親友に戻れると楽観的に考えていた。

だけど実際にリリーと話そうとすると、なかなかうまくいかない。リリーはいつもグリフィンドールの友達と一緒にいたし、僕はマルフォイ邸に集まるスリザリンの仲間たちに囲まれていることが多くなった。そして2つの寮の仲は、ますます険悪になっていて、近付くこともままならない。こうなる前でさえ、リリーとは森に続く林でこっそりと会うしかなかったのだ。リリーが僕を見てもくれないとなると、話すきっかけを作れなかった。もしリリーが同じ寮だったら、せめて敵対するグリフィンドールでなければと、何度思ったかしれない。

10月に入る頃には、リリーの姿を追い求めては、振り向いてくれない背中を見てため息をつくようになっていた。

リリーの背中には、幼い頃の孤独や寄る辺なさを受けとめてくれた灯火が見える。その灯りに映されて、初めて僕は自分がそこにいることを感じられ、生きる意味を見出すことができたのだ。そのようにして何年もの時が過ぎ、その灯火はすでに僕の魂の一部になっている。それは僕に喜びや希望を与え、恐怖や悲しみに耐えて向かい立つ、勇気の源泉だった。

ルシウスとの絆を得た今、僕はもうリリーを失って世界から見捨てられたような孤独と絶望に苛まれることはない。世界の中心にいるルシウスの隣に立つ輝かしい気分で満たされているから。だけどやっぱり僕を忘れてしまったようなリリーを見ると、自分の中で何かが欠落しているような、漠然とした不安を感じる。リリーを傷つけるような言葉を口走った僕が悪いのだけど、リリーに許され、また僕を見て微笑んでほしい。今までの感謝を伝え、これからは僕がリリーを守りたいと思わずにいられなかった。

リリーを目で追ってはそんなことを思い、それでも打ちのめされるほどのこともなくルシウスを想って浮かれたり、ホグワーツ最後の年を充実したものにしたいといっそう魔術の鍛錬や読書に打ち込むうちに、秋は深まっていった。

それは突然冬が始まったような寒い日だった。ルシウスから手袋とマフラーが送られてきて、送り主の肌を思わせる滑らかな温もりに身を包み、放課後のひと時、日の落ちる前の校庭を歩いていた。こんな日でもけっこう外に出る物好きもいるのだとなかば呆れながら周りを見渡したとき。

思いがけない光景を目が捉えた。暮れかけた日差しのあたる校庭を、リリーがポッターと話しながら歩いていたのだ。かなり遠くだったけれど、たしかにリリーは微笑んでいた。久しぶりに見た、懐かしいリリーの笑顔。それがポッターに向けられたものだなんて。

僕は見たものが信じられなかった。信じられぬままに、浮かれていた気分が急速にしぼみ、OWL試験の後の最悪の記憶が蘇る。

ポッターたちに与えられた屈辱、僕の言葉に驚いて目を瞬かせたリリーの顔。僕を嘲りながらリリーを誘う憎らしいポッターの軽薄な声。冷やかに僕を拒むリリーの言葉も。走馬灯のように浮かぶ辛い記憶に打ちのめされて、動くことも目をそらすこともできず立ち尽くした。

どれだけ時間が過ぎたのか、我にかえると2人の姿は消えていた。そんなはずはない、リリーはずっと、ポッターは横柄で嫌なヤツだと言っていた。英雄ぶった外面の裏で、ポッターがどんなに陰険で卑怯なことをしてきたか、リリーは知っていたじゃないか・・・。暗くなった校庭を歩きながら、僕の目にはいつまでもポッターに笑いかけるリリーの横顔が映っていた。

それから時々、2人が話す姿を見かけるようになった。ブラックたちも加わった4人組とリリーが一緒にいることもある。合同授業の合間に、放課後に、大ホールの食事時に、いつかの間にか当たり前のようにポッターとリリーが話していた。
 
僕はできるだけ顔をそむけようとしたけれど、視界の隅にその姿が映ると、見ないではいられなかった。あいかわらずリリーが僕のほうを見ることはなかったけれど、ポッターはリリーが気づかぬように得意げな視線を僕に向け、その勝ち誇った顔は、怒りと憎しみを掻き立てた。

リリーは騙されている。ポッターはリリーを僕から引き離し、まんまと丸め込んだ。ポッターがリリーに近づくその先に、何を狙っているのか想像せずにはいられない。母さんに襲いかかる醜い父さんの姿が浮かぶのを必死で払いのける。ポッターはいつかリリーを汚し、傷つけるに違いない。ポッターに与えられた苦痛と恥辱の数々が思い起こされた。あんな汚らわしいヤツがリリーを辱める・・・。その忌まわしい想像は、掃っても掃っても拭い去ることができないシミのように僕の心を蝕んだ。

このままポッターの好き勝手にさせはしない。リリーがいない所でポッターの姿を見つけると、僕は迷わず杖を向けた。ポッターも僕を見つければ杖を構えた。顔が合えば、どちらも言葉を発することもなく、瞬時に術を投げる。ポッターが醜い本性を曝してリリーを傷つけないうちに、リリーを救い出さなければ。


ポッターとの争いはたいてい一騎打ちになった。ルーピンやぺティグリューが加わることはもうなくて、ルーピンはむしろ何か言いたげな視線を向けてくる。ブラックはたまに加勢することがあった。2人が相手でも恐れることなどないけれど、やはり分が悪い。

クリスマスが近づいたある日、人気のない廊下を歩いているとポッターに不意打ちを掛けられた。昔からそうだけど、ポッターは突然現れるのが得意だ。だけど僕だってそれを見越して用心しているから、簡単にやられたりしない。とっさに術をかわし、切り裂くばかりに呪文を叫んだ。倒れたポッターからわずかにも狙いをはずさぬように杖を向けて近づいた時、後ろからブラックの呪文に吹き飛ばされてしまった。

「スニベルス、泣きべそかいてももうエバンスは助けてくれないぞ。」

立ち上がって僕を嘲るポッター。そんなポッターにウィンクしながら、ブラックが言った。

「ジェームス、最近こいつはマルフォイに可愛がられてるらしいぜ。」

どちらかに術を掛ける瞬間にもう1人が攻撃してくるとわかっている。僕を狙う2本の杖のどちらをもかわせるように杖を構え、睨みつけているしかない。ブラックは僕に視線を移し、馬鹿にしたように言葉を続けた。

「スニベリー、マルフォイの膝の上は居心地がいいか?」

我慢がならずブラックに杖を向けようとした時。

「卑怯なことするな!」

突然の叫びに驚いたのは僕だけじゃなくて、ポッターもブラックも固まった。杖の構えはそのままに、張り詰めた緊張感は闖入者への興味に変わった。

「おまえ、、、」

「後ろから攻撃するなんて臆病者のすることだって、兄さん、言ってたじゃないか。さっきから見てたんだぞ。」

どこから現れたのか、レギュラス・ブラックが目を吊り上げて立っていた。

「おまえには関係ないことだ。引っ込んでろ、レギュラス。」

ブラックは喚いたけど、あきらかにたじろいでいた。思いがけない成り行きにポッターが杖を下ろし、、僕も下ろした。同じ巻き毛の黒髪で、顔立ちも似ているのに、与える印象が全く違う2人が睨み合っている。大柄で野蛮な兄と、小柄で大人しげな弟。ブラックへの怒りが収まるはずもないけれど、一瞬、ここにも寮の違いに分かたれた2人がいるなどと思ってしまい、そんなことを思った自分にいら立った。

「兄弟げんかなら家でやれ。」

言い捨てて歩き出すと、レギュラス・ブラックが追ってきた。

「スネイプ先輩、先輩と話したくて後を追ってきたらあんなことになって。」

「僕に話?なんだ?」

1学年下のレギュラスと2人で話すのは、初めてマルフォイ邸の集会に招かれて、一緒に馬車で行った時以来だ。その後寮内や集会で顔を合わすことはあっても、特に親しくした覚えもないけれど、レギュラスのほうでは上級生に囲まれて年の近い僕に親近感を持っていたのかもしれない。ブラックの弟とあえて親しくなる気もなかったのだが、今日は形勢不利な所を助けてもらったとは思う。並んで歩きながら問い返してやると、レギュラスは嬉しそうに話し出した。

「僕、早くデスイーターになりたいんです。先輩はマルフォイ先輩と仲がいいから、、、頼んでもらいたくて。」

レギュラスはもともとダークロードに憧れていたのだが、グリフィンドールの兄が母親とケンカして家を出てしまい、自分にブラック家の跡取りとしての期待が掛けられるようになった。純血名家の跡継ぎになった自分は、純血主義を目指すダークロードの活動に一刻も早く参加し、血を裏切る兄がつけた家門への傷を拭うべきだと思う、ということだった。だからルシウスに頼んで早くデスイーターになりたいのだと。

純血の名門にもそれなりの事情があるのだなと驚き、血を貶めるあんな馬鹿な兄を持っては苦労するだろうと同情しながらきいてやると、レギュラスは夢中になって話し続けた。幼い頃は兄弟仲が良かったこと、兄がグリフィンドールに入ってからは母親と兄との諍いが激しく家の雰囲気が悪くなったこと、年の離れた従姉のベラトリックスがレギュラスを可愛がり、ダークロードのことをいろいろと話してくれたこと。

レギュラスは、ダークロードや純血家系をとりまく魔法界の情勢について、驚くほど詳しかった。マグル界に育ち、最近になってルシウスを通して漠然と関わるようになった僕は、社会のことになんとも疎かったのだと改めて思わずにはいられなかった。リリーとルシウスとホグワーツが僕の全世界で、他のことなどどうでもいいと関心もなかったのだけれど。でも、そんな純血名門で事情通のレギュラスに頼られるのもルシウスと僕の絆ゆえと思うと、晴れがましい気もした。

「従姉のベラ姉様に頼もうかとも思ったんだけど、最近はデスイーターの活動で忙しそうな上に、結婚してレストレンジ家に行っちゃって話せないんだ。夏休みに行われたベラ姉様の結婚式には兄さんも来ないかと母様が呼んで、顔を合わせたらまた大げんかになった。それで怒り狂った母様が兄さんをブラック家の家系図から消して僕が跡継ぎってことになって期待をかけられてる。もう卒業なんて待っていられない。マルフォイ先輩の力で、早くデスイーターにしてもらいたいんです。」

ようやく言葉を切ったレギュラスに、うなづきながら答えてやった。

「わかった。ルシウスに頼んでみるよ。」

お礼を言って嬉しそうに立ち去るレギュラスを見ながら、僕も早くデスイーターにしてもらえるように頼もうと心に決めていた。レギュラスの長い話をきいているうちに、ダークロードが目指す純血支配の世になれば、ポッターたちがのさばることもなくなり、僕は力を得てリリーを取り戻せる、そのためにレギュラス同様少しでも早くデスイーターになり、僕も力を尽くすべきだと思いついたのだった。

デスイーターになって、ルシウスのそばで共に力を振う自分の姿を思い描くと、なんともいえぬ高揚感が湧きあがる。そもそも、名門中の名門、ブラック家のレギュラスが純血でさえない僕に頼みごとをしてきたのも、ルシウスが僕を誰より信頼してくれているからだ。僕にはルシウスがいる。そう思うと喜びが漲って、他のすべでは頭の片隅に追いやられていくようだった。ポッターへの憎しみも、たいせつなリリーへの思慕さえも。


リリー、おやすみ。

夜ベッドに入ると、いつも通り心の中のリリーに声をかけたけど、想いはすぐにルシウスに戻った。クリスマス休暇にはルシウスに会える。会ったらすぐに、僕とレギュラスをデスイーターにしてもらえるように頼もうと考えるとわくわくした。きっとルシウスも僕の決意を喜んで、広い胸に抱き締めてくれると思うと、押さえていた欲望までが湧きあがってきた。

夏休みが終わってから、もう何か月もルシウスに抱かれてない。浮かれた恋心に、体に刻まれた喜びの記憶まで高まっては、憎しみや悲しみの感情を持続させることなど無理だ。自分への言い訳のようにちらりとリリーの顔が浮かんだけれど、僕はそのままルシウスと抱きあう幸せな気分に身を任せた。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス ダークロード

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