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セブルスとルシウスの物語(43)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


闇陣営の中でレギュラスの失踪が逃亡として収束した後、ルシウスベラトリックスは、身内として万一にもダークロードに疑いの目を向けられぬように、そして他のデスイーターに軽く見られぬように、より一層の忠誠と貢献を示すべきだということで意見が一致したらしい。ルシウスは率先して襲撃に参加するようになり、魔法薬の調合がひと段落ついた僕も同じように復帰した。

タイミング的にも、以前からの抵抗者への制裁や見せしめ的な襲撃にくわえ、敵方のスパイや情報提供者、重要人物などを粛清する計画も始まって襲撃件数が増えた一方、闇祓いや協力する民間の者たちの増強によりデスイーター側の重傷者が増えて、人員が不足気味だったという事情もある。

実際、襲撃に行ってみると、僕が初めて加わった頃に比べ、闘いは格段に厳しくなっていた。以前の、デスイーター側が早々に勝利を決めて、あとは勢いにまかせて倒れた敵をいたぶっていた襲撃が、牧歌的だったと思えるほどだ。今回は襲撃をかけるや否や、どこからともなく闇祓いや民間の反撃者が現れて、彼らがまた恐ろしく手ごわかった。クルーシオやアヴァダケダブラの禁じられた呪文、他にも受ければ重傷となりかねない様々な得意技らしき術が、敵と味方の双方から飛び交うのだ。

僕は初め、強い攻撃をかけるのに、ためらいを感じていた。レギュラスが、あんなに痛めつけることはないんじゃないか、襲撃で死者が出たかもしれないし、その人の家族が悲しんだかもしれないと言っていた言葉が、頭に残っていたからだ。他の方法があるんじゃないかと。

でも、そんな一瞬の迷いで杖が乱れたのか、放った術は撥ね返されて、僕の体は激しく壁に叩きつけられた。倒れた僕に容赦なく放たれるクルーシオやら何やらを防衛呪文でかろうじて防ぎながら、体勢を立て直し攻撃を加える頃には、もう何も構っていられなかった。ただひたすら術に集中し、力の限り呪文を叫ぶ。向かい来る攻撃をかわし、傷ついた仲間がいれば、かばいあってまた術を放つ。劣勢となった敵を追い詰めながらも、背後からの反撃や、切羽詰まった味方が盲めっぽう放つ術にさえ、気を抜かぬ集中力がなければ怪我を負う。

闘いが始まってしまえば、正義も容赦も同情も、入る余地はないのだ。ただ、自分と仲間の身を守り、敵を倒す。わずかな迷いやためらいが命の危険に直結する。闘いは、そういうものになっていた。

僕たちはなんとか闇祓いを打ち返し、倒れている敵などかまう間もなく、闇の印を空に放って早々に撤退した。逃げた闇祓いが仲間を増やして再度反撃をかけるのを恐れたからだ。闇祓いたちの力の分散を狙って襲撃は数か所で行われたのだが、打ち上げの場所に戻ってみれば、各地から戻って来るデスイーターには怪我人が続出していた。

それでも今回の襲撃は、成功と言えるらしい。仲間たちに死者も捕らわれる者もなく、標的に大きな打撃を与えられたのだそうだ。

安全な場所に戻ってみれば、あの場所で身動きもせず倒れていた敵の中に死者はいなかったのかと気にかける余裕もできたけど、肩から腰までざっくりと切り裂かれ、倒れこむようにたどり着く仲間を見ては、敵に対する怒りがこみ上げる。敵を呪い、出来る限りの治癒を試みるしかない。

やがてダークロードが皆の健闘を称えて勝利宣言をし、こんな争いに早く決着をつけ、我らが目指す世を実現するのだと檄を飛ばすと、集まった者たちから歓声が上がった。それに続くパーティでは、次に闇祓いの誰それに会ったら叩きのめしてやるとか、アヴァダの一発で仕留めるのでは物足りないとか、物騒な会話ばかりが声高に交わされている。一方で、声をひそめて負傷で闘いに復帰できぬ仲間の近況を伝えあったり、自身の癒えぬ傷の悩みを話す者もいた。

こんな襲撃が何度か続き、何度目かの時にルシウスが怪我をした。術に飛ばされた時に何かにあたって切れただけでたいしたことではないとルシウスは言ったけれど、右肩から肘にかけての痛々しい傷に、僕は震えあがった。今回は軽傷で済んだけど、いつどんな重傷を負うかもしれないのだ。レギュラスの失踪のあとで、身近な人の安否には前にも増して神経質にならずにいられない。必死の闘いが続く襲撃で、僕は片時もルシウスの傍を離れないようにした。気づいたルシウスは迷惑がっていたけれど。

同時に、僕は効果的な治癒魔法の勉強をし、襲撃時には使えそうな魔法薬をローブに忍ばせて出かけるようになった。ルシウスの怪我に備えてのことだったけれど、実際に闘いで傷を負う仲間がいれば、誰彼となく手当てすることになる。いつの間にか、打ち上げ会場に着くと負傷者の手当てをするのが僕の役割になっていた。負傷者は聖マンゴ病院で治療を受けることもできるのだけど、度重なれば怪しまれてしまう。デスイーターの正体を暴かれることを恐れ、余程のことがない限り病院の治癒を受けられない状況の中で、僕の応急処置は重宝された。

そのうち、幹部の集まりの際に、僕はダークロードから、襲撃に出るのは控え、負傷者の治癒に備えて待機するよう命じられた。怪我の治癒が早ければ、それだけ早く襲撃に復帰できる。敵数も標的も増えたこの時期は、怪我の治癒のために休む期間を短くすることも、人員の確保に大切なことだと言うのだ。

同時に、敵の反撃を抑えたり負傷者を守るための煙幕のようなものが開発できないかとも相談された。ダークロードのイメージするものは、煙で視界を遮るだけの煙幕ではなく、デスイーターだけが通過でき、敵は通れないようなものだ。煙幕を張った内部で標的だけを狙うことができれば、ダメージの大きい闇祓いたちとの闘いを避けられるし、撤退時の追撃を防ぐにも有効なはずだと言う。

僕は襲撃後の治癒も煙幕の開発も喜んでするつもりだけど、ルシウスが危険な襲撃に行くのに同行できなくなるのは不安でならない。ルシウスにそう訴えると、心配性なヤツだと面倒そうに言いながらも、ダークロードに何事か話しに行った。どんな話をしているのかわからないまま見ていたら、2人で顔を会わせて笑ったかと思うと、ダークロードが大きくうなづいてルシウスの肩を叩いていた。ルシウスは戻って来て、僕の耳元に口を寄せ、おまえが心配するから私も襲撃にはあまり出ないですむよう話してやったと言う。危険な時期の襲撃など、行きたい者に任せておけばよいのだと。

僕もほっとして2人で帰ろうとすると、後ろから呼びとめられた。振り向くと、レギュラスの一件で親しみの増した感があったベラトリックスが、肩をそびやかして立っていた。

「ルシウス、スネイプ、難を逃れるずる賢いやつらだ!」

「これはベラトリックス、何のことかね?」

「ルシウス、わたしは聞いておったぞ。危険な襲撃を逃れようと、せこいことをする。スネイプ!おまえは恥ずかしくないのか?仲間たちが命がけで闘うなか、男のくせにチマチマと看護婦の真似事をして我が君の目にとまるとは。」

ひどい言いがかりだ。負傷者の手当ては重要だとダークロードが認めていたじゃないか。言い返そうとしてとっさに口が動かないうちに、ルシウスが答えていた。

「男のくせにと言うが、ベラトリックス、唯一の女である君がそのような気配りをしていれば、ダークロードの目にとまったのはセブルスではなく君だったのではないかね?お目にとまれず残念だったな。」

「うるさいルシウス。それではスネイプは仲間たちが命をはって闘う間、ぬくぬくとたき火でもしておればよかろう。それでルシウス、おまえは何だ?なぜ襲撃に出ぬ?我が陣営が苦戦している時こそ、日頃のリーダー面を生かして先頭切って闘うべきではないか?」

ベラトリックス、このような時こそ、個別の襲撃云々でなく、陣営皆の士気を高めることが重要なのだ。私は我が君から、全体を俯瞰して戦術を練る能力を買われているのだ。」

「皆の士気を高めるだと?そのために襲撃を免れて、おまえが何をするというのだ?」

「わからんかね?ロイヤルベビーの誕生だ。マルフォイ・ブラックという名門貴族の次世代誕生こそ、純血魔法族の未来を描く象徴となる。明るいニュースがあれば皆の士気も上がるとダークロードもおっしゃった。私が夜ごと襲撃に出かけていてはそれも望めぬ。もっとも、君のところもそれに相応しい名門ではあるが、君は夜ごと我が君のもとに侍り、杖を振り回して暴れることを望んでいるから難しいであろう。だから私の肩に期待が圧し掛かるのだ。」

「な、、、何と厚かましいことを。そのようなことを我が君に申し出ておったのか。」

口達者な2人が繰り広げる決闘にも等しい応酬を、僕は口をはさむ気にもなれず眺めていたのだけれど、ルシウスがダークロードにそんな話をしていたとは、ベラトリックス同様唖然とする思いだった。しかもルシウスの場合はそれで話が通るのだ。呆れたあまり一瞬たじろいだベラトリックスは、素早く体勢を立て直して反撃に出た。

「ルシウス、我が妹という最も尊き血筋の妻を得ながら、半年近くも子を作れぬ者が今さら何を言う。おまえを可愛がってやった時にはよい男に育ったものだと思ったが、」

ルシウスがおもむろ顔をしかめた。え、この人たちはまさかと思う間もなく、言葉を切ったベラトリックスは値踏みするような目で僕をじろりと睨んだ。

「このような冴えない小僧にかまけておるうちに、」

ベラトリックスは見下すような視線をルシウスに戻した。もちろん僕は冴えない小僧だと思う。

「無駄玉を打ち過ぎて、子種が腐ったのではないか?」

僕は、絶句するルシウスを、初めて見た。舌戦を制したベラトリックスは、黒髪をなびかせて意気揚々と去っていった。


それからルシウスは、ナルシッサにかまいきりになった。レギュラスの失踪からまだ立ち直れないナルシッサの気を引き立てるように、買い物に誘い出したり、ダイニングルームを華やかに飾って2人で夕食をとったりする。初めは気乗りしないようだったナルシッサも、徐々に明るさを取り戻していった。ルシウスは目標を持ってその気になれば、いくらでもまめになれるし、細やかな気配りもできるのだ。

ナルシッサのためにはよいことだと思いつつ、ルシウスが夜中にこっそり部屋に来ることもなくなり、僕はまた物寂しい気分で夜を過ごすようになった。仲睦まじい2人のことも、ベラトリックスとルシウスの舌戦のことも、レギュラスと話せたらどんなに気が紛れるかと寂しさが増し、気を取り直そうと煙幕の開発に取り組む。

ベラトリックスにはたき火でもたいておればよいなどと罵倒されたけど、ダークロードの望む煙幕は、たき火で上がる煙というわけではない。魔法薬の得意な僕に命じたのだから、ダークロードも爆薬のようなものを考えたのかもしれないけど、むしろプロテゴ(楯の呪文)が作り出す透明なバリアに煙の目隠しをつけて敵を撹乱するイメージだと思う。

何人もの強力な闇祓いの攻撃に耐えうるためには、楯の呪文のうちでも最強のものをベースにすべきだろうし、さらにデスイーターだけが通り抜けられるような、無言呪文を創作しなければならない。言葉を発する呪文では、すぐに敵にも使われてしまう。

大まかに考えただけでも、容易ではなかった。けれど、これは味方も敵も犠牲を抑える、レギュラスの意に沿う戦法でもある。どうせルシウスにもナルシッサにもかまってもらえないのだし、少しでも早く作り出せばダークロードにも評価されるのだと、夜昼かまわず熱心に取り組んだ。

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tag : ハリーポッター スネイプ ルシウス ダークロード ベラトリックス

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