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(過去2)リーマスの物語4

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)


「あの屋敷さ、ときどき一晩中、叫び声が響き渡るよね。化け物が出るって話だよ。」

「昔あそこで死んだ生徒の霊が漂ってるんだってきいた。」

「え~?怖い!」

「ビーブスのいたずらでしょ?」

「だってあそこホグズミードの村だよ。ビーブスはホグワーツの敷地から出られないさ。恨みを残した死者の霊に呼ばれて、生徒が一人また一人と姿を消していく・・」

「やめなさいよ、ばかばかしい。」

「よし!度胸試しだ。僕が行ってやっつけてやる。グリフィンドールの勇気を見せてやるんだ!」

夕食時に周りから聞こる話に気が滅入った。満月の夜僕がこもる屋敷の話だ。最近では『叫びの屋敷』と呼ばれて怖がられてる。その叫びをあげてるのが僕だと思うと、、、心の中でため息をついた。明日は満月だ。

「どうしたの、リーマス、元気ないね。また具合悪いの?」

「そんなことないよ。」

僕をのぞきこむように声をかけてきたピーターに答え、ごまかすようにスープを飲んだ。なんとか気持ちを引きたてなきゃ。様子がおかしいと思われないように。今夜の沈んだ僕の様子と、明日の夜の叫び声を結びつけられたら困るから・・。

そうだ、満月が明けたら、スネイプを林に誘ってみよう。もう春だもの。温かくなると冬の間潜んでいた魔法生物が出てくるんだよって言ってみよう。あれからもう何か月もたってしまったけど、あの時のスネイプの無邪気な表情や、心が安らぐような、湧き立つような楽しい気分を思い浮かべてみる。エバンスに見せたかわいい笑顔を、そのうち僕にも向けてくれたらいいいな。闇の中に灯る小さな明りのようなスネイプの笑い顔・・・。僕はようやく笑顔を浮かべ、みんなの話に加わった。


満月の翌朝は最悪だ。ズキズキとした痛みと、裸の肌に感じる寒さに目が覚める。冬の朝の寒さに比べたらましになったけど。もう癖のようになったため息をつくのに息を吸うと、生臭い血の臭いが鼻をついた。また咬んだらしい。一番ひどいのは腕だ。くっきりと牙の跡が、いくつも残っている。指先の擦り傷は石の壁を引っ掻いたんだと思うけど、肩の打僕はなんだ?外に出ようと壁に体当たりしてできたのか?あちこちの関節もきしむように痛いし、、、

「最悪だ。」

声に出して言ってみて、それからのろのろと立ち上がった。血を拭って服を着る。早く医療棟に行かないと、春の陽気に誘われて、早起きの生徒が外に出てくるかもしれない。暴れ柳につながる狭い通路を抜けて、医療棟に急いだ。

「おはよう、リーマス。頑張ったわね。こちらにいらっしゃい。」

いつものようにマダム・ポンフリーが迎えてくれた。傷の処置を受け、回復薬を飲んでベッドに倒れこむ。人狼の傷の治りは早いから、ほっといたって2、3日で消える。手当を受けるのは、あまりに傷の治りが早いのに気づかれないためなんだとか荒れた気持ちで考えながら眠りについた。

夕方寮に戻り、ベッドでうとうとするうちに夜になり、お腹がすいたから大ホールに行こうかと思いながらぐずぐずしていると部屋のドアがノックされた。

リーマス、起きてる?具合はどうだい?」

ジェームスシリウスが部屋に来た。シリウスは食べ物をのせたお皿を持っていて。

「じゃーん。大ホールからもらってきた。食えるか?」

「ありがとう、ちょうど何か食べたかったんだ。」

まだみんな大ホールで夕食の最中だ。3人で皿の食べ物をつまむ間、ジェームスシリウスは今日の授業の話や一日の出来事を話してくれた。そして食事が終わると。

リーマス

いつになく真面目な顔のジェームスに名前を呼ばれて、僕も姿勢を正す気分で向き合った。

「なに?」

「友達の間で隠し事はしたくないから言うことに決めた。僕たち、」

いったん言葉をきって隣のシリウスとうなづきあうと、まっすぐな視線を僕に向けた。

「僕たち、君の秘密を知ってると思う。」

胸の鼓動が急激に激しくなった。僕の秘密・・・。僕の秘密を知っている・・・

僕の正体のこと?人狼だって知られてしまった?食べたばかりの食事が胸に突きあげ、体が小刻みに震え出す。身を固くして、声に震えが現れないように、ようやく言葉をしぼりだした。かすれた声が、自分の声じゃないみたいに聞こえる。

「僕の秘密って、なんのこと?はっきり言ってほしいな。」

「君は、人狼なんだろう?」

はっきりと問いかけるジェームスの声。恐れていたことが現実になった・・・。

そうなんだと、言おうと思ったけど、声が出ない。なに言ってるんだって笑い飛ばしたい。そうしたら、ごまかせるだろうか?

2人のまっすぐな視線から逃げるように下を向いた。一瞬空白になった頭の中に、5歳の時僕に石を投げつけた子供たちの顔が浮かぶ。恐怖に後じさりするおばさんたち、罵るおじさんたち、忌まわしい人狼の呪い、近づくな、出て行け、この町から消え失せろ、退治してやる。

いつだって、恐怖、嫌悪、罵倒、そして排斥。幼い頃からの様々な経験が蘇り、身がすくむ。かあさん、とうさん、ごめんなさい。ダンブルドア先生、僕は正体を隠し通すことができませんでした。もう、すべて、終わりだ。

身動きも、息すらもできない思いで、爪が食い込むほどに手を握り締め、身を固めているしかなくて・・。そのとき。

ふわりと、やわらかく、両肩に手が置かれた。

リーマス、大丈夫?怯えないで。僕たちは君の味方だ。友達だよ。」

耳が聞いた言葉が、理解できない。僕の味方?友達?だって僕は。

「だけど僕は、、、人狼なんだよ?」

「うん、知ってる。そして君は、僕たちの友達だ。」

力強くうなづきながら、ジェームスが言った。気がつくとシリウスは僕の肩に腕を回している。

「オレたち、友達だろ?おまえは俺の、一番の友達さ。」

何が起こったのか理解できないまま、僕は抱きしめられて、僕も2人を力いっぱい抱きしめる。

リーマス、僕は君と友達でいられて嬉しいよ。うつむくことはない。僕は君を誇りに思っている。」

ありがとう、と声に出して言えたのかわからない。泣いて、笑って、体の芯から嬉しくて。人狼の僕に、友達ができた。僕を人狼と知って、友達と言ってくれる仲間がいる。こんなことが起こるとは、思ってもみなかった。そしてそれは、なんて心強いことだろう。

最悪なことばかりの僕の人生で、最高の出来事だ。

翌朝はジェームスシリウスの顔を見るだけで嬉しくなった。それから、もう1人の仲間、ピーターにも告げるべきだということになった。ある意味特別なジェームスやシリウスと違い、普通のピーターの反応は心配だったけど、もう1人じゃない、友達の支えを得た僕は少し勇敢になれた。

4人で集まり、僕が人狼なんだと言うと、ピーターは一瞬体をのけぞらせたけど、なんとか踏み止まってくれた。そして。

「リーマス、何があっても僕たちは友達だよ。今まで1人で、たいへんだったね。」

ピーターの言葉に、また僕は涙ぐむ思いだった。普通に魔法界で育てば、普通に人狼は怖い。ピーターが勇気を振り絞ってくれたことが僕にもよくわかる。

「ありがとう、ピーター。」

今度は僕もはっきりと言えた。

「リーマスはさ、気にし過ぎなんだよ。そういうのなんて言うか知ってるか?自意識過剰っていうんだぜ。」

シリウスがピーターと僕の肩をポンポンと叩きながら言う。

「そう、君はただちょっとした、毛むくじゃらな問題を抱えてるってだけさ。」

ジェームスが言って、4人で大笑いになった。それからしばらく僕たちは、顔を見合わせるだけでにやにやするような、友情のユーフォリアみたいな高揚感に包まれて、いつも一緒にいた。そんな僕たちに周りの仲間が怪訝そうな顔をしても、俺たちは真の友情を見つけたんだとか茶化し返すシリウスと一緒にいれば、もう何も怖いことはない。

秘密を隠そうと必死だった頃は疎ましくさえ思えたジェームスとシリウスの明るさも、秘密をあかして打ち解けてみれば、共に光に包まれているように誇らしく感じられた。彼らの放つ光は本物だった。こんな彼らを警戒していたことが、馬鹿馬鹿しくも、申し訳なくも思えてくる。素晴らしい、誇るべき、光に満ちた僕の友達。

スネイプのことを忘れたわけじゃなかったけど、僕の正体を知っても受け入れてくれる友達を得た喜びは大きかった。その晴れがましい現実の前で、孤独な僕の心が空想の上に築きあげたスネイプへの想いは、幻のように頼りなかった。暗闇では温かく灯って見えた明りが、まばゆい光の中ではかき消されてしまうように。

次の満月には、仲間から頑張れよと励まされて叫びの屋敷に向かい、翌日には傷ついた体をいたわってもらえた。その喜びのうちに学年末になり、夏休みには心配げな顔で僕を迎えるかあさんに、僕を人狼と知る友達ができたんだと報告することができた。母さんも父さんもすごく喜んでくれて、僕が頑張ったからだと褒めてくれた。

そして家にも嬉しい出来事があった。母さんのお腹に、僕の弟か妹がいるんだって。僕が家を出たから、母さんたちも幸せをつかめたんだと少しだけ寂しい気もしたけど、もちろんそれよりも喜びが勝る。僕はホグワーツに本当の友達ができて、かあさんたちには人狼じゃない新しい子供ができる。家族みんなが心から幸せだと思えるなんて、何年振りだろう。僕には支えてくれる友達ができたから、もう母さんたちに苦労はかけないと心の中で誓った。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター リーマス ジェームス シリウス

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