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セブルスとルシウスの物語(33)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


襲撃はたびたび行われた。標的は最初に参加したような闇陣営に抵抗する者たちの集まりであったり、服従を拒んだ者への制裁であったり、時には単にマグルやマグルびいきだからと狙うこともあった。デスイーターの圧勝に終わることが多かったけれど、たまに魔法省の闇祓いたちが駆け付けると大混戦になった。

闇祓いというのは、闇の魔術に対する防衛の特訓を受けた魔法省の職員で、さすがに並みの魔法使いとは腕が違う。最近では、魔法省魔法法執行部長のバーテミアス・クラウチが闇陣営への強硬姿勢を打ち出し、闇祓いに禁じられた呪文の使用を許したため、闇祓いとの闘いになると双方負傷者が出る激戦になる。新しい闇祓いを採用して集中的に特訓を施しているという情報もあるらしく、ダークロードやルシウスは闇祓い局の動向に気をとがらせているようだった。

でも僕は内心、闇祓いとの闘いをむしろ心待ちにしていた。一般の魔法使いとの闘いは簡単過ぎて、初めの数回こそ興奮したものの、すぐに物足りなくなった。それに、たいていはデスイーター側の圧勝ですぐ勝負がつくのに、逃げ惑う敵を吊るし上げて楽しむ仲間たちの姿に、ふとポッターたちに痛めつけられた時のやりきれない屈辱感や、『弱い者いじめはカス』というリリーの言葉を思い出し、苦々しさを感じてしまったからだ。さらに、いたぶるだけの闘いは野蛮なばかりで、奥深い闇の魔術を探求する美学のカケラも感じられなかった。手ごわい闇祓いと真剣勝負に臨んでこそ、底知れぬ闇の魔術を極める手掛かりを得られると思う。

だけど、闇祓いとの死闘こそ望むところだとうっかり漏らしたら、ルシウスが激怒した。今のところデスイーター側に死者こそ出ていないが、重傷を負った者はいるし、いつ死者が出るかわからぬ。殺されぬまでも、囚われればアズカバン送りだ、おまえにそんなことは許さぬとすごい剣幕で、それ以来僕はルシウスが率いる襲撃にしか招集されなくなった。そしてルシウスはさっさと勝負を決めて撤退を命じ、闇祓いとの闘いを避ける。

なぜか僕とセットのように扱われるレギュラスも同じことになった。ダークロードとルシウスの間でどんな相談がなされているのかわからないけれど、どうやら純血名家の年若いレギュラスを守るのも僕に期待されているようだ。

襲撃に出かける回数が減って空いた時間を、僕は屋敷で魔法薬の調合や改良の研究に費やした。怪我人も増えたし、治癒以外にも真実薬や変身薬、幻覚を見せて人を操る薬や、打ち上げ会の楽しみを高める覚せい作用のある薬など、僕の魔法薬は闇陣営に喜ばれたのだ。

同じように空き時間の増えたレギュラスは、ダークロードの研究に精を出していた。憧れのダークロードに拝謁を果たして、いっそう熱が上がったらしい。ブラック家はそのためには都合のよい家系で、長年ダークロードの崇拝者でデスイーターの大先輩でもある従姉ベラトリックスに話を聞いたり、家の蔵書はもとより、純血主義魔法族の老人やら研究者やらにつてがあり、ダークロードの軌跡や創作した闇魔術などを調べているようだ。

レギュラスは頻繁にやって来て、目を輝かして新しい発見や推論を僕に語る。ダークロードが卓越した開心術の使い手で、目をあわせなくても嘘を見抜くということも、レギュラスに聞いた。それらをまるで自分のことのように自慢げに話すレギュラスをおかしなヤツだと思いつつ、ダークロードが創り出した魔法の話などには興味をそそられ耳を傾けている。死を克服する秘術までも密かに探求しているふしがあると興奮して話された時には、呆れてしまったけれど。ダークロードも、知らぬところでこんなにも秘密を探られては迷惑だろうと思う。

レギュラスはマルフォイ邸に来る時、いつも屋敷妖精に送り迎えをしてもらっていた。僕たちの腰ほどまでの小柄な体に薄汚れたぼろきれを巻きつけ、目ばかり大きい醜い顔のクリーチャーという妖精を、僕の部屋まで連れてきたこともある。レギュラスが僕を紹介すると、クリーチャーはぶつぶつと何か呟いた。

「クリーチャーはマグルの血の臭いがする汚らわしい混血にあいさつをする。レギュラス坊ちゃまがそうご命じになる。」

内容が聞きとれてむっとすると、レギュラスも焦って言った。

「クリーチャー、スネイプ先輩に失礼なことを言うな!」

すると奇妙な屋敷妖精は突然壁に激しく頭を打ち付け出した。ガンガンと、部屋の調度が揺れるほどの激しさで。

「クリーチャーは悪い妖精。レギュラス坊ちゃまに叱られる。ご主人様に逆らった罰を受ける。」

額から血が滲んでも打ち付けるのをやめないクリーチャーをレギュラスがあわてて止めて、僕には何度も助けてもらっている、大切な先輩なんだ、礼儀正しくしなさいと諭すと、屋敷妖精は僕の前に座り、頭を床に擦り付けた。これが屋敷妖精のあいさつということらしい。

レギュラスはもう成人していて一人でアパレートできるのに、なぜ屋敷妖精に送り迎えを頼むのかと尋ねてみた。

「クリーチャーは家族に尽くすのが誇りなんだ。長年仕えた子供たちが、大人になって出ていってしまったのを寂しがっている。今では一番年下のボクの世話をするのが生き甲斐だから・・・。クリーチャー、いつも送り迎えをしてくれて助かっているよ。」

レギュラスが最後の言葉を屋敷妖精に向けると、妖精は大きすぎる目に涙を浮かべて醜い顔をくしゃくしゃにした。喜びの感涙ということらしい。命じ従うだけの、ルシウスとマルフォイ邸の妖精ドビーとの関係とはずいぶん違うと呆れたけれど、レギュラスの細やかな優しさは微笑ましく思えた。それに免じて妖精の無礼は許すことにした。

「クリーチャー、僕はセブルスだ。大切なレギュラス坊ちゃまは、僕が守ってやる。」

からかうように言うと、妖精は何度も頭を下げながら言った。

セブルス様はレギュラス坊ちゃまを守る。クリーチャーはセブルス様に礼儀を守る。」

「クリーチャー、ありがとう。もう帰っていいよ。」

レギュラスが言うと、パチンと指を鳴らす音がして、屋敷妖精の姿が消えた。


気がつけばレギュラスといる時間ばかりが長くなっていた。レギュラスは夏休みに親の顔ばかり見ていてもつまらないとしょっちゅう訪ねてきたし、ルシウスは何をしているのか外出が増えて日中はほとんど居ない。いつも一緒にいた去年の夏を思うと寂しい気もしたけれど、ルシウスが家にいる夜はたいてい一緒に寝ているのだし、回数が減ったとはいえ襲撃の時にはルシウスの役に立てているのだと思うことにしていた。

そんなふうに夏は過ぎてゆき、休み明けホグワーツに戻ろうか、それとも退学してデスイーター活動に専念しようかという、僕には答えの浮かばないレギュラスの相談にうんざりし始めた頃、闇陣営は大がかりな作戦を実行した。

それは同じ夜に何箇所かで襲撃を行うもので、手を焼くことの多くなった闇祓い対策というべきものだった。最初にマグル界で破壊活動を仕掛けて闇祓いたちを引きつける。闇祓いがマグル界での後始末に追われる間に、魔法界で何件か同時襲撃を行う。闇陣営は闇祓いが駆け付ける心配なく闘えるというものだった。僕が加わったルシウス率いる襲撃でも、久しぶりに仲間たちは負けの決まった敵を飽くことなく弄んでいた。

襲撃後の打ち上げも盛大なパーティになった。各地で襲撃を終えたデスイーターたちが一堂に会したからだ。ダークロードは作戦の成功を高らかに宣言し、皆の健闘と、作戦の立案者であるルシウスを称えた。ルシウスはあちこちのグループに引っ張られて、もみくちゃになっていた。

やがて宴もたけなわになり、皆酒の酔いがまわった頃、エスコートクラブから呼ばれた華やかな魔女や魔法使いが加わり、会場は怪しい熱気を帯びた。灯りが落とされ、仄暗いロウソクからは隠避な香薬の匂いが漂う。といっても、僕が頼まれて作った覚醒作用のある香薬なのだけど。怪しい雰囲気に誘われるように、ホールのあちこちで人影が絡み合い、個室へと消えていった。

今までにも襲撃後の打ち上げ会に出たことはあったけれど、こんな雰囲気は初めてだった。簡単な飲食で終わるか、遅くなる前にルシウスに言われて僕とレギュラスは退室していたのだ。戸惑っていると、少し酔った足取りのルシウスが僕を見つけて近付いて来た。

「セヴィ、もう遅いからおまえは帰るのだ。」

そう言われても、ルシウスはこんな雰囲気のパーティに残るんだろうか?

「だけど・・」

僕が動かずにいると、ルシウスの後ろから声がした。

「やあ、セブルス、久しぶりだね。」

しなだれるようにルシウスの肩に手を回しながら現れたのは、ホグワーツでいつもルシウスと一緒にいて僕をからかっていた、艶めかしい上級生グループの1人だった。

「あなたは、、」

「今夜はルシウスを借りるよ、セブルス。そんな顔しないでさ。ルシウスときたらここ1年ほど君のことばかりで、ちっとも僕らの誘いに乗らなかったんだ。念願かなって君をデスイーターにできたんだから、もういいだろ?」

「セヴィ、気をつけて帰るのだぞ。」

ルシウスも酔っぱらって、しなだれかかる上級生の髪を撫でながら言う。

「僕も残ります。」

そう言うとルシウスは顔をしかめた。

「なんだと?おまえはならぬ。おまえは帰れ。これからは大人の時間だ。レギュラス、セブルスを連れてさっさと屋敷に戻るのだ。泊まってはならぬぞ。セブルスを送り届けたら、自分の家に帰れ。」

言いたい放題言ってルシウスは背を向けた。

「ルシウスもそう言ってるから。ごめんね、ベイビー」

上級生は振り返ってひらひらと手を振りながら、ルシウスと一緒に消えていった。

「先輩、帰ろうよ。」

心細げに言うレギュラスに腕を引っ張られて、僕は会場の家を出た。マルフォイ邸に着くと、レギュラスは押し黙った僕を気遣うように少し一緒にいたけれど、しばらくしてドビーに頼んでクリーチャーを呼び、家に帰っていった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス スネイプ ルシウス レギュラス

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