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セブルスとルシウスの物語(45)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


僕が数か月ナルシッサの世話に明け暮れている間、闇陣営はあいかわらず、敵方のしつこい反抗に手を焼いていたようなのだけど、僕はすっかり事情に疎くなってしまった。ナルシッサが眠った後に屋敷を出て襲撃後の負傷者の手当てに駆けつけたり、屋敷で煙膜の開発を進めたり、命じられた魔法薬を作って届けるほどのことしかできなかったからだ。ルシウスの話では、闇祓いに協力する民間の者たちが、どうやらダンブルドアの元で組織的に動いているらしいとわかってきて、メンバーの狙い撃ちのようなことも始まっているようだった。

ようやく復帰できたのは、すでに年が明けてしばらくたってからだった。幹部の集まりに出かけ、ダークロードや先輩デスイーターたちに不在を謝罪した。そのへんはルシウスがうまく話してくれてあったらしく、ダークロードからは煙幕の開発は進んでいるかと尋ねられただけだった。

未完ではあったけれど、僕は煙幕の術を披露することになった。杖をかまえ、幹部たちの前で、新しい呪文を唱えてみる。プロテゴ・マキシマ・コンフーモ!僕の杖の向こうに、もうもうと煙が立ち込めた。何人かが煙を駆け抜けようとして跳ね返されると、喝采があがった。通過できる無言呪文をおしえて、しばらく練習した後に何人かが通り抜けられると、通過できた数名は大喜びで、残りの者たちは悔しがってやっきになって呪文の練習を重ねている。

ダークロードも満足げな顔をして、見事な術だと褒めてくれた。未完というのは、煙幕を張っている間、ずっと杖を掲げて術をかけ続けなければならないからだ。いったんできた煙幕が、杖をはずしてもしばらく張られている状態を、僕は目指している。そうなれば、術者も闘いに戻れるし、煙幕を残したまま安全に撤退することもできる。

この構想を話すと、ダークロードは開発を続けよと言い、だが今の段階でも十分に実践に役立つから、まずは幹部たちに指導するよう命じられた。楯の呪文の最強レベルであるプロテゴ・マキシマムだけでも難しいものだから、皆がすぐできるようにはならなくて、何度か練習会を重ねるうちに幹部会に集まるデスイーターたちの特徴がなんとなくわかってきた。

まず、武闘派といえるグループがある。彼らは攻撃力に優れていて、襲撃を率いたり、突発的な抗争には直ちに駆け付けるし、ダークロードから密かに命じられる襲撃や粛清のようなこともしているらしい。磔の術や死の呪文が得意で、他にも僕の知らない闇の魔術を駆使する人もいる。煙幕の術を習得するのもこのグループが多かった。闇祓い局のアラスター・ムーディとも何度が死闘を繰り広げ、よく罵っている。魔法省からデスイーターではないかと目をつけられている人もいて、中には尋問されて証拠不十分や裏工作で免れた経験の持ち主もいるようだ。

それから、主に魔法省の工作を受け持つグループがある。彼らは魔法省に潜入し、それぞれの立場で純血主義やダークロードの意に沿う施策を進めたり、情報を得たりしている。必要があれば魔法省の関係部署の職員を仲間に引き入れたり、同意しなければ服従の術や脅しで協力させる。武闘派のグループに比べると、ずっと用心深くデスイーターであることを隠していた。それを知られれば任務が果たせないばかりか、退職を強いられたり罪に問われることさえあるから当然だ。彼らは闇陣営に対して強硬策をとり、締め付けを強める魔法執行局長クラウチ氏の悪口を言うことが多い。

ルシウスもどちらかといえばこちらに属していて、魔法省に勤務しているわけではないけれど、省の高官との交友関係を生かして、思い通りに動かしたり情報を得たりしている。それだけでなく、ダークロードの信認も厚く、相談役のような役割を果たしたり、デスイーター全体を統合することもある。

他に、魔法省以外の工作を受け持っているグループもあった。これはあまりわからないのだけど、人狼や巨人といった闇の魔法生物とつながりを持ち、スパイを放ったり闇陣営に引き込む企てを遂行したり、大陸ヨーロッパの魔法族との連携を図ったりしているようだ。

これらのグループは他が何をしているか知らないこともあるけれど、互いに協力し合うこともあるし、ダークロードがグループをまたぐ人選をして任務を与えることもある。もちろん皆で手分けして同時襲撃を行ったりもする。

煙幕の術の練習が終わってしまうと、僕はこういう特徴ある幹部たちの中で、なんとなく自分の立ち位置がわからない気がしていたのだけれど、ダークロードから新しく、ダンブルドアの動向を探るよう命令を受けた。

セブルス、余はおまえの能力を高く買っておる。あれこれと私事の重なったマルフォイ家の援助のために活動に専念できぬ時期もあったが、その間にもすぐれた術の開発をはじめ、治癒や魔法薬など他の者にできぬ任務を充分にやり遂げた。闇の魔術の腕も優れておると評価しておるぞ。」

「我が君、そのように言っていただけて光栄です。不在の間に状況に疎くなってしまったと思うのですが。」

「たしかにそうであろう。だが、それすらもこの任務には好ましい。」

「我が君、どういうことでしょうか?」

ダンブルドアに近づかねばならぬからな。余計なことは知らぬに越したことはない。万一ダンブルドアに疑いを持たれ、探られたとしても、知らぬことは話せぬであろう?知らぬ方が疑いも持たれぬ。」

「私は何をすればよいのでしょうか?」

ダンブルドアの身辺を探り、できるなら、ホグワーツに入り込むのだ。ぜひそうせねばならぬ。教師となってホグワーツに入り、中からダンブルドアの動向を探るよう努めよ。我らの勢力は、魔法省の全権掌握まであと一歩のところまで来ておるが、魔法省の外でダンブルドアがあれこれと企てる動きがつかめておらぬ。ホグワーツは毎年新任教師の採用に苦労しているし、おまえのように優秀なら教師として不足はない。」

「ホグワーツでは先生が不足しているのですか?」

「余が呪いをかけて闇の魔術に対する防衛術の教授職は長持ちせぬし、我らへの反抗と見なされかねぬホグワーツに職を求める者は多くないはずだ。おまえのように優秀な者なら、充分可能性はある。ところでセブルス、おまえはダンブルドアとの面識はあるのか?もちろん校長としては知っていたであろうが。」

「直接話したことは、わずかですが。」

僕は5年生の時の暴れ柳事件の顛末を思い出した。あの時校長先生がブラックとポッターを適切に処罰してくれていたらとダンブルドアのグリフィンドールびいきへの不満を思い、同時にポッターたちへの憎しみが鮮烈によみがえった。卒業後関わることがなくなり、思い出すことが少なくなっても、癒されぬ感情は消えることなくそこにあるのだ。

ダークロードは僕の目をじっとのぞきこんでいた。上手く進めばスパイとしてダンブルドアの元にいることになるから、開心術で僕の忠誠を確かめているのかもしれないと思う。。だけど誰に対しても明かさぬと決めたレギュラスとクリーチャーがあの夜僕の部屋に現れたこととリリーへの強い想い以外は、隠すことはない。ダークロードの顔に笑みが浮かんだ。

「ダンブルドアにあまりよい感情は持っていないようだな。」

「はい。子供心に、グリフィンドールばかりをひいきすると感じたことがありました。」

「まったくその通りだ。家庭に恵まれぬ生徒にそのような思いをさせるとは、校長として怪しからぬと余も思うぞ。」

やはり優れた開心術で、僕の心を確かめたのだ。マグルのひどい父親を持った惨めな子供時代も見えたのかと不安に思ったのだけれど。

セブルス、ここだけの話だが、父親の血筋など気にせずともよい。混血であろうと不遇な育ちであろうと、優れた魔法族の血が流れておることはおまえの魔力が証明している。その力を持って陣営に貢献せよ。」

いつも純血を称えているダークロードのその言葉には驚いたけれど、嬉しかった。

「魔法省からの情報によれば、ダンブルドアはホグズミードで教師の候補たちと会っているらしい。その機会を逃さぬよう、おまえもダンブルドアとの面談を果たし、就職希望を伝えておけ。」

「我が君、任務を果たせるよう、全力を尽くします。」


ホグズミードの村で探っていると、ある日ダンブルドアがパブのホグズヘッドに現れた。こっそり後をつけると、奥にある宿泊用の客室に入っていき、出てこない。ドアに近づき室内の様子を探ろうとした時。

うめきとも叫びともつかぬ、荒々しい太い声が漏れてきた。おかしな声にぎょっとして、でもダークロードという言葉が聞こえたから、僕はとっさにドアに耳をあて、聞きとろうとした。声が厳かに告げる。

「ダークロードを打ち破る力を持ったものが近づいている、、、7つ目の月が死ぬ時、ダークロードに3度抗った者たちに生まれる、、、」

一語一句聞き逃さぬようにと集中していると。

「何者だ!客室棟に忍び込んで何してるんだ!」

突然パブの男が現れて僕の腕をつかみ、詰問された。僕は通路に迷って入りこんでしまっただけだと言ったのだけど、男は怪しい者だと喚いて騒ぎ立てる。部屋のドアが開いてダンブルドアの険しい顔がのぞいた。部屋の中にはかわった眼鏡をかけた魔女が座っているのが見えた。こんな状態で目立つのはかなわないから、できるだけ早くその場を逃れるしかない。

ダンブルドアとの面談もかなわず、むしろ怪しまれる状況で逃げ帰ったことに気落ちしたけれど、それでもダークロードに関わる重要な情報を得たと言えるのではないかと思う。あれは、予言ではないか?

僕はダークロードの元に参じ、耳にしたそのままを報告した。ダークロードは僕に予言の言葉を繰り返させてしばらく考え込んでいるようだったけれど、ダンブルドアとの面談がかなわなかったことを責めることはなく、むしろ重要な情報を得たと評価してくれた。しばらくこのことは口外するなと命じ、教職を得る機会はまたあるだろうから次に備えればよいと言った。

僕は魔法省グループと連絡をとりながらダンブルドアの動きを探るとともに、襲撃にも加わった。僕が開発した煙幕の術は、結局幹部の数名しかできるようにならなかったけれど、通過呪文は難しいわけではないから皆がマスターし、襲撃で使われて絶賛された。

闇祓いが反撃に駆け付けた瞬間に煙幕を張り、跳ね返される彼らを尻目に我らだけが通り過ぎるのを見たムーディの顔は見物だったと誰かが囃したて、開発した僕を見直したと言いに来てくれる人までいた。見直したというのだから、それまでは魔法薬やら何やら得体のしれないことをしている若造とでも思われていたのかもしれないけど、これで力を認められ、仲間と打ち解けることもできた気がする。


それから間もない6月の初め、マルフォイ家は喜びに包まれた。ついにナルシッサが出産したのだ。聖マンゴ病院の特別分娩室の外で、ルシウスと僕は漏れ聞こえるナルシッサの叫びをききながら、期待と不安で失神しそうな数時間を過ごした。

ようやく産声が上がって室内に招き入れられ、やつれながらも満ち足りたナルシッサの笑顔と、ルシウスの腕に渡された生まれたばかりの赤ちゃんを見た感動を何と表せばよいのかわからない。天使だ、天使だと、信じてもいない存在の名が繰り返し胸に浮かぶ。ルシウスからおまえも抱いてみろと渡された、軟らかくて温かい小さな宝物を大切に抱え、ベッドに横たわるナルシッサの腕にそっと置く。

屋敷に戻っても、ドラコと名付けられた天使を囲んで、僕たち3人の幸せな高揚感は増すばかりだった。ぷにゅぷにゅとした小さな手のひらや足の裏をつついたり、開いてもいない目がルシウスとナルシッサのどちらに似ているかと言いあってみたり、泣けば泣いたで泣き声が元気だと喜びあう。

夜、部屋に忍んできたルシウスと慌ただしく体を満たしても、あとはすぐドラコの話になった。男2人がベッドに横たわり、頬を緩めて赤ん坊の話をするなど間抜けなことこの上ないと思うけど、2人ともドラコに夢中なのだからしかたがない。

そこにいるだけで幸せな光を放つような赤ん坊のことを思うと、命の誕生とはこれほどに祝福に満ちているのだと泣きたいほどに感動し、ふと、自分のことが顧みられた。僕が生まれた時も、こんな景色があったのだろうか?物心ついた時には父さんに疎まれていて、ほどなく母さんにも忘れられてしまったけれど、父さんと母さんも僕の誕生を祝福してくれたのだろうか?

記憶を辿っても赤子の時の覚えなどあるはずもなく、ただ、スピナーズエンドの家の地下室の、こわいほどに寂しい暗闇が冷たく心を覆う。一瞬揺らいだ暗がりの中に、小さな花が浮かびあがった。花は開いたり閉じたりを繰り返しながらふわふわと空を舞って小さな手のひらに乗り、幼いリリーの笑顔が現れる。

あたし、リリー。あなたはセブね。また明日会おうね。

僕にその祝福を与えてくれたのはリリーだったのだと気づく。僕はあの公園で、初めて僕の命が祝福されたと感じられたのだった。

「セヴィ、どうしたのだ?ぼんやりとして。」

ルシウスの声に我に返り、間近にある見慣れた美しい顔を見ると、今ここにあるすべてが奇跡のように思われた。温かい体を抱きしめて、溶けるような喜びを感じながら僕は思う。ルシウスは与え、ナルシッサは受け入れ、ドラコは産まれてくれた。あの時リリーが僕に祝福をくれて、今僕はこんな幸せを味わうことができる。

「なんだかとても幸せで。」

それだけ言って言葉に詰まると、ルシウスは僕の髪を撫で、胸に抱き寄せた。

***
(過去1)セブルスとルシウスの物語はおわりです。(過去2)に続きます。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルシウス ダークロード ダンブルドア

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