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(過去2)リーマスの物語2

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)


「リーマス、もっと食えよ。しっかり食べないとまた具合が悪くなるぞ。」

満月が近付いて憂鬱になっている僕に、シリウスが肉をのせた皿を渡してくれた。

「ああ、ありがとう。」

ほんとうのところお腹がすいてないわけじゃないけど、肉を求める食欲が自分の中の獣の本能に思えて気が進まなかっただけだ。

「リーマス、食べてやってくれよ。シリウスはリーマスの世話やくのが生きがいみたいだ。うるさくてしょうがないからさ。」

「お願いだから、食ってくれー。」

ジェームスがちゃかし、シリウスが応えて、周りがどっと笑った。

誰とも親しくならないほうがいいと思っていたにもかかわらず、入学して数カ月もたたないうちに、ジェームス、シリウスにピーターも交えて4人で一緒にいることが多くなった。僕はずっと友達がいなくて寂しかったから、こんなふうに仲良くしてもらえると、嬉しく思ウ面もある。でもやっぱり困る。

ジェームスたちは頭もいいから、親しくなれば僕の正体に気づくかもしれない。警戒を怠ってはいけないと気を引き締めて、波風立てないように上辺を取り繕いながら、彼らの様子をうかがっていた。

ジェームスもシリウスも裕福な家でめぐまれて育ち、見た目も頭もいいからこわいものなしだ。シリウスのほうは純血主義の家族との折り合いが悪いという問題があるようだけど、意思を通してグリフィンドールに入ったことでむしろ勢いづいている。苦労しらずのジェームスは、自分の思い通りにならないことなどありえないと思っているようだ。

自信にあふれた彼らはいつも陽気で親切で、光に包まれた輝きを放つ。その明るさは人を引き付け、先生からも生徒たちからも好かれている。暗い秘密を抱え、自分を偽る僕にはまぶしすぎるくらいだけど。

その彼らが一転して険悪になることがある。

「ジェームス、見ろよ、あいつ、スニベルス。べったり髪がスープについてるぜ。汚ねえな。」

「まったく、目が腐るよ。存在自体が許せない。」

スリザリン寮の、セブルス・スネイプ。

僕たちのグリフィンドールとスネイプのいるスリザリンは伝統的に仲が悪いから、寮生同士のちょっとした意地悪や小競り合いは珍しくもないんだけど、いつも陽気なジェームスとシリウスが、スネイプのことになると人が変わったように険悪な様相になり、声を荒げて罵る。

「スネイプって闇の魔術に傾倒してるんだってね。」

いつもは気のいいピーターまでも、2人におもねるように悪口を言う。

「7年生よりも闇の魔術に長けてるって話だぜ。」

「あいつ自身が闇なんだ。闇はやっつけないとな。」

「また泣きべそかくぜ。泣きみそのスニベルス!」

元気でやんちゃに暴れまわるジェームスたちと違って、スネイプはどちらかといえば大人しそうで、そもそも放っておけば関わることもないのに、彼らがどうしてスネイプをそう目の敵にするのかわからない。ジェームスたちは、スネイプは闇にどっぷりつかってスリザリンたちからさえ嫌われているんだとか、闇の魔術に長けていると思って周りを馬鹿にしているんだとか悪し様にばかり言う。僕は彼らにつられてスネイプを観察するようになった。

たしかにスネイプには闇の影がまとわりついて、周りと打ち解けていないように見えた。周囲との間に壁をつくっているように。でもよく見ていると、スネイプが時々周りの生徒に話しかけようとして、果たせないまま口をつぐみ、周囲など気にもしていない風を装うことがあるのに気がついた。それなのに、たまに誰かに話しかけられると、身を固めて、ことさらに不機嫌そうな顔をしてみせたりもする。

それはぶかぶかの古びたローブや、少しばかり大きすぎる鼻や、中途半端に長い黒髪と相まって、こっけいにも物哀しくも見えた。物悲しく思えるのは、そんな姿にスネイプの孤独を感じたからだ。あまりに孤独に慣れてしまうと、人に対して身構えずにいられないことを僕は知っている。

スネイプがまとう闇と孤独は、ジェームスたちが放つ明るい光より、僕にはずっと身近なものだ。闇は呪わしいものだけど、闇をまとうにはそれなりの理由があるものだと思う。僕が人狼の呪いを受けて闇を抱えてしまったように。スネイプはなぜあんなふうに闇をまとっているんだろう?あの闇の中に、何を守り隠しているんだろう?それは、僕と同じほどの、呪わしい秘密?

もしかしてスネイプも・・・。

もしかしたらスネイプも人狼なんじゃないかいう考えはもちろんすぐに否定したけど、、、だってもしそうなら満月の夜は一緒にあの屋敷にこもるはずだから。でもこの思いつきは捨てがたかった。人狼なんて最悪だけど、でも仲間がいたら少しはましなんじゃないか?

ジェームスとシリウスがスネイプの悪口を言うのを聞き流しながら、僕は満月の夜に、スネイプと2人であの屋敷にこもって変身することを想像をしていた。一人で耐えてきた変身の苦痛と恐れを語り合い、励まし合う。翌朝は傷ついた体をいたわりあって医務室で休む。そのうち変身時には2人で禁じられた森を駆けまわることさえできるかもしれない。もし秘密を分かち合える仲間がいたら・・・。

陰気だけど楽しい想像は、次の満月の夜には打ち砕かれた。当然ながらあの屋敷にスネイプは現れず、僕はいつも通り一人で変身の苦痛に耐え、傷ついた体で一人目覚めたから。

それでも、人に言えない秘密を抱える仲間を持つという夢を捨てられないでいるうちに、スネイプは吸血鬼なんじゃないかと思いついた。スネイプはいつも土気色の顔をしているし、スリザリン寮室は地下にあって、吸血鬼のねぐらにふさわしい。吸血鬼なら人狼に並ぶ魔法界の嫌われ者だから、人と距離を置きなじまないのももっともだ。きっちりとローブの首筋のボタンをとめているのは、吸血鬼に咬まれた傷跡を隠しているのかもしれない。

我ながら暗い楽しみだと思うけど、この思いつきにはけっこう夢中になった。大ホールの食事時にスネイプがトマトジュースを飲むのを見かけた時には、一瞬血を飲んでいるのかとぎょっとしたほどだ。人狼の僕は、変身時に人を襲いたくて暴れてしまうようだけれど、スネイプは血を求めて首筋に咬みつきたくなったりしないんだろうか?

僕は人としての意識が消える変身中に人を噛んでしまうことをずっと恐れていたから、もし僕が咬まれたらという想像は新鮮だった。人狼は強いから、吸血鬼に咬まれたって死にはしないはずだ。子供の頃人狼に引き裂かれた胸の傷跡にくわえ、首筋には吸血鬼の歯の跡が残る。僕の首筋に残るスネイプの歯形。

僕が噛んだら吸血鬼も人狼になるのかとか、人狼の吸血鬼なんて最悪で最強だとか、暗すぎる想像をめぐらすうちに、僕はすっかり仲間気分でスネイプを眺めていた。だけど実際問題として、スリザリン寮のスネイプに近づく機会はなかなか訪れなかった。

初めてスネイプと話したのは、魔法薬学のグリフィンドールとスリザリンの合同授業で、組になって魔法薬を一緒につくった時だ。スネイプと組むことになって僕は内心喜んでいた。先生の説明通りに薬剤植物を机で刻みながら、やあ、僕はリーマスっていうんだ、やっと君と話せて嬉しいよ・・・心に描いた言葉を口に出そうと笑顔を向けた時。

「おまえ、何してるんだ。」

いきなりスネイプの冷やかな声がした。何してるんだと言われても、先生が言った通り、水薬の材料をナイフできざんでいるんだけど。あわててナイフを握り直して、一生懸命きざみ続けると。

「やめろ。おまえは、触るな。」

ナイフを握る僕の手をスネイプの手が止めた。言葉は乱暴なのに、手の触れ方があまりに軽くて、驚いて顔を上げると、スネイプも驚いたように手を引っ込めた。スネイプも人と触れ合うことにまったく慣れていないのだと直感する。

「僕がやる。」

スネイプはぶっきらぼうに言い放ち、僕が口を開く間もなく薬剤植物を取り上げて、自分できれいに刻みなおしていった。僕はあっけにとられて、植物をきざむスネイプを見ていた。素早く、でも丁寧に、わずかな違いもなく同じ大きさに細かく切り分けてゆく白い手の繊細な動き。不器用な自分の手と思い比べ、ほれぼれする思いで目が放せない。

「すごいね、君。」

思わず声に出すと、スネイプの仏頂面の口元がわずかに緩んだ気がした。それで僕が笑いかけたらすぐ不機嫌な顔に戻って横を向いてしまったけど。

スネイプと僕の組の水薬は、優秀な出来だと先生に褒められて、何の手出しもしなかった僕は居心地が悪かったから、授業のあとでスネイプに言ってみた。

「僕は何もしなかったのに一緒に褒められちゃったよ。優秀なのは君だけなのに。」

「おまえが触らなかったから上手く出来たのだ。」

取り付く島のない返事だ。僕を責めているのではないようだけど、何も出来なかった僕を褒めているわけないし、何と言って話を続ければよいのか困る。これでは周りと打ち解けられるはずがない。スネイプは人づきあいが不器用なんだと気づいた。それでもようやくスネイプと話ができて、僕としては立ち去り難く仏頂面のスネイプを見ていると。

「セブ、素晴らしい出来だったね。リーマスも。」

同じ寮のリリー・エバンスが近付いてきて、声をかけた。その瞬間。

ふわっと周囲の空気が溶けた気がした。スネイプの表情がやわらいで、エバンスに向かって小さくうなづき、嬉しそうに笑っている。・・・笑っている?それは今まで見たこともない、スネイプの笑顔だった。まるで闇の中にぽっと、温かい明りが灯ったように。

スネイプって、笑うとこんなに可愛いんだ。エバンスが立ち去るとそれはすぐに消えてしまったけれど。

「何を見ている?」

ぶっきらぼうな声がとんできた。

「いや、えーと、君の顔を。」

「・・・。気持ち悪いこと言うな。」

思いっきり顔をしかめてスネイプは去っていった。

それから僕は気がつくとついスネイプを探していて、何度もそうするうちに、またあの笑顔を見たいのだと認めざるをえなかった。たぶん、あのギャップがよかったんだと思う。いつも暗く陰りを帯びたスネイプが見せた一瞬の無邪気な笑顔。闇に灯った小さな明り。

それは、陽気な笑い声や誇らかな光よりも、ずっと僕の心に寄り添うものだった。闇の中にも光はあるのだと思えた。人狼の呪いの闇を持つ僕も、いつか小さな光を放ち、心から湧き出るような、偽りのない笑顔になることができるかもしれない。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター セブルス ルーピン

コメント

Merry Christmas

ミーシャ様♪お元気でしたか?
リーマスの物語のUp…素敵なクリスマスプレゼントです!
セブルスの笑顔 たくさん見たいです(^^) が、
もう この頃から 眉間に谷間があったのでしょうか(^-^;

クリスマスには、私も リーマスばりに 肉に(ケンタッキーの)食らいつこうと 思ってます♪

Re: Merry Christmas(ドラゴンさん)

ドラゴンさん、コメントありがとうございます♪

予定よりずいぶん遅れてしまいましたが、
ようやく更新できました^^

眉間の縦じわのないセブルスって想像しにくいですね。
子供の頃からあったかも・・。
でもたまに笑うとすご~く可愛かったと思うんですヨ(*^'^*)

素敵なクリスマスを☆

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