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セブルスとルシウスの物語(38)

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)


レギュラスの想いを聞いた後は、ナルシッサを見る目が少し変わった。たしかに彼女は、おそらく疎ましい存在であろう僕に対しても穏やかな礼儀正しさを崩すことはない。買い物についてつまらない返事を返す僕にがっかりした顔を見せると思っていたのも、見方をかえてみれば、心細げな表情にも見えた。実際、僕は何か聞かれてもろくな返事をしたことがないのに、それでもやっぱりナルシッサは僕の意見を求めてくる。誰かに頼らずにはいられないところがあるようで、レギュラスが守ってあげたいと言うのもわかる気がした。本来その役割を担うべきはルシウスなのだけど。

その日の買い物はクリスマスの飾りに使うキャンドルや蜀台で、幸い僕も少しは興味のある物だったからまともな返事をしてあげると、ナルシッサはすぐに買う品を決められたようだった。気に入った物をよいと言ってもらえて自信を持てたらしい。いつもより早くマルフォイ邸に戻ると、リビングルームのあちこちにキャンドルを並べ、ルシウスが戻ったら見せてあげるとはしゃいでいた。

僕もリビングルームのソファに座って待っていたのだけど、ルシウスはなかなか帰らない。どうせ独身最後とはめをはずして遊び歩いているのだとろうと半ばサジを投げて本を読み始めたら、思いがけず熱中してしまった。ふと気付くとナルシッサは窓際に立ち、暗くなった外を眺めている。後ろ姿の華奢な肩が心細げに見えた。

ナルシッサ?」

珍しく僕から声を掛けると、振り返ったナルシッサは泣きそうな顔で近付いて来た。

セブルス、、、あの方は、帰ってこない。もう夜も遅いのに。」

ルシウスもいろいろと忙しいのでしょう。心配することは、、、」

ルシウスはわたくしのことなど忘れてしまったのね。わたくしの買った物など見たくもないし、わたくしの話も聞きたくないのよ。」

ナルシッサのブルーの瞳に涙が溢れ、こぼれおちるのを為す術もなく見守る。頭の中には私と同じように大切にしてやってくれと言ったルシウスの言葉や、セブルスが守ってと詰め寄ったレギュラスの真剣な目が浮かび、今にも泣きそうな女に声をかけるなど、なんとバカなことをしたものかと反省しても既に遅く。

「ルシウスはわたくしのことなどどうでもいいのよ。」

ついに泣き崩れたナルシッサの肩に手をかけてソファに座らせた。

「ナルシッサ、ルシウスは貴女のことを大事に思っている。」

ナルシッサはしゃくりあげながら、すがるように目を上げて僕を見る。

「貴女のことを大切にするようにと僕も言われている。」

重ねて言ってしばらく肩を抱えていると、ようやくナルシッサも落ち着いてきた。

「ルシウスは抜けられない用事で遅くなるんだろう。僕がいるからいいと思っているんだ。貴女のことを忘れているわけではないと思う。さあ、遅くなるから食事にしよう。」

2人で軽い夕食をとって、ナルシッサをブラック邸に送り届けて戻っても、ルシウスは帰っていなかった。夜も更ける頃、寝室のドアが開き、ルシウスが酒臭い息を吐きながら、寝ている僕の隣に倒れ込んだ。そして何をしていたのかと問う暇もなく寝息を立て始めた。

その後ナルシッサは目に見えて僕に打ち解けてきた。初めのうちこそナルシッサを僕に任せて出歩くルシウスをなじっていたけれど、そのうち、ホグワーツの頃からルシウスに憧れていたのだとか、ルシウスが卒業する前に友達と一緒の記念デートとやらで話したことがあるのだとか、のろけ混じりの打ち明け話をするようになって閉口した。そしてついには、まあ、わたくしったら自分の物ばかり買っていけなかったわと僕にまで何か買うようになり、キャンドルくらいはありがたかったけれど、意見を求められて適当にいいと思うと答えた枕カバーを僕の分まで買われたのは迷惑だった。薄いピンクの花がらの枕カバーなんて、僕が使うと思ったんだろうか?

一方、何をしているのか留守ばかりしていたルシウスも、ある日僕を連れ出してマダム・マルキンの洋装店に行った。僕に服を仕立てるのだと言う。必要ないと答えると、ベストマンとして結婚式で新郎新婦に次ぐ注目を集めるのだから、相応しい服装をしろと言う。そんなこと初耳だ。ベストマンなんて僕には無理だし、注目されるのもまっぴらだ。ルシウスが結婚する姿など、できれば見たくないし、式に出るにしてもできるだけ地味にすみで小さくなっていたいと思う。

僕がベストマンを断ると、ルシウスはではあいつに頼めと言うのかとあの上級生の名を持ちだした。僕がしかめ面をすると、ではゴイルかクラッブにでも頼めと言うのかと非難する。僕には未だに2人のどちらがどちらかわからないのだけど、ゴリラみたいな大きな人と太っちょだ。たしかに美しい新郎姿のルシウスの横に並べたくはないタイプだった。

僕が黙りこんでいるうちに引き受けたことにされて、ルシウスはマダムに新郎の服と揃いに仕立てるよう命じている。それはあまりにもおかしくはないか?なぜ僕が新郎と同じ服を着るのかとあわてて止めると、セヴィ、おまえが結婚することはないのだから、これはおまえの結婚式でもあると思って皆の前に立てばよいという。僕にはそう思えないし、他の誰もそう思わないにきまっている。だけどルシウスがこうと決めたことを覆せたことなどないし、傍若無人に振る舞っているルシウスだけど、自分の結婚で僕に疎外感を与えたくないと思っていることは伝わってきたから、せめてもっと地味にしてほしい、ルシウスに合う物が僕にも似合うわけじゃないと言うとそれは受け入れられた。

数日後、今度はナルシッサも一緒に3人で洋装店に行った。2人は最後のサイズ調整、僕は仮縫いの確認で、式の日の服を着てみる。ルシウスの衣装姿も素晴らしいけど、長いトレーンを引く純白のウェディングドレスを着たナルシッサは目を見張るほどに美しかった。ほんとうに似合いのカップルなんだと、あきらめと羨ましさと誇らしさとが入り混じる複雑な気持ちで腕を組む2人を見ていると。

「セヴィ、要らないなどと言っていたがよく似合っているではないか。見違えたぞ。」

ルシウスが声を掛けてきて、ナルシッサも飛びきりの笑顔で僕に近寄り、軽く背中をたたいた。

セブルス、ほら胸を張ってみて。そうするともっと素敵に見えるわよ。ルシウスからのプレゼントね、わたくしも何かあげたいわ、何がよいかしら?」

ナルシッサに襟元を直されながらなんだか泣きたいような気分になって、ルシウスが言っていたみたいに、もしかしたらこの人と僕はほんとに姉と弟のようになれるんじゃないかという気がしてくる。そして思いついた。

「ありがとう、ナルシッサ。僕はもう充分だから、レギュラスに。貴女の幸せを誰より願い、きっと少しだけ寂しく思っている。仲がいいのでしょう?」

「まあ、セブルス、あなたたちこそ、ほんとうに仲がよいのね。そうね、ではわたくしはレギュラスに新しい服を仕立ててあげましょう。正装したら、あの子もきっと見違えるように立派になるわ。」

次の週末に、レギュラスは親から外出願いを出してもらって、ナルシッサと2人で洋装店に行ったらしい。ナルシッサからその話を聞きながら、きっとレギュラスも僕と同じような複雑な気持ちを味わい、そして彼女の幸せを心から願ったのだろうと思った。

秋の終わりに催されたルシウスとナルシッサの結婚式は、マルフォイ邸の広い庭の一角に祭壇をつくり、魔法で見えないように施された防寒テントの中にたくさんのテーブルを並べた盛大なものだった。美しいブーケがあちこちに飾られ、数え切れないほどの人が、マルフォイとブラックという名門貴族を結ぶ祝いの席に訪れた。

楽団が明るくも厳かな音楽を奏でるなか、長く敷かれたバージンロードを父親に腕を預けたナルシッサが歩いてくる。正面で花嫁を迎えるルシウスの少し後ろに、僕はレギュラスと並んで立っていた。レギュラスはナルシッサのブライズメイドになるわけにもいかないから、ルシウスの介添人の1人ということで参列している。

やがて、まぶしいほどに美しいナルシッサと、やはり輝くほどに美しいルシウスが向かい合い、永遠の愛を誓う。指輪と口づけをかわす2人の傍で、僕はベストマンとしてその世話をした。それはおそろしく複雑な気持ちだった。身も心も預け、結ばれたと思うただ一人の人が、他の人と永遠の愛を誓いあう姿を見る寂しさは拭いようもない。けれど不実をなじろうにも、僕との絆を手放さぬルシウスの強い意思は認めざるをえなかった。振り返ればホグワーツ入学の頃からの長い年月、人好きのしない不器用でみすぼらしい僕に注ぎ続けてくれたルシウスの変わらない厚情には不思議な感動すら覚える。僕がルシウスを慕う理由は山ほど上げられるけど、ルシウスが僕を愛でてくれる理由など思い浮かびもしないのに。

そしてルシウスの隣に立つナルシッサに対しては、妬ましさは消せないけど、可愛らしい人だと思わずにはいられなくなっていた。おそらくナルシッサだって、ルシウスと僕との関係が普通でないと気づいていると思うのだけど、排除することもなく、僕がここに居ることを受け入れてくれた。それに、もしルシウスの隣にナルシッサがいなくても、そこにいるのは僕ではなくて、誰か他の純血貴族の魔女なのだと今ではわかっている。ナルシッサを恨む筋合いはなく、むしろナルシッサを見れば幸せを願ってしまうのだった。実際、ベストマンを努めた僕には2人の幸せを支える義務があるのだけれど。

新郎新婦の美しい姿に感動がこみ上げたり、寂しさを飲み込んだり、複雑な思いを抱えながら世話をするうちに式は終わり、ルシウスとナルシッサは腕を組んで参列者のほうを向いた。2人は少し膝を折って、にこやかに皆にあいさつをする。参列者からは祝福の声と拍手が起こった。その時。

片側でナルシッサと腕を組んだままのルシウスが、片腕で僕を引き寄せて肩を抱いた。戸惑っていると、ナルシッサがレギュラスを呼び寄せて、やはり反対の腕をレギュラスの腰に回している。そして僕たちは4人揃って参列者にあいさつをして、皆からはもう一度拍手がわいた。ルシウスはほんとうに、僕をこの結婚の当事者にしてくれようとしたのだ。そしてナルシッサもそれに応え、レギュラスを交え家族の絆を示してくれた。ルシウスが僕に笑いかけ、僕は涙をこらえた。後で見た写真の僕が仏頂面になっていたのは、そのせいだと思う。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルシウス セブルス ナルシッサ

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