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セブルスとルシウスの物語(37)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


たしかな絆を感じたのは僕だけでなくルシウスも同じだったのか、あるいは本気でナルシッサ・ブラックと僕が姉と弟のような関係になるのだと示したかったのか、ルシウスは次にナルシッサ・ブラックと会う時に僕も連れて行った。僕は先日の3人での食事を思い出して嫌がったのだけど、ルシウスは頑として譲らず、魔法の馬車に乗せられてブラック邸に着いた。

ルシウスの横に気まずそうに立つ僕を見てナルシッサ・ブラックは驚いた顔をし、僕は内心彼女が僕を追い帰してくれることを願ったのだけど、そんなことにはならず3人でダイアゴン横町に行きランチとなった。なぜ僕が一緒に居るのかという当然の疑問をナルシッサ・ブラックが口にするまでもなく、ルシウスが陽気に話す。

「セヴィは私が連れ出さないと家にこもってばかりなのでな。放っておくと本ばかり読んでいて、私が言わねば食事もきちんととらぬから、いつまでもこのようにやせっぽっちのままなのだ。」

そしてルシウスは、これからは会う機会も増えるのだから、ミスター・スネイプ、ミス・ブラックなどという堅苦しい呼び方はやめて、互いにセブルスナルシッサと呼びあえなどと言っている。僕もナルシッサもルシウスの勢いに飲まれて、そういうことになった。この間の初めての夕食の時のように衝撃を受けているわけではないから、多少のぎこちなさはあっても僕は淡々と食事を終えて早々に席をたち、2人にごゆっくりとまで言って去ろうとした。すると。

「何を言っているのだ?これから買い物ではないか?ナルシッサ、今日はカーテンを見たいと言っていただろう?セヴィもいっしょに行くのだ。」

え?なぜ僕が?

声に出して言ったわけではないけど思ったし、それはナルシッサも同じだったろうと思うのに、3人でカーテンの生地を見ることになった。といっても、僕はあれこれと生地を手にとって見る2人の後ろに着いていただけだ。どうやら寝室の模様替えをすることになっていて、ルシウスとナルシッサは今までも何度も買い物に来て、じゅうたんやら家具やらを選んでいたようだ。充分に整っているルシウスの寝室に手を加える必要などないじゃないかと思ったけど、僕が口出しする雰囲気じゃない。近いうちに彼ら2人の部屋になるのだから、そうしたければすればいいと少し寂しく考える。

しかし、初めのうちこそそのような感慨もあったのだけれど、そのうち、あれもこれもと手にとって一向に決まらないナルシッサの買い物にうんざりしてきた。厚手のカーテンの生地について、これから迎える冬場の断熱効果がどの程度かと考えるのはともかくとして、飾りのようなレースのカーテンのレース柄の花の大きさが一周り違うかどうかの、何が問題なのかさっぱりわからない。しかも悩んだ挙句に、花よりもただの格子柄のほうがすっきりするかしらなどと言い出す。

いちいち言葉を返したりうなづいているルシウスの忍耐強さに驚くとともに感心し、僕は今日一日だけ我慢すればよいのだとマーリンに感謝して買い物が終わった。といってもナルシッサは結局決められず、考えてまた見に来ると言っている。とにかく何の成果もなく、歩き回っていただけで一日が暮れた。女の買い物につきあうなど二度とごめんだと思い、ルシウスに同情したほどだ。

翌日も同じようにルシウスに連れ出されて3人でランチをとり、今日は絶対このまま帰ろうと立ち上がった時。

「私はこれから抜けられぬ用事があるのだ。ナルシッサ、すまないが、今日はセヴィと2人で買い物をしてくれ。気に入る物が見つかるとよいな。セヴィ、ナルシッサを頼んだぞ。」

驚愕して物も言えぬうちにルシウスは姿を消し、あとには茫然としたナルシッサと僕が取り残された。あからさまに気落ちし、それでもカーテンを見に行くと言うナルシッサにやむなくつきそった。しかし、まともな返答もしない僕との買い物が楽しいはずがない。ナルシッサもつまらなそうに何枚か生地を見て、何を問われてもそれがいいと思うと答える僕を恨みがましそうな目で見ながら、それでも何やら注文していた。

ナルシッサをブラック邸に送り届けてマルフォイ邸に戻ると、ルシウスはたった今帰ったのだと言ってリビングルームでくつろいでいた。僕はもちろん、ルシウスの無責任な行動に抗議し、女の買い物などに僕はつきあえないときっぱりと言ったのだけど、ルシウスは自分はもう10回以上もつきあっているのだと答えた。そしてそれからはナルシッサが買い物をする日には、ルシウスは必ず抜けられない用事ができたと言って、僕に買い物の付き添いを押し付けた。

僕はもちろん呆れ果てたけど、ナルシッサが待っているのにかわいそうではないかなどと追い立てられて、しかたなくブラック邸にナルシッサを迎えに行く。そしてがっかりした顔のナルシッサの面白くもない買い物に付き従い、買い物が終わればナルシッサを伴ってマルフォイ邸に帰り、ルシウスに引き合わせて自分は部屋に戻るという、理不尽な日課を強いられた。

それでルシウスがナルシッサに冷たいかと言うとそういうわけでもなく、社交の場には連れだって出かけてゆく。きっとどこに行ってももてはやされるカップルだろうと思う。僕がルシウスと過ごす時間はナルシッサのものになり、僕とルシウスの思い出が詰まった寝室は、ナルシッサが買った物で埋め尽くされていく。

なんでも持っているルシウスは、僕を手放さぬままナルシッサも手に入れた。僕が心を弾ませながら描いていたルシウスと並びたつその場所はナルシッサが占める。2人の願いは叶い、僕の願いは叶わない。立派なマルフォイ邸とブラック邸を行き来していると、そんなことは初めから決まっていたような気もして空しさが募った。

だから、ホグワーツの外出日が訪れて、久しぶりに会ったレギュラスからナルシッサの様子を尋ねられた時、つい不機嫌な顔をしたのかもしれない。僕の顔色をうかがうように、レギュラスがきいた。

セブルス、シシー姉様のこと、よく思ってないの?」

「そういうわけじゃないけど、買い物につきあわされるのはうんざりしている。」

「え?マルフォイ先輩じゃなくて、セブルスが一緒に買い物に出かけてるの?」

レギュラスが驚いた顔をする。あたりまえだ。誰が考えたっておかしい。

「ルシウスは買い物に付き合うのが面倒になったんだろう。だいたいレギュラス、おまえは夏休みにはもう、ルシウスとナルシッサの婚約を知っていたのだろう?開心術の練習をした時何度も心のうちに彼女を思い浮かべていたな。なぜ話してくれなかったんだ?僕とルシウスが親しいことを知っていたくせに。」

事情を知っているレギュラスにはつい愚痴もこぼれてしまう。

「ボクだって夏休みになってから知ったんだ。セブルスも知ってるかと思ったし、知らないなら本人からきいたほうがよいと思って。それに、セブルス言ってたじゃないか。マルフォイ先輩が他の人といても、好きだから許すって。」

そんなことを言っただろうか?たしかにルシウスのことはすべて受け入れると決めたけれど。

「だからボクもそうすることにした。好きな人が他の人の元に行っても、受け入れて幸せを祈るべきだって。」

「?」

レギュラスはしばらく僕を見ていて、それから目を伏せた。長いまつ毛が幼さの残る顔に影をつくる。

「ボク、シシー姉様のことが好きだった。ブラック家の人たちはみんな末っ子のボクのことを可愛がってくれたけど、なんというか、セブルスも知ってるだろ、ベラトリックスとか兄さんとか、気性が激しくて。母様もすごいし、ドロメダ姉様もマグルと駆け落ちするくらいの人だから。みんなそれぞれの主張をぶつけた挙句に、ボクはどう思う、しっかりしろとか言ってくるんだ。シシー姉様だけはいつも穏やかで優しくて、子供の頃から慕ってた。

兄さんが家を出てボクが跡継ぎになると言われた時に、ボク、シシー姉様と結婚できるんじゃないかと思ったんだ。従弟同士だけどブラック家ではよくあることだし、ボクの父様と母様だってそうだから、おかしなことじゃない。だから早く大人になりたくて、早くデスイーターになって大人と認められたいと思ったけど、遅かった。

夏休みに家に戻ってみたら、シシー姉様がマルフォイ先輩と婚約したって。すごく幸せそうで。でもマルフォイ先輩の心の中をのぞいてみたら、セブルスのことばっかだったよ。」

長い独白を終えて顔を上げたレギュラスは、まっすぐに僕を見て、射抜くような視線を送る。日頃素直で人懐こいレギュラスに、こんな激しさがあったのかと驚く。

「だけど、僕に言われても。僕だって・・」

「マルフォイ先輩は信用できない、シシー姉様を大事にしてくれるのか。ブラック家の女ならマルフォイ家に相応しいと思ってるだけだ。シシー姉様の前では言わないけど、叔父様や叔母様だって釣り合いのよい縁談だとは言いながら心配してる。マルフォイの先代のように、数か月で離縁したり、後添えのように子供だけ産まされて狂い死にするんじゃないかって。」

「それは、、その後添えというのは、ルシウスの母親のこと?」

「セブルスは知らなかった?純血貴族の間では有名な話だよ。」

マグル育ちも同然の僕はもちろん知らなかったけど、、。たいした思い出もない母が遺した唯一の教えに従って僕の手を握ったのだと話したルシウスを思い出し、哀しみが胸に打つ。そして僕と同じように想いをあきらめようとしているレギュラスの辛さも。

「レギュラス、ルシウスは自分勝手でいい加減なところもあるけど、悪い人じゃない。」

「それはセブルスにはそうだろうけど・・。」

「ナルシッサにもそうだ。面倒なことは僕に押し付けてるけど、母親のような悲しみは味あわせまいと思っているはずだ。僕にもナルシッサを大切にしてやれと言っていた。」

レギュラスは疑わしそうな目をしていたけれど。

「セブルスはそれでいいんだね?シシー姉様のことを大切にしてくれるんだね?」

行きがかり上、うなづくほかはない。僕がうなづくと、ようやくレギュラスは少し笑った。

「マルフォイ先輩のことはわからないけど、セブルスのことは信じるよ。よくしてあげて。シシー姉様は誇り高いけど気の強い人じゃない。優しくて、辛いことには耐えられない。誰か守ってあげる人が必要なんだ。ボクはそばにいられないけど、セブルスが守ると約束して。ボクの大切な人なんだよ。」

ナルシッサがレギュラスと結婚するならどんなによいだろうと思いながら、僕はしかたなく、またうなづいた。ルシウスとナルシッサがその気になっている以上、僕やレギュラスがどう思おうとどうにもならないことなのだ。

2人で空しく苦笑いして、それからデスイーターの活動の話になった。レギュラスは結局、ダンブルドア校長がホグワーツを留守にすることがある程度の情報しか得られていないようだし、僕の方も、なぜか襲撃に出る回数すら減っている。レギュラスと別れた後、訝しく思って他の仲間にきいてみたら、ルシウスはなんと、自分の結婚準備で忙しいから僕はしばらくそちらを優先することになっていると言っていたそうだ。僕はもう呆れ果てて、あとひと月ほどに迫った結婚式が早く終わるのを願うばかりだった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス レギュラス ナルシッサ

コメント

女の買い物

彼女の 買い物に 付き合えるかどうか…
彼女のバッグを 持ちながら、機嫌良く 付き合える人と
まっぴらゴメン の人と、タイプは 別れますよね。
セブルスは、間違いなく、無駄な時間は 過ごしたくないタイプですね。
なんだか、現実の マグルの世界に セブルスがいるみたいで 愉しい場面でした。
(物語の中では、結構 シリアスですけど…)

Re:女の買い物

セブルスも魔法薬の薬材(ひからびたナメクジとか)の
買い物とかなら嬉々として付き合ってくれるかもしれませんが。
興味のない買い物にだらだらと付き合わされるのは
まっぴらなタイプでしょうね。
それでも嫌々従うセブルスが面白くて^^;
かわいそうなんですけどね。

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