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ルーピンの物語4

(これは『ハリーポッター』の本と映画鑑賞後の、妄想です)

満月が近付くと、いつも精神不安定に陥るけれど、今回は眠れず食べれず、体調も最悪だ。だけど、ジェームスたちに、叫びの屋敷には絶対近付かないようにということだけは釘を指しておいた。医務室にも来ないでほしい。あんなことがあったから、一人で過ごしたいと言うと、さすがにうなづいてくれた。

マダム・ポンフリーに頼み、しっかりと施錠してもらう。誰であっても、獣の僕に近付いてほしくないと頼むと、では医務室で待っていますから、目覚めたら必ずすぐ来るのですよと念を押して帰って行った。

僕は勇気がなくて真実を伝えることはできないけれど、せめて、二度と人間に襲いかかろうとするような真似はしたくない。何度も施錠を確認し、衣服を脱いで、部屋の隅にうずくまる。

やがて、体の奥から変身のうごめきが起きた。いつにも増して凶暴なうごめき。(肉を・・。狩るのだ、人間を)狼が怒っている。アニメガスたちと森林を駆け回った楽しい時を奪われて。




全身の痛み。血のにおい。意識があるだけ、前回よりはマシらしい。きしむ関節の痛みに耐えながら体を見ると、腕には噛み傷、胸や腹、いたる所に深い裂傷がある。あごから滴る血を拭うと、掌にべったりと血がついた。顔も首も掻き毟ったらしい。生きているところをみると、どうやら頸動脈は避けたようだ。

怒りのはけ口もなく、わが身を掻き毟る狼が、ふと哀れに思えた。医務室に行く前に、おまえの好きな森に寄ってやろう。

なんとか身なりを整え、外に出るとうっすらと雪景色。明け方から降り出したらしく、まだはらはらと雪が舞っていた。狼も雪にはしゃいでいるだろう。人影のない小路を、よろめきながら禁じられた森に向かう。ふと何かにつまづいたと思ったら、踏みとどまる力もなく倒れてしまった。ひんやりとした雪が、傷ついた体に心地よい。

僕はもう歩けないけど、狼、森に行って遊んでくるといい。禁じられた森なら人を傷つけることもない。お前だってこんな体に閉じ込められて、満月の夜には足かせをはめられ、さぞかし鬱憤がたまっているだろう。もうこれが最後だから、自由に走ってくればいい。僕はこのまま眠りたい・・・



「おい、人狼。こんな所で何をしている?一人でぶつぶつと、ついに頭もいかれたか?」

空から声が降って来た。目のわきに黒いローブのすそ。たどって行くと・・・

「ス、スネイプ!」

一瞬頭が混乱した。そうだ、変身前にスネイプの姿を見て、、、ではそのまま食い殺してしまったのか?死ぬ前に神様が許しを請うチャンスを与えてくれたのか?

スネイプ、食ってごめん。君が来るなんて、知らなかったんだ。」

「何を言っている?僕を食う夢でも見ていたのか?よほど飢えていたようだな。」

「ス、スネイプ。生きてるの?」

思わず手を伸ばしてローブのすそに触れようとすると、

「触るな!人狼」

「ほんとにスネイプだ。生きててくれたんだね、ほんとによかった、よかったよ。ありがとう」

もう、何を言っているか分からない。わからないけど、涙がこぼれていたみたいだ。そこだけ熱く、雪が溶けたから。

スネイプはしゃがみこみ、嫌そうに僕の体をあおむけに返した。シャツからにじむ血の多さにちょっと驚いたらしい。

「ひどいものだな。先月は僕がこの餌食になりかけたというわけか。」

薬草を刻んでいたあの器用な指先でシャツのボタンを開き、そのままシャツで血をぬぐっていく。大きな傷から癒しているらしい治癒呪文を聞きながら、スネイプ、できるのは闇の魔術だけじゃないんだと思う。ようやく頭がはっきりしてきた。ここできちんと謝っておかなければ。

「スネイプ、ほんとにすまなかった。ジェームスが君を助けてくれなかったらと思うと、」

「ふん。ポッターが助けたのはおまえさ。おまえと、ブラックのバカだな。」

「それから、ありがとう。僕が人狼だと言わないでいてくれて。」

「校長先生に言われたからさ。それに、、、おまえ、5歳の時に噛まれたんだってな。」

「うん。それからは周りに迷惑かけてばかりなんだよ。この前は君もひどい目に合わせてしまって。ほんとに」

「わかった。もういいから黙れ。」

しばらく治癒呪文を続けて、スネイプが言った。

「大きな傷はふさいだから、あとは医務室に行け。立てるか?」

よろけて思わずスネイプにつかまった。振り払われるかと思ったけどスネイプはそのまま突っ立っていて、それからかがんでローブを拾うと僕の肩にふわっとかけてくれた。

「スネイプ、なぜこんな時間にこんな所に?」

医務室に向かおうとしてふと尋ねると、

「摘みどきの薬草を摘みに来たんだ。」

スネイプの顔に、わずかに笑顔のような表情を浮かんだ気がした。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター スネイプ ルーピン

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