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セブルスとルシウスの物語(32)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

僕はホグワーツを卒業してマルフォイ邸に住むようになった。キングスクロス駅でホグワーツ特急を降りて、ほんの少し、ほんとにこのままルシウスの家に行ってそのまま住んでいいのかと迷ったけれど、ホグワーツという家を出てしまったのだから、他に行く所も行きたい場所もない。などと考えたのは言い訳のようなもので、ルシウスに会いたい一心で飛ぶようにウィルトシャーにアパレートした。

ルシウスは温かく迎えてくれて、去年の夏与えられた『僕の部屋』もそのままだった。去年は夏休みの間の客人のようなつもりで滞在させてもらったけど、これからはもうホグワーツに帰る予定もなく、僕はどんな立場でここにいてよいかわからないと言うと、ルシウスは少し考えて、家族のようなものだと思っていればよいと言う。

家族と言われて最初に頭に浮かんだのはスピナーズエンドの両親だったけれど、それがルシウスの言う『家族のようなもの』とは思えないし、ルシウスもそんなつもりで言ったのではないと思う。かといって、ルシウスの家族も見たことがなかった。屋敷の奥のかなり広い一角にお父さんの居住スペースがあるとは聞いたけど。ルシウスには大きな屋敷も立派な家門もあるけれど、マルシベールやレギュラスが話したような、血縁者が親密に寄り添ったり争ったりする人間関係としての家族を感じたことはない。お母さんは早くに亡くなったと言っていたし。

だから結局、ルシウスの言った『家族のようなもの』というのは、ものすごく豪華で住んでいるのが2人だけのホグワーツみたいなものだと想像するしかなかった。そして姿を見せないお父さんを除けば、この広い屋敷に2人だけの家族なのだと思うと、何があってもこの絆を守りたいと願った。


ルシウスからデスイーターとしての初めての任務の話をされたのは、それから数日後のことだった。マルフォイ邸にレギュラスがやって来て、2人でルシウスから説明を受けた。ダークロードに抵抗する魔法使いたちが数人集まるという情報があり、その集会への襲撃に僕たちも加わるとのことだ。襲撃にはダークロードも来て、新人2人の実力を見るとともに、僕たちに自身の術を見せてくれるということらしい。

すでにダークロードの陣営が既存の勢力を圧倒しているのだけれど、それに密かに抵抗する動きも増えている。純血主義の世の実現を妨げる者たちを結集させないように、その芽を摘み取り、見せしめにするための襲撃だ。通常新しいデスイーターはしばらく訓練を受けてから参加するらしい。早くに熱意を示し卒業を待たずに儀式を受けた僕たちは、特別なはからいで先に襲撃に加われることになった。ダークロードや先輩たちの闘いを見るのも勉強になるし、その後で卒業後に訓練を受ける者たちと一緒に練習すればよいと言われた。

「襲撃では私がおまえたちと一緒に先陣を切る。初めての実戦に不安もあるだろうが、ダークロードも先輩たちもいるから心配はない。実力を示せばダークロードにも認められるぞ。いよいよ共に闘うのだ。」

ルシウスは僕たちの肩に手を置いてそう締めくくり、僕はうなづいたけれど、隣でレギュラスは心細げな顔をしていた。少し手慣らししておこうということになって、マルフォイ邸の広大な敷地の一角で3人で術の練習をした。蜘蛛や小動物を相手に、禁じられた呪文もかけてみた。闇陣営の圧倒的な強さを示すために、襲撃では禁じられた呪文を使ってもよいのだそうだ。

3人並んで、息を合わせて術を放つこともやってみた。ホグワーツではあまりよい顔をされなかった闇の魔術を、これからは存分に使えて、それが陣営のためになるのだと思うとわくわくする。レギュラスの術は心もとなかったけれど、ルシウスがまだ新人なのだし、2人がカバーするから気にするなと鷹揚に言って、レギュラスもほっとした顔を見せた。

襲撃は数日中に行われる予定で、情報の漏えいを防ぐために、直前に集合が掛けられるらしい。いつでも行けるように心の準備をしておけと言われた。


2日後の夕刻、集合の指示を受け、結局マルフォイ邸に泊まり込んで術の練習をしていたレギュラスも一緒に、3人でデスイーターのフードをかぶって集合場所に駆け付けた。フードを纏っているから誰だかわからないけれど、他にも数名が集まって、ダークロードを囲んだ。ダークロードは襲撃先の状況やそれぞれの役割を指示し、僕たち3人に先行するよう命じ、他のデスイーターたちには新人をカバーするよう付け加えた。

いよいよ初めての襲撃だ。緊張と興奮で気が逸る。

標的の家に速やかにアパレートし、中の様子を探ると、家の防衛を破って一気に攻め込んだ。薄暗い部屋の中には7、8名の魔法使いがテーブルを囲んで話していたが、急な襲撃に驚きながらも、皆立ち上がり杖を上げる。その杖の狙いが定まらぬうちに、ルシウスを先頭に3人素早く一歩前に出た。打ち合わせ通り、磔の呪文を叫ぶ。

「クルーシオ!」

閃光と共に2人の敵が同時に崩折れ、苦痛の叫びをあげた。僕はこの術を人に向けたのは初めてだったけど、迷わず放った術に狂いはない。レギュラスの狙いはわずかに外れたのか、敵はよろめきながらも武器解除呪文を叫んでいた。レギュラスに向けられたその術を防衛呪文で跳ね返し、すかさず次の攻撃を放つ。

「ワオー!」「やるな、新人!」「さあ、俺たちの出番だ!」

それぞれに雄叫びを上げながら、先輩たちが闘いに加わり、乱戦が始まった。あちらでもこちらでも、呪文の声と閃光が飛び交う。僕はルシウスの合図に合わせて一緒に術を放ったり、近くに居るレギュラスを庇ったりしながら、存分に闘った。手ごわい相手をようやくクルーシオで仕留めた時、ダークロードの声が響いた。

「余の術を見よ!クルーシオ!」

高らかな声に目を向けた瞬間に、杖が振り下ろされた。閃光の走る先で、敵に指示の掛け声をかけていた大きな魔法使いの体が宙に浮かび、すごい勢いで回り始める。同じ術なのに、僕が初めてとはいえ会心の出来だと思ったクルーシオの、何倍もの威力が感じられた。やっぱりダークロードの闇の魔術は、桁外れにすごい。あのように術を操れたら、恐れるものなど何もないと思う。

術を受けた敵の苦悶の叫びが響き渡り、デスイーターからは歓声が湧いた。敵方は総崩れとなり、逃げ惑う者たちをデスイーターたちの術が追う。勝敗はすでに明らかだった。薄暗い部屋のあちこちから、苦痛のうめきと懇願の泣き声が聞こえてきた。ルシウスに促されて、レギュラスとともにダークロードの後ろに下がって見ていると、先輩たちは倒れた敵たちの体を杖で操りテーブルに積み上げた。その山に向かい、ダークロードが冷やかに言い放つ。

「今日はここまでにしてやる。身の程知らずな抵抗の代償が骨身に染みたことであろう。次は命がないものと思え。」

撤退の合図に、仲間たちは外に出た。一人が杖を宙に向けて呪文を唱えると、暗い空に髑髏が蛇を吐く闇の印が浮かんだ。デスイーターによる襲撃の宣言だ。仲間たちは次々と姿を消して、マルフォイ邸にアパレートした。襲撃の後は、成功を祝う打ち上げ会が恒例のようだ。

屋敷の広いホールでフード付きのローブを脱ぎ、興奮冷めやらぬままにルシウスやレギュラスと話していると、ダークロードが近付いて来た。儀式の時には顔を見上げることもできなかったので、間近に見るのは今日が初めてだ。術を放った時には赤い目が光る恐ろしい形相だったけれど、今笑みを浮かべる顔立ちは整っていた。見る角度や表情により、美しくも醜くも見え、高貴でも邪でもあり、笑みの奥に冷やかさが漂う、不思議な外貌だった。

「我が君」

「ルシウス、よい襲撃であった。容易な敵であったとはいえ、新人2人、訓練も受けておらぬのに、よく闘った。余は満足しておる。」

ダークロードは笑い返すルシウスから僕に視線を移した。

セブルス、見事であった。実に見事な闇の魔術の使い手だ。初めての襲撃とは思えぬほどの落ち着きぶり、余は感銘を受けたぞ。ルシウスが褒めていただけのことはある。」

「ありがとうございます、我が君。」

褒められればやっぱり嬉しい。まして世を支配するほどの力を持つ闇の魔法使いに実力を認められたと思えば。

「レギュラス、若き身でよく闘った。ブラックの血に伝わる尊き魔力の素質を磨けば、誰にも勝るデスイーターになることであろう。期待しておるぞ。」

「我が君、まだ至りませんが、頑張って術を磨きます!」

崇拝するダークロードに声を掛けられ、レギュラスも嬉しそうだった。けれど、ローブを脱いだシャツの腕を見ると血が滲んでいる。

「レギュラス、怪我をしたのか?」

「え?」

興奮して、自分でも気づいていなかったようだ。そでを上げてみると大した傷ではないが、まだ血が流れ出ている。簡単に治癒呪文をかけ、ポケットに忍ばせていた水薬をつけてやった。ごく自然にしたことだったけれど。

「見事なのは闇の魔術だけではないようだな、セブルス。治癒の腕も魔法薬の才能も細やかな用心も、我が陣営の役に立つであろう。その優れた能力で、襲撃のほかにも貢献できそうだ。先が楽しみなことよ。」

最後の言葉はルシウスに向けて、ダークロードは機嫌よさそうに笑っていた。ルシウスが僕に笑いかけ、ルシウスに喜んでもらえたと、あらためて喜びが湧く。その時、黒髪の美しい魔女が足早に近付いて来た。フードをつけている間は気づかなかったけれど、襲撃に1人、魔女も参加していたのだ。

「我が君!」

「ベラトリックス」

「これは我が従弟のレギュラスでございます!幼少期より可愛がっておりました。在学中の身で本日の襲撃に加えていただき、これほどの名誉はございません。」

そう言いながら美しい魔女はダークロードににじり寄り、片手ではレギュラスの頭を抱え込んで髪をくしゃくしゃと撫でていた。一瞬たじろいでしまうほどにテンションの高い人で、ルシウスも心なし後ずさりしている。

「ベラ姉様、ダークロードの前で子供扱いして、、」

レギュラスはもごもごと何か言いながら抵抗していたけど、顔は嬉しそうだ。これがレギュラスの言っていた従姉かと見ると、黒い巻き毛に色の濃い瞳、確かにどこか似通ったところがある。

「ベラトリックス、レギュラスは立派だったぞ。これはレギュラスと一緒にデスイーターに加わったセブルスだ。会うのは初めてか?」

派手な美貌の魔女は初めて気づいたように僕の方を見た。そして頭からつま先まで、値踏みするように目を動かす。

セブルススネイプといいます。今年ホグワーツを卒業しました。」

スネイプか。聞いたことのない家名だが、スリザリンでレギュラスと一緒だったのだな?わたしはベラトリックス・ブラック・レストレンジだ。」

言い残してベラトリックスは、ダークロードの腕を引っ張って去っていった。残された3人で、なんとなく顔を見合わせる。

「なんか、すごい姉さんだね、レギュラス。もちろん、すごい美人で・・。」

「驚いたんでしょう、スネイプ先輩。ベラ姉様は性格が激しいから。でも、シシー姉様はもっとずっと大人しくて女らしいんですよ。」

最後の言葉はルシウスに向けられていた。ルシウスも、わかっているというようにうなづいている。僕にはどういうことかわからなかったけど、その話はそれで終わった。とにかくレギュラスにはベラトリックスというデスイーターの激しい従姉と、シシーという女らしい従姉がいて、ブラックの血筋は皆美形だということだ。

しばらくしてマルシベールたちもデスイーターになる儀式を済ませて新人の訓練が始まり、僕とレギュラスもそれに合流した。訓練では、術をおしえてもらったり練習するだけでなく、敵の数が多い時や闘いが劣勢になったときのフォーメーションや、逃走時の避難場所みたいな話もあって興味深かった。訓練に参加しつつ、僕とレギュラスは引き続き襲撃にも加わった。

レギュラスの術の腕はみるみるうちに上達した。やるかやられるかという緊迫した闘いを経験して、魔力の素質が術の強さにつながったようだ。そして僕自身のことを顧みると、父さんに虐待されて恐怖に対峙してきたことや、ポッターやブラックたちと闘い憎しみを募らせたことの全てが、襲撃に活かされているのだった。それをベースに、訓練により魔術が強まってゆくのが実感できる。ホグワーツに入学した頃のような、充実感のある日々が始まった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス スネイプ ルシウス レギュラス

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