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セブルスとルシウスの物語(44)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

そんな日が続いたある夕方、屋敷妖精から旦那様と奥様がお呼びですと言われ、リビングルームに行ってみると、ルシウスがいらだたしげに歩き回り、ナルシッサはソファでハンケチを握り締めていた。

「どうしたのですか、2人とも?最近は私のことなど顧みもせず、2人で楽しく暮らしていると思っていたのですが。」

セブルス、そんな嫌味を言ってないで、聞いてちょうだい。」

ナルシッサはわなわなとふるえる両方の手で、ハンケチを破れるほどに引っ張っている。

「今日2人でダイアゴン横町に買い物に出かけたの。そうしたら、」

「ばったりウィーズリー一家に出くわした。」

「ウィーズリー?」

「アーサー・ウィーズリー。グリフィンドールの赤毛だ。おまえは知らぬか?」

僕は首を横に振る。

「とにかくそのウィーズリーというヤツは、貧乏人のくせに口ばかり達者で何かにつけて私に楯つく、マグルびいきの血を裏切るバカ者なのだ。子供をぞろぞろと引き連れて通路をふさいでいでいたから、じゃまだと言った。」

「そうしたらモリー夫人が抱いていた赤ちゃんが、おそらくは双子ね、ご主人も一人抱いていたから。赤ちゃんがわたくしの服を引っ張ったの。」

「赤ん坊は汚い手でナルシッサに触るし、他にも子供3人が通路を走るから、育てる金もない貧乏人が、しつけの悪い薄汚れた子供を連れて歩き回るのは、迷惑だから退けと言ったのだ。そうしたら、、」

ルシウスが怒りに顔を歪めて口ごもるのをナルシッサが引き継いだ。

「そうしたら、モリー夫人が、お宅は子宝に恵まれなくてお気の毒ねと言うのよ。うちは男の子ばかり5人もいるから今度は女の子がいいわ、ですって。」

「アーサーのヤツは、マルフォイ家は跡継ぎができなくてたいへんだなと、作り方を知らぬならおしえてやってもいいが、他に事情があるなら気の毒なことだなどと言いおった。まるで私に子種がないかのように。あの貧乏人のグリフィンドールが。子を育てる金もないくせに。」

ルシウスはすごい剣幕で息を荒らげ、ナルシッサも悔しさのあまり泣きそうな顔をしている。ベラトリックスの悪態に続いて、ルシウスも不幸続きだと思いながら、僕が口もはさめずにきいていると。

セブルス、子供ができるように助けてくれるわね?もう悔しくって、わたくし買い物にも行けないわ。」

「・・・。助けろと言われても、私に何をしろと?」

「あなたは家族も同然でしょう?わたくしたちの問題はあなたの問題でもあるのよ。子供ができるように、なんとかしてちょうだい。」

「セヴィ、3人で力をあわせて子づくりに励むのだ。」

「・・・」

2人の勢いに押されれば抗う術もないからうなづきはしたものの、なんとかしろと言われても何をすればよいのかさっぱりわからない。だいたい女の体も知らない僕に、何ができるというのか?

仕方がないから本で調べようと本屋に行ってみた。だけど、本屋のそのコーナー一帯というのは、若い男一人が立ち止まることさえいたたまれないものがある。しかたないから屋敷に戻ってナルシッサに同行を頼むと、そんな本を見ている所をモリー夫人に見られるくらいなら死んだ方がましだと断られた。僕は死んだつもりになってそれらしき本数冊をまとめて買いこみ、目を通した。

本で読んだ妊娠の理屈自体はそう難しいものではなかった。要は受精して、受精卵が子宮に着床すればよいということだ。妊娠の確率を高めようと思うなら、まず卵子と精子が健康であること、排卵日を調べてその前後に何回か営みを持つこと、そして受精卵がしっかりと着床できるように子宮壁が健康であることがポイントのようだ。

ルシウスたちの場合、まずできそうなことは、2人が健康的な生活を送ること、特に母体であるナルシッサの全体的な体調を整え、卵巣や子宮を強壮してやることだ。それから毎日体温を測って排卵期を知る必要がある。怪しげな魔術を使う方法を記す文献もあったけれど、確実でない上に子供への影響も懸念され、なによりルシウスもナルシッサも若く健康なのだから、正攻法で妊娠しやすい状態にするのが最適と思われた。

排卵期を知るために毎朝ナルシッサの体温を調べるように2人に言うと、ルシウスは少し面倒そうな顔をして、排卵日などわからずとも毎日すればよいではないかなどと言う。過度な営みは精子の質を落とすとの説もあるから、可能性の高い時期に備えて節度をもったほうがよいらしいと言うと、ルシウスはベラトリックスの無駄玉云々を思い出したらしく、嫌な顔をして口を閉じた。人を黙らせたいときは、このように痛い所をつくことだと勉強になる。

それから多くの文献を調べ、女性の体のリズムやナルシッサの体調に合わせて、一日ごとに細心の注意を払って魔法薬を調合した。排卵期前の数日は、ルシウスにも男性用強壮薬をつくって渡し、酒を控えるよう念を押した。ナルシッサの健康な母体をつくる体操につきあい、妊娠しやすい食事、受精しやすい体位とか時間帯、月の満ち引きとの関係といった眉唾ものの情報まで調べて、僕は全力でナルシッサの懐妊をサポートした。

ナルシッサはよく頑張り、ルシウスも協力的だったのに、期待して迎えた翌月にナルシッサが月のものを見た時には、3人で言葉もなく落ち込むばかりだった。それでも、妊娠は確率の問題の面もある。前月よりは改善した状態でいどめるのだから気落ちしないようにとナルシッサを励まして努力を続けた。

翌月にその努力も空しい結果に終わると、ルシウスとナルシッサの意気込みは目に見えて低下した。すべてに恵まれて育った2人は、事がうまく運んでいるときは実にご機嫌なよい人たちなのだけど、いったん壁にぶつかるとすぐやる気をなくし、忍耐ということを知らない。ナルシッサの精神面も考えて、気持ちを和らげる薬草を加えるなど、僕は工夫を重ねた。

ナルシッサはやや投げやりなふうながら、それでも僕がくどくどと言うから魔法薬はなんとかのんでいたのだけれど、排卵期を過ぎた頃、胸や腹を締め付けるようなドレスを着ているのを見て、着床の妨げにならぬよう念のためゆったりとした服装にしたらどうかと勧めたら、かんしゃくを起こした。

「もうたくさん!これを飲め、あれを食べろ、バカげた体操に、面白みのないセックス!いい加減、うんざりだわ!そのうえお洒落までいけないというの、セブルス?!」

日頃しとやかなナルシッサの激昂にたじろいでいると、不穏な気配を察知したルシウスは、静かに窓際へと逃れていった。

「そんなにあれこれと口うるさく言うのなら、あなたがやってみなさいよ!」

「私も日々魔法薬を調合しているし、食材の調達もしています。体操だって一緒にしているではありませんか。ナルシッサ、落ち着いて・・」

説得を試みた僕の言葉は、火に油を注いだだけだった。いらぬ口をはさんだ僕を睨みつけ、肩をそびやかす様が姉のベラトリックスにそっくりだと気づいたとき。

「あなたなら魔法薬も食材も体操も完ぺきだというわけね!それならセブルス、あなたが妊娠すればよいわ!体位だってお手のものなのでしょう!」

こ、この人はなんてことを言うのだと唖然とし、それから思わず顔が熱くなる。と、窓際に避難していたルシウスが顔をひきつらせながらやってきた。笑うのを堪えているのだと思う。

「セヴィ、なぜ顔を赤らめているのだ?ナルシッサ、いい加減に許してやりなさい。かわいそうに、セヴィが恥じらっているではないか。」

ルシウスが噴き出し、ナルシッサも我に返ったようで、僕の顔を見て噴き出した。2人は噴き出したまま笑いが止まらず、ナルシッサなど目じりを拭いている。僕が憮然としていると、ようやく笑いのおさまってきたルシウスが、まだにやつきながら言った。

「わかった、わかった、セヴィ。おまえがそんなにも頑張っているのだから、私たちも協力してやらねばな。な、ナルシッサ?」

「ええ、そうね。セブルス、あなたの好きな服を着てあげるから、機嫌をなおすのよ。」

なぜこういうことになるのか僕にはさっぱりわからないけれど、その後2人は頑張る僕に協力してくれることにしたらしい。ナルシッサはセブルスに協力しなきゃといちいち言いながら魔法薬を飲み、食事は残さず食べ、ゆったりとした服を着て半月を過ごした。

そして、あれやこれやの思いや出来事は、ナルシッサに妊娠の兆候が現れてすべて吹っ飛んだ。月の予定が過ぎてからの1日1日を、僕たちは期待と不安で固唾を飲む思いで数えては数えなおし、1週間が過ぎた日に、3人で肩を抱き合って喜んだ。

ルシウスと僕はかわるがわるナルシッサのお腹に手をあてて、今動いたのがわかったかというルシウスに、まだほんの数ミリのはずだと指摘するとつまらぬことを言うなと言い返されて、ほんとにつまらぬことが愉しくて嬉しくて、3人で泣き笑いした。

すでに事を成し遂げた気になって、すぐにでも皆に発表すると騒ぐルシウスを安定するまで待つよう引きとめているうちに、ナルシッサの悪阻が始まった。ルシウスはダークロードにブラック家出身の妻の懐妊を告げて襲撃などの活動に戻り、僕もそうしたかったのだけど、できなかった。ナルシッサに引きとめられたからだ。

悪阻はお腹の中の子が健康に育っている証なのだから心配はないと説明したのだけれど、セブルスのために頑張ってあげたのに、懐妊した途端に苦しむわたくしを見捨てるのかと青ざめた顔で涙ぐまれては、やむなく付き添うほかはない。実際、悪阻を和らげてすっきりする水薬を飲ませ、お腹を撫でてあげると、楽になったと喜んで、そのまま眠ってしまうこともある。

ナルシッサの和らいだ寝顔を見ていると、時々レギュラスを思い出した。レギュラスも大好きなシシー姉様の妊娠を知れば喜ぶだろうと思ったり、悪阻を心配するかと思ったり、あまりにその寝顔が愛しく思える時は、僕の中でレギュラスがナルシッサを見守っているように感じることもあった。もしもうこの世にいないのであれば、本で読んだマグルの東洋思想にあるように、49日を過ぎて新しい命としてナルシッサに宿っていればいいと願う。そうすれば二度と寂しい思いをすることもなく、一身にナルシッサの愛を受けることができるだろう。

年の暮れになってナルシッサの悪阻がおさまり、今度こそ僕もデスイーターの活動に復帰しようと思った時、ナルシッサを悲しみが襲った。レギュラスの失踪以来病床についていたレギュラスの父、ナルシッサの伯父と、ナルシッサの父親が相次いで亡くなったのだ。

ブラック家は再び悲しみに包まれ、ようやく安定期に入っていたナルシッサも、せめてもう少し待ってくれれば孫の顔を見てもらえたのにと悲嘆にくれて寝込んでしまった。妊娠中の強いストレスはどんな大事につながるかわからない。僕も心配で目が離せなかったし、妹の見舞いに立ち寄ったベラトリックスも、付き添う僕に暴言を吐くことはなかった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルシウス ナルシッサ セブルス

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Re: No title

カギコメさん、

応援&ご指摘、ありがとうございます!
子供の数、うっかりしました^^;
モリー、アーサーごめんなさい。
てことで、訂正いたしました。
今後ともよろしくお願いします♪

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