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セブルスとルシウスの物語(34)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


レギュラスが帰ると、僕は一人部屋のベッドに腰かけて考えに耽った。ルシウスは今頃あの先輩と体を重ねているのだろうか?怪しい香薬と酒の酔いに任せ、体を絡め愉悦をむさぼり・・・。それは表情やうめきまでが浮かぶ、苦しい想像だった。今夜はたまたま作戦の功労者としてあちこちで飲まされて僕を帰すのが遅れたけれど、今までだってそんなことは何回もあったのだと気づく。遅いからもうやすめと僕を追い帰した後。1人で出かけて帰ってこなかった夜。僕はバカみたいに2人だけの絆だと思いこんでいたけれど、ルシウスにとっては数多い戯れの一つだったのだ。

1年ほど前にルシウスの温もりに全てを委ねて以来、僕は初めて孤独を感じた。熱に浮かされたようにルシウスを想い、ルシウスと共に歩むことだけを夢みてきたけれど、あの先輩の言葉通りなら、ルシウスは僕をデスイーターにするのが念願で、そのために僕のことをあれこれとかまってくれていたのだ。僕にとって世界が変わったと思ったほどの大切な出来事は、ルシウスにとってほんの小さな計画の一部だったのだろうか?念願かなった今となれば、僕のことなどどうでもよくて・・・。言いたい放題言って僕を追い払い、背を向けたルシウスを思い出す。

だけど。周囲を見渡せば、すべてがルシウスに与えられた物だった。家具も調度も身に付けた衣類も、目に入る物すべて。物ばかりではない。温もり、愉悦、夢、自信。言ってみれば今ある僕のすべてはルシウスに与えられたようなものだ。ルシウスの物に満たされたこの部屋がルシウスで、中に座る僕はルシウスの小さな一部のようにさえ感じられる。

ルシウスは僕を家族のようなものだと言ってくれた。幼い頃から家族に見捨てられて育った僕の悲しみや孤独を丸ごと受けとめて、行き場のない僕に居場所を与えてくれたのだ。危険を伴う闇祓いとの闘いを禁じたのも、僕の身を案じてのことだとわかっている。これからは大人の時間だなどと言って追い返す子供扱いに傷ついたけれど、実際のところ、僕だってルシウスといると子供じみた甘えを抑えられない。目を掛けられたのを喜んだホグワーツの低学年の頃のような気分になる。そしてルシウスはあの頃もあの先輩たちと戯れていた。ルシウスは何も変わっていないのだ。

思いは巡り、夜が更けても気が昂ぶるばかりで眠れない。白んできた空を恨めしく眺め、誘眠の水薬をのんで目を閉じた。

差し込む日差しを感じて目覚めると、僕を抱えるようにして、隣にルシウスが寝ていた。ぼんやりと顔を眺め、初めて同じベッドで迎えた朝を思い出す。あの時は、木漏れ日が映る美しいルシウスの寝顔に見とれ、胸に湧く思慕にときめいたものだった。今、頬にはまばらに無精ひげがのびかけて、小さく口を開けて寝息をたてる、だらしないと言える寝顔さえも愛おしく思えてしまう。

わずかに身を動かして、ルシウスが目を開けた。顔に見入る僕と目があうと。

「セヴィ、おまえが泣きそうな目で睨んでいたときいて、眠らずに帰って来たのだ。皆酔い潰れて今日は何もない。もう少し寝かせてくれ。」

最後は寝言のようになり、ルシウスは僕を抱き寄せて、また寝息を立て始めた。襲撃の後そのままの、汗と酒と、、、おそらくは放蕩のにおいも混じる体に包まれて目を閉じる。何も変わってはいない。ルシウスの戯れも、それでも僕を慈しんでくれることも、何を思い悩もうと僕がこの人から離れられないことも。小さなため息をついて、あきらめと安らぎは同時に訪れるものだと知った。

翌日訪れたレギュラスは、しばらく僕の様子をうかがうように顔を見ていた。

「先輩、もう大丈夫?」

「なんのことだ?」

「この間の夜、元気がなかったから。」

答えながら、なおも僕の目をじっとのぞきこむ。はっと気付いて心を閉じた。

レギュラス、おまえ、開心術を使えるのか?」

レギュラスは仕方がないというように肩をすくめて答えた。

「うん。すぐバレる程度に未熟だけどね。それに断片のような物が見えるくらいで、意味づけできるほどの洞察力がある訳じゃないけど。ベラ姉様に、ボクは子供の頃から大人の顔色ばかりうかがうところがあるから、きっと素質があるって言われて、少しおしえてもらったんだ。でも、先輩の閉心術にはとてもかなわない。もう何も見えないよ。先輩は閉心術を使えるんだね。」

「今までは見ていたわけか?」

「少しだけね。先輩は兄さんと仲悪そうだったから、ボクのことも嫌ってないか気になって。それから今ちょっとだけ。先輩が嫌ならもう使わないよ。」

「じゃあ、わかってるんだな。」

「先輩とマルフォイ先輩のこと?」

仕方がないからうなづいた。坊ちゃん育ちの子供だとばかり思っていたのに、僕の心をのぞいて知らぬ顔をしていたのだ。ブラックを侮ってはいけないと反省した。レギュラスは魔術に優れた家族に囲まれて育ったのだし、僕よりずっと世渡りを知っていたのだった。

「それはわかってるけど、先輩の心を見たわけじゃないよ。先輩とマルフォイ先輩の仲がいいのは前から知ってるもの。マルフォイ先輩の心はのぞいちゃったけど。あ、先輩、これはマルフォイ先輩には内緒にしてね。」

レギュラスは僕の心を見て嫌われていないと知っているからか、気を許してそんなことまで言う。

「先輩先輩とうるさいな。おまえにとってはみんな先輩だろう?僕のことは名前でいい。一緒にデスイーターになったんだから。」

照れ隠しに言うと。

「じゃあ、セブルス。名前で呼びあうとほんとに仲間って感じがする。嬉しいな、セ・ブ・ル・ス。」

子供だか大人だかわからない薄気味の悪いヤツだと思って見ていると、レギュラスは続けた。

「マルフォイ先輩は心をのぞかれる心配なんてしたことないみたいだからボクにもよく見えたんだけど、ほんとにセブルスのこと好きなんだね。それなのに他の人と・・・」

この間の夜のことだと思い、少し気持ちが沈む。心は閉じているから表情を読んだのか、レギュラスも真面目な顔になった。

「でもセブルスは許すんだ。マルフォイ先輩のこと、好きだから?」

もう少し複雑な気もしたけど、言葉で説明できないからうなづいた。つい正直になってしまうのは、たぶんレギュラスが素直だからだ。ルシウスが僕のことを好きなんだときいて嬉しかったし。レギュラスは僕といっしょになって、うなづきながら続けた。

「好きな人のことなら、許して見守るしかないんだよね。・・・それに、マルフォイ先輩ってなんだか憎めないとこあるものね。自分勝手なんだけど筋が通ってるって言うか。ボクのことなんかブラックだから利用価値があるくらいにしか思ってないんだよ。それでも嫌ってはいないし、仲間にした限り守ろうとは思ってくれてる。だけど・・・」

レギュラスはまだ何か言おうかと迷って口ごもったようだった。

「だけどなんだよ?ルシウスのこと?」

「うん。でもこれはボクが言うべきことじゃないと思う。それよりセブルス、開心術と閉心術の練習をしようよ。」

レギュラスが何を言おうとしたのかは気になったけれど、術の練習にはもっと興味を引かれた。ホグワーツの生徒の頃から心を隠すことはしていたけれど、相手に確認したわけではないからどの程度通用するものなのかはわからない。それにもし開心術を身につけられれば、レギュラスが言わなかったこともわかるわけだ。レギュラスも自分が言うべきではないけれど、心を見て知られるのはよいというつもりなのかもしれない。

それから2人で何度か練習した。もともと素質のある術は上達が早い。僕の閉心術は、閉心術を使っていることが悟られないようにできるほどになった。開心術のほうは思わしくなかった。おしえてくれるレギュラスの腕も頼りないものだから仕方ないけれど。レギュラスの目を覗き込んで開心術を掛けてみても、きれいな魔女の顔がぼんやりと見えるくらいにしかならなかった。どこかで見たことのある顔だとは思ったけれど、レギュラスにきいても曖昧な笑みを浮かべるばかりで答えなかった。

そうこうしているうちに8月も終わり、レギュラスはホグワーツに戻っていった。レギュラスは、ダークロードからの指示で、学生を続けることになったのだった。校長のダンブルドア先生には、ダークロードを抑えうる偉大な魔法使いとして次期魔法大臣の期待が高まり、また密かに魔法省とは別の抵抗組織をつくっているという情報もあるらしい。ホグワーツの中でダンブルドア校長や側近の動向を探るために、レギュラスは今まで通りホグワーツに通い情報を集めるよう命じられたのだ。

ボクに校長先生を探るなんてできるのかなと不安をもらしながらも、ダークロード直々の命令が嬉しかったようだ。レギュラスはホグズミードの外出日には必ず僕に会うことと、情報を得た時や緊急時にはホグズミードにつながる秘密経路を脱け出して連絡すると約束した。ホグワーツにそんな秘密の通路があるのかと驚くと、まだ仲がよかった頃、兄さんに教えてもらったと言う。ブラックたちははそんな道を知っていて悪行を為していたのかと学生の頃の忌々しさがよみがえった。それと同時にリリーを思い出し、一瞬胸を突く悲しみに気を奪われると、レギュラスが不思議そうに僕を見た。

「ダークロード直々の命令なんてすごいじゃないか。頑張れよ。」

気を取り直して励ますと、レギュラスは嬉しそうにうなづいた。

セブルスに会えないのはつまらないけど。次はホグズミードでね。」

レギュラスがホグワーツに戻ると、僕は屋敷で魔法薬作りに励んだり、ルシウスが率いる襲撃に加わる生活に戻った。レギュラスが来なくなると、日中のルシウスの不在がさらに寂しく感じられたけれど、あれこれと考えたところで何も変わらないと自分に言い聞かせた。

そんな日々にも慣れた頃、僕はもう1人のブラックに会うことになった。レギュラスの心の中に見えたあの魔女だった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス レギュラス

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